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ワグナーは歌う

2023年12月9日(土)
Wake Up, Girls! Advent Calendar
No.9 「ワグナーは歌う」

 
かりすまぜっと・かりすまピッツァです
 
この度は25名の参加者が
1つのテーマに沿った文章を寄せる企画
Wake Up, Girls!※
Advent Calendarに参加させていただき
ました

此方は9日目の記事です

よろしくお願いします
 

ウェイクアップガールズ(WUG)は
宮城県仙台市を舞台にアイドルグループの
成長を描いたアニメーション作品

主演を務めた七人の声優が同名のユニット
を結成し、ライブ活動等も行う

放送終了後も多くのファン(ワグナー)に
支持されたが、2019年3月8日のさいたま
スーパーアリーナ公演を以て解散した


 

SHIFT歌いました


同グループの楽曲「SHIFT」をカバーしました
 
カバーと言うと
たかがカラオケ動画投稿者に
過ぎない身としては後ろめたさや気恥ずかしさ
を感じずには居られません

けれど
少なくとも今回はカバーという気概で
臨んだ為に此方の表現にて押し通します
 
企画制作に伴い
アカペラ歌手MosaMosa氏に楽曲アレンジを
依頼すると共に歌唱ゲストとして参加してい
ただきました
 
何故この人選であるか
 
「SHIFT」という曲の
・ビッグバンド・アレンジのド派手な演奏
・踊り暴れる様な軽快なボーカルワーク
・限りなくミュージカルに近いポップソング感

 
以上の世界や雰囲気を「全部声」で表現したら
どんな風に生まれ変わるだろう

そんな好奇心

それはそれで一つの理由なんですが
もう一つ
 

2019年1月最終週のヨルナイト水曜日

 
2019年1月最終週のヨルナイト水曜日

普段は鷲崎健と青木佑磨両氏による一対一のトーク形式
そんな番組にこの日は七人の飛び入りゲスト
 
この日の放送が私にとってWUGに傾倒して解散公演に足
を運ぶ切っ掛けでした
 
私と同じ境遇のヨルナイトリスナーはどうやら一定数存在
するらしく
WUGやそのファン界隈の視点においてはこの動員を指し
鷲崎効果と囁かれたそうな
 
実はMosaMosa氏も同番組のリスナーであり
このムーブメントの折に「極上スマイル」のカバーに
よってWUGの門出に花を添えられています

 

「WUGの曲を歌いたい」
「MosaMosa氏によるアレンジ版を聴きたい」と

 
漠然と考えながらエックスにて選曲アンケートを取った所
選ばれたのは「SHIFT」
 
奇しくも
件のヨルナイト水曜日にて生披露された楽曲の
ひとつでありました
 
自分の中で点と点が繋がる

企画の完成映像が見えた瞬間でした
 
「SHIFT」は同グループの中でもかなり高難易度な楽曲
 
歌詞は歌詞で「夢と現実の間で葛藤する女子」を描いた
もの

いい大人が歌うにはちょっとキツいものがあります
 
「逆に作り応えがあって面白いんじゃない?」と
 
内なる自分の無責任な一言
 
イメージを思い浮かべた以上
難しくても形にせずには居られない

チャレンジせずには居られない

ある意味で「SHIFT」の精神に通ずるのではなかろうか

そんな言い訳を用意出来てしまい
一人問答ではあるんだけれど言い包められてしまいました
 
「シフトしちゃだめ?」
 
皆が「だめだ!やめろ!」とブーイングするかも知れない

けれど
自分だけは「壮年SHIFT」の事を許してやろうではないか
 
 

メイキングオブ壮年SHIFT

 
依頼を経て共同制作を行う際には「ああだ、こうだ」と
要望してはデモ音源をやり取りします
 
「セリフを入れていただきたい」
「落ちサビの三連符……」
「後奏のベースラインは再現必須でお願いします」
等々

 
仕上がった初稿を確認して誇張抜きで腹を抱えて
笑いました
 
原曲では吉岡氏が担当されているセリフパート
 
どう面白いか
言葉にするのは野暮だから聴いてみてください

再生2分32秒付近です

 個性マシマシですが
この勢い
とても愉快ですよね
 
「そうそう!これが欲しかった!」

歓喜と共に思わず膝を打ちました
 
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女性七人による歌唱曲を男性二人でカバー

歌割りは再編成せざるを得ない

結果的に
二人掛かりで分担する強みは皆無で
「一息で何人分歌うん?」という鬼の様な構成に
 
キーについては日和に日和って
原曲 A の所をカバー版は D まで落としました
 
落ちサビのファルセットを綺麗に響かせる事を
優先するのであれば
理想のキーは EF なんですけど
 
「あちら立てればナントヤラ」という話
 
本当に大変な一曲でした
 
歌い上げる事が如何に至難であるか語ると
キリがありませんから程々に
 
この曲を七人割りとは言え
踊りながら歌唱するウェイクアップガールズ

彼女たちに対しより尊敬の念が深まりました


おわりに


インターネット上に歌唱動画を投稿する
アマチュアミュージシャン

特にカバーを行う人々を指す言葉は
インターネット史と共に育まれて来ました
・歌い手
・インターネットカラオケマン
・イタイタしい勘違い野郎
・検索の邪魔
等々

自分が好きなものを表現する手段として
絵や物語を描く人たちが居ます

私たちはそういった方々と同じであろう
想いを以て歌を歌います

ただ、正直なところウケないです


ファンアートとは
ファンの精神や技術において行なわれる
再構築であると私は考えます

同じファンアートであっても
歌唱という愛情表現は
絵や物語……
更には楽器演奏によるカバー以上に
表現者の人格に依存する性質があります

「あの七人や作品が好きなんであって
 お前には興味がない」

ごもっともです

私はWUGの曲をカバーする事で
ワグナーに
「恥を知れ!WUGに謝れ!死ね!」
と言われても別に構わないのです


音楽を通じて知り合った仲間が
「今歌ったの良いね
 ウェイクアップ……ガールズ?」

と言って
そのままWUGを気に入ってくれた事が
あります

時に「勘違い野郎」「検索妨害」と後ろ指を
さされながらも
「この音楽が大好き
 ねぇねぇ良くない?
 皆もオリジナル聴いてみてよ」

という一心で歌って来ました

そんな日々における
数少ないながら確かな成果だと思っています


本稿を此処までお読みになった物好きな方は
どれぐらい居るでしょう

その中に人前に立って歌を歌ったり
表現を行うタイプのオタクがどれぐらい
居るでしょう

表現はするけれど
尊敬する「推し」コンテンツに触れるのは
恐れ多いよ

そう考える方がお見えになるかも知れません

これは私があなたに何かを強要するメッセージ
では断じてありません

だけど言わせてください


オタクの愛の叫びが時に
別のオタクに"運命の出会い"をもたらす



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