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トムソーヤのやりがい搾取

子供の頃「トムソーヤの冒険」に夢中になった。
冒頭から、この物語の主人公が機知に富んだキャラクターであることを読者に伝えるためのエピソードを盛り込んでくる。

トムソーヤはいたずらの罰として、おばさんに壁のペンキ塗りを命じられる。退屈で仕方ないので通りかかった友人に代わって欲しいとお願いするが、そんな仕事誰も代わってはくれない。

そこでトムは一計を案じる。

罰としてやらされていたペンキ塗りをいかにも楽しそうにやり始めたのだ。次に通りかかった友達は楽しそうにペンキを塗るトムソーヤを見て羨ましくなり、自分にもやらせてほしいと頼むのです。

こうしてトムはペンキ塗りをやり甲斐のある仕事だと友達に思わせることに成功し、自分は労働から解放されたのでした。

子供の時にこのエピソードを読んだ時、トムソーヤってずる賢いなと思ったものです。

さて、もうお気づきかと思いますが、これって、まさに現代で言うところの「やりがい搾取」だといえます。

私は「やりがい搾取」を全面的に否定するわけではありません。西野亮廣氏が、サロンのメンバーにお金を出させて働かせるのも、本人たちが趣味の範囲でやっているのならば何の問題もないと思います。むしろ西野さんその仕組みよく作ったなと感心さえします。

しかし、どこの企業とは言いませんが、従業員を使い捨てにするようなやり甲斐搾取には反対です。
また、安い賃金で十年以上も非正規のまま雇用し続けるのもどうかと思います(アニメーター業界やオリエンタルランド等)。

その企業で一時的に働くことが将来のステップアップに繋がる可能性が高いのであれば、一定期間のやり甲斐搾取は修行期間と捉えてもいいかと思います。ただ、その期間は長くても3年くらいかと個人的な感覚では思います。

私自身も、どうしてもマスコミの世界で働きたくて3年ほど編集プロダクションで働きましたが、まさに「やりがい搾取」の会社で、安い賃金で朝から晩まで休みなく働いていました。ただ私にはどうしてもフリーライターになりたいという夢がありましたから、修行期間なのにお給料をいただけてありがたいと本気で思っていました。そして、今でもその会社に感謝しています。

ただ一方で、別にマスコミ業界でどうしても働きたいというわけでない人にとっては、地獄のような職場だっただろうなあと思います。

ふと、トムソーヤのやり甲斐搾取について、取り留めもなく綴ってみました。