【解説】 対ロシア制裁、なぜアジアでは意見が分かれているのか ウクライナ侵攻2022年3月11日.鳩山元首相、「岸田政権のロシア対応は間違い」6月 11, 2023 20:25 Asia/Tokyo.ロシアとの対話は不要か~鈴木宗男議員訪露の意義を考える.【声明】ロシアによるウクライナ侵略を非難する決議について(れいわ新選組 2022年2月28日)ウクライナ・ロシア戦争と平和主義(憲法 9 条)平和主義による解決の道PDF魚拓




2021/04/21鳩山元総理大臣は北方領土問題の解決のためにはロシアによるクリミア半島の併合を日本は認めるべきだと主張しました。  鳩山元総理大臣:「この(北方領土)問題の解決を一言申し上げさせて頂くと、クリミア問題に関して歴史を尊重してロシアに対して理解を日本が示すということが大変重要ではないか」  20日にロシア政府高官らが出席する歴史学会に参加した鳩山氏は2014年のクリミア半島の一方的な併合を理由として、日本がロシアに科している制裁を解除すべきだと主張しました。  また、北方領土を日本に引き渡せば、そこにアメリカ軍が基地を置くと「ロシアが心配するのは当然だ」とも述べ、日米安保条約などの改定を訴えました。 [テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

https://www.youtube.com/watch?v=uvipnu7HPy4


日本の鳩山由紀夫元首相が、岸田政権によるロシアへの対応は間違っていたとしました。

ロシアのスプートニク通信によりますと、鳩山元首相は、今月12日の「ロシアの日」を前に在京ロシア大使館で9日に開催されたレセプションに出席する傍ら、同通信に対して、岸田政権のロシアへの対応は間違っているとする自身の見解を述べました。

その上で、「日本は現在、米国の後を追うように動き、ウクライナへの軍事支援を行っている。これはすなわち、ロシアを敵と見ているということで、その結果、これまでの両国の友好関係に暗雲が立ち込めた。このことについては、大変遺憾に思っている」としました。



岸田首相



また、日本の支配層はロシアとの関係確立のためによりバランスの取れたアプローチを採るべきだとして、「私は、より正しい政策が採られるべきだと考えている。岸田政権や、その肩を持つ日本メディアはこれまで、ウクライナ支援に重点を置いてきたが、彼らはこの問題に対してもっと公平なやり方で取り組むべきだったと、私は思っている」と述べました。

日本は、ロシアがウクライナで軍事作戦を開始して以降、ロシアおよびウクライナからの独立を宣言した地域の関係者327個人・団体に制裁を課しているほか、先月26日には新たに軍事関連の80団体への輸出禁止や24個人・78団体の資産凍結を発表しています。

鳩山元首相、「岸田政権のロシア対応は間違い」

6月 11, 2023 20:25 Asia/Tokyo



鳩山由紀夫元首相(75)が1日、1週間ぶりにツイッターを更新。ロシアの軍事侵攻をめぐり、戦争反対を表明しつつもウクライナのゼレンスキー大統領を批判した。

【写真】キエフ市内で砲撃を受けた高層マンション

 鳩山さんはまず「私はあらゆる戦争を非難する。ロシアは一刻も早く停戦すべきだ」と主張し、政治信条である「友愛」の姿勢を示した。

 しかし「同時にウクライナのゼレンスキー大統領は自国のドネツク、ルガンスクに住む親露派住民を『テロリストだから絶対に会わない』として虐殺までしてきたことを悔い改めるべきだ」とつづり、大統領を批判。「なぜならそれがプーチンのウクライナ侵攻の一つの原因だから」と持論を展開した。

 鳩山さんの主張にツイッターでは「鳩山元総理のツイから『喧嘩両成敗は加害者の味方』という教えの実例を習う」「虐殺の根拠をご提示願います」「ロシアに頼まれたのか」などの意見が相次いだ。

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鳩山由紀夫元首相がゼレンスキー大統領を批判 「親露派住民を…虐殺までしてきたことを悔い改めるべきだ」

2022年3月1日 13時29分





れいわ新選組は、3月1日に衆議院本会議において予定されているウクライナ侵略を非難する決議に反対する。

無辜の人々の命を奪い、とりわけ子どもや障害者など弱い立場にある人々を真っ先に犠牲するのが軍事力の行使・戦争である。

れいわ新選組は、
ロシア軍による侵略を最も強い言葉で非難し、
即時に攻撃を停止し、部隊をロシア国内に撤収するよう強く求める立場である。

ではなぜ決議に反対するのか。

今、日本の国会として、
一刻も早く異常な事態を終わらせようという具体性を伴った決議でなければ、
また、言葉だけのやってる感を演出する決議になってしまう。

では、明日決議される内容に加えて、今、国会として強く政府に求めるならば、
何を決議するべきか。

・ウクライナ国民への人道支援のさらなる拡大と継続、及び戦火を逃れ避難する人々を難民として受け入れ
・プーチン大統領による核兵器の使用を示唆する発言と行動に、唯一の被爆国である日本の総理として強く撤回を求める
・今回の惨事を生み出したのはロシアの暴走、という一点張りではなく、
米欧主要国がソ連邦崩壊時の約束であるNATO東方拡大せず、を反故にしてきたことなどに目を向け、この戦争を終わらせるための真摯な外交的努力を行う
・国内においては、この戦争によって原油高などの物価上昇により
生活や事業が圧迫される状況に対して、
消費税減税、ガソリン税0%、一律給付金などで
日本国内に生きる人々を守る
以上のようなことを、政府に求めることが必要な場面ではないだろうか。

形式だけの決議は必要ない、意味がない。

戦争を止めるために、人々の命を守るために、
影響を受ける国内の生活者、事業者を守るために、
立法府として行政府に本気で何を求めるか、
が必要な局面ではないのだろうか。

れいわ新選組としては引き続き、日本政府に具体的な行動を求めていく。

2022年2月28日
れいわ新選組

【声明】ロシアによるウクライナ侵略を非難する決議について(れいわ新選組 2022年2月28日)

投稿日: 2022年2月28日



92 藤井 正希

と呼ばれている。また、東部には、帝政ロシアの時代より、一大重工業地帯が形成され、鉄鋼業をは

じめ重化学工業が盛んであり、特に鉄鋼は重要な輸出品目である。この点、1986 年 4 月に未曾有の原

発事故を起こしたチェルノブイリ原発は、首都キエフの北西にあり、旧ソ連時代には、連邦を構成し

ていたロシア、カザフスタン、ベラルーシとともにウクライナにも戦略核兵器が配備されていた。こ

のようにウクライナは旧ソ連を構成していた 15 の共和国の中心地であったのであり、地理的には

NATO 加盟国であるポーランド、ハンガリー、ルーマニア等に隣接していることから、“ロシアと NATO

との緩衝地帯”の役割を果たしてきたのである(12)

。このようなウクライナが“NATO の東方拡大”

の一環として NATO に加盟すれば、ロシアにとってはまさに“目の前に敵”の状態になるのであり、

脅威を感じるのは当然である。とりわけロシアとウクライナはいずれも旧ソ連の中心的な構成国であ

り、運命共同体のいわば“兄弟国”だったのである。仲の良い兄弟ほどいったん関係がこじれると近

親憎悪により、より強く憎しみあうものである。ロシアのプーチン大統領がウクライナに対して

「NATO に加盟することはやめてくれ」と要求するのは至極当然のことである。

ロシアと NATO との現在まで続く対立の火種は、1989 年 11 月にベルリンの壁が崩壊した後の東・

西ドイツの統一交渉の過程において、すでにまかれていた。すなわち、西側諸国とソ連との間で“NATO

の東方不拡大”に関する明示的な約束はなかったとされているし、その約束の存在を示す文書は存在

していない。しかし、西側が東ドイツから撤退するようにソ連軍を説得しようとした際、交渉の場で

いくつかの意味深長な発言がなされ、それらが現在の対立を生み出すもとになった。例えば、1990 年

2 月にアメリカのベーカー国務長官はソ連のゴルバチョフ書記長に「NATO 軍の管轄は 1 インチも東

に拡大しない」と発言した(いわゆる“1 インチ発言”)。また、NATO のヴェルナー事務総長も同年 5

月に「NATO 軍を西ドイツの領域の外には配備しない用意がある」と演説した。しかし、それにもか

かわらず NATO はそれ以降、東方拡大をし続けたのであり(13)

、プーチン大統領が「西側は約束を反

故にした」と主張する原因はまさにそこにあるのである。その後、1990 年 9 月に東・西ドイツとアメ

リカ、ソ連、イギリス、フランスは、ドイツに関する最終的な条約を結び、その結果として、統一ド

イツは完全な主権を回復し、NATO への帰属が事実上、認められたが、条約に NATO の東方拡大を禁

じる条項は盛り込まれなかったのである。この点、確かに文書による明示的な約束はなかったかもし

れないが、口約束でも契約は成立するというのが一般の理解であるし、少なくともその信頼は尊重さ

れるべきであろう。やはりこの時に、平和主義の立場にたって、ロシアの利益にも十分に配慮を示し

て、継続的な協議の場を設定する必要があったのである(14)



2014 年 2 月、ロシア軍がクリミア半島に展開するなかで、ウクライナのクリミア自治共和国では、

武装集団によって取り囲まれた議会で、親ロシア派のアクショーノフが新首相に任命された。その後、

プーチン大統領は、ロシア系住民の保護を口実に、ウクライナへのロシア軍投入を決定するとともに、

クリミアのロシア編入を問う住民投票を実施させ、90%以上の賛成を得たとして、クリミア自治共和

国のロシア編入を実現した。この住民投票は、ロシアの強大な圧力のもとで行われており、その正当

性には大きな疑問があるが、プーチン大統領は、クリミアのロシア編入は、国連憲章で認められたクウクライナ・ロシア戦争と平和主義(憲法 9 条) 93

リミア住民の民族自決にもとづくものであると述べ、その正当性を主張している。このときウクライ

ナは、ほとんど抵抗することなくクリミア半島をロシアに明け渡してしまったし、欧米もそれほど強

い非難をロシアにしなかった。確かに、クリミアは歴史的にロシアとの結びつきが強く、ロシア系住

民も多く住み、編入に対する反対も多くはなかった。また、当然、武力による抵抗は大きな犠牲を伴

う。それゆえ、ウクライナも欧米も損得勘定で編入を消極的にではあるが容認したのであろう。そし

て、3 月、国連安全保障理事会でクリミアの住民投票を無効とする趣旨の安保理決議案が採決された

が、ロシアによる拒否権行使で否決され、その後、同趣旨の国連総会決議案が、賛成 100 カ国、反対

11 カ国、棄権 58 カ国で採択された。ただし、この決議には、安保理決議と違い法的拘束力はない。

この点、筆者は、このときウクライナや欧米のみならず世界各国がもっと強くロシアを非難し、平和

主義にもとづきロシア、ウクライナ、クリミアを話し合いのテーブルにつかせて編入の妥当性や合法

性を検証する継続的な協議の場を設定していたら、今回の侵攻は防げた可能性があるのではないかと

考える。「ロシア系住民の保護」を口実に、ロシア軍を投入し、ロシア編入を実現する、あるいは傀儡

政権を樹立するという同じ手法が今回も使われており、クリミアの成功体験が今回の侵攻の呼び水と

なったことは間違いなかろう(15)



ロシアは昨年(2021 年)末にアメリカをはじめとする NATO 加盟国に対して、NATO 不拡大を盛り

込んだ条約締結を求めていた(16)

。しかし、それに対してアメリカのジョー・バイデン大統領は「ウ

クライナの国家主権や領土の一体性、すべての国家が自国の外交政策や同盟を決定する権利、NATO

の門戸開放という原則」を理由に要求を一方的にはねつけ、まったく交渉の席につこうとはしなかっ

たのである(17)

。ウクライナのゼレンスキー大統領もその要求には一切の配慮を示さずに NATO 加盟

に突き進もうとした。これらはまったく平和主義に反する行動であり、これが今回の侵攻を引き起こ

した最大の要因の一つであるのは間違いない。また、ウクライナに侵攻する直前の今年 2 月、プーチ

ン大統領は、ドイツのショルツ首相とモスクワで会談している。この時、ロシアはウクライナ国境付

近に 10 万人規模の兵力を集結させており、ベラルーシ領内でも合同軍事演習を本格化させ、さらに黒

海では軍事演習を開始していた。会談後の共同記者会見で、プーチン大統領は、一部の部隊撤収を発

表するとともに、NATO の拡大停止などロシアの主要な要求もあわせて議題とするのであれば、ヨー

ロッパの安全保障や中距離ミサイル、軍備の透明性の問題について欧米側と交渉する用意があると表

明した。これに対して、ショルツ首相は、ロシアが一部の部隊撤収を発表したことを評価したものの、

NATO の東方拡大は現在の議題にはない旨を述べ、プーチン大統領の要求を一蹴している。繰り返し

になるが、今から思えば、このとき欧米側がロシアの利益にも十分に配慮を示して、平和主義の理念

にもとづき「NATO の東方拡大」をテーマにウクライナも含めて継続的な協議の場を設定していたな

らば、少なくとも 2022 年 2 月 24 日のロシアによるウクライナ侵攻は絶対になかったであろう(18)



その際、平和主義を高らかにうたう憲法を擁する日本は、盲目的に欧米側に追随して一方的にロシア

を糾弾する立場にたつのではなく、中立的な立場でロシアとウクライナの橋渡しをし、継続的な協議

の場の設定を模索すべきであったのである(19)

。94 藤井 正希

今回のロシアによるウクライナ侵攻は、両国の地理的、歴史的、政治的な多くの要因が相まって発

生したものである。日本はどこの国ともこのような関係にはないのだから、今回の事例を日本にその

ままあてはめることはできない。今回の事例をもとに、中国やロシアを仮想敵国にして軍事的脅威を

過度に強調し、国民の不安や恐怖心をあおり、前述したような日本の軍国化を進めようとすることは

明確に誤りである。また、上述した通り、今回の侵攻は、各々の要所で継続的な協議の場を設定し、

合意形成を図る努力を続けることにより、平和主義的な手段で十分に解決が可能であったと考えられ

る。少なくとも現時点での武力衝突が避けられたことは間違いない。よって、今回の事例を日本の軍

国化の口実にしては絶対にならない。

3. 国民に戦闘や抵抗の義務を課することの可否・徴兵制の採用の可能性

前述した通り、今回のロシアの侵攻に対して、ウクライナのゼレンスキー大統領は、国民総動員令

により 18 歳から 60 歳までの成人男子の出国を原則として禁止し、今後の徴兵の可能性を明確にして

いる。また、「望む国民には武器を渡す」として女性の入隊も積極的に奨励し、一説ではすでに 3 万人

を超える女性(正規軍の約 15%)が戦争に参加していると言われている。国民が一丸となって「ウク

ライナに栄光を」のスローガンのもと、自国の自由と領土を守るために武器を手に必死の戦闘をおこ

なっている。ゼレンスキー大統領がこのように 18 歳から 60 歳までの成人男子の出国を原則禁止し、

実質的に徴兵制度を採用していることに対して、日本国内では批判的な意見はほとんどない(20)

。ゼ

レンスキー大統領には戦闘開始の当初から降伏の意思はまったくなく、「ウクライナ軍は最後まで戦

う」と勝利まで徹底抗戦する考えを繰り返し表明している。

日本国憲法のもとでは、あくまで“平和主義を徹底すること”が大前提なのであり、平和主義をつ

ねに実践していれば、日本がウクライナのように他国から侵攻されることはまずありえない。そのこ

とは最初に確認されなければならない。すなわち、平和主義を放棄する必要はまったくないのである。

しかし、万一、それにもかかわらず平和主義が何らかの理由で尽きてしまい、他国から侵攻されてし

まうこともまったくないとは言い切れないので、政府としてはその場合を想定して対応を準備する必

要がある。それでは、もし日本がウクライナと同様な立場にたたされた場合、政府はどのように対応

すべきであろうか。具体的には、政府は、憲法上、国民に戦闘や抵抗の義務を課したり、それを前提

にして徴兵制を採用したりすることはできるのだろうか。

3.1. 国家・市民・自衛隊員の取りうる手段

①国家について

万一、日本が他国から軍事侵攻された場合、国家が取りうる手段は大別してつぎの五つであろう。

①自衛隊員にも一般市民にも武器をとって戦うことを強制する。前述したように、ゼレンスキー大統

領は 18~60 歳の男性の出国の自由を制限し、徴兵の可能性を示唆している。②自衛隊員には武器を取ウクライナ・ロシア戦争と平和主義(憲法 9 条) 95

って戦うことを強制するが、一般市民には武器を持たない非武装の抵抗を強制する。③自衛隊員には

武器を取って戦うことを強制するが、一般市民には何らの強制をおこなわず、逃げることを許す。④

自衛隊員にも一般市民にも何らの強制をおこなわず、逃げることを許す。すなわち、国家としての組

織的抵抗を放棄し、侵略者の要求を受け入れ、服従する(21)

。上記のいずれの場合でも、さらに⑤傭

兵を雇い戦うかどうかが問題となる。この点、ゼレンスキー大統領は傭兵を活用している(22)



②一般市民について

つぎに、自衛官以外の一般市民が取りうる手段は大別してつぎの四つであろう。①自衛隊に入隊し、

または入隊せずに一市民として、武器を取って戦闘に参加する。すなわち、自らの命を犠牲にして戦

う。②武器を持たず非武装で抵抗する。すなわち、例えば、素手で戦車に立ち向かう等、抗議や説得

の行動をおこなったり、マハトマ・ガンジーのように非暴力不服従で対抗する。③侵略者の要求を受

け入れ、服従する。④逃げる。すなわち、避難民として国内外に逃避して自分の身体の安全を確保す

る。この場合、国際法上、難民条約によって「難民」として保護の対象になる(23)



③自衛隊員について

さらに、自衛隊員が取りうる手段は大別してつぎの三つであろう。①自衛隊員の職務を全うすべく

武器を取って戦う。②認められるかどうかは別にして、良心的兵役拒否の権利(憲法 19 条)や奴隷的

拘束・苦役からの自由(憲法 18 条)、あるいは幸福追求権(憲法 13 条)等を主張して、法的に戦闘を

忌避する。③逃げる。この場合、国際法上、難民条約によって「難民」として保護の対象になるのか

どうかが問題となる。

3.2. 様ざまな見解

これまでの憲法学の通説は、兵士(自衛隊員)に対しては格別、少なくとも一般市民に対しては、

幸福追求権(憲法 13 条)や奴隷的拘束・苦役からの自由(憲法 18 条)、究極的には日本国憲法の大原

則である基本的人権尊重主義(憲法 11 条、97 条)を根拠に、戦闘・抵抗義務や徴兵制を否定してき

た。また、兵士(自衛隊員)についても、思想・良心の自由(憲法 19 条)から良心的兵役拒否の権利

(24)を認め、職場放棄を容認する見解が有力に主張されてきた。このような考え方に立てば、今回の

ゼレンスキー大統領のようなやり方は日本国憲法上、許されないということになる。

この点、例えば、ロシアによるウクライナ侵攻が始まった当初からウクライナ国民に対し、戦わず

に降伏して国外に逃れてプーチン大統領が不在となる数十年後に再起を期すことを勧める見解があっ

た(25)

。また、反撃して大きな被害を招くよりも武力による反撃をせずに白旗をあげるほうが、被害

が少なくて済むのであり、国家が国を守るために戦うことによってかえって国民の被害が拡大するか

ら、攻められたら戦わずに白旗をあげるべきだとする見解もある[伊藤 2018:5-25]。これらの主張

のように、侵略者に抵抗して戦えば戦うほど市民の死者や都市の破壊が増え、かえって国民の被害が96 藤井 正希

拡大するから、攻められたら戦わずに白旗をあげて降伏するべきだという考えにも一理はあろう。さ

らに、ウクライナ戦争に対する日本の対応について、つぎのような見解もある。すなわち、先の大戦

で日本が半年早く和平、降伏に応じていれば、東京大空襲も沖縄戦も広島、長崎に核兵器が使われる

こともなかった。戦争が長引けば、子どもや女性、お年寄りたちの犠牲が増えるばかりである。日本

は非友好国に指定される前はロシアとの関係は良好だったのであり、また、ウクライナにも 2005 年か

ら現在までで約 3100 億円の経済協力をしている。日本はプーチン大統領にも、ゼレンスキー大統領に

も物が言える立場なのだから、「ここは銃を置け」と両国に呼びかけ、さらにロシアと良好な関係にあ

る国にも加盟している G20 の枠組みを活用して停戦を呼びかけさせるべきである。その際は、日本の

岸田首相が保証人になるくらいのリーダーシップを発揮するべきであるとする(26)

。この見解は、平

和主義のもとにおける戦争停戦の仲介者としての日本のあり方の一例を示したものとして評価しうる

であろう。

しかし、侵略者に対して最初から白旗をあげて降伏するべきとする考え方には当然ながら批判的見

解もある。すなわち、現在、基本的に殺戮は戦闘地域付近で行われているが、降伏して全土が制圧さ

れたら全土で殺戮が行われ、決して降伏は人命救助につながらない。ウクライナがロシアに降伏する

ことは、今以上の殺戮につながるだけの最悪の選択肢であり、降伏という選択肢をウクライナ国民一

人一人はもう考えてはいない。仮にウクライナ政府が降伏だといっても抵抗が続くのは必定であり、

その場合は政権と国民の行動が不一致になり、さらなる混乱と殺戮につながると指摘し、降伏論を明

確に否定する(27)

。確かに降伏をすれば現在進行形の殺戮は避けられるとしても、ウクライナは完全

にロシアの支配下に置かれ、将来的にはさらなる殺戮が永遠に続くことになるということであろう。

実際、ウクライナの占領地域におけるロシア軍の残虐行為が明白となった現在、人命の尊重や国家の

存続などを考えれば、安易な降伏論に与することはできないのは理解できる。過去にヨシフ・スター

リンを指導者とする旧ソ連政府によって多くの農民が餓死させられたホロドモール(28)

を経験したウ

クライナの人びとであれば、なおさらそれを痛感するであろう。

また、日本で抵抗するよりも降伏しろという意見がでていることについて、現に殺傷が行われ、ま

た、降伏後の状況が見えないなかで、この提案は何を意味するのかと問題提起をした上で、以下のよ

うに述べる見解もある。すなわち、仮に命だけは助かるとしても、降伏という選択それ自体が、これ

までのウクライナの人びとの選択を否定することになる。ウクライナは、ここ 20 年ほど、ロシアへの

依存体制から脱却し、ヨーロッパとのつながりを強化することで経済発展を促進しようとする姿勢を

示してきた。ロシア側は、そこにストップをかけようとしてきたが、ウクライナの人びとは、2014 年

のユーロ・マイダン革命(29)に象徴されるように、この誘惑を敢然とはねのけてきた。ウクライナの

ゼレンスキー大統領が「民主政のための闘いだ」と訴えるとき、その内実には、これまでのウクライ

ナの人びとの選択の歴史が刻まれている。そもそもウクライナの人びとがロシアの侵攻に対してどの

ような姿勢を示すのかは、基本的には彼らが決めるべき問題である。にもかかわらず、ウクライナ以

外の人びとがウクライナに降伏を勧めるのは、プーチン大統領に与することと変わらない。「欧米の影ウクライナ・ロシア戦争と平和主義(憲法 9 条) 97

響からウクライナを守る」とも言っていたプーチン大統領の姿勢は、ウクライナの人びとの民主的な

選択を否定し、ひいては尊厳を毀損していると言わざるをえない(30)

。このような考え方にたてば、

万一、日本が他国から侵略された場合にも、抵抗か、降伏か、逃亡かは日本人が民主的に選択すべき

であり、そのいずれであろうともその選択は尊重されるべきということになろう。

さらに、“非暴力抵抗こそ民を守る”として、以下のように述べる見解もある。すなわち、たとえ

戦争になっても、銃を取るべきではない。そもそも戦争が始まってしまったら終わりであり、一番大

事なのは、戦争が起きないようにすることで、そのために政治や外交、経済や文化の交流がある。確

かに主権国家には自衛権があるが、しかし攻められたからといって応戦すれば、相手も応戦し、暴力

の連鎖が始まる。本当に国や人びとを守れるかというと、難しい。今回のウクライナを見てもわかる

ように、町や村が破壊され、大勢の人が死んでいき、取り返しがつかない。侵略者を駆逐できたとし

ても、国がめちゃくちゃになった後では、元も子もない。それより、国の指導者が一切交戦しないこ

とを決断し、国を挙げての組織的で徹底的な非暴力・不服従の抵抗を呼びかけた方が、国や民を守れ

る可能性がある。侵略者に占領されても、軍も警察も官僚も労働者も、組織をあげて一切協力しなけ

れば、人びとの協力なしに侵略者は国を支配できないからである。究極の選択であるが、非暴力の組

織的抵抗には、一定の合理性と倫理的な高潔性がある。現在そう考える日本人はごく少数かもしれな

いが、戦争を体験した世代には、もっと多かったと思う。今は戦争に対する現実味が薄れているのか

もしれない。侵略者に占領されれば、過酷な弾圧や投獄、処刑などの仕打ちにあう恐れもあるが、そ

れでも国と民が組織的に非協力を貫けば、侵略者は占領地をうまく統治できず成果をあげられない。

米国の政治学者ジーン・シャープは 198 の抵抗の手法をあげたが(31)

、こうした手法を駆使し、あく

までも非暴力的抵抗を貫くべきである。逆に、武力行使を選べば、自国の政府も全体主義に傾き、個

人の人権よりも国益が優先され、個人は国のために命を差し出せということになるが、まさにそれが

戦争である。武器を取るか投獄されるかを選ぶなら、とても嫌なことだが、投獄を選ぶ。侵略者と戦

時下の自国政府のどっちを恐れるべきかと問われれば、どちらも怖い。このように、この見解は、非

暴力抵抗こそが最善の策であることを力説している(32)

。この点、もちろん非暴力抵抗主義にも多く

の問題点や限界がありうるだろうが、それが日本国憲法の永久平和主義にもっとも相応しい考え方で

あることは間違いない。

3.3. 取るべき対応とは

日本国憲法の基本的人権尊重主義(憲法 11 条、97 条)を強調するならば、万一、日本がウクライ

ナのように外国から侵攻された場合、国家としては憲法上、国民に戦闘や抵抗(国家防衛)を強制す

ることはできないから、真っ先に白旗を上げて、自衛隊員も含め「逃げたい者には逃げる権利を保障

する」ことが理想なのかもしれない。少なくともそのような憲法解釈が成り立ちうることは間違いな

い。しかし、そのような憲法解釈をとるならば、日本民族、日本国民はより悲惨な運命を強いられる

であろう。例えば、ユダヤ人が安住の地をえることができたのはイスラエルという国ができたからで98 藤井 正希

ある。それに対して、アラブ人(パレスチナ人)がいまだに流浪の民として悲惨な生活を強いられて

いるのは国を持たないからである。国家を持たない民族がいかに悲惨な運命を強いられるかは世界の

過去の歴史を紐解けば明らかである。「国を持たない最大の民族」と言われているクルド人やロヒンギ

ャの苦難の歴史からそのことを学ぶ必要があろう。また、万一、他国から侵攻された場合に、国家と

して国民に組織的な抵抗を求めず、真っ先に白旗を上げて、自衛隊員も含め逃げたい者は逃げろとい

うのでは国家の矜持はどこにもないであろう。それでは国家の態をなしてはいないと言わざるをえな

い。

日本国憲法が十全に機能している限り、国家の利益と国民の利益との間に齟齬はないはずであり、

国家の存在が国民の福利の増進には必要不可欠となる。よって、万一、日本が他国から侵攻された場

合には、政府が国家存続のため組織的抵抗をすることはむしろ当然のこととなる。そして、国家が組

織的な抵抗をするのであれば、一般市民に対する何らかの強制や制限は不可避である。ナチス占領下

のフランスでドイツ人に協力するフランス人も少なくはなかったように、利敵行為は規制しなければ

ならないし、また、逃げたければ自由に逃げろでは組織的な抵抗は成り立たない。市民が武器を取っ

て戦う場合であれ、武器を持たず非武装で抵抗する場合であれ、指揮系統をもって組織的に戦わなけ

れば効果は半減してしまうから、政府軍の指揮下での行動にならざるをえない。よってそこには、上

命下服の関係が不可避となる。

ウクライナの市民は、武器を取って戦う道と武器を持つことを拒否して抵抗する道のいずれを選ぶ

べきかというきわめて難しい選択を迫られた。現実には、ゼレンスキー大統領の呼びかけに応じて武

器を持つことを選択した者と、あくまで非暴力に徹しようとする者とのどちらも存在したが、両者は

互いに敵対するのではなく、むしろ補完し合いながら戦いを継続している。プーチン大統領は、ロシ

ア軍によって短時間に首都キエフを占領し、傀儡政権を樹立するという計画を立てていたようだが、

ウクライナのロシアに対する軍事的な抵抗は、多くの兵士や市民の死という犠牲と凄惨な都市破壊と

いう被害とをだしながらも、その計画を頓挫させた。また、軍事侵攻という暴挙がもたらしたロシア

の財政的負担や人的被害の急増、経済制裁による経済や生活の破局は、ロシア全体に大きな打撃を与

えるとともに、ロシア国民の閉塞感や厭戦感情を増大させている。軍事力によってロシア軍を撃退し

て平和を実現しようとすれば、市民の犠牲は限りなく大きくなるのは避けられず、やがてはプーチン

大統領自身が示唆しているように、生物・化学兵器や戦術核兵器等の大量殺戮兵器の使用に発展しか

ねない。やはりできる限り早く交渉によって停戦を実現し、ロシア軍を撤収させることが望まれる。

その際に最大の力になるのは、非武装で戦っているウクライナ市民とロシア国内の反戦・反プーチン

のロシア市民との連携であろう。

それでは、日本が他国から侵攻された場合、自衛隊員には憲法上、戦闘義務があるのか。憲法学で

は自衛隊の合憲性が大きな論点となり、依然、違憲論も一部で強く主張されてはいるものの、自衛隊

は国民の中に深く浸透している。世論調査をすれば、自衛隊の存在を支持する意見がつねに 8 割を超

える。例えば、2018(平成 30)年 3 月に内閣府政府広報室が公表した「自衛隊・防衛問題に関する世ウクライナ・ロシア戦争と平和主義(憲法 9 条) 99

論調査」によれば、自衛隊に良い印象を持っている人は 89.8%であり、悪い印象を持っている人はわ

ずか 5.6%に過ぎない。また、自衛隊はない方がよいと答えた人はわずか 1%強に過ぎない。それは例

えば、東日本大震災のときに人命救助に奔走し、爆発して崩れ落ちた福島原発にヘリコプターから命

がけで放水した自衛隊員の姿、また、イラク戦争(2004 年)後、イラクの非戦闘地域で、給水・医療

支援、公共施設の復旧・整備等の人道復興・安全確保活動を積極的に行う自衛隊員の姿を目にした国

民の素直な感謝の気持ちにもとづくものであろう。このようなこれまでの地道な自衛隊の活動が国民

の共感を呼び、受け入れられて現在の自衛隊への国民の高い支持があるのである。しかし、現在の自

衛隊への国民の高い支持のいわば“当然の暗黙の前提”として「もし日本が他国から侵攻された場合

には、自衛隊員は日本の国土を守るために率先して命をかけて戦うのは当然の義務である」という法

的確信がある。もし日本が他国から侵攻された場合に、自衛隊が国土を守るために命がけで反撃をし

ないのならば、戦わずに逃げるというのであれば、国民は決して今のような支持を自衛隊にあたえな

いであろう。少なくとも国民は、日本国憲法上、自衛隊員に戦闘の義務を課することは当然にできる

と考えているのである。そもそも政府が国家存続のため組織的抵抗をすることを認める以上、一定の

兵力が必要不可欠であり、それを十分に確保するには何らかの強制力の行使をせざるをえない(33)



万一、日本が他国から軍事侵攻された場合、国家は組織的抵抗をして国家の存続を図るため、自衛

隊員に対しては武器を取って戦うことを強制することは許容されると考える。すなわち、自衛隊員に

は戦闘義務がある。また、必要とあれば傭兵を雇うことも許されよう。これに対して、一般市民に対

しては、国家は抵抗することを強制できるが、武器を取って戦うか、武器を持たない非武装の抵抗を

するかの選択権を市民に認めるべきである。このように解した場合、つぎに問題となるのが「それで

は一般市民や自衛隊員が『逃げた』場合には、国家はどこまで強制できるのか」という点である。旧

日本軍では戦場から逃げた場合は銃殺だったことは広く知られているが、現在のロシアでも同様なこ

とがおこなわれているという報道もある。説得・慫慂を超えてどこまでできるかは非常に判断しがた

いところである。さらに、「国家が兵力を確保するために徴兵制をとることはできるのか」という点も

問題となる(34)

。韓国の徴兵制は有名だが、近時、NATO 加盟を申請したスウェーデンとフィンラン

ドはいずれも徴兵制を採用している。志願兵制だと貧しく職がないような社会的底辺の人びとから戦

場に送られることになり、むしろ徴兵制の方が社会的平等が保てるという意見もある。徴兵制の内容

如何では平和主義と徴兵制の両立も可能かもしれないし、国家の組織的抵抗を許容する限り、その必

要性は否定できないであろう。日本人は徴兵制という言葉を聞いただけで嫌悪感をかんじる人も多い

が、現在のウクライナを見ていると必要性を認めざるをえない。これらは非常に困難な問題であるが、

今後の研究課題としたい(35)

30-N2-FUJII.pdf
群馬大学社会情報学部研究論集 第 30 巻 87-105 頁 2023 87
【研究ノート】
ウクライナ・ロシア戦争と平和主義(憲法 9 条)
平和主義による解決の道
藤井 正希
憲法学研究室
The Ukrainian-Russian War and Pacifism
(Article 9 of the Constitution)
The way of solution by pacifism
Masaki FUJII
Constitution