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ビジョンとチームワーク

何か一つのことを成し遂げようと思い、なんとなくでも「この課題をしたい」と思える時、それがビジョンを持ち始める段階と言えます。しかし、それだけでは足りず、「その課題を解決した後の未来を生きたい」と思えることが大事だと考えます。以上のようなビジョン感を提示しているのは、『プレゼン思考』という書籍を書かれている小西利行さんで、第二章の中でビジョンを持ったストーリーの具体例として、『桃太郎』を挙げています。


『桃太郎』では、鬼退治という目的があり、そのために桃太郎が猿やキジをきび団子で誘って、退治に行き、見事に退治を完了して平和が訪れるという物語です。小西さんはこの物語でいう「鬼」を、一つの「社会課題」として捉えています。そしてこれを「退治する」、つまり「解決する」ことに共感した動物が、リーダーの桃太郎についてきたとしています。

私は、小西さんの『プレゼン思考』を読むまで、全く気付かなかったのですが、この動物たちは、キビ団子が食べたいだけで、桃太郎に従ったわけではないと、小西さんは推測しています。どんな意図で『桃太郎』の作者がキビ団子を描いたかはわからないですが、たしかに鬼ヶ島に行って鬼退治をするという危険な行動を、たかがキビ団子一つでしようと決断して、知らない人間についていくのは、あまり想像できないようにも思えてきました。つまり、桃太郎はキビ団子を与える時に、同時に「鬼退治」という「課題解決」に対して、共感を持ってもらえるようにしたことになります。動物たちは、その桃太郎のビジョンに共感したからこそ、そしてその鬼退治が終わった後の世の中を生きたいと考えたからこそ、桃太郎について行ったのです。

ビジョンをつかむために必要なチームワーク

『桃太郎』は、上記のように考えると、ビジョンと共感についてとても大事な点を教えてくれる物語となります。私たちが掲げたビジョンを達成するためには、共感してくれる人々が必要です。すなわち、良いチームが必要になります。このチームワークについて、Larson and LaFastoの"What Must Go Right/What Can Go Wrong"(1989)によれば、以下のような点が、主にチームワークを成り立たせていると述べています。
A clear goal
A results-driven structure

Competent team members
Unified commitment
A collaborative climate
High standards that are understood by all
Receive external support and encouragement
Principled leadership

一番上でのClear Goal(明確な目標)とA result-driven structure(結果に応じた構成)が、小西さんの言うビジョンとそれが達成された後にかなえたい未来に共感することと同じと考えることができると思います。最後のleadershipの部分については、是非下記の記事もご覧ください。

ソーシャルビジネスとチームワーク

ボーダーレスジャパンの代表である田口一成さんは、著書の『9割の社会問題はビジネスで解決できる』の中で、「経済」という言葉の語源を「経世済民」にあるという点に触れておられます。この言葉は、「世の中をよく治めて、人々を苦しみから救うこと」という意味があります。先ほどの『桃太郎』のように、田口さんも著書の中で社会課題を明確なビジョンをもとに解決に導くことの大切さを語っておられます。一方で、「善意だけで買ってもらえる商品やサービスは長続きしない」とも書かれており、だからこそビジネスとして価値を人々に広く長期的に提供し続けることが、重要であると、田口さんはおっしゃっています。

田口さんは、ボーダーレスグループと言い、社員が社長となって会社を作り、社会課題を解決するためのビジネスをそれぞれが実施するというチームを作っておられます。そのチームそれぞれの成員が持たなくてはいけないのは「社会のためにから始まった志」であると語っておられます。それを、田口さんはソーシャルコンセプトと呼んでおられます。この志を、会社全体で応援し、「みんなの夢=志」という構図を作られています。こうした一つの志(ビジョン)があることで、大きなチームワークが作られていくのだと思います。

社会課題を解決するなんていう大きなことは、自分にはできないと考えがちですが、一人では確かに難しいでしょう。しかし、自分が持っていない才能を持っている友達、発送を持っている知り合いに声をかけ、目指したい目標に共感を得られれば、そこから何かが生まれます。それがビジョンが生み出すチームワークかもしれません。

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