私は話し合い出来ない相手であっても暴力や武力で解決の戦争しちゃいけないと思いますよ。暴力振るわれるから話し合いが通じないから共同親権廃案求める側が安保になると急に相手が話が通じるあ相手のみ前提な左派平和団体に疑問、日本の保守や右派は安保になると話し合いが通じない相手前提で話してくるのよ。

私は話し合い出来ない相手であっても暴力や武力で解決の戦争しちゃいけないと思いますよ。暴力振るわれるから話し合いが通じないから共同親権廃案求める側が安保になると急に相手が話が通じるあ相手のみ前提な左派平和団体に疑問、日本の保守や右派は安保になると話し合いが通じない相手前提で話してくるのよ。
主に女性団体やDV虐待被害者団体、弁護士会等は暴力振るってくる話し合いが通じない相手から離婚する自由守れるように、非同意強制型離婚後共同親権廃案求め離婚後単独親権の民法維持求めてるのよね。
だけど主に女性団体やDV虐待被害者団体、弁護士会等は安全保障、人権や平和がテーマになると相手が話し合いが通じる相手のみが前提で話し合いで解決ありきな気がするのですが、戦争放棄交戦権放棄軍隊の不保持の日本国憲法守り日本国が戦争しない国で居続けるために報復合戦や暴力や武力行使、戦争で解決は避けたいから話し合いが通じない暴力や武力行使する相手と距離を置く、たとえ国同士であってもという考えがあっても良いのではないかな、DV防止法でDV被害者が居場所が知られないようシェルターに避難し、DV虐待加害者に接近禁止命令を出すような感じで。
日本の保守や右派の集団的自衛権行使容認派がいう話し合いが通じないから、先に武力行使で攻撃って国際法違反の侵略戦争行為ですよね。
自衛権も個別的自衛権の範囲内に制限して自国に対する侵略行為に対する防衛のみ、かつできる限り国際法違反摘発する警察権で対処して可能な限り武力行使は避けた方がよいと思ってます。

http://web.sfc.keio.ac.jp/~gaou/cgi-bin/mondou/html/032477.html



ロシアのウクライナ侵攻と武力不行使原則
国際法学会エキスパート・コメント No. 2022-10
掛江朋子(広島大学 准教授)
脱稿日 2022 年 5 月 13 日
I. はじめに
2022 年 2 月 22 日、ロシアは、ウクライナ東部ドンバス地方で 2014 年に独立を宣言し
た「ドネツク人民共和国(以下、DPR)」と「ルガンスク人民共和国(以下、LPR)」を国家と
して承認し、二日後の 24 日から「特別軍事作戦」としてウクライナへの武力行使を開始し
ました。その結果、同年 5 月 13 日現在でウクライナの民間人犠牲者は約 3500 人にのぼり
1、590 万人を超える難民が避難生活を余儀なくされています2。国際司法裁判所(以下、ICJ)
は 3 月 16 日に、ロシアに対する軍事作戦の即時停止等を義務付ける仮保全措置を指示して
いますが、ロシアによる武力行使は依然継続しています。
国際連合(以下、国連)憲章 2 条4項は、加盟国が武力による威嚇または武力を行使する
ことを禁止しています(武力行使禁止原則)。その例外として認められる武力行使は実際上
2つのみ、すなわち、①同7章に基づいて国連安全保障理事会(以下、安保理)が授権した
集団的措置か、または②同 51 条が認める国連加盟国の個別的または集団的自衛権のみで
す。そこで、このロシアによるウクライナ侵攻に関して、主に 2 つの論点を紹介します。
まず 1 点目として、プーチン大統領はこの軍事侵攻を、51 条の自衛権に基づいて正当化し
ていますが、このような正当化は可能なのかという点です。2 点目は、国連の集団安全保障
制度の発動に関するものです。ロシアの侵攻に関する安保理での審議は、ロシアの拒否権行
使により阻止されたため、安保理は国連総会に対して緊急特別会合の立ち上げを要請しま
した。これを受けて国連総会は、国連設立以来 11 回目の緊急特別会合を開催しています。
このような安保理と総会との協力を含めた国連集団安全保障制度について少し検討してみ
たいと思います。
II. ロシアによる侵攻の国連憲章 51 条に基づく正当化
プーチン大統領は、2 月 24 日の演説(英語版3)で、おもに以下のような主張をしました。
まず、NATO の東方拡大というロシアへの封じ込め政策が、ロシアの国家の存在そのものと
主権に対する真の脅威を構成しており、米国とその同盟国は一線を越えてしまったという
2
こと。次に、ドンバス地方においてジェノサイドが発生していること。これに関連して「国
連憲章 7 章 51 条に従い、またロシア連邦院による承認を得て、2 月 22 日に連邦議会によっ
て批准されたドネツク人民共和国とルガンスク人民共和国との友好および相互援助の条約
を遵守すべく、特別軍事作戦を行うことを決定した」。さらに、この軍事作戦の目的は、ド
ンバス地方でジェノサイドにさらされてきた人々の保護であると述べます。
プーチン大統領の主張は 51 条に基づいて正当化できるでしょうか。自衛権行使が認めら
れる要件として、ICJ の判例上確立しているのは、①武力攻撃が発生していること、②
安保理への報告、③必要性および④均衡性(比例性)があること、集団的自衛権の場合
には、上記に加えて⑤被害国が攻撃を受けている旨の宣言をし、援助を要請しているこ
とが必要であると考えられています4。②に関して、ロシアは、プーチン大統領の演説を
添付するかたちで安保理に報告(UNDoc.S/2022/154)しており要件を満たしています。
第一の論点として、ロシアに対する武力攻撃の発生があったと言えるでしょうか。武
力攻撃については明確な定義は存在しませんが、ニカラグア事件 ICJ 判決によると、よ
り深刻ではない武力行使とは区別された「武力行使の最も重大な形態である」とされて
います5。ですから、プーチン大統領が演説のなかで主張する NATO の東方拡大は、それ
がいかにロシアにとって脅威であったとしても、直接的な武力行使を伴っている場合、
あるいは差し迫った武力攻撃の着手がある場合以外には武力攻撃とはみなしえないで
しょう6。なお、武力攻撃が発生していないあるいは武力攻撃の着手がない場合でも、急
迫した脅威に対して武力を行使することを正当化する「先制的自衛」は、米国をはじめ
とするいくつかの国が主張した事例がありますが、国際法学の通説では、むやみに自衛
権の範囲を広げることで自衛権が濫用されるおそれがあることから、認められないと考
えられています。
では、ロシアの主張するような DPR および LPR の人々に対するウクライナの大量虐殺
が、仮に発生したと想定した場合、それは武力攻撃とみなせるでしょうか。この点、DPR
と LPR がそもそも国家といえるのかという点と関わってきます。DPR と LPR は、2015 年
ミンスク合意によって「特別の地位」を与えられたウクライナ国内の地域にすぎず、後
ほど紹介する国連総会緊急特別会合の決議は、ロシアによるこの2地域に関する承認が「ウ
クライナの領土保全と主権の侵害」であるとして非難しています(本文5段落)。プーチン大
統領の言う「ジェノサイド」に関しては、2014 年ドンバス地方でウクライナと親ロシア
武装グループとの戦闘が生じ、2021 年までに約 3000 人の民間犠牲者が発生しています
が7、これをウクライナ政府による一方的なジェノサイドとみなすことは困難です。ま
3
た、ICJ は 2004 年パレスチナの壁事件勧告的意見で、51 条が認める自衛権は「一国の
他国に対する武力攻撃」であると判断しています8。「テロとの闘い」の文脈では、2001
年の 9.11 同時多発テロ以降、アル・カイーダなどの非国家主体が行うテロ行為を武力
攻撃と捉え、それに対する国家による自衛権行使を認める立場が増えているものの、本
件に関して、ウクライナ国内での政府と分離派グループ間での戦闘を、前者による後者
への武力攻撃とみなすのは難しいでしょう。
第二に、必要性と均衡性の要件について検討します。必要性とは、武力攻撃に対し
て他に合理的な対抗手段が存在しないこと、均衡性とは、武力攻撃に対する自衛措置
が規模や期間、目標において均衡がとれていることを意味します。ロシアによる軍事
行動は、そもそも自衛措置を必要とする武力攻撃の存在が認められないので必要性の
条件を満たしているとはいえません(必要性の欠如)。また、仮にロシアまたはドン
バス地方に対する武力攻撃が発生していたと想定した場合にも、ロシアのウクライナ
に対する攻撃はドンバス地方に留まらず、都市の破壊と多くの一般市民の犠牲を伴っ
ています。手段・規模ともに過剰と言わざるを得ず(均衡性の欠如)、均衡性・必要
性ともに要件を満たしているとはいえません。さらに、集団的自衛権の要件として、
被害国による宣言が必要である旨先述しましたが、DPRとLPRから国家としてこのよう
な宣言が公式に実際なされたのかは不明です。
第三に、住民保護を目的とする武力行使を自衛権として正当化できるのか、という
点も問題となります。住民保護目的の武力行使は、「保護する責任」として議論され
てきました。ジェノサイド等が発生した状況で国家が自国民を保護できないまたはそ
の意思がない場合に、国際社会が安保理を通じて集団的措置を行うというものです9。
「保護する責任」概念は、法的な権利または義務として確立したものではありません
が、これは上述のような要件を必要とする自衛権の行使とは明確に区別されるもので
す。現在のところ、「保護する責任」としての武力行使は、安保理決議による授権が
ある場合にのみ可能であると考えられています。
以上のことから、ロシアの軍事行動は、51 条の個別的および集団的自衛権の行使と
して正当化することはできません。よって、国連憲章 2 条4項の武力不行使原則に違反
するといえます。
III.国連での対応
次に、国連の対応について紹介します。国連において国際の平和および安全の維持に関
4
する主要な責任を担う機関は安保理です(24 条)。国連憲章によると、総会は、紛争また
は事態について安保理が任務を遂行している間は、安保理の要請がない限り、いかなる勧
告もしてはならない(11 条)とあります。ただし本件の場合、安保理は、2 月 25 日緊急会
合を開催し、ロシアの「侵略」を非難する決議案の採択を試みましたが、ロシアの拒否権行
使によって実現しませんでした。そこで、2022 年 2 月 27 日、安保理は決議 2623
(S/RES/2623(2022))により、国連総会緊急特別会合(Emergency Special Session、以下
ESS)の開催を要請し、本件事案を ESS への審議に委ねました。安保理によるこの要請は、
拒否権の対象ではありません。
ESS は、国連憲章上の手続きではなく、1950 年国連総会「平和のための結集」決議 377 A
(V) に基づくものです。これは、拒否権行使によって安保理での集団的措置が不可能な場合
に、国連総会でその継続および回復させる目的をもちます。とりわけ「平和の破壊」および
「侵略行為」に関して、総会は軍事措置も含めた措置をとるよう加盟国に勧告することがで
きます。あくまで勧告であり、安保理決議のような法的拘束力はありませんが、加盟国は総
会の勧告を受けた合法的な集団的措置が可能となります。
総会は、上記安保理の要請を受けて第 11 回 ESS を開催し、3 月 2 日に「ウクライナに対
する侵略」と題した決議 ES-11/1 を賛成 141、反対 5(ロシア、ベラルーシ、北朝鮮、エリ
トリア、シリア)、棄権 35 の多数決で採択しました。同決議は、その本文2段落で「最も
強い言葉でロシア連邦によるウクライナへの侵略を憲章 2 条4項違反として非難する」と
しつつ、ロシアに対して武力行使の停止とウクライナ領内からの軍隊の撤退を要請してい
ます。侵略に対する非難はロシアが拒否権を行使した 2 月 25 日の決議案と同じ表現を使用
しています。
ここで使われている「侵略」という用語に注目したいと思います。侵略行為は、安保理が
その存在を決定するとされています(39 条)が、安保理が侵略行為の存在を決定したこと
は今までにありません。これに対して、ESS においては、イスラエルがパレスチナ住民を対
象としたレバノンへの攻撃など、いくつかの事例が侵略行為として扱われています10。侵略
の定義は長らく議論されてきましたが、国連総会において「侵略の定義」に関する決議
3314(XXIX)が 1974 年に採択されました。そこでは、「侵略とは、一国による他国の主権、領
土保全若しくは政治的独立に対する、または国際連合憲章と両立しないその他の方法によ
る武力の行使である」(1 条)と定義され、具体的な内容が 3 条に列挙されています。
上記のように安保理が機能不全に陥った際に総会が補完的な機能を果たしていますが、
総会の決定には法的拘束力がないという違いに留意する必要があります。また、このような
5
法的拘束力のなさがゆえに、安保理では認定が難しい侵略行為について非難決議を採択し、
違法性を確認することができるという側面もあります。
IV. おわりに
ロシアのウクライナ侵攻を契機として、国連の安全保障体制のあり方に関する議論も活
発化しています。まず、常任理事国の拒否権に対して、第二次大戦の戦勝国に特権を与え続
けることが、現在の国際社会を反映していないとの批判が高まっています。安保理改革の必
要性11はこれまでも繰り返し議論されてきましたが、実現に至っていません。そこで、国連
総会は、2022 年 4 月 26 日に決議 A/RES/76/262 を採択し、常任理事国が拒否権を行使した
場合、10 日以内に安保理で審議の対象であった事態を検討することを決定しつつ、拒否権
を行使した常任理事国に対しては、72 時間以内に拒否権行使の理由を総会に報告するよう
求めています。
最後に、国際法学者のなかには、ここ数十年の間にコソボ等で行われてきた欧米の軍事介
入の法的正当性が十分明確にされなかったことで、武力行使禁止原則という法の重みが侵
食されたという意見や、反対に、ロシアの違法行為を前に他国も国際法を遵守しているわけ
ではないと主張することは「不適切な目眩しである」という意見もあります。これらの相反
する意見は、ともに重要な点を示しています。高次の公権力をもたない水平的な国際社会に
おいて、安全保障上の政治目的を達成するために、すべての紛争と犠牲者が公平で対等に扱
われてきたとは言えず、欧米諸国による違法な軍事活動が存在したことも事実です。他方で、
そのことによって武力不行使原則の有効性を否定することは本末転倒であり、武力の濫用
による被害や犠牲をなくすために、許容される武力行使を厳格に制限して解釈することが
求められます。武力不行使原則は、国連の集団安全保障制度と紛争の平和的解決手段によっ
て支えられている規範です。一旦武力行使が始まると、武力行使を阻止するための選択肢は
極めて限られ、各国がそれぞれにロシアへの制裁およびウクライナへの武器供与をおこな
っているのが現状です。まずは戦闘行為や戦争犯罪を一刻も早く終わらせる方法が模索さ
れますが、長期的には、紛争解決手段を通じて、同様の武力行使が繰り返されないような地
域の安全と平和のための合意を導き出す必要があります。一方でウクライナの領土保全と
主権を取り戻す努力と、他方で、プーチン大統領が「絶対に受け入れ難い脅威」12と表現す
るような戦争正当化の根拠をなす脅威認識を解消する努力が、国際的協力のもと継続され
ることが求められます。
<参考文献>
6
小松一郎著『実践国際法(第2版)』(信山社、2015 年)
浅田正彦『国際法(第2版)』(東信堂、2013 年)
藤田久一『国連法』(東京大学出版会、1998 年)
●ロシアのウクライナ侵攻に関する国際法学者等の見解は、以下のウェブサイトに集めら
れた情報を参考にしました(2022 年 5 月 10 日現在)。
・EJIL:Talk! Ukraine
・根岸陽太・二杉健斗・平野実晴「ロシア・ウクライナ紛争(2022 年)国際法情報ページ」
・スラブ・ユーラシア研究センター「ロシアのウクライナ侵攻特集」
1 OHCHR, Ukraine: civilian casualty update 13 May 2022.
2 UNHCR, Operational Data Portal: Ukraine Refugee Situation (as of 9 May).
3 UN. Doc. S/2022/154, Annex.
4 Military and Paramilitary Activities in and against Nicaragua (Nicaragua v. United
States of America), Merits, Judgment, I.C.J. reports 1986, p.14, paras. 194, 199.
5 Ibid., para. 191
6 武力攻撃に関しては、各国の議会で解釈がなされています。日本については以下を参
照。小松一郎著『実践国際法(第2版)』(信山社、2015)413-414 頁。
7 OHCHR, Conflict-related civilian casualties in Ukraine, 8 October 2021.
8 Legal Consequences cf the Construction of a Wall in the Occupied Palestinian Territory, Advisory
Opinion, I.C.J. Reports 2004, p. 136, para. 139
9 UN Doc. A/RES/60/1, para.139.
10 Rebecca Barber, EJIL TALK! “What can the UN General Assembly do about Russian Aggression in
Ukraine?”, February 26, 2022
11 外務省 HP、「安保理改革の経緯と現状」(令和 4 年 4 月 27 日)
12Президент России– Верховный Главнокомандующий Вооружёнными Силами Российской
Федерации Владимир Путин присутствовал на военном параде в ознаменование 77-й
годовщины Победы в Великой Отечественной войне 1941–1945 годов, 9 мая 2022 года; NHK
「演説全文:プーチン大統領 戦勝記念日で語ったことは」2022 年 5 月 9 日(as of 10 M

ロシアのウクライナ侵攻と武力不行使原則
国際法学会エキスパート・コメント No. 2022-10
掛江朋子(広島大学 准教授)
脱稿日 2022 年 5 月 13 日


ヒューマンライツ・ナウは、本日8/2付で下記の声明を発表し、

安倍晋三総理大臣、麻生太郎副総理大臣、菅義偉官房長官宛てに



送付いたしました。

——————————————————————
 【 声明 】
「侵略の定義は定まっていない」との日本政府の一連の発言に抗議する。
——————————————————————



1 侵略の定義に関する昨今の発言

安倍晋三首相は本年4月22日、参議院予算委員会で、侵略戦争を謝罪した村山富市首相談話について「安倍内閣としてそのまま継承しているわけではない」と表明し、また翌23日の同委員会では、日本の植民地支配や侵略をめぐり、「侵略という定義は学界的にも国際的にも定まっていない。国と国との関係でどちらから見るかで違う」と述べた。その後安倍首相は内外の反発を受けて、5月15日には「侵略しなかったと言ったことは一度もない」として村山談話を踏襲する旨の軌道修正を行った。

しかし安倍首相は、5月24日付の国会質問主意書への答弁で「国際法上の侵略の定義については様々な議論が行われており、お尋ねについては確立された定義を含めお答えすることは困難」「国際法上の侵略の定義については様々な議論が行われており、確立された定義があるとは承知していない」「国際連合総会決議第三千三百十四号及び国際刑事裁判所に関するローマ規程に関する御指摘の改正決議が「国際的な合意」に相当するかどうかについて、一概にお答えすることは困難である。」などと回答した[1]。外務省もこの見解に従っている[2]。

こうした一連の発言は、国際法、そして日本も参加して形成された重要な国際的コンセンサスに反するものであり、東京に本拠を置く国際人権NGOヒューマンライツ・ナウは、こうした発言に抗議する。

2 国連総会決議3314

1974年、国連第29回総会において、「侵略の定義に関する決議」が日本も賛成して採択されている(決議3314(XXIX))。決議では第1条が、侵略の一般的な定義を一国が他国の主権、領土保全もしくは政治的独立に対して武力を行使すること、又は国際連合憲章と両立しない他のいずれかの方法により武力を行使することをいう」と定義し、第3条は「次の行為はいずれも、宣戦布告の有無に関わりなく、第2条の規定に従うことを条件に、侵略行為とみなされる」とし、以下の具体的行為を列挙する。

(a)一国の軍隊による他国領域への侵入もしくは攻撃、又は、一時的なものにせよ、右の侵入もしくは攻撃の結果生ずる軍事占領、又は武力行使による他国の領域もしくはその一部の併合

(b)一国の軍隊による他国の領域に対する爆撃、又は、国による他国の領域に対する武器の使用

(c)一国の軍隊による他国の港又は沿岸の封鎖

(d)一国の軍隊による他国の陸軍、海軍もしくは空軍、又は商船隊及び航空隊に対する攻撃

(e)受入国との合意に基づいてその領域内にある他国の軍隊を、協定に定められた条件に違反して使用すること、又は協定の終了後も右の領域で他国の軍隊が駐留を延長すること

(f)他国の自由に任せた一国の領域が右の他国によって第三国に対して侵略行為をなすために使用されるのを許すに際しての、右の国の行為

(g)右に掲げた行為に相当するほどの重大な武力行為を他国に対して行う武装した一隊、集団、不正規軍もしくは傭兵が一国により又はその国のために派遣されること、又はそれに国が実質的に関わること

この決議に賛成票を投じた日本が、国際的な侵略の定義は存在しないかのような主張をすることは、国連加盟国として憲章上の義務を誠実に履行する義務(憲章2条2項)に合致するものではない。安倍首相の国会答弁は、日本も賛成した国連総会決議について「国際的な合意」と認めることを拒絶しているものであり、見過ごすことはできない。

3 国際刑事裁判所規程再検討会議

2010年にウガンダで開催された、国際刑事裁判所「ローマ規程」に関する再検討会議は、国際刑事裁判所が侵略犯罪に対して管轄権を行使する前提として、侵略罪の定義を明確にした。

ローマ規程8条の2は、侵略犯罪の定義の前提として、「侵略の行為」とは、他国の主権、領土保全または政治的独立に対する一国による武力の行使、または国際連合憲章と両立しない他のいかなる方法によるものをいう。」とし、「以下のいかなる行為も、宣戦布告に関わりなく、1974年12月14日の国際連合総会決議3314(XXIX)に一致して、侵略の行為とみなすものとする」として、決議3314第3条(a)から(g)と同一の定義の行為を列挙した[3]。ローマ規程8条の2は決議3314と異なり、安保理の認定について何らの言及もしておらず、侵略の認定を安保理の認定にかからしめないとした点で、重要である。

日本は、本会合に参加して積極的役割を果たしており、「(イ)第二次大戦以降長らく議論されてきた侵略犯罪の法典化が達成されたことは歴史的意義を有する。 (ロ)今回採択された改正規程は、一定の条件が満たされれば、将来ICCが安保理の侵略行為の認定なしに侵略犯罪の管轄権を行使することを認める内容となっている。これまで安保理常任理事国が安保理の認定権限を最優先する対応をとっていたことからすれば、画期的な合意内容と言える」と評価している[4]。安倍首相の答弁は、日本も参加して行われた国際刑事裁判所規程検討会議の合意内容を貶めるものである。

4 不戦条約

 第二次世界大戦前にさかのぼれば、1928年に締結された「戦争放棄に関する条約」、(いわゆる「不戦条約」。ケロッグ=ブリアン規約ともよばれる)は、「国際紛争の解決のため戦争に訴えることを非とし、かつその相互の関係において国家の政策の手段としての戦争を放棄すること」を各締約国は厳粛に宣言すると規定している(1条)。本条約の締結にあたっても、国家は自国領域が攻撃を受けた場合に自衛のための戦争に訴える権利があることは前提とされていたものの、自衛以外の、「国家の政策の手段としての戦争」は、本条約によってすべて違法化されるに至った。本条約は1929年に発効し、日本を含む当時のほとんどすべての国によって広く受け入れられた。日本は、1929年にこの不戦条約を批准したにもかかわらず、1931年に「満州事変」を起こし、満州「事変」は宣戦布告によって始まる正式な「戦争」でないと主張するとともに、これは中国における日本の権益を擁護するための自衛戦争であって不戦条約の違反ではないと主張した。しかし、当時、国際連盟で日本の立場を支持する国はなく、連盟は、満州事変は日本の自衛戦争にはあたらないというリットン調査団報告書に基づき、42対1(日本)、棄権1の多数で日本の撤退を求める決議を採択した[5]。

安倍首相の発言の主旨が、仮に戦前の国際法についてのものであるとしても、日本が行った「満州事変」以降の武力行使は、当時の国際法の下でも明白に違法な武力行使、すなわち侵略戦争であるとみなされていたことは動かしえない事実である[6]。

5 侵略の定義はないという安倍首相、及び日本の外務省の見解は、過去約1世紀にわたって国際社会が築き上げ発展させてきた国際法の基本的な原則の存在を著しく軽視・否定するものであり、第二次世界大戦の反省にたって武力行使を原則的に違法とした国連憲章の精神を尊重しないものと言わざるを得ない。こうした立場を公然ととることは、平和を基調とする国際秩序を危うくするものである。

ヒューマンライツ・ナウは、日本政府に対し、国際社会の到達した合意を改めて謙虚に学び、真摯に受け止め、侵略の定義が国際的合意であることを認め、これを尊重し、政府見解を抜本的に修正するよう要請する。

________________________________

[1] 2013年5月24日受領 答弁第76号辻元清美議員の質問主意書に対する回答http://www.kiyomi.gr.jp/activity/kokkai/inquiry/a/20130605-954.html

[2] 外務省も、5月8日の横井外務報道官会見において「外務省としまして、総理の答弁につけ加えることはございません。基本的には、これまでも国連において侵略等々についてはさまざまな議論が行われてきたところであり、ただ、現在のところ、少なくとも統一的な見解というものが最終的に決まっているというようには承知しておりません」と述べた。

[3] http://www.icc-cpi.int/NR/rdonlyres/ADD16852-AEE9-4757-ABE7-9CDC7CF02886/283503/RomeStatutEng1.pdf

[4] http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/icc/rome_kitei1006.html

[5] この結果、日本は自ら国際連盟を脱退し、第二次世界大戦に突入していく。

[6] なお、サンフランシスコ講和条約第11条は「日本国は、極東国際軍事裁判所並びに日本国内及び国外の他の連合国戦争犯罪法廷の裁判を受諾」すると規定する。同裁判は日本が侵略行為をしたと判断しており、日本は講和条約締結に当たり、この判決を受諾する意思を明確にしている。

声明PDFはこちら↓
Immediate Release regarding definition of aggression .pdf

【声明】「侵略の定義は定まっていない」との日本政府の一連の発言に抗議する。


https://www.icc-cpi.int/sites/default/files/NR/rdonlyres/ADD16852-AEE9-4757-ABE7-9CDC7CF02886/283503/RomeStatutEng1.pdf

https://koryo-jcp.jp/_userdata/akahata_201507_b.pdf



安倍晋三政権が今国会での成立を狙う戦争法案に対し、「違憲」「反対」とする国民の声が日増しに大きくなっています。政府・与党は「法案は抑止力を高め、日本の平和と安全を維持するのに不可欠」などと弁明に必死ですが、マスメディアの世論調査でもそう思わないという声が多数です。法案が、日本は武力攻撃を受けていないのに、米国が海外で始める戦争に集団的自衛権を発動して参戦し、武力を行使する危険な本質を持っているからです。国民の反対世論を無視し、与党が数の力で法案を押し通すことは許されません。

時の政権の裁量任せ

 「法案が成立すれば、日本が外国から武力攻撃を受けることを防ぐ力、いわゆる抑止力が高まると思いますか」との問いに対し、「そうは思わない」が52%―。「読売」6日付の世論調査です。

 同調査では、政府の説明そのままに「法案は、日本の平和と安全を確保し、国際社会への貢献を強化するために、自衛隊の活動を拡大するもの」とした上でその賛否を聞いた質問でも「反対」が50%で「賛成」36%を上回りました。

 「抑止力を高める」「日本の平和と安全のため」という政府・与党の主張に、多くの国民が納得していないことを示すものです。

 政府・与党は、北朝鮮の核開発や弾道ミサイルの問題を持ち出して国民を脅し、集団的自衛権の行使を可能にした戦争法案の正当化を図ろうとしています。しかし、北朝鮮の核・ミサイル問題は、外交手段で解決する努力が何より求められています。軍事態勢の強化で対応しようとすれば相手はさらに軍事力の増強を加速させ、“軍事対軍事”の危険な悪循環に陥ることは明らかです。

 しかも、集団的自衛権の行使とは、日本が武力攻撃されていないのに、他国に対する武力攻撃を排除するため武力を行使することです。元内閣法制局長官の阪田雅裕氏は「集団的自衛権を行使するということは、進んで戦争に参加するということだから、敵となる相手国にわが国領土を攻撃する大義名分を与えるということでもある」「国民を守るというよりは、進んで国民を危険にさらすという結果しかもたらさない」と指摘しています(6月22日、衆院安保法制特別委員会)。政府・与党の主張に国民が納得しないのは当然です。

 集団的自衛権の行使を盛り込んだ戦争法案の最大の問題は、他国に対する武力攻撃の発生によって日本の存立が脅かされる明白な危険がある場合など武力行使の「新3要件」を満たしているかどうかの判断が、時の政権の裁量に任され、無限定だということです。

採決の強行許さない

 米国がベトナムやイラクへの侵略戦争のような無法な先制攻撃の戦争を仕掛けた際、戦後一度も米国の戦争に反対したことのない日本が、米国の言われるままに集団的自衛権を発動し、武力を行使することになる―。日本共産党がこの間の国会論戦で明らかにしてきたように、ここにこそ、集団的自衛権行使の最も現実的な危険があります。

 与党内では、来週にも衆院安保法制特別委員会での法案採決を強行する動きが出ており、事態は緊迫しています。採決強行を許さない世論と運動を一層大きくすることが重要です。

主張

集団的自衛権行使

先制攻撃参戦こそ現実の危険


集団的自衛権 事態対処法「除外せず」

宮本岳志氏質問に政府認める

衆院総務委






(写真)質問する宮本岳志議員=23日、衆院総務委

 総務省は23日、地方自治法改定案で、国が自治体に「指示権」を行使できる「個別法で想定されていない事態」について、集団的自衛権の発動要件である存立危機事態を定めた「事態対処法」も除外されないと明らかにしました。日本共産党の宮本岳志議員の衆院総務委員会での質問に認めました。

 改定案は、政府が「国民の安全に重大な影響を及ぼす事態」と判断すれば、個別法に規定がなくても、自治体に「指示権」を行使できる仕組みを導入。これまで事態の類型として、大規模災害や感染症のまん延しか示されていませんでした。

 宮本氏は、改定案の対象範囲に「事態対処法も排除されないのではないか」とただすと、総務省の山野謙自治行政局長は「除外するものではない」と認めました。

 また宮本氏は、自衛隊などが空港・港湾を軍事利用できる「特定利用空港・港湾」について、国と地方自治体との合意ベースで運用するとされているが、「(改定案で)想定外の事態となれば、合意ベースだと言っても指示して合意させられるのではないか」と迫りました。

 松本剛明総務相は「自衛隊、海上保安庁の優先利用のために、個別法で想定されていない事態に備える補充的な指示を行使することは想定していない」と現行の枠組みの説明に終始しました。宮本氏は、総務省が地方制度調査会で、平時でも有事でもない「グレーゾーン事態」について資料を提示していると指摘。空港・港湾利用の枠組みが「グレーゾーン事態」を想定しておらず改定案の対象となるとして、「国の指示権が使えることになる」と批判しました。

集団的自衛権 事態対処法「除外せず」

宮本岳志氏質問に政府認める

衆院総務委


集団的自衛権での敵基地攻撃

報復「日本、大規模被害も」 浜田防衛相認める

穀田氏「まさに全面戦争」

衆院予算委

 浜田靖一防衛相は6日の衆院予算委員会で、日本が武力攻撃を受けていないもとで集団的自衛権の行使として敵基地攻撃を行い、相手国から報復攻撃を受けた場合、「日本に大規模な被害が生じる可能性も完全に否定できない」と認めました。








(写真)質問する穀田恵二議員=6日、衆院予算委

 政府が「大規模な被害」に言及したのは初めて。質疑に立った日本共産党の穀田恵二議員は「まさに全面戦争で国土が焦土・廃虚と化す」と厳しく批判し、敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有を明記した「安保3文書」の撤回を求めました。

 昨年末に閣議決定された安保3文書は、日本が直接攻撃を受けていないのに、米国が始めた戦争を「存立危機事態」と認定し、集団的自衛権の行使として敵基地攻撃を行う考えを明記しています。

 穀田氏は、2015年の安保法制の審議の際、防衛省が「存立危機事態に該当する状況は、同時に武力攻撃事態などに該当することが多い」と説明してきたことを指摘。日本が集団的自衛権を行使した後に相手国から武力攻撃を受け、「日本に被害が及ぶことがないと言えるか」と追及しました。

 これに対して浜田防衛相は、「わが国が限定的な集団的自衛権を行使した後、事態の推移によっては他国からの武力攻撃が発生し、被害を及ぼす可能性がある」と認めました。さらに、穀田氏が「大規模な被害が生じることも否定できないのではないか」とただしたのに対して、浜田氏は「一般論」としながらも、その可能性を認めました。

 また、浜田防衛相は、集団的自衛権の行使後に発生した相手国からの攻撃に対して、「こうした武力攻撃を排除するために必要な措置をとる」と述べ、報復に対しさらなる攻撃に言及。穀田氏は、「そうなればまさに全面戦争だ」と述べ、「安保3文書は『日本を守る』どころか米国の戦争に日本を巻き込む、日本に戦火を呼び込み、甚大な被害を及ぼすものだ」と厳しく批判しました。

集団的自衛権での敵基地攻撃

報復「日本、大規模被害も」 浜田防衛相認める

穀田氏「まさに全面戦争」

衆院予算委


集団的自衛権行使で敵基地攻撃
小池氏追及に防衛相認める
参院予算委
写真

(写真)質問する小池晃書記局長=5月31日、参院予算委

 政府は、安保法制に基づく集団的自衛権行使として敵基地攻撃を行うことを認めました。日本共産党の小池晃書記局長が5月31日の参院予算委員会で岸信夫防衛相を追及し、岸氏が答えたもの。日本に対する攻撃がないのに、米国を攻撃する第三国に対する集団的自衛権の行使は、第三国との関係では先制攻撃となります。しかも、米国に対する攻撃の有無を日本が独自に判断できるのかという問題があり、米国に対する攻撃の有無さえ不明確なまま、米国主導で日本が戦争参加し、日本に対する反撃を招くという重大な危険があります。
新3要件根拠に

 小池氏は、「安保法制に基づく集団的自衛権の行使にあたっても敵基地攻撃は可能か」と追及。岸氏は、以前から誘導弾の基地等をたたくといった他国領域における武力行動は許されうるとされてきたとしたうえで、「その後の平和安全法制(安保法制)の成立により、武力行使の要件はいわゆる新3要件となった。わが国の武力の行使は新3要件に基づいて行われると認識をしている」と答弁しました。

 新3要件のもと、まさに集団的自衛権の行使として、敵基地攻撃が行われることを認めたのです。

 同29日のNHK日曜討論では、自民党の小野寺五典元防衛相が敵基地攻撃をする場合とは「日本が攻撃されているということだ」と発言していました。小池氏は、「いまの答弁で言うと、日本が攻撃されていない集団的自衛権行使の場面でも敵基地攻撃はあり得るということになる」としたうえで、岸田文雄首相に「わが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃の『着手』とは、どういう事態を言うのか、いったい誰が、どのようなことをもって着手と判断するのか」とただしました。

 首相は、集団的自衛権の行使として敵基地攻撃がありうることは否定せず、「(着手は)その時点での国際情勢、相手方の明示された意図、攻撃の手段、対応によって判断する。事態の個別具体的な状況に即して持ちうる全ての情報を総合し、客観的合理的に判断する」などと答えました。

 これに対し小池氏が「判断する主体はどこか」と質問。松野博一官房長官は「わが国と密接な関係にある他国との間において、当然情報交換、情勢分析、意見交換等のやりとりを緊密に行う。武力攻撃の発生のタイミングに関わる判断は、政府として実際に発生した事態の個別具体的な状況に即して、このようなやりとりにより得られたものも含め、持ち得る全ての情報を総合して客観的合理的かつ主体的に判断する」などと述べました。
米の情報に依拠

 小池氏は、「他国への攻撃の着手を判断すること自体、極めて困難なことだ」と指摘。「日本に対する武力攻撃ではなく、アメリカなどの同盟国に対する武力攻撃の着手を、日本がどうやって主体的に判断するのか。圧倒的な情報収集能力を持っているアメリカの判断に依拠することになることは明らかだ」と批判しました。

 松野氏は「情報を総合して、客観的合理的にわが国の主体的な判断による」とおうむ返ししました。

 小池氏は「無理筋だ」と一喝。「アメリカの武力攻撃に、いままで日本は反対したことが一度もない。主体的な判断ができないではないか。結局、日本に対する武力攻撃がなくても、アメリカがどこかの国と戦争を始めたら、自衛隊が一緒になって、相手国の基地だけではなく、指揮統制機能、すなわち相手国の中枢まで攻撃することになる。これが、憲法が禁止した、放棄した戦争でなくて何なのか」と重ねて厳しく批判し、安保法制の廃止を改めて求めました。

集団的自衛権行使で敵基地攻撃
小池氏追及に防衛相認める
参院予算委


主張

安保法制強行7年

いよいよ廃止は切実な課題だ

 2015年9月19日、安倍晋三政権(当時)は、違憲の集団的自衛権の行使などを可能にする安保法制=戦争法の成立を強行しました。これは、海外での武力行使に道を開き、日本を「戦争する国」に変える歴史的暴挙でした。それから7年、岸田文雄政権は今、相手国の領土内にあるミサイル発射拠点などを直接攻撃する「反撃能力」(敵基地攻撃能力)の保有を狙っています。米国が海外で戦争を始めれば、安保法制に基づいて集団的自衛権が発動され、自衛隊が米軍とともに相手国を攻撃する危険がかつてなく高まっています。

存立危機事態で初の訓練

 今年6月下旬から8月上旬まで米ハワイなどで行われた米海軍主催の環太平洋合同演習(リムパック)に自衛隊が参加しました。岸信夫防衛相(当時)は8月8日の記者会見で、自衛隊が同演習で「存立危機事態」を想定した実動訓練を初めて実施したことを明らかにしました。

 「存立危機事態」は、安保法制に盛り込まれました。日本と密接な関係にある他国が攻撃されることにより、日本の存立が脅かされる明白な危険がある場合と規定されています。事態の認定がされれば、自衛隊は、他国に対する第三国からの攻撃を排除するために武力の行使=集団的自衛権の行使ができます。米国が第三国と戦争を始め、攻撃を受けた場合も、発動対象となります。

 岸氏によると、自衛隊はリムパック期間中の7月下旬から8月上旬までの間、「(日本)政府が存立危機事態の認定を行うという前提で武力の行使を伴うシナリオ訓練」を行ったとしています。具体的な訓練内容は明らかにしなかったものの、リムパックの指揮官を務めた米海軍の司令官は同演習について「台湾(有事)を含めたあらゆる軍事的な対応を向上させるものだ」(「朝日」デジタル、8月8日付)と述べています。

 今回の演習には、海上自衛隊の護衛艦「いずも」や陸上自衛隊の「12式地対艦ミサイル」部隊などが参加しました。陸自の同部隊は、高機動ロケット砲システム「ハイマース」を装備した米陸軍部隊と共同で、退役した米艦船を標的にした実弾射撃訓練を行いました。

 陸自の「12式地対艦ミサイル」と米陸軍のハイマースを使った共同訓練は8月下旬から9月上旬まで奄美大島(鹿児島県)でも実施されました。中国を念頭に置いた訓練であることは明らかです。

 防衛省は、奄美や沖縄など南西諸島への配備を進めている「12式地対艦ミサイル」の射程を中国本土に届く1000キロに伸ばす開発を行っており、量産化も狙っています。リムパックに参加した護衛艦「いずも」もF35B戦闘機を搭載する空母化に着手しています。いずれも「敵基地攻撃」への転用が可能になります。

重大な報復攻撃呼び込む

 岸田政権は、安保法制に基づく集団的自衛権行使の際にも、「敵基地攻撃」ができるという見解を示しています。日本が攻められていないのに、米国と戦争をしている相手国を自衛隊が「敵基地攻撃」すれば、日本が重大な報復を受けることは避けられません。

 安保法制の廃止をはじめ、「敵基地攻撃」能力の保有など大軍拡の企てを阻止することはいよいよ切実な課題です。

主張

安保法制強行7年

いよいよ廃止は切実な課題だ


イランのイスラエルへの報復攻撃、イスラエル軍とイスラム組織ハマスの泥沼化した戦闘、出口の見えないロシアとウクライナの戦争-。ある日突然、自国が攻撃にさらされる。そんな脅威が広がりつつある。

「戦争は人権に害悪」護憲派が集会、平和訴え 栃木県内各地

 装甲車が前進し、重機関銃を撃ち続けた。大砲の砲撃。耳をつんざくような発射音と衝撃波が観覧席にも押し寄せた。

 4月上旬、宇都宮市の陸上自衛隊宇都宮駐屯地。創立74周年記念行事で空砲による模擬戦が披露された。奪われた陣地を奪還する想定。そぼ降る雨の中、非日常の戦闘風景に来場者の視線がくぎ付けになった。

 近くに住む下野市、会社員石川桂子(いしかわけいこ)さん(39)にとって自衛隊は身近な存在だ。模擬戦について「見たこともないような車両が登場し迫力があった」。一方、「怖さもあった。ウクライナのことがあるので、これが戦争なのかなと思った」とこぼした。

 福島県郡山市から訪れた会社員竹松郁夫(たけまついくお)さん(58)は「自国が攻められた時に備え訓練は必要。巻き込まれないために自衛隊がいる」。そう考えを語った。

 近年、安全保障を巡る政府の政策転換が続く。他国の領域内を攻撃できる反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有、殺傷能力を持つ武器輸出の解禁、防衛費の増額-。不安定な海外情勢も相まって、日本国憲法が掲げる平和主義や9条が定める戦争の放棄、戦力不保持の変容を危惧する声もある。

 1945年7月。米軍機が襲来し、620人以上が死亡した宇都宮空襲。その記録を発信し続ける市民団体「ピースうつのみや」の田中一紀(たなかかずのり)代表(82)は「武力行使を当然だと思うような社会風潮が横行している」と危機感を口にした。 憲法9条を「最後の歯止め」と強調する。「(他国の)脅威から、なし崩し的に憲法を変えるという議論はおかしい。平和国家として世界に訴え続けることが日本人に委ねられている」と話す。

 若い世代も戦争と平和を直視している。宇都宮空襲関連のイベントを行ってきた学生サークルでサークル長を務めた宇都宮共和大4年藤田虎流(ふじたたける)さん(21)はウクライナ侵攻のニュースで、生まれて初めて空爆を目にした。その惨状が伝え聞いた宇都宮空襲と重なった。「防衛力は必要。でも、増強を繰り返すのは過去の過ちにつながる」と指摘する。武力衝突を避ける手段として「まずは国同士が対話するべきだ」と考える。

 緊迫する国際情勢の中で、平和主義をどう守っていくのか。それぞれが課題と向き合い続けようとしている。

    ◇  ◇

 日本国憲法は3日、施行から77年を迎える。国民の権利と自由を守る最高法規だが、日々の生活の中で憲法に触れ、考える機会は少ない。私たちにとって憲法とは。県民の姿や思いを通し意義や課題を見つめる。

紛争の脅威、揺れる9条 平和主義 「最後の歯止め」訴えも

憲法考 とちぎの現場から㊤

5/2 11:30


憲法記念日の3日、栃木県内各地で憲法を考える催しや護憲活動が行われた。

言論の自由 続く暴挙、募る危機感 多様な意見認める社会へ

 宇都宮市では、九条の会・栃木と平和・民主・革新の日本をめざす栃木の会(栃木革新懇)が駒生町のとちぎ健康の森で、「落語で憲法」を開催。市内外から約400人が参加した。

 茨城県弁護士会の飯田美弥子(いいだみやこ)さんが講師を務め、落語調で憲法の意義を語った。時事ネタを交えて憲法の歴史や理念を解説し「平和でなければ人は幸せになれない。どんな理由があっても戦争は人権にとって害悪でしかない」と力を込めた。

 夫婦で参加した同市下栗町、主婦渡邊種子(わたなべたねこ)さん(77)は「改めて憲法を分かりやすく学べた。主権在民や平和主義を変えてはならない」と真剣な表情で語った。

 小山市では、四つの市民団体でつくる「小山ゆるやかネット」(松島隆裕(まつしまたかひろ)代表)が、東城南4丁目の城南公園で集会を開いた。

 各団体の代表者らは、岸田政権による他国領域への反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有決定を受け、「権力者の言葉のすり替えにだまされてはいけない」などとアピール。集まった市民ら約50人も賛同した。

 オカリナ演奏を披露し、和やかな雰囲気も演出。集会後には、のぼり旗などを手に周辺をパレードした。

 小山・九条の会事務局の三塚保夫(みつづかやすお)さん(79)は「9条を守り、次の世代に平和の尊さを伝えていくことが大切だ」と訴えた。

「戦争は人権に害悪」護憲派が集会、平和訴え 栃木県内各地

2023/5/4


 選挙演説中の候補者に向けられた突然の罵声に、周囲が一時騒然とした。

人権軽視 なお根強く 後たたぬ性暴力 G7会合、変化の契機に

 「男女平等反対、選挙なんかやめちまえ」

 県議選が告示された3月31日の宇都宮市内。選挙カー上の女性候補者に、自転車にまたがった男性が近づきながら叫んだ。

 陣営スタッフが駆け寄り、男性を遠ざけた。候補者は演説を続けたが、聴衆の視線は男性に集まった。

 「やじを超えた暴言でめったにないことだった。正常に演説を続けられる状況ではなくなった」。候補者は当時を振り返り、憤る。「言論の自由や政治活動が妨げられることはあってはならない」

 この約2週間後。選挙の応援演説会場で岸田文雄(きしだふみお)首相に向け爆発物が投げ込まれる事件が起きた。

   ◆   ◆

 選挙運動に絡み、政治家が狙われる事件が相次いでいる。2022年7月、奈良市で安倍晋三(あべしんぞう)元首相が銃撃された。岸田首相襲撃はそのわずか9カ月後に起きた。他県の知事選では候補者が街頭活動中、近づいてきた男性から「タックルされそうになった」と交流サイト(SNS)に投稿する事案もあった。

 こうした事態を受け、白鴎大法学部の田中嘉彦(たなかよしひこ)教授(憲法学)は指摘する。「不満を抱えた人が思いのままに行動してしまっている。憲法が保障する言論の自由が脅かされ、民主主義の危機をもたらしかねない」

   ◆   ◆

 22年1月、新型コロナウイルス対策をメディアで発信してきた倉持仁(くらもちじん)医師(50)の宇都宮市のクリニックに、匿名の封書が届いた。中には約5センチのカッターの刃と、ニュース番組に出演する倉持氏の画像を印刷した紙。倉持氏の主張を否定する文言もあった。

 気に入らない意見を持つ相手を威嚇し、攻撃する行為-。「誰かの役に立つ発信を続ける」と倉持氏に萎縮はない。ただ、「責任を持った上で自由に発言しないといけない。そうしなければ、アンフェアだ」と世の中に対し投げかける。

 県弁護士会の山下雄大(やましたたけひろ)会長(50)は「言論には言論で応じることを忘れてはいけない」と強調する。その上で、今やSNSに脅迫や誹謗(ひぼう)中傷の書き込みが後を絶たない現状に「このままでは内容の規制が必要になり、表現や言論の自由を守れない局面に入る」と危惧した。

 民主主義を成り立たせるための言論の自由。多様な意見を尊重し合う社会をどう構築していくか。私たちの日常が問われている。

言論の自由 続く暴挙、募る危機感 多様な意見認める社会へ

憲法考 とちぎの現場から㊦

2023/5/3


突然のことだった。事務所での作業中。目の前にいた男の両手が体に触れた。引き寄せられそうになり、われに返った。

欠かせない女性参画 避難所運営に生活者目線 栃木県、リーダー育成本腰

 「何してるんですか」。声を出すと、さっと手が離れた。問いただしても悪びれず、ちゃかしたようなにやけ顔が脳裏に焼き付いた。

 県央在住の30代女性は昨年、勤務中に当時の上司から性暴力被害を受けた。その日から眠れず、食事も喉を通らない。男に背格好が似た人を見ると体が凍り付いた。働くこともできなくなった。間もなく、不安神経症と診断された。

 本人の意思に反した性的な言葉や行動は暴力でしかない。「女性を下に見ているから起きる。人権意識の低さが根底にある」。行き着いたのはそうした思いだった。「女性も男性も同等の立場にある。誰もが自分事として考えてほしい」

   ◆   ◆

 憲法は個人の尊重と法の下の平等を規定し、男女平等をうたう。国も女性に対する暴力を重大な人権侵害としている。しかし現実には性暴力が後を絶たない。

 県内では2022年度、専門窓口に1206件の相談があり、この5年間で5倍に増えた。京都産業大現代社会学部の伊藤公雄(いとうきみお)教授は、性暴力の背景の一つを支配欲と指摘。「一部の男性にとって、女性を支配することは自分が男であることの証明になる」とみる。

 とちぎ男女共同参画センター(パルティ)で家庭内暴力(DV)などの相談に応じる担当者は、「『男は仕事、女は家庭』といった男女の固定的な役割意識が、今も社会に根強く残っている」と問題視する。

   ◆   ◆

 「被害は誰にでも起きうるし、遠い出来事でもない」。上司から性暴力被害に遭った女性はそう話す。「そんなことくらいで」。体を触られたことをそう言う人がいた。被害を公的機関に訴える中で「勇気があるね」と言われたことも。

 「基本的人権について授業で習っても、生活に浸透していない。私たちは人権について考えることもないまま、運良く生活できているだけ」と語気を強める。

 国は男女共同参画基本計画で、女性への暴力根絶について「克服すべき重大な課題で、国の責務」と明記。意識改革などが欠かせないとして重視する。

 ジェンダーギャップ(男女格差)などをテーマに6月下旬、日光市で先進7カ国(G7)男女共同参画・女性活躍担当相会合が開かれる。関係者は世界的な会議に期待をのぞかせる。「G7を契機に県民全体の意識を変えたい」

   ◇   ◇

 憲法が施行され、3日で76年を迎える。移り変わる社会情勢の下、日常の中で憲法が保障する権利が脅かされる事態が起きている。私たちにとって憲法とは。県内の現場から当事者の思いを通じて見つめ直す。

人権軽視 なお根強く 後たたぬ性暴力 G7会合、変化の契機に

憲法考 とちぎの現場から㊤ 

2023/5/2


都道府県庁の防災・危機管理担当部署に関する共同通信の調査は、災害対策を巡る行政は男性中心である実情を浮き彫りにした。大規模災害が頻発する中、女性の視点をさらに取り入れた「体質改善」は急務だ。本県は、地域の防災に女性の参画を促す研修などを始めているが、取り組みは緒に就いたばかり。「生活者の視点が強い女性の視点は避難所運営の強みになる」との声が上がっている。

男女格差を都道府県ごとに見てみよう 「ジェンダー・ギャップ指数」試算

 県は今月中旬、災害備蓄用の生理用ナプキン2千個を確保した。県の備蓄は市町を補完する機能を持ち、水や食料、毛布などは既に備蓄を済ませている。

 危機管理課の男性担当者は生理用品の備蓄について「結果的に優先順位が低かったと言わざるを得ない」と説明。大規模災害を経験し避難所運営に女性の視点が不可欠と言われてきたが「まだまだ対応が追い付いていない」と話した。

 本県は防災・危機管理担当部署の女性職員割合が7%で、全国平均10%を下回った。危機管理課と消防防災課の職員42人のうち、女性は3人にすぎない。

 県内市町も同じ傾向だ。内閣府の調査によると、2021年4月時点で全25市町うち、防災・危機管理担当部署の女性がゼロの市町が19あった。

 東日本大震災時、避難所でのセクハラや性暴力被害も報告され、県人権・青少年男女参画課は「災害は社会的弱者をより厳しい立場に追いやる」と指摘する。

 地域防災計画を策定する地方防災会議などにも女性は少ない。県の会議委員の女性割合は21年9月時点で20%。国が目標とする30%には達していない。県内市町でも同年4月時点で、16市町が10%未満、3町はゼロだ。

 内閣府は20年のガイドラインで男女共同参画部局と防災・危機管理部局の連携を求めた。県も本年度、自主防災組織リーダー育成研修会に女性対象の回を設けるなど各担当課が連携を強化。女性リーダー育成に本腰を入れ始めた。

 15年の関東・東北豪雨や19年の東日本台風などで避難所運営に携わったNPO法人ハイジ(栃木市)の中村絹江(なかむらきぬえ)理事は「声を上げる女性リーダーの存在は不可欠」とし、平時からの男女共同参画の意識づくりの重要性を強調した。

欠かせない女性参画 避難所運営に生活者目線 栃木県、リーダー育成本腰

#とちぎジェンダーともに

2022/3/20


3月8日の国際女性デーに合わせ、上智大の三浦まり教授らでつくる「地域からジェンダー平等研究会」が、都道府県版ジェンダー・ギャップ指数の試算を公表した。世界各国の男女間格差を測る〝本家〟のジェンダー・ギャップ指数はスイスのシンクタンク、世界経済フォーラム(WEF)が毎年公表しており、日本は昨年、120位と世界最低レベルだった。



 都道府県版も同様の手法で統計処理した。内閣府の統計など、いずれもオープンデータの計28指標を選び「政治」「行政」「教育」「経済」の4分野で算出。その結果、行政の1位は鳥取で、政治の1位は東京、教育は広島、経済は沖縄がトップだった。ただ、政治などでは全国的に男女格差が大きく、上位の県もさらなる取り組みが必要だ。(共同通信社会部)

男女格差を都道府県ごとに見てみよう 「ジェンダー・ギャップ指数」試算

3月8日は国際女性デー

2022/3/8