リナ・サワヤマ×ちゃんみな LGBTを語る 「どうしたらお互いのハッピーにつながるか話し合う機会を」4/21(日) 16:32配信AERA PDF魚拓





 海外を拠点に活躍するZ世代のカリスマ、リナ・サワヤマとちゃんみな。LGBT当事者が自分らしく生きられる社会のために積極的に発信している。AERA 2024年4月22日号より。 【写真】この記事の写真をもっと見る *  *  * ──リナ・サワヤマさんの「This Hell」が昨年の東京レインボープライド(すべての人が自分らしく生きられることを目指すイベント、今年は4月19~21日に代々木公園などで開催)のテーマソングに起用され、ちゃんみなさんもその楽曲に参加され、Spotify Singlesで配信も予定されています。お二人はLGBTの権利擁護に積極的に取り組んでいますが、活動する上で外国と日本との違いを感じるのはどんなことでしょう。 リナ(以下、リ):まず思うのは「LGBT」とアルファベットで表記していることもあってか、日本だと「海外・外国のこと」であって、(自分たちとは)あまり関係ないのではないかと考えているように感じます。 ちゃんみな(以下、ち):そうだね。一人ひとりの声がどれだけ大きいか、パワーがあるか、を信じていない人が多い。 ■優しいから声出さない リ:実際は日本でも何十年も前から潜在的に存在していることですよね。日本では、「あっちのこと」といった対応しかされず、なかなかシリアスに扱われないのが、まず問題だと思っています。 ち:日本では闘う体制に慣れている人があまりいないように感じます。抗議を示す正当な権利であるデモも見ないし。アメリカや韓国ではもっと声に込めるパワーが強い。日本は良くも悪くも優しいから声に出さないのがもったいない。 リ:ロンドンでは、(1980年代に同性愛者への誤解や偏見が増幅した)「エイズクライシス」がありました。その際にLGBTヘイトが起こり、そのひどい状況を乗り越えた人たちが強いアイデンティティーを持ったという経緯があります。 ち:デモしなくたって声を上げる方法はたくさんあると思うんです。たとえば選挙。選挙に行って投票することで自分が望む方向にいってないことへ声をあげる。自分が信じていることへの信頼度、責任感が高まれば、もっと意思表示することに積極的になれるんじゃないかと思うんです。責任感を持つことで、社会を変えることができるんですから。
──LGBTの啓発活動にかかわろうと思ったきっかけは何だったのですか。 リ:私の周囲では20歳くらいになると友人の間ではLGBTをカミングアウトすることは当たり前のことで、特別なことではありません。私自身、パンセクシュアル(全性愛者)のカミングアウトもまったく悩まなかったというか……ま、自分のプライベートを明かすことになりますから、ほんの少し、1秒くらいは(笑)、悩んだかもしれないけど。アメリカでは、アジア人や日本人でLGBTをカミングアウトしてプレゼンテーションしている人が少ないので、LGBTの権利を得るために、私がアジアを代表する一人になってメディアに向けてプレゼンテーションすることは非常に重要なことだと感じています。 ■深刻なこと起きている ち:私もリナさんと同じくLGBTは身近に、普通にあることでした。私のデビュー当時からの親友はゲイのダンサーなんですが、自分の作品に出てもらった時に、「ヒップホップはゲイのものじゃない」というコメントが来たことがありました。 リ:ひどい……信じられない。 ち:そのメッセージを見たとき「わ、なにこれ? 気持ち悪い」と率直に思いました。そもそもダンスもヒップホップも誰のものでもない。このコメントを見て、今、日本では、深刻なことが起こっているなと感じました。 ──私たちができることはなんでしょうか。 リ:自分の子ども、家族のようにLGBTの人を愛してください。私がLGBTの権利について訴えているのは「愛は愛」だからです。だってLGBTの人も誰かの子ども、家族です。それなのに、その愛情を受けてない人がLGBTには多い。「カミングアウトしたら家族の愛を失うのではないか」と気にしている方がたくさんいます。 ち:やっぱり上の世代に理解してもらえないと残念に思います。 リ:日本女性、特に一定の世代以上の方に、トランスジェンダーをものすごく敵視する、差別する方がいます。トランスジェンダーを嫌う女性たちの多くが、日本の男尊女卑、女性蔑視の中で育ってきた世代であることから、問題の背景には日本の間違った価値観があるように感じます。でも私はその女性たちに「ターゲット(敵視する相手)が違いますよ」と言いたい。あなた方が女性蔑視、男尊女卑の中で生き抜いてきたフラストレーションと、今、トランスジェンダーの人たちとはまったく関係ない。トランスジェンダーを怒る、嫌うより、あなたの周囲の男尊女卑する男性に怒ってください。トランスジェンダーは自認する性として生きないと心が死んでしまう、病気になってしまう、自分らしさを失ってしまう人たちなんです。
■アライシップが励みに ち:私たちも親世代を理解したい。だから私と同世代の子たちにも、年上の世代をきちんとリスペクトしてほしいと思っています。年上の世代と話す機会がなかったら、話し合う機会を持ってほしい。違う世代の思考を受け止め、知って、間違っていることがあったら、きちんと話して理解してもらう。どうしたらお互いのハッピーにつながるか、そして愛とは何か、話し合ってもらいたいです。2024年バージョンで! でも私、そんなにがんばって「LGBT」を知らなくてもいいと思っています。愛があれば! リナさんがさっき言ってた……。 リ:「愛は愛」ね! その一歩があるかないかで違います。LGBTを知らないから躊躇(ちゅうちょ)するのではなく、そこに愛があって、サポートが必要なときに「よし。みんなでレインボープライドに行こう!」と言ってくれるだけで嬉しい。手を差し伸べてくれるだけで違います。私の母も昨年参加して、アライシップ(理解者として積極的に支援)してくれて、とても嬉しく励みになりました。 ──私のような年代(50代)も参加していいのでしょうか? おばさんが何しに来てるんだと引かれてしまうような……。 ち:大丈夫ですよ! もちろんです。いるだけでも違いますよ! 超嬉しいです。ぜひ参加してください。 リ:レインボープライドに、ストレートなおばさんたちがいることで「サポーターがいる」「あ、(LGBTへの理解が)広がっている」と、とても嬉しいです。 ──そう言っていただけると安心します。本日はありがとうございました。 (編集部・工藤早春)

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リナ・サワヤマ×ちゃんみな LGBTを語る 「どうしたらお互いのハッピーにつながるか話し合う機会を」

4/21(日) 16:32配信