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『ソーシャル・ビジネスのイノベーション』

私自身も、英国のMobellという通信会社で、チャリティに還元ができるビジネスに関わっている関係で、タイトルのような書籍に目が付き、購入しました。この書籍の中には、よく混乱しがちな「ソーシャルビジネス」、「NPO」、「ソーシャルマーケティング」などといった言葉について、そのした言葉が使用された歴史的背景、意図などが説明されています。

その中で、いくつか特に心に残った用語の解説について、ご紹介ができればと思います。

・ソーシャルアントレプレナー
この言葉は、「ソーシャル」(社会の)+アントレ(betweenのフランス語)+プレナー(takerのフランス語)からできていて、「社会の間を取る人」といったイメージです。例えば、高度経済成長の数年後は、社会の成長についていける人とそうでない人の格差が広がりました。社会全体は一般的に、経済成長に集中しているので、成長できない人たちに対して、残念ならら目が行きずらかったのが事実です。そんな中で立ち上がっていったのが、生活協同組合や、孤児院などでした。こうした事業を経済の流れの中で受け入れられるように、改良し世の中に提示する人が、アントレプレナーであり、「アントレプレナーシップ」を持った人ということになります。
社会的に緊張感がある中では、社会のニーズにこたえながらビジネスを成り立たせていくことは、強く世の中から必要とされていたことだったのだと思います。これらと比べると、現在の「エシカル消費」や「サステナブル」といった言葉は、まだムーブメント程度で、良い意味でも悪い意味でもゆるさを持っているように思えますね。

・ソーシャルラーニング
ソーシャルが「社会の」の意味となるので、その中で、「学ぶこと」が、「ソーシャルラーニング」です。特にこの言葉で強調されているのは、社会の中にいる色々な利害関係を持っている人から学んでいくことです。このソーシャルラーニングの延長が、NPOの実施する講演会や、学校で実施しているSDGs教育かもしれません。こうした学びは、学校で座学的に実施する学びということだけではありません。もともとの起源は、もっとダイナミックな国際社会からの要請で、環境問題など、みんなで意識をしなくてはいけない議題が検討されるようになったことが、きっかけとして挙げられます。

従って、ソーシャルアントレプレナーと一緒で、社会の強い要請から、多くの人々の利害関係、地球の利害関係を含めて、経済活動していくという「間を取る」ための学びが必要となりました。この学びの機会を増やすことは、新たな社会的に受け入れやすいビジネスを生みます。そうだとすれば、学校でよくあるボランティア学習や課外活動は、この社会でのビジネスのための練習、準備でなくてはいけないでしょう。

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