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アフリカのコーヒーと私たち

普段、皆さんはどれくらいコーヒーを飲んでいますか。もしくは周りに人で、どの程度、コーヒーを飲む人を見ていますか。全日本コーヒー協会によれば、日本は世界で輸入量で言うと、第13番目に多くのコーヒーを扱っています。その中でも、特にブラジルは、飛び抜けて最も多くのコーヒーを輸出しており、国内消費も多い国です。

こんな中で、アフリカのコーヒーはどんな立場を占めているのでしょうか。私たちは、アフリカと聞くと、貧困課題が多く残っている印象を受けるため、コーヒー生産を通して、どれだけ実際にその国の支援に繋がるのかについて、考えざるを得ないことが多いです。ブラジルが、大量生産で、点日干しをすることで一気に多くの生豆を製造することが多いのに対して、アフリカは様々な気候条件から、国によって独特の風味が現れてきます。

質が高い品種が多いアラビカ種は、アフリカ大陸で作られていることが多く、「コーヒーベルト」と呼ばれるエチオピアやタンザニアなど、コーヒーの原産地に近い位置では、特に良い豆が採れます。特にゲシャ種という品種は高級品種で、エチオピア原産になり、4年程度かけてじっくり傾斜のある山で、湿気を調整しながら、丹念に育てたコーヒーは、とても風味が豊かです。

こうしてじっくり育てた生豆を収穫して1年以内に出荷していくことを、「ニュークロップ」と言って、すっきり新鮮な味が出ています。枻出版の『この一冊で、コーヒーがわかる人になる!珈琲のすべて』では、「きれいな酸味を感じるなら」、タンザニアの生豆をシティロースト(完全に焼き切るのではなく、その手前程度の深煎り)で飲むといいとありました。

上記のような、風味豊かなコーヒーが採れる一方、どうしても国の情勢などが気になるのが、アフリカの国です。その具体例として、コンゴ民主共和国と、マラウイと取り上げてみます。

コンゴ民主共和国は、1998年程度まで内戦があり、情勢が不安定でした。もともと、Green Hearts of Africaとも呼ばれる広大な熱帯雨林があり、環境汚染も比較的進んでいないため、とても豊かな環境でした。しかし、産業に人々が取り組める状況が悪化してしまったこともあり、Virunga Coffee Companyという会社が、ヨーロッパの力を借りて、コーヒーを通じた内線後の復興を図りました。その結果、現在はキブ州を中心に、コーヒーの生産量が上がっています。Virunga Coffee Companyについては、こちらからも資料をご覧ください。この会社のコーヒーは、サステナブル認証も持っていて、農園の医療、教育などにも還元をされています。こうした認証制度は、フェアトレード制度で有名で、アフリカとの間の経済格差が特に広がってしまった、1980年代の南北問題の際に、導入が促進された制度です。

現在は、こうしたフェアトレード制度は、コーヒーに対しては必須の条件ではなくなり、生豆の取引を実施する通商会社様は、認証制度は使用しなくても、仕入れの全体量を増やすことで、産地への還元率をさらに増やしています。

コンゴのキブ州は、鉱山でも有名ですが、それについては様々な議論があります。多くの鉱物が採れる一方で、その生産量に反比例し、価格が下がり、労働者に対して十分な還元がされていないケースが多いです。そして、労働環境も劣悪なため、人々の安全性も疑問視されいます。

こうして、コーヒーと鉱物を比較しましたが、生産物、取引物によっては、フェアトレードなどの認証運動、啓蒙活動が必要な分野もあります。それを見極め、私たちがどのような品物に対して、認証制度による啓蒙が必要なのか、調べて広めていくことは、必要とされていると感じます。『UNFAIR TRADE フェアトレードのおかしな真実』という本では、上記のコンゴの例を始め、多くのフェアトレードが浸透しておらず、改善が必要な例が挙げられています。

もう一つ、私たちが意識できることは、コーヒー豆の取引の絶対量が低い国への着目です。東京に本社を置き、コーヒーの通商会社でいらっしゃるアタカ通商様は、アフリカの多くの生豆を扱っていらっしゃいます。その理由としては、もともとはまだ日本で扱われていないアフリカの豆を仕入れることで、競合会社と差別化し、自社の取引量を増やすことが目的でした。

しかし、コーヒーのビジネスを続ける中で、コーヒーの取引を通じてできること、付加価値にも多く気づいたとのことでした。そして、現在のSDGsなどの動きのような社会への還元を長い視野で考えたビジネスが必要となってきたそうです。その際、アフリカの豆を多く扱う理由にもさらなる意味付けが加わりました。それは、まだ有名ではない国の生豆を日本で広げ、生産者のために還元することです。

アタカ通商様のページには、多くの生豆の取り扱いについて、公開されています。独自にブランド名を考えていらっしゃるなど、日本に親しみやすく浸透させるために、工夫をされていらっしゃいます。

こうしたアタカ通商様の取り組みは、通商会社ができるSDGsに関連した取り組みです。その他にも、コーヒーに関連した社会課題への考え方などは、多くあると思います。それらを扱っている本の具体例として、以下の『珈琲で読み解くSDGs』が参考になります。

最後に皆さんに紹介したいのが、マラウイという南東アフリカの小国です。コーヒーベルトのメインからは外れた国ですが、おいしいコーヒーが採れる国です。アタカ通商様は、マラウイの生豆を、日本で初めて仕入れて流通をさせた会社様です。

アタカ通商様が、ビジネス戦略として、アフリカの豆を広く扱っていた中で、徐々に産地の人々への還元を考え始めたことを、既にお話しました。その中で協働させて頂くようになったのが、NPO法人せいぼです。

NPO法人せいぼは、マラウイに学校給食支援をしている団体です。せいぼが、アタカ通商の豆を扱い、その生豆を焙煎して販売することで、その売り上げをマラウイの学校給食支援に充てることになります。そのことによって、アタカ通商様の豆は、日本で消費者に消費され、コーヒーの味を知ってもらうことに加え、生産国にその売り上げが、学校給食支援という形で還元されます。

せいぼはNPOの性格上、コーヒー販売を始めとした事業の全ては、寄付収入に充てることになります。そして、支援企業との協働で、100%のコーヒーの売り上げを、現地に送金しています。現地では、スタッフ7人がボランティアと共に、1日約14,000人の子供たちに対して、給食を届けています。幼い子供たちは、朝食を摂り、一日勉強ができるエネルギーを得ることができます。こうして、アフリカの子供たちの未来を作ることに繋がっています。
※100%の仕組みは、こちら

アタカ通商様の生豆は、NPOとの協働によって、以下の点で大きな付加価値意を持っています。

①日本国内の人々に飲んでもらうことで、風味を知ってもらい、将来の流通量の増加に繋げられる。
②売り上げが100%給食支援に変わるNPOと組むことで、生産地に還元できる。
③生産地の給食支援が促進され、将来のコーヒー産業や国の発展を担う子供たちにも繋がる。

上記以外にも、NPOはこうした社会に還元ができるビジネスがしたいと考えていらっしゃるようなビジョンのある企業様と協働することで、持続可能な非営利事業が実施できます。NPOは、いわゆる「ゼロ」の状態から始まります。しかし、実現した世の中の姿が合致することで、より強い絆で企業内でアウトプットが生まれ、創造的な仕事をすることができます。こうしたNPOの姿に対して必要なこと、具体例が、以下の『ゼロの力 成功する非営利組織に学ぶビジネスの知恵11』にも書かれています。

https://honto.jp/netstore/pd-book_03387649.html

以上、コーヒーとアフリカというキーワードを使って、NPOと企業の協働、フェアトレードへの考え方を通した、社会課題への取り組み方について考えてきました。私たちは、学校などで用語(貧困、フェアトレード、サステナビリティなど)を学習します。しかし、その用語がよく使われる真意はどこにあるのでしょうか。それを上記の具体的のような企業様のお話や、実際の活動を知ること、そしてそれにボランティアで参加してみるなどを通して、知ろうとしてみることが重要だと思います。

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