ガザ戦争で戦争忌避の感情を強める世界の若者たち宮田律宮田律2024年6月11日 18:06PDF魚拓



米大統領選2024 論争の現場<1>



 全米各地の大学に広がる抗議デモの「震源地」は、物々しい雰囲気だった。5日、米ニューヨークのコロンビア大学の出入り口は施錠され、周囲は二重の鉄柵で囲まれていた。

4月29日、米コロンビア大学の構内でイスラエルへの抗議デモを行う学生たち=金子靖志撮影

 大学では、イスラエルによるパレスチナ自治区ガザへの攻撃に抗議する学生らがキャンパスの一角を占拠していた。4月30日に警官隊がテントを撤去し、100人以上を拘束した。

 「イスラエルの攻撃でガザの子供たちが殺され、餓死している。だが、大学は攻撃に関与するイスラエル企業に投資している」

 デモを主導した一人でイスラム教徒の大学院生、スエダ・ポラットさん(23)は憤る。学生らは同大が運用する約136億ドル(約2兆900億円)の基金の一部がイスラエル企業に流れているとして、投資の中止を求めた。

 米国で近年、若者を中心とする急進左派が存在感を増している。2011年には格差の解消を求めて「ウォール街占拠運動」を起こした。ガザをめぐる抗議デモは、米国の社会問題への不満が根底にあるとの見方もある。

アメリカの大学で広がるガザ抗議デモ、社会への不満が根底か…大統領選の争点に

2024/05/07 05:00



「会いたい人に会いに行く」は、その名の通り、AERA編集部員が「会いたい人に会いに行く」企画。今週はガザ侵攻に抗議しキャンパスにテントを張った学生に、「新人類」世代記者が会いに行きました。

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「我慢できなくなり、ブチ切れました」

 そう話すのは、青山学院大学国際政治経済学部4年の八島望さん(22)。

 米国の100を超す大学でイスラエルのガザへの攻撃をめぐりテントを張った抗議運動が広がる中、日本の大学でも抗議の動きが広がっている。青山学院大学もその一つだ。

「国際政治経済学を学んでいながらこのまま何もしなかったら、『国際政治経済学部を卒業しました』と、恥ずかしくて言えないと思って」

 と八島さん。元々政治や社会問題に関心はあったという。とは言え、大学では軽音サークルでギターを弾いていた音楽好きの普通の「青学生」。それが自分でも驚くほど変わったのは、SNSやテレビでガザの惨状を見たからだ。

「子どもたちがあんなに殺されていて。なんでそんなことをするんだ、って」

 それで「ブチ切れた」。昨年11月、渋谷で行われたイスラエルへの抗議デモに初めて行った。他大学の学生も多く参加していて、話をするとみんなガザ侵攻に抗議する何かしらのアクションを起こしていた。

 私も青学で何かアクションを起こしたい──。

 今年2月、一人で「青山学院大学立て看同好会」をつくりSNSで発信を始めた。4月上旬、大学のキャンパスで、地面に横たわる抗議デモ「ダイ・イン」を企画した。が、事前に計画を知った大学から「政治的実践活動は禁止」という連絡がきて断念した。しかし諦めず、2週間後、仲間と一緒にキャンパスの中庭の芝生にレジャーシートを敷き、パレスチナ関連の本を読んで抵抗する「本読みデモ」を企画した。そして、さらに米国の大学と連帯したいと思い5月10日、仲間たちと中庭に二つのテントを張った。するとテントを張って1時間後、大学の警備員と学生生活課の職員ら合わせて10人近くが来て八島さんたちを囲んで言った。

「風でテントが飛ぶと危ない。大学はキャンプ場じゃないから、テントはダメ」
仕方なくテントは畳んだが、納得いかなくて後日、学生生活課に行った。すると校則に「キャンパス内でテント禁止」とどこにも書かれていないことがわかり、大学側も「黙認」ということで決着したという。

 テントを張るのは、基本的に毎週金曜日の午後。

 記者が訪れた5月下旬は、テントに7、8人の学生が集まっていた。めいめい話をしたり、本を読んだり。そして講義の時間になると教室に行き、終わるとまた戻ってくる。

 テントを張ったのはまだ数えるほどだが、手応えを感じている。Xのフォロワー数は700を超え、SNSで見たという学生たちがテントに立ち寄ったり、お菓子などの差し入れをしてくる。この日は、同大の教授が「頑張って」と言って1万円のカンパを八島さんに手渡した。

 八島さんは、大学側にはこんな思いを抱く。

「ロシアのウクライナ侵攻に対して、青学は青山学院として抗議声明を出しました。けれど、イスラエルのガザ侵攻には何の声明も出していません。イスラエルに対して沈黙するのはダブルスタンダードです」

 同好会では、大学に声明を出すよう求めるオンライン署名を集めていて、6月下旬に大学に提出する予定だという。

 日本のZ世代は社会運動に関心がなく、おとなしいと言われますが? そう聞くと、こう言った。

「社会運動に関心があるZ世代の若者や大学生はもちろんマジョリティーではないですけど、大人が考えているより少なくないと思います。行動する時間の余裕がある私たち大学生が、声を上げて動かないといけないと思います」

(編集部・野村昌二)

AERA 2024年6月10日号

ガザ侵攻抗議でテント張る青学生 社会運動に関心あるZ世代は“大人が考えているより多い”?

会いたい人に会いに行く 2024/06/09/ 16:00



野村昌二


アラブニュース・ジャパン

東京:日本の一流大学の一つである京都大学の学生グループはパレスチナへの支援を求め、イスラエル軍がガザで行った残虐行為を非難した。

学生グループは「京都大学パレスチナ人民と連帯する京大有志の会」として、同大学に対して要望書を提出し、イスラエルとの関係を断ち、パレスチナ人を支援するよう求めている。

その中で、「パレスチナの市民に対する現在進行中の残虐行為と人権侵害に重大な懸念を表明するため」の要望書であるとしつつ、「『対話と自由』の学風を旨とする京都大学が学問的な卓越性、論理的なリーダーシップ、そして地球市民としての責任を果たす機関として、パレスチナの人々が耐え忍んでいる抑圧と苦しみに対して明確な姿勢を示すことが不可欠であると考えます」と訴えた。

「パレスチナ紛争は、植民地主義、帝国主義、アパルトヘイト、大量虐殺といった20世紀における人類の精算すべき負の遺産であり、人類社会の調和ある平和的な発展のためにも、普遍的な観点と俯瞰的かつ複眼的な視野の重要性を深く認識して主体的に行動するべき課題であると考えます」

学生たちは京都大学に対し、パレスチナ市民への暴力を公式に非難し、イスラエル軍の援助につながる支援を行わないことや、パレスチナの学生を支援するための奨学金や学術交流、支援プログラムを設立することを求めた。

「現在進行中のパレスチナ人への暴力は1948年のナクバ以来、偏見や差別によって75年間以上続いてきたものであります。『パレスチナ人人と連帯する京都大学有志の会』のメンバーとして、私たちは、京都大学が上記の原則を守り、世界中の抑圧されたコミュニティーとの連帯を示す道徳的義務があると信じています」

京大学生グループが要望書 大学にガザ支援求め


イスラエルによるパレスチナ自治区ガザ地区への侵攻が激化する中、東京都千代田区の上智大学で30日、学生や卒業生など約70人によるデモがあった。参加者らは大学当局に対し、イスラエルによるジェノサイド(集団虐殺)に反対するよう訴えた。

 学生主体の団体「Sophians for Palestine」は、学生支援を行う学事センターや教授の研究室などがある2号館前に集まり、約40分にわたってスピーチを実施。在学生ら数十人が足を止め、訴えに耳を傾けた。

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 同大の曄道(てるみち)佳明学長は28日、「上智大学は、武力行使によって引き起こされる全ての人権侵害に反対するとともに、即時停戦と、人間の尊厳に基づく当該地域の人々の生活の回復、安全を求める」との声明文を発表した。

 しかし、イスラエルのテルアビブ大学と教育機関としての連携を継続する姿勢であることなどから、同団体は、イスラエルの行為をジェノサイドとして明確に非難すること▽ウクライナ人学生へ提供した奨学金と同様の支援をパレスチナ人学生にも提供すること▽平和的な抗議運動に加害を行う学生を適切に処分すること――などを要求している。【北山夏帆】

「大学はイスラエルによるジェノサイド非難を」 上智大で抗議デモ社会
速報


毎日新聞 2024/5/30 21:42(最終更新 5/31 13:31) 492文字