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消滅都市 タロットシリーズ考察まとめ

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スマホゲーム「消滅都市」に登場するタロットシリーズの考察およびYouTube動画の補足記事です。個人活動の励みになりますのでぜひシェア&フォローお願いします💜 カバラ・占星術・…
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2021年5月の記事一覧

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【消滅都市】タロットシリーズ考察 キズナ【悪魔】

この記事はスマホゲーム「消滅都市」に登場するキャラクター「キズナ」の解説および悪魔のタロットカードの個人的な見解と考察です。 消滅都市に登場するタロットカードは、マルセイユ版にならったカード順で番号が振られています。 しかし、番号以外のカードの絵柄やキャラの特性を考えると、個人的にはウェイト=スミス版に描かれたテーマを作品の中に反映しているのではと思っています。 今回も悪魔のタロットとキズナに思うところがあり、ウェイト版タロットのテーマからキズナの特性を読み解きました。 よろしければご参考にお読みください。 ---------------------------------------------- ■キズナと絆 ---------------------------------------------- 元来、日本では家畜を立木につないでおくための語源として、絆(きずな)という言葉が使用されていたそうです。 そのほかにも、「絆」にはしがらみや呪縛、束縛といった意味もあり、現在使用されている人との結びつきや助け合いの意味合いになったのは比較的最近であるとのこと。 そうなると、キズナの名前も悪魔のタロットの力も前述の呪縛的な意味の方が強いのかもしれません。 ---------------------------------------------- ■悪魔のタロットに描かれた「悪魔」とは ---------------------------------------------- 天上の世界にて登場するキズナの具現化した悪魔(レイドver.) 消滅都市の悪魔のデザインはウェイト版と大きく異なる箇所もありますが、これはエリファス・レヴィの思想や神秘主義に関連するデザインを避けた為だと考えています。 消滅都市では悪魔のタロット以外にも ・2.女教皇→2つの柱に描かれたBとJの文字 ・7.戦車→黒白のスフィンクス ・10.運命の輪→車輪のモチーフ&スフィンクス、ヘヌアヌビスと蛇 ・13.死神→馬に乗る骸骨と旗 など ウェイト版タロットのテーマや本質をなぞりながらも、神秘思想に関わる上記のデザインを省略またはアレンジを加えているのが分かります。 (ちなみに、3.女帝と14.節制はマルセイユ版のデザインを参考にした図像だと見られます) したがって、バフォメットを忠実に再現しなかった理由も神秘思想を含むオカルト要素があるだからだと推測します。 それ以外にも悪魔のタロットをギリシャ神話に登場する牧神パンだとする説もありますが、バフォメットと同一視されており、いずれも半獣半人型の山羊の姿をしています。 どちらの悪魔だとしても、ウェイト版タロットに描かれた象徴や背景を知ると、消滅都市のタロットシリーズやキャラをより楽しめますので一部紹介したいと思います。 ---------------------------------------------- ■メンデスのバフォメットとは ---------------------------------------------- メンデスのバフォメットとは、19世紀ごろフランスを拠点に活動した近代の西洋魔術師エリファス・レヴィが描いたバフォメットのことを指します。 デザインの特徴として、コウモリの羽に山羊の頭、人間のような胴体と両性具、動物の足を持つ姿をしています。 額に描かれた逆五芒星は、物質によって精神が支配されていることを示し、欲望や肉体的欲求の意志が理性や意識を支配することをあらわしているそうです。 ウェイト版タロットの制作者の一人であるアーサー・E・ウェイトは、エリファス・レヴィのデザインしたバフォメットを参考に悪魔のタロットに採用したと考えられています。 (ウェイト本人の著書にはメンデスのバフォメットだと表記されていますが、色々な解釈のなかにはギリシャ神話の牧神パンといった説もあります) ---------------------------------------------- ■ウェイト版タロットに描かれた悪魔とは ---------------------------------------------- 悪魔のタロットは心の中に潜む悪魔だといわれています。 心理学者ユングは、このような内なる欲求や葛藤を影(シャドウ)と名付けました。 ユング心理学の元型で指す影とは ・嫉妬 ・劣等感 ・憎悪 ・過剰な欲望 など 自分の中で抑圧している負の感情だとされています。 それが他者に投影され自分の目の前に現われたとき、自分の負の感情が何なのかを自覚するそうです。 ウェイト版タロットも内側に存在する悪魔は、このようなユング心理学の元型のひとつ影(シャドウ)の側面も表しています。 これは、消滅都市に登場するキズナの特性にも深く反映されているのではないかと思います。 ---------------------------------------------- ■ウェイト版タロットに描かれた男女 ---------------------------------------------- 男女は悪魔の誘惑や欲望に心を委ねて鎖に繋がれた状態です。 よくみると、繋がれた鎖はたるんでいるので簡単に取り外せそうですが、自らその状態を維持しているようにも見えます。 悪魔のタロットの構図は恋人のタロットの堕落した男女だといった説もあり、人間の弱い側面と何かに執着した姿なのかもしれません。 これはタクヤとユキがメシエの夢の中に囚われ、繰り返される日常に身をゆだねていた様子にも似ています。 チーフやカナト、アキラたちなど他者の力によってタクヤとユキも徐々に醒めない夢だと気づきながらも現状を維持したい想いや葛藤に、何か悪魔のタロットに通じるものを感じました。 ただ、消滅都市に登場する悪魔のタロットを見ると男女の首に縄がしっかり縛られているので、正直なところマルセイユ版の解説に合わせるか悩みました。 本動画では、ウェイト版に主軸を置いている関係や緩くなった鎖から敢えて抜け出さない意味を伝えたかった想いもあり、ウェイト版のまま解説しています。 ---------------------------------------------- ◾️西洋占星術と悪魔のタロットの関連性 ---------------------------------------------- タロットと西洋占星術を結びつけて考えた際、悪魔に照応する惑星(天体)は土星です。 西洋占星術では土星を個人の課題や試練・忍耐などをあらわす惑星として、一度問題を解決しても公転周期の影響でめぐり巡って何度も試練を与えるといった特徴があります。 時々、コンプレックスやネガティブなものから目を背けたくなることや問題を先送りにしたいときもあるかもしれません。 これを個人の試練や課題と捉え、それぞれのタイミングとペースで向き合わなければならない場面をあらわすのが土星です。 普段フタをしている自分のネガティブな部分を見つめ直したり認めることによって自分自身の精神的な成長を促せるのかもしれません。 ---------------------------------------------- ◾️キズナが悪魔と呼ばれる理由 ---------------------------------------------- 「今のままでいい」 「頑張りたくない」 「あきらめたい」 など 人間が抱える表に出せない抑圧した願望や欲求を、無自覚ながら相手へ問いかけるキズナ キズナが善かれと思って投げかける言葉には、相手の思考や行動を縛ったり依存や支配してしまう力がありました。 これが悪魔と呼ばれるキズナの性質だったのではないかと思います。 ゲーム内では 「やさしい悪魔はここにいるよ」 とのボイスも収録されており、受け取り方によって善にも悪にも変わるキズナの言葉の矛盾性が感じ取れます。 これこそが、キズナに対して抱く悪魔の側面で、他人の心の影(シャドウ)となる場合もあるのではと考えました。 3分動画としてYouTubeに投稿している都合上、悪魔の全貌を全て解説できませんでしたがイメージの補完としてこの記事が参考になればうれしいです。 消滅都市のタロットシリーズ動画を完結させた後に、これらを更に深掘りした動画を作っていこうと考えています。 オカルト・魔術・魔女術などがお好きな方は引き続きチャンネル登録お願いします。 ▼お願い この記事が参考になりましたら引用またはシェアしていただけると嬉しいです。また、ご自身の考察およびゲームの感想にもぜひご活用ください(こちらへの報告は不要です) ただし、この記事は消滅都市ユーザー【海鮮かきあげ】の個人的見解であります。引用元を明記せずに文章の改変・自作発言・盗用・剽窃は為さらぬようお願いいたします。

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【消滅都市】タロットシリーズ考察 サヤコ【節制】

YouTubeにて消滅都市のタロットシリーズをウェイト版タロットに描かれた象徴や背景と結び付けてキャラの特性や性質を深堀りしております。 本記事は、YouTubeにアップした動画と節制のタロットについての補足です。 14世紀頃に描かれたとされるヴィスコンティ=スフォルツァ版タロットの節制には、2つの杯を持った女性が描かれていました。杯の中にはそれぞれワインと水が入っているといわれています。 これには中世ヨーロッパの時代的背景が関係しており、趣向品としてワインが高級だったこの時代、人々は水を加えて節約しながら楽しんでいたといった理由があります。 ワインに注いだ水が多すぎても少なすぎても美味しく飲めない。 この節約術と絶妙な水加減で調整する技が節制のタロットの原点となりました。 それもいつしか錬金術の原理に置き換えられ、大いなる業(おおいなるわざ)として性別のない天使が超人的な技術力で液体を注ぐ描写へと変化しました。 ちなみに、節制に描かれた天使は 大天使ラファエルだと考えられています。 ウェイト版タロットの節制に描かれた天使は 片足ずつ水面と地面に触れており、 地面=物質世界(意識) 水面=精神世界(無意識) を意味するそうです。 (キアヌ・リーブス主演の映画「コンスタンティン」で地獄を幻視・視覚化するとき、両足又は全身を水に浸すシーンがあります。映画の演出的にスクライングのような手法だったのかもしれませんが、私は水面に片足を触れている節制のタロットを思い出しました) ■節制のタロットとサヤコの関連性 天上の世界で一部ストーリーに登場したものの人物像や背景が語られていない為 ・ウェイト=スミス版タロット ・トートタロット 動画内では、上記の2デッキの節制からサヤコの能力や立場を考えました。 ウェイト版タロットは右手側にアイリスの花が描かれています。 アイリスとは虹の女神に由来する名前で ・虹 ・架け橋 ・和解者 ・仲介者 などの意味があります。 この花が持つ意味のように、サヤコは地上の人々の想いをアーティファクト(ガワ含む)と共にイデアに渡った本来の想いの持ち主へ、記憶と想いを移し替える或いは渡す仲介者や架け橋的な役割があったのではないか?といった主旨で動画制作しました。 消滅都市のタロットカードだけで考えると、マルセイユ版の絵柄の方が似ているのですが、サヤコの特性を考えてウェイト版とトートタロットに描かれた象徴と背景で解説しています。動画も併せてご覧ください。 ▼お願い この記事が参考になりましたら引用またはシェアしていただけると嬉しいです。また、ご自身の考察およびゲームの感想にもぜひご活用ください(こちらへの報告は不要です) ただし、この記事は消滅都市ユーザー【海鮮かきあげ】の個人的見解であります。引用元を明記せずに文章の改変・自作発言・盗用・剽窃は為さらぬようお願いいたします。