政治資金規正法 改正実現へ与野党は協力せよ読売新聞 / 2024年5月23日 5時0分 .野党、規正法改正で駆け引き=立・国連携も溝、維新は独自色時事通信 / 2024年5月19日 13時58分社説:規正法審議入り 野党結束し穴をふさげ京都新聞 / 2024年5月23日 16時5分パーティー券購入者の公開基準額、「5万円超」に引き下げで公明・維新が足並み…狭まる自民への「包囲網」読売新聞 / 2024年5月22日 8時48分PDF魚拓


次期衆院選を意識してだろうが、各党が改革姿勢のアピール合戦に終始しているだけでは、信頼回復は 覚束 (おぼつか)ない。

 政治資金は、与野党問わず、政治活動を支える共通の基盤だ。法改正の実現に向け、与野党は協力し合う時だ。

 衆院の特別委員会で政治資金規正法改正案の審議が始まった。自民党の案のほか、立憲民主党と国民民主党が共同提出した案、日本維新の会の案などを議論する。

 自民党の派閥の政治資金パーティーを巡る事件で、国民の政治不信は高まっている。政治資金の透明性を向上させ、国会議員の責任を明確にすることが重要だ。

 各党は、政治資金の扱いに不正があった場合、議員の罰則を強化することでは一致している。

 自民党は、会計責任者が収支報告書を適正に作成したことを議員が確認することを義務づけた。会計責任者が不記載などで処罰され、議員の確認が不十分だった際には、議員は失職する。

 一方、立民、国民民主両党は、政治団体から議員側への150万円超の寄付について報告書に記載しなかった場合、議員に罰金を科し、失職することを定めた。

 いずれの案でも、議員が「会計責任者に全てを任せていた」といった言い逃れは通用しにくくなるのではないか。

 現行法が1件あたり「20万円超」と定めている政治資金パーティー券の購入者の公開基準については、自民が「10万円超」、維新や公明党、国民民主が「5万円超」への引き下げを主張している。

 一方、立民が単独で提出した、パーティーの開催や企業・団体献金を禁止する案は、自民を不利な立場に追い込むための単なるパフォーマンスのように映る。

 1995年に政党交付金の制度が導入された当時も、パーティーの開催や企業・団体献金は認められていた。立民は、議員が資金を集める手段を断ち、どうやって政治活動を続けるつもりなのか。

 改正案について自民、公明両党で協議したのに、与党案がまとまらなかったのは異例だ。

 公明党は「安易に自民党に譲歩すれば、自分たちが支持を失う」と警戒したのだろう。だが、議員立法とはいえ重要法案の採決で与党の賛否が割れることになれば、信頼関係に影響が出かねまい。

 国会は会期末まで残り1か月しかない。各党は、独自姿勢を競い合って肝心の法改正実現を危うくすることのないよう、合意形成に向けて協議する必要がある。

政治資金規正法 改正実現へ与野党は協力せよ

読売新聞 / 2024年5月23日 5時0分


 裏金がはびこる政治を断ち切れるのか。厳しく国民が見つめていることを忘れてはならない。

 自民党派閥の裏金事件を受け、与野党が提出した三つの政治資金規正法改正案が、衆院で審議入りした。

 事件捜査の本格化から半年にもなる。国会での真相解明はおざなりなまま会期末まで1カ月に迫り、駆け込みで「改革」の形だけ取り繕うというのでは許されまい。

 安易に妥協点を擦り合わせるのでなく、腐敗を招いてきた規正法の抜け穴を徹底してふさがなければ、政治の自浄力を示せない。

 再発防止に向けて最も責任があるのに、単独提出した自民案からは反省がほとんどうかがえない。

 裏金の舞台となった政治資金パーティーの見直しでは、券購入者名の公開を現行「20万円超」から「10万円超」に下げる。使い道が全く不明の政策活動費は、政党から渡された政治家が項目別に報告した使途を党が公表するとした。

 いずれもカネの出入りの「ブラックボックス」を温存しており、連立を組む公明党に合意を拒まれた。既得権にしがみつく姿勢を改め、抜本改革に向けた与野党協議に向き合うべきだ。

 立憲民主、国民民主両党の共同案は「連座制」導入や政活費の禁止に加え、使途公開の緩い団体への資金移動問題で1万円超の公開に厳格化する。日本維新の会の案も、政活費の用途限定や10年後の領収書公開で歯止めを設ける。

 資金パーティーでも、立民は開催を禁止する別法案を提出し、維新案は企業・団体の券購入を禁じた上、購入者名公開も「5万円超」に引き下げるとした。

 国会で岸田文雄首相は「パーティー券は対価と位置付けられ、寄付と性格が異なる」と禁止要求を拒んだが、会場費や飲食費を引いた自民派閥の利益率は8~9割だ。「隠れ献金」である実態は明白で、言い逃れにしか聞こえない。

 さらに踏み込むべきは企業・団体献金の全面禁止だ。リクルート事件後の政治改革で、廃止の代わりに政党交付金を導入して約30年も「二重取り」が続けられている。

 岸田氏は「一部の政治献金で政策立案は左右されない」と言い張るが、癒着にまみれた汚職事件の数々を忘れたのだろうか。

 立民、維新のほか共産党なども全面禁止を掲げる。金権不祥事との決別を求める国民世論を背に、野党がバラバラでなく結束して自民「1強」に迫り、実効性のある改革にせねばならない。

社説:規正法審議入り 野党結束し穴をふさげ

京都新聞 / 2024年5月23日 16時5分


政治資金規正法改正に関するパーティー券購入者の公開基準額を巡り、自民党への包囲網が狭まりつつある。日本維新の会が「5万円超」への引き下げを主張し、公明党と足並みをそろえたためだ。自民の拒否感は根強いが、改正に向けて他党の協力は不可欠で、岸田首相(党総裁)の対応が焦点となる。

 自民の浜田靖一国会対策委員長は21日、維新の遠藤敬国会対策委員長と国会内で会談し、維新が22日に国会に提出する予定の改正案について説明を受けた。会談後、浜田氏は「各党の考えを受け止め、今後どうするか考えていく」と記者団に語った。

 維新案はパーティー券購入者の公開基準について、現行の「20万円超」から「5万円超」に引き下げるとした。自民は「10万円超」を主張しており、「5万円超」とする公明と、最後まで折り合えなかった項目だ。





 パーティー券の公開基準の引き下げに関し、自民執行部内には、大幅に引き下げれば中堅・若手議員の資金集めが困難になるとの懸念が強い。パーティー券を巡っては、名前が公開されないことを前提とした購入者も多いとされるためだ。

 森山総務会長は19日、長崎市内で「政治活動はいくらかのコストがかかる」と記者団に述べ、「5万円超」への引き下げに慎重な考えを強調した。閣僚経験者は「厳しくしすぎれば、金持ちや有名人しか国会議員になれなくなる」と訴える。

 だが、公明に加えて維新が「5万円超」への引き下げを打ち出し、自民の孤立感は深まっている。強硬姿勢を貫けば改革に消極的だとの批判は避けられず、「一定の妥協はやむを得ない」(幹部)との声も漏れる。

 議員が政党から支給される政策活動費(政活費)についても、自民、公明、維新の間で立場の隔たりが大きい。維新は政活費の廃止を掲げる一方、政治資金収支報告書に支出先の記載を必要としない「特定支出」制度を新設するとした。支出先は別途作成する「特定支出報告書」に記載し、添付の領収書とともに10年後に公表する。

 22日に始まる与野党協議に向け、自民内には共産、公明両党の収入源となっている「出版・機関紙販売事業」などの透明性確保に焦点を当てた議論も展開し、駆け引き材料とするよう求める声も多い。

 首相にとっては、他党に妥協すれば党内の反発を招く一方で、政治資金規正法の今国会中の改正を逃せば政治的なダメージも大きい。あるベテランは「最後は首相が何を重視し、どう指導力を発揮するかにかかっている」と指摘している。

改正案への質疑 衆院は23・24日…特別委で与野党合意



 与野党は21日、衆院政治改革特別委員会の理事懇談会で、自民党が提出した政治資金規正法改正案などについて、23、24両日に質疑を行うことで正式合意した。27日に参考人質疑を実施することも決めた。

 質疑では、自民案に加え、立憲民主、国民民主両党などが共同提出した案や、政治資金パーティーの全面禁止を盛り込んだ立民単独案なども議題とする。

 また、参院の自民、立民両党は21日、参院政治改革特別委の参考人質疑を27日に行うことで合意した。

パーティー券購入者の公開基準額、「5万円超」に引き下げで公明・維新が足並み…狭まる自民への「包囲網」

読売新聞 / 2024年5月22日 8時48分


自民党派閥の裏金事件を受けた政治資金規正法改正を巡り、野党各党が駆け引きを続けている。自民案を批判する立場は共通するものの、次期衆院選に向け、それぞれが政権批判票の受け皿になろうと改革姿勢をアピール。立憲民主党と国民民主党は改正案の共同提出で合意したが、政治資金パーティーの規制では溝が埋まらなかった。日本維新の会は独自路線を選んだ。

 「自民党の中途半端な案に対し、明確な対案として一致できたことは大きな前進だ」。立民の泉健太代表は18日、千葉県柏市で記者団に対し、国民と共同提出で合意した「成果」を強調した。衆院政治改革特別委員会で改正案審議や修正協議が本格化するのを前に、「大きな固まり」(岡田克也幹事長)として交渉力を強め、衆院選での両党の連携にもつなげたい思惑がある。

 一方、国民は衆院が7議席のため、単独で法案が提出できない事情があった。立民からの共同提出の呼び掛けは「助け船」だったが、衆院選の新人候補に対抗馬を擁立した立民への不信感が根強い。「立民と一緒に法案を提出することが後々の選挙や政局にとっていいことなのか」といった慎重論があった。

 それでも古川元久国対委員長らが今後の与野党協議で存在感を示そうと、立民との協議を重ねて合意にこぎ着けた。ただ、パーティー規制では立民が全面禁止を、国民民主は「派閥による開催」禁止をそれぞれ主張し、最後まで平行線だった。

 立民は維新にも共同提出を呼び掛けたが、距離は縮まらなかった。維新は次期衆院選で野党第1党の座を立民から奪取することを狙っており、「違い」を明確化させることを優先した。

 維新はパーティーの意義は認めた上で企業・団体による券購入禁止など「抜本的な見直し」を掲げる。藤田文武幹事長は、立民が「全面禁止」を訴えながらも法改正を待たずに率先して実行しない姿勢をやり玉に挙げ「覚悟がない。高い球を投げているだけだ」と批判している。

 維新は国会議員に月100万円が支給される調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)の使途公開を特に重視。自民は見直しに向けた協議を維新に呼び掛けており、野党の足並みの乱れを誘っている。 

[時事通信社]

野党、規正法改正で駆け引き=立・国連携も溝、維新は独自色

時事通信 / 2024年5月19日 13時58分