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『NPOという生き方』社会資本

友達がいれば、学校に行きやすかったり、気軽に話せる関係が家族でできていれば、家に帰ってきて安心しますね。それは、Social Capital(社会資本)と言います。こんなに当たり前そうなことを意味する言葉ですが、意外にあまり注目されることはありませんでした。1993年、ロバート・パットナムという経済学者が、イタリアの都市を調べた結果で、「調整された諸活動を活発にすることによって社会の効率性を改善できる、信頼、規範、ネットワークといった社会組織の特徴」を、社会資本と呼びました。少し長くて難しいですが、簡単に言えば、公共財でイメージするような道路、空港などではなくて、もっと緩くソフトな人との人脈、そこから出てくる様々な活動も、「社会資本」として大事にすべきということの意識づけだったのかもしれません。

島田恒さんは、国際ボランティア学会の理事も務めている方ですが、『NPOという生き方』の中で、このパットナムの言う社会資本を作り出すことができる具体的な形が、NPOであり、そうでないとしても、NPOのような「生き方」であるとされています。

島田さんのおっしゃるNPOとしての「生き方」は、自立と連帯を持って生き、人々と連合していくことを示しています。そうした生き方は、利益を生み出すことを目的としている利益社会とは違います。また、村などの共同体のように、自分の生まれた環境で生きていくために、やむを得なく自分の生活のことを考えて所属している共同社会のようなものとも違います。NPOは、ミッションを持って、目的意識を強く持ち、それの元に連合することで社会を変えようという連帯を表しています。こうしたNPOとしての生き方は、深い信頼を作り出せる人々との関係を構築でき、社会資本として保持できると考えているのだと思います。

ここからは、私の意見になりますが、こうしたNPOとしての生き方は、自分の内面に息づいているものに基づいた人々の連合なのかもしれないと考えています。近所付き合いだからしょうがなく実施する共同社会への参画、利益を出していくためにやむを得ず関わる利益社会への所属(会社への所属)とも違いのが、NPO的な姿なのかもしれません。


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