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「も」のたった一文字にこだわる男、オレ。すこぶるキモいことを承知で言うが、良い上司を装った偽善も十分キモい。

田舎に帰省して墓参りに行った。

台風の前日の風にあおられてボクが線香に火をつけるのに苦戦している最中さなか
三人の子どもたちが、無邪気に走り回り始めた。

「こんなところで、走ったらあかんで。ご先祖様、行儀悪い子やなぁってみとるでー」
ボクは優しくさとした。
妻も注意していた。

子どもたちからは
「はーい」と返事は聞こえたが、
それでも三人の鬼ごっこは止まらない。

しばらくして、
逃げ回る長女の足が、ボクの足元にあった水桶みずおけにぶつかった。
ここでボクの我慢が限界に達した。

「なにしとんねん!いいかげんにしろ!もうココに三人とも置いて帰るから!幽霊がでてきてもしらん」
大声でビシッと空気を切り裂くキレた“体裁ていさい”で叱った。

すると爺さんが、ボクに言った。
「ちょっと言い方が、厳しすぎるんじゃないか。もう少し優しく言ってやれよ」

どこの家族でも、あるあるの光景であろう。

ボクは、普段は子どもに激甘である。
アマアマすぎて妻から呆れられているほどだ。

でも、

そんなボクであっても、
田舎に帰る前には散々、言い聞かせた。
「あいさつちゃんとしなさいよ」
「いただきます、ごちそうさま、ごはんは姿勢よく残さずたべる」
「ふざけてもいい。けど、やめろ、言うても聞かなかったらジイジ、バアバの前でもパパは怒るからね」

幼い子供は環境が変わってフリーにさせてしまうとどこまでもいってしまう。
きっとボクが言わなければ、我慢の限界に達した時点で、ジジババが注意したであろう。

そうなるとイロイロおわる。

子どもがジジババに嫌われたくないから。
マナーのない子と思われたくないから。
だから外では鬼になる。

子が起こす問題は、親“にも”責任があるから。

ん?

え?

「天地神明に誓って『知らなかった』と言えます」

例の不祥事が世間をにぎわしている問題。B社の社長(いまは“元”)の会見。

キモくなかったですか?
ボクはすこぶるキモいと思った。

実際に(部下の不祥事を)知っていたかもしれないし、社長業を息子に任せきりだったというので知らなかったかもしれない。
その真実はボクには分からないから、その解明・解読は賢明で知的な方々にお任せするとして、

この一連の会見の流れで垣間見えたこの元社長が、自身のなりたくのない“上司像”に酷似していたため、それがキモかったのだ。

これについてのボクは深読みすぎ、
考えすぎとの意見があってしかるべきで、
そもそもボクがnoteで綴る自身の思考回路はすこぶるキモいのは自明の理。

キモい男がキモいを語るので、まともな人はここで脱落することをお勧めしたいが、
仮にキモイをみたい、という更なるキモい強者つわものがいるのなら覚悟をもって、
キモい顔しながらこの先を読み進めてほしい。

我が社のキモいエリート

ウチの会社に勝ち続けている男がいる。
隣の部署。ボクよりも4歳年上で、同じ役職ではあるが身分は彼の方が1階級上。
おそらく数年内に役員になるのではないかと思うほど出世レールに乗ったノリノリ男である。

ボクが彼を斜に構えて評価をするのなら、
成功すれば一発花火、でも失敗の可能性も往々にあるというビミョー案件に対する感度がすこぶる鋭い。
ビミョー案件との距離の取り方が抜群にうまく、完璧にリーマンという職種をわきまえた男という印象である。

ビミョー案件に対して部下から上申があったとき。
「キミの熱意をくんだ。一応、承認するから頑張れ。失敗したら俺が責任をとる。」
といい、渋々しぶしぶな体裁でゴーサインを出すところからすべては始まる。

しかし、期待された成果があげられずに当該の部下が会議で、ボスから説明を求められ、脇が甘かったことを指導・叱責されていると、ここでノリノリ男がすかさず口をはさむ。
「私『にも』責任があります。部下の熱意と判断を信じ、任せてしまいました」
と報告するのだ。

んん?

ボクはこれが納得いかない。
『にも』?ではなく
「私『に』責任があります」だろう?

こういうオトコに限って、責任をとるのは上司の仕事。そのぶん給料も多くもらっているのだから、
って、飲み会ではカッケーことをよく言う。

でもこういう場においては、
「私『にも』責任があります」なのだ。

見透かしている。
あんたのずるさ。
ボクのキモいセンサーをくぐり抜けることはできない。

が、
これでトップからも部下からも「部下をかばういい上司」というナゾ評価を得られているから、それが不思議で仕方がない。

ボクはもしかしたらそいつに嫉妬しっとがあるから色眼鏡もあろうか。
さらにボクがキモいだけかもしれないが、
これをボクは“良い上司を装った偽善だ”
と、そう評価している。

たしかにコトバの聞こえはいいのかもしれないけれども、
「私“にも”責任があります」といって、
暗に失敗の責任を部下にやんわりと押し付けつつ踏み台にし、部下をかばっている感で補充しているだけである。
と、そう評価している。

…と、なにを熱く語ってんだか。

しかし、こんなにこだわらなくてもいいほどに細かいニュアンスを「わかる!」とご賛同いただけるあなたとは、
きっと、会ったことなくともリアルで夜通し飲み明かせるほどに、気の合う同士だろう、と認定できる。

「天地神明に誓って『知らなかった』と言えます」

私は指示していないし、知らなかった、
(当該の部下を)訴えるつもりでいる。遺憾である。
だけど責任は私にあるから辞めますよ

もちろん、トップの指示だと認めると会社が飛ぶ。だからそこは明確に否定しなければならない。

うん、それはそう。
そうかもしれない。
でもね。

ボクの会社にいるあのイケイケ男の偽善に、似ているなぁと思った。
暗に失敗の責任を部下にやんわりと押し付けつつ踏み台にし、部下をかばっている感で補充しているな、って。

だからね、キモいと思ったのよ。

そんな感想をもってしまったが許してほしい。

あなたより、
「も」の一文字にこだわるボクの方が圧倒的にキモいから。だからボクの方“にも”問題があるのさ。

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