2024年7月10日特例法外観要件違憲判決がありましたので生物学的女性団体側のENCOUNT記事とGID当事者団体側のNHK記事東京新聞記事PDF魚拓しました。Voice署名に関しては女性スペースを守る会に加えGID団体と同性愛者団体と性暴力被害者団体の連名による内容と思われます。



最高裁判所にあっては、性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律の「性別適合手術の要件」につき違憲判決を下さないよう求め、各政党にあっては、この要件を外す法案を提出しないように求めます。

提出先:最高裁判所戸倉三郎長官&各国政政党代表 担当者:女性スペースを守る諸団体と有志の連絡会(性同一性障害特例法を守る会、女性スペースを守る会、平等社会実現の会、白百合の会、性別不合当事者の会、性暴力被害者の会、No!セルフID女性の人権と安全を求める会及び有志) ※担当者は提出先の機関内の担当者や関係者を想定しており、提出先を想定しています。本活動と直接関りがない前提でのご記載です。

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作成者:女性スペースを守る諸団体と有志の連絡会

活動詳細
経過報告11
コメント3857

活動詳細

署名終了 2023年10月23日(月)23時59分→10/24提出します
2023年10月25日が最高裁の判決日と決定しました。前々日23時59分までで締め切りとし、翌24日に第一次集約分とともに、まとめて全ての署名を提出します。


★ 第一次集約分
2023年9月25日23時59分に集約し、合計14,935 名の署名を、2023年9月26日に最高裁裁判官宛に提出いたしました。秘書官を通じて、速やかに各裁判官へ資料とともに配布されました。(署名計14,935 名のうち、オンライン署名14,652名、用紙署名283名)

特例法の手術要件について、
違憲と判断して効力を失わせたり
これを外す法改正をして、
「男性器ある女性」を出現させないで下さい!


 2023年9月27日、最高裁大法廷は、性別適合手術をしていない男性の「戸籍上の性別の変更」について弁論を開き、その上で「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」の手術要件が憲法に違反するかどうかの判断をします。

 原告はこれを違憲だと主張し、その論者らは法的な性別を変えるのに手術をしなければならないのは酷だ、「断種手術だ」といいます。

 事案は、性同一性障害と診断されている男性で、高額の手術費や後遺症への不安から、精巣の摘出手術さえ受けていないということです。

―朝日新聞6月27日 https://www.asahi.com/articles/ASR6W3JM2R6RUTIL02Q.html


しかし、特例法は、身体違和が耐えがたい性同一性障害の人のうち、性別適合手術を終えた人が生きやすくするための法律です。法的性別を変更したいから手術をするのではなく、望んで受けた後に生活のために戸籍の性別も変えるのです。過去、知的障害者らにされた「断種手術」とはまったく違います。法的な性別を変更した当事者は、「手術要件があるからこそ社会から信頼される根拠になっている」と実感し、かつ公に主張しています。

 違憲の余地はありません。


 万一、特例法の手術要件が違憲と判断されると、男性器があるままの法的女性が現れます。性別が変わった後に「生物学的には父となる女性」「生物学的には母となる男性、出産する男性」もあることにもなります。

 法的女性となれば、女子トイレはもちろん女湯などあらゆる女性スペースに男性器のあるまま入れる権利があることになります。手術要件をなくしてしまった諸外国と同様に、社会的に大きな混乱が起きることは明白です。

 法を改正することは不適切です。


○ よって、最高裁判所にあっては、性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律の「性別適合手術の要件」につき違憲判決を下さないよう求め、各政党にあっては、この要件を外す法案を提出しないように求めます。


■ マンガですぐ分かる!
https://gid-tokurei.jp/pdf/comic.pdf
『今、目の前に迫る危機』手術無しで性別を変えられる?



■ 漫画チラシをポスティングなどしてみようという方は、ぜひご連絡ください。

漫画チラシをお知り合い等に渡す、各戸にポスティングしていただく場合は、200枚単位で無料送付もいたします。ご協力いただける方は、送付先のご住所・お名前・希望枚数を

save@womens-space.jp(女性スペースを守る会)

へメールでお送りください。「漫画チラシの送付希望」というタイトルでお願いします。

※局留めも可能です。希望される方は郵便局の住所と名称、それにご自身の氏名をお知らせください。局留めの場合は受け取りの時に身分証明が必要ですので、本名でないと受け取れません。

※頂いた住所・氏名など個人情報の秘密は厳守致します。


■ 郵送での署名も受け付けております。

署名チラシのダウンロードはこちらのURLから。

https://gid-tokurei.jp/pdf/shomei.pdf



■ 連絡先

女性スペースを守る諸団体と有志の連絡会

 【E-mail】 info@gid-tokurei.jp

 【FAX】 046-263-0375

 【WEB】 https://gid-tokurei.jp

 【郵送先】 〒242-0021 神奈川県大和市中央2-1-15-5階 大和法律事務所内


■ SNS

性同一性障害特例法を守る会
 https://gid-tokurei.jp
 https://note.com/gid_tokurei

女性スペースを守る会
 https://womens-space.jp/
 https://note.com/sws_jp

平等社会実現の会


白百合の会
 https://note.com/morinatsuko

性別不合当事者の会
 https://note.com/ts_a_tgism/

性暴力被害者の会
 https://reliefkids.wixsite.com/---------victim-surv
 komaken602@gmail.com

No!セルフID 女性の人権と安全を求める会
 https://no-self-id.jp/wrws/
 no.self.id.jp@gmail.com

最高裁判所にあっては、性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律の「性別適合手術の要件」につき違憲判決を下さないよう求め、各政党にあっては、この要件を外す法案を提出しないように求めます。



「男性器あるままの女性」 に反対します



「男性器あるままの女性」 に反対します提出先:広島高等裁判所岡山支部 裁判官 、メディア各位 、(追加)岸田首相、法務省、厚生労働省、消費者庁、文部科学省、内閣府男女共同参画局、警察庁、内閣法制局




作成者:水田慧活動詳細
経過報告1
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活動詳細

※署名は、Voiceから届いたメールのリンクを承認して、完了します。メールアドレスは発起人には知らされません。メールをご確認のうえ、承認をお願いします!

1、署名の目的

「男性器あるままの女性」に、反対します。

10月25日最高裁大法廷の決定で、性同一性(障害)特例法の第4号規定が違憲と決定しました。

性別の取扱いの変更申立て却下審判に対する抗告棄却決定に対する特別抗告事件(裁判所のサイト、判例結果のページに移動します)

第5号規定、外観要件は広島高等裁判所に差し戻しになりました。こちらも違憲となると、…

生まれが男性の身体男性の性別の取扱いは、その人が望む場合、「男性器あるままの女性」とみなされ法的に認められるようになるでしょう。

しかし多くの一般女性の声は聞かれていません。私たちは安全と人権を求めて声をあげます。

この署名とコメントとを一緒に届ける予定です。ご意見をどうぞお寄せください。



2、活動立ち上げの背景・理由

5年ほど前から、一般の女性たちは反対の声をあげてきました。しかし、その声が無視されてきています。名のあるフェミニストや学者は、これらの動きに賛同しているからです。ただ一部、千田有紀教授と牟田和恵教授、キャロライン・ノーマ教授、作家の笙野頼子さん、ジャーナリストの郡司真子さんたちは反対を表明したため、トランスヘイターとして糾弾されたり、不当に出版や講演会のキャンセル等をされています。

「半年ほどで外観要件は、違憲の判決がだされるはずだ」との予想もありました。時間がありません。

外観要件が違憲とされ「男性器ある女性」が認められたら、女性と子供たちは危険に晒される可能性が高くなります。考えや立場の違い、それらを越えて「男性器ある女性に反対する」とだけの署名運動が必要だと考えました。

3、 問題点は何か?

性別を変えることは基本的人権の問題だとされています。しかし、大法廷の決定で考慮されているのは性同一性(障害)の人の人権のみであり、一般女性の人権は無視され、消されようとしています。本来は女性のスペースの問題であり、女性の基本的人権が蔑ろにされようとしています。反対の声をあげる人は、トランスヘイター、TERFなどと糾弾されてきました。話す価値もなしと無視され続けています。話すことすら出来ない環境は、「言論の自由」が保障されていません。意見が違うならばなおのこと、議論されるべきではないでしょうか。議論もされず、言論統制のように黙らされる、全く不健康な社会になりつつあります。私たちは公正な議論を求めています。※この署名を立ち上げようとしていた12月3日、まさにこの言論の自由が脅かされるようなことが起きました。アビゲイル・シュライアー著「あの子もトランスジェンダーになった SNSで伝染する性転換ブームの悲劇 」が翻訳・出版される予定だと知らせがあり、その後すぐ非難とキャンセルの動きが起き始めたのです。まだ日本で出版もされていない本なのに「この本はヘイト本!」と激しい調子で一部の人が言及しています。この動き、どう思われますか。

【追記】12月5日7:38 X(旧ツイッター)のKADOKAWA公式から「お詫びとお知らせ」があり、刊行中止になるとのこと。残念です。

【追記2】産経新聞出版から4/3に出版が決定。Amazonでは一位になる注目度。

【追記3】産経新聞出版(東京都千代田区)が4月3日に発行予定の書籍「トランスジェンダーになりたい少女たち SNS・学校・医療が煽る流行の悲劇」について、同社宛てに出版中止や取扱書店への放火を予告する脅迫メールが届いていた



なんと、またもや妨害が。今度は前回を凌ぐ凶悪さ。放火するとまで。取扱をやめるという本屋も…。言論の自由は?


4、活動内容の詳細



この問題はまだ多くの人に知られていません。この署名を通じて知ってもらい、判断していただきたいです。女性は、「男性器ある女性」と一緒に女湯に入ることができるのか。男性は、妻や母、娘が、「男性器ある女性」と一緒に女湯に入ってよいと思えるのか。女湯や女性トイレだけに限らず、女子スポーツ、女性の政治家を増やすためのパリテ法、クォータ制、医療の統計などにも混乱が生じます。不利益を被るのは圧倒的に女性です。女性専用の場所に「男性器あるままの女性」が入ってくる未来を、次の世代に渡してよいのかどうか。

この問題が詳しく知られていない、議論されていない事も大問題です。「性的マイノリティが好きなように生きる」というふんわりとした伝え方ではなく、現実を多くの国民に知らせなければなりません。しかし、メディアはトランスジェンダー擁護の立場からの記事しか出していません。メディアは速やかに現実を報道してください。

5、エールの使用法


広島裁判所に署名を渡しに行くための交通費、署名やコメントの印刷代、郵送代などに充てさせて頂きます。

↑上記のつもりでしたが、設定ミスでエール募集していませんでした。拡散エールのみです。もしカンパしても

いいよ!という方は、noteの方へよろしくお願いいたします。mizuのnoteはこちらです。訂正理由をnoteでも書くつもりです。

「広島裁判所に署名を渡しに行くための交通費、署名やコメントの印刷代、郵送代などに充てさせて頂きます。」※2024年1月31日 訂正します。こちらでの修正方法がわかったので覚悟を決めました。今までお金を渡していただくということにとても強い抵抗感がありましたが、印刷や、交通費にそこそこの金額はかかります。しがないシングルペアレントである自分には大きな金額です。でも、カンパをしていただくのは申し訳ないという気持ちがありました。しかし、日本ではカンパが集まりにくいとか協力しにくい空気があるのは、こう思う気持ちからだというのに気がつき、思い切ってエールをお願いする方向へ修正します。ご無理のない範囲でできる方がいらっしゃいましたら、ぜひお願いします。お気持ちに感謝し、大切に使わせて頂きます。



団体はありません。一般の個人の活動です。

■ SNS
twitter: @mizutaquu  @mizutayou1
みず 

「男性器あるままの女性」が、たとえ「みなし」でも実現してよいものかどうか。

1日診断などが横行する現在の状態では、当事者にも間違った身体にうまれて生きにくいという誤解をさせてしまいます。「男性器あるままの女性」を認めることが、本当に人権を守ることになるのでしょうか。当事者には早急な治療ではなく、時間をかけた後悔しない治療が必要ではないかと考えています。

女性と子供に安全な専用スペースが必要です。性犯罪が多くあり、届出も出来ない、裁判でも裁判官に女性が少なく正しい裁判が行われない現状では、被害を防ぐための予防策が大切です。女性専用の場所のセキュリティホールを大きくする違憲判決は支持できません。

手術をしない、「男性器あるままの女性」を法的に女性とみなすことに反対します。第5号規定、外観要件を合憲としてください。



※1月31日 訂正1 「提出先 岸田首相」追加。裁判所が署名を受け取ってもらえないという情報があり、首相はじめ各関係省庁へ追加提出をしたいと考えています。

※同1月31日 訂正2 エールの募集をしていませんでしたが、訂正方法が判明したのと考えを変えたので、エールを募集する設定に変えました。

「男性器あるままの女性」 に反対します



戸籍上の性別を変更する際、生殖能力をなくす手術を要件とする性同一性障害特例法の規定は違憲だとする最高裁判所の決定を巡り、女性有志の市民団体「女性の定義を守る会」が26日、都内で緊急記者会見を行った。
25日の最高裁判定では、性別変更の際に必要な生殖能力をなくす手術を「違憲」と判断

 戸籍上の性別を変更する際、生殖能力をなくす手術を要件とする性同一性障害特例法の規定は違憲だとする最高裁判所の決定を巡り、女性有志の市民団体「女性の定義を守る会」が26日、都内で緊急記者会見を行った。

軽トラからセンチュリー、バイクにバギー…大御所タレントの仰天愛車遍歴(JAF Mate Onlineへ)

「女性の定義を守る会」は、LGBT理解増進法の議論の際に女性の立場から反対の声を拾い上げる団体がなかったことから、SNS上の匿名女性有志が設立。女性の定義を生物学的分類に基づく原点に戻し、女性差別を解消することを目的としており、性同一性障害特例法の廃止や性別記載変更禁止法の制定を求めている。

 25日の最高裁判定では、性同一性障害特例法の規定のうち「生殖腺がないことまたは生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること」を「違憲」、「その身体について他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていること」は「高裁差し戻し」と判断している。

「女性の定義を守る会」の青谷ゆかり共同代表は、「内心の自由は保証されるべきですが、たとえ手術で生殖能力がなくなろうと、それは姿かたちを女性に似せているだけで、女性と見なすことはできません。女性スペースの利用は生物学的女性に限定すべき。最高裁の決定は身体的弱者である女性の生存権や尊厳を軽視しており、女性の人権を侵害するもので、断固として受け入れることはできません」と主張。性別変更については例外も含め認めない姿勢を取っている。

 今回の決定を巡っては「生殖能力喪失については、憲法13条に基づいた基本的人権として違憲と判断されましたが、憲法13条では『公共の福祉に反しない限り』尊重されるとあります。自身をどの性別だと思うかについては内心の自由の範囲に留まりますが、自身が自覚する性別の取り扱いを他者に強制する行為は、他者の行動様式を変容させ公共の福祉を著しく損なうものです」と見解を語った。

 また特例法で性別変更が認められていることについて、トイレや公衆浴場といった女性スペースの問題の他に「戸籍を変えることで犯罪データのロンダリングに悪用されたり、子どもたちへの影響もある」と指摘。諸外国の例を引き合いに、「思春期に誰もが通る性のゆらぎにつけ込んで、10代の子たちが性器や乳腺を切除する手術を受けさせられている。若い子たちが感化され、トランスはかっこいいとファッション感覚で手術をしたり、第二次性徴を止める薬で副作用に苦しんだりしている。子どもたちをだまして、こんなむごいことは許されません」と涙ながらに問題点を訴えた。

 今後は国に対し、「女性のあらゆる領域に対して『生物学的性別』に基づいた分類を実施すること」「特例法によって戸籍変更を行った者の実態並びに現実に起きている問題の調査の実施」「特例法そのものが女性・女児の生存権や尊厳について議論されたことがないことを踏まえ、女性の当事者団体を交えて廃止に向けた議論を行うこと」などを求めていくとしている。

ホーム社会ライフ社会>「女性の生存権や尊厳を軽視」 性別変更の手術要件、「違憲」判定めぐり女性団体が会見



男性から女性への戸籍上の性別変更 手術なしで認める決定 高裁

2024年7月10日 14時10分

性同一性障害と診断され、手術を受けずに戸籍上の性別を男性から女性に変更するよう申し立てた当事者に対し、高等裁判所が変更を認める決定を出したことが関係者への取材で分かりました。法律では戸籍上の性別を変更するには外観を似せるための手術が必要だとされていて、弁護士によりますと手術無しで男性から女性への変更を認めるのは極めて異例です。

目次注目
当事者「生きにくさから解放 うれしい」
手術要件の撤廃に反対派「強く抗議」


手術無しで認められるのは極めて異例

高等裁判所で性別の変更が認められたのは、性同一性障害と診断され、戸籍上は男性で、女性として社会生活を送る当事者です。

性同一性障害特例法では事実上、生殖機能をなくし、変更後の性別に似た性器の外観を備えるための手術をすることが要件の一つとされていました。

このうち生殖機能の手術については、この当事者の申し立てを受けて最高裁判所が去年10月、体を傷つけられない権利を保障する憲法に違反して無効だという判断を示しました。

一方、外観の手術については最高裁が審理をやり直すよう命じ、高等裁判所で審理が続いていました。

関係者によりますと高等裁判所は10日決定を出し、外観の要件について「手術が必要ならば体を傷つけられない権利を放棄して手術を受けるか、性自認に従った法的な扱いを受ける利益を放棄するかの二者択一を迫る過剰な制約を課し、憲法違反の疑いがあると言わざるをえない」と指摘しました。

そして「手術が行われた場合に限らず、他者の目に触れたときに特段の疑問を感じないような状態で足りると解釈するのが相当だ」と指摘し、手術なしでも外観の要件は満たされるという考え方を示しました。

その上で、当事者がホルモン治療で女性的な体になっていることなどから、性別変更を認めました。

弁護士によりますと、外観の手術は主に男性から女性への変更の要件とされ、手術無しで認められるのは極めて異例です。注目


当事者「生きにくさから解放 うれしい」

性別変更が認められた当事者は、弁護士を通じコメントを出しました。

当事者は「物心ついたときからの願いがやっとかないました。社会的に生きている性別と戸籍の性別のギャップによる生きにくさから解放されることを大変うれしく思います。これまで支えて下さったたくさんの方々に感謝したいと思います」としています。

代理人を務める南和行弁護士は、決定を伝えたときの当事者の様子について「ことばを詰まらせて電話の向こうで泣いている感じでした」と話し、「申し立てから5年近くかかったので、ようやく本人が安心して生活できるようになったことが何よりもうれしいです」と話していました。



代理人を務める南和行弁護士
「性別変更に必要な外観の要件について判断の枠組みを明確に示したので、各地の家庭裁判所での審判に影響がある。個別の事情から手術を受けられず、諦めていた人が申し立てをしやすくなると思う。

最高裁判所大法廷の決定以降、与野党ともに議論が始まったと聞いている。困っている人の生きづらさや不利益をできるだけ少なくするという視点で立法の議論をしてほしい」

手術要件の撤廃に反対派「強く抗議」

性別変更における手術要件の撤廃に反対している「女性スペースを守る会」は「女性ホルモンの影響で萎縮などしていても『男性器ある法的女性』であり、強く抗議する。ただ外観要件は維持されたので、何ら医療的な措置をしない男性が法的女性になる道はない。その点はよかった。何より重要なのは、特例法とは別に男性器がある限りは女性スペースの利用はできないとする法律を作ることだ」とコメントしています。注目


性別変更の要件をめぐる動き

2004年に施行された性同一性障害特例法では戸籍上の性別変更を認める要件として、専門的な知識を持つ2人以上の医師から性同一性障害の診断を受けていることに加え、18歳以上であること、現在、結婚していないこと、未成年の子どもがいないこと、生殖腺や生殖機能がないこと、変更後の性別の性器に似た外観を備えていることの5つを定めていて、すべてを満たしている必要があります。

このうち、生殖腺や生殖機能がないことと変更後の性別の性器に似た外観を備えていることの2つが事実上手術が必要とされていましたが、生殖機能の手術については最高裁判所大法廷が去年10月に違憲判断を示して以降、各地の家庭裁判所で手術を必要としない判断が示されています。

岡山県や岩手県、静岡県では女性から男性への性別変更が認められるケースが相次いで明らかになりました。

一方、外観に関する要件については最高裁が高等裁判所で審理をやり直すよう命じたため、憲法に違反するかどうかなどの統一的な判断は示されていません。

こうした状況について今回性別変更が認められた当事者側は「現状で外観の手術が問題になるのは男性から女性への変更の申し立てのみだ。生物学的な男女別で異なる取り扱いをするのは憲法が保障する法の下の平等に違反する」などと主張していました。

この要件については、さまざまな意見があります。

性的マイノリティーの当事者などで作る団体は「望んでいない人にまで手術を強いる形になっている今の法律は人権侵害だ」などと手術の要件の撤廃を求めています。

一方、要件の撤廃に反対する団体は「要件がなくなると手術を受けていなくても医療機関の診断で性別変更が可能になり、女性が不安を感じるほか、法的な秩序が混乱する」などと主張しています。

性別変更の要件については、法務省が最高裁大法廷の違憲判断を受けて法改正についての検討を続けているほか、公明党が手術の要件を見直す見解をまとめ、自民党にも呼びかけて秋の臨時国会を視野に法改正を目指すことにしています。

変更が認められるまでの経緯

当事者は5年前、2019年に手術無しでの性別変更を家庭裁判所に申し立てました。

社会生活上と戸籍上の性別が異なることで生きづらさを感じる一方、健康な体にメスを入れることの負担や、長期の入院などを強いられることなどから悩んだ末に性別適合手術は受けられないと判断したということです。

家庭裁判所と高等裁判所は変更を認めませんでしたが、最高裁大法廷は2023年10月、生殖能力をなくす手術の要件は憲法に違反して無効だと判断しました。

一方、変更後の性別に似た外観を備える手術の要件については審理を尽くしていないとして、高等裁判所で審理をやり直すよう命じました。

この判断について当事者は当時「予想外の結果で大変驚いています。今回はわたしの困りごとからなされたことで、大法廷でも性別変更がかなわず、先延ばしになってしまったことは非常に残念です」とコメントしていました。

高裁でのやり直しの審理で当事者側は、外観の手術についても体を傷つけられない権利を保障する憲法に違反しているなどと主張しました。

また、当事者の日常生活や長年のホルモン治療の結果などを総合的に見れば、性別を変更するための要件は満たしていると主張しました。

林官房長官「引き続き適切に対応」

林官房長官は午前の記者会見で「国が当事者として関与しておらず、詳細を承知していないため、政府としてコメントは差し控える」と述べました。

その上で「関係省庁では去年10月の性同一性障害特例法に関する最高裁判所の違憲決定を踏まえて、実務的な課題や対応などについて検討している。立法府とも十分に連携し、引き続き適切に対応していきたい」と述べました。

男性から女性への戸籍上の性別変更 手術なしで認める決定 高裁

2024年7月10日 14時10分




トランスジェンダーの人らが、性自認に沿って戸籍の性別を変える際のハードルになっていた法律の規定を違憲と判断した25日の最高裁大法廷決定。申立人自身の性別変更の結論は持ち越しとなったが、変更が認められる可能性の高まった当事者からは「自分を取り戻せる」との歓迎の声が上がった。(中山岳、奥野斐)

【関連記事】性別変更の「手術要件」は違憲  最高裁が初判断 生殖能力なくす性同一性障害特例法の規定

◆「予想外」の喜び…でも性別変更かなわず「残念」

 「予想外で大変、驚いている。性別変更がかなわず、先延ばしになったことは非常に残念。今回の結果がよい方向に結び付くきっかけになればうれしく思う」

最高裁決定を受け、記者会見する代理人の南和行弁護士(左)と吉田昌史弁護士

 申立人の代理人を務める南和行弁護士は東京都内で記者会見を開き、申立人のコメントを硬い表情で読み上げた。

 南弁護士は違憲判断を評価しつつも、最高裁が外観要件の審理を高裁に差し戻した点は「当事者の苦しみは続く」と懸念。さらに「女性と名乗る男性が女性用トイレや風呂に入ってくる」といった誤解や嫌悪感情に基づく言説が広がりかねないとし「デマを流している人たちに誤ったメッセージを出すことにならないか心配だ」と話し、トランスジェンダーへのヘイトが過熱しないか危惧を示した。

最高裁決定を受け、記者会見で申立人のコメントを読み上げる南和行弁護士。右は吉田昌史弁護士

 一方、南弁護士が、反対意見を出した3人の裁判官が外観要件も違憲で性別変更を認めるべきだと判断したことを申立人に電話で伝えると「自分のことを分かってくれる裁判官がいる」と泣いたという。

◆トランスジェンダー当事者「やっと自分を取り戻せる」

 当事者らも今回の決定に至るまでの裁判の経過を注視していた。

 トランスジェンダーで、支援団体代表の岩井紀穂(かずほ)さん(52)=埼玉県草加市=は「ようやく最高裁が性的マイノリティーの人権に向き合ってくれた。感慨深い」と声を上ずらせた。

 戸籍上は女性だが、物心ついたころから「なんで男の子じゃないの?」と思い、服装や振る舞いも、周囲の人に男性として接してもらえるようにしてきた。それでも健康保険証などの性別欄が女性のため病院で説明を求められたり、職場で差別的な言葉を投げかけられたりしたこともあった。

 そうした経験もあり戸籍の性別を変えたかったが、卵巣や子宮を除去する手術は身体的、経済的、精神的にあまりにも負担が大きかった。「自分の身体は、自分で決める権利がある。性別変更のために手術をすることは、僕は納得ができなかった」

 今回の最高裁決定で岩井さんのようなトランスジェンダー男性は手術なしで性別を変更できる可能性が高まる。「特に若い世代が、性自認に沿った性別で生きたいと思った時に手術をするか、しないかを選択できるのは大きい」と受け止める。自身も、近く戸籍上の性別を男性にするため家事審判を申し立てる予定だ。「やっと自分を取り戻せる」と喜びを表現した。

 最高裁決定の申立人と同じくトランスジェンダー女性の時枝穂(みのり)さんは「画期的で大きな前進」と歓迎しつつ、性同一性障害特例法改正に期待する。特例法には手術要件の他にも「未成年の子がいないこと」(子無し要件)などの要件があるため、当事者の課題は少なくない。

 「最高裁が生殖腺除去手術を『身体への侵襲を受けない自由を制約するもの』ときちんと示した点はうれしい。ようやく、トランスジェンダーの人権が社会の議題に上がった。これを機に施行から約20年たつ特例法の見直しに動いて」と訴えた。

◆「最高裁の暴走」…「要件」の必要性を訴える当事者団体

 特例法が定める生殖不能要件の必要性を訴える当事者団体「女性スペースを守る諸団体と有志の連絡会」世話役の滝本太郎弁護士は「最高裁決定は、内容においても、申立人側の主張立証のみで法律の重要な要素を違憲とした信じ難いものであり、最高裁の暴走というほかない」とのコメントを発表した。

【関連記事】「女である父」「男である母」で混乱なし…性別変更の手術「違憲」 最高裁が決めた理由
【関連記事】意に反する手術は「過酷な選択」 最高裁の宇賀克也裁判官、性別変更の外観要件も「違憲」

初の違憲決定で「分かってくれる裁判官がいる」と泣いた 性別変更の「手術要件」 申立人は、当事者は

2023年10月25日 21時46分





トランスジェンダーの人が戸籍上の性別を変える際、生殖能力をなくす手術などを求める法律の要件が、憲法に違反するかどうかが争われた家事審判の特別抗告審の決定で、最高裁は25日、生殖機能をなくす手術を求める要件は「憲法違反」と判断した。
最高裁は、なぜこう判断したのか。「『女である父』や『男である母』で社会的に混乱は生じていない」とはどういうことなのか。(デジタル編集部)
▶2ページ目 かつては医学的にも合理性あったが…
▶3ページ目 裁判官3人が「外観要件も違憲」と反対意見
◆性別変更の要件は5つ
そもそも、性別変更の手続きは家庭裁判所に審判を申し立てて行う。変更には、性同一性障害特例法で定めた5つの要件を満たす必要がある。
5つの要件とは、①18歳以上、②婚姻中でない、③未成年の子がいない、④生殖腺がないか、その機能を永続的に欠く状態にあること(生殖不能要件)、⑤変更後の性別の性器に似た外観を備えている(外観要件)。
今回の審判で争われたのは、5つのうち性別変更のために手術などを求める要件、つまり④の「生殖不能要件」と⑤の「外観要件」という2つだった。
このうち最高裁は、生殖不能要件について、裁判官の全員一致で「違憲」と判断。外観要件は判断せず、高裁に差し戻した。
【生殖不能要件を「違憲」とした多数意見】

生殖不能要件を違憲とした全15人の裁判官のうち、12人の「多数意見」は次の通り。多数意見では、④の生殖不能要件が「違憲」と判断した理由を述べている。
◆憲法は「身体への侵襲を受けない自由」を保障

最高裁の裁判官15人(最高裁提供)
多数意見では「自己の意思に反して身体への侵襲を受けない自由が、人格的生存に関わる重要な権利として、憲法13条によって保障されていることは明らかである」としている。
その上で、生殖不能要件について「性自認に従った法令上の性別の取扱いを受けるという、個人の人格的利益と結びついた重要な法的利益を実現するために、手術を受けることを余儀なくさせるという点において、身体への侵襲を受けない自由を制約するものということができる」と判断。
「このような制約は、身体への侵襲を受けない自由の重要性に照らし、必要かつ合理的なものということができない限り、許されないというべきである」とした。
◆もともと要件ができた理由は…
多数意見では、法律で生殖不能要件を設けた目的について、親子関係の問題に触れながら、次のように解説している。
「性別変更審判を受けた者について変更前の性別の生殖機能により子が生まれることがあれば、親子関係等に関わる問題が生じ、社会に混乱を生じさせかねないこと、長きにわたって生物学的な性別に基づき男女の区別がされてきた中で急激な形での変化を避ける必要があること等の配慮に基づくものと解される」
◆親子関係に混乱生じたとうかがわれない
これに対し、多数意見は、生殖不能要件がなかったとしても親子関係等に関わる問題が生ずることは、「極めてまれなことであると考えられる」と指摘する。
「性別変更審判を受けた者が変更前の性別の生殖機能により子をもうけると、『女である父』や『男である母』が存在するという事態が生じ得るところ、平成20年法律第70号による改正により、成年の子がいる性同一性障害者が性別変更審判を受けた場合には、『女である父』や『男である母』の存在が肯認されることとなったが、現在までの間に、このことにより親子関係等に関わる混乱が社会に生じたとはうかがわれない」
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◆性同一性障害者への理解広まりつつある

性同一性障害特例法が施行されたのは2004年。多数意見は社会の変化についても触れた上で、生殖不能要件を廃止した場合の社会的なリスクを次のように分析した。

「特例法の施行から約19年が経過し、これまでに1万人を超える者が性別変更審判を受けるに至っている中で、性同一性障害を有する者に関する理解が広まりつつあり、その社会生活上の問題を解消するための環境整備に向けた取組等も社会の様々な領域において行われていることからすると、上記の事態が生じ得ることが社会全体にとって予期せぬ急激な変化に当たるとまではいい難い」

特例法の制定当時に考慮されていた本件規定による制約の必要性は、その前提となる諸事情の変化により低減しているというべきである

◆かつては医学的にも合理性あったが…

多数意見は、医学的な観点からも生殖不能要件の必要性を検討している。

「特例法の制定趣旨は、性同一性障害に対する必要な治療を受けていたとしてもなお戸籍上の性別が生物学的な性別のままであることにより社会生活上の問題を抱えている者について、性別変更審判をすることにより治療の効果を高め、社会的な不利益を解消することにあると解される」

「特例法の制定当時、生殖腺除去手術を含む性別適合手術は段階的治療における最終段階の治療として位置付けられていたことからすれば、生殖腺除去手術を受けたことを前提とする要件を課すことは、性同一性障害についての必要な治療を受けた者を対象とする点で医学的にも合理的関連性を有するものであったということができる」

多数意見も、かつては医学的にも生殖不能要件は合理的だったとする。

◆治療の在り方に変化、要件に求めない国も増加

しかし、性同一性障害の治療のあり方の変化から、「どのような身体的治療を必要とするかは患者によって異なるものとされたことにより、必要な治療を受けたか否かは性別適合手術を受けたか否かによって決まるものではなくなった」と指摘。生殖不能要件を課すことは「医学的にみて合理的関連性を欠く」と判断する。

その結果として、生殖不能要件は、治療としては生殖腺除去手術を要しない性同一性障害者に対し、「身体への侵襲を受けない自由を放棄して強度な身体的侵襲である生殖腺除去手術を受けることを甘受する」か、「性自認に従った法令上の性別の取扱いを受けるという重要な法的利益を放棄して性別変更審判を受けることを断念するか」という過酷な二者択一を迫るものになっているとみなす。

性別変更に対する国際的な認識にも言及。「生殖能力の喪失を法令上の性別の取扱いを変更するための要件としない国が増加している」とし、生殖不能要件の制約は「過剰」であり、「その制約の程度は重大」と判断した。

◆結論

以上を踏まえ、多数意見は、生殖不能要件による身体への侵襲を受けない自由の制約については「現時点において、必要かつ合理的なものということはできない。本件規定は憲法13条に違反する」と結論。2019年の最高裁の決定は変更するとした。

ただし、外観要件については判断せず、「更に審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻すこととする」とした。

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【岡正晶裁判官の補足意見】

岡裁判官は、最高裁決定について、今後予想される国会の対応について次のように言及した。

本決定により本件規定が違憲無効となることを受け、立法府において本件規定を削除することになるものと思料されるが、その上で、本件規定の目的を達成するためにより制限的でない新たな要件を設けることや、本件規定が削除されることにより生じ得る影響を勘案し、性別の取扱いの変更を求める性同一性障害者に対する社会一般の受止め方との調整を図りつつ、特例法のその他の要件も含めた法改正を行うことは、その内容が憲法に適合するものである限り、当然に可能である。

立法府においてはかかる裁量権を合理的に行使することが期待される。

◆3人が「外観要件も違憲」と反対意見

三浦守裁判官、草野耕一裁判官、宇賀克也裁判官の3人は④の「生殖不能要件」に加え、⑤の外観要件も違憲だとする意見を述べた。3人の意見は以下の通り。

【三浦守裁判官】

◆社会的状況に変化

本件規定は、身体への侵襲を受けない自由を制約するものとして、最高裁2019年(平成31年)1月23日第二小法廷決定当時、既に違憲の疑いが生じていたところ、その後、性同一性障害に関する医学的知見に関し、国際的に合意されたICD第11回改訂版において、性同一性障害は性別不合とされ、その症状及び治療の在り方の多様性が示されたこと、

また、地方公共団体において、性的少数者のためのパートナーシップ制度が飛躍的に拡大し、多様な家族の在り方に関する社会的状況の変化が示されたこと等からすると、現時点において、本件規定の上記の制約は、必要かつ合理的なものとはいえず、憲法13条に違反するというべきである。

◆浴場利用での混乱「極めてまれ」

5号規定は、他の性別に係る外性器に近似するものがあるなどの外観がなければ、例えば公衆浴場で問題を生ずるなど、社会生活上の混乱を生ずる可能性があることなどが考慮されたものと解されるが、公衆浴場等における風紀の維持等は、外性器に係る部分を含む身体的な外観を基準とした各事業者の措置によって具体的に規律されていること等からすると、5号規定がなかったとしても、性同一性障害者の公衆浴場等の利用に関して社会生活上の混乱が生ずることは極めてまれなことと考えられる。

5号規定がない場合には、身体的な外観と法的性別との間にずれが生じ得ることについて利用者が不安を感じる可能性があることは否定できないが、性別変更審判を受けた者を含め上記の規律が維持されることが明確になるような方策等も考えられることに加え、特例法制定後の諸事情の変化を踏まえれば、5号規定による制約の必要性は、相当に低いものとなっているというべきである。

◆外観要件も「過剰な制約」

他方で、医学的知見の進展に伴い、5号規定は、本件規定と同様の二者択一を迫るという態様により過剰な制約を課すものであるから、5号規定による制約の程度は重大なものというべきである。よって、5号規定による身体への侵襲を受けない自由の制約については、現時点において、必要かつ合理的なものということはできず、5号規定は憲法13条に違反するものというべきである。

そして、特例法の趣旨及び規定の在り方等からすれば、本件規定及び5号規定が違憲と判断される場合、両規定だけが無効となるというべきであり、特例法の残余の要件に照らし、抗告人の申立てには理由があるから、原決定を破棄し、抗告人の性別の取扱いを男から女に変更する旨の決定をすべきである。

【草野耕一裁判官】

5号規定に確実に該当するためには外性器に係る性別適合手術を受けなければならない以上、5号規定は「身体への侵襲を受けない自由」を制約している。しかしながら、5号規定は、公衆浴場等の施設において「自己の意思に反して異性の性器を見せられて羞恥心や恐怖心あるいは嫌悪感を抱かされることのない利益」(本件利益)を保護することを目的とするものであるところ、この目的には正当性が認められる。したがって、問題は、この目的を達成するために5号規定が採用した手段に相当性があるか否かである。

◆外観要件なくても「利益損なわれる可能性低い」

5号規定が合憲とされる社会と同規定が違憲とされる社会を比較してみると、5号規定が合意とされる社会は、本件利益が損なわれることがおよそ起こり得ないという点において静謐な社会であるとはいえるが、その静謐さは、5号規定該当性のみを欠いた性同一性障害者の自由ないし利益に対する恒常的な抑圧によって購われたものにほかならない。

他方、5号規定が違憲とされる社会にあっては、本件利益が損なわれる事態の発生を懸念する者がいるであろうことは理解し得るが、性同一性障害者の全人口に占める割合の低さ等に加え、公衆浴場等の施設の管理者において、その利用規則を定めるに当たり、本件利益が損なわれることのないよう細心の注意が払われること等が期待できることからすると、本件利益が損なわれる可能性は低く、一方、5号規定該当性のみを欠いた性同一性障害者の自由ないし利益に対する抑圧は大幅に減少する。

5号規定が違憲とされる社会は、憲法が体現している諸理念に照らして、5号規定が合憲とされる社会よりもより善い社会であるといえる。5号規定は手段としての相当性を欠き、違憲であると解するのが相当である。

【宇賀克也裁判官】

本件規定の目的は社会的混乱の防止にあるが、性同一性障害者は、ホルモン療法等によって外見上の性別を変化させ、さらに裁判所の許可を得て名の変更を行い、外見上も名も自認する性別に合致した生活をしているのが一般的であると考えられ、外見等からうかがわれる性別と法的性別が不一致であることの方が、社会的混乱を招くことが少なくないように思われる。

また、本件規定は、憲法13条によって保障されていると解されるリプロダクティブ・ライツに対しても過剰な制約を加えるものということができる。

◆外観要件も「過酷な二者択一」を迫るもの

性同一性障害者がその性自認に従った法令上の性別の取扱いを受ける利益は、人格的生存に不可欠なものである。性自認は多様であるが主体を特例法2条が定義する性同一性障害者に限ればその外延は必ずしも不明確とはいえないこと等からすると、上記の利益は、憲法13条によって保障されると考えてよいと思われる。

5号規定も本件規定と同様、過酷な二者択一を迫るものということができる。5号規定を廃止した場合に生じ得る問題は、三浦裁判官、草野裁判官の各反対意見に示されているとおり、上記のような過酷な選択を正当化するほどのものとまではいえない。よって、5号規定も違憲であり、抗告人が本件規定及び5号規定以外の特例法の要件を充たしていることは明らかであるから、原決定を破棄し、本件申立てを認める旨の判断をすべきものと考える。


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2023年10月25日 20時59分



最高裁は25日、トランスジェンダーの人が戸籍上の性別を変える際、生殖機能をなくす手術を求める法律の規定について「違憲」と判断した。

判断したのは、15人の裁判官全員が参加する大法廷。このうち三浦守裁判官(67)は、申立人の性別変更を認めるべきだとする反対意見を述べ、「少数者の権利利益が軽んじられてはならない」と付け加えた。

◆三浦裁判官の反対意見のポイントは

「生殖不能」を求める規定について、三浦裁判官は2019年の段階で「違憲の疑い」を指摘していた。

三浦守裁判官(最高裁提供)

今回の反対意見では、その後の医学的知見の進展や、全国の自治体にパートナーシップ制度が広がるなど、近年の社会状況の変化に言及。生殖不能要件について「現時点で、必要かつ合理的なものとはいえない」と述べた。

さらに、変更後の性別の性器に似た外観を求める「外観要件」についても「違憲」だとした。

公衆浴場などでの風紀を乱す可能性については、外観などを基準とした事業者の措置によって維持されていることに触れ、「社会生活上の混乱が生ずることは極めてまれ」と論じた。外観要件の必要性は「相当に低いものになっている」と述べた。

◆三浦裁判官の「付言」

反対意見の最後に、三浦裁判官は、2019年の決定からの4年間でも「本件規定により重大な影響を受けた者は少なくない」として、さらに「国の責務」やマイノリティーの尊重についても付言した。

2008年に改正された「性同一性障害特例法」では、性別変更の制度について必要性に応じて検討を加えることが定められていた。だが、「改正以来15年以上にわたり、本件規定等に関し必要な検討が行われた上でこれらが改められることはなかった」と述べた。

三浦裁判官は「全ての国民は、個人として尊重され、生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」として、そのための措置を講じるのは「国の責務である」と指摘した。

さらに「 指定された性と性自認が一致しない者の苦痛や不利益は、その尊厳と生存に関わる広範な問題を含んでいる。民主主義的なプロセスにおいて、このような少数者の権利利益が軽んじられてはならない」と締めくくった。


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◆三浦裁判官、これまでの裁判では?

三浦裁判官は、これまでのジェンダーや家族の多様性を巡る裁判でも個別意見を述べたことがある。

2019年、トランスジェンダーの人が戸籍上の性別を変える際に生殖腺をなくす手術が必要だとする法律の規定について、合憲と判断した最高裁第2小法廷の決定では、「違憲の疑いがある」と補足意見を述べた。

世界保健機構(WHO)や欧州人権裁判所など国際的な判断の変化に触れつつ、「現時点では、憲法13条に違反するとまではいえないものの、その疑いが生じていることは否定できない」と論じた。

また2021年には、夫婦別姓を認めない現制度を巡って憲法判断を示した決定で、別姓での婚姻届を受理しなかった市役所の対応を支持する法廷の結論には賛成した上で、夫婦別姓の選択肢がない規定そのものは違憲だと指摘した。

◆三浦裁判官、どんな経歴?

三浦裁判官は検察官出身で、2018年2月に任命された。

最高裁ウェブサイトによると、1980年に東京大法学部を卒業。1982年に検察官となり、那覇地検検事正、最高検公判部長、札幌高検検事長、大阪高検検事長などを務めた。

公衆浴場の混乱「極めてまれ」 最高裁の三浦守裁判官、性別変更の外観要件も「違憲」

2023年10月25日 18時40分



最高裁は25日、トランスジェンダーの人が戸籍上の性別を変える際、生殖機能をなくす手術を求める法律の規定について「違憲」と判断した。

判断したのは、15人の裁判官全員が参加する大法廷。このうち宇賀克也裁判官(68)は、申立人の性別変更を認めるべきだとする反対意見を述べた。

◆宇賀裁判官の反対意見のポイントは

生殖機能をなくす手術では、精巣や卵巣を摘出する。

宇賀裁判官は、性別変更には生殖不能にする手術が必要とする法律の規定について、身体の自由を含む個人の尊重を定めた憲法13条に違反していると指摘。

宇賀克也裁判官(最高裁提供)

さらに、変更後の性別の性器に似た外観を求める「外観要件」についても、意に反して手術を受けるか、性別変更を諦めるかの「過酷な二者択一」を迫るものだといい、正当化できるほどのものではないとして、「違憲」と判断した。

◆宇賀裁判官、これまでの裁判では?

宇賀裁判官は、これまでのジェンダーや家族の多様性を巡る裁判でも個別意見を述べたことがある。

2021年、トランスジェンダーの人が戸籍上の性別を変更する際、未成年の子がいないことが必要だとする法律の規定「子なし要件」について、合憲とした第3小法廷の決定では、担当した5人の裁判官の中で唯一、反対意見を述べた。

子どもの心理的な混乱や学校での差別の可能性など、「子の福祉への配慮」のための規定だとする説明について「漠然とした観念的な懸念にとどまる」「十分な説得力を感ずることができない」と論じた。

また2021年、夫婦別姓を認めない民法の規定を合憲とした大法廷の決定では、「違憲」と反対意見を述べた。この規定は、夫婦同等の人格的利益を求める人にとって「自由かつ平等な意思決定を侵害する」と指摘した。


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◆宇賀裁判官、どんな経歴?

最高裁ウェブサイトによると、宇賀裁判官は研究者出身で、2019年3月に任命された。専門は行政法で、行政手続きや情報公開などを研究してきた。

1978年に東京大法学部を卒業。同大助手、助教授を経て1994年から教授を務めた。放送大、米ハーバード大の客員教授なども歴任した。

趣味は、美しい自然の景観を眺めること、近所の公園の散策。作家の故・司馬遼太郎さんのファン。

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2023年10月25日 19時05分