死後探索 ブルース・モーエン ④

死後探索シリーズの内容紹介の最後の3回目です。ブルースがヒーリングの練習中に思わず手にした非物質の道具。それは性的エネルギーに関係するものでした。最初の記事でもお伝えしましたが、自分はヘミシンクを勧めている訳ではありません。死後世界やヒーリング、チャネリング等のやり方は人それぞれに向き不向きがあると思います。私はむしろヘミシンクが合わない方だと思うのですが、著者が元エンジニアでかつ自身の非物質領域の探索について懐疑的であること。そのような著者が一つ一つの体験を検証しながら証拠集めに成功していること。自分は著者の経験している内容に興味を魅かれており、体験談もしくは物語として読んでいる感覚が強いです。

文章の中の「私」とはブルース・モーエンのことです。

死後探索2 魂の救出
著者 ブルース・モーエン

訳者 塩﨑麻彩子(しおざき まさこ)

監訳者 坂本政道


第8章 DECと笏(しゃく)

 遠隔ヒーリングは、モンロー研究所のプログラムのほとんどで、必ず教わることになるテクニックだ。少なくとも1回のヘミシンク・テープエクササイズが、ドルフィン・エナジー・クラブ(DEC)の遠隔ヒーリング・ツールの使い方を学ぶためにあてられる。そのツールのひとつが、イルカのヘルパーを視覚化することだ。このイルカがヒーリングのプロセスを手助けしてくれるのだ。参加者は、プログラムで教わるエネルギー的なヒーリングのプロセスを、視覚化したイルカに実行させてみるように、と指示される。一週間にわたるプログラムのうち二晩ほど、大きな集会室でグループでの練習セッションが行なわれる。椅子をすべて丸く並べた後、参加者たちは目を閉じてリラックスし、部屋のスピーカーから流れるヘミシンク音と言葉によるインストラクションに従うのだ。

DECのグループセッションの前に、トレーナーたちは、遠隔ヒーリングを依頼している人の名前を受け取る。参加者はみな、その人についてはファーストネームしか知らされない。名前がグループに伝えられてから、テープがスタートし、みんなで一緒に練習をする。私の3度目のライフライン・プログラムでは、最初の練習セッションは何もかもとてもうまくいった。私はその名前の人物を観察するために、「デッキ―」と呼んでいる自分のイルカを送り出し、そのイルカを通して、適切なときにヒーリングのエネルギーを送った。セッションの後、トレーナーたちは、その人物がヒーリングを依頼した理由について検討した。いつもどおり、私はかなりいい「診断」をしており、その人の肉体的な状態や病気について正確に説明することができた。私は自分がかなりうまくなってきていると感じた。実際は、かなりひとりよがりになっていたのだ。

すべては順調にいっていた―—テープのインストラクションを聞いて、デッキ―を視覚化する時点までは。私が左下のほうを見ると(もちろん、目は閉じたまま)、小さな非物質のイルカがニコニコして私を見上げているはずだった。デッキ―はいつも嬉しそうで、役に立ちたくて仕方がないようだった!ところが今度は、彼はいなかった。その代わりに、何か笏のようなものがはっきり見えたのだ。長さ60センチほどの、装飾を施した木製の柄の先に、ガラスか水晶のような丸い乳白色の玉がついていた。その玉は直径が12、3センチほどで、曇っているように見えた。この笏が、私の左側、以前なら可愛い小さなイルカがいたはずのあたりで、空中に浮かんでいたのだ。テープのインストラクションが、イルカが清らかで澄みきって明るいことを確認するように、と言うのを聞いたとき、私は不安を感じ始めた。この笏のてっぺんについている玉は、まったく澄みきって明るくなどないようだった。逆に、命のない、冷たい石の塊に見えた。

合理的な思考が優位に立ち、これが何であるにせよ、ちゃんとしたものには見えないぞ、と心配になってきた。これをどうしたらいいのか、まったく思いつかなかった!今はDECのエクササイズなのだから、私のイルカのデッキ―が現れるはずなのだ。こんな、おかしな笏などではなくて!私はデッキ―を部屋の中に送り出して、そこに座っているみんなのところへ行かせるはずだった。もし、これが危険なものだったらどうしよう?ほかにどうしたらいいのかわからず、信頼こそが常に一番大事だということすらすっかり忘れてしまった私は、優秀なエンジニアなら誰でもするはずのことをした。これをグループ全員に使う前にテストしてみたほうがいい、と決心したのだ。そう決めると、私は目を見上げてみた(肉体の目はずっと閉じたまま)。すると、輪になって椅子に腰掛けている参加者たちがみな、ちゃんと見えることに驚いた。非物質の頭を左右に向けてグループ全体を見わたしてみると、みんな目を閉じて座り、確かに指示されたとおりDECのイルカのワークをしているようだった。

全員を見まわしながら、誰にこの物体をテストすべきか、合理的な判断を下そうとした。男性と女性とでは違った効果があるかもしれない、と推論した私は、男女ひとりずつを選ぶことにした。トレーナーはふたりとも女性だったため、グループから男性をひとり、被験者として選ばなくてはならなかった。私は非物質的に立ち上がり、両手で笏の柄を握って自分の前に捧げ持った。これは、なんだか前にしたことがあるような気がした。何か祭儀の式典のような感覚が伴っていたが、私はこの人生では、その手のことに関わったことはない。自分が笏を持って歩いている感覚は、妙になじみ深い感じがした。私は部屋の中を非物質的に歩いていき、最初の被験者として選んだ男性のところまで行った。そこで立ち止まると、笏をその男性の前に差し出して、身体から1メートルくらい話して保持し、反応を見守った。その顔に驚いたような表情が浮かび、目がパチッと開いて、椅子に座ったまま身体が前に傾いた。それから彼はまた目を閉じて、ゆったりと椅子に座り直した。彼のリアクションからは、たいしたことはわからなかったので、私は自分の席に戻って腰を下ろした。

この笏の働きがどんなものであれ、トレーナーのほうがたぶんうまく扱えるだろうと考えた私は、参加者ではなく、トレーナーのひとりを次の被験者に選んだ。どちらが近くに座っているかということで、そのひとりを選んだ。非物質的に立ち上がり、私は笏を自分の前に捧げ持って運んだ。またもや、前にもこれをしたことがあるという感覚があった。少し離れたところで立ち止まり、トレーナーから1メートルほどのあたりに笏をかかげて、リアクションをよくよく見守った。最初、彼女の顔に微笑みが浮かび、身体がリラックスして、椅子にもう少し深く寄りかかるのが見て取れた。それから突然に、彼女の非物質の目が、恐怖の色を浮かべてパッと見開かれた。部屋中の全員を見るかのように、頭が勢いよく左右に動いた。恐怖は目から身体へと波のように伝わり、次の瞬間、彼女が半狂乱になって後じさろうとするのが見えた。立ち上がって、椅子の背を乗り越えようとしている。私は大慌てで笏を引っ込め、片手で笏の上の玉を覆った。それが何をしたにせよ、すぐに止めようとしたのだ。それがいったい何なのか、どう止めたらいいのか、まったく想像もつかなかったのだが。

私は急いで席に戻り、腰を下ろした。笏を見つけたところに戻し、玉は片手で覆ったままにしておいた。怪我をさせてしまったのでなければいいが、と思った。心配と懸念にさいなまれつつ、私はエクササイズが終わるまでそのまま座っていた。この笏をグループ全員に使ってみなくてよかった、と思った。エクササイズが終わると、デブリーフィング・セッションで、参加者たちは経験したことをシェアし始めた。私の番が来たとき、私は笏のことを説明し、それで何をしたのかを話した。あのトレーナーに、怖がって椅子から立ち上がろうとしていたとき、何が起こったのかと訊いてみると、答えはこうだった。「それを表現する言葉は、この二言だけよ。『ルート・チャクラ』!」それを聞いて、部屋にいた全員がいっせいに笑い出した。その答えがどういう意味なのか理解するために、後からふたりだけで話をする必要があった。

「初めのうち、身体が温かくなってきて、とても気持ちのいい感覚を味わったの。強力で鋭い、セクシャルな感じがあって、私はリラックスして椅子にもたれかかった。その感覚はとても高いレベルまで強まったので、内股が振動し始めるのが感じられたほどだったわ。とても気持ちがよかった。そこで突然、このエネルギーがどこから来ているのかわからない、ということが頭に浮かんで、心配になったのよ!そのときまでには、脈打つようなバイブレーションはものすごく強まっていて、内股がピクピクいうのが感じられるほどだったわ。どこから、あるいは誰から、このエネルギーが来ているのか分からなかったから、私は逃れようとしたのよ。私が必死で椅子の背を乗り越えようとしているのが見えたというのは、たぶんそのときね」「何の害もなければいいんですが!」「もし何が起こっているか知っていたら、リラックスして、それを楽しんでいたと思うわ。とてもとても気持ちが良かったから」トレーナーたちは、私が笏を試してみた男性をひそかにチェックしてから、彼はエクササイズ中に、変わったことには何も気づかなかったようだ、と報告してきた。こちらも、危害を加えることにはならなかったようだ。

私はこの経験をした後、笏が現れたことを信頼しようとしなかった自分を責め始めた。あれが現れたのは、グループでのヒーリング練習で使うためだったのだ、ということがわかった。それなのに私ときたら、未知のものへの恐怖に縛られている、合理的な思考にすべてを委ねてしまったのだ。その過ちを正すために、私はその晩、後から自分でDECのヒーリング練習をした。眠りに落ちていく前に、非物質的に、参加者みんなのところへ行き、ひとりひとりに笏のエネルギーを提供した。グループの女性たちは全員、リラックスしてそれを受け入れた。男性たちの反応は半々で、それを受け入れたらしい人たちと、ショックを示して身を引こうとした人たちがいた。そのプログラムの残りの期間、あの笏はどこから来たのだろうと何度か考えた。あれを持って歩いたこと、とてもなじみ深く感じられる、特別なやり方で持ち運んだことが思い出された。かつて何度もやったことがある儀式のようだった。

ライフラインのテープエクササイズで、何度かそれについて尋ねると、断片的な情報を手に入れることができた。その断片を集めた図からは、大昔の学校が浮かび上がった。私は過去世で、その学校の教師をしていたのだ。その学校は性的エネルギーを高めて利用することで、霊的な成長を促す技術を教えていた。笏は、そのエネルギーを集めてフォーカスさせ、生徒たちに供給するための儀礼と儀式に用いられた。それを使って、生徒たちを性的に興奮した恍惚状態にまで引き上げる。それから生徒たちは、その状態を霊的な成長のために利用することを学ぶのだった。私は、その学校で同僚だった教師のひとりが、今世で知っている人だということを発見した。彼女は、私たちがその学校で共に教師だったことを憶えており、詳しいことをいろいろ教えてくれたが、それは私がライフラインのテープセッションで知っていたことと一致した。そういう確証を手に入れられることは、励みになった。

私は、この経験より何年も前に生まれ変わりということを受け入れていた。それでも、本当だとわかっていることが、独立した第2の筋から裏づけられるのは、いつでも嬉しいものだ。私は、死後世界の探索を続けるうちに、時折、過去世で使っていたあの笏のような道具を見つけることがある。あなたも、探索や自己発見の旅をするうちに、似たような道具に出会うかもしれない。博物館にある古代の遺物に、なぜだか強力に惹きつけられたり、見たこともない道具なのに、その使用法になじみ深さを感じたり。もしそんなことがあれば、それはたいてい、潜在意識の奥底に眠っている、あなたの一部を指し示すヒントなのだ。私の経験から言うと、そのようなものに出会ったら、なぜ自分はそれに惹きつけられるのか、しばらく時間を割いて考えてみる価値がある。そのような道具のイメージを瞑想の中に持ち込んで、そこから得られる印象を心に留めることで、新たな自己発見の旅が始まるかもしれない。それこそまさに、あの奇妙な笏が私にしてくれたことだったのだ。

個人的な感想

自分はブルース・モーエンとは関係のない他の本を読んだ時にも、性的エネルギーが古代から霊的成長に使用されていた旨が記述された文章を読んだことがあります。性的エネルギーは単に男女間のコミュニケーションだけにとどまらず、霊的成長を促すこともあるのですね。その用い方は昔では秘儀にされるほど巨大なエネルギーなのでしょうか。関連する本を読んでみる価値はあると思いました。

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