引き取り手ない遺体、実態調査 遺骨管理「自治体任せ」―課題、先進事例を紹介・厚労省時事通信 内政部2024年06月09日07時05分配信.「無縁遺体」どう対応? 少子高齢化で新たな課題―市区町村時事通信 内政部2024年06月09日07時05分配信PDF魚拓


厚生労働省は今夏にも、引き取り手のない遺体や遺骨を巡る市区町村の対応に関する初の実態調査に乗り出す。少子高齢化に伴い1人暮らし高齢者が増加し、親族の確認に時間がかかったり、引き渡しを拒否されたりするケースが発生しているため。厚労省は複数の自治体や専門家にヒアリングを実施し、「自治体任せ」と言われる現状を把握。課題や先進事例をまとめる方針だ。

「無縁遺体」どう対応? 少子高齢化で新たな課題―市区町村

 1人暮らし高齢者の数は年々増加している。内閣府の2023年版高齢社会白書によると、20年時点の65歳以上人口に占める1人暮らしの割合は女性が22.1%、男性は15.0%。高齢者人口がほぼピークとなる40年には女性24.5%、男性20.8%にそれぞれ上昇し、計896万人と推計される。地域とのつながりの希薄化も指摘される中、引き取り手のない遺体への対応が課題となっている。

 墓地埋葬法などは、遺体の引き取り手がいない場合や見つからない場合、死亡地の市区町村が代わりに火葬すると規定する。市区町村は、親族を調査して引き取りを依頼、親族が見つからない場合や引き取りを拒否された場合は、その市区町村が火葬し遺骨を保管する―という手順が一般的。ただ、火葬のタイミング、遺骨の保管場所や保管期間などは自治体の判断に委ねられる。

 総務省が23年に公表した亡くなった人の遺留金などに関する調査の結果、全国の市区町村が保管する引き取り手のない遺骨は、21年10月時点で約6万柱に上ることが明らかになった。

 保管場所としては、市区町村が運営する墓地や納骨堂のほか、庁舎内の収納庫などが挙げられた。市区町村からは「全国的に統一的な基準を設けてほしい」といった意見も出た。これに対し、厚労省は「地域性や宗教の問題もある」とし、国による統一基準の策定には慎重な姿勢だ。

引き取り手ない遺体、実態調査 遺骨管理「自治体任せ」―課題、先進事例を紹介・厚労省

時事通信 内政部2024年06月09日07時05分配信


親族がいなかったり引き取りを拒否されたりする「無縁遺体」にどう対応するか。少子高齢化が進展する中、市区町村が対応に苦慮している。自治体の間では、引き取り手が見つからない遺体や遺骨を巡るトラブルが発生。一方、こうしたトラブルを防ぎ、安らかに最期を迎えるため、単身高齢者の「終活」を支援する動きも出ている。

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 名古屋市では2022年2月、身寄りのない遺体を1年以上火葬せず、葬儀会社に放置していたことが発覚。担当職員らが戒告処分となった。市によると、処分された職員は「他の事務に忙殺されていた」などと話したという。

 再発防止のため、市は同年7月、火葬に必要な確認作業を一部簡素化。それまでは配偶者と子ども、親、兄弟姉妹など全ての法定相続人に遺体引き取りの意向がないと確認した場合、市が火葬するルールだったが、対象を「配偶者」と「子ども」に限定した。警察や病院から通報を受けてから火葬までは「原則1カ月以内」を目安とし、市役所と出先機関がサーバー上で作業の進捗(しんちょく)状況を共有できる仕組みも導入した。

 京都市では、22年1月に市内で亡くなった1人暮らし男性の遺体を火葬、納骨した後、弟がいることが判明する事案が発生した。市は戸籍を調査し「親族はいない」と判断したが、火葬当時、親族確認に関するマニュアルはなかった。市は23年8月、法定相続人の範囲で親族確認を徹底することを定めたマニュアルを新たに作成した。

 ◇生前からサポート

 単身高齢者向けの終活支援に力を入れる自治体もある。神奈川県横須賀市は15年、全国に先駆け、身寄りのない低所得の単身高齢者を対象とした「エンディングプラン・サポート事業」を始めた。生前に原則27万円の費用を支払い、市内で協力する葬儀会社と契約を結ぶと、亡くなった後、希望する形式で納骨してもらえる仕組み。今年5月には登録者が延べ150人に達した。

 市の担当者は「亡くなった本人の思いを尊重できるほか、(火葬などにかかる)自治体の支出を抑えられる」とメリットを語る。

「無縁遺体」どう対応? 少子高齢化で新たな課題―市区町村

時事通信 内政部2024年06月09日07時05分配信