大丈夫
ふと、あぁもう和也さんはいないんだなって思うとなんだか胸がざわざわする。
***
武者修行プログラム
最終プレゼンで、「惜しいなぁ。」って、和也さんにため息をつかれた。
「なんでつめなかったんだ。ストーリーもよくできているのに、なんで最後が詰められてないんだ。」と言われた。
そのあと和也さんに不採用と言われた。
悔しすぎて、鼻水と涙で顔をぐちゃぐちゃにして泣いた。目が腫れて二重がどっか飛んでいくほど泣いた。
悔しい
悔しい
悔しくてたまらなかった。
だから営業インターンに入った。
いつか和也さんから採用を勝ち取りたい。
正直そんな思いしかなかった。
営業インターン
前夜祭スタッフではじめて和也さんに「みお」って呼ばれた時、すごく嬉しかったな。
え、名前知ってんの?!ってびっくりした。笑
採用をもらえるチャンスだと思った。
でも乗っけからレンタルスペースの鍵の開け方がわからずあたふたして和也さんを困らせた。
そんなことしてたから前夜祭開始時刻になっても会場はなんも出来上がってなくてめっちゃ怒られるかと思った。
でも和也さんは何も言わずに自分が一番動いてせっせと会場を作りはじめた。前夜祭に来た学生みんなを巻き込んでちゃちゃっと準備してしまった。
結局和也さんにいいとこなんか一個も見せられなかった。
また不採用だと思った。
年間1000人を目指していた時、達成できないことが見えてきた時から、心の奥底では諦めてしまっている自分がいた。
コロナで第3ブロックが中止されると聞いた時、なんでもっと頑張れなかったんだろう、なんで最後まで粘れなかったんだろう、こんなんじゃ武者の時と同じだとすごく後悔した。
また不採用だと思った。
広報インターン
「武者っぽさを追及する」
「普通のことを普通にやらない」
和也さんが求めていたのは、このたった2つだけだったのに、私は応えられなかった。
また不採用だと思った。
結局全然採用を勝ち取るなんてできないまま時間ばっかすぎた。
***
でも、和也さんは全部見てくれていた。
最後に面談をした時に、
「みおはずっと、なにかに遠慮している気がする。もっと本当の部分を出してごらん。そこがすごい魅力なんだから。あと少しだよ。このあと少しを超えるのがすごく大変なんだけど、そこを超えたら突き抜けるよ」と言ってくれた。
あーそうか、とっくにお見通しだったんだ、と思った。
周りにどう思われるかを気にしすぎて、こうしなきゃが先行してしまい、それが自分を縛ってしまう。
何も持たない自分に自信がないからうまく取り繕うのに必死。
だからいつもうまくいかない。
わたしの不採用パターンを和也さんはとっくに知っていた。
そしてそれをわかった上で、わたしの本当の部分が魅力だよと言ってくれた。
涙がボロボロこぼれた。
和也さんは黙ってうなずきながら、わたしの話を聞いてくれた。
「大丈夫。みおならできる。」と信じてくれた。
最後に「ありがとう。」と言ってくれた。
最後の広報ミーティング
「皆さんになら安心して、広報を任せられます。本当にありがとう」と和也さんが言った。
ねぇ待って待って、そんな最後みたいな、そんなこと言わないでって思いながらめっちゃ泣きそうになって、でも泣いたらそれを認めているようだったから泣けなくて、無理して笑ってズームを切った。
それがまさか最後になるなんて、思いもしなかった。当たり前のように戻ってくるって思ってたな。
***
和也さん、この間わたしは営業インターンのみんなから、「あなたが一番表彰されるべきで賞」をもらったんです。本当に嬉しかったんですよー!
和也さん、わたしは今まで、まぁこんくらいでいっか、まぁいいやで人に合わせてしまうところがあったけど、最近は譲れないことが出てきたり、こだわりが持てるようになってきました。
和也さん、あの時は、うじうじ迷っていたけど、あと半年、旅武者で働くことを決めましたよ。がんばる覚悟ができました。
報告したいことは山ほどある。今年の夏もどうやら少し進歩したみたいです。そろそろ採用もらえるかな。
和也さん、くれたものが大きすぎてまだ全然返せてないです。それなのにいなくなっちゃうのずるいです。まだまだ一緒に働きたかったです。
でも和也さん、和也さんに信じてもらったから、わたしはわたしらしく生きる決心がつきました。まだまだ葛藤するだろうし、一歩進んでは一歩下がることの繰り返しだろうけど、ちょっとずつ前進みますね。
和也さん、本当にありがとうございました。
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