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【アニスカ!チャンコミックス!】第三弾全曲解説

4月に入って段々と陽気も良くなり、一年で最も屋外が気持ちよい季節になってきましたが、今年は残念ながら桜も観れなかったという方も多いと思います。私も、音楽を中心としたエンターテインメントを楽しむための機材や道具を作り続けてそろそろ30年近く経ち、来月で52歳になりますが、こんな状況はちょっと記憶に無いですね。皆様も自粛生活にそろそろ飽き飽きしているとは思いますが、自宅でも窓を開けて、いい音楽をちょっとだけボリューム上げてテンション上げてこの世界的困難をともに乗り越えていきましょう。こんな時だからこそ、音楽の楽しさをより深く知るいい機会になりますよ。


さて、そんな状況でも私は普段と変わらぬテンションで定期的にMIXを作って参りますが、今回は、近年アニソンレゲエと共に収集がほぼライフワーク化してるSKAアレンジのアニソンだけを集めたMIXになります。

今回で第三弾。トータルで使用した楽曲全97曲。前回作ったのが2018年の9月に行ったイベント「外苑前交差点」での選曲が元になってるので、随分と久々になりますね。今回は、2000年から今年発売された曲まで、比較的新しめの選曲となってます。アニソンレゲエに比べSKAアニソンは沢山ありますが、これはアニソンに限らず、SKAというフォーマットの有用性を物語ってます。70~80年代のロックやパンクへの影響を鑑みれば明白ですが、ミニマルな跳ねたリズムに、相性の良いブラスを多用してテンションが上げやすく華を持たせやすいので、アニソンにおいても画面を盛り上げるのに役立ちますし、単体で聴いてもかけでも踊りやすいですね。しかし100曲も掘るといい加減枯渇してきた感があるので、第4弾以降の為にも引き続き今後のリリースに期待します。

こういう特定のジャンルを収集し始めるには切っ掛けとなる曲が必ずあったりします。勿論それ以前からスカアレンジのアニソンは存在し、所有もしてたりするんですが、本格的に「集めよう」「MIX作ろう」と思い至るトリガーになった曲という意味では、ClariSの2017年のシングル、アニメ「エロマンガ先生」OP「ヒトリゴト」ですね。

それまでも真綾さんの達郎カバー「Down Town」や、キテレツの「すいみん不足」、まる子ちゃんの「走れ正直者」等、大好きなスカアニソンは色々あったんですが、なんとなく「こういうスカアレンジのアニソン最高だな…」と少しずつ積み重なった思いと楽曲が、このヒトリゴトで弾けました。それくらいその年のアニソンの中では群を抜いて好きでしたね。それから狂ったように集めて気付けば100枚超笑。

同様に、アニソンレゲエを集めるきっかけになったのは、カードキャプターさくらの木之本桜(丹下桜)のキャラソン「春宵情歌 (Sweet Lovers Rock Mix)」です。ちょっと入手性は悪いですが、名曲なので入手をお勧めしときます。以前作ったアニソンレゲエMIX Vol.2に入れてますので良ければお聴きください。

ああ、また例によって前置きが長くて申し訳ない。ここから今回のアニスカMIX第三弾の全楽曲を解説していきます。

1:ナナのラブソング / 網掛裕美 (2000)

開幕は少し肩透かし気味にアイズレーで始めてみました笑。からの、1曲目はアニメ「サイボーグクロちゃん」の挿入歌(第44話のみのED)です。ガチのレゲエシンガーLady Qがプロデュースした、まごう事なきスカアニソン。アニソンレゲエMIXを作った時に情報を頂いたこのサイボーグクロちゃんというアニメのサントラ、この曲だけじゃなく、OPやEDに至るまでLady Qが関わり、そこかしこにジャマイカンテイストが溢れていて、私のコレクションの象徴のような一枚になっております。2000年発売なのでこれも入手性が良くありませんが、サントラ「サイボーグクロちゃん:最強打ちまくり音楽大図鑑 TV」に収録されております。他にもレゲエアレンジの名曲が色々入ってるので、是非入手をお勧めします。

2:きゅんっ!ヴァンパイアガール (M@STER VERSION) / 星井美希(CV:長谷川明子) (2011)

続いて、最早プロデューサーさんには説明不要かと思いますが、アイドルマスター2に収録の名曲を2曲目に入れました。CDになったのは2012年が最初でしょうか?色んな人が歌ってますが、個人的に一番好きな星井美希のソロバージョンを選びました。しかしこの曲が収録されたシリーズ、「生っすかSPECIAL」は、その年のレコード大賞の企画賞を受賞してたり、既にメジャーと言っていいコンテンツになっていたにも関わらず、アレンジも歌詞も、今聴いても中々攻めたものになってて素晴らしいです。


3:太陽曰く燃えよカオス / 後ろから這いより隊G (2012)

これも今や説明不要かと思いますが、畑亜紀×田中秀和のタッグによる、アニメ『這いよれ! ニャル子さん』OPです。私が田中秀和を神と崇めるw切っ掛けとなった曲でもあります。展開といいアレンジといい歌詞といい、いい意味で色々と狂っております。MONACA楽曲も結構SKA風味のアレンジを使うことが多いですが、これは恐らく神前さんの初期の作風とも少し関係があるのかなと思ったりします。いわゆる電波楽曲には、そのテンションの高さゆえか、裏カッティングを多用したものが結構あり、結果的にSKAっぽくなってる曲が少なくないです。この辺は後述します。

4:モバイルバッテリー / Mia REGINA (2019)

アイカツ!から派生したユニット、Mia REGINAによるTVアニメ「可愛ければ変態でも好きになってくれますか?」ED「無謬の花」のカップリング曲です。上の動画は表題の無謬の花ですが、正直カップリングのモバイルバッテリーが良すぎて、表題曲を全く聴いてません笑。曲とアレンジは信頼のeyelis増田武史さん。「瞳からスノー」を始め「神のみぞ知るセカイ」の一連の楽曲や、最近だと早見沙織「夢の果てまで」も手掛けられてます。しかしミアレジは何でサブスクやらないのだろうか…こういうシングルのカップリングのいい曲を紹介する術を作って欲しいのですが。

5:ギザギザハートの子守唄 / 上賀茂潤(CV:小見川千明) (2009)

テレビアニメ「夏のあらし!~春夏冬中~」のキャラソンです。言わずと知れたチェッカーズのデビュー曲ですね。収録されてるキャラソンアルバム(ジャケはセーラー服と機関銃)には、この曲以外にも生天目さんが八神純子(上手過ぎ)、堀江さんがCCB、安元さんが西城秀樹など、出演の声優さん達が様々な昭和歌謡を歌ってて中々に楽しいです。また音も意識してるのか、アナログ時代のような質感とMIXで実に心地よい。買って損のないアルバムです。

このアニメ、恥ずかしながら全く知らなかったのですが、各話タイトルからOP映像から挿入歌から、昭和歌謡を全面的に押し出してて、特にYouTubeに上がってたOPで使われてる数々の歌謡曲ジャケの元ネタとの比較映像を観て、「これは観なきゃいかんやつだ…」と思いました。

「かっこいいスキヤキ~夜行」の辺りを当時知らずに観ていたら悶絶しただろうなぁ…画もOP曲もやけにセンスいいなと思ったら、新房昭之監督と面影ラッキーホールでした。Amazonプライムで観れそうなので早速観てみます。


6:Infinity Sky / 小松未可子 (2012)

小松さんのデビューEP「Cosmic EXPO」に収録の素晴らしいスカアレンジ楽曲。以前アニソンレゲエMIXにこの曲のRemixを入れましたが、やはり原曲の魅力は格別です。作編曲はなんとJames Panda Jr.氏だったのですね。当時藤岡みなみさんとPanda1/2というユニットをやってて、内容は渋谷系というか、ほぼオザケンコピーという感じなんですけど、藤岡さんの歌唱の魅力をしっかり引き出してて結構好きだったんですよね(興味あれば検索してみて下さい)。他にも小松さんの楽曲を多く手掛けられてて、まさか小松さんとPanda氏がそんなに関係が深いとは思いませんでした。全くアニソンというのは面白いです。

小松さんはこの年の初めに声優デビューして、同アニメでキャラソンを歌って歌手デビューしてるんですね。そして半年後にこのEPでCDデビュー。いかに当時期待されてたかが分かります。この曲の他に、4thアルバムでも「Happy taleはランチの後で」という素晴らしいスカ楽曲をやられてて、今後も是非1枚に1曲はスカ曲をやって欲しいものです。

7:Hop? Stop? Nonstop! / Aqours (2019)

映画「ラブライブ!サンシャイン!!The School Idol Movie Over the Rainbow」 挿入歌です。映画を観てないので分かりませんが、μ'sの「?←HEARTBEAT」や「Hello,星を数えて」等のように、ミュージカル形式で挿入された曲と想像します。この曲がSKAか?と問われると少し苦しい気もしますが笑、一応ホーンも僅かに入ってますし、メロがちょっと聞いたことない感じで好きなんですよね。作曲の岡嶋かな多さんは、アニソンよりもアイドルやR&B系のアーティストの曲を多く手掛けられてます。しかし、Aqoursのメンバーも続々とソロデビューしてますが、キングさんはまだですかねぇ…随分と待ってるんですが。

8:笑顔のランデヴー (10th Anniversary Remix) / 服部静夏(内田彩) (2019)

「ストライクウィッチーズ 劇場版」の挿入歌で、初出は2013年の「ストライクウィッチーズ劇場版 秘め歌コレクション4」に収録されておりますが、今回はStrike Witches and Brave Witches 45 Songs (Re-Mix and Re-Arrange) DISC2に収録されてるRemixを使いました。どちらもしっかりSKAしております。この曲で特筆すべきは、やはり内田彩さんの歌唱ではないでしょうか。同時期にμ'sで南ことりちゃんをやられてたとは思えない迫力のある歌いっぷりに、最初は同姓同名の別人かと思いました。内田さんのキャラソンライブでも度々演られてるようなので、ご本人も気に入られれてるんでしょうね。私も内田さんのキャラソンでは告白日和、Stray Sheep Story、BEAUTIFUL=SENTENCEに並んでお気に入りの一曲です。

9:PARADOX / 雨宮天 (2020)

今回の収録曲では最も新しい今年の1月に発売された雨宮さん10枚目のシングルです。TVアニメ『理系が恋に落ちたので証明してみた。』のOPですね。公式も「スカアレンジ」という言葉を宣伝に使うくらいにはSKAです笑。作編曲のトミタカズキさんは知らない方でしたが、最近和氣あず未さんのデビューシングル「シトラス」でも名前を見かけたので、これから活躍される方でしょう。しかし雨宮さんのソロ活動の方向転換っぷりというか、「こんなのも出来るんやで!」感が半端ないですね笑。すっかり峰不二子みたくなっていくのかと思いきや、一転して可愛い路線。ツンからデレまでのダイナミックレンジが広い笑。ファンはそういうところにヤラれちゃうんでしょうね。私?勿論ヤラれております。

10:Smiley Contrast / ハツネ (CV: 大橋彩香)、シオリ (CV: 小清水亜美) (2018)

スマフォゲーム「プリンセスコネクト!Re:Dive」挿入歌です。このゲーム関連の楽曲もたくさんありますが、中々の佳曲が多いですね。作家陣も豪華。この曲は単に1エピソードの為の挿入歌らしいのですが、それでも作編曲を担当したのは説明不要の渡部チェルさん。「めざせポケモンマスター」やら「Butter-Fly」など名曲を数多く手掛ける彼らしい、エモいBメロ→サビへの突き抜ける高揚感がたまりません。

11:ゲキテキ!ムテキ!恋したい! / レオ [島原エレナ (CV.角元明日香), 中谷 育 (CV.原嶋あかり), ロコ (CV.中村温姫)] (2015)

続いてミリオンライブ!から1曲。藤本記子&福富雅之ご夫婦のプロデュース。ミリシタ関係やプリキュア関係楽曲を多く手掛けられてます。誤解されると困るのですが、2016年のリリースなのに、歌唱もアレンジも、いい意味でどことなくアイマス初期のような垢抜けなさ、野暮ったさがありますよね。勿論私はその頃まだこのコンテンツの楽曲をちゃんとチェックしてませんでしたが、エージェント夜を往く(とかちつくちて)、Go My Way!(ごまえー)などのニコニコでの人気はリアルタイムで見てたので、その頃の古き良きいなたさと中毒性をこの曲にも感じて、今回選曲した大きな理由の一つになってます。

12:初恋メロンKiss / 杏花 (2013)

(↑公式のデモムービーですが、閲覧注意)

PCゲーム「その花びらにくちづけを」の主題歌です。そう、いわゆるエロゲですね。今回はとうとうエロゲ楽曲に手を出して他にも幾つか入れてますが、思った以上に良曲は多いし、一般的なアニソンでメジャーな方も結構歌われてたりして、かなり掘りがいのある山だと思います。が…いかんせんその素性から入手性があまり良くない。当然一般の配信サイトには無いし、フィジカルもイベントやコミケ等に行かないと手に入らないものが多い。このCDも通販で何とか手に入れましたが、可能な限り良い曲は集めたいので、この辺に明るい方は、こっそりDM等で是非情報をお寄せ下さい笑。

13:ステキ∞ / MAHO堂 (2004)

https://www.youtube.com/watch?v=pT7hVuzylxI

OVA「おジャ魔女どれみナ・イ・ショ」EDです。やっとこの曲をMIXに入れられて感無量でございます。この絶妙なSKAアレンジを担当した川本盛文さんは存じ上げない方でしたが、少し調べたところ、主にDreamやBoAなどAvex系アーティストに曲を提供されてる方で、アニソンでは「Get Backers」OP田村直美さんの「揺らぐことない愛」や、テニプリ跡部圭吾の国生さゆり「バレンタイン・キッス」カバーなど手掛けられてますね。それぞれ全く毛色の違うアレンジをされてるので、まさに職人という感じがします。

14:Happy New Yeah! (M@STER VERSION) / 島村卯月 (CV: 大橋彩香)、渋谷凛 (CV: 福原綾香)、本田未央 (CV: 原紗友里)、佐藤心 (CV: 花守ゆみり)、三村かな子 (CV: 大坪由佳) (2019)

デレマスからはこの曲を選びました。ライブでも映えそうな、一聴して印象に残るサビメロとアレンジですね。作曲の高取ヒデアキさんと編曲の籠島裕昌さんは良くコンビを組んで、プリキュアや戦隊ものに多くの曲提供されてるようですね。アイマス関連ではこれまで名前を聞いた事が無かったですが、見事にアイマスらしいキュートでポジティブな楽曲に仕上がってます。

15:七つの海よりキミの海 / 上坂すみれ (2013)

上坂すみれさんの記念すべきデビューシングルをここでブッコみますよっと。私もここ数年でかなりのアニソンを聴いてきて、大抵の楽曲では驚かなくなってきてますが、これには度肝抜かれましたね。しかもデビューでこれをやっちゃいますかね笑。MONACA神前さんのキレたコード進行とアレンジ、田辺トシノさんの狂ったベースリフ、そしてこの鳥肌実かっつーPVに至るまで、勿論上坂さんの趣味を十分以上に反映した上でやられてるとは思いますが、それにしてもこの自由さは、いちリスナーなのに嫉妬すらしますね笑。これがその後、掟さんの「チチキトク スグカエレ」にも繋がりますしね。ちなみに途中のデスボイスは神前さん本人によるものだそうです。徹底してますなぁ笑。この曲程「いいぞもっとやれ」という言葉が似合う曲も無いと思います。

16:アシンメトリー / 堀江由衣 (2015)

堀江さん19枚目のシングルで、テレビアニメ『K RETURN OF KINGS』OPです。発売から4年経って、昨年ようやくアルバム「文学少女の詩集」に収録されました。数ある堀江さん楽曲の中でも、Romantic Flightやバニラソルトと並んで3本の指に入るほど好きです。楽曲制作はAngelaのお二人。Angelaらしいゴージャスかつ耽美な世界観で、堀江さんの持つアンビバレンツな魅力を嫌というほど引き出してます。こちらのインタビューを読むと曲が作られるまでのストーリーが大体分かりますが、Angelaがいつものハードエッジな側面ではない世界観を作る上で様々な苦労や試行錯誤したとしても、結果出来たものは、堀江さん特有の世界観と溶け合って一級品となった、という事ですね。他ならぬ堀江さんへの楽曲提供だからこそ生まれた世界だと思います。これからも折に触れて聴くであろう楽曲の一つです。

17:帰り道 / 八九寺真宵 (加藤英美里) (2011)

ご存知、化物語「まよいマイマイ」編OPですね。前述の「太陽曰く~」のところで触れた、神前さんの七色の作風のうち、初期に顕著に見られる、電波な側面が強く表れた中毒性の高い1曲。「もじぴったん」や「ごまえー」は勿論、先日発売された10周年ベストには収録されてませんが、MOSAIC.WAVの3rdシングル「めがねでねっ!」に収録の「A好(ガール)」などのアレンジに見える電波な感触と、その派手なアレンジにマスキングされない強靭なメロディ。アレンジをはぎ取っても普遍的に響く曲だからこその魅力ですね。本当に素晴らしい音楽家だと尊敬します。

18:キラメキラリ / 高槻やよい (仁後真耶子) (2013)

(公式チャンネルにもサブスクにも曲が無いので各自探してお聴き下さい)

そして後に続くこの「キラメキラリ」も、帰り道と組曲なのでは?と思えるようなアレンジの曲ですので、続けて繋いでみました。神前さんの10周年ベストには入ってませんが、収録曲となんら遜色ないクォリティの楽曲です。初出は「THE IDOLM@STER MASTER ARTIST 02」。この盤は神前ワールド全開で、高槻やよいバージョンの「ふたりのもじぴったん」や「Go My Way!」が収録されております。しかし、加藤英美里さんにしてもこの仁後さんにしてもそうですが、こういう電波なアレンジにしっくりくる(楽器としての)声質というは厳然とありますよね。そしてSKAなテイストが異常に合う。大好物です。

19:ダメハダメ / 鈴木みのり (2019)

TVアニメ「手品先輩」EDにして、みのりんこ3枚目のシングルになります。編曲は安心の北川勝利氏。相変わらずのみのりんごワールド全開な楽曲で、ニヤニヤが止まりません。本人はインタビューで「インパクトのある曲」と言ってますが、1stアルバムでペンペン草も枯れる程の事をやらかしておいて、今更何を言ってるのかと笑。同じマクロスヒロインの中島愛さんと似たような路線へと進むのかと思いきや、思いっきり斜め上へ飛んで行ってくれておじさんは最高に嬉しいです(勿論中島さんも大ファンですけど)。

20:グリーン・グリーン / NANA (2008)


2曲目の成人向けゲーム楽曲です。アニメ化もしており、この曲はOVAの18禁バージョンの挿入歌になります。好事家の方々には既知の事でしょうけど、最近このジャンルを調べ始めた私としては、この山を掘るワクワク感というのは特別なものがありますね。エロ分野というのは、音楽に限らず映画やアートの分野でも同様に、昔から才能開花前夜の野心あるクリエーターが集う場所であり、人に言いにくいからこそ制約を外してその才能を思い切って発揮できるプラットフォームでもあるからです。既にしてこのCDにも佐藤ひろ美さんやYURIAさんが名を連ねてますし、後述の米倉千尋さんやらKOTOKOさんやら石田曜子さん等、今も一線で活躍されてるボーカリスト数知れず。また多くの美少女ゲーム楽曲を手掛ける編曲担当の河辺健宏さんは、後のElements Gardenメンバーと共に音楽制作ユニットをやられてた方。作曲はbambooさん率いるmilktubですね。こういったある意味でアングラな活動(過去)に対し、ファンも(揶揄する方もいるかもしれませんが)そういった諸々含めてシームレスに愛を注いでる懐の深い方々が多い印象を受けます。そういう「優しい世界」を垣間見れるのも、私がアニソンに惹かれる魅力の一つかも知れません。ちなみにこのアルバムは、エロゲソング集にも関わらず珍しくmoraで配信されております。ちゃんと認識してんのかな?笑

21:Smiling Passion / ときめきアイドルProject (2019)

コナミのスマフォゲーム「ときめきアイドル」の挿入歌で、シングルとしては4枚目になりますね。あの「ときメモ」の新シリーズだとは知りませんでした。通りで声優さんも、前述のみのりんごはじめ、ななみん&よっぴーのWUGの私的2トップ、井上ほの花さんやら日岡なつみさんなど、ツボをついた人選で、楽曲も秀逸なものが多いわけですね。納得です。ときめきアイドルといえば、2年前のアニソンベストmixにも入れた「カン違いSummer Days」という個人的にはアニソンの歴史に残るだろう神曲がまず思い浮かびます。そして実質WUG(しかしこの二人の組み合わせによる楽曲はWUG時代には無かった)による「Ray afer rain」も素晴らしいし、国府田マリ子さんの名曲Twin Memoriesのカバーも秀逸(ホント喜久子姉さんの娘さんは歌声が魅力的)。その上でこの曲も、それらに勝るとも劣らない、いかにもサイリウムの振り甲斐がありそうなナイススカ楽曲です。このコンテンツの楽曲は一人で詩曲からアレンジまでやられてる事が多く、この曲のLull(らる)さんもその一人。現在はほぼこのコンテンツ専属の様な感じになってますが、そのうち色んなコンテンツに進出して欲しい方です。

22:嘘嘘嘘嘘 / AZKI (2019)

アニソンから始まりエロゲ山も掘りつつ、私もとうとうVTuberにまでたどり着きました。が、正直この世界だけは、雲をつかむような感じでさっぱり実態が掴めないというか、定義が良く分かりません。このAZKiさんの公式のプロフ読んでも、「アニメ」とどう違うのかさっぱり…CGであろうが、中の人がいて絵に描いたキャラが動いていれば、それはもうアニメではないのでしょうか?中の人が人格も担当してるわけではないですよね?しかも調べてるうちに「実はおっさんが中の人をやってる(AZKiさんの事ではないです)」なんて話も聞いたりして、最早哲学の領域に入りそうだったので、無理に理解しようとするのをやめました笑。コンテンツの定義がどうあれ、絵に描いたキャラが歌ってるんだからもうアニソンでいいだろ(雑w)という事で、この曲も選曲。BiSH色の濃い、パンク由来のラウドなスカアレンジ×可愛い声による力強い歌唱というギャップ萌えな組み合わせです。そりゃプロデュースが多くのBiSH楽曲を手掛ける井口イチロウさんなんだから当たり前。こんな曲嫌いになれるわけがありません。

23:Magic / アラジン(石原夏織) (2012)

アニメ「マギ」よりアラジンのキャラソンです。作編曲は安心と信頼のMONACA石濱翔さん。前回のアニスカMIX2のトリに据えたアイカツの「ダイヤモンドハッピー」を作った石濱さんらしいハイテンションなブラスロックに仕上がってます。天才の呼び声も高いきゃりさんの歌唱も素晴らしいです。

24:恋せよ乙女! / 米倉千尋 (2015)

エロゲ楽曲3曲目です。この辺も同様に何となく情報は得ていたものの、入手性が悪く手に入らなかった曲の一つですが、YUZU SOFTに関しては、一昨年歌ものを全部集めたベスト盤が出て非常に助かりました。「嵐の中で輝いて」を始め、数々のアニソンを歌ってきた米倉さんの安定の歌唱に、エロゲ界のMONACAと言って差し支えない(?)Angel Noteによるスカっと抜けの良い高速スカアレンジ。YUZU SOFTだけでも曲数が膨大なので把握に時間がかかりますが、Angel Noteのベスト盤が沢山出てますので、これらをチェックするだけでもだいぶ捗ります。クレジットをざっとチェックしてみますと、リトルバスターズのRitaさん、たかはし智秋(ゆうな名義)さん、ひぐらしOPの片霧烈火さん、橋本みゆきさん、後述しますが佐藤ひろ美さんなどが歌唱を担当されてて、いかにエロゲ界隈と現行アニメ界が地続きであるかが分かります。調べてませんが、声優さんも多分同様に地続きな面があるのでしょうね。いやぁ面白いです。

25:10年後のタイムカプセル / 新谷良子 (2004)

(Lantis公式にも動画が無いので、一枚目のベスト盤のCM映像です)

新谷良子さんの記念すべき1stフルアルバム「ファンシー☆フリル」の2曲目に収録されております。個人的に数少ない、2000年代前半に持っていた声優さんのアルバムです。当時はUnder17が制作した「Ray of Sunshine」が好きで、それ目当てで購入してたのです。しかしそれ以外をちゃんと聴きこんでおらず、この曲がSKA風味だと気付いたのはつい最近の事でした。そしてこの曲のアレンジャーが宅見将典さんと知り今更ビックリ!ギタリストとして、大好きなスライ&ロビーの「One Pop Reggae」に参加し、グラミーにまでノミネートされております。なるほど通りで板についたSKAアレンジになってるわけですね。ちなみに宅見さんが手掛けられたアニソンとしては、石田曜子さんの「STRIKE WITCHES 〜わたしにできること〜」が筆頭でしょうか。しかし個人的彼のベストアレンジは↓ですね。最高!

26:エイリアンボーイ / 安野希世乃 (2019)

安野さんの3rdミニアルバムからの1曲です。毎回発売日に買ってますが、歌唱も楽曲クォリティも安心して買える声優さんの一人。毎回色んなチャレンジをされてますが、ここまで大人なアプローチは初めてじゃないですかね。こんな安野さんもまた最高です。この曲のジャジーなスカアレンジを手掛けたのは生田真心さん。アニソンよりもどちらかというと、アイドルを中心としたJ-Popを数多く手掛けられてます。中でも個人的に一番好きなのは↓ですかね。同じ人のアレンジとは思えませんが笑。

27:Guri Guri / 佐藤ひろ美 (2010)

佐藤ひろ美さんのベスト盤「THE BEST -Ever Green- Disc.1」の1曲目に収録されております。ベスト盤の1曲目に相応しいテンション高いラウドな曲だな…と普通に佐藤さんの1曲として聴いてたんですが、このMIXを作ってこの文章を書き始めてから、実は前述のエロゲ「グリーングリーン」のアニメ版主題歌だと知りました笑。お釈迦様の掌の上で転がされてる気分です。このゲームの音楽はかなりSKA率が高く、初出から10年後に出たリメイク版でもオリジナルOPを踏襲したようなイントロのSKA楽曲になっております↓。


意図的なのかMilktubの手癖なのか笑わかりませんが、さすがに知ってたら同じMIXに同じ作品の楽曲を入れるのは躊躇したかもしれませんね。いい曲なので問題ないですが。佐藤ひろ美さんの名前を最初に知ったのは、新田恵海さんを見出した株式会社Sの社長としてでした。その後、この人が実はKOTOKOさんとデュエットした「おねがい☆ツインズ」OP「Second Flight」の佐藤ひろ美さんと同一人物と知り、歌手だった事が判明。そこからちょくちょく後追いチェックをして、前述のベスト盤を手に入れるに至ると。2000年代中盤はよくニコ動でゲーム(モンハン)実況を観ていたので、その流れで電波系楽曲やエロゲ/同人音楽が動画から自然と耳に入ってきて、特にアンセブや、SHORT CIRCUIT等のI'veサウンドを良く聴いておりました。そして現在このMIXにエロゲ楽曲を入れるまでになり、その歴史を紐解いてゆく事で、断片的だった当時のそういった記憶や情報がこうして佐藤さんの例のように線で繋がっていく面白さを享受しております。

28:トライアングル・スクランブル (10th Anniversary Remix) / 宮藤芳佳(CV福圓美里)、ペリーヌ・クロステルマン(CV沢城みゆき)、リネット・ビショップ(CV名塚佳織) (2018)

本MIX9曲目の「笑顔のランデヴー」と同様、ワールドウィッチーズシリーズのキャラソンです。初出は2009年「ストライクウィッチーズ 秘め歌コレクション 4」に収録。しかし「笑顔~」と違い、Remixといってもアレンジはほぼ一緒で、元々軽快なSKAチューンに仕上がってます。作編曲を担当したFuntaさんというと、まず前述のUnder17とのカップリングでアニメ「ぽぽたん」EDを手掛けられた方々という事で、ここでも点が線に(言い換えれば広いようで意外と狭いアニソン業界?)なりました。そしてなんといっても「アシンメトリー」のところで触れた、好きな堀江さん楽曲のうちの一つ、「バニラソルト」の作曲をやられてたり、とらドラ!つながりでED曲「オレンジ」の作曲もされてるという事で、その時点で私の中の殿堂(何の)に入っております。はたまた前述の新谷さん「10年後のタイムカプセル」の作詞もされており、多作ではないながら高確率でツボを突いてくる作家さんであります。

29:素直にOpen heart ~五つ数えて~ / 中野五月(CV.水瀬いのり) (2019)

TVアニメ「五等分の花嫁」から、中野五月(五女?)のキャラソンです。歌唱は水瀬いのりさん。作詞は結城アイラさん、作編曲は光増ハジメさんです。光増さんというと、以前も書いた気がしますが、Aqoursの一連のシングル群の仕事がまず浮かびます。他にも水瀬いのりさんの「Catch the Rainbow!」、昨年のベストに入れた水樹奈々さん「SUMMER PIRATES」、「結城友奈は勇者である-鷲尾須美の章-」EDの「ともだち」等、現代的だけど私のようなオッサンにもエモさが伝わる印象深いメロを作る方というイメージ。今年も良い曲期待しております。

30:Scarlet / 榊原ゆい (2012)

「恋せよ乙女!」に続いてYUZU SOFT楽曲2曲目です。2012年発売の「DRACU-RIOT!」という吸血鬼恋愛アドベンチャー(書いてて意味はよく分かってません)ゲームの主題歌です。勿論作者はAngel Noteの作家陣。スパイ映画を思わせる渋いSKAアレンジですね。昨今の複雑難解緻密過ぎるアレンジと比べ、割と単純な演奏でやや粗削りなところが、かえって勢いとなってるように感じます。この曲はもう8年前のものですが、最近はどんなの出してるんだろうと思い調べてみると、最新作(?)の「喫茶ステラと死神の蝶」のOPが↓これ。

なにやらえらいクォリティの上がりようで驚きます。しかし制作陣は変わらない(歌唱も米倉さんですし)ので、体裁がここまでリッチになっても、どこかアンダーグラウンドな一本筋の通った説得力がありますね。ベスト盤以降の音源のリリース(フィジカルでも配信でも)を早急に希望します。


31:Over the Limit / ROUTE85(真波山岳/泉田塔一郎/黒田雪成/葦木場拓斗/銅橋正清/新開悠人)

トリを飾るのはこの曲。アニメ「弱虫ペダル」の第4期後半のEDです。これを知ったのは去年(19年)の夏前くらいでしたかね。アニソン師匠の一人に教えて頂き、即聴いて、即「これは早急にアニスカMIX第3弾を作らねば!」と思わされた1曲。結局それから半年以上経過してしまいましたが、間違いなく今回最もこのMIXに相応しい1曲であります。気に入り過ぎて、それまで弱虫ペダルのアニメも漫画も観てなかったのですが、本編だけでなくサイドストーリーまで全てチェックしたくらいです。そのお陰で、これを歌ってるのは、主人公小野田坂道が通う総北高校自転車部の最大のライバル校である箱根学園(スラムダンクでいうところのヤマオー)のレギュラー6人で、それぞれのキャラクターも明確に確立している事も理解した上で聴く事が出来、歌詞にもそれが滲んでる事が分かったり、文字通りこの1曲をしゃぶりつくしました。これが本来のアニソンの楽しみ方ですよね。以前書いたと思いますが、作編曲の睦月周平さんは、まだお若いのにアニソン仕事をかなりやられてて、私的にはWake Up May'nのハートラインを作られてる時点で既に殿堂入りしてるわけですが笑、富田美憂さんのデビューシングルも良かったですし、今後に増々期待してます。


ということで、今回も長々とお付き合いいただきありがとうございました。こんなご時世ですから、次回作もそんなに間を置かず作れる気がします(テーマはもう決まってます)ので、その際にはまた是非聴いてみてください。

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