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フィリピン3日目 「辿り着く」ということ

昨晩の騒動もあり今朝はゆっくりと朝を迎えた。とはいえそんなに疲れは溜まっておらず睡眠で回復したと思いがちだが、旅先のアドレナリン効果もあるかもしれない。

またこの2日間でマニラという混沌とした都市に疲れ切ってしまっていた。という訳で今日は郊外に行く事にした。

街中を歩き駅に向かう…はずなのだが、あるはずの線路がない、駅舎は回収中?なんと乗る予定だった国鉄が回収中という事で休業だったのだ。日本ではあり得ない。という訳で近くのモールに入り作戦を立て直し。

高速バスに乗って30分ほどでアラバンという街に行けるみたいなので、今日の予定はそちらへシフト。結局来た道戻りで宿泊エリアのモールにあるバス停まで向かう事に。

バス片道110ペソ。高速道路に乗って向かう途中、「KATIPUNAN」と書かれた部落のようなエリアが見えた。カティプーナンとは19世紀末に宗主国スペインに対する武装蜂起を起こした秘密結社のこと。もう1世紀以上も前の事なのに、その影を見ることができて、時の流れに残り続ける歴史を感じた。

バス停着。ここでなぜかサングラスを失くす。あれ?あまり記憶に定かじゃないんだけどバスの中までつけてたんだけどな…安いやつだからいいかと思いつつ早めに買っておきたい。

スラム街を見学(もはやここまでになるとスラムとかスラムじゃないとかあまり気になら無くなって、普通に入っていける)した後はジプニーに乗って湖畔の方面まで行く。ジプニーに乗るのはとてもレベルが高く、まずその町の地図が頭に入っていなければならない。そしてちょうど良いところで降りて目的地に向かうという使い方が良いみたい。入って適当に20ペソ渡してお釣りがくるからまあそんなもんなのかと一旦理解。

降りたところの近くのモールでシニガンを。昨晩のシニガンはちょっと上品だったというか、なんかもう少し庶民的な、言語化が難しいけど「味の整っていない」個性的なシニガンが飲みたかった。そういう面ではこのモールにあったのは酸味も強めだし肉も揃ってないけどそれくらいが美味しく感じる。

一緒に旅している友人。この湖畔ではこれしか写真を撮らなかった。

モールを出てさらに湖畔へ向かい、果ての所で公園のベンチに座り休憩。そして、結局ここに2時間くらいいたのかな、昼下がりの心地よい風が吹く空間が、マニラの混沌や歩き疲れた身体を休ませてくれた。


公園では大きなスピーカーで音楽を流しながら、おじさんがハンモックに揺られてのんびりとしていた。その曲選がまた良かった。以下プレイリスト

・Air Supply / I can't let go
・Starship / Nothing gonna stop us now
・Celine Dion / It's all coming back to me know
・Whitney Huston / One moment in time

2曲目のスターシップ、これは昔ラオスに行った時も飛行機の中で夜空を見ながら聴いた曲で、お気に入りの曲である。こうやって旅先で再開する事に何か偶然以外のものを考えてしまう。

道中に飲んだサンミゲルのレッドホースビール。なかなか美味しかった。

街中から帰りのバス停に向かいながら、考えていることがあった。

「なぜ今自分はここにいて、この道を歩いているのだろう」

細かく見れば、会社の休みをとって、行き先を決めて、マニラに来たが疲れてしまい、この街に来た、と言えるのだけれど、何か明確な目的があってきた訳でもなく、たまたま事の流れでここに来ただけ。

「一体何してるんだろう」と思う。特に目的や意思もなくこの街に辿り着き、時の流れに身を任せて時間を過ごし、また帰っていく。普通の旅や、また日常生活では自分の行動1つ1つに明確な目的がある。例えば「建物を見たいからこのエリアに来た」とか、「これを食べたいからここに来た」とか。マラソンを走る際、よくランナーの間で「自分はなぜ今こんなに苦しいことをしているのだろう」と思う瞬間が訪れるが、それは「42.195kmを走る」という明確な目的ゆえの思考であり、それはそれで必然的である。そういう意味では、今自分がこのアラバンという街をなぜ歩いているのか、本当によく分からない。

しかし、それで良いのだ。今回の旅は自由奔放にら気の赴くままに動く時間がある脱力旅なのだ。意図せずどこかに行き、特に何をするでもなく時間を過ごす。それが旅の風景となる。そこに後から意味や思い出を生み出していく、そんな旅なのだ。

だから、今日このアラバンにという街に「辿り着いた」というのは、今回の旅のモットーを正確に体現した行動であった。そしてそこで見た景色、個人的にはあの湖畔の公園で過ごした2時間が、今回の旅のハイライトになりそな気がする。

バスでマニラに帰る。そこから電車を乗り継ぎ、明日明朝に乗るフェリーターミナルに向かう。

ターミナルに向かう途中、夜市をやっていたので見学したら中にフードコートがあった。そこで夜ご飯を。シシグと言う簡単にいえばフィリピン風BBQと、再びシニガン。今回のシニガンは海鮮・エビだけど、美味しかった。普段はポークスペアリブなので海鮮バージョンの味の違いを知ることができて良かった。それにしても量が多い…

ターミナルまでの一本道では生鮮食品のナイトマーケットが開催されていた。これはあくまで想像なのだけれど、購入単位が大袋だったり1kg単位だったり、少なくとも一般家庭用の量では無いことから、業務用=飲食店の買い出し・地方からの買い出しな気がした。よく市場は街の台所と捉えられるが、ここはまさにマニラの台所な気がした。また、ここでモノを売る、モノを買う人々から彼らの日常生活の片鱗を見た気がする。そして、それはもしかしたらフィリピン・マニラという場所の本質なのかもしれない。

フェリーターミナル到着。フェリーターミナル以降の船旅についてまとめて書こうと思う。


「仕事だと想定外は"トラブル"。旅だと想定外は"トラベル"」

今日、アラバンの街を歩いている時に感じた事だ。普段はサラリーマンである手前、それなりの目的意識を持って日々タスクをこなしている。ゴールや締切がある手前、その途中に降りかかる想定外の出来事は全てトラブルなのだ。言い換えれば、仕事とは常に障害物競争なのかもしれない。

一方、旅では想定外の出来事がその旅を思い出つける出来事となり得る。計画していた行程を、特に締切もない状態でこなしつつ、その道中のあれこれを楽しむ。仕事と対比するなら、旅とは道草食いながらの散歩みたいな感じ。

もちろん仕事でも旅でもトラブルは疲れるが、旅に出ているとそれを楽しめるようなマインドになる。この心持ちはつまるところ人生の幸福に繋がるような気がする。

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