麻薬単一条約Wikipedia.欧州連合司法裁判所の20年11月19日判決「CBDは麻薬ではない」. 国際的な薬物政策は、懲罰的アプローチから公衆衛生アプローチへ。「人権及び薬物政策に関する国際ガイドライン」の和訳を公表.2021年1月27日「麻薬中毒者台帳は廃止して」 大麻使用罪創設なら守秘義務に配慮を.等麻薬単一条約及び麻薬単一条約に基づく国内法の刑罰ありきの規制を問題視し麻薬中毒者の治療の必要性を示す記事PDF魚拓


刑罰規定

本条約第36条が、流通・生産、所持が故意に行われた時には処罰すべき犯罪とみなし、特に重大な場合においては拘禁といった自由を剥奪する措置を確保することに関する。

中毒者への措置

本条約第38条は、薬物中毒の治療(Treatment of drug addicts)に関するものであり、1項が、医療的な治療と回復[11]のための施設を用意することに関してであり、2項は、問題が深刻な場合には経済的な資源が許すかぎり、効果的な治療のための施設を設置することに関している。

なお、addictionの語は、条約の邦訳文では中毒と訳されているため、本記事はこれに準じている。日本の麻薬及び向精神薬取締法においても中毒の語が用いられ、日本の法律上は嗜癖に近い意味である[12]。現行の医学的にはaddictionは嗜癖と訳される[12]。中毒の語は、医学的に大量摂取時などの有害作用を指すためである[12]

また、addictionの用語は、世界保健機関により定義があいまいであるとされ、誤用されるので専門用語から除外された[13]。後続の条約である、1971年の向精神薬に関する条約では、乱用依存症の語が用いられている。

嗜癖」も参照

判例

欧州連合司法裁判所は2020年11月に、カンナビジオールは規制の範囲ではないとの見解を示した。大麻草全体から抽出したカンナビジオールはもはや農産物(植物そのもの)ではないため、(植物を規制する)麻薬に関する単一条約の規制する範囲ではなく、また現在の科学的知見から健康に有害ではないため、科学的データを欠いたまま規制を課せば「人類の健康と福祉」を保護するという条約の目的に反することになるとの見解を示した[14]

薬物規制の失敗

麻薬戦争」も参照

公布から50年が経過した2011年、薬物政策国際委員会は、麻薬に関する単一条約から始まる薬物戦争が失敗に終わったことを宣言し、大麻の合法化の検討といった薬物政策の見直しを求めた[15][2]。条約は「人類の健康と福祉」を目的としているが、成功をもたらしていない[16]。規制した薬物の消費量は増大してきた[16]。規制は、巨大な犯罪闇市場に利益をもたらし成長させてきており、薬物使用者は烙印を押され、薬物依存症の治療から疎外されている[17]

厳しい刑罰が薬物の使用を抑制するという仮説は反証されており、非犯罪化などの寛容政策を採った国々の使用率や依存率は上昇しておらず、より厳しい政策をとっている国々の方が、薬物の使用による問題が大きい[18]。それに加え、禁止は合成カンナビノイドといった合法ドラッグの市場をにぎわせている[19]

50年前の1961年に僅かな科学的な証拠に基づいて設計された、薬物の相対的な有害性による現行のスケジュールの指定は、明白な異常をもたらし、特に大麻やコカの葉は、現在では誤ってスケジュールが指定されている[20]。スケジュールIの指定は、医療大麻のような治療的な利用に対する影響を研究することを困難にしている[21]

2013年国際連合の薬物乱用防止デーにおいて、法の支配は一部の手段でしかなく、処罰することが万能の解決策ではないという研究が進んでおり、健康への負担や囚役者を減らすという目標に沿って、人権や公衆衛生、また科学に基づく予防と治療の手段が必要とされ、このために2014年には高度な見直しを開始することに言及し、加盟国にはあらゆる手段を考慮し、開かれた議論を行うことを強く推奨している[22]

2016年4月には、国際連合薬物特別総会(UNGASS:UN General Assembly Special Session on Drugs)2016が開催される[23]。以前の総会は1998年に開催され、加盟国には非現実的な「薬物のない世界」という目標が課されたが、犯罪や暴力が薬物の使用によるものではなく、規制の結果であることが示されてきており、近年では大麻の合法化など制限を緩めている国があり、また犯罪を強調することが人権蹂躙を引き起こしているなど、見直しの必要性が挙げられている[23]。2016年11月30日、世界保健機関の専門委員会は正式な審査がなく、医療大麻も用いられているため審査の準備を開始している[24]

2018年11月には国連システム事務局調整委員会は、国連システムとしての薬物問題への対処法を確認し声明を出したが、人権に基づくこと、偏見や差別を減らし科学的証拠に基づく防止策や治療・回復を促すこと、薬物使用者の社会参加を促すことといった考えが含まれている[25]。2019年6月には、国際麻薬統制委員会 (INCB) も声明を出し、薬物乱用者による個人的な使用のための少量の薬物所持のような軽微な違反に対して懲罰を行うことを薬物を規制する条約は義務付けておらず、そのような場合には有罪や処罰ではなく治療や社会への再統合という代替策があるとした[26]持続可能な開発のための2030アジェンダ (SDG) の目標として薬物規制条約に従いながら人権保護を最大化するために、国連開発計画や世界保健機関は「人権及び薬物政策に関する国際ガイドライン」を出版した[27]

国立精神・神経医療センターの薬物依存研究部の松本俊彦によれば、条約の前文では「人類の健康と福祉」を心配しているのに、日本の現状として薬物問題からの回復を妨げるかのように刑罰が偏見を生み出してしまっていれば、健康と福祉に対し逆効果ではないか、日本でも健康と福祉について慎重に議論すべきだと指摘している[28]

脚注

[脚注の使い方]^ 松下正明(総編集) 1999, pp. 109–110.
^ a b 薬物政策国際委員会 2011.
^ 麻薬に関する単一条約 原文:Concerned with the health and welfare of mankind
^ 麻薬に関する単一条約 原文:Recognizing that addiction to narcotic drugs constitutes a serious evil
^ 麻薬に関する単一条約 原文:Considersing that effective measures against abuse of narcotic drugs
^ 松下正明(総編集) 1999, pp. 110–111.
^ a b c テドロス・アダノム・ゲブレシウス、(訳)日本臨床カンナビノイド学会 (23 July 2018). 国連事務総長(アントニオ・グテーレス氏)への手紙 (pdf) (Report). 世界保健機関. 2019年1月15日閲覧。 原文:ECDD 40th meetingのDirector-General letter 。医療の証拠については「WHO 18年6月専門家ピアレビュー」。翻訳文書の経緯:“2018年6月 第40回WHO ECDD会議の結果について”. 日本臨床カンナビノイド学会 (2018年9月3日). 2019年1月15日閲覧。
^ a b “UN commission reclassifies cannabis, no longer considered risky narcotic”. 国連. (2020年12月2日) 2020年12月3日閲覧。
^WHO、大麻およびカンナビノイドの医療的価値を認める勧告へ”. 日本臨床カンナビノイド学会 (2019年2月4日). 2021年1月16日閲覧。 付録の「WHO大麻および大麻関連物質の再分類」および「ECDD41勧告 大麻関連抜粋(日本語訳)」も参照。
^国連は大麻及び大麻樹脂を附表Ⅳから削除を決定”. 日本臨床カンナビノイド学会 (2020年12月3日). 2021年1月16日閲覧。
^ 麻薬に関する単一条約 原文:medical treatment, care and rehabilitation of drug addicts
^ a b c (編集)日本緩和医療学会、緩和医療ガイドライン作成委員会「薬理学的知識」『がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン』(第1版;2010年)金原出版、2010年6月20日。ISBN 978-4-307-10149-3
^ 世界保健機関 (2003年). WHO Expert Committee on Drug Dependence - Thirty-third Report / WHO Technical Report Series 915 (PDF) (Report). World Health Organization. p. 22.
^欧州連合司法裁判所の20年11月19日判決「CBDは麻薬ではない」”. 日本臨床カンナビノイド学会 (2021年1月26日). 2021年1月28日閲覧。
^ “「世界的な麻薬戦争は失敗」 国際委員会が別の対策を勧告(字幕・2日) (1:31)”. REUTERS. (2011年6月4日) 2013年4月8日閲覧。
^ a b 薬物政策国際委員会 2011, p. 4.
^ 薬物政策国際委員会 2011, p. 9.
^ 薬物政策国際委員会 2011, p. 10.
^ Rolles, Stephen; Kushlick, Danny (October 2014). “Prohibition is a key driver of the new psychoactive substances (NPS) phenomenon”. Addiction 109 (10): 1589–1590. doi:10.1111/add.12543. PMID 25163705.
^ 薬物政策国際委員会 2011, p. 12.
^ Nichols, David E.; Nutt, David J.; King, Leslie A. (August 2013). “Effects of Schedule I drug laws on neuroscience research and treatment innovation”. Nature Reviews Neuroscience 14 (8): 577–585. doi:10.1038/nrn3530. PMID 23756634.
^ 国際連合 (26 June 2013). "Secretary-General's remarks at special event on the International Day against Drug Abuse and illicit Trafficking". United Nations (Press release). 2013年11月13日閲覧。
^ a b Christopher Ingraham (2015年5月5日). “Global drug policy isn’t working. These 100+ organizations want that to change.”. Washington Post 2015年9月20日閲覧。
^ 世界保健機関 (30 November 2016). Extract from the Report of the 38th Expert Committee on Drug Dependence, convened from 14 to 18 November 2016, at WHO headquarters in Geneva (Report). World Health Organization.
^ 国連システム事務局長調整委員会 (2019年2月27日). “Second Regular Session Report (November 2018, New York)”. United Nation System. 2019年6月10日閲覧。 国連システム事務局長調整委員会 (2019年3月15日). “国連システム事務局長調整委員会(CEB)が「薬物政策に関する国連システムの 共通の立場」で満場一致で支持した声明文の和訳”. 日本臨床カンナビノイド学会. 2019年6月10日閲覧。
^ 国際麻薬統制委員会 (2019年6月). “State responses to drug-related criminality” (PDF). International Narcotics Control Board. 2019年6月10日閲覧。
^ 国連開発計画・世界保健機関ら 2019.
^ 岩永直子. “「麻薬中毒者台帳は廃止して」 大麻使用罪創設なら守秘義務に配慮を”. 2021年1月28日閲覧。


参考文献国連開発計画・世界保健機関ら『国際的な薬物政策は、懲罰的アプローチから公衆衛生アプローチへ。「人権及び薬物政策に関する国際ガイドライン」の和訳を公表』(レポート)日本臨床カンナビノイド学会、2019年3月。2021年1月29日閲覧。
原著:International Guidelines on Human Rights and Drug Policy | UNDP (Report). 国連開発計画. 2019年3月. 2021年1月29日閲覧。 広報:“Landmark international guideline launched on Human Rights and Drug Policy”. 国連開発計画 (2019年3月15日). 2021年1月29日閲覧。
薬物政策国際委員会 (2011年). War on Drugs (PDF). The Global Commission on Drug Policy.
松下正明(総編集) 著「IV 国際向精神薬条約」、編集:牛島定信、小山司、三好功峰、浅井昌弘、倉知正佳、中根允文 編『薬物・アルコール関連障害』中山書店〈臨床精神医学講座8〉、1999年6月、109-123頁。ISBN 978-4521492018


関連項目ハーグ阿片条約
1971年:向精神薬に関する条約(国際麻薬3条約の1つ)
1988年:麻薬及び向精神薬の不正取引の防止に関する国際連合条約(国際麻薬3条約の1つ)
麻薬戦争


外部リンク本条約和訳:1 (PDF) 2 (PDF) 3 (PDF) (外務省)

麻薬に関する単一条約
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

https://www.opensocietyfoundations.org/uploads/c82c06a5-6141-432a-8a8d-683e14a5938e/global-commission-report-english-20110624.pdf





2019年3月14日から22日にかけて第62回国連麻薬委員会(CND)の会合がオーストリア・ウイーンで実施されます。投票権をもつ53か国の加盟国、各国議員、政府組織、市民、科学者から約2000名の参加があります。

https://www.unodc.org/unodc/index.html



国連事務総長が議長を務める国連システム事務局長調整委員会(CEB)は、国連機関31のリーダーらが参加する国連システムの最高の調整機関です。



この調整委員会(CEB)が昨年11月の定例会議で、「薬物政策に関する国連システムの共通の立場」について満場一致となった声明文があります。



この定例会議では、(a) 世界情勢、(b) 薬物政策に関する国連システムの共通の立場、(c) 国連システムのイノベーション(革新)促進について協議しました。



「薬物政策に関する国連システムの共通の立場」の3つの特徴



1)31の国連機関が1つの声として発信



これまで世界の麻薬撲滅に対する指導機関であった国連薬物犯罪事務所(UNODC)を含む31の国連機関が参加し、国連システムとして1つの声となっているのが特徴です。この声明以前では、国連の12機関が2017年6月30日に発表した「保健医療の場で差別を解消するための国連

機関共同声明」があることが知られています。しかし、薬物政策全般についての国連機関の立場を明らかにしたのは画期的です。



2)国連加盟国が採用していない薬物政策への言及が多数ある



「国際薬物統制政策の実施を支援する国連システムの共通の立場」を明らかにして、合法的な医学的および科学的目的のための管理された薬物へのアクセスを強化、薬物所持の非犯罪化を含む刑罰の代替案促進、科学的証拠に基づいた予防、治療及びリハビリテーションなど、国連加盟国があまり採用していない薬物政策への言及が多数あるのが特徴となっています。



3)国連麻薬委員会(CND)への影響力



共通の立場は、2019年2月19日に公表され、第62回国連麻薬委員会(CND)においても、国連事務総長の名前で正式な報告文書の1つとなっています。



文書番号: E / CN.7 / 2019 / CRP.10 

https://www.unodc.org/unodc/en/commissions/CND/session/62_Session_2019/session-62-of-the-commission-on-narcotic-drugs.html



麻薬委員会(CND)は、直接的な調整委員会(CEB)の31の国連機関ではありませんが、調整委員会(CEB)メンバーの国連(UN)の機能別委員会「経済社会理事会(ECOSOC)」の下にある国連の薬物政策に関する意思決定機関です。麻薬委員会(CND)の定例会合は、毎年3月に実施されていますが、共通の立場を踏まえた議論の進展が予想されます。





薬物政策の共通の立場に関する具体的な中身の一部を取り上げると下記のようになります。



共通の原則として、



「持続可能な開発のための2030年のアジェンダ(行動計画)の枠組みの中で、真にバランスのとれた、包括的で、統合された、科学的証拠に基づく、人権に基づく、開発志向の、持続可能な世界の薬物問題への対応を発展させ実施する加盟国を支援するという我々の強い公約を再確認」



行動の方向性として、



「予防、治療及び支援に基づく、科学的証拠に基づく、利用可能で、利用しやすく、手頃な価格の回復志向の継続的治療を提供すること」



「薬物乱用による公衆衛生への悪影響を最小限に抑えることを目的とした対策 (ときにハームリダクションと呼ばれる) への投資の増加を促進すること」



「疼痛の緩和および薬物依存の治療を含む、合法的な医学的および科学的目的のための管理された薬物へのアクセスを強化すること」



「個人的使用のための薬物所持の非犯罪化を含む、適切な場合における有罪判決及び刑罰の代替案を促進」



「人々の健康と人権を脅かす法律、政策及び慣行の変更を求めること」



「偏見を減らし、差別をなくし、科学的証拠に基づいた予防、治療及びリハビリテーションを普遍的にカバーすることを目的とした措置を促進すること」



「加盟国に対し、大麻に関連するものを含め、薬物統制に対する新たなアプローチのリスクと利点についてよりよい理解を深め、政策決定に必要な科学的証拠の基盤を提供すること」



説明責任と運用として、



「科学的な証拠に基づく実施を促進するためのデータ収集を確保するために(略)国連薬物犯罪事務所(UNODC)が率いる国連システム調整委員会(CEB)の作業部会を設置する。」



国連事務総長は、今回公表した「共通の立場」については、「薬物政策を規定することを目的としたものではなく、国連システムが、一つの声で話し、薬物問題に対処するための首尾一貫した努力をするための有用な内部ツール」と位置付けています。



本学会は、大麻草に含まれる有効成分のカンナビノイドに関する専門学会ですが、国際的な薬物政策の影響が大きいテーマであるため、今後もこのような世界情勢についての有益な資料の和訳および紹介に努めていきます。



国連システム事務局長調整委員会(CEB)の2018年第2回定例会概要

「薬物政策に関する国連システムの共通の立場」はこの会議録の付属資料Ⅰに収載されています。



FileName:

国連システム事務局長調整委員会(CEB)の2018年第2回定例会概要

国連システム事務局長調整委員会(CEB)が「薬物政策に関する国連システムの 共通の立場」で満場一致で支持した声明文の和訳


2019/03/15




2021/01/26



2020年11月、欧州司法裁判所は、大麻植物から抽出されたカンナビジオール(CBD)は、1961年の国連麻薬単一条約の下での「麻薬」と見なされるべきではないと述べた判決を発表しました。

1961年の国連条約は、大麻草を規制する各国の薬物規制法のベースとなっています。「大麻草の花」および「大麻抽出物とチンキ」の無許可の販売は刑事罰の対象となるはずであり、これはその後、麻薬密売の罰に関する欧州理事会の枠組み決定2004/757に反映されました。

これらの花と抽出物にはいくつかの異なるカンナビノイドが含まれており、その濃度は植物の品種や栽培技術によって大きく異なります。最も広く研究されている2つのカンナビノイドは、テトラヒドロカンナビノール(THC)とカンナビジオール(CBD)です。THCは大麻草の主要な精神活性成分であることが知られていますが、世界保健機関/依存性薬物専門家委員会(WHO/ECDD)のによる最近の科学的評価では、CBDには「乱用の可能性も依存を生み出す可能性もない」ことがわかっています。

欧州司法裁判所の判決は、フランスの裁判所から照会された訴訟がきっかけとなりました。2017年、フランスの裁判所は、チェコ共和国の大麻草全体から合法的に抽出されたCBDを含む電子タバコのカートリッジ販売者を有罪としました。

フランスでは、繊維と種子のみが合法的な大麻草であるためです。この訴訟は欧州司法裁判所に付託され(訴訟C-663/18)、2020年11月19日に裁判所は判決を発表しました。裁判所は、CBDによる健康へのリスクのエビデンスはまだ限られているが、予防的制限措置を正当化する可能性があるが、合成品が禁止ではなく、天然由来のCBDにのみ販売禁止を適用することは一貫していないと述べた。

欧州内での物品の自由な移動を制限するこれらの措置の合法性を検討し、裁判所は大麻草から抽出されたCBDは、1961年条約の意味する範囲内の薬物ではないと述べました。また、欧州の産業用大麻規制はCBD抽出物には適用されませんでした。これは、これらの規制の定義内の農産物ではないためです。


欧州司法裁判所 訴訟C-663/18
http://curia.europa.eu/juris/documents.jsf?num=C-663/18

判決文概要の仮訳は下記からダウンロードをお願いします。


FileName:
ダウンロード:CBDは麻薬ではない判決文概要

欧州連合司法裁判所の20年11月19日判決「CBDは麻薬ではない」




2021/01/26



2020/04/27



長年、国際的な薬物政策では、3つの国際条約を基盤とする薬物統制システムと、国連エイズ合同プログラムの現場の声としての人権擁護システムがお互いの目的のために矛盾した取組みをしていました。前者は懲罰的アプローチ、後者は公衆衛生アプローチと呼ばれています。

しかし、2001年以降、国連システム内の決議や政治宣言で、人権擁護と健康対策に焦点を当てた公衆衛生アプローチに変化してきました。2016年の世界薬物特別総会(UNGASS2016)の成果文書を踏まえ、2018年には、国連システム事務局長調整委員会(CEB)にて、「効果的な国連機関間の連携を通じた国際薬物統制政策の実施を支援する国連システム共通の立場」を全会一致で支持し、この年に初めて国連全体で、実質的に人権擁護と健康対策に焦点を当てた公衆衛生アプローチが薬物政策の中心となりました。

この「人権及び薬物政策に関する国際ガイドライン」は、2019年3月にイギリスのエセックス大学国際人権・薬物政策センター、、国連開発計画(UNDP)、国連エイズ共同計画(UNAIDS)、世界保健機関(WHO)などの様々な関係者の協力によって制作されました。ガイドラインの「はじめに」は次のように記載されています。
---------------------------------------------------
薬物使用や不法薬物取引に伴う危害への対応は、我々の今日の社会政策上の最大の課題の一つである。この課題のすべての側面は、人権に影響する。

この薬物問題は、2030年の持続可能な開発目標と複数のターゲット(SDGs)のためのアジェンダを横断している。この目標には薬物使用、HIV、その他の伝染性疾患の目標を掲げ、貧困の解消、不平等の削減、健康の改善などが含まれている。「目標16:平和と公正をすべての人々に」は特に重要であり、持続可能な開発目標全体にわたる人権に注意を払う必要がある。1990年代後半以降、国連総会決議は、「世界薬物問題への対応」が「すべての人権及び基本的自由」と「完全に一致して」実施されなければならないことを認めてきた。 これは、薬物統制に関する国連の主要な政治宣言の中で、国連麻薬委員会(CND)によって採択された複数の決議の中で再確認された。しかし、現実は必ずしもこの重要なコミットメントを守ってきたわけではない。

持続可能な薬物統制上の権利に基づく行動は、それから始まるべき共通の基準を必要とする。しかし、薬物の法律、政策、実践の観点から、どのような人権法が国家に求めているかについては、明確性に欠けている。人権及び薬物政策に関する国際ガイドラインは、このギャップに対処するために、3年間の協議を重ねてきた成果である。

ガイドラインは国際薬物条約、すなわち、1961年麻薬に関する単一条約(改正)、1971年向精神薬に関する条約、1988年麻薬及び向精神薬における不正取引の防止に関する国際連合条約に基づく同時義務を考慮しつつ、各国が自国の人権義務を遵守するために、各国が取るべき措置又は控えるべき措置があることを強調している。重要なことに、各国は新たな権利の発生はない。国際薬物条約の解釈と実施を含め、人権保護を最大化するために、薬物統制の法的・政策的文脈に既存の人権法を適用する。

本ガイドラインは、モデル薬物政策の「ツールキット」ではない。むしろ、適用される人権法に従って国家政策を決定するために、国家の多様性とその正当な権威を尊重する。国家は常に、国際法に基づいて規定された人権保護よりも、より有利な人権保護を適用する自由を保持している。したがって、ガイドラインは、国会議員、外交官、裁判官、政策決定者、市民社会団体、又は影響を受けるコミュニティであれ、地方、国、及び国際レベルで人権コンプライアンスを確保するために働く人々のための参考ツールである。
---------------------------------------------------
報告書の内容(目次)

はじめに

I.基本的人権の原則
1.人間の尊厳、2.権利の普遍性及び相互依存性、3.平等及び非差別、4.意味のある参加、5.説明責任及び効果的な救済の権利

II.人権基準から生じる義務
1.到達可能な最高水準の健康を享受する権利、2.科学的進歩及びその応用から利益を得る権利、3.十分な生活水準への権利、4.社会保障を受ける権利、5.生命に対する権利、6.拷問及びその他の残虐な、非人道的な、人間の尊厳を傷つける処遇又は刑罰からの自由、7.恣意的な逮捕及び勾留からの自由、8.公正な裁判を受ける権利、9.プライバシーの権利、10.思想、良心及び宗教の自由、11.文化的生活を享受する権利12.意見・表現・情報の自由、13.結社・平和的集会の自由

III.特定グループの人権に起因する義務
1.小児、2.女性、3.自由を奪われた者、4.先住民族

IV.実施例
1.データ収集、2.人権審査・予算分析、3.国際協力・援助の義務

V.条約解釈の原則
1.人権上の義務の調和と同時遵守、2.権利制限の基準

附属書Ⅰ:テーマ別参考資料: 開発、刑事司法及び健康
附属書Ⅱ:方法論

本学会は、大麻草およびカンナビノイドに関する専門学会ですが、国際的な薬物政策の影響が大きいテーマであるため、今後もこのような世界情勢についての有益な資料の和訳および紹介に努めていきます。

原文は、こちらのページよりPDFファイルでダウンロードできます。
https://www.undp.org/content/undp/en/home/librarypage/hiv-aids/international-guidelines-on-human-rights-and-drug-policy.html

国連システムにおける薬物問題と人権問題の年表(ご参考) 

2001年 国連特別総会「HIV/エイズに関するコミットメント宣言」
→薬物使用のハームリダクション(健康被害軽減)の確保について明記。

2008年 薬物と人権に関する国連麻薬委員会決議51/12
→国際薬物統制条約の実施における人権の促進と国連関連機関の協力について明記

2009年 第52会期麻薬委員会ウィーン政治宣言
→「関連支援サービス」の解釈を「ハームリダクション」を意味するとした。

2014年 国連総会決議69/201
→世界薬物問題は、国連憲章に完全に合致し、
すべての人権を完全に尊重して対処しなければならないことを再確認した。

2015年 世界の薬物問題が人権の享受に与える影響に関する研究 
国連人権高等弁務官報告書
→健康、刑事司法、差別、児童、先住民などの点から調査し、翌年UNGASS2016へ提供された。

2016年 1998年以来の世界薬物特別総会(UNGASS2016)の成果文書
→従来の需要削減、供給削減、国際協力の3本柱に、健康、開発、人権、新たな脅威の4本柱を加えた。

2017年 12の国連機関による「保健医療の場で差別を解消するための国連機関共同声明」
→ 薬物使用および薬物所持の非犯罪化、懲罰的法律の廃止を求めた。

2018年 国連人権理事会決議37/42「人権に関する世界の薬物問題に効果的な取組み及び対策の ための共同コミットメントの実施への貢献」, 国連システム事務局長調整委員会(CEB)にて「効果的な国連機関間の連携を通じ た国際薬物統制政策の実施を支援する国連システム共通の立場」を全会一致で支持
→ この年に初めて国連全体で、実質的に人権擁護と健康対策に焦点を当てた
公衆衛生アプローチが薬物政策の中心となった。

2019年 第62会期国連麻薬委員会「世界薬物問題に対処する共同コミットメントの実施加速化の ための国内的,地域的,国際的あらゆるレベルでの活動強化にかかる」閣僚宣言, 国連エイズ共同計画(UNAIDS)世界保健機関(WHO)国連開発計画(UNDP)らが「人権及び薬物政策に関する国際ガイドライン」を発表, 国連薬物犯罪事務所(UNODC)が「薬物と持続可能な開発目標(SDGs)の市民社会ガイド」を発表, 国連薬物犯罪事務所(UNODC)と世界保健機関(WHO)が「刑事司法制度に接触する薬物使用障害者の治療とケア」を発表


FileName:
人権及び薬物政策に関する国際ガイドライン(2019年3月版)

国際的な薬物政策は、懲罰的アプローチから公衆衛生アプローチへ。「人権及び薬物政策に関する国際ガイドライン」の和訳を公表





有識者会議「大麻等の薬物対策のあり方検討会」の構成員で、薬物依存症が専門の国立精神・神経医療研究センター薬物依存研究部長、松本俊彦さんに、今回の議論の行方と論点を聞いた。

使用罪ができたとしても...... 「刑罰ではなく治療」を阻むな

ーー今回の議論の行方ですが、医療用大麻を難治性のてんかんなど必要な人に使うために、なんらかの法律の整理が必要だとわかりました。そこでどさくさに紛れて厳罰化、というのは、回復支援の立場に立つ松本先生としては避けたいと考えているわけですね。

そうですね。避けたいところなのですが、避けることの重要性を一体どれだけ人々に理解してもらえるのか、はなはだ心許ない気はしています。

使用罪を作るということは、大麻の成分であるTHC(テトラヒドロカンナビノール)が尿から出てきたら、逮捕される可能性が出てくるということです。

大麻を所持していたら、大麻取締法で捕まり、尿検査でTHCが出てきたら、麻薬及び向精神薬取締法(麻向法)で捕まることになる。

メディアでは簡単にわかりやすく「使用罪」と報道して、日本はますます厳罰政策を進めた、となる流れです。

その時に、薬で困っている本人たちが回復支援や治療にアクセスできなくなるという問題が一つあります。

僕ら依存症の専門医は、患者さんの違法薬物の使用がわかっても、医師としての守秘義務を優先させますが、一般の医師、たとえば救命救急センターの先生たちの多くが通報します。使用罪ができたらますます「通報しないといけないんだ」という思い込みが強くなると思います。

だから、もし使用罪を作るとするならば、相談支援や治療の場では援助者に守秘義務を優先させるような通達を出してほしい。そのことを国として明確な方針として打ち出してくれないとまずい。

最近数年でやっと薬物の問題を抱えている人が精神科医療機関を頼る流れができはじめました。

私が実施している全国の精神科病院の調査でも、年々治療を受けている薬物依存症患者の数が増えており、しかも、「最近1年以上は薬物使用がない」という患者の割合が増えているのです。

これは単に治療につながる薬物依存症の人が増えただけでなく、そこで治療を受けるなかで薬物をやめるようになった人が相当数出てきていることを示唆します。

ようやくわが国でも、「刑罰ではなく治療」という流れが生まれつつあるわけです。そのような状況を阻むような施策を、よりによって厚生労働省がやるべきではないと思います。

ついでにいうと、司法機関も変化しています。

法務省が刊行している2020年度犯罪白書では、「薬物犯罪」が特集されていますが、以前、同じテーマを特集した1995の白書と比べると、驚くほど中身が変貌をしているのです。

なんと大半が、治療や回復支援の試みに割かれていて、また、薬物事犯者の生育歴におけるトラウマ体験に関する調査結果など、「その人がクスリを使わざるを得なかった歴史」にも光を当てているのです。

そこから浮かび上がる覚醒剤取締法事犯者は、従来の「極悪人」ではなく、「こころの痛みに苦しみ、悩めるひとりの人間」というイメージとなっています。これは明らかに大きな変化です。

治療や回復支援では守秘義務優先を明記して

それから、刑の一部執行猶予制度が2016年から施行されています。これは、従来、覚醒剤依存症の人をもっぱら刑務所という施設内に閉じ込め、物理的に覚醒剤から遠ざけるというやり方だったのを、地域内、社会内で処遇していこうという動きの第一歩であると認識しています。

具体的にはこうです。

覚せい剤だと初犯は執行猶予ですが、執行猶予期間中にまた捕まると、2回の逮捕分の刑罰が執行されます。3年ぐらい刑務所に入ることもあって、長いのです。満期で出るとその直後に使う人が多くて、無意味だと言われていました。

そこで、この制度では、一部執行猶予は3年のうち1年を執行猶予にして、2年ぐらいで出す。その代わり、2年間保護観察がついて、2週間〜1ヶ月に1回ぐらい出頭して、保護観察所がやっている回復支援プログラム「SMARPP」を受けながら検査も受けるということをやっています。

その検査で陽性が出たら刑務所に戻ることになるのですけれども、それでも保護観察官はわざと検査のタイミングをずらしたりして、刑務所に入れないように頑張ってくれている。刑務所が回復に意味がないとわかっているからです。

ところが、保護観察所でやっている唾液を用いる検査キットは、覚せい剤だけでなく、大麻にも反応してしまうのです。

そうすると、今まで保護観察中で検査で陽性が出て刑務所に戻ってしまう人が増える。せっかく施設内処遇から社会内処遇へ流れができたのに、大麻の使用罪ができることによって、治療や回復支援、司法機関なのに回復支援を頑張っているところの処遇に大きな影響が出る可能性があります。

その影響を最小限にするためには、回復支援の場で大麻使用がわかった場合の取り扱いを変えなければならない。犯罪の告発義務があるとされる公務員であったとしても、自分の本務が回復支援や治療や相談だった場合には、守秘義務を優先しなければならないとしてほしいのです。

今までは解釈でそれが許されていたので人によって対応にばらつきがありました。そうではなく、通達などの公的な文書ではっきりと方針を打ち出す必要があると思います。

麻薬の依存症者は「中毒者台帳」で監視・監督される

ーー今まで他の薬物で、告発より守秘義務を優先するように通達が出たことはあるのですか?

ないです。麻薬中毒者の届出義務があって、LSDやモルヒネ、コカインなどいわゆる麻薬に指定されているものは、依存症の状態になっていることを医師が診察した場合には、都道府県知事に届けないといけないとなっています。

届けると、都道府県の薬務課の中で逮捕権を持っている司法警察員や各厚生局の麻薬取締官が動いて、どこから買ったのかなどを情報収集します。入手先の売人を摘発するという「環境浄化」をするのです。

その人が入手できないように環境を整備すると共に、「麻薬中毒者台帳」にその人の名前が収載されます。そしてその後、定期的に監視・監督を受けるのです。

自治体にある麻薬中毒者台帳から名前を消してもらうためには、5年以上、麻薬を使わないクリーンな状態であること、そして、正規の職員、常勤の正社員としてどこかに雇用されることが必要です。

ーーハードルが高いですね。

そうですよね。ですからほとんどの人が死亡をもって台帳から抹消される。逆に言えば、死ぬまで監視を受け続けるわけです。

2016年に起こった相模原事件をめぐる議論では、措置入院を解除されて退院した人に対しては、保健所が半年ほど監視・監督をするかしないかで、大いに揉めました。そして、保健所の監視・監督については、「人権侵害だ」という声もありました。

ところが、麻薬中毒者だと、そんなもんじゃない、半永久的な人権侵害が行われるんです。この制度ができたのは昭和30年代の前半です。この時代の感覚だったら、刑罰だけでなく、医療的な支援を促すという意味で一定の先進性はありました。

しかし、今や、保護観察のような刑事処分よりもはるかに長期にわたる人権の制限として、今日における精神保健分野の人権擁護感覚からは著しく乖離しています。

これは麻薬に関するものじゃないかと思うかもしれませんが、大麻を繰り返し使って依存症の状態になった人も麻薬中毒者に該当します。

もし、大麻依存症の人が受診した場合、それを都道府県に届け出ると、その人は半永久的に人権侵害を受けることになります。

ーーその台帳に載っていると監視される他、何かできなくなることがあるのですか?

おそらく国家資格などは取れなくなるでしょうね。定期的に都道府県の麻薬取締員や、厚生局の麻薬取締官の人から電話がかかってきたり、年に1回面接をしなければならなかったりする。すごく大変で屈辱的です。こういうことが許されているのはおかしいと思います。

だからもし使用罪ができて、THCが尿中から検出されたら罪に問うとしても、麻薬中毒者台帳に載せるのはやめてほしい。というか、ぜひこの機会に麻薬中毒者制度の廃止についても検討すべきです。

実際にはその制度があってもほとんど使われていません。死に体制度といっていい。医師国家試験にはよく出題されるものの、試験に合格した瞬間になぜかみんな忘れてしまう。都道府県知事に届け出ることを知らずに警察に届け出る医師もいるんです。

日本で厳罰化以外の道はないのか?

ーー海外で大麻を嗜好品として合法化している国では、医療用大麻との制度的な棲み分けはどうしているのですか? 医療用大麻も誰でも処方できる感じですか?

このあたりは、国によって様々だと思います。

向精神薬として、規制対象としてリストされつつも、その制限の程度は軽重様々です。処方できる医師の資格や医療機関を制限したり、処方日数の制限があったり、個人輸入に一定の制限をもうけたり。その意味では、睡眠薬とか安定剤と同じ扱いの国もあります。



厚生労働省

2020年12月2日に開かれたCND(国連麻薬委員会)で、「大麻に関する6つのWHO勧告」の採決が行われ、「大麻から製造された医薬品に医療上の有用性が認められたことに基づき、条約上の大麻の規制のカテゴリーを変更する」勧告が可決。大麻は1ランク危険度が下げられた

ーー日本でもそういう位置付けにすることはできなくはないわけですよね?

やれなくはないと思いますが、まず、これまで大麻を危険な薬物として啓発してきた歴史があります。

また国連麻薬委員会でも、大麻の規制カテゴリーは「特に危険で、医療上の用途もない」カテゴリーⅣではなくなったけれど、Ⅰは医療用の用途はあるけれど乱用の恐れがあり、危険な薬物という位置付けです。

そんな薬物をベンゾジアゼピンなどと同じ位置付けに置くわけにはいかないという見解です。オピオイド系鎮痛薬やADHD治療薬のように処方医の資格を制限する形とせざるを得ないのではないでしょうか?

難しいのは国連も一枚岩ではないということです。



厚生労働省

厚生労働省の資料では、国連の国際麻薬統制委員会の見解として、医療目的以外で大麻を合法化した国に懸念を表明していることを紹介した

先日の厚労省の検討会の資料では、国連の国際麻薬統制委員会の見解を出し、大麻の使用を合法化した国に対して懸念を表明していることを紹介しました。

一方、国連の麻薬特別総会や元々ポルトガルの首相で非犯罪化を進めたアントニオ・グテーレス事務総長は、非犯罪化の考えです。

「国連はこう言っている」と示す時に、国連のどの部署の意見を取り上げるかによって、いくらでも色合いは変えられるわけです。

ーー国連の見解として、国際麻薬統制委員会の意見を資料として出してきた厚労省の意図が透けて見えますね。

カテゴリーⅣからⅠにした時に、国連の中で加盟国が投票して僅差で危険度を下げる賛成票が勝ちました。もちろん僅差だから多くの国が賛同しているわけではないという言い方はできます。

でも賛成している国を見ると、ほとんどが欧米の先進国です。

一方、反対している国は、ロシア、中国、開発途上国です。社会主義的な独裁国ばかりです。日本はどちらの国の系列に入りたいと思っているのですか?ということを国民に聞きたいですよね。

ーーそして、日本はこの投票で反対票を投じたわけですね。

そうなんです。勝手に反対票を出さずに、国民、せめて専門家に問うてから投じてほしいですね。

犯罪化や厳罰化は誰を幸せにするのか?

ーー弁護士の亀石倫子さんたちが今回の議論が始まるのを受けて、大麻などの薬物取り締まり強化と大麻使用罪創設に反対する署名活動を始めましたね。どのようにご覧になっていますか?



change.org

ネット上で始まっている取締り強化に反対する署名活動

薬物のことに関して、健康被害の程度が明らかになっていないにもかかわらず、あたかも殺人犯と同じぐらいの程度で極悪人扱いする報道や、ラベリングをすることによって、ひどい人権侵害が起きています。

ある嗜好をもっているけれど、危険とは言えない人の排除が行われることになる。それによって、社会に貢献できる有益な才能や能力を持っている方たちが抹殺されてきた歴史があるような気がします。

公開 2021年1月27日

「麻薬中毒者台帳は廃止して」 大麻使用罪創設なら守秘義務に配慮を

大麻の使用罪を創設し、医療用大麻を使えるように法整備をしようとする議論。使用者を社会から排除しないために、どのような配慮が必要なのでしょうか?



by Naoko Iwanaga

岩永直子 BuzzFeed News Editor, Japan