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泣いた赤鬼

正直に話そう。
私は高校生の時に絵本を読んで泣いた経験がある。なにかとてつもなく大きな衝撃が当時の私の心を刺激したのだ。もしも鬼と人が互いを認め合うことが容易にできたのなら、、、

泣いた赤鬼……

 『美味しいお茶とお菓子を用意しています。』
町の人と仲良くなりたい赤鬼は、家の前に看板を立てた。そこに2人の町人が通りかかったのだが、その看板を見ると、『油断して入ってしまったらきっと鬼に食われるんだ』と恐れをなして逃げてしまった。そのことに悲観した赤鬼は、怒って看板を叩き割ってしまった。
 そこに雲に乗って赤鬼の友人である青鬼が訪れた。話を聞いた青鬼は、赤鬼にある提案をした。

『今から僕が町に下りて暴れるから、君は僕を思いっきり叩け。そうすれば町の人はきっと君を温かく迎え入れる。』

そう言うと、青鬼はそそくさとその場を離れてしまった。
 赤鬼が町に下りてみると、青鬼は町の人を襲う素振りを見せていた。迷いはしたものの、赤鬼は青鬼に飛びかかり青鬼の頬を叩いた。するとその様子を見ていた町の人は赤鬼の勇気を称え、快く迎え入れた。
 それから数日が経ち、赤鬼は青鬼の家を訪ねた。しかし、家にいる様子はない。戸の前に来てみると、一枚の貼り紙が貼られていた。

『僕はこの町に居られなくなってしまった。君はこれからも町の人たちと仲良く暮らすんだよ。僕のことは気にしなくていいから。』

赤鬼はこれまでの全てを後悔し、戸の前で泣いた。

平和で幸せな世の中が広がる今日において、その裏ではこのような犠牲が払われている。

こんな偉そうなことを言っているが、ゴーヤが苦手だ。

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