負けヒロの美学

初めまして。chankoです。

負けヒロインってご存じですか?
文字通りですが負けるヒロインです。
何に負けるのかというと主人公との恋愛レースで敗退していく娘たちのことですね。

I”sで言う伊織、いちご100%で言う西野、ニセコイで言う千棘…

それ以外全員""""負けヒロイン""""なんです。
いくら見せ場が多くても、最後に選ばれなかった人は負けヒロインなんですね。

なぜこんな記事を書こうと思ったのか。
在宅ワークのBGMにアニメを垂れ流していて、とあるアニメでクソデカ感情が抑えきれなくなりました。

そう「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」ですね。2期まではリアタイで見ていたんですが、なぜか3期を見ていませんでして。この際だし見ますか…と思い見てるときにふと思ったんですね。

「負けヒロって尊すぎるのでは??????」と。

僕が好きなキャラって圧倒的負けヒロな気がするなぁと思ってしまったんですね。
今回は由比ヶ浜結衣に惹かれてしまいましたので彼女にフォーカスを当てながら負けヒロの美学について語れればと思います。


由比ヶ浜結衣について

画像1

千葉市立総武高等学校2年F組のクラスカーストトップ集団の一人。
対する主人公の比企谷八幡は、体育で二人組を組むときに一人でやるときの言い訳を用意しているくらいの真性のボッチ。
実は八幡は入学式の日に轢かれそうになっている犬を助けて入院しています。それでスタートダッシュが遅れているのです。そして飼い主は誰かも知らず。(そうじゃなくても友達はできないんですが。)
その時の犬の飼い主が由比ヶ浜。彼女は八幡のことを知っていて、最初はとても気まずい状態でした。
まず恋愛感情を持つに至るわけがないんですよね。
とはいえここはアニメの話。由比ヶ浜は八幡のことを好きになってしまいます。

圧倒的な負けヒロイン要素

彼女は俗に言う「アホの子」です。
僕未だにアホの子で勝ちヒロインを見たことないんですが気のせいですか?
横に圧倒的な存在の雪ノ下雪乃さんがいます。(友達はいないけど頭がよくお金持ちの娘)
そして雪乃は一番最初に出てきたヒロインであり、八幡とは何もかも真逆の人物。基本は八幡と雪乃を中心に話が展開していくんですね。由比ヶ浜はそこにいつもいるけどおまけ的存在。

1話の時点で負けヒロインなのが確定してしまっているんです。
カーストトップにはいるものの、周りに流されやすい性格故にグループ内でも雑に扱われたり、はっきり言えない代わりに素直で人懐っこいとこがある。
それがよくない。素直で普通すぎるんです。

勝ちヒロインとして最強なのはやはり「クセの強さ」
これに限ると思っています。
対して由比ヶ浜はアホなとこはあれど、よくいる天真爛漫な女子でしかない。先ほどの言い方を変えると、性格も悪い部分はなく、誰にでも優しく接することができる。周りに気を使って波風立てないで過ごせる。
クラスに一人はいるでしょ。本当にこんな感じで嫌いな人は見たことないけど誰かに選ばれるでもない人。それなんです。

ド底辺の八幡ととんでもないエリートの雪乃。その空間を歪にしないために用意されたピエロ。それが由比ヶ浜結衣なんです。不憫すぎる。

そしてcv.東山奈央。

見た目に反した奥手さ

八幡に言わせると彼女はビッチです。
まぁ見た目的にもキャラ的にもそういわれても仕方ない。
で、実際のところ結構な奥手具合なんです。
八幡と出かけるに至るもどこかぎこちなかったり、ちょっといい感じになると顔を真っ赤にしたり。
遠回しに?というか、好きだよの表現は直接していなくとも、それっぽい行動をとったり言動をしたりはしています。顔真っ赤にしながら。
それに対して八幡はひねくれ根性から「こうやって勘違いさせるんだ気をつけろ」と内心思っているわけです。そんなん一生届くはずがない。

由比ヶ浜結衣は負けヒロとして輝く

しかしまぁ、彼女は彼女なりに精いっぱい頑張ってるわけですね。
そして2期の最終話。ここで負けヒロとして、ただ負けるわけではない、ということを魅せてきます。

あたしは全部欲しい。今も、これからも。あたし、ずるいんだ。卑怯な子なんだ。あたしはもう、ちゃんと決めてる。もしお互いの思ってること分かっちゃったら・・・このままっていうのもできないと思う。だから、これが最後の相談。あたしたちの最後の依頼はあたしたちのことだよ。

ゆきのんの今抱えてる問題。あたし答え分かってるの。たぶんそれが、あたしたちの答えだと思う。それで・・・あたしが勝ったら全部もらう。ずるいかもしんないけど・・・それしか思いつかないんだ。ずっとこのままでいたいんだって思うの。どうかな・・・?

これを正規ヒロインの雪乃と、彼女と奪い合ってる八幡に直接言うんです。
今までこんなヒロインなかなか見てこなかったぞ???いたんだろうけど記憶にはない。
八幡は相変わらずこの子らの好意を信じるのが怖いからか、気まずくなってしまいます。
え、真っ向勝負仕掛けるんすか。「あんたなんて眼中にないから」みたいなのとか、「君が○○のこと好きでも私は君が好き」みたいなのは見ます。よく見ます。
でも「あなたがヒッキーのことをどう思っているかは気づいちゃったけど私も同じ。だから真剣に、お互いを貶めるでもなく真剣に闘り合おう」って。

これこそ美学です。
負けヒロだけどただ負けていくわけでもない、でも抜け駆けして既成事実を作ろうとするでもない。
ただ、保険をかけてしまった。たとえ自分が選ばれても選ばれなくても3人でずっと一緒にいたい。副音声としてこの思いが乗っています。

その後も3人は決裂していくんですが、八幡は雪乃のピンチに由比ヶ浜を置いて走って行ってしまいます。
その時には一瞬涙があふれてしまったものの、グッとこらえて八幡のことを送り出すんですね。
その時の感情がこれですよ。

涙が止まってくれてよかった。
あたしが泣いてしまったら、彼はここから動けないから。
だから、涙が止まってくれてよかった。

あたしは、可哀想な子になんてならないんだ。だって、そしたらまた彼は助けてくれちゃうから。

行かないでって言えなかった。
なんで助けるのって聞けなかった。
もう優しくしないでって言いたくなかった。

彼女が考えていることも思っていることもちゃんとわかっていて、でも彼女みたいに諦めたり、譲ったり、拒否したりできなかった。
すごく簡単なことのはずなのに、あたしは何もできなかった。
全部、彼女のせいにしてそうしなかった。
全部押し付けてきたのはあたしのほうだ。

だから、これでいいはずなのに、今もずっと涙が止まらない。
涙が止まらなければよかった。

そう。彼女は人のことを思いやってしまいすぎる。好きな人のことも、ライバルのことも。自分の居場所を守りたい想いもあるとは言え、この感情が自分がどうなりたいかに勝ってしまうんです。義理人情の世界なんです。

こんなに人のことを思いやって、誰かのためになることをって祈れる負けヒロイン、美しすぎませんか????

自分の好きな人と付き合うために視野が狭まって彼とのことしか考えられない!みたいな一途さとはまた違った、好きな人を想うからこその一途さが垣間見えるんですよね。

しかもこれが3期4話。1クールでも10話弱残っているんです。この時点で最後にどんな選択をするのか、それを悟ってしまっているんです。
もっと言えば彼女は1期の時点からこうなることを望んでいたのではないか、そう思ってしまうほど。

自分が負けヒロインであることを自覚して、その中でも大事な時間を過ごしていきたい、そう願いながら物語の渦中にい続けるわけです。

自分が負けヒロインだと悟るということ

彼女は自分が負けヒロインだと悟っているにも関わらず、それでも八幡のことを好きでいます。雪乃とうまくいくようにって背中を押しながらも、要所要所で自分の望みが叶うように過ごしていきます。

それは「3人でずっと一緒にいたい」という思いと「八幡と幸せになりたい」という思いからではありますが、それでもそのまま負けて退場だけは許さないのです。

一緒に下校をしたり、プロムでは一緒に踊ったり。お願いを聞いてもらうという約束を使って一緒にケーキ作りをしたり。

素直で流されやすく、真剣勝負じゃ勝てないと悟りつつも、それでも完全撤退しないエゴ。人間味がありすぎます。素敵。語彙力が低下した。

そして最終話一話前。
彼女は八幡と帰り道の公園で、このまま3人の関係が終わってしまってもいいのか聞きます。八幡は「俺は(奉仕部を)終わらせてもいいと思う。」「それでもあいつ(雪乃)との関りが終わるのは嫌だ」と気持ちを吐露します。

この時言いかけた告白をグッと堪えます。
そして「ちゃんと伝えないとわからないよ。一言言うだけじゃん」と言ったのに対し八幡は「一言で伝えられるかよ。」と返したのです。
ここで分かってはいたけど、完全に確信してしまいました。
家まで送ってもらい、八幡の背中を見送る由比ヶ浜。

涙は流れなかった。もうたくさん泣いたから。

玄関で犬に迎えられる由比ヶ浜。
一人になって心ははちきれます。涙が出てきてしまいました。
この子の母親はいい母親で。理由を聞くでもなく「腫れちゃうからそのまま。ね。」と言って抱きしめるのです。

やっぱり言葉は出ない。言葉なんて出ない。好きだなんて、たった一言じゃ言えない。それ以前の話で、それ以上の問題で、それどころじゃない感情だ。あたしは、あたしたちは、初めて本当に恋をした。

八幡の「一言で伝えられるかよ。」で察してしまったのは自分がそうだったから。そこで察して潔く身を引き背中を押す。美しすぎなのでは。
「初めて本当に恋をした。」もっと遡って「あたしは、可哀想な子になんてならないんだ。だって、そしたらまた彼は助けてくれちゃうから。」これらすべてを含めて、自分の想いをただぶつけて八幡を困らせるわけにはいかない、好きな人と、好きな人の好きな人のことを想って自分の気持ちを押し殺してしまう。これにかなり早い段階で気づいていたのにも関わらず、諦めずに最後の最後まで彼を想い続けるのです。

それでも最後は

八幡の妹といろはすの強行突破で奉仕部は再開させられます。でもそこには由比ヶ浜がいない…。
八幡と雪乃は内心気まずい。呼ぶにも俺たちが呼んでいいのか。

そんな中、由比ヶ浜はぎこちない挨拶をしながら現れこんなことを言うのです。

依頼っていうか相談なんだけどね…(深呼吸)
私の好きな人にね、彼女みたいな感じの人がいるんだけど、それが私の一番大事な友達で…でも、これからもずっと仲良くしたいの。どうしたらいいかな。

ま、もうくっついちゃったしね。言っちゃってもいいか。
この潔さが心地いい。この前にいろはすが「彼女がいる人を好きになっちゃいけないなんて法律ありましたっけ~?」と言っていたのも影響しているとは思いますが…。
最初から最後まで負けヒロインであることが確定していて、自分でもそれに気づいているというのにそれでも諦めるでもなくちゃんと向き合っていく。
そして最後は好きな人の想いを大事にする。

報われてくれないか?????????????????

こう思わせるくらい最初から最後まで負けヒロを貫く、それこそが負けヒロの美学なんです。負けヒロである由比ヶ浜結衣に魅せられてしまいました。

この感情言葉にしたいよ~~~~~!と思いながら書いてみたはいいものの、久々に文字を書く上にほとんど由比ヶ浜の紹介になってしまい結局のところ負けヒロの美学とは…感がすごいですね。
なんならまだまだ語れることはあるんですが、うまく言語化できず諦めた節があります。
こういう感情をもっと伝わるようにするためこまめに文章化していきましょう…。

そして最後に。
僕のタイプは平塚静です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?