『VS』~これが今のThe Straylight~【感想と考察】

1月31日、ストレイライトの新シナリオイベント『VS』が実装されました。
文字色が緑と紫、すなわち冬優子と愛依の対決を予感させる予告から蓋をあけてみると、やはり今回もこちらの想像を上回るストレイライトがそこにはありました。

この冬優子の表情すき

オープニング「HAZE」

ifまでのストーリーを経て、愛依はあがり症な自分と向き合うことに一定の決着をつけ、どちらの自分も大切にしながら前に進んでいけるようになりました。
ダンスの技術にも手応えを感じ、それをストレイライトの2人やシャニPにも認めてもらい、充実一途に思えた矢先、スタッフの小話が愛依の耳に入ります。

話題に上がったのはあさひと冬優子のパフォーマンスについて。誉めちぎられる2人に対し、愛依の名前が挙がることはありませんでした。
これまでの愛依であれば、これに対して「2人の凄いところが伝わって嬉しい!」と感じていたことでしょう。これまでのストーリーでも幾度となく描写されてきたシーンです。
しかし、しかし今回の愛依に去来した感情は今までにないものでした。
初めて生まれた感情に愛依は戸惑い、楽屋にもどってもその気持ちを2人に伝えることができずはぐらかしてしまいます。

さて。
このオープニングをみた私に生まれた感情は「嬉しい」の1点でした。
長年にわたり和泉愛依の物語を見守ってきた身として、これほどまでに彼女の成長を感じられたシーンがありましたでしょうか。
ずっと自分と向き合うことがテーマだった子が、あさひと冬優子への賛辞に対して「自分だって」と(愛依自身はこの時点ではまだうまく言語化できないものの)悔しさを感じているのです。
こんなに嬉しいことがあるでしょうか。
2人においていかれないように、から
2人に負けたくない、に変わったのです。
それはアイドルとしてとても美しく、とても真っ直ぐな感情の発露です。
もし、ここで2人にそのことを伝えられていたらどんな反応をしたでしょうか。
ええ。ここではあえて書かないこととしましょう。

第1話「CLUE」

しかしながら愛依の性格上、初めて去来した想いを伝えることはできませんでした。
あさひと冬優子が誉められているのに心から喜べない自分は「嫌な感じ」がしてしまったからです。
2人が誉められれば自分のことのように嬉しいし、自分の勝利よりストレイライトの勝利が欲しい。
だからこそ今までの愛依はストレイライトの「真ん中」としてストレイライトを支えてこれた。

WEBD第6話より
めっっっちゃ好きな台詞です

愛依の「真ん中」っぷりは紛れもない長所です。あさひも冬優子もそんな彼女のことが大好きだし、プロデューサー諸兄におかれましてもそれは同様かと思います。
しかしそれは同時に、愛依の課題にもなっていたのです。
象徴的なのがWEBDのエンディングでの一幕。

愛依は勝負をしていない。
あさひも冬優子も、全力で愛依に勝負してほしい気持ちをもっていました。
ユニット内でもバチバチにやりあって高めあっていくのがストレイライト。
愛依「真ん中」として機能する一方、2人と同じステージには上がれていないという捉え方もできてしまうのです。

話を戻しまして。
愛依が悩んだときは基本的に冬優子かシャニPのどちらかに相談するのですが、今回は事が事なのでシャニPに相談する選択をしました。

冬優子は静。
シャニPは動。

そしてシャニPはいつものようにパスを出します。
ゴールはアイドルに決めさせる、というスタンスです。
今回だしたパスはあさひが出演するダンスライブのチケットでした。

第2話「DIMAND」

ストレイライトに新しい仕事が舞い込んできました。
「Stray versus 」
3人によるパフォーマンス対決です。
海の家の時のようなやらせもありません。
正真正銘のガチンコバトルのようです。
あさひはもちろん出たいと即答。愛依はタイムリーすぎるのもあり少し考えさせて欲しいといいます。
冬優子は動かないながらも愛依の様子はなんとなく察しているので自身は出たいとしつつも決まったことには文句はいわないと回答します。
相変わらず熟年夫婦のようなシャニPとのやりとりにため息がでますね。交わした言葉が最小限なのも憎いです。

第3話「REALIZATION」

あさひの出演するダンスライブを観にきた愛依は、あさひのパフォーマンスに圧倒されながらも、具体的にあさひの何が観客を惹き付けているのかに気づきます。
そのあたりは愛依もストレイライトとして研鑽を積んできた立派なアイドルです。技術的にも成長が感じられますね。
そして、自分にだって観客を惹き付けられるパフォーマンスができると奮い立っていることを自覚し、あのときスタッフの立ち話を聴いたときに生まれた感情は「悔しさ」だったことに気づくのです。
前述したように、これはアイドルとしてはとても美しく、真っ直ぐな感情の発露です。
嫌なやつになってしまったわけではありません。
こうしてシャニPのパスは結実し、愛依は悔しさを原動力にしてまた前に進みだすことができました。

第4話「ACCUMULATION」

吹っ切れた愛依はレッスンにも前向きに、自主トレも追加してStray versus に備えます。
自主トレには二人も声をかけましたが、あさひはいつも通りマイペースに自分のワクワクを優先、冬優子はあえて断り、対決に向けたモチベーションを高めさせていきます。
このまま順調に本番を迎えられ…ないのがアイドルマスターシャイニーカラーズです。
あさひが雨の中転んで足を痛めてしまったのです。

第5話「DECLARATION 」

あさひが怪我で番組にでられなくなりましたが、愛依の闘志は高いまま、冬優子に啖呵を切ります。
この時愛依の気持ちを真っ向から受け止めた冬優子は何を思ったのでしょうか。

第6話「CLAM BEFORE•••」

愛依はあさひに電話し、あの時打ち明けられなかった想いを吐露します。
これに対するあさひの反応は基本的に淡白なもの。いつか勝負をしたいという1点において大きな反応を示します。(このあたりのあさひの考察は別のお話になるのでここでは割愛します)

一方、冬優子。
愛依の勝ちたいという気持ち、みんなに認めてもらいたいという気持ちは冬優子だって常にもっている気持ちです。

アイドルとしての闘争心で負けるわけにはいかない。

何て演技をするんだ…

だから、負けない

ふゆと冬優子が混ざりあったような声音です。
ふゆとしても、冬優子としても負けるわけにはいかないからです。
全力をもって愛依に勝ちに行く覚悟で楽屋を後にします。

第7話「I WIN」

決戦の時がやってきます。
冬優子と愛依がステージに上がり、流れてきたのはDestined Rival。

Destined Rival!!!???

やってくれますね…
あわてて歌詞を見返してみればまさに今回のお話なんですよ。
こんなnoteを読んでいただくまでもなく、この曲の歌詞を読んでいただければだいたいストンと落とし込めるお話になっているんです。
毎度のことながら効果的に曲を使ってくれますね。

話を戻しまして。
ふゆとして、あるいは冬優子として。
あの子として、あるいは愛依として。
2人は観客に向けて啖呵を切ります。

ファンが望む、本気のストレイライト同士の戦いです。
もちろん、同点、なんて逃げでシャニマスくんは許してくれません。
勝ったのは________


霧子LP「心があるところ」より

勝ったのは冬優子、ということになるのでしょう。
ダンスの技術的にそれほど差があったわけではないでしょう。人気の差、というのはもしかしたらあったかもしれません。
ですがそれ以上に、ようやくアイドルとしての闘争心が生まれた愛依と、ずっと積み重ねてきた冬優子との差はそう簡単には埋まらなかった、ということだけなのだと思います。

ここでちゃんと愛依が負けるのがシャニマスなのです。

北原さんの演技が良すぎる。

涙を滲ませ冬優子の楽屋後にした愛依。
その涙は、冬優子もたくさん流してきた涙です。その分冬優子はここまで強くなりました。
愛依もこれからたくさん涙を流していくのかもしれません。
まだアイドル和泉愛依の物語は始まったばかりです。
今回たくさん成長できた愛依によって、よりストレイライトの最高は更新されていくことでしょう。

少しのほろ苦さを残し、今回のお話はこれでおしまい。
ではありませんでした。

二人の勝負を配信で見ていたあさひ。
2人のパフォーマンスをみてなお、自分が勝利できる確信がありました。
これは冷血だとかそういう話ではなく、論理的にあさひが導きだした結論です。
実際、あさひが怪我をしていなかったらならばあさひが勝利していた確率は高かったでしょう。

考えるべきはここでこのシーンを入れ込んだ意味です。
あくまで個人的な見解ですが、次のお話であさひの課題について焦点があたるのではないかと思っています。
あさひの課題については、ぜひ現在実装されているマイソングコレクション「Boiling Sky」を是非読んでいたきたいと思います。
GRAD、ifと合わせて読んでいただけるとさらに解像度が上がるかと思います。

総括

VSは今まで愛依の長所として描かれてきた部分から視点を変えて問題提起するという新しい切り口を見せてくれたお話でした。
オープニングからずっと愛依は葛藤と苦しみの中でもがいていました。
そうでありながら懸命に明るく前を向いて、自分自身で考え行動していく彼女の姿にずっと泣きながらコミュを読んでいました。
思いを言葉にすることだって、少し前までの愛依には難しいことだったのです。
今回は時間をかけながらでも、初めて生まれた思いを2人にしっかり伝えることができました。
立派な成長です。
しかし、それですぐに結果が伴うわけではないのがアイドルマスターシャイニーカラーズ。
ザストで満たされきってから早2年。
ストレイライトの物語はまだまだ続いていきそうです。
次のお話が今から楽しみで仕方ありません。

それでは、またいつか。










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