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『社会参加のボランティア』

この本は、人々が社会に参加することに、ボランティア活動がどのような役割を果たすのかについて、考えた本になります。それ以外にも、ボランティアの歴史、法人格の特徴(NPO,任意団体など)についての記載がありますが、今回は特に(特に教育の場で)ボランティアが社会参画の橋渡しをする存在であることに対する記載に、注目したいと思います。

まず、ボランティアとは何か、ということを記載した部分では、特に「自発性」という特徴が強調されていました。単なる「私がやります!」といった自発性だけではなく、自分で意味付けを行い、その活動自体の価値、継続することへの責任なども良い意味で受け入れていくことを指します。この「意味付け」と自発性の関連は、ボランティアだけではなく、通常の仕事でも大事なことだと思いますが、おそらく自分の活動に対して自分なりの意味付けを行い、責任を果たすということは、ボランティアを通して学んでいけるのかもしれません。

また、「コンサマトリー」という言葉を用いているのですが、自己の内面の「充足感」を得ることができるのが、こうした自発的なボランティアであることに触れています。自己の内面に向き合うことになるので、単に外からの強制、先生、上司からの要請ではない形で、活動をすることになり、内面を見つめ、自分との対話をすることになります。これは、とてもキャリア教育などの側面からも、大事なことだと思います。

この一方で、自分が責任を持ち、「当事者」意識を持つことにもなるので、「自分は弱いのかもしれない」、「他人の力を借りないとできない」という気持ちにもなります。しかし、こうした社会の中の自分、他者に支えられている自分に気づくことも、ボランティアの重要性だと指摘しています。こうした状態を、「相互依存のタペストリー」と言っていて、これによってさまざまな横のつながりが自然に立ち現われ、この人が適切な人脈を作っていくこと、そしてそれを具体的な活動に起こしていく土台を作っていくことに繋がるとしています。

以上のような「自発性と意味付け」、「自己充足による内面との対話」、「相互依存のタペストリー」という3つの要素が、ボランティアを実らせ、社会において自分ができることを適切に識別していく力の土台を作り上げることができるのかもしれません。

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