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はうおーるどあーゆー?

 聖闘士星矢、お好きですか?私は好きです、あれから30年以上たった今でも、これはと思ったグッズやスピンオフ作品がリリースされると、ついついお迎えしてしまうくらいには。まあ、中には絵柄が好みでなかったり、話の作り方が合わなかったりで、購読を打ち切ったり人に譲ってしまったりしてしまったものも何件かありますが、まあそれは兎も角として。
 自分の中で最高のスピンオフと言えば、てよぎん先生もとい手代木史織先生が手掛けた作品群でありますね。自分、大好きであります。
 オリジナルから極真空手臭と汗臭さを抜き、どちらかと言えば東映アニメ版の清涼感をブーストさせた感じですが、魂の熱さと聖衣の輝きは、本家にも勝るとも劣らないと言うところが心にしみるブルーであります。ところで、今は『聖衣(くろす)』って、一発変換できるのでありますね。
 たまに、オリジナルやてよぎん先生のスピンオフを読み返し、熱い魂とギリシャ神話のように眩しい聖衣を堪能するわけですが、この歳になると、当時は気にならなかったことが気になりだす次第。それは何か、『年齢』であります。
 星矢  :13歳
 紫龍  :14歳
 氷河  :14歳
 瞬   :13歳
 一輝  :15歳
 城戸沙織:13歳
 ざっとメインのキャラクターの年齢をあげてみました、他にも、ユニコーン邪武ら二軍もとい警備・後方支援担当の青銅聖闘士達もおりますが、彼らも概ね13~15歳の範囲であります。まあ、現代で言えば中学生相当と言う事になりましょうか。おそらく、ほかの90数名の孤児たちも、似たようなものと捉えてよろしいのかもしれません。
 ああ、そういえば、髪の毛座の盟という聖闘士もおりました。彼は他の『隠し子』的な出自とは異なり、正当な城戸光政の嫡子であるにもかかわらず、自分だけが安穏と城戸家の暖かく柔らかい椅子に座り続けることを良しとせず、自ら志願して聖闘士候補生団に加わったと言う、ノブレスオブリージュを体現する漢の中の漢。
 そして、髪の毛座の聖衣を拝領し正式に聖闘士となった後も、星矢ら五人組に対し頼れる年長者として接していた、一時期神の力で洗脳されていた事があったにせよ、まっこと非の打ち所のない人物でありました。そしてご存知の方も多いとは思われますが、かの『キャンサーのデスマスク』の愛弟子でもあります。そんな彼の年齢は、15歳。やはり、他のメインキャラたちと同じ年齢帯でありました。
 さて、このローティーン~ミドルティーンの年齢帯をどう見るか、当時の想定される購読者の年齢層が小中高生だったからとかそんなメタいことは兎も角、なぜ今になってそこが気になり始めたのか。
 別に、難解な四字熟語を呼吸のように使いこなすとか、時代劇の武将もかくやといわんばかりの言い回しをするとか、少年とは到底呼べそうにもない筋骨隆々とした体躯や面構えをしているとか、そんなことではありません。
 ましてや、沙織お嬢様の胸元に燦然と輝くⅠ字を描いたイブニングドレス姿を見て申し上げているわけでもありません。
 知識や言葉遣いなどは、与えられた教育や環境次第でどうとでもなるものですし、むしろあの年代なら、厨〇病ではありませんが、何かの影響でカッコいいと認識すれ喜んで常用するでありましょう。
 たくましいにも程がある体格や面相については、これは言うまでもなく、死と隣り合わせという、トレーニングや稽古という言葉すら生易しいにも程がある、聖闘士としてのブートキャンプ・戦闘訓練ともいうべき鍛錬の賜物でありましょうから今更言う事など。
 そして、発育に至っては、それこそ『個人差』というマルティン・ルターも思わず口ごもるほどの免罪符が用意されております。
 ではなぜ年齢云々にこだわるか、その点については、正直申し上げれば、連載当初は上記の理由で気にも留めておりませんでした。しかし、そうもいっておられぬエピソードが出現し、当時彼らと同世代であった自分に少なからぬ混乱をもたらしたことを改めて思い出す次第であります。
 それは、一輝と瞬、この兄弟にまつわるエピソード。話は冥王編に突入し、これまでの伏線が、モノを雑多に詰め込んだ押し入れをスパーンと開けたが如く雪崩を打って飛び出してきた頃でもありました。
 幼い、というかほぼ赤子の瞬を抱え逃避行、夜の街をさまよう一輝。そこに現れたのは、冥王の使者パンドラ。一輝は、冥王の現世の依り代を渡せと迫るパンドラに対し、弟は絶対に渡さない、必ず自分が守り切って見せる、と啖呵を切る訳であります、推定2~3歳児が。
 推定2~3歳児が。
 推定2~3歳児が。
 はいここ重要なので二回言いました。
 上記にて、言葉遣いや知識は教育や環境次第、発育も個人差がある、と申し上げましたが、当該エピソードの一連のやり取りは、ルターも助走をつけて宗教改革を起こすレベル。これはもうなんとしたことか。
 この一点だけ、白いシーツに落ちたシミのようにもやり続けていた訳でありますが、同時に自分もただ馬齢を重ねてきたわけではなく、日常生活や仕事の中で、それなりに見聞を広め、知識を吸収してきた次第。
 そこで導き出された推論が、『彼らの実年齢と戸籍年齢は一致しない』というもの。
 現在ではほぼありえなくなったものの、明治・大正・昭和初期生まれの人は、ある程度育ち生存の目途が立った頃合いを見て出生届を出したと言うもの。ご存知の方も多いとは思われますが、今から70年ほど前までは、乳幼児の死亡率は非常に高いものでありました。
 ですので、2~3歳くらいになり、多分この子は丈夫に育つだろう、と判断した時点で役場に届けを出すと言うもの。そのため、戸籍年齢と本人がいう年齢が一致しない、という事例は、ひと昔前までは割とよくあったお話であります。
 後は、これは今でも社会の問題・闇として対策が求められている、『無戸籍児童』の可能性。どうにか戸籍を取得するに至るも、出生時を知るものがなく、発育における身体的特徴から推定〇〇歳くらい?と判断するもの。
 そして、星矢たち100人の異母兄弟も、言い方悪いこと承知で言えば、普通の環境で生まれ育った子供たちではないということ。ましてや、ほぼ全員が身寄りのない孤児であると言う事を考えると、自分の正確な年齢を把握している子供はほぼいなかったのではないかと思料する次第。
・正規の出生手続きを取る余裕のある環境ではなかった
・自身が生まれた時のことを正確に知る身内や関係者がいなかった
 ざっくりこれらの理由があり、実際劇中登場人物の年齢は、公表されているものより多少上がるのではないかと推測した次第。そこで自分が提唱するのが、
『聖闘士星矢のキャラ全員の年齢に、プラス5歳すればしっくりくる説』
であります。
 聖闘士星矢に登場するキャラクター全員の公表年齢に5歳分の数を足す、そうなると、だんだんしっくりくると思いませんか?
 あの四字熟語の羅列も
 戦国武将のような覚悟ガンギマリな口調も
 いかついにも程がある体躯や面構えも
 沙織お嬢様のイブニングドレス姿も
 しかしながら、話をやや巻き戻しますと、自分の益体もない推論を当てはめても、一輝・瞬兄弟には該当するどころか新たな矛盾が生じる始末。
 例えば、一輝を当時8歳かそこらと仮定しても、2歳年下の瞬は6歳前後。その年にもなってもおくるみが必要な就学年齢目前の児童がいるか?何か重大な障碍を持っていたとすればともかく、そんな話一度も表に出ていないし、推論を打ち上げる根拠もない。
 では、ある程度年齢を調整しても、超未熟児で生まれたか、先ほども申し上げたように何らかの障害を抱えていない限り、おくるみ姿はどう考えても不自然。 
 ホントマジでどうなってんだこの兄弟は、と言いたくもなりますがそこはぐっとこらえるのが男。なればこそ、『聖闘士☆星矢』という物語における世界の作法に倣うが人の道。それは、
 フィクションだからという逃げ口上でもなく
 ジャンプイズムだというライブ感でもなく
 車田イズムだという血と汗と涙の臭いでもなく
 全ては『小宇宙(コスモ)』のお導きであるということ。
 後にフェニックスの青銅聖闘士として比類なき勇名を馳せることになる一輝は、生まれながらにして小宇宙の開眼者であったとすれば、もう何も怖くない、今後は極めて健やかな心持ちで単行本を再読・堪能できること請け合いであります。
 そうなると、今までの口上はなんだったんだ、と言う事になりますが、零れ落ちる砂で築いた山の頂の如く、たった一つの頂点の下には、おびただしく積み重なる砂礫があり、それは決して誰にも顧みられることのないものであります。得てして、世の中そんなものであります。
 そして最後に、念のため申し添えるとすれば、『公表年齢プラス5歳』はあくまでも自分個人の勝手な言い分ですし、これを適用してもどうにもならない事実が嘆きの壁の如く存在するのもまた事実。

 そも、老師の年齢に今更5歳足したとして、何がどう変わりますか、何も変わりゃ致しません。



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