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【分析版】BXRⅢ予選デッキデータ[1/23ルビー・サファイア]

2022/1/23(日)に開催された、BATTLE CROSS ROAD(以下BXR)Ⅲ ルビー/サファイアブロック。
今回はデッキ提出の不備もほぼなく、実に170件のデッキデータが集まりました。ご協力を頂いた皆様にはこの場を借りて感謝申し上げます。

さて本ブロックですが、レギュレーション変更により環境も一新され皆様の注目も大きい大会になったかと存じます。
今回も集まったデータを用いて環境へと深く踏み込んだ「分析版」の記事をお届け致します。どうぞご覧ください。

全体分布

どんなデッキが多かったのか、おさらいしていきます。

1位:ミュウVMAX
2位:はくばバドレックスVMAX
3位:アルセウスVSTARガラルファイヤーV

やはり台風の目は「ミュウVMAX」。圧倒的なパワーは新環境も健在です。
次いで「はくばバドレックスVMAX」は「アルセウスVSTAR」という新たな相棒を得て、自身の立場を盤石にしました。
3位の「アルセウスVSTARガラルファイヤーV」ですが、こちらは「ガラルファイヤーV」をはじめとした様々なサブアタッカーを採用し、各デッキにタイプ有利を見込めるデッキタイプとなっています。

前回からの環境変化

1/9に開催されたダイヤモンド/パールブロックからの各デッキの増加、減少傾向を見てみたいと思います。グラフ左がダイヤモンド/パールブロック、右側がルビー/サファイアブロックです。(累計データ数上位10デッキを対象)

■増加したデッキ
・ミュウVMAX(18→36)
・はくばバドレックスVMAX(9→20)
・カラマネロ(3→9)

■減少したデッキ
・れんげきウーラオスVMAX(12→6)

「ミュウVMAX」、「白馬バドレックスVMAX」については前述のコメント通り、勢いを増していますね。数が倍近く増えています。
「カラマネロ」はレギュレーション変更により「アルセウス&ディアルガ&パルキアGX」や「リセットスタンプ」が存在しなくなったことも増加に繋がっていそうです。超タイプが弱点の「れんげきウーラオスVMAX」は握りづらい環境であり、減少するのも納得の結果です。

今回、レギュレーション変更を挟み、新たなデッキタイプも多く誕生しました。引き続き、次回のクリスタル/エメラルドブロックでも流行の変化をウォッチしていきたいと思います。(執筆:ぐうぐるい)

集計時のデッキ定義について

データを見る際の注意点としてデッキ定義の説明をさせて頂きます。
少し細かい話なので、気にならない方は読み飛ばして次の項へ進んで頂ければと思います。

■アルセウスVSTARを含むデッキ定義について
今回は下記①②の両方に該当するものを「アルセウスVSTAR(メインアタッカー)」として集計しています。
 ①アルセウスVSTARを3枚以上含む
 ②アルセウスVSTAR以外のデッキ定義に引っかからない


■実際のデッキ定義の例
本集計/分析では下図のように各デッキに含まれるポケモンの枚数を元にデッキ定義を行ない、自動分類/集計を行なっています。

例えば「アルセウスVSTAR」を含むデッキが幾つかあった時、上記のデッキ定義に沿って、以下のようなパターンでデッキが分類/集計されます。

パターンA.アルセウス3枚、白馬1枚の場合
⇒白馬1枚以上含むデッキは「はくばバドレックス」のデッキ定義に引っかかる為、「はくばバドレックスVMAX」として集計

パターンB.アルセウス3枚、ヨクバリス1枚の場合
⇒ヨクバリスの枚数によるデッキ定義はなく、「アルセウス」のデッキ定義には引っかかる為「アルセウスVSTAR(メインアタッカー)」として集計

パターンC.アルセウス2枚、ヨクバリス1枚の場合
⇒どのデッキ定義にも引っかからない為、未定義デッキ(その他)として集計

上記のデッキ定義により、アルセウスVSTARが採用されていても他のデッキタイプとして集計される場合があります。ご了承ください。
その他、集計方法に関する注意事項は前回記事を参照頂ければと思います。


注目デッキの構築分析

非常に多くのデッキが活躍したルビー/サファイアブロックですが、本項では特に注目度の高いデッキを構築単位で分析していきます。

1.ミュウVMAX

■分析対象

■サブタイプ分類結果
上記、「分析対象」を構築のタイプ(型)毎に分類した際の割合です。

「アルセウスVSTAR」を採用した「アルセウス型」が1件ありましたが、ほぼ「フュージョン型」ですね。それだけパワーが高く、安定したデッキタイプと言えます。


■平均化デッキ
「分析対象」に挙げた36デッキを平均化したデッキレシピを掲載します。
フュージョン型がほとんどを占めていることもあり、綺麗な構築です。

デッキコード[dbFVkF-UX4C8l-wkk5FV]

■注目カードの採用率

・ネオラントV
特性「ルミナスサイン」でサポートカードを選んで持ってきます。強力な効果ですがベンチを埋めることで「フュージョンシステム」を邪魔してしまう為、採用率は50%と意見が真っ二つに分かれました。
後述の優勝デッキでも話題に挙がるので併せてチェックしてみてください。

・バケッチャ
特性「かぼちゃのあな」でスタジアムをトラッシュします。「霧の水晶」等で手札に加えることが出来、「頂きへの雪道」への対策として便利な一方、「リセットホール」の「マーシャドー」とは異なりベンチを埋めてしまいます。採用率は16.67%と低め。

・ダブルターボエネルギー
これ1枚で「クロスフュージョン」を撃つことが出来、86.11%とかなり高い採用率でした。いざという時の保険として1~2枚採用が多いようです。

■スタジアムの採用率
「ミュウVMAX」における代表的なスタジアムである「混沌のうねり」がレギュレーション変更で使えなくなってしまった為、スタジアムは何を採用することが多いのか調べてみました。

「トレーニングコート」が採用率91.67%とダントツでした。コストでトラッシュしたエネルギーを「フュージョンシステム」後に回収出来る為、相性も抜群です。次点で「ローズタワー」、「いにしえの墓地」とそれぞれ50%近い採用率。

4番目の「崩れたスタジアム」ですが、採用された13デッキを確認するとどのデッキも「ネオラントV」「アルセウスVSTAR」「バケッチャ」のいずれかが採用されていました。
相手の妨害だけでなく「フュージョンシステム」を阻害するポケモンをトラッシュする役割も兼ねていそうです。


■前ブロック構築との比較
前ブロックから、構築はどのように変更しているのでしょうか。
前回、構築で採用枚数の意見が割れたカードを比較してみました。

前ブロックと比較した採用率/平均枚数の増減を矢印で表しています。

・メロエッタ
採用率は100%と変わりませんが、平均枚数は1.97枚と2枚積みがスタンダードになりつつあります。

・コオリッポ
低かった採用率は更に減りました。平均採用枚数は1枚と変わらず。

・ウッウロボ
20%以上採用率が増加しています。評価が分かれていましたが、やはり採用するべきという結論?

・バトルVIPパス
なんと採用率が100%に!
コストに最適な為、ウッウロボの採用率増加も起因していそうです。

・スマホロトム
こちらも20%以上採用率増加。平均枚数は少し下がりました。

2.はくばバドレックスVMAX

■分析対象

冒頭でデッキ定義について説明を差し上げた通り「アルセウスVSTAR」が採用されたデッキにおいても、上記定義に当てはまるものは「はくばバドレックスVMAX」デッキとして扱います。

■サブタイプ分類結果
サブタイプの組み合わせが非常に複雑でしたが下図のように分類しました。
「スイクンV」を採用していても「アルセウスVSTAR」が入っているデッキは「アルセウス型」としています。

「アルセウス型」が最も多く60%を占め、従来のメジャーな型である「はくばスイクン」が続きます。少数ではありますが、特性「やりくり」の「チラチーノ」を採用した型や、「はくばバドレックスVMAX」単騎で戦う型もありました。非常に拡張性の高いデッキと言えるでしょう。

■平均化デッキ
上記20デッキを平均化したデッキです。
アルセウス型の色が強い構築となりました。

デッキコード[Vk5fkb-MjQye5-kfVwFV]

■注目カードの採用率

・クロバットV/ネオラントV
「クロバットV」の採用率が55%と「ネオラントV」を上回っています。
「うらこうさく」でサポートを手札に加えることが出来る為、水タイプの恩恵を考慮しても「ネオラントV」を採用する意義が薄いと予想が出来ます。

・クロススイッチャー
4割とそこそこの採用率であり、警戒が必要そうです。
平均採用枚数が3.5枚となっているのは2枚採用のデッキが2件ありました。

・ダンデ
なんと半分ものデッキで採用がされています。
「こだわりベルト」「クイックシューター」と合わせて「ダイランス」が330ダメージに届くのは強力ですね。

・チェレンの気くばり
「アルセウスVSTAR」が入ったデッキでも採用率は10%とかなり低いです。

・崩れたスタジアム
採用率50%。自身のベンチも狭めてしまう為、使いどころが難しいか。

・頂きへの雪道
安定の採用率100%。採用枚数は様々ですが、平均すると2枚という結果に。
「スターバース」で手札に加え、相手の「スターバース」を封じるという荒業も。

・ダブルターボエネルギー
採用率70%。「アルセウス型」のデッキ全てにおいて採用されていることを指しています。

3.アルセウスVSTARガラルファイヤーV

■分析対象

「ガラルファイヤーV」をはじめとした各種Vポケモンで構成される「バレット型デッキ」も本項で取り扱います。
定義はかなり悩みましたが「アルセウスVSTAR」を2枚以上含み「ガラルファイヤーV」を1枚以上含むことにしています。またアルセウス型の「カラマネロVMAX」を集計しないよう、定義からは除外しています。

■サブタイプ分類結果
上記11デッキをサブアタッカーの採用タイプ毎に分類してみました。
どのようなサブアタッカーが採用されたのかは後ほどご紹介します。

組み合わせとしては「悪+闘」を含むものが最も多く全体の54.6%を占め、そのうちの2/3に鋼タイプのサブアタッカーが採用されています。
それぞれ、悪タイプ⇒「ミュウVMAX」、闘タイプ⇒「アルセウスVSTAR」、鋼タイプ⇒「はくばバドレックスVMAX」と流行しているデッキに弱点を突けることを見込んで採用されたものと予想出来ます。

■平均化デッキ
上記11デッキを平均化したデッキです。
綺麗に60枚にならなかった為、手動で調整を行なっています。
また平均化の都合上、鋼タイプのアタッカーが含まれていないにも関わらず「基本鋼エネルギー」が含まれるという構築になっていますが、ご了承ください。

デッキコード[yMyyE2-umXY1H-ppMXpM]

■サブアタッカー採用率

・ガラルファイヤーV
定義に含まれているので採用率は当然100%。2枚採用が多いようです。

・ガラルサンダーV
半分以上のデッキで採用がされています。やはりメインの仮想敵は「アルセウスVSTAR」でしょう。

・フーパV
悪弱点、超弱点と広い範囲を見れる為か、意外にも採用率が高かったです。
「アルセウスVSTAR」のおかげでネックだったエネルギーの装填も安定するようになりました。

・フーパ(アサルトゲート)
相手が取れるサイド数をずらしつつ、細かいダメージを与えます。

・ガラルファイヤー(じゃあくチャージ)
サイドを取られるほどダメージが上がり終盤に輝きます。フーパと同様に相手のサイドプランを崩しつつ、大ダメージが見込むことが出来ます。

・ザマゼンタV(おうじゃのかまえ)
平均レシピでは漏れてしまいましたが、36.6%とそこそこの採用率。サイドを2枚取られた後の「リベンジバースト」では弱点込みで「はくばバドレックスVMAX」を気絶させることも可能です。
手札をリセットする特性も強力ながら、「ダブルターボエネルギー」対応なのもポイント。

・クワガノンV
「うらこうさく」を主体とするデッキや非ルールポケモンには無類の強さを誇ります。エネルギーの確保が難しいことから採用率は27.27%に落ち着きました。

■その他のサブアタッカー
それぞれ1枚ずつの採用だったものです。個別のコメントは控えますが、今後の環境に合わせてこれらサブアタッカーを取捨選択出来るのがこのデッキの強みと言えるでしょう。

■注目カードの採用率

・ネオラントV
任意のサポートを手札に加えることが出来る為、採用率100%とかなり重宝されています。平均採用枚数は1.27枚と2枚以上採用のデッキも見られます。

・エネルギーつけかえ
「じゃえんのつばさ」との組み合わせで奇襲を仕掛けることが可能です。
採用率100%、平均採用枚数は2.27枚でした。

・こだわりベルト
「オーラバーン」が220ダメージとなる他、足りない打点を底上げしてくれます。安定の100%採用2枚積み。

・崩れたスタジアム
90.91%と高い採用率です。ベンチは狭くなりますが、負け筋となる「ネオラントV」をトラッシュしたりと使い勝手は良さそうです。

・チェレンの気くばり
63.64%、平均枚数2枚とかなりの採用率。「ネオラントV」によって任意のタイミングで手札に加えることも出来、警戒すべき1枚です。

・メタモンV
トラッシュされたポケモンVと入れ替えることが出来ます。
「アルセウスV」が倒された時のケアとしても優秀。平均採用枚数は1枚。

・タフネスマント
採用率は36.36%と低めでした。「こだわりベルト」によって全体的にダメージが底上げされる環境では、耐久に寄せるよりこちらも「こだわりベルト」でダメージを上げるほうが良いのかも。

・マリィのプライド
今回採用されたのは1デッキのみでしたが、能動的に使えるエネルギーの補填手段として一考の余地がありそうです。

4.ジュラルドンVMAX

■分析対象

「アルセウスVSTAR」が採用されたデッキにおいても、上記定義に当てはまるものは「ジュラルドンバドレックスVMAX」デッキとして扱います。
また今回、「ガラルファイヤーV」と「ジュラルドンVMAX」の両方が採用されたデッキがありましたが、「アルセウスVSTARガラルファイヤーV」へ分類しています。

■サブタイプ分類結果
上記9デッキの分類を行なった結果です。

「アルセウスVSTAR」によって一気にエネルギーを揃える「アルセウス型」が8件。残る1件はなんと「メタルトランス」と「いちげきのほうこう」の両方を採用した「ドータクン&いちげき型」でした。


■平均化デッキ
上記11デッキを平均化したデッキです。
綺麗に60枚にならなかった為、手動で調整を行なっています。

デッキコード[8D8Gcx-Py1c3J-888xJc]

■注目カードの採用率

・すごいきずぐすり
「ダブルターボエネルギー」とも相性の良いカード。
66.67%と2/3のデッキで採用されています。平均枚数は2.17枚。

・ともだちてちょう
半分以上のデッキで採用。確認すると「カリンの信念」が入っているデッキにはもれなく採用されていました。

・バトルVIPパス
序盤の展開は強力ですがベンチを絞るデッキの為、少し採用しづらいか。
採用率22.22%で平均採用枚数は3.5枚。

・クラッシュハンマー
相手のテンポを崩すための妨害カード。
今回、9デッキ中2デッキがクラッシュハンマー採用のものでした。

・チェレンの気くばり
「アルセウスVSTAR」を回収して、相手に「ジュラルドンVMAX」を倒すプランを押し付けるカード。採用率は22.22%と低め。

・セイボリー
自分の手札を増やしつつ相手のベンチを減らす妨害カード。こちらも採用率22.22%と低め。

・マスタード いちげきのかた
33.33%と1/3のデッキで採用。「ジュラルドンVMAX」を直接山札から出せる為、「ジュラルドンV」が進化する前に倒されるリスクを減らせます。

・カリンの信念
相手がサイドを5枚とった状態であれば、「キョダイフンサイ」によって文字通りいちげきでVMAXを気絶させることも可能です。採用率33.33%。

5.ガラルファイヤー

■分析対象

特性「じゃあくチャージ」を持つ「ガラルファイヤー」を主としたデッキを対象にしています。「ガラルファイヤー」を2枚以上含む他、特性「うらこうさく」を持つ「ジメレオン」を2枚以上含むことを定義に加えています。

サファイアブロックにおいて準優勝を果たした、しょうさんが「ガラルファイヤー」と「ガラルフリーザー」を組み合わせたデッキを使用しましたが、上記定義に該当する為、「ガラルファイヤー」デッキとして取り扱います。

■サブタイプ分類結果
上記6デッキを分類した結果です。

「ガラルマタドガス」を採用した「ドガスファイヤー」が5/6を占め、残る1デッキは前述の「ガラルファイヤー」と「ガラルフリーザー」を組み合わせたデッキでした。

■平均化デッキ
綺麗に60枚にならなかった為、手動で調整を行なっています。
また平均化の都合上、超タイプのアタッカーが含まれていないにも関わらず「基本超エネルギー」が含まれるという構築になっていますが、ご了承ください。

デッキコード[VVVkbk-fwHfat-FF5dVk]

■注目カードの採用率

・ガラルサンダーV
Vポケモンながら、相手の盤面次第では非常にエネルギーのパフォーマンスが良いポケモン。50%と採用率は割れました。

・ヤミラミV
破格のダメージ倍率を持つポケモンですが、サイドを2枚取られるのを嫌ってか採用されたデッキは1/3のみでした。平均枚数は2枚。

・カプ・コケコ/ポワルン(ゆきぐものすがた)/ポワルン(あまみずのすがた)
それぞれ逃げるエネルギーが0であり、「フーパ」「ガラルファイヤー」の動きを補助する役割として各デッキに1枚採用されています。
HPの高い「カプ・コケコ」が6割とずば抜けて採用率が高いですが、「ポワルン」も「インテレオン」等と水エネルギーを共有出来る為、明確な強みを持っています。(水エネルギー入っていないデッキにもいました。好み?)

・こだわりベルト
意外にも採用率は低く、33.33%。「バッドポイズン」や「クイックシューター」を絡めることで十分ダメージは足りるのかもしれません。

・クララ
採用率100%かつ、平均採用枚数2枚でした。
「ガラルファイヤー」とは特に相性が良く、このデッキに欠かせない1枚といったところでしょうか。

以上で注目デッキの構築分析を終わります。(執筆:ぐうぐるい)

メタカード採用率の変化

本項では集計対象の170デッキから、メタカードの採用率を紹介します。
またせっかくなので前ブロックからの採用率を比較し、増減の変化を追ってみました。
尚、集計に使用しているデータは大会当日12時時点のデータとなり、以降に提出されたデッキは反映されておりませんのでご注意ください。

比較すると全体的にメタカードの採用率が下がっていることが分かります。

例えばベンチへのダメージを防ぐ特性を持った「ミュウ(ベンチバリア)」、「マナフィ(なみのヴェール)」は今回「れんげきウーラオスVMAX」の数が減っている為、採用は必須ではないという考え方が出来ます。
ただその考え方では「ミュウVMAX」をはじめとする「特殊エネルギー」のメタが減少している説明が出来ません。

理由は幾つか考えられますが、冒頭のデッキ増減と照らし合わせると「ミュウVMAX」や「カラマネロ」といった、メタカードを採用するより自分の展開を優先するデッキの数が増えていることが挙げられます。
メタるよりメタられる側に回るといった感じですね。

また、「ガラルファイヤー」や「ジュラルドンVMAX」などメタカードだけでなくデッキ単位で対策を狙うデッキも目立ち始めました。

今回は「ミュウVMAX」と「はくばバドレックスVMAX」というシェア数の多いデッキがそれぞれ優勝を勝ち取りましたが、今後これらのデッキにどのような対策がなされるのか気になるところです。
次回、クリスタルエメラルドブロックも楽しみにしております。(執筆:ぐうぐるい)

成績別デッキ分布の分析

本項では予選のデッキ分布を成績と関連づけて見ていきます。
予選ダイアモンド/パールブロックの分析記事と同様に、大会全体を通した"勝ち組"デッキを探っていきましょう。

1.グラフの見方

(1) 横軸 ⇒ 予選終了時の「勝ち数」
(2) 棒グラフ ⇒ 各デッキのシェア(%)

横軸に記載した成績のプレイヤーを対象にして、使用デッキのシェアを棒グラフに表示しています。
例えば「3勝以上」では、最終成績が3~6勝のプレイヤーが89人いて、そのうち26%(23人)がミュウVMAXを使用したことを示しています。

左端の全体シェアと比べて、高い勝ち数のシェアが上がった場合、他のデッキよりも勝率が高かったと言えます。
ただし勝ち数が高いほどサンプル数が少なくなるため、統計の精度が下がる点に注意してください。

なお、集計するデッキ数などの注意点はデッキ分布の資料と同一です。

2.ミュウVMAX

誰に聞いてもTier1と答えるであろうミュウVMAXは、下馬評通りにRSブロックでも最大勢力となりました。
更に更に、1勝から5勝まで勝ち数帯が上がるほどシェアを伸ばしています。恐るべき強さですね。

ガラル ファイヤーを始めとした悪タイプや、ジュラルドンVMAXなど対抗デッキが多いにもかかわらず、圧倒的な強さを見せつけました。
ミュウVMAXは、間違いなく勝ち組デッキと言えそうです。

3.はくばバドレックスVMAX

予選RSブロックのシェア第2位ははくばバドレックスVMAXでした。冒頭の説明の通り、アルセウスVSTAR入りのものを含みます。
またご存知の通りサファイアブロックの優勝デッキでもあります。

勝ち数帯別のシェアを見てみると、全体で12%対して5勝帯までずっと12%前後を維持しています。
大成功とは言えないまでも、堅実で確実なデッキ選択だったと言えるでしょう。

4.ガラル ファイヤー

注目デッキとして、特性「じゃあくチャージ」を持つガラル ファイヤーのデッキを取り上げます。
デッキ分類の定義は「ガラル ファイヤー」+「ジメレオン」のデッキとなっています。平均化デッキの紹介でポケモンの構成に触れていますので、併せてお読みください。

ガラル ファイヤーのデッキは全体シェアは4%と、決して多数派ではありません。
しかし勝ち数帯が上がるほどシェアを伸ばしていき、全勝の半分をこのデッキが占める大活躍でした。
今大会で、最も成功したデッキと言えるのではないでしょうか?

ガラル ファイヤーのデッキタイプは構成ポケモンが定まっていない印象があり、シティリーグの進捗と共にブラッシュアップが進んでいくものと考えられます。

以上でデッキ分布と成績の分析を終わります。(執筆:みれ)

優勝デッキを平均化リストと徹底比較

このセクションでは、ルビーブロック優勝のミュウVMAX、およびサファイアブロック優勝のはくばバドレックスVMAXを徹底検証していきます。
優勝デッキはどこがすごいのか、それぞれの標準的なデッキリストと比較することで見えてくると思いませんか?

比較対象の平均化デッキは前出と同じですので、併せてお読みください。

1.ミュウVMAX (ルビーブロック優勝)

(1)コオリッポ
まず目を惹くのはコオリッポの採用です。代わりに、という表現が適切かわかりませんが、オドリドリが不採用なことも特徴的でしょうか。
ベンチ攻撃のコオリッポに対して、ダメージ軽減のオドリドリ。コルトさんのデッキはより攻撃的な構成で、功を奏したと言えそうです。

余談ですが、ミュウVMAXデッキにおけるオドリドリの採用率は89%、コオリッポは11%です。二者択一に見えますが、実際は両方採用のデッキ、どちらも採用しないデッキがあり、「コオリッポのみ採用」はコルトさんお一人でした。

(2)フュージョンでないポケモンは未採用
平均化リストに存在するネオラントVですが、コルトさんのデッキには採用されていません。
序盤のカミツレのきらめきはもちろん、中終盤のダンデ(後述)のサーチのためにも入れたくなりそうですが、初手でスタートするなどのデメリットの方を重く見たのでしょうか。

(3)ダンデ
このデッキの最大の特徴が、1枚投入されたダンデでしょう。
36デッキあるミュウVMAXのうちダンデ採用は2デッキのみですが、もう一人の方も予選ベスト16で決勝トーナメントへ進出しています。

パワータブレット、こだわりベルトと合わせて7枚目の加点カードとなり、VMAXポケモンの一撃KOに貢献してきたと想像できます。youtubeにて中継された決勝トーナメント第2戦においても、メロエッタの210 + こだわりベルト + パワータブレット*2 + ダンデでミュウVMAXを倒す場面がありました(7:13:00頃)。

2.はくばバドレックスVMAX (サファイアブロック優勝)

サファイアブロック優勝はでぃーどのさんのアルセウスVSTARとはくばバドレックスVMAXのデッキでした。アルセウスVSTARの方がはくばより枚数多いですが、冒頭で説明した定義に沿ってはくばバドレックスに分類しています。

比較対象の平均化はくばバドレックスVMAXは前述と同じですので、注意点を踏まえてご覧ください。

それでは、気になる部分をピックアップして行きましょう。

(1)厚いアルセウスVSTAR
アルセウスVSTARが3:3と、厚く採用されています。
平均化デッキは2:2、アルセウス採用デッキに限った平均を見てもVSTARが2.2枚、進化前が2.6枚なので、標準よりもアルセウスVSTARに寄せたデッキということができるでしょう。

また、ダブルターボエネルギーも3枚と厚く採用されています。確実に進化して、確実に「トリニティノヴァ」を決める、強い意志を感じます。

(2)主要3ポケモン以外は採用しない
平均化リストのクロバットVやスイクンVのような、脇役のポケモンが採用されていません。
これらのポケモンはアルセウスVSTARなどから簡単に倒されてしまいますし、メリットよりリスクの方が高いと判断したのでしょうか?

ダイアモンド/パールブロックまでのはくばバドレックスVMAX/インテレオンのデッキは、クロバットV(デデンネGX)の採用が普通でした。
サーチ主体のインテレオンでは手札枚数が不足する場面があるせいですが、アルセウスVSTAR入りのデッキでは「トリニティノヴァ」と「スターバース」でリソースが増えるためか、重要性が低下したのでしょう。

なお、今大会のはくばバドレックスVMAXのデッキにおけるクロバットVの採用率は55%で、全体傾向としても前シーズンより未採用が増えているようです。

(3)ポケモンサーチの枚数
クイックボール、しんかのおこう、レベルボール、ハイパーボールの合計が11枚と、平均化リストの10枚よりやや多めです。
その分他のグッズのスペースが減ってしまいますが、毎試合確実に同じ動きをしようという方針が見えてきます。

以上で優勝デッキと平均の比較を終わります。
優勝者のお二人とも、よく考えられた素晴らしいデッキで臨まれたと改めて実感できたと思います。(執筆:みれ)

次回は2/6(日)のクリスタル・エメラルドブロックとなります。
リーフィアVSTAR・グレイシアVSTARが参戦した環境。
次回も同様に分析していきます。
ご期待ください!

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