岸田総理に爆発物襲撃した犯人に「爆発物取締罰則」は妥当。安倍晋三元首相銃殺事件スナイパー説と日本におけるゴースト銃等の銃規制強化を考える。


岸田総理に爆発物襲撃した犯人に「爆発物取締罰則」は妥当。安倍晋三元首相銃殺事件スナイパー説と日本におけるゴースト銃等の銃規制強化を考える。
安倍晋三元首相銃殺事件もスナイパー説含めリアルに組織犯罪の可能性も考えよう。


山口2区、4区でともに自民党新人当確へ「世襲批判」「統一教会問題」のなかの選挙結果に寄せられる痛烈疑問2023/4/23FLASH

ネット上は“大荒れ”の様子だ――。  2023年の統一地方選挙でもっとも注目を集めたのは、山口県に違いない。衆院山口2区では、岸信夫前防衛相の議員辞職に伴い、補欠選挙がおこなわれた。信夫氏の長男である新人の岸信千世氏と、無所属元職の平岡秀夫氏との一騎打ちとなり、これを制したのは岸氏だった。 【写真あり】選挙中、信千世氏の応援に菅義偉前首相も駆けつけた 「信千世氏は慶應義塾大学商学部卒、フジテレビの社会部記者を経て、信夫氏の秘書、信夫氏が防衛相時代の秘書官を歴任しました。立候補にあたり、公式ホームページを立ち上げたのですが、そこで書かれた内容が物議を醸しました。信夫氏のほか、伯父の安倍晋三氏、祖父の安倍晋太郎氏、曾祖父の安倍寛(かん)氏、岸信介氏、曾祖叔父の佐藤栄作氏の6名の名が記された家系図を掲載したのです。あまりに露骨な“家柄自慢”に、批判が殺到しました」(国会担当記者)  結局、家系図はホームページ上から削除されたが、岸家への信頼が勝ったということか。  もうひとつ、県内で議論の的となっていたのは、衆院山口4区だ。2022年に銃撃され亡くなった安倍晋三元首相の議席を争うものとなった。自民党公認の新人で、安倍昭恵さんが熱烈に応援する吉田真次氏が本命視されていたが、立憲民主党は、2022年まで参院議員を務めていた有田芳生(よしふ)氏を擁立した。 「保守王国と言われる山口県ですから、これを切り崩すためにインパクトの強い人物を用意した、ということでしょう。有田氏は旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の問題をテーマに掲げました。街頭演説で、『下関は統一教会の聖地』と発言し、多くの議論を呼びました」(同前)  結果的には、こちらも“安倍氏の後継”と目される吉田氏が勝利した。ネット上ではもちろん、 《吉田真次さん、岸のぶちよさんのご当選、本当によかった》 《これで山口はとりあえず安泰》 と喜ぶ声も聞こえてきたが、一方で、 《山口県民っておかしいのかな》 《日本の恥 山口県》 《山口県は統一聖地確定》 と、結果に痛烈な疑問を寄せる声が出ている。 「NHKによると、18時の段階で山口2区の投票率は24.71%、4区は20.36%でした。そもそも、投票率が低すぎて、山口県全体の民意といえるのかどうかは、議論の余地があります。ネット上では、旧統一教会や世襲問題をめぐって激論が交わされましたが、低い投票率は保守派を利する結果となったようです」(同前)  今後は、2人の“新人”の実力が、国会で試されることになる。

山口2区、4区でともに自民党新人当確へ「世襲批判」「統一教会問題」のなかの選挙結果に寄せられる痛烈疑問2023/4/23FLASH
細野議員「テロを手伝っている」 総理襲撃を招いたのは“犯人報道”か
2023/4/24ABEMA


細野議員「テロを手伝っている」 総理襲撃を招いたのは“犯人報道”か2023/4/24ABEMA


細野議員「テロを手伝っている」 総理襲撃を招いたのは“犯人報道”か2023/4/24ABEMA

「犯人報道を一切すべきでない」は極論? 識者からは異論が



弱者の側に立った目線で異論を唱えたEXITの兼近大樹

 これに対して、細野氏のツイートに反論する投稿をした国際政治学が専門の佐々木寛氏(新潟国際情報大学教授)は、「暴力行為や犯罪をする時には一生を棒に振るリスクやコストを払う。それでもなぜ、そういう人が生まれるのかを充分に考えないと暴力から民主主義を守れない。その場を作ることがメディアや政治家、市民社会の役割。興味本位ではなく深刻な問題として考える意図のもとに報道・議論されることが望ましい」とメディアのあり方を提言。 “私はテロを起こした時点でその人間の主張や背景を一顧だにしない。そこから導き出される社会的アプローチなどない”という細野氏のツイートに対して、「報道陣も政治家も知識人もテロは無意味だと言わないといけないが、なぜこのような反社会的な犯罪的な暴力現象が起きたかについては、政治家やメディアもずっと耳を傾けて調べないといけない。それを細野議員は“一顧だにしなくていい”とした。犯罪やテロが個人の資質の問題であるとするのは、社会の病気を治す立場にある政治家として失格ではないか」と指摘した。  EXITの兼近大樹は「弱者が頑張っているという話は、頑張れなかった人たちを見ていないエリート思想だ。“無敵の人”が生まれている構造があって、それを無視し続けるから闇が深くなっていく。闇に光を当てるのが政治家の仕事だと思うが、無視されるのはそういう世界にいた人間としてつらい」とコメント。  また、弁護士の南和行氏は「木村容疑者に山上被告の影響があったことは否定しない。あの事件で旧統一教会の問題がやっと国会で議論されるようになったわけだが、そもそもなぜ政治は今までそういう状態になっている人に光を当てられなかったのか。世の中の人が見たいということでテレビなどが伝え、細野さんはそれを『商売だ』とおっしゃるかもしれないが、政治が問題に光を当てず放っていた結果なので、それを政治家が言うのはどうなのか」と述べた。
報道が犯人の主張を広めた? 細野氏の再反論



番組に出演した細野議員。自ら街頭に立つ政治家として報道に厳しい目を向ける

 犯人の背景を報じてこそテロから民主主義を守ることにつながる――そんな反論に対して、細野議員は「社会的に困っている人は本当にたくさんいる。ただ、その問題とテロリズムを結びつけて、背景を報じることが社会全体を良くするとは思えない。模倣犯が出ることが率直に言って怖い。去年の事件後に模倣犯をどうなくすかの議論がない。しっかり議論すべきだ」とふたたび反論。そして、次のように強い言葉で語った。 「テロを起こした男は自分で裁判まで起こしている。確かにリスクはとっているが、自分の主張が世の中に流布しているという意味では成功している。選挙に出られないとか、供託金が高すぎるなど、一顧だにされなかった主張がテロによってこれだけ伝わっている。厳しい言い方だが、見方によってはメディアがそれを手伝っている。彼が伝えたいと思っていることを今マスコミが伝えることに関しての価値はまったく感じない」  この主張にはテレビ朝日の平石直之アナウンサーが言及。「かつての報道が模倣犯を生むのではないかという雑誌の指摘があり、それに近い事象が起こったこと、見る人の“知りたい”という思いに乗っかってセンセーショナルに報じてきたところへの反省は必要だと私自身も思う。ただ、容疑者の供述を報道すべきかは『ものによる』となった時、じゃあどうすればいいのか?を探りたい。全く報じなかったり、選別したりすることの難しさもあるので、両極端で終わるのはよくないと思っている」との考えを述べた。 (『ABEMA Prime』)

細野議員「テロを手伝っている」 総理襲撃を招いたのは“犯人報道”か2023/4/24ABEMA


EXIT兼近「僕は辛いかな」 木村隆二容疑者めぐる細野議員の意見に難色2023/4/20東スポ

お笑いコンビ「EXIT」の兼近大樹が20日、木曜MCを務めるABEMA「変わる報道番組#アベプラ」に出演した。 【写真】襲撃後も応援演説を行った岸田首相  番組では木村隆二容疑者による岸田文雄首相襲撃事件を受け、人となりや背景報道は必要かを議論。こうした報道がテロリストに加担する行為になるのではという声も上がっている。自民党の細野豪志議員もツイッターに「岸田首相を襲撃した男の人物像、テロの動機について報道合戦が始まった。私はこれらの報道に『売れる』という以外の価値を感じない」と投稿。  細野議員は、この日リモートで番組に出演。「事実がそこにあるから報じればいいという態度そのものは極めてマスコミとして無責任だと思いますね。(報じる報じないの線引きについて)私はテロリストの言い分には耳を傾けないというのは大原則するべきだと思います」と強い口調で語った。続けて「子供の貧困、引き籠りの問題に関わったことがあります。多くの人はその状況に苦しみながらも克服しようとして努力をしてる。テロリズムと結びつけること自体、努力をしてる人たちに失礼だと思う」と持論を展開した。  その上で「テロを起こした時点でその者の主張を無価値としないとそれを見てまた同じことを繰り返す人間がいるんじゃないかと思う」と指摘した。  この意見に対して兼近は「無価値だと感じる意見を無視しないといけないとか。頑張れなかった人たちを見てないなって思う。エリート思想というか。無敵の人が生まれているという構造があって、その無敵な人たちを無視し続けるから闇が深くなっていくと思う。その闇に光を当てるのが政治家さんのお仕事だと思うんですよ。だから弱者の中のさらなる弱者がいるわけで。そこをしっかり見てほしいなと思う。そこに見ることで無敵の人たちをなくすためにはどうするかという方向に走り出せるはずなんですよね。それを無視するのは僕は辛いかな。僕はそういう世界にいた人間なので」と訴えた。

EXIT兼近「僕は辛いかな」 木村隆二容疑者めぐる細野議員の意見に難色2023/4/20東スポ


EXIT・兼近 犯人の背景報道に怖さ感じる「あんなの絶対に信じてはいけない。あらゆる事に話半分で…」2023/4/20sponichi

「お笑いコンビ「EXIT」の兼近大樹(31)が20日放送のABEMA「Abema Prime(アベプラ)」(月~金曜後9・00)に生出演。岸田文雄首相が衆院和歌山1区補欠選挙応援のため訪れた演説会場で、筒状のものが投げ込まれ爆発した事件で逮捕された犯人の背景や人となりを報道する必要性について言及した。 【写真】2020年TGCでランウエーにそろって登場した(左から)りんたろー。、藤田ニコル、兼近大樹  和歌山県警は威力業務妨害容疑で兵庫県川西市の職業不詳の男(24)を現行犯逮捕。男が持ち込んだ筒状の爆発物は2本で、うち1本が破裂し、残り1本は現場に残っていた。県警などが構造や殺傷能力の有無を調べる。首相にけがはなく無事だったものの昨年7月に安倍晋三元首相が銃撃され死亡した事件から約9カ月。再び選挙期間中に民主主義の根幹を揺るがす異例の事件となった。犯人は取り調べに対して黙秘を続けている。  その中で黙秘を続ける犯人の生い立ちや人物像や事件背景をメディアが報道することにネットでは是非を含めて様々な意見が上がっている。  兼近は「報道は情報を出す仕事ですから出すしかない状況だと思います。逆に“この話は出さない”とか忖度したらそれが陰謀を呼ぶことになるから良くない」と何が事実なのか分からない世の中になっていると言及。  「ネット情報や誰かが何か言ったら、その言った人は誰?ってなるじゃないですか。芸能界だと“芸能関係者が言いました”って情報は、本当に世の中の人たちは信じるんですよ。悪い意味で信じる人もいれば、疑いながら信じる人もいる。その両方を取って世の中には事実として広まっていく。こういうことが横行してると思います」と報道の現状について口調を強めた。  さらに、この現状は、見る側が簡単に信じる時代になったことが関係していると持論を展開。「テレビでよくやっている犯人の生い立ちなどをよく分からない人が言っているのに、報道してしまうのは怖いと思います。ネットで“コイツ、友達の知り合いでこんな性格だった”みたいな声が、広まってるじゃないですか。あんなの絶対に信じてはいけないはずなのに、そういうのも広まってテレビで報道されている。あらゆることに話半分で本人のしっかりとしたベースを持っておかないといけない」と説明した。

EXIT・兼近 犯人の背景報道に怖さ感じる「あんなの絶対に信じてはいけない。あらゆる事に話半分で…」2023/4/20sponichi


“貧困で投票意欲がなくなった”30代男性の投稿に、EXIT兼近「“あなたの一票が”とか言われても」
2023/4/27sponichi

 「お笑いコンビEXIT」の兼近大樹(31)が27日放送のABEMA「Abema Prime(アベプラ)」(月~金曜後9・00)に生出演し、生活困窮者の政治参加について語る場面があった。  番組では、ある30代男性のブログを紹介。「人生初の金銭的にしんどい状態になっている。選挙の投票用紙が来たが全く行く気にならない」といい「今の自分の困難は政治のせいではないのだが、生まれた時からの貧困など慢性的な困難に陥っている人は政治や行政によるサポートが必要にもかかわらず、選挙で変えようとしていないのを身をもって理解してしまった」などと、つづられていた。  ここから、生活困窮者の政治参加の話題になると、兼近は「貧困って連鎖してるわけで。そもそも親が(投票に)行かないので、教わらないですよね。貧困から脱却することに直結することがないので。全く興味が出ないっていうのと、変わらないだろうなっていうのはあって」と語る。  「“あなたの一票が”とか言われても、だからなんだろうとは思っちゃいますよね。僕の場合は余裕が出てから、積極的に参加し始めたので。そういうことなのかな、とも思いますよね」と、自身の見解を語っていた。

“貧困で投票意欲がなくなった”30代男性の投稿に、EXIT兼近「“あなたの一票が”とか言われても」
2023/4/27sponichi


なぜ25歳は知事に立候補できない? 届け出不受理の能條桃子氏「人生をかけてまで反対する人がいるテーマではないはずだ」 平沢勝栄議員「問題はない」 被選挙権年齢引き下げを阻む壁とは
2023/4/28ABEMA

 23日に幕を閉じた統一地方選。兵庫・芦屋市では史上最年少26歳の市長が誕生、各地の市議会議員選挙でも立候補できる年齢になったばかりの25歳での当選が相次ぐなど、若い世代の活躍が目立った。 【映像】田村淳「ムスッとして怖い」 平沢議員「それは言っちゃダメ」 激論に  そんな中、もう1人注目されたのが、「NO YOUTH NO JAPAN」代表理事の能條桃子氏(25)。被選挙権が満30歳であることを知りながら、神奈川県知事選に立候補届を出した。当然受理されなかったが、年齢を理由に不受理となったことを国に提訴することで、最終的に立候補年齢の引き下げを目指すという。  自民党も選挙公約に「被選挙権年齢の引き下げを検討する」と盛り込んだこともあるが、実現には至っていない。そこにはどんな「壁」があるのか。『ABEMA Prime』では能條氏、自民党総務会副会長の平沢勝栄衆議院議員らと議論した。  実は能條氏の動きは、今年2月に立ち上げた「立候補年齢を引き下げるためのプロジェクト」の一環。「国に裁判を起こすことを目的とした時、付随的違憲審査制といって、一度本人が何かの不利益を受けないと裁判ができない。パフォーマンスだという批判があったが、公共訴訟のための1つの準備として行った」「被選挙権が25歳のところに出たとしても1人じゃ何も変わらないので、現状を外から変えるためにこの方法を使った」という。



能條氏が立候補を届け出た理由

 能條氏はすべての被選挙権を選挙権と同じ18歳に引き下げるべきだと主張するが、参議院でこそ必要だと訴える。「衆議院と参議院では議員の性質が異なり、参議院は一度受かれば任期6年でずっと同じ政策活動ができる。もし若い世代から1人でも2人でも参議院議員になれたら、若者政策がグッと進むと思う」。  一方、平沢議員は「年齢引き下げは将来的にいずれ行われると思う」としながらも、「どういう選挙を対象とするか、年齢は何歳からにするかなど、いろいろな角度から検討しないといけない。一番大事なのは、国民の皆さんが『ぜひやるべきだ』と言うこと。世論が高まり発信が増えてくれば、政治家は言われなくても動く。ただ、私自身が毎日いろいろな要望や陳情を受ける中で、この問題について来たことはない」と中立の立場。  そもそも、なぜ被選挙権は25歳と30歳なのか。参議院と知事が30歳である理由はどこにあるのか。「国民の皆さんがそれでいいと思っているからこういうかたちで来たのだと思う」と述べた。  作家・ジャーナリストの佐々木俊尚氏は「平沢さんがおっしゃる『世論がまだ』というのは、なぜ被選挙権を引き下げてはいけないのかという理由にはなっていない。逆に引き下げるべき理由にはロジックがあると思っている」と指摘し、次のように語る。 「この二十数年でテクノロジーがものすごく進化したことで、情報の収集量と共に若者の情報処理能力は格段に上がった。僕らの時は“大人には勝てない”と思ったが、例えば音楽の世界でミドルティーンの子がYouTubeなどで学んでデビューしているように、テクノロジーの強みは政治の分野でも発揮できるはずだ。年寄りがダメだと言っているのではなく、多様性の一環として10代、20代の青年たちにも政治家になれる権利を与えるべき。  会社員で脂が乗ってきた30代40代の時に選挙に出るとなると、キャリアが途切れてしまう。いっそ20代の早いうちに政治家になって、何年かやった後に同じ道に進むのもよし、見切りをつけて実社会で生きていくというのもありだ。そういう新しいキャリアパスを作るという意味で、被選挙権の引き下げはありだと思う」  では、被選挙権の引き下げで何が懸念されるのか? 平沢議員は「何か問題があるということはないだろう」と答えた。  選挙権年齢の引き下げに伴い、自民党は2016年の公約に「被選挙権年齢の引下げについて検討する」と盛り込んだ。その後、2017年の衆院選、2019年の参院選でも記載されたが、2021年の衆院選では公約から消えている。  その経緯について問われた平沢議員は「コロナなど他の重要な問題が出てきて、限られたページの中でその部分だけ外れたものだ。忘れたわけでは全くない。優先順位の問題で、まだもちろん検討している」と回答。  対して能條氏は「総論は引き下げについてそれなりに賛成だ。人生をかけてまで反対する人はいないテーマだと思う。しかし、各論は難しいというところで後回しにされていて、『自分の政治家としてのリソースを割こう』というほどの熱意を持っている当事者がいない。同性婚など世論が高まっているのに一向に実現しないものもあれば、反対が多いのに通るものもある。『世論がイエスと言えば』という態度だといつまでも変わらないと思ってしまう」と訴えた。 (『ABEMA Prime』より)

なぜ25歳は知事に立候補できない? 届け出不受理の能條桃子氏「人生をかけてまで反対する人がいるテーマではないはずだ」 平沢勝栄議員「問題はない」 被選挙権年齢引き下げを阻む壁とは
2023/4/28ABEMA


飛散物、拳銃弾並み威力か 殺人未遂容疑も視野 首相襲撃・和歌山県警2023/4/22時事通信

岸田文雄首相に向けて木村隆二容疑者(24)が投げ込んだ爆発物について、専門家は飛散した破片などには拳銃弾に近い威力があり、爆発の方向によっては死者が出る可能性が高かったと指摘する。 【拡大写真】岸田文雄首相の遊説先で起きた爆発事件で、現場から約60メートル離れたコンテナで見つかった穴  和歌山県警は殺人未遂容疑を視野に、殺傷能力などを慎重に調べている。  爆発物は金属製の筒状で、黒色火薬が詰められていたとみられる。約40メートル離れた場所で筒本体が見つかり、さらに約20メートル先のコンテナではふたとみられる物がめり込んだ穴が発見された。  銃器に詳しい評論家の高倉総一郎氏は、ライターで導火線に着火して爆発させる典型的なパイプ爆弾だったとみている。外側のひもに取り付けられたナットとみられる部品などを飛散させ、殺傷する仕組みだったと分析。飛距離などから、殺傷能力は「小口径の拳銃から放たれる弾丸と同程度の威力があった。最悪の場合、死者が出ていた」と話す。  投入から爆発までに時間がかかった理由は、「自宅から現場に着くまでに火薬が湿気を含み、燃焼が遅れた結果では」と推測した。  高倉氏は、火薬に着火され部品が飛散したとみられることから、爆発そのものは「成功だった」と分析する。一方、別の関係者は、金属筒が破裂せずに見つかった点に着目。「火薬量の不足や不十分な密閉のため、爆風が逃げたのではないか」と話し、事前に実験などをしていなかった可能性を指摘した。 

飛散物、拳銃弾並み威力か 殺人未遂容疑も視野 首相襲撃・和歌山県警2023/4/22時事通信


爆弾の材料、試行錯誤か 自宅からくぎ押収 首相襲撃2023/4/22毎日新聞

岸田文雄首相が衆院補選の遊説に訪れた和歌山市で爆発物を投げつけられた事件で、和歌山県警が無職の木村隆二容疑者(24)=威力業務妨害容疑で逮捕=の自宅を家宅捜索した際、くぎを押収していたことが捜査関係者への取材で判明した。鋼管や黒色火薬とみられる粉末も見つかった一方、現場ではナットも回収された。県警は容易に入手できる複数の材料を組み合わせ、パイプ爆弾を試行錯誤しつつ自作したとみて調べている。 【解説図】爆発物はこうやって投げ込まれた  木村容疑者は15日午前11時25分ごろ、和歌山市の雑賀崎(さいかざき)漁港で、衆院和歌山1区補選の自民党候補の応援演説に訪れた岸田首相に向け、爆発物を投げつけて演説を妨害した疑いが持たれている。逮捕直後から黙秘を続けており、捜査員との雑談にも応じていないという。  捜査関係者によると、県警は事件翌日、兵庫県川西市にある木村容疑者の自宅を家宅捜索した。自宅からはくぎに加え、鋼管や黒色火薬とみられる粉末を押収した。木村容疑者はこうした複数の材料を使って爆発物を製造した疑いがある。  一方、現場では木村容疑者が所持していた別の爆発物とみられる筒も回収された。県警が詳しく調べた結果、内部にくぎは入っていなかったが、黒色火薬とみられる黒っぽい粉末が詰め込まれていた。  外側にはナットが付けられているのも確認された。現場では爆発した筒にあったとみられる複数のナットが散らばっており、県警は木村容疑者が同じタイプの爆発物2本を演説会場に持ち込んだとみて調べている。  銃器専門家によると、パイプ爆弾では、密閉する筒の内側に火薬などと一緒にくぎを入れたり、筒の外部にナットなどの金属片を取り付けたりして飛散させ、被害を広範囲に与えようと細工することがあるという。  県警の現場検証では、現場から約60メートル先で爆発物の一部とされる破片が見つかった。筒の端に付けられていたふたとみられ、コンテナの側面に突き刺さっていた。この約20メートル手前では筒を発見している。県警はこれらが爆発物の威力を示す重要な証拠とみており、殺傷能力などを調べている。【駒木智一、大塚愛恵】

爆弾の材料、試行錯誤か 自宅からくぎ押収 首相襲撃2023/4/22毎日新聞


岸田総理“襲撃”で逮捕の男、殺人未遂など複数容疑での立件視野 再現実験などで殺傷力検証も 事件から1週間2023/4/22TBS

岸田総理の演説会場に爆発物が投げ込まれた事件からきょうで1週間です。警察は殺人未遂など複数の容疑で立件を検討しています。 威力業務妨害の疑いで逮捕された木村隆二容疑者(24)は今月15日、和歌山市の漁港で岸田総理の演説直前に爆発物を投げ込んだ疑いが持たれています。 爆発物は、飛び散ったふた部分が60メートル離れたコンテナの壁にめり込むほどの威力があり、聴衆の男性や警察官が軽傷を負いました。 こうしたことから警察は、殺人未遂容疑の適用も視野に爆発の再現実験など行って殺傷力の程度を検証する方針です。さらに、選挙の自由を妨害した公職選挙法違反や、火薬類取締法違反などが適用できるかどうかについても検討しているということです。

岸田総理“襲撃”で逮捕の男、殺人未遂など複数容疑での立件視野 再現実験などで殺傷力検証も 事件から1週間2023/4/22TBS


岸田首相銃撃犯が問われる罪状と警察の狙い…殺人未遂より重い「爆発物取締罰則」の可能性も2023/4/22日刊ゲンダイ


岸田首相銃撃犯が問われる罪状と警察の狙い…殺人未遂より重い「爆発物取締罰則」の可能性も2023/4/22日刊ゲンダイ

 岸田首相襲撃犯の木村隆二容疑者(24)について、和歌山県警が銃刀法違反など複数の容疑で立件を検討していることが分かった。爆発物の殺傷能力や殺意の有無、選挙妨害の意図があったかどうかも焦点のひとつで、殺人未遂や公選法違反の適用も視野に捜査を進める方針だ。 【写真】岸田首相が襲撃された「雑賀崎漁港」は“日本のアマルフィ” 地元住民はイメージ悪化を懸念  現場では木村容疑者が自作したパイプ爆弾により、警戒にあたっていた警察官と聴衆の男性2人が軽傷。木村容疑者が持っていた手提げカバンの中から、刃渡り13センチの果物ナイフが見つかった。県警は当初、殺意の有無や爆発物の殺傷能力が不明だったことから、演説の続行を不能にしたとして威力業務妨害を適用。「殺意が認定できれば殺人未遂容疑も視野に判断する」としている。  ただ、たとえ木村容疑者に「殺意」があったとしても、爆発物に殺傷能力がなければ殺人未遂に問えない可能性があるという。弁護士の山口宏氏がこう説明する。 「刑法学の『不能犯』という概念です。例えば砂糖に殺傷能力があると信じて砂糖を飲ませたとしても、殺人未遂にはなりません。それと一緒です。容疑者側は『人を殺すつもりもなく、それだけの量の火薬も入れていない。ただ選挙演説を妨害したかった』と主張するかもしれません。公選法違反に関しても、安倍元首相を銃撃した山上徹也被告のケースでは、検察は選挙妨害の意図を立証するのが困難という理由で起訴を見送っています」  犯行に使われたパイプ爆弾は爆発後、本体が原形をとどめていたことから、「殺傷能力は低いのではないか」という声が上がっていた。しかし、その後の現場検証で爆発現場から約60メートル離れたコンテナの側面に破片が刺さり、数センチの穴が開いていることが判明。爆発物の一部が聴衆を通り越し、飛んでいったとみられる。また現場付近には複数のナットが散乱していたことから、県警は爆発の衝撃で飛散するように爆弾の外側にナットを取り付けて、殺傷能力を高めていたとみている。
一罰百戒で殺人未遂に



岸田首相の演説会場に残されていた筒状のもの(C)共同通信社

 威力業務妨害の最高刑は3年の懲役。殺人未遂は死刑または無期もしくは5年以上の懲役だから、雲泥の差だ。木村容疑者はどれくらい刑務所に入れられるのか。 「一国の首相が狙われたわけですから、警察にとっては威信にかかわる事態です。圧力もかかるでしょう。模倣犯を出さないためにも、一罰百戒というか、何とか殺人未遂に問いたいはずです。証拠次第では、殺人未遂だけでなく、『爆発物取締罰則』の適用も考えられます。この刑法は<治安を妨げまたは人の身体財産を害せんとする目的をもって爆発物を使用したる者は死刑または無期、もしくは7年以上の懲役>です。つまり殺人未遂より重い。自宅から火薬も見つかったことですし、これに持っていきたいのではないか。殺人未遂は『殺意の有無』が問われますが、爆発物取締罰則は本人の意思に関係なく、爆発させただけで成立します。むしろ今回の場合、爆発物取締罰則の方が適用しやすいかもしれません」(前出の山口氏)  爆発物取締罰則は、たとえ破壊力が弱く、被害が少なかったとしても、爆発物は極めて危険なことから、使用しただけで処罰できるよう1884(明治17)年に制定された。

岸田首相銃撃犯が問われる罪状と警察の狙い…殺人未遂より重い「爆発物取締罰則」の可能性も2023/4/22日刊ゲンダイ

本物のSPさん向けの記事か、spネットワークさんの内容が良い。
銃犯罪で暴力団のトップの使用者責任が問えた。これは良い例だ。
名探偵コナンでいうところの黒の組織(国際的な暴力団みたいな組織)の拳銃での構成員による殺人はあのお方という黒の組織NO1であるトップに使用者責任で殺人罪と銃刀法違反問えるわけだ。トップの使用者責任問えるということは犯罪組織による銃撃事件減らす抑止力にはなるか。

私が感じてる疎外感って再チャレンジできない社会のことかな。いくら名探偵コナンでいうところのあのお方を逮捕したところで暴力団や旧統一教会の人らが離脱して表社会の仕事で再チャレンジするのが許される世の中にならないと世の中良くならないというわけだね。

https://www.sp-network.co.jp/column-report/column/bouhi/candr0306.html



(1)最近の暴力団を取り巻く情勢

特殊詐欺被害や拳銃誤射事件に関する損害賠償を巡って、暴力団対策法に基づく使用者責任が問われた裁判の判決が相次ぎました。組織トップの使用者責任がすべて認められ、大きな流れ、うねりを感じさせる状況が生まれています。

以前の本コラム(暴排トピックス2021年2月号)では、住吉会の関与した特殊詐欺事件について、トップの使用者責任を認める東京高裁の判決を取り上げ、前回の本コラム(暴排トピックス2021年3月号)でも、住吉会の関与した別の特殊詐欺事件について、同じく使用者責任を認める東京地裁の判決を取り上げました。そして、直近では、住吉会系の組員らによる特殊詐欺事件をめぐり、被害女性が暴力団トップに暴力団対策法上の使用者責任があるとして損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第1小法廷は、住吉会の関功会長と福田晴瞭前会長の上告を退ける決定をしました。暴力団対策法上の使用者責任を認め605万円の支払いを命じた1、2審判決が確定しました。特殊詐欺事件で使用者責任が最高裁で確定するのは初めてとなります。本コラムで取り上げてきたとおり、同種訴訟の控訴審判決は今回のほかに複数あり、詐欺グループの組員が「暴力団の威力」を利用して資金を獲得したと判断、暴力団トップの使用者責任を認めていたところ、今回の判決確定に伴い、暴力団トップの民事上の責任を追及する道筋ができたことで、特殊詐欺事件の被害者救済に一定の影響があると考えられます。今回の訴訟は、特殊詐欺事件が暴力団対策法で使用者責任の対象となる「暴力団の威力を利用した資金獲得行為」に当たるかどうかが争点となりました。2019年5月の1審水戸地裁判決は、組員が住吉会の威力を利用して「受け子」を集め、詐欺グループを構成したと認定、関会長らの使用者責任を認めました。さらに2019年12月の2審東京高裁判決では「組員が直接暴力団の威力を使う場合だけでなく、共犯者集めなど犯罪の実行過程で威力を利用した場合は暴対法の資金獲得行為に含まれる」との解釈を示し、1審判決を支持しました。その流れを受けた今回の最高裁の判断となります。文字とおり画期的な判例であり、特殊詐欺は暴力団の組織的関与が明確にならないケースも多く泣き寝入りしてきたところ、被害者救済の側面はもちろんのこと、特殊詐欺そのものの抑止につながる可能性や、暴力団に直接的な経済的ダメージを与えることができるという点でも意義は大きいといえます。

また、最高裁第3法廷は、稲川会系の組員らによる特殊詐欺事件の被害者4人が、暴力団対策法の使用者責任規定に基づき、辛炳圭(通称・清田次郎)前会長に損害賠償を求めた訴訟で、前会長の上告を退ける決定をしています。使用者責任を認めて約1,600万円の賠償を命じた2審東京高裁判決が確定しました。特殊詐欺事件で暴力団トップの使用者責任が最高裁で確定するのは、上記の住吉会に続いて2件目となります。本事件の概要としては、原告4人は2014年、息子を装う稲川会系組員らの詐欺グループからの電話で「知り合いの女性を妊娠させた。示談金が必要」などと言われ、それぞれ250万~400万円をだまし取られたというものでした。本事件においても、暴力団の「威力」を利用して資金を獲得したかどうかが争点となっており、1審東京地裁判決は、事件が「組員が実行した以上、詐欺は稲川会構成員による威力を利用した資金獲得行為と関連する」、「暴力団の威力を背景に実行された」として使用者責任を認め、前会長に約1,500万円の賠償を命令しています。また、2審判決は、人員確保など資金獲得に威力を利用すれば暴力団対策法が適用されると指摘したうえで、組員側が暴力団の威力を利用して知人に出し子をさせたとして、1審に続いて使用者責任を認め、賠償額を増額していました。

さらに、直近では東京高裁の判断もありました。特殊詐欺事件の被害者が、稲川会の辛炳圭元会長に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は、組トップの使用者責任を認め、計1,320万円の支払いを命じています。上記最高裁の判例同様、暴力団対策法で使用者責任の対象となる「暴力団の威力を利用した資金獲得行為」と言えるかが争点となっていました。2019年11月の1審東京地裁判決では、使用者責任を否定し原告側が控訴していたものです(東京地裁は、「詐欺は稲川会の威力を利用した資金獲得行為とは認められない」などとして、暴力団対策法と民法の両面で使用者責任を認めず、請求を棄却したものです。なお、暴排トピックス2020年12月号によれば、組員が詐欺に使う携帯電話などをどう準備したかは明らかでなく、稲川会が協力したと認められる証拠もないと指摘、共犯者に暴力団組員であることを示した証拠もないとして、稲川会の威力を利用したとはいえないと判断しています。さらには、詐取金が稲川会の収益になった証拠もないとして、民法上の使用者責任も否定しています)。これに対し今回の東京高裁判決では、組員が共犯者らに逮捕された場合の口止めを指示し、実際に共犯者が報復を恐れて逮捕後に供述を拒んでいるとして、「詐欺グループ内の規律を高めるため、暴力団の威力が利用された」と指摘したということです。

使用者責任が認められたのは特殊詐欺だけではありません。4年前、松戸市で稲川会系傘下組織の暴力団組員が、一般市民が住むアパートに誤って拳銃を発砲し、住民が損害賠償を求めた訴訟で、双方の間で和解が成立しています(なお、事件に関与した3人の組員には、昨年12月までにそれぞれ、懲役17年と罰金500万円、懲役12年、懲役7年の刑が確定しています)。住民の女性は、精神的苦痛があったとして、稲川会の元会長ら2人を相手取り、1,300万円の損害賠償請求を千葉地裁に提訴していました。今般、稲川会から女性に500万円を支払うことで和解が成立したものです。原告側の弁護団によると、市民が抗争に巻き込まれた事件で、死傷がなくても高額の損害賠償金の支払いが認められた事例は珍しく、類似事件への抑止効果が期待できるといいます。また、暴力団対策法に基づき、暴力団の代表者に対して訴訟を起こしたこと自体が珍しいとも指摘しています。報道によれば、原告側弁護団の団長の弁護士は、「怖い思いをした慰謝料として500万円は破格の金額だ。裁判所も暴力団の抗争被害に高額な賠償額を認めるという強い意志の表れだと思う。これが定着すれば、被害が少なくなると思う」と語っています。

さて、兵庫県尼崎市は、昨年11月に銃弾が撃ち込まれた暴力団幹部宅を1,900万円で買い取ると発表しています。本コラムでも詳しく取り上げた、北九州市における工藤会本部事務所売却の事案は、市の仲介で民間事業者が購入したものですが、事務所以外の暴力団関連施設を自治体が直接買い取るのは全国で初めてだといいます。なお、住宅を所有する六代目山口組系幹部も売却の意向を示しているということです。特定抗争指定暴力団の六代目山口組と神戸山口組の対立を背景に、同市内では発砲・銃撃事件が相次いでおり、反社会勢力に公金をわたすことになりますが、市は市民の安全が優先されると判断したもので、購入後に転売先を探すということです。なお、市によると、不動産業者が暴力団排除に取り組んだ結果、暴力団関係者同士が業者を通さずに取引するケースが報告されているといい、稲村市長は、「住宅が暴力団関係者に売却されれば、再び発砲事件などのリスクが生じる。市民の平穏を守るため、市が特例として一時的に介入する必要があると判断した」と説明しています。組幹部宅があるのは、尼崎市内の住宅街で、近くには中学校や保育園もあり、六代目山口組系の組幹部が暮らし、かつては組事務所として使われていたということです。一方、「暴力団関係者の間だけで不動産取引が行われ、関係施設として存在し続ける「負の連鎖」に自治体が割って入ることで、健全な不動産市場に流通させる狙いだ。もっとも、組員側に資金が流れるのも事実で、暴力団排除の有効な武器となるかは未知数だ」(2021年3月30日付産経新聞)との指摘のとおり、反社会的勢力に対する利益供与になりうる側面は否定できない事実であり(市長は前述の説明により、利益供与にあたらないとしています)、あくまで個別事情に基づく例外であって、この場合、公益目的が利益供与の害悪を上回るのか、その判断には賛否両論があり、評価も定まっていないため、今後の議論の行方を見守りたいと思います。

次に、暴力団の動向に関する最近の報道から、いくつか紹介します。兵庫県公安委員会は特定抗争指定暴力団の六代目山口組と神戸山口組について、依然として対立抗争が続いているとして指定を更新し、さらに3か月間、延長しています。更新は5回目で、兵庫県内での指定は開始から1年半となりました。また、2つの山口組の対立抗争が続くなか、兵庫県で暴力団排除条例が施行されて今月1日で10年になりました。この10年で県内の暴力団の構成員は平成22年末の1,220人から令和元年末には470人とおよそ3分の1に減り、警察は「社会全体で暴力団排除を進めるきっかけとなった」としています(2021年4月7日付NHK)。
市民襲撃4事件を指揮命令したとして、殺人や組織犯罪処罰法違反(組織的殺人未遂)の罪に問われた工藤会トップで総裁の野村悟被告と、ナンバー2で会長の田上不美夫被告の公判が、福岡地裁であり、3月11日に結審したものの、検察側の弁論再開の申し立てを受け、地裁は、所得税法違反罪での野村被告の実刑判決の確定記録を証拠採用し、改めて結審しています。判決は8月24日となります。なお、前回の本コラム(暴排トピックス2021年3月号)で取り上げたとおり、野村被告が工藤会の上納金を巡って約3億2,000万円を脱税したとする所得税法違反罪では、最高裁が被告の上告、異議をいずれも棄却し、懲役3年、罰金8,000万円とした1、2審判決が3月14日に確定しています。また、市民襲撃事件では検察側が野村被告に死刑、田上被告に無期懲役と罰金2,000万円を求刑し、弁護側はともに無罪を主張しています。なお、弁護側は検察側の手法を「間接事実を強引に結びつけ、独善的な『推認』に終始している」と批判、4事件のうち、元漁協組合長射殺(1998年)や歯科医師刺傷(2014年)両事件で検察側は背景に漁協利権があると主張していますが、弁護側は合理的根拠を示していないなどと指摘し、「利権に興味を抱いたことはない」と反論しています。また、弁護側は、総裁は名誉職で野村被告に権限はないと強調、元福岡県警警部銃撃事件(2012年)は両被告に動機につながるような「恨み」はなく、看護師刺傷事件(2013年)では、野村被告が抱いた不満は一時的なもので、野村被告が事件後に「あの人は刺されても仕方ない」と語った同僚の証言には矛盾点があり、信用できないと訴えています。


暴力団排除条例が全国47都道府県すべてで制定されて今年の10月で丸10年を迎えることとなります。この10年で、反社会的勢力との密接交際がNGであることが「常識」として定着した感がありますが、残念ながらいまだに密接交際を続ける者が存在し、反社会的勢力の活動を助長しているのは極めて残念です。最近の報道から、そのような関係性が表面化した事例をいくつか紹介します。暴走族だった過去から「元ヤンキー町議」として知られていた男が逮捕されています。知人の飲食店経営者を脅し無理やり金を貸し付けたとして警察は福岡県みやこ町の元町議会議員(2期目の2018年に町長選に立候補して落選。2018年6月には風営法違反(年少者雇用)容疑で逮捕されています。現中古車販売業)と太州会のナンバー2(若頭)を強要の容疑で逮捕しています。容疑者は、2011年にみやこ町の議会選挙に初当選し、「元ヤンキー町議」として知られていたところ、2人は昨年9月、組事務所に24歳の飲食店経営者の男性を呼び出し、利子を得る目的で、無理やり、多額の金を貸し付けた借用書1枚を書かせた疑いがもたれています。報道によれば、この男性に対し「原田の兄ちゃんに恥をかかせるんか。殺されてもしかたないんぞ」などと言って脅したということです。警察は、2人が高額の利子を受け取っていなかったか、貸金業法違反も視野に調べを進めているということです。このような人物が元町議だったことは、有権者は厳粛に受け止めるべきだと思います。
北九州市の祭り、「戸畑祇園大山笠」の祭礼幕の新調にかかる補助金を水増しし、不正に受け取った疑いで、振興会の元委員の男など2人が逮捕されています。報道によれば、容疑者らは2015年、祭りに使う祭礼幕を新調する際、虚偽の見積書を作って国に提出し、約2,100万円の補助金を不正に受け取った疑いがもたれています。容疑者は工藤会と親交があったことがわかっており、不正に受け取った補助金の流れなどについても詳しく調べる方針だということです。なお、「戸畑祇園大山笠」を巡っては、振興会幹部や山笠の総代表ら6人が2018年に工藤会系組長の宴席に幹部6名が出席していたことが判明しています。(詳しくは、暴排トピックス2018年11月号を参照ください)。
六代目山口組系の暴力団組員らが密漁したおよそ390キロのナマコを、密漁されたものと知りながら買い取り、流通させたとして逮捕された函館市の水産会社の社長について、数年前から暴力団とつながりがあったことがわかりました。これまでの捜査で、数年前から容疑者は暴力団とつながりがあり、組員らから密漁したナマコを買い取り、加工して販売していたとみられています。昨年12月に改正された漁業法では、密漁ナマコなどを流通させる行為に懲役や罰金の罰則が盛り込まれました。この改正漁業法で流通行為に罰則が設けられて以降、購入、流通での逮捕は容疑者が全国で初めてでした。警察は、少なくとも1トン以上のナマコが密漁され、それが暴力団の資金源になっていたとみて、引き続き容疑者らを追及する方針だということです。この事例は、正に一蓮托生というほどの共犯関係にあるといえ、厳格な処分と実態解明を行っていただきたいと思います。
一方、新型コロナウイルス感染拡大の影響による売り上げ減少を理由に、暴力団が要求するみかじめ料の支払いをやめた飲食店などが、東京都内で少なくとも20店超確認されたことが分かったと報じられています(2021年4月8日付産経新聞)。感染拡大が思わぬ形で暴力団の資金源に打撃を与えている現状が浮き彫りになったといえ、大変喜ばしい限りです。警視庁組織犯罪対策3課によると、都内の一部地域を対象とした捜査員による店舗訪問などで昨年末までに判明、コロナ禍で飲食業界などが苦境にあえぐ中、物品購入名目などで暴力団が金銭の支払いを迫っている店が他にもあるとみているといいます。


最後に、半グレ(準暴力団)に関する最近の報道から、いくつか紹介します。犯罪行為を繰り返す不良集団「半グレ」について、大阪府警が令和2年に摘発した人数が過去最多の約350人にのぼることが、府警のまとめでわかったと報じられています(2021年3月30日付産経新聞)。大阪は有力な半グレが複数暗躍し、暴力団との関係が指摘されてきたところ、大阪府警は昨年度から半グレの専従捜査班を設置するなどの取り組みを行っており、成果が現れた形となりました。昨年摘発されたのは、前年より約40人多い約350人で、罪種別にみると客引きや窃盗、売春関連、恐喝が多く、それぞれ約40人だったということです。このうち売春関係は前年の摘発はほとんどなく、客引きや恐喝も前年より倍増する結果となりました。半グレは有力グループを摘発しても離合集散を繰り返し、残党が新たなグループを作って活動するアメーバのような形態であり、継続的活粘り強く実態把握と摘発を進めていくことが求められているといえます。
2021年3月30日付産経新聞は、「一般的に半グレは、暴力団の支援を受けながら違法なシノギ(資金獲得行為)を行い、暴力団に資金を上納するとされる。府警幹部は「半グレと暴力団の両者が共存共栄している状況があり、活動をますます活発化させている」と話す。ただ、暴力団とは異なり、組事務所などの拠点を持たず、暴力団を取り締まる暴力団対策法による規制も適用されない。さらに逮捕されても自ら名乗らないケースが多く、実態把握が難しいのが実情だ。警察庁は、全国の半グレの人数や検挙数について公表していない。一方で犯罪行為の悪質さは変わらない。大阪・キタ界隈で活動していた「ヤオウ」は、経営した複数のガールズバーなどで、飲食中にゲームと称して客に大量の酒を飲ませて酔わせ、キャッシュカードを盗むなどしていた。」とその実態について報じています。本報道において、本コラムでもたびたび紹介している廣末氏は、「新型コロナウイルスの影響で先が読めず、生活に困って犯罪行為に手を染め、半グレに取り込まれる人が増えるのではないか」と指摘。その上で「一度反社の烙印を押されると、表社会で生きにくくなる。烙印を押されることの大変さを周知すべきだ」と話している点が注目されます。
同じく廣末氏の論考(2021年3月27日付PRESIDENT online)では、「暴力団の勢力が衰退するとともに、半グレによるとされる事件が目に見えて増えてきました。暴力団というオオカミが暴排条例で身動きが取れなくなり、半グレという野良犬の活動領域が拡がった観があります。筆者は、半グレ当事者たちへの取材を通して、2013年頃に「半グレ」と呼ばれた集団と、今日の半グレとでは、その性質や活動において異なってきていると考えるに至りました。半グレとは(世間で半グレと呼ばれている対象は)少なくとも以下の4パターン存在するのではないかと考えました。(1)関東連合やドラゴンに代表される草創期の半グレの流れ、(2)オレオレ詐欺の実行犯(これは、昨今ではそのまま暴力団の手先となっているケースが多いと聞き及びます)、(3)ウラのシノギをしつつ正業を持つグループ、(4)元暴アウトロー(暴力団を離脱したものの正業に就けず、違法なシノギで食いつなぐ者などです)と大変興味深い指摘をしています。なお、半グレについては、筆者としても時期を改めて論じてみたいと思います。

https://www.sp-network.co.jp/column-report/column/bouhi/candr0306.html
組織犯罪と戦うために~組織犯罪情勢とAML/CFTガイドラインFAQを読み解く

2021.04.13


https://www.sp-network.co.jp/column-report/column/bouhi/candr0322.html?curr=column



「面」の一部として背後に暴力団等と何らかの関係がうかがわれることをもって、それを反社会的勢力として「関係を持つべきでない」排除すべき対象と位置付けていく一連の作業です。その境目である「点」だけいくら調べても、反社会的勢力であると見抜くことは困難であり(さらに、今後その困難度合が増していくことが予想されます)、全体像を見ようとしない反社チェックは、表面的・形式的な実務に堕する可能性が高くなるといえます。その意味で、閣議決定において、「あらかじめ限定的かつ統一的に定義することは困難」とされているのは、実務的には正しいといえます(むしろ、あらかじめ限定的かつ統一的に定義すべきではありません)。

反社会的勢力の範囲を明確にすることで、表面的・形式的な暴力団排除・反社会的勢力排除の実現は可能となると思われます。企業実務に限界がある以上、また、一方で営利を目的とする企業活動である以上、最低限のチェックで良しとする考え方もあることは否定しませんが、既に述べた通り、私たちに求められているのは、暴力団対策法によって存在が認められた暴力団や当局が認定した暴力団員等、あるいは、「現時点で認識されている反社会的勢力(便宜的に枠を嵌められた、限定された存在としての反社会的勢力)」の排除にとどまるのではなく、「真の受益者」たる「暴力団的なもの」「本質的にグレーな存在である反社会的勢力」の排除であることを忘れてはなりません。反社会的勢力の範囲を明確にすることが、直接的に相手を利することにつながり、対峙すべき企業が自らの首を絞めるとともに、自らの「目利き力」の低下を招くものだとしたら、これほど恐ろしいことはありません。

反社会的勢力の捉え方を確認したところで、あらめて旧統一教会のもつ「反社会的」な要素も考え見ます。この点については、2022年8月10日付朝日新聞の記事「旧統一教会と政治の関係は「国益損なう」 櫻井義秀さんが語る本質」が、筆者の考え、問題意識と近いものがありますので、以下、抜粋して引用します。

単刀直入に申し上げて、旧統一教会にどう向き合うのか、という問題を考えるということに尽きます。山上徹也容疑者も信者である母親も、教団が生んだ多くの被害者です。問題が繰り返されながら、一握りの人々しか被害者の言葉に耳を貸さず、救済されてしかるべき人たちが、救済されなかったのです。…容疑者の動機として、母親が旧統一教会に入信してから1億円以上が費やされ、家庭崩壊や破産を招いたことに対する強い憤りが報じられていますね。多大な献金でその人が経済破綻する、そこまでの宗教行為が認められるのかどうか、これをはっきりさせる必要があるのです。社会問題化したカルトをどう考えるか、という問題といってもいいでしょう。…旧統一教会のようなカルトが問題なのは、正体を隠した勧誘や不安をあおる教え込みで信者を獲得し、自由な思考や行動を奪い、法外な献金や資産提供などの不利益を強要するからです。しかし、信者になると、不利益を受けても、苦難や自己犠牲こそが正しい道の証拠として、自分で離脱する人は少ないのです。だからこそ、行政の介入が必要なのですが、「信教の自由」という言葉を前に思考停止し、踏み込めないでいます。教団側は「信者は自発的な意思で入信し、活動している」と主張します。振り込め詐欺に関して被害防止のための様々な広報活動を行っている警察は、宗教の世界となると、「自分の意思で行っていることなので」と慎重です。…多大な献金で信者を経済破綻にまで追いこむような行為が、宗教行為として認められてよいのでしょうか。問われているのはここなのです。信教の自由っていうのは、基本的に頭の中の話なんですね。何を考えようと、何を信じようと自由です。しかし、それを社会的行為として実現した場合、ほかの人に影響を及ぼします。宗教上の行為だといってもその影響が、宗教団体に所属する信者の精神や身体に深く及び、その資産を侵犯するようになれば、この世の法律では「行きすぎ」として裁かれる必要性が出てきます。ここははっきりさせておかなければならないと思います。人権尊重の観点から見て明らかに是正すべき逸脱があれば、正す必要がある。社会の多数派による、少数派への「偏見」とは全く異なる次元の問題です。…オウム真理教事件の報道に取ってかわられ、社会から旧統一教会の存在が見えなくなった面があります。関連団体を含めて被害を生む一つの背景をなしているのですが、そこが見えなくなった。旧統一教会側の戦略の転換も影響しています。霊感商法に対する批判が強まり、裁判でも負けが続きます。賠償金を支払うのも大変な状況が出てきて、一般の人を対象とした霊感商法は少なくなってきました。そこで信者にしてからお金を献金させるという方法へ変わったのです。そうなると消費者に関する法律の枠内の被害救済が困難になる。問題が表面化しづらくなり、メディアの報道が減ったという側面もあると思います。

続いて、霊感商法の被害者を救済するために戦っている弁護士の紀藤氏の主張も紹介します(2022年8月10日付朝日新聞)。「カルトすなわち反社会的な宗教団体と、一般の宗教団体を一緒に考えるべきではありません。法的な規制は信教の自由に抵触するといわれますが、カルトすなわち反社会的な宗教団体と、一般の宗教団体を一緒に考えるべきではありません。欧米では、カルトがカルトであるゆえんは、違法行為をすることだと見なされています。脱税、詐欺、脅迫、性加害や児童虐待もある。既存の法律を厳格に適用し、違法行為を摘発していけば、おのずとカルトはなくなっていくはずです」との指摘が正にそのとおりだと思います。以下、抜粋して引用します。

現場の警察官は、地域の人から旧統一教会がらみの相談を受けることも多い。しかし過去の摘発が中途半端だったため、立件の明確な基準がない。摘発したくてもやれないのです。事件化されなければ、メディアも報じません。メディアの変質もあると思います。7月8日に安倍晋三元首相が殺害された後、容疑者と旧統一教会の関わりについて、新聞やテレビは教団側が記者会見した11日まで報道しませんでした。いくら選挙期間中だといっても、全社横並びで旧統一教会の名前を伏せていたのは異様です。法的な規制は信教の自由に抵触するといわれますが、カルトすなわち反社会的な宗教団体と、一般の宗教団体を一緒に考えるべきではありません。欧米では、カルトがカルトであるゆえんは、違法行為をすることだと見なされています。脱税、詐欺、脅迫、性加害や児童虐待もある。既存の法律を厳格に適用し、違法行為を摘発していけば、おのずとカルトはなくなっていくはずです。95年にオウム真理教事件があり、今度は元首相の殺害事件が起きた。30年間にカルトに関わる大事件が二つも起きる異常な事態を招いたのは、国会や政府がオウム真理教事件の総括をきちんとしなかったことが一因だと思います。今からでも遅くないので、カルト問題全般について、原発事故調査委員会のようなものを国会内に設置し、対策を考えるべきです。

「信教の自由」は尊重されるべきものであるにせよ、内面の自由を超えて、社会的行為として犯罪に加担する、犯罪を助長する、他社の生命・身体・財産を毀損するといった時点で、それは「反社会的」なものとして厳正に処罰されるべきものだと思います。暴力団等との関わりの有無は別として(その意味では前述した反社会的勢力とは言えませんが)、反社会的な違法行為を組織的に行っているのであれば、(違法行為に無関係の信者がいるにしても)「関係をもってはならない」反社会的な団体として、慎重に見極めるべき(極めて広義に捉えた反社会的勢力)ということになります。この点について、末松文部科学相が、憲法で信教の自由が保障されていることを踏まえ、「(宗教法人を所管する)文科省が立ち入って(問題を)指摘することは極めて抑制的であるべきだ」、(事件の動機に関して「ネットニュース程度しか見ていないのでコメントできない」とした上で、一般論として)「所管庁による宗教活動への介入は基本的には認められないという解釈だ」と述べ、宗教法人をめぐるトラブルについては「いろいろな意見はあると思うが、個別に法律的な処理をするのが正しい方法だ」と指摘している点については、前半はもう少し明確に「通常の宗教法人」と「違法行為を常習的・組織的に行っている反社会的な団体」とを区別する姿勢が欲しいところですが、後半はそのとおりかと思います。一方、旧統一教会の金銭トラブルを巡っては、相談窓口への問い合わせが相次いでいるといい、報道によれば、教団からの脱会支援などに取り組む「全国統一協会被害者家族の会」にメールや電話で寄せられた相談は、6月は8件だったところ、7月には約12倍の94件に増え、8月も100件を超える見込みだということです。相談は信者の子どもからのものが目立ち、内容は献金に関するものが多く、訴える「被害」の合計は少なくとも約8億7,000万円、担当者は「献金の種類や目的が多すぎて、家族も我々も(全容が)分かっていないのが実態」とのことです。こうした状況をふまえ、就任したばかりの河野消費者相が、消費者庁に霊感商法に関する検討会を設置するよう指示、旧統一教会を巡り、霊感商法への批判が高まっていることを受けて「これだけ様々問題視されているので、きちんと対応していく必要がある。消費者庁として締め直さないといけない」と述べたことは高く評価できると思います。

福岡県暴力団排除条例に基づき、ステッカー(標章)を貼った飲食店などに暴力団組員の立ち入りを禁じる「標章制度」を巡り、制度に反したとして組員に出された中止命令が100件に達したことが福岡県警への取材で判明したということです。制度導入から8月1日で10年を迎え、当初は反発する組員らが関与したとみられる放火事件なども相次ぎましたが、現在は県内の対象店舗の約8割が標章を掲げているといい、繁華街の暴排の動きが目に見える形で進んでいるものと評価死体と思います。制度がスタートした当初、「標章をはがせ」などと一方的に告げる脅迫電話の被害は、飲食店168店に及び、「市民が矢面に立たされている」、「警察は守ってくれない」などと飲食店関係者の間で不満が高まり、北九州市の標章掲示率は落ち込みました。転機となったのは、福岡県警が工藤会の壊滅を目指して2014年9月に着手した「頂上作戦」だったといいます。2012年8~11月に北九州市で標章掲示店の関係者が狙われた計11件の放火や切り付け事件のうち6件について、工藤会の組員らが関与したとして検挙、令状が不要で迅速に対応できるとして、標章に伴う中止命令も積極的に活用し、2021年末で100件に上りました。そして、福岡県警の動きに合わせるように、50%台まで落ち込んだ北九州市の標章掲示率は上昇し、2022年5月末時点で71.3%にまで回復しています(なお、福岡、北九州、飯塚、久留米、大牟田5市の対象店舗のうち掲示しているのは4,193店で、掲示率は79.2%となります)。一方、新型コロナウイルスの感染拡大後、店舗の入れ替わりが激しく、福岡県警は改めて制度の周知に力を入れる必要に迫られています。

これだけ地道な努力を積み重ねている福岡県警ですが、直近では残念な不祥事も発生しています。、地方公務員法(守秘義務)違反容疑で福岡県警田川署の巡査長田中容疑者が再逮捕されたものです。報道によれば、ギャンブル好きで、知人の会社役員の男性から借金し、男性から引き合わされた合田一家系組長の金容疑者にも、職務上知り得た情報を漏えいするようになったということです。県警は三大重点目標に「暴力団の壊滅」を掲げており、暴力団排除活動を進めてきた市民からは「裏切り行為だ」と憤りの声があがっているといいます。約20年前には、捜査情報の見返りに県内の指定暴力団トップから現金を受け取っていた警察官が汚職事件で摘発され、信頼が大きく揺らぎました。2012年にも、工藤会の親交者から同様に現金をもらっていた警察官が逮捕されるなど、暴力団との癒着が繰り返し明らかになってきた経緯があります。今回、再び浮上した「黒い関係」に、北九州市で長らく暴排に携わる男性は「警察官への信頼がなくなってしまう。われわれボランティアのパトロール隊も命懸けなのに、最前線で県民を守るはずの警察官が暴力団と付き合っていたというのは、大変残念だ」と述べています。また、暴力団捜査を担当する県警幹部も「市民に顔向けできない。批判されても反論のしようがない」と述べています。一刻も早く、社会からの信頼を回復すべく、職務に励んでほしいと思います。

2つの山口組の抗争については、ここ1カ月はあまり大きな動きはなかったようです。そんな中、福岡県警は、車をぶつけて塀を壊したとして、無職の容疑者と自称暴力団組員を建造物損壊の疑いで現行犯逮捕しています。現場は、六代目山口組と対立する神戸山口組系の組事務所で、六代目山口組系組員を自称し「対立する組であり、功績をあげたかった」と容疑を認めているようです。六代目山口組と神戸山口組をめぐっては、各地で分裂抗争とみられる事件が相次いでおり、九州でも6月には佐賀市内の神戸山口組系事務所に車を衝突させた疑いで、六代目山口組系組員が逮捕されています。また、岡山県倉敷市で2020年12月、神戸山口組系三代目藤健興業の組事務所で拳銃を発射し、凶器を示して脅迫したとして、銃刀法違反の加重所持や発射などの罪に問われた六代目山口組弘道会系組員の弁護側は、岡山地裁の初公判で発射の起訴内容を否認し、無罪を主張しています。発射以外に問われている加重所持や暴力行為法違反、建造物損壊の罪の起訴内容は認めています。報道によれば、冒頭陳述で弁護側は、拳銃を撃った場所が組事務所の中だったとして、発射が規制される場所に当たらず無罪だと主張、検察側は、撃った場所は事務所の玄関先で周辺に小中学校や公民館などがあり、多くの車両や歩行者が通行している場所だったとして「多数の者に供される場所での発射」を禁じる銃刀法違反罪の要件を満たすと反論しています。起訴状などによると、被告は、神戸山口組系組事務所で回転式拳銃を5発撃ち天井や壁を破壊、事務所にいた神戸山口組系組幹部だった男性に発砲音を聞かせ、凶器を示して脅迫したとしています。

野田少子化相の夫が、暗号資産業者を巡る記事で名誉を傷つけられたとして、「週刊文春」側に損害賠償を求めた訴訟の上告審で、最高裁第1小法廷は8月8日付の決定で夫側の上告を棄却、文春側に55万円の支払いを命じた2審・東京高裁判決が確定しています。同誌は、野田氏が総務相を務めていた2018年7月、夫を「元暴力団組員(元会津小鉄会系昌山組組員)」とした上で、野田氏が夫の依頼を受け、暗号資産業者と金融庁職員との面談をセットするなどしたとの記事を掲載しました。1審・東京地裁判決は、面談の経緯や内容は事実でなく必要な裏付け取材も不足していたなどとして110万円の賠償を命令しましたが、2審判決は、面談以外の記述の一部に名誉毀損の成立を認めた一方、夫が野田氏に依頼して面談をセットさせたとする点は「真実だと信じる相当の理由があった」などとして賠償額を減らしています。なお、裁判の過程で、「週刊文春」は、夫が昌山組に所属していたことを示す「暴力団個人ファイル」と題された警察庁の内部文書などを証拠として提出、その結果、東京地裁は2021年3月、同氏が元暴力団員だった点について、真実相当性があるとする判決を下しています。なお、文春のサイトの記事によれば、東京高裁は今年2月3日、「警察庁幹部への取材結果等を総合すれば、1審原告が過去において京都の指定暴力団「会津小鉄会」傘下の「昌山組」に所属していたことは真実であるというべきである」との判決を出したということです(1審では、同氏が元暴力団員という点について「真実相当性がある」とする判決だったものの、控訴審では「真実である」とする判決になっているとしています)。一方、自民党の野田聖子議員は、8月10日、自身のブログを更新し、夫をめぐる一連の報道を受け「事実を踏まえていない」と釈明しています。自身のブログに「報道にあります夫が訴えている裁判の件についてご説明致します」と書き出し、「上告の後、夫が暴力団に所属していたといわれている時期に、夫と交際関係のあった知人、また、夫が勤務していた会社の関係者の方々から詳細な事実関係を確認しました。これにより、当時、夫がごく普通の会社員として真面目に勤務し、プライベートも含め、暴力団として活動する余地などなかったこと、また、暴力団との関係もなかったことを明らかにしていただきました」と投稿。「他方、週刊誌に頼まれて夫が暴力団に所属していたと証言をした人物(元暴力団組長※これが真実性に関する唯一の証人)については、昨年、京都府警が偽証罪の疑いがあるとして捜査を開始し、本年5月に至るまで熱心に捜査を続けてくださいましたが、残念なことに、当該偽証をした人物が死亡し、捜査は打ち切りとなってしまいました。ただ、本年7月、捜査を担当した捜査官の方からは、この人物が偽証をしたものと考えていたとの見解を頂いています」と説明し、事実と異なると主張、「最高裁の判断は誠に遺憾ではありますが、最高裁は法律審であり、上記のような事実を踏まえていないものであります」と釈明しています。

本コラムでもたびたび取り上げているとおり、暴力団事務所の使用差し止め請求や事務所や土地の売却事案が増えています。最近では、大阪府東大阪市が、六代目山口組の二次団体の事務所があった土地について、暴力団排除を目的に購入すると発表しています。東大阪市が購入を決めたのは、市内にある約50平方メートルの土地で、六代目山口組の二次団体織田組が事務所をかまえていたもので、織田組をめぐっては、大阪府暴力追放推進センターが起こした裁判で、事務所の使用が差し止められ、その後センターが建物を買い取り、6月に解体作業が行われています。東大阪市では跡地について取り扱いを協議していましたが、暴力団排除を目的に購入を決めたということです。市によると、自治体が暴力団事務所の跡地を購入するのは、大阪府では初めてのことで、購入価格や活用方法は現時点では決まっておらず、「鑑定の上、適正価格を算出し、活用方法を検討する」としています。

東京・浅草を拠点とする老舗暴力団「姉ケ崎会」が7月に組織の解散を他団体に通知していたということです。姉ケ崎会は規制の厳しい「指定暴力団」には該当しないものの、警察当局は「構成員が集団的・常習的に暴力的不法行為を行うことを助長するおそれがある」として、暴力団対策法上の指定はされていませんが、「暴力団」とみており、実に130年余りの歴史を誇る老舗暴力団でした。報道によれば、姉ヶ崎会は、プロ野球のチケットなどを転売する「ダフ屋」稼業を都内でほぼ独占していたとされますが、近年は思うような収入を得られていなかったことが背景の一つにあるとみられています。解散の通知には、「令和四年七月二十五日付を以て解散する事に決議致しました」、「明治後期の結成以来百三十余年に亘り御指導御支援御厚誼を賜りました事厚く御礼申し上げます」となどと記されています。警視庁は、この通知が極東会などの組織に配布されたことを把握、暴力団対策課は「本当に解散したのかどうかの見極めはしなければならない。今後の動向を注視していきたい」としています(偽装解散のおそれもあることから、まだ正式に認めていないとのことです)。報道によれば、姉ケ崎会の稼業(シノギ)は主に二つで、ダフ屋と、夏祭りなどで露店を出す「テキ屋」だったとされます。とりわけ、都内ではダフ屋稼業を独占し、「ダフ屋と言えば姉ケ崎」とも呼ばれていたようです。大正初期ごろに発足したとみられる姉ケ崎会は、2003年には700人ほどの構成員がいましたが、2021年末時点で約85人に減少、警察の取り締まりや高齢化による構成員の減少はどの組でも同じ傾向ではあるものの、姉ケ崎会に特に影響を与えたとみられるのが新型コロナ禍による影響でした。報道で、捜査関係者らは「チケットはネットで購入することが当たり前になり、本人確認も徹底しているから、ダフ屋が入り込む隙がなくなった。それに近年はコロナ禍で、コンサートそのものが開かれなくなっていた。ダフ屋としての仕事がなくなっていたようだ」、「時代が変わって割に合わないしのぎになったのだろう」と指摘していますが、暴力団のあり方を考えさせられるものともいえます。なお、「解散」に伴い、会を構成していた三つの下部組織のうちテキ屋を担っていた2組織の一つが名称を変えて存続するものの、ダフ屋をしのぎとする1組織は消滅したといいます。

京都府公安委員会は、京都市に所在する七代目会津小鉄会(金元会長)を暴力団対策法に基づく指定暴力団として官報に公示しています。指定は今回が11回目で、期限は7月27日から3年間で、京都府警によると、指定暴力団となった1992年に約1,600人いた同会の構成員は、2021年末現在で約40人となっています。また、鹿児島県公安委員会は、鹿児島市に拠点を置く四代目小桜一家を、指定暴力団として指定し、7月25日付の官報に公示しています。四代目小桜一家は、鹿児島県内におよそ50人の構成員を抱える暴力団で、1992年に初めて指定暴力団に指定されて以降、3年ごとに指定されており、今回が11回目の指定となり、指定の効力は7月27日から3年間となります。

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あらためて反社会的勢力とは何か

2022.08.16

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取締役副社長 首席研究員 芳賀恒人


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暴排トピックス特殊詐欺
反社会的勢力
暴力団・準暴力団
暴排トピックス
暴力団排除条例(暴排条例)
AML/CFT
テロ


半グレの跋扈をこれ以上許してはならない~官民の連携が重要だ

2023.01.16

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首席研究員 芳賀 恒人

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【もくじ】―――――――――――――――――――――――――
1.半グレの跋扈をこれ以上許してはならない~官民の連携が重要だ
2.最近のトピックス
(1)各種統計資料から
・法務省 令和4年版犯罪白書
・公安調査庁 令和5年版「内外情勢の回顧と展望」
・犯罪対策閣僚会議 「世界一安全な日本」創造戦略2022/人身取引対策行動計画2022
(2)AML/CFTを巡る動向
(3)特殊詐欺を巡る動向
(4)薬物を巡る動向
(5)テロリスクを巡る動向
(6)犯罪インフラを巡る動向
(7)誹謗中傷/偽情報等を巡る動向
(8)その他のトピックス
・中央銀行デジタル通貨(CBDC)/暗号資産(仮想通貨)を巡る動向
・IRカジノ/依存症を巡る動向
・犯罪統計資料
(9)北朝鮮リスクを巡る動向
3.暴排条例等の状況
(1)暴力団排除条例に基づく勧告事例(群馬県)
(2)暴力団排除条例に基づく勧告事例(神奈川県)
(3)暴力団対策法に基づく中止命令発出事例(長野県)
(4)暴力団対策法に基づく中止命令・再発防止命令発出状況(北海道)

1.半グレの跋扈をこれ以上許してはならない~官民の連携が重要だ

警視庁が準暴力団(半グレ)対策の特命班を、福岡県警が「準暴力団等集中取締本部」を新設します。本コラムでもたびたび指摘しているとおり、暴力団がピラミッド型の統制のとれた組織であるのに対し、半グレは指揮命令系統が不明確でメンバー同士のつながりも流動的、離合集散を繰り返すなどその実態の把握は容易ではありません。そのうえ、暴力団対策法の枠外で暴力団と同様の資金獲得活動を行っており、暴力団と共生する者や暴力団の手先となって活動する者もいます。おおよそ80以上のグループが存在するとされ、メンバーの総数は約4000名という(数の上では)六代目山口組構成員数に比肩しうる巨大勢力として、暴力団の潜在化と連動する形で確実にその存在感を増しており、正に「治安上の脅威」となっています。社会的害悪をふまえれば、警察当局が半グレ対策に本腰を入れるのも当然の流れとはいえ、困難を極める実態把握にはどんな小さな兆候でも見逃さない地道な情報収集や摘発の積み重ねが必要であり、それとともに、半グレと対峙する最前線にいる事業者との情報共有など官民の連携が一層重要となるはずです。暴力団同様、半グレの跋扈をこれ以上許してはなりません。

暴力団対策法の規制対象とならない反社会的勢力の実態を把握するため、警視庁が特命班を発足させたと報じられています。暴力団のような明確な組織性を持たず、繁華街などで犯罪行為を繰り返す集団の実態解明に向け、庁内内の情報を部門横断的に集約して分析し、摘発につなげる狙いがありそうです。準暴力団や半グレと呼ばれる反社会的勢力は、組織間の垣根を越えて連携し、頻繁に離合集散するなど実態が見えにくく、治安上の脅威となりつつあります。全国の暴力団勢力は、暴力団対策法が施行された1992年からの30年間で約4分の1に減少しましたたが、その一方で、規制の網から漏れる準暴力団や半グレと呼ばれる反社会的勢力が台頭、SNSを駆使するなど資金獲得手段を柔軟に変化させています。警察当局によると、準暴力団などの犯罪集団は、繁華街で常習的に暴行事件を起こし、特殊詐欺や組織窃盗を通じた資金獲得活動を活発化させており、他の組織とも連携をするなどメンバー同士のつながりは流動的で、犯罪収益の一部を暴力団に上納する動きもみられます。警視庁はこうした実態の解明と摘発を両輪に、犯罪収益の剥奪も視野に戦略的に対策を強化するとしています。特殊詐欺事件の捜査や風俗店の摘発、不良少年らが集まる暴走族の取り締まりなど、各捜査部門が得た組織犯罪につながる情報を集約し、同庁が把握していない犯罪集団の存在や活動実態、資金源の解明につながることを期待したいと思います。

また、福岡県警も、暴力団対策法が適用されない半グレについて、取り締まりを専門に行う部署、「準暴力団等集中取締本部」を、2023年1月18日に県警本部内に新設すると発表しています。暴力団の資金源を断つため、特殊詐欺などで暴力団と手を組む半グレの摘発を強化する狙いがあります。福岡県警によると、半グレ対策を専門にした取締本部の設置は全国初とのことです。県警本部長をトップとし、暴力団や知能犯の捜査などに携わってきた約230人態勢で、複数の特別捜査班が、半グレの実態把握や捜査にあたるとしています。報道で、県警幹部は「暴力団の壊滅には、配下の半グレの動向を把握して摘発し、資金源を断つ必要がある」と取締本部新設の狙いを語っています。半グレによる集団での暴行、傷害なども各地で相次いでおり、ある捜査幹部は「暴力団対策法の規制対象になっていないのに、やっていることは暴力団と同じ」と指摘しています。一方で、暴力団が組長をトップとするピラミッド型の組織であるのに対し、半グレは指揮命令系統が明確ではなく離合集散が繰り返されるため、暴力団よりも実態把握が難しいとされます。なお、関東や関西の半グレは暴力団と手を組まずに活動することが多く、対立も見られるのに対し、福岡では暴力団の力が相対的に強いため、違法薬物の密売や特殊詐欺などで、半グレを配下に従えているといいます。反社会勢力に詳しいノンフィクション作家の溝口敦さんは、「呼称こそ似ているが、暴力団とは全く異なる存在だ」、「暴力団のように『親子』『兄弟』という血縁関係になぞらえた組織内のつながりもない。親分的な存在に従うことを『ばからしい』と感じる若い世代が中心で、メンバー自身が自分の位置づけにこだわりを持っていない」、「半グレの若者たちは暴対法や暴排条例で金を得られずに苦しむのが分かっているので、あえて組員にはならない。暴力団も半グレを組員にせずに利用することで、暴対法の網を逃れて資金を得ている」と分析、「取り締まられにくい準暴力団のメンバーを暴力団が犯罪の実行役として使役する例もある」、「結果、特殊詐欺や薬物取引などの犯罪への関与は増え、存在感を高めている」、「内輪もめでも、不法行為は見逃さず、組織内のデータを蓄積していくことが今後の事件捜査や法整備の議論の際に大切になるはずだ」、「取締本部の設置で半グレの情報収集と摘発が進めば、暴力団の弱体化につながる」などと指摘しています。

警視庁や福岡県警の動きの背景にあるのは、繁華街などで犯罪行為を繰り返す不良集団「半グレ」の実態把握に警察当局が苦慮している実態があるからです。大阪府警では2020年に専従班を設置し、摘発を強化、有力グループの幹部らを含め、300人以上を摘発し「活動は一時沈静化した」(捜査関係者)ものの、最近はグループの残党が特殊詐欺や違法薬物売買などに走るケースが相次いでいるといいます。捜査幹部は「地下に潜った犯罪が増え、実態がさらに見えにくい」と警戒を強めているといいます。半グレは暴力団の支援を受けながら、繁華街で飲食店や風俗店の経営に参画、強引な客引きやぼったくりなど違法なシノギ(資金獲得行動)で得た資金を暴力団に上納し、勢力を拡大してきたとされます。大阪市では2022年11月、競合するキャバクラ店の男性経営者に暴行してけがをさせたとして、傷害容疑で飲食店経営の男とその知人の男が逮捕される事件も起きています。半グレは約80グループに分散しているとみられていますが、約4000人という数字は、2021年に警察当局が把握した六代目山口組の全国の構成員とほぼ同等の巨大勢力で、捜査幹部は、「グループ数は確定的ではない。増えたり減ったりの繰り返し。グループといっても、その都度、SNSなどで連絡を取り合い、メンバーは入れ替わる。本人たちもグループにどのようなメンバーがいるのか分かっていないのではないか」と指摘しています。

12月8日、岡山県・兵庫県・愛知県・三重県の公安委員会は、池田組と六代目山口組をより厳しく取り締まる「特定抗争指定暴力団」に指定しています(期間は3カ月で、以後、双方の抗争が終結したと公安委員会が判断するまで延長されていくことになります)。2022年10月に岡山市北区の理髪店で、散髪中の池田組の組長が襲われ、同日夜には組長が住むマンションの駐車場で発砲事件が発生しました。いずれも六代目山口組系の暴力団員が逮捕されるなど、2022年に入って市内で抗争事件が相次ぎ、池田組の本部がある岡山県、六代目山口組の総本部がある兵庫県、それに愛知県と三重県の公安委員会が、「抗争が激化していて市民が事件に巻き込まれる恐れがある」と判断したものです。これに伴い、岡山市・神戸市・名古屋市・桑名市が「警戒区域」に指定され、構成員がおおむね5人以上で集まることや、事務所に立ち入ることなどが禁じられ、違反した場合、警察は逮捕することができるようになりました。例えば、特定抗争指定暴力団の指定を受けた六代目山口組や神戸山口組では、新幹線での移動で同じ列車やホームに5人以上重ならないよう、スケジュールの調整に気を使っているという話もあります。なお、特定抗争指定暴力団の指定は、今回が全国で3例目となります。2012年に改正暴力団対策法に規定が設けられ、2012年末、九州に拠点を置く道仁会と九州誠道会(現浪川会)が全国で初めて指定されたましたが、その後、抗争が沈静化したと判断され、2014年に解除されています。また、記憶に新しいところでは、六代目山口組と神戸山口組は2020年1月から、双方で抗争状態にあるとして、特定抗争指定暴力団に指定されています。

兵庫県公安委員会は、六代目山口組と神戸山口組の特定抗争指定暴力団への指定を3カ月間延長しています(期間は2023年1月7日~4月6日)。これにより、2020年1月の指定から丸3年が経過したことになります。双方とも、定められた区域内での組事務所の使用などが禁じられ、組織の弱体化が進んでいるといえます。一部で傘下組織の離脱の動きが相次いでおり、警察当局は離脱組織にも規制をかけるべく対応を検討しています。報道で、ある組長は「なるようになるしかない。組員の高齢化もあり、組を維持するだけでも大変だ」と現状について述べています。また、別の暴力団関係者も「固定資産税など事務所の維持費は変わらないのに、事務所が使えなくなり活動がしにくい。指定の影響は大きい」と述べています。さらに、特に警察当局が目を光らせているのが、離脱する団体で、神戸山口組からの独立が認められれば、特定抗争指定だけでなく指定暴力団からも外れることになり、民間への不当要求などを禁じる暴対法の対象は指定暴力団で、同法の規制対象外にもなってしまうことになるため、神戸山口組からすでに独立した池田組は2021年に指定暴力団に指定(その後、六代目山口組と特定抗争指定暴力団にも指定)され、さらに離脱の動きを見せている宅見組については、大阪府警が動向を注視しているとされます。最近は、特定抗争指定で表立った活動が減っており、威力を用いた資金獲得活動の認定が簡単ではなく、偽装離脱の可能性もあるため、慎重に調べる必要があり、特定抗争指定暴力団への指定の実務の持つ「困難さ」も表面化しています。

一方、特定抗争指定暴力団に指定したにもかかわらず、発砲事件などは後を絶たず、実態として、活動を封じ込めができていないことから、法規制の実効性に大きな懸念が指摘されています。さらに、報道で、六代目山口組直系団体の組長が「影響はあるが、抗争を抑止する力はない」と述べており、この点からも法規制の実効性を担保することの困難さが見え隠れしています。この組長は、警戒区域内の組事務所は出入りができず、会合も開けず、若い人材を育てる場がなく、高齢化が進んでおり、シノギ(資金獲得活動)をやる人材が減り、ダメージはあるとしながらも、「抗争とは別問題だ」と述べています。両組織の幹部らは、警戒区域外にある傘下組織の事務所で会合を重ねているとみられ(六代目山口組では恒例の事始めを静岡県浜松市の国領屋一家本部事務所で50人ほど集めて開催しています)、この点からも、警戒区域で活動を規制するだけでは実効性を担保することの困難さが指摘できます。警戒区域の設定ではなく、組織全体に網をかぶせる発想が必要なのかもしれません。報道で、反社会勢力に詳しいノンフィクション作家の溝口敦さんは「今はスマートフォンの無料通信アプリでトップの意思を組員に伝えられる。特定抗争指定の規制は時代に合ってない」と指摘、「金融機関が組員の口座開設を拒否するように、民間の暴力団排除活動は組織のダメージが大きい。法規制に加え、民間の協力が暴力団壊滅に不可欠だ」と語っていましたが、筆者も同感です。

なお、週刊文春の記事で、「密かに集合していた場合などの捜査手法について、警察当局の幹部は「顔写真データベースでヒットさせる」と自信をのぞかせ次のように解説する。「六代目山口組、神戸山口組、池田組のいずれも逮捕歴がある組員がかなりの割合でいる。暴力団に限らず、逮捕した容疑者は『被疑者写真』という顔写真を撮影する手続きがある。この顔写真の画像データが蓄積されており、検索することで顔写真の人物の氏名、所属組織、肩書などがすぐに分かるようにデータベース化されている」…「やたらと追いかけ回して行動を確認するのではなく、『対立抗争に向けた謀議のために会合があったようだ』との情報を入手した場合、その地域の防犯カメラの画像データを解析して、集合した実態を解明する。警戒区域内でおおむね5人以上で集合していたら強制捜査に着手する」…かつて、5人以上で集合していた事件が摘発されたことがあった。当時の神戸山口組系の幹部らが2020年12月、警戒区域に設定されていた岡山市内の飲食店に13人で集まり会食していたとして、岡山県警は2021年1月、暴対法違反(多数集合)容疑で、全員を逮捕した。この事件が初のケースとなった。」というものが報じられています。

さて、神戸山口組の元有力傘下組織「侠友会」については、兵庫県警に組の解散届を出しています(しかしながら、兵庫県警は届け出の有無を明らかにしておらず、解散が実態を伴うかどうか慎重に見極めるとみられています)。2022年8月、神戸山口組の幹部で侠友会の寺岡修会長が神戸山口組を脱退していましたが、稲川会の仲裁のもと、侠友会の寺岡会長が、六代目山口組の司忍こと篠田健市組長と高山清司若頭に、正式に謝罪したということです。侠友会の組員の一部は六代目山口組傘下の組に移るとされていますが確認されていません。六代目山口組から神戸山口組が分裂した際に、神戸山口組の直系組織として、組長がナンバー2とされる最高幹部の若頭に就いていたほか、神戸山口組の拠点としても使用されるなど、中核的な存在でした。また、侠友会の事務所をめぐっては、2017年に暴力団追放兵庫県民センターが「代理訴訟制度」に基づき、住民に代わり使用禁止を求める仮処分を神戸地裁に申し立て、認められています。その後、兵庫県公安委員会が淡路市を「警戒区域」に指定し、組員の事務所への立ち入りが禁じられました。さらに、淡路市は2022年1月に「侠友会」の事務所を買収した経緯があります。侠友会の寺岡会長は、井上組長から絶縁処分を受けて若頭を脱退、そのタイミングで、神戸山口組とかつて組織から抜けていた池田組がヨリを戻すように「対等連合」を組んだものの、その直後に、連合を取りまとめたはずのもう1人の神戸山口組最高幹部で当時の副組長、入江禎・2代目宅見組組長も組織を脱退することになり、神戸山口組はいよいよ自壊の道を急速に転がり落ちるところまで追い込まれているように見えます。

次に、暴力団との関係が問題となっている最近の事例から、いくつか紹介します。本コラムでもその動向を追っている、2013年12月、中華料理チェーン「餃子の王将」を展開する王将フードサービスの社長だった大東隆行さん(当時72歳)が本社前で射殺された事件は、が発生9年を前にした2022年秋、京都府警が工藤会系組幹部の田中幸雄被告を実行犯とみて殺人などの疑いで逮捕に踏み切りました。重大凶悪犯の検挙が最も治安回復に資するという点で、今回の立件は高く評価できるものですが、まだ予断を許さない状況にあります。被告は黙秘を貫き、犯行をとらえた防犯カメラ映像や目撃証言を含む直接証拠はなく、拳銃は未発見、そもそも被害者との接点や共犯などの背後関係も判然としていない状況に変わりはなく、検察は公判に向け、状況証拠を積み重ねた間接事実群による難易度の高い立証を強いられています。
週刊文春で「元暴力団員」と報道された野田聖子衆院議員の夫が、警察庁幹部による虚偽情報のリークで名誉を毀損されたなどとして、国に1100万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴しています。訴状によると、週刊文春は2017年~2021年、警察関係者からの情報として野田氏の夫が元暴力団員とする記事を3回にわたり掲載、夫側は、警察庁幹部が情報の正確性の検証や提供の正当性を検討しないまま文春側に漏洩したと主張しています。一連の記事を巡り夫は発行元の文芸春秋社を相手取り1100万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こし、最高裁で一部の名誉毀損を認めて同社に55万円の支払いを命じる高裁の判決が確定しましたが、夫が元暴力団員であることは「真実と信じる相当の理由がある」と認定されています。
ゲーム大手、任天堂創業家が率いる山内財団が、下京区にある会津小鉄会の元本部ビル跡地を取得したことが判明しています。財団は跡地を含む計約3千平方メートルを芸術家の創作拠点などとして整備する方針で、財団専務理事の山内万丈氏は京都新聞社の取材に「任天堂発祥の地でもあり、風評上のリスクを背負ってでもこの地域を活性化させたい思いがある」と話しています。会津小鉄会の元本部ビル跡地は下京区の菊浜学区の鴨川と高瀬川に挟まれた住宅街にあり、計約700平方メートルで、山内氏によると、2022年10月13日付で山内財団が関連企業を通じて取得したということです。
工事費を水増しする手口で物流大手、日立物流の子会社「日立物流西日本」から約3億6500万円をだまし取ったとして、兵庫県警暴力団対策課などは、詐欺の疑いで、建設会社の元社長と日立物流西日本の元社員を逮捕しています。建設会社の元社長は暴力団関係者とみられ、県警は、だまし取った金が組側に流れた可能性もあるとみて経緯を調べるとしています。日立物流の元社長は「作業員数を水増ししたが、必要経費に使った」と容疑を否認、建設会社の元社長は「詐欺ではなく横領だと思う」として一部否認しています。


全国で暴力団事務所の使用差し止め請求や売却などが進んでいます。それに伴う問題も発生しており、2022年12月9日付産経新聞の記事「雑草茂る暴力団事務所の跡地 民間売却後も認定外れず 新たな本部はどこに…」が参考になります。以下、抜粋して引用します。

兵庫県尼崎市にあった指定暴力団「絆会」の本部事務所が昨年10月に民間事業者に売却され、所有権が移転したにもかかわらず、警察当局に暴力団の「主たる事務所」(本部事務所)として認定されたままになっていることが9日、分かった。指定暴力団と位置付けるには法令上、事務所の特定が要件となっているが、組織形態が流動的なこともあり、現実が反映されないままとなっている。日本最大の暴力団・山口組の分裂(平成27年)を発端に、指定暴力団となった絆会(金禎紀=通称・織田絆誠=会長)。準構成員を含めて約230人(昨年末時点)の勢力を持つ組織の主たる事務所として国家公安委員会が認定している尼崎市内の住所地を訪ねると、雑草が生い茂る更地が広がっていた。…暴対法は指定暴力団について、本部事務所の所在地の公安委が指定すると規定しているが、本部事務所については都道府県警の情報収集に基づき、国家公安委が認定する。つまり指定暴力団として規制の網をかけるには、まずは本部事務所を特定しなければならない仕組みになっているのだ。捜査関係者によると、警察当局は絆会の本部事務所の変更を模索しているが、新たな事務所の特定作業が難航。このため民有の更地が事務所として認定されたままという異例の事態を招いている。絆会は大阪市中央区にも事務所を構えているが、現在は使用を控えているとされる。また神戸市長田区にある織田会長の自宅を認定することも検討されたが、当局のこれまでの運用では組員の自宅を事務所と扱ってこなかった経緯があり、「整合性が取れない」(捜査関係者)とする。本部事務所の認定には使用実態の解明が不可欠で、会合の開催など目立った動きがない場合、特定は難しい。一方、昨今の社会情勢や当局の厳しい取り締まりにより、暴力団にとっては組事務所の維持や新設が難しくなり、「そもそも事務所を持つメリットが薄れている」(同)という。…元警察官僚で京都産業大の田村正博教授(警察行政法)の話 「30年前の暴対法成立当時は対面の会議なしに意思決定することは不可能だったが、現在はスマートフォンなどで簡単に連絡を取りあえる。本部事務所の特定が難しい場合は、組長の居住地によって管轄の都道府県公安委が(指定暴力団の)指定作業を行えるよう暴対法を改正するなど時代に合わせた対応が必要だ」六代目山口組直系山健組の関連施設で、「山健会館」の通称で知られる神戸市中央区花隈町の土地と建物を、神戸市が差し押さえていたことが判明しています。2022年4月19日付で、固定資産税など市税の滞納を受けた債権保全のための措置で、滞納が続いた場合には公売にかけられる可能性があるといいます。同会館は、鉄筋コンクリート造6階建て(地下1階)で、六代目山口組と対立する神戸山口組の井上邦雄組長の親族が2022年8月まで役員を務めた同区の不動産会社が所有し、かつて組の会合などに使用されていました。神戸市は市税の納付を督促したが、会社側は応じていません。六代目山口組と神戸山口組の抗争激化を受け、現在は暴力団対策法に基づいて立ち入りが禁じられていますが、関係者によると、現在、井上組長と中田組長の両サイドの間で山健会館の所有権をめぐる争いが起きているといいます。
福岡県福津市で2022年8月、乗用車が突っ込む襲撃を受けた神戸山口組系の組事務所について、福岡地裁が福津市の申し立てに基づき、使用を禁じる仮処分の決定を出しています。暴力団事務所について自治体が使用禁止の仮処分を申し立てたケースは珍しく、九州・山口では初めてとなります。暴力団事務所を巡っては、暴力追放運動推進センターが住民に代わって提訴する代理訴訟や、住民が原告となる訴訟で使用禁止を求めるのが一般的ですが、自治体による仮処分の申し立ては、住民と暴追センターが協議して提訴への手続きなどを進める代理訴訟と比べて時間がかからず、また、住民は代理訴訟と同様に訴訟当事者になる必要がないため、安全面や費用面でのメリットが大きいとされます。事務所の主である安部組を巡っては、2022年8月1日に事務所が乗用車に突っ込まれたほか、同31日には同県古賀市の組長宅で車が焼かれています。両事件とも、対立する六代目山口組系の組員が逮捕、起訴されています。一方、六代目山口組は同9月、福岡市東区にある系列の組長宅がトラックに突っ込まれるなど、県内では両組織によるとみられる抗争が相次いでいます。


福岡県警は、2022年末の県内の暴力団等(構成員、準構成員数)が1260人(前年比▲80人)となり、9年連続で過去最少を更新したと発表しています。ピーク時の2007年末(3750人)から約7割減少しています。工藤会は、320人(前年比▲50人)で過去最少、指定暴力団別では、道仁会310人(▲10人)、太州会120人(増減なし)、福博会130人(▲10人)、浪川会140人(▲10人)、六代目山口組200人(増減なし)、神戸山口組30人(増減なし)でした。また、2022年中に県警などの支援で組織を離脱した組員数は、2021年中に比べて4人少ない61人で、うち半数以上が傘下組織などの幹部、職に就いた元組員は4人増えて8人となりました。近年は組織への帰属意識が高い幹部組員の離脱も増えているといい、組織犯罪対策課は「暴力団が置かれた状況を把握して人生をやり直す一歩を踏み出してほしい」としています。

暴力団対策法に基づく「特定危険指定暴力団」に全国で唯一指定されている工藤会について、福岡県公安委員会は「引き続き暴力的要求行為を行っている」などとして、指定を延長しています。指定期間は2022年12月27日から1年間で、延長は、これで10回目となります。北九州市に本部がある工藤会は「特定危険指定暴力団」に指定されていて、北九州市や福岡市など定められた警戒区域で所属する暴力団員が市民や企業に対し用心棒代や工事の下請けへの参入などの不当な要求を行うと警察はすぐに逮捕することができるほか、不当要求を目的とした面会を求めたり、電話やメール、住居や会社周辺をうろついたりすることも禁止でき、事務所の使用を制限することもできます。工藤会の県内の構成員は、ピーク時に比べ3分の1以下に減っていますが、福岡県警は、工藤会を含む「暴力団の壊滅」を重点目標に掲げていて、引き続き取り締まりを徹底することにしています。このほか福岡県公安委員会は、久留米市に本部を置く指定暴力団、道仁会についても同12月、11回目の指定の延長を行っています。工藤会が2012年12月に特定危険指定暴力団に指定されて以降、構成員や準構成員の人数は減少しており、2008年の1210人をピークに、2022年は約3割の320人にまで縮小、北九州市小倉北区にあった本部事務所は2020年に解体され、その後も工藤会系事務所の使用制限が繰り返されています。しかし、工藤会が市民や企業を狙ったと疑われる事件の爪痕は大きく、トップの野村被告に死刑判決が出た後も、福岡県警は影響力は薄れていないと警戒し、福岡県公安委員会も「凶器を使用した暴力行為を行うおそれが高い」と判断したとみられます。報道で、ある捜査関係者は「暴力団対策法を改正しても、工藤会を壊滅できていない。警察は威信をかけて取り組まなければならない」と危機感をにじませています。また、4件の市民襲撃事件で殺人罪などに問われ、一審の福岡地裁で死刑判決を受けた工藤会のトップで総裁の野村悟被告と、無期懲役を言い渡されたナンバー2で会長の田上不美夫被告の弁護側が、控訴の理由を記した控訴趣意書を福岡高裁に提出しています。判決を不服とする内容とみられます。一審で両被告の弁護を担当した計約10人の弁護人は、2022年7月の控訴趣意書の提出期限を前に解任されていました。提出期限の12月になり、新しく選任された弁護人が趣意書を出した模様です。一審判決は、1998年に北九州市で元漁協組合長の男性(当時70)が射殺された事件について、「厳格な統制がなされる暴力団組織」で、組員らに犯行を指示できる上位者は両被告であると想定される、と指摘、ほかの元福岡県警警部銃撃、看護師刺傷、歯科医師刺傷の3事件で問われた組織犯罪処罰法違反(組織的な殺人未遂)などの罪については、「両被告が意思疎通しながら、最終的には野村被告の意思により決定されたと推認される」とし、野村被告が組織力や指揮命令系統を利用したと認定しています。なお、工藤会が関東に進出していることは本コラムでも取り上げましたが、直近では、千葉県警の男性巡査から現金160万円を脅し取ったとして、千葉県警は、工藤会系組員ら男女5人を逮捕した事件が発生しています。事件時に巡査は飲酒運転しており、処分を受け依願退職しています。報道によれば、巡査は、マッチングアプリで知り合った山口容疑者と酒を飲んでいましたが、その後、巡査は乗用車を運転し、山口容疑者も同乗していたといいます。巡査が当時所属していた部署が事件を認知、巡査は飲酒運転を認めたものです。

福岡県の筑後地区を拠点とする指定暴力団の道仁会(本部・久留米市)と浪川会(本部・大牟田市)の組員らの摘発に、福岡県警が力を入れています。2018年に「筑後地区暴力団集中取締本部」を発足させて以降、県警は両組織の幹部ら延べ229人を摘発していますが、両組織は若手組員の加入や資金獲得活動の多様化で、弱体化を食い止めている状況がみられるためです。前述のとおり、2022年末時点の道仁会の全国の勢力(構成員、準構成員など)は福岡、佐賀、長崎、熊本の4県で640人に上っており、九州に拠点を置く暴力団としては最も規模が大きいとされ、工藤会の410人を上回っています。浪川会は4県や山形県、東京都で250人が確認されています。また、工藤会の福岡県内の勢力はピーク時より約7割減っているのに対し、道仁会は2005年、浪川会は2012年のピーク時から、いずれも約4割の減少にとどまっています。その理由の一つが、若者の組織への加入とみられており、県警によると、2021年末時点では、組員の平均年齢は道仁会が47.5歳、浪川会が47.3歳で、工藤会は54歳、20歳代の割合は道仁会が8.4%、浪川会が4.8%で、2014年以降で最も高くなっています。

岡山県公安委員会は、笠岡市笠岡に本部を置く浅野組(中岡豊総裁)を暴力団対策法に基づく指定暴力団に再指定し、官報に公示しています。指定は11回目で、期間は2022年12月14日から3年間となります。県警組織犯罪対策1課によると、浅野組の構成員は岡山、広島県内に約60人、1992年から指定しており、同法の規定で3年ごとに見直しています。

六代目山口組と神戸山口組の抗争の状況などについては、さまざまな媒体で報じられています。以下、いくつか紹介します。週刊誌情報も含まれていますが、あくまで参考となります。

ズバリ「常在戦場」 指定暴力団『絆會』の令和五年度指針がヤクザ業界で話題騒然(2022年12月23日付FRIDAYデジタル)

ヤクザの世界では、一般社会よりも一足先に新年の挨拶を済ませるのが慣例となっている。今年12月には各組織で「事始め式」などが行われ、新年度における「指針」も関係各所に通達された。そのなかでにわかに注目を集めているのは、織田絆誠会長の絆會の指針だ。「絆會の令和五年度の指針は『常在戦場』。文字通り、常に戦場にいるような心構えでいること、という意味です。今も戦いの中だという織田会長の強い意志を感じます。組織として一層の引き締めを図りたいという狙いもあるのではないでしょうか」(暴力団情勢に詳しいジャーナリスト)…「今年9月には神戸山口組、岡山の池田組、絆會の三者の間で実質的な連合が結成され、六代目山口組と相対する形となりました。資金力がある池田組には襲撃が相次ぎ、10月26日には岡山市内の理髪店に訪れた池田孝志組長が刃渡り約18センチのサバイバルナイフを持った六代目山口組幹部に襲われる事件も発生。岡山県公安委員会などは六代目山口組と池田組を『特定抗争指定暴力団』に指定しました。絆會も例外ではなく、連合の発表後には長野県で絆會の幹部がバットで襲撃される事件も起きた。…対する六代目山口組の組指針は昨年と同じ「和親合一」。田岡一雄三代目組長が制定した基本理念「山口組綱領」からの抜粋で、組織の団結を促す狙いがあるとみられる。「六代目山口組としては、来年こそ抗争を終わらせるというのが目下の目標。一方の神戸山口組の組指針は『至誠一貫』。どんなに切り崩されようと最後まで音をあげず、誠意を貫き通すという、ある意味ではメッセージ性の強い指針とも言える。『和親合一』にしろ『至誠一貫』にしろ『常在戦場』にしろ、本家本元を主張するそれぞれの姿勢が見える指針だと思います」(同前)

山口組分裂8年 組員たちの胸の内「ケジメつけるまで終われない」「スマホ機種変できない」 “抗争”相次ぐが…【事件・裁判2022】(2023年1月3日付FNNプライムオンライン 1/3配信)

国内最大の暴力団「山口組」が分裂してから8年が経った。去年も、対立抗争が相次いだが、ある幹部は、「ヤルところまで、ヤルと思う」との見通しを示した。…今回、弘道会系の幹部を取材することができた。この幹部によると、特定抗争指定をされると、「身動きがとれない」という。しかし、「人数を抑えたり、警戒区域外で集まったり、事務所は連絡所として使って、電話を転送したり、携帯で連絡を取り合う」と、”指定”の網の目をくぐって、活動を続けることは可能だという。そこまでして「なぜ抗争を止められないのか?」と質問したところ、この幹部は「出て行った人をヤクザとして認めていないから抗争ではない」と反論した上で、「けじめをつけるまで終われない。ヤルところまで、ヤルと思う」と強調した。けじめとは「神戸山口組を解散させる」ことだという。一方で、「上の意をくむのが仕事だから指示があるわけではない」とも付け加えた。一方、神戸山口組二次団体の幹部は、取材に対して、「実際、士気は、低くなっている」とした上で「ヤクザをやっている以上親分を守るのが使命で、親分の意向についていくだけ」と話した。ただ抗争について聞くと「抗争というけど、戦っているわけではない。一方的に攻められている。こちらは、『返し』はしない方針だから」と説明した。また特定抗争指定については「指定されると事務所も使えないし、携帯の機種変更だってままならず、実際、不便なことが多い」と苦しい胸の内を明かした。…捜査関係者によると、神戸山口組の中にも、六代目山口組に対して、”和解派”と”抗戦派”で、意見が分かれているという。侠友会解散の背景には、この対立が見え隠れする。中核組織の解散を受けて、神戸山口組の今年の動向に注目が集まる。とは言え、警察当局には、要らぬ”対立抗争”の鎮圧に向けた努力が求められる。

6代目山口組の高山若頭が、謝罪した神戸山口組の寺岡前若頭に伝えたこととは?(2022年12月27日付デイリー新潮)

12月20日、神戸山口組の前若頭で侠友会(旧本部:兵庫県淡路市)の寺岡修会長が、六代目山口組側に謝罪を行った。…寺岡前若頭は引退し、侠友会の組員は六代目山口組傘下の二代目竹中組(本部:兵庫県姫路市)に移ることになるのではと取り沙汰されているが、「実は今回の面会の際に、寺岡前若頭から“侠友会の若い衆を二代目竹中組に(移籍させたい)”と持ち掛けたそうですが、高山若頭が“こういった席でするような話ではない”とさえぎったということでした。実際に竹中組に移籍するかは現時点では明らかではありません」(同)…神戸山口組にとっては、最高幹部2人が組織から抜け、うち1人が六代目山口組に詫びを入れるという異常事態を迎えたことになる。

「面倒見はまだか」「なんか重いの出してよ」かつての留置場内にあった、ヤクザと警察官の“持ちつ持たれつ”なシステムとは《元ヤクザの牧師&ヤクザ研究者対談》(2022年12月27日付文春オンライン)

確かに調査・研究のために進藤先生のような元職はもちろん現職のヤクザの方々ともお付き合いをしているので、コンプライアンスの問題で大学に常勤職では雇ってもらえません。私がヤクザの研究を始めたきっかけは、博士論文を書くために大阪の元ヤクザの牧師さんがやられているキリスト教教会で、更生のために住み込みで働いていた元ヤクザの方にインタビューをしたことでした。なので牧師の進藤先生には親近感がわきます。問題なのは、代わりに増えている盗みや詐欺など、匿名を武器に何にでも手を出す半グレの実態の把握が警察ですら困難になってきていること。暴力団員の数は減っていても、反社会的な人間の数は決して減っていないと考えています。…ヤクザという組織は自分も含めて偏屈なところがあり、世の中のルールは守らないかわりに自分たちのルールだけは何があっても守る特殊な世界なんです。だから警察にとっても行動が読みやすい部分がある。でも半グレが守るべきルールがないというのは、怖いですね。…ヤクザが減っていくこと自体はいいことだと思いますし、彼らが社会の大きな問題であったのも確かです。ただ「暴力団員」の数だけを見て半グレを無視していると、大きな問題に発展する可能性も高い。国は反社会的勢力の全容解明に向けて本腰を入れるべき時期にさしかかっていると考えています

「全員をカタギに…」神戸山口組を離脱した侠友会が解散 寺岡会長の“構成員を6代目山口組へ移籍させない決断”の理由とは(2022年12月28日付文春オンライン)

六代目山口組は勢力を維持する一方で、神戸山口組は近年、傘下組織の離脱が相次ぎ勢力が減少傾向にあるため、寺岡は神戸山口組組長の井上邦雄に組織の解散を進言していた。だが、組織の存続を主張する井上とは相いれず、寺岡は2022年8月に神戸山口組から離脱し独立を表明。すると、規律を乱したとして井上から最も厳しい絶縁の処分を受けていた。…「山口組が2015年に分裂する前、寺岡は子分として6代目山口組組長の盃を受けていた。しかし分裂にあたって公然と反旗を翻し、神戸山口組の傘下についていた。そのことをまず謝罪したようだ。それには当然、命の保証をしてもらう意図があっただろう。神戸山口組に対して強硬派の高山が、寺岡の謝罪の申し入れを受けた理由までは分からない。ただ寺岡はすでに神戸山口組から脱退を表明しているし、絶縁の処分も受けているという経緯も踏まえて判断したのだろう」…六代目山口組への謝罪を終えた寺岡はその翌日、兵庫県警に自らの引退と侠友会の解散を届け出た。配下の構成員らは六代目山口組へと移籍するとの情報もあったが、「全員がカタギになることを決めた」(前出の警察当局の捜査幹部)という。…「一人で責任を取って引退するのは理解できるが、自分としては神戸(山口組)側に組織を残すのが筋ではないかと思っていた。しかし侠友会の若い衆が六代目(山口組)側に移ると聞いていたが、解散して若い衆もカタギになるということで納得がいった」、「神戸山口組は(中核組織だった)山健組や池田組などが抜けた。最近でも寺岡の侠友会、さらには(五代目時代の若頭が結成した)宅見組も脱退した。旗揚げ時の中心的な組織がすべていなくなり、勢力は小さくなるばかり。六代目山口組との形勢はもはや覆しようがない。そんな場所に自分の若い衆を戻さないという決断だったのではないだろうか」…「寺岡が兵庫県警に引退と侠友会の解散を届け出たが、当面は認めない。特定抗争指定暴力団である神戸山口組傘下の2次団体として、暴力団対策法の規制の対象とする」と強調する。

神戸山口組ナンバー2が六代目山口組に謝罪して引退 「分裂首謀者でも許される」は抗争にどう影響を与えるか(2022年12月28日付NEWSポストセブン)

「抗争はなにが起こるかはわかりませんが、昨年末の時点で単純な構成員数で六代目山口組と神戸山口組は大差がついていた。絆會を含めて反六代目山口組組織で協力していく動きはありますが、組織がバラバラになってしまったため大きな抗争をより起こしにくくなった。しかし、今年74歳を迎えた井上組長は“80歳まで六代目山口組と戦う”と徹底抗戦の意志を見せていると言われています。とはいえ他の幹部たちは必ずしもそうとは言い切れない。実際、寺岡会長が神戸山口組を離脱したのも、抗争終結に向けて六代目山口組側と水面下で交渉を続けていたが、井上組長がNGを突きつけたことがきっかけとみられている。今回、寺岡会長が引退という選択肢ながら六代目山口組から“許し”をもらえたことは神戸山口組をはじめとした対六代目山口組を掲げる組織の最高幹部たちにとって非常に大きなこと。すでに7年を超えた山口組分裂抗争だが、来年終結に向けて大きく動く可能性が高い」

人数比は「4000対510」と圧倒的だが…23年 分裂抗争を戦う「六代目山口組」の「狙いと難局」(2023年1月1日付FRIDAYデジタル)

対立抗争の行方を注視してきた首都圏で主に活動している指定暴力団の幹部は、「山健組や池田組の脱退は、やられても返しができない状況について納得できなかったのではないか。何もせずにいたらヤクザの社会だけでなく、カタギからも疑問の目を向けられる。それで抜けたのだろう」との感想を述べていた。…警察当局の幹部は、「井上の自宅への発砲や入江の自宅への車の突入など、トップの自宅が襲われた。そして、何より池田への襲撃はトップの身体をターゲットにしている。長期化している対立抗争で指定暴力団のトップが直接、狙われたのは初ではないか。これまでの事件とはまったく形態が違う」と指摘する。…警察社会の一部には、年が明けてから摘発する事件を「初荷」と呼ぶ習慣がある。2023年には、全国の警察の組織犯罪対策を担当する捜査幹部たちは新年早々、直参逮捕に乗り出し初荷の成果を上げようと策を練っているものとみられる。2023年は六代目山口組にとっても難局が待ち構えている。

容赦ない「六代目山口組」、背水の陣の「神戸山口組」…“最終戦争”で何が起きているのか(2023年1月5日付文春オンライン)

山口組分裂から7年。2019年10月に出所した高山清司若頭の陣頭指揮のもとで強硬姿勢を貫く六代目山口組と、中核組織の山健組などが抜け、“瓦解”が加速する神戸山口組との抗争は形を変えながら、今も全国各地で続いている。…「高山氏は直接的な指示を出すのではなく、暗に身体を張るよう仕向けていく。例えば、入れ墨が入っていない幹部に『墨を入れたらどうだ』と迫る。高齢の組長に今さら墨を入れろという言葉の真意は、ヤクザとしてやるべきことをやれという意味です」…「6月に井上組長の自宅に銃弾が撃ち込まれました。その前には彼の親族が経営する焼き鳥店も襲われた。この親族は、井上氏が支配下に置いていた『山健会館』という建物の所有会社の役員でしたが、8月に役員を辞めている。建物は神戸市によって差し押さえられており、包囲網は確実に狭まっています」山口組の分裂抗争は最終局面を迎えつつある。

静岡・浜松に…司忍組長&高山清司若頭ら大幹部が集結した「緊迫現場」(2022年12月29日付FRIDAYデジタル)

集まった多数の警察を前に、堂々と新年の挨拶を済ませた六代目山口組。追い詰めつつある神戸山口組に対し、今後はどのような手を打っていくのか。「抗争を終わらせない限り、六代目山口組は代替わりができない。高山若頭はなるべく早く抗争を片付けたいと考えているはずです。そのために、今後は『一発必中』という方向に切り替える可能性はある。車で突っ込むといった小さな襲撃はやらず、一発で決める、と」(溝口氏)来年、分裂抗争は大きく動くことになるかもしれない。

「店内は血まみれに…」池田組組長を6代目山口組系幹部が襲撃! 警察が「特定抗争指定」に踏み切った理由(2023年1月5日付文春オンライン)

「一連の事件で、六代目(山口組)側からの襲撃に対して、今のところ池田組からの返し(報復)はないが、対立抗争状態にあると認定できないわけではない。何より地域住民が巻き添えになるような危険を排除することが最も重要だ」「2019年10月に神戸市内で、当時は神戸山口組の2次団体だった山健組の組員2人が射殺された。翌11月にも尼崎市内で神戸山口組の幹部が自動小銃で数十発の銃弾を浴びて殺害された。特に尼崎の事件は買い物客らが通行する商店街で起きたため、流れ弾による一般市民の巻き添えの危険性は非常に高かった。このような事件が起きても神戸(山口組)からの返しはなかったが、双方を特定抗争指定暴力団とした。お互いの間で報復が繰り返されていることよりも、地域住民が巻き込まれることがないようにするのが最優先だ」、「事務所を使えず定例の会議などが開けなくなったことで、内部でもお互いに疑心暗鬼になり、親分と子分の関係といえども気持ちの上で距離が生まれてしまったようだ。携帯電話などの通信機器が発達しても溝は埋められなかった。次第に組織を離れる幹部も出てきて勢力が縮小して行った。こうしたことも背景にあったのか、抗争事件は止まった」…六代目山口組と池田組の双方を特定抗争指定暴力団に指定しただけでは、事件の発生が絶えるとの保証はなく、警察当局は新たな対立抗争の局面への対処が求められている。

次に、暴力団排除や離脱者支援などに関する最近の報道から、いくつか紹介します。

「ヤクザはETC使うな」高速道で規制強化へ 組幹部は「徹底抗戦」(2022年12月7日付朝日新聞)

高速道路会社6社が、暴力団の規制強化に動き出す。近い将来に「ETC専用化」を見据えるなか、暴力団員がETCを使える手段を封じ、現金での利用に制限する方針だ。渋滞緩和やコスト削減にも役立つはずのETCを使わせない理由はなにか。暴力団側は徹底抗戦の構えだ。…「高速を車で走るのに、やましいことは何もしていない。身分を偽るウソをつくような『ヘタうち』もしていない。それでも暴力団員であることだけを理由にETCを使わせないというなら、徹底的に争うことになる」…規約では、利用者が暴力団やその関係者と判明したら、「会員資格を取り消すことができる」と定めている。ただ、カード発行を拒む対象に「暴力団員」を明記しておらず、発行時に暴力団関係者かどうかの確認もしていなかった。…道路行政に詳しい根本敏則・敬愛大学教授は、こう指摘する。「暴力団の追放は当然で、渋滞緩和やコスト削減のためにETCを使わせるのは本末転倒だ。余分にかかるコストは、現金利用者の値上げで賄えばいい」だが、不起訴となった組員らの代理人を務める二宮広治弁護士は、会員資格の継続を求めて争う考えだとし、高速6社の規制強化に疑問を呈する。「高速道は税金で造られた公共物であり、合理的な理由もなく特定の属性を締め出すことは許容されない。ETCを不正利用したり周囲に迷惑をかけたりしたわけでもなく、暴力団への『利益供与』にも当たらない。ETCから暴力団員だけを排除する規約は、公序良俗に反する法律行為を禁じる民法に違反していると思う」…「法的に規制が許容されるかどうかは、規制の必要性と規制される側の不利益の比較衡量で決まる。訴訟になれば、規制する目的の正当性や手段の相当性が問われる。雰囲気や感覚ではなく、いかなる目的で何をどこまで規制するかを明確にしておくべきだ」…東京ガスは小売りの完全自由化に合わせ、一般ガス供給約款に暴排条項を加えた。東京地区では昨年10月から、契約時に暴力団関係者でないことの表明を求め、関係者と判明した場合は「解約することがある」としている。ただ、実際に判明しても解約するかは個別の判断だといい、法令で義務づけられた「最終保障料金」でのガス供給を拒むことはしない。

“特殊詐欺”被害者の反撃 “暴力団のトップ”を民事裁判で訴え…ほぼ全額取り返せることも(2022年12月22日付日テレNEWS)

特殊詐欺の背後には暴力団がいて、お金が流れているケースが多くみられます。暴力団の関与があった場合、その組のトップに賠償請求をするというものです。…裁判をしたことで、女性は被害にあってから8年後に、数千万円のだまし取られたお金がほぼ全額戻ってきたそうです。提訴した場合の費用は莫大な額がかかるわけではありませんが、個人負担となり、それぞれの弁護士と相談して決めていくことになります。さらに、警視庁と弁護士が連携して、被害者が安心して提訴できるよう保護対策もしっかり行っています。提訴できるようになる時期について、ケース・バイ・ケースではありますが、詐欺被害からだいたい2、3年後だということです。暴力団が関わっていることがわかった後なので、結構時間がかかってしまうといいます。…「放っておいてほしい」と思っている被害者が、多くいるのも事実です。ですが、警視庁と弁護士は、被害者がだまし取られたお金を取り戻すこと、そして暴力団の大きな資金源を断つこと、この両方の意味で根気強く被害者を説得しています。…元暴力団関係者「相当痛手だと思います。結局、だましたお金が全てまるまる(暴力団に)入るわけではないので」

「カタギは違う星に住むのと同じ」元組員に立ちはだかる更生の高い壁(2022年12月27日付朝日新聞)

暴力団を「反社会的集団」と位置づけた暴力団対策法の施行から今年は30年の節目だった。組員は減少の一途をたどるが、今もなお2万人以上が存在する。背景には「更生への高い壁」もあるという。やめたいがやめられない―。元暴力団員が厳しい現実を語った。…実際に足を洗うまでには数年かかった。組幹部になっていたこともあり、多方面との調整を強いられたことも理由の一つだが、「長年暴力団員だった自分が、本当に一般社会で生活できるのか不安だった」。決断までに時間が必要だった。「カタギ」となった今、社会復帰への道のりは想像以上に険しいことを痛感する。…長年染みついた所作や習慣をなくすのは、一から新しく覚えるよりも難しい。組員時代の「癖」が出ないよう意識し続けることにも苦心する毎日だ。過去を語ることはないが、地元に近い場所では相手が自分の素性を知っているケースもある。気苦労は絶えないが、「自分は生まれ変わったんだ」と言い聞かせて乗り切っている。…関西系の組織に所属していた元暴力団の60代男性は「暴力団をやめたら仕事や家がなくなる人間もいる。やめたくてもやめられないケースも多くある」と指摘。「離脱後の支援体制をさらに充実させる必要がある」と訴えた。

元ヤクザが師走にアパートを退去させられた一部始終 5年前に組を離脱、周囲はいまだに現役幹部と認識(2022年12月30日付デイリー新潮)

近年、暴力団員は条例や企業の規定により、自分名義でアパートやマンションなどの賃貸物件を借りることが難しくなっている。住むところを見つけるのに一苦労するのは、暴力団員にとっては当たり前のことになった。何しろ「契約してもらえない」だけでなく、「強制退去させられても文句は言えない」、「もし他人名義の契約が発覚すると、詐欺罪で逮捕される可能性が高い」と、かなり苛酷なのだ。…カタギになりたいと考えている現役組員の相談に乗ることもあったAさんだったが、周囲は「Aさんは現役の暴力団幹部だ」と“認識”していた。この“認識”だけで、新しい隣人は管理会社に相談し、管理会社はAさんに強制退去を言い渡した。

スマホ購入&賃貸入居もNG 口座の残高は現金書留で郵送され…2023年「暴力団はどう生きるのか」(2023年1月3日付FRIDAYデジタル)

これまでも苦境の中にあっても暴力団は組織の存続を図ってきた。反社排除の社会風潮のなかでも数台のスマホを使い分け、複数の銀行口座を利用している暴力団幹部は多い。一部の組織はいまだに表経済の事業活動を資金源としている。だが、警察当局の摘発を受けるケースはまれであるのも実態だ。こうした状況に対処するため、利益を供与した側に罰則が規定された改正東京都暴排条例と同じ規定を設けた改正暴排条例が、神奈川県でも2022年11月に施行された。現在、各地で同様の改正案が検討されている。今後、さらなる警察当局による規制の強化や厳しい取り締まりが待ち構えているとみられる。一方で生き残りを図る暴力団も活路を見出すはずだ。2023年は水面下で警察との新たな暗闘となりそうだ。

「いま、ヤクザ厳しいねん。たどりつくところは生保やろ、みじめや……」犯罪社会に生きた元ヤクザの再チャレンジを、私たちが支援するべき“たった一つの理由”(2023年1月4日付文春オンライン)

警察や暴力追放運動推進センターを通して、2010年度から2020年度までの間に、暴力団を離脱した者6533名、離脱者を受け入れる協賛企業に就職した者217名、就職率は約3%であった。これには、自営業を始めた者や自主就職した者は含まれないが、暴排の嵐が吹き荒れる昨今、自主就職組が多数派とは考え難い。暴力団を離脱しても、社会が受け入れてくれない、社会権が制約されるから生きづらい、再チャレンジができないという社会的な障壁に離脱者は直面する。…「いま、ヤクザ厳しいねん。辞めるきっかけ探している人多いと思うで。ワシ自身も、迷子になってるんちゃう?こん歳のワシらが組やめて何ができる。たどり着くところは生保やろ、みじめや。…もう、この歳や、いまさら辞めても一般人が受け入れてくれるとは思われんな」過去の生き方を悔い改め、犯罪とは無縁な生活で生き直したいと更生を決意しても、それを認めない社会、再チャレンジの機会が与えられない不寛容な社会が、いまの日本なのだ。元暴や反社というラベルを一度貼られたら、ポストイットのようには簡単に剥がすことはできない。そうすると、暴力団離脱者は、食うために再び犯罪社会に戻らざるを得ない。やがて、彼らは匿名の元暴アウトローとなり、特殊詐欺などの犯罪に手を染める。…犯罪社会に生きてきた人たちの更生や再チャレンジを社会で支援すべき理由は、「新たな被害者を生まない」社会防衛のためということに尽きる。…警察庁は2022年2月、暴力団離脱者の銀行口座開設を支援するよう都道府県警と金融機関に要請した。暴排条例が施行されて10年。この要請が、排除一色であった日本社会において、元ヤクザでも再チャレンジできる社会にパラダイムシフトする契機となることを、願ってやまない。この国を、生きづらいと感じる人を排除する分断社会ではなく、胸を張って後世に引き継ぐことができる包摂社会とするために。岐阜県警察本部と岐阜刑務所は、刑務所で服役している暴力団員の離脱に向けて支援を強化するための申し合わせを締結しています。申し合わせでは、刑務所で服役している暴力団員が組織を離脱し、出所したあとに円滑に社会復帰できるよう両者が連携して就職先を確保していくなどとしています。県警と岐阜刑務所では暴力団員の受刑者を対象にした相談会を年に1回程度、開いていますが、出所後の生活不安から離脱出来た暴力団員はいないということです。岐阜刑務所では現在、収容者のおよそ7%にあたる32人が暴力団員だということで、離脱に向けた支援を強化して暴力団の弱体化につなげたいとしています。県警の佐名刑事部長は「暴力団の離脱支援は関係者の協力なしでは実行できません。暴力団壊滅のため県民のみなさんの力を貸していただきたい」と話しています。
仕事が無い人の再犯率は、仕事がある人の約3倍に及ぶことが法務省の調査で分かっています。再犯を防ぐには「職」の有無が鍵だという統計が示され、就労支援の取り組みは各地で進んでいますが出所後、いったん就職しても長続きしない人は多いのが現実です。名古屋市のNPO法人「愛知県就労支援事業者機構」は、保護観察終了後も最長で半年間支援するという「息の長い支援」を独自に展開、出所者らのニーズに応えるため元警察官も東奔西走しているといいます。報道によれば、あるとき、過去に支援した元暴力団員の男性から連絡を受け、男性は職場の高齢者施設で、利用者が手を合わせて「ありがとう」と言ってくれることに、「うれしい」と感想を漏らしたといいます。「若い頃は好き放題やって、出会ったときも血気盛んだった人が、こんなふうに変わるんだなと感慨深くて。わざわざ連絡してきてくれたこともうれしかった」と振り返っています。


安倍晋三元首相が昨年銃撃され死亡した事件で、奈良地検は、山上徹也容疑者を殺人罪などで起訴しました。ここでは、とりわけ旧統一教会の反社会性に絡めて、最近の報道から、いくつか紹介します(テロ対策の視点からの内容は、後述する「テロリスクを巡る動向」を参照ください)。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に対する解散命令請求を視野に、文化庁は、宗教法人法に基づく3回目の質問権行使を行う予定です。文化庁が注目しているのは、信者に過度な重圧を与えているとされる「献金ノルマ」と教団本部のある韓国への送金を含めた資金の流れで、献金システムを有力な証拠として、教団による違法行為の「組織性、悪質性、継続性」を裏付け、解散命令につなげようとしています。元信者や関係者によると、教団に対する献金には複数の種類があり、このうち、地区組織ごとに行われる献金は、集金期間や目標額などのノルマが本部から地区組織に割り振られ、これをもとに一般信者に献金を求める構図になっています。文科省幹部は「地区組織への厳しいノルマが高額献金の背景になっている」と指摘しています。文化庁は、こうしたノルマは韓国本部からの指示によるものと分析、2009年に教団が出した「コンプライアンス宣言」以降も、基本的に変化はないとみています。ノルマの存在と韓国を含む指揮命令系統の解明は、解散命令請求の上で有力な証拠につながる可能性が高いといえます。一方、裁判所がオウム真理教と明覚寺に出した過去2件の解散命令は、いずれも組織的関与のある刑事事件が根拠となっていましたが、旧統一教会に関しては近年は関与した刑事事件が確認されていない点が、今後の課題となります。。
北九州市議会は、議員提出議案の「反社会的な旧統一教会に関与しないことを確認する決議」を全会一致で可決しました。決議では「選挙活動の支援、パーティー券購入等の見返りに、政治家が旧統一教会のイベントなどに出席し、祝電を送るなどすることで、旧統一教会の活動に『お墨付き』を与えてきた」などと指摘、「市議がこのような団体と癒着することは、市民の政治に対する不信感を増し、さらなる被害者を作り出すことにつながりかねない」として、「行事への参加やメッセージなどの送付、会費の納付等の関係を一切持たないことを宣言する」としています。の陳情書や要望書が届いていたことが分かった。
宗教団体への高額献金問題がクローズアップされた事を受け、日本弁護士連合会(日弁連)が2022年9月から全国を対象に無料で始めた法律相談の受付件数が2022年末までで1131件に上っています。2022年10月27日までに東京の弁護士が相談に乗った389件中、309件は旧統一教会関連で「1000万円以上の被害」相談が4割超を占めていました。問題を重視した日弁連は、受付期間を当初の2022年末までから2023年2月末まで延長して対応に当たっています。
旧統一教会への2回目の質問権行使に対する回答が文化庁に届きました。問題を巡り文化庁が重視しているのは、教団による被害を訴えた民事裁判計22件(賠償認容額計14億円以上)の確定判決とともに、信者らが有罪となった霊感商法事件を受けて教団が発したコンプライアンス宣言の順守状況です。教団側は「宣言以降、霊感商法は行っていない」と主張していますが、宣言前後の状況を知る元幹部は「霊感商法は一部で続けられていた。また、表向きには霊感商法をやめたことで、信者に対する献金要求を強めた」と証言しています。また、教団の下部組織には変わらず集金額のノルマが課され、信者への献金要求が強くなったといいます。さらに元幹部は「非公式に物販を続けていた組織も多い」と明かしています。毎月のようにノルマが提示され、「信者の献金で達成できない場合は、物販などで帳尻を合わせた」とも述べています。現在でも下部組織にはノルマがあるとされ、元幹部は「教団の体質はなんら変わっていない」とみています。宣言以降の教団の実態に文化庁は強い関心を寄せており、順守状況次第では、解散命令請求の要件となる違法行為の「組織性、悪質性、継続性」が裏付けられる可能性があるためで、文化庁幹部は「自らやらないと誓ったことを続けているとすれば、かなり悪質だ」とみています。
2023年1月5日に施行された救済法は、宗教団体などの法人・団体が個人に寄付を求める際に、不当な勧誘の方法を明示して禁止した法律です。寄付を断っても家から帰ってくれない、自分が帰りたいのに帰らせてくれない、などの6類型を明示し、こうした悪質な勧誘によって「困惑」させられ寄付した場合は最長10年間、取り消しを求められることになりました。禁止行為を繰り返すなど、悪質なケースは1年以下の懲役や100万円以下の罰金の刑事罰を規定しています。被害の発生を「予防」するのが目的で、罰則や規定の一部は2023年中に施行されます。取り消しを求められるのは施行日の1月5日以降に意思表示した寄付で、勧誘が4日以前でも5日以降の寄付との因果関係が立証できれば取り消しの対象となります。取り消し権は原則として寄付した本人だけが行使できるとされます。救済法では施行前の被害は取り消し対象になりませんが、同時に施行された改正消費者契約法などで対応できる可能性があります。政府は法テラスなどの相談窓口にも問い合わせるよう呼びかけています。
救済法については、早くも見直しを求める声も上がっています。全国霊感商法対策弁護士連絡会が疑問視するのは禁止行為が「困惑」を前提とする点で、働きかけによって寄付が必要と思い込み、困惑せず寄付に至るケースが多いとして「禁止行為の対象を広げるべきだ」と訴えています。家族による取り消しも「使い勝手が悪い」と批判しています。同連絡会によると、寄付額が数千万円単位でも、取り戻せるのは寄付した月の養育費など数万円程度にとどまる可能性があるといい、金額の算定を巡って専門家への相談が必要な場合も想定されます。そもそも国会審議入りから1週間程度での成立に拙速との指摘もあります。不当な勧誘行為を規制する目的の法律ではあるものの、正当に活動する宗教団体やNPO法人などへの寄付行為全般に萎縮などの影響が及ぶ恐れもあります。また、救済法の実効性を高めるには所管する消費者庁の体制も課題ですが、人員を拡充しても違法な活動が疑われる法人の調査を十分に実施できるかは未知数で、効果的な体制やノウハウをいかに固められるかも焦点になるといえます。

https://www.sp-network.co.jp/column-report/column/bouhi/candr0327.html?curr=column
半グレの跋扈をこれ以上許してはならない~官民の連携が重要だ

2023.01.16






https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/694/084694_hanrei.pdf





 3Dプリンタで拳銃製造の問題(関連記事:殺傷能力がある拳銃を作れる3Dプリンタは法的に規制すべきか?)に関連して、茂木経済産業相は2014年5月9日、「銃砲の製造は、既に武器等製造法の規制の対象となっており、現時点において、追加的な規制をすることは考えていないが、不当な用途へ転用されることを防止するため、実態なども見極めつつ、関係省庁とも連携の上、検討してまいりたい」という考えを示したという。妥当な考えだと思った。

 読者の皆さんの家庭にあるナイフやフォーク、ハンマーやアイロン、自動車やライターはほとんどの人にとっては健全な生活用具だ。しかし使う人が使えば、傷害事件の凶器になる可能性もある。道具というものはそういうもので、3Dプリンタも同じだ。

 「盛り上げては落とす」のが好きなメディアの中には、今回の一件以降、3Dプリンタの危険性ばかりを強調するところもあるようだ。しかし3Dプリンティング技術は、家庭用の電気や水道と同じで、今後、広がることはあってもなくなることはない。もし、電気や水道が悪用されたからと、先人がこれらを日本だけ法律で規制していたら、一体日本はどんな国になっていただろうか。やたらと規制をしても、長い目で見ると誰の得にもならない。

 それに3Dプリンタの販売や流通を制限するような対策を取っても、正直、それはあまり意味がない。というのはネットを検索すればRepRapと呼ばれる簡易な3Dプリンタを自作する方法ならいくらでも見つかるからだ。

トレーサビリティ確立が一番本質的な解決!?

 では「全く対策が不要か」といえば、そうも思わない。私が考える対策の1つは、まだまだ3Dプリンタの世帯普及率が低く一部の趣味人の道具である間に、業界全体で話し合い、普及価格帯の3Dプリンタで製造したモノにトレーサビリティ、つまり「誰によって作られたか」をある程度、追跡可能にする技術を組み込むことではないだろうか。

 一番よいと思ったのが、3Dプリンタで使う素材(フィラメント樹脂)に、人でいうところの指紋やDNAのような「利用者を特定するヒントになる情報」を埋め込んでおくことだ。もし製作物の仕上がり品質に影響を与えず、素材にそうした情報の組み込みが可能になれば、将来3Dプリンタを使って起こり得る犯罪の多くを防げるだろう。実際に現在、そういう技術があるわけではなく、開発中のニュースも聞かないが、今後、起こり得る3Dプリンタの悪用を防止するのに最も効果的であり、業界全体で投資して開発する価値があると思う。

 3Dプリンタの悪用は、何も拳銃を作ることに限らない。恐らく今後、より深刻になるのは著作権や知的財産権で守られた構造物がスキャン情報を元に複製されることだ。キャラクター商品を複製して悪用する人もいれば、自分のボディスキャンのデータがストーカーなどに流れて悪用される、ということもあるかもしれない。こうした他者に迷惑が掛かるものが作られた時、作り手の特定につながる情報があるだけで、軽い気持ちでつい悪さをしてしまう可能性がある大勢の人を悪の道から救うことができる。

 もちろん、こんな方策を取っても、経済力などを行使して、3Dプリンタで銃を作ったり、著作権違反をしたりする人はいるかもしれない。しかし、そういう人たちはそういう人たちで、そもそも3Dプリンタ以前の問題だ。

そろそろ3Dプリンタの種別を明確に定義し始める時期!?

 もちろん、3Dプリンタには、フィラメント樹脂以外の素材を使うものもある。紙を使うもの、石膏(せっこう)を使うもの金属を使うタイプもある。ほとんどの3Dプリンタは「ラピッドプロトタイピング」という、プロトタイプ製作(試作)用のものだが、中には商品として販売できるような商業品質の仕上げができる「ラピッドマニュファクチュアリング」用のものもある。また医療用の生体系3Dプリンタなど特殊な用途のものもある。

 こうした工業系や専用用途の3Dプリンタでは、素材に余計な情報を入れることが邪魔になることもあるので、そこは配慮すべきだろう。ただ、そうした特殊3Dプリンタは価格帯的にもそれほど台数が出るものでもない。購入時の審査や登録など、少しだけ販売のハードルを上げてもよいかもしれない。ただ、会社の3Dプリンタを使って悪さをする人もいるかもしれないので、その対策として出力した情報を履歴として残す機能などはあるといいかもしれない。STLファイルをそのまま残すと容量が大き過ぎる場合もあるかもしれないが、それを3DレンダリングしたJPEGなどであれば相当数の履歴を残すことができるはずだ。

業界団体を作り全体的な話し合いを始めるべきタイミング

 もちろん、こうした取り組みは、ただ1社でやっても意味がない。今すぐにでも3Dプリンタメーカーの業界団体を作って、今後、「製品ラインアップをどう分類すべきか」といった製品定義についての話し合いや、使用するデータファイルのフォーマットについての話し合いも行ってもよいだろう。今日一般的なSTLファイルは、四半世紀以上前に作られたファイルフォーマットであり、3Dプリンタ出力時の失敗も多く、必ずしも理想のファイル形式とは思えない。

 協議で、もっと現代的なファイルフォーマットを作るだけでも、3Dプリンタの著しい進化につながるはずだ。筆者は3次元データファイルの中に著作権情報も盛り込めるようにするべきだと思っている。もし、可能なら通常の著作権情報に加え、他者の自由な再利用を促すクリエイティブコモンズ的な情報も組み込めば、ネット上でのフリー3次元パーツ、オープン3次元パーツの流通がさらに盛んになり3Dプリンタを利用する文化も一気に前進するのではないか、と想像を巡らせている。

 今ならまだ大手3Dプリンタメーカーも数が少なく、業界全体の動向が何とか把握できる状態だ。しかし、これが後少したつと、3Dプリンタに関する幾つかの重要特許の期限が切れて、参入会社が一気に増えてしまい、全体的な動きがしにくくなる。

 場合によっては1990年代中頃のUNIX(コンピュータ用基本ソフトの1つ)の規格分裂のときのように永久にまとまることのない、対立した業界団体が2つできる、といったことにもつながりかねない。業界全体設立の動きを作るとしたら、タイミングは今しかないと思っている。

 3Dプリンタは「不可逆の進化」だと前半で書いた。ただ、今日の3Dプリンタは、まだまだ1980年代のPCのような極めて幼稚な製品だ。当時のPCといえば、メーカーごとにハードの形も画像や音声の表現力もバラバラなら、基本ソフトが、1メーカーどころか1製品ごとでバラバラになっていた。同じNECのPCでもPC-6001とPC-8001ではソフトに互換性がなく、同じシャープのほぼそっくり同じなmz-80kとmz-80cですら互換性がなかった。そこから1981年にMS-DOSが誕生、普及し、Windowsが登場して大きなうねりとなった。しかし、コンピュータウイルスやハッキングの問題は1980年代から指摘されていたにもかかわらずMS-DOSやWindowsでは本質的な対策が取られてこなかったため、今やPCの能力/エネルギーの何分の1かは生産的な作業とは何ら関係のないマルウェアの監視に浪費され、それでも流通してしまうマルウェアによって、毎日のように情報漏えいなどの事件が起きている。

 結局、こうした問題の本質的な解決策をもたらしたのは、26年後のiPhone登場で、iPhoneがAppStoreという管理されたアプリ流通の仕組みが、今ではPCに逆輸入されている。3Dプリンタ業界は、PC業界の過ちを繰り返してはいけない。

 日本で起きた今回の事件が、3Dプリンタ業界に長い目を見据えた全体的な話し合いを始めさせるきっかけの1つになればよいと思っている。

https://monoist.itmedia.co.jp/mn/articles/1405/15/news017.html
3Dプリンタ業界はPC業界の過ちを繰り返してはいけない3Dプリンタ銃逮捕事件

無意味な批判や規制ではなく、将来に向けた建設的な話し合いへ――ジャーナリストの林信行氏が“3Dプリンタ銃”事件で浮き上がった、3Dプリンタに関するさまざまな問題や解決案を整理した。3Dプリンタは、かつてPC業界が歩んだ同じ道を歩んでいる!?

2014年05月15日 07時00分 公開

[林信行,MONOist]



3Dプリンターで部品を「印刷」してプラスチック製の拳銃を組み立てられる無料ダウンロード用のファイルがネット上で公開された。この部品の設計データを日本からのダウンロードした数が、なんと6万件にものぼっていたという。

家庭用でも「出力可能」
「日本からのダウンロードも6万件を超えている。プロジェクトに興味を持った日本人からメールをもらったこともある」
「3Dプリンター銃」の開発責任者、コーディー・ウィルソン氏は日本経済新聞(電子版、2013年5月6日付)に対してこう話した。

この「3Dプリンター銃」は、インターネットを媒体にした武器の開発と情報提供を目指す非営利団体「Difense Distributed」が開発したもので、名前は「Liberator(解放者)」という。高性能の3DプリンターでABS樹脂を「プリント」してつくられたもので、撃針だけは別途金属を使用している。

サイトにアップされた動画では、38口径の弾丸が大きな銃声とともに確かに発射されていた。動画では1発しか確認できないが、その場に立ち会ったForbesの記者によると、数発発射することが可能だという。これまでは部品のデータのみが公開されていたが、2013年5月6日、銃1丁分のデータの公開が開始された。

もちろん、ダウンロードした人は興味本位がほとんどだろうが、日本でもデータから銃を「プリント」することは理論上は可能といえそうだ。

米ITサイトTechCrunch(テッククランチ)の記者、ジョーン・ビッグスは2013年5月7日付けの記事で、「3Dプリンター銃」のデータは「Makerbot」などの家庭用プリンタでも「出力可能」だとし、個人単位で製造の危険性があることを示唆している。この「Makerbot」は日本でも20万円ほどで販売されている。

法的な問題については、日本大学の板倉宏名誉教授(刑法)によるとデータを単にダウンロードするだけでは違法性は問われないという。一方で、本当に作れば「当然、銃刀法違反になる」。さらに、ツイッターではこんな指摘が出ている。
「3D銃の脅威って、販売履歴や、銃の犯罪履歴の掴めない密造銃が、一般レベルで大量生産可能って事じゃないの? 加えて、焼却処分可能」
日本でも「データの規制は絶対にされなきゃだめ」

公開を受け、アメリカでは銃規制の議論が新展開を見せている。ただ、出来上がる銃は「本物の銃」には及ばないとして、脅威とはみなさない人が大方だ。

先のビッグス記者は「これは本物のピストルと言っていいのか?」という問いに対して、「ノー」と断言。「銃の銃身にはいちおう溝が刻み込まれているが命中精度は低いだろう。ごく小径の38口径の弾頭を使う。もちろん人を殺せるが、威力は低い」と説明した。実際、暴発があるなど実用に耐えないという話もある。また、著書「MAKERS」で3Dプリンタの時代を予言したクリス・アンダーソン氏も「もっと性能がいい銃がウォルマートにいけば買える」という主旨の発言をしている。

一方の日本では、そもそも銃が横行しているアメリカと違い、銃の存在自体が非日常。銃が簡単につくれてしまう可能性が生じたことは、より深刻な問題として受け止められているようだ。

ツイッターには「怖すぎ・・・」といった投稿が相次ぎ、「CADプリンターでの銃データの規制は絶対にされなきゃダメ」と、さっそく規制を求める向きも出ている。

拳銃

https://www.j-cast.com/2013/05/08174653.html?p=all
「3Dプリンター銃」データがネットで公開 日本からすでに6万件ダウンロード

2013年05月08日18時52分

3Dプリンタ銃は樹脂製ってことはプラスチック製品で金属探知機で検知できない問題もあるということか。樹脂製の3Dプリンタ銃を発見できるようX線検査もできるように警備しておかないといけないといけないってことか。

https://www.j-cast.com/2014/05/30206301.html?p=all



大学職員の男(27)が3Dプリンターで拳銃を製造・所持したとして逮捕された事件は、殺傷能力がある銃が容易に拡散しかねない実態を浮き彫りにした。

仮に「樹脂銃」が広く流通するようになれば、検査を潜り抜け、航空機やイベント会場の安全が脅かされるのは確実だ。だが、3Dプリンターは今後成長が見込まれる分野なだけに、利用は促進しつつ、危険なものをいかにして規制して安全を確保するかが課題になりそうだ。

樹脂はX線で探知できるが、金属探知機ではできない
2014年5月に銃刀法違反の容疑で逮捕された男の自宅からは3Dプリンターで製造されたとみられる樹脂製の拳銃のようなもの5丁が押収され、警察の鑑定でそのうち2丁には殺傷能力があることが確認された。3Dプリンターで多く採用されているのが、熱で溶かした樹脂を何重にも積み重ねて立体を作る方法だ。今回押収された銃も同様の方法で製造されたとみられるが、一部は金属で補強されていた。

拳銃の拡散にともなって真っ先に検討されるとみられるのがテロ対策、とりわけハイジャックの対策だ。国土交通省の安全推進課航空保安対策室では、
「保安上のことなので、検討を行っているかどうかを含めて明かせない」
と話すが、「一般論」だと断った上で
「樹脂製のものはX線では検知できるが、金属探知機では検知できない」
とも明かす。空港での保安検査では、一般的には手荷物はX線で、乗客は金属探知機で検査を行う。今回のケースに当てはめると、樹脂銃を手荷物に入れた場合は発見されるが、乗客がポケットに入れるなどした場合は発見できないリスクがありそうだ。今回の事件で押収された銃は金属で補強されており、その金属が金属探知機に反応する可能性もあるが、使われている金属の量が少なければ、やはり発見できないリスクは残る。

また、X線検査の場合でも、特殊な細工をすれば発見できないリスクもある。今後、必要に応じて乗客の衣服を触ったり、手荷物を実際に開けて検査するなどの対策を迫られそうだ。

政府は3Dプリンターの開発を成長戦略のひとつに位置付ける

政府は市場拡大が見込まれる3Dプリンターの開発を成長戦略の一環として位置付けており、14年後予算で40億円をつけて、技術開発を目指す事業「三次元造形技術を核としたものづくり革命プログラム」をスタートしたばかりだ。政府としては、3Dプリンターそのものを規制するのは難しいと思われる。

樹脂銃の製造をめぐっては、大日本印刷が5月28日、違法な指示が行われた際に3Dプリンターの作動が停止するセキュリティープログラムを開発したと発表したばかりだが、実用化されるのは2017年の見通しだ。

そこで短期的な対策として浮上しているのが、拳銃の設計図の流通を規制することだ。例えば、警察庁から業務委託を受けている違法・有害情報の通報窓口「インターネット・ホットラインセンター」が定めるガイドラインに、設計図を含めるべきだとの意見も出ている。

3Dプリンター

保安検査

樹脂

空港

https://www.j-cast.com/2014/05/30206301.html?p=all
3Dプリンターで製造する「樹脂銃」 空港での保安検査など潜り抜ける可能性

2014年05月30日19時19分




https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000133063.html
3Dプリンターでの銃製造方法 裁判所が公開差し止め [2018/08/01 10:31]

アメリカでNPO(非営利組織)団体が3Dプリンターを使って拳銃を製造する方法をインターネットに公開すると発表していた問題で、連邦裁判所が公開の差し止めを命じました。



 テキサス州のNPO団体が3Dプリンターを使って拳銃を製造する方法を8月から公開すると発表し、少なくとも8つの州が差し止めを求めて訴えを起こしていました。連邦裁判所は7月31日に「製造方法の公開によって市民に危害が及ぶ恐れがある」などとして、公開の一時的な中止を命じました。ただ、訴えを起こした州によりますと、NPO団体は7月27日に製造方法を公開していて、すでに1000件以上のダウンロードがあったということです。一方、トランプ大統領は3Dプリンターで製造した銃の販売について、ツイッターに「理にかなっていない」と投稿して疑問を呈しました。また、全米最大の銃のロビー団体である全米ライフル協会も「金属探知機に反応しないプラスチック製の銃の製造や販売は違法である」として、公開に反対する声明を発表しました。

https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000133063.html
3Dプリンターでの銃製造方法 裁判所が公開差し止め[2018/08/01 10:31]






さいわい総合法律事務所の伊東克宏弁護士さんがブログで法改正で3Dプリンタ銃に対処する方法を明記されてます。
さいわい総合法律事務所の伊東克宏弁護士さん離婚・相続の専門の方みたいですけど、銃規制のブログ見る限り日本での銃規制強化.イベントでの刃物持ち込み禁止拳銃持ち込み禁止の安全対策,著作権法や特許権あたりも相談できそうな感じかな。第211回通常国会でアメリカのバイデン民主党政権見習ってライフル散弾銃所持禁止ゴーストガン規制対策の法整備お願いしますって言ってみる。
通常国会での銃規制強化も弁護士さん等の法の専門家の方に発言してもらうのが安心やからね。



3Dプリンターによって製造したけん銃の所持事件について

昨日(5月8日),3Dプリンターを用いてけん銃を作った男性が,銃刀法違反(けん銃2丁の所持)により神奈川県警に逮捕された件で,テレビ局からコメントを求められて取材を受けました。もちろん,当該事件の弁護人ではありません。
テレビ局の方が悪いわけではありませんが(むしろ男前に映していただき,ありがとうございました。),短時間で準備し,記者の方に説明しなければならず,放映されたコメントはごく一部で,なんとなくフラストレーションがたまりましたので,ここで述べたいと思います。

新聞報道によると,3Dプリンターを用いて,けん銃(ようのもの)複数丁を製造し,そのうち2丁について科捜研により弾丸の発射能力ありと認められ,けん銃2丁の所持について逮捕されたようです。

事件の真相はわかりませんので,ここではAさん(架空人)が
① 3Dプリンターを用いて樹脂製のけん銃2丁を作った。
② 3Dプリンターを用いて作成した部品と火薬を用いて,①のけん銃に適合する樹脂製の実包(薬莢に銃用雷管,発射薬及び金属製弾丸を装填したもの)を作った。
③ 近くの公園で試射してみた。
とします。



←これは私愛用のライター。本文とは何の関係もありません。

1 樹脂製のけん銃は,銃刀法(銃砲刀剣類所持等取締法)及び武器等製造法上の「銃砲」か。

銃刀法は,銃砲について,以下のように定義しています。

第二条  この法律において「銃砲」とは、けん銃、小銃、機関銃、砲、猟銃その他金属性弾丸を発射する機能を有する装薬銃砲及び空気銃(圧縮した気体を使用して弾丸を発射する機能を有する銃のうち、内閣府令で定めるところにより測定した弾丸の運動エネルギーの値が、人の生命に危険を及ぼし得るものとして内閣府令で定める値以上となるものをいう。以下同じ。)をいう。

銃砲に当たるためには,①「金属製弾丸」を②発射する機能を有しており③殺傷能力を有していなければなりませんが,銃刀法は,けん銃そのものが金属製であることを要求していません。
ですから,樹脂製のけん銃であっても,上記要件を具備していれば,「銃砲」に当然に当たります。
たとえば,プラスチック製の玩具のけん銃が「銃砲」に当たらないことは当然ですが,それはプラスチック製だからではなく,上記①から③の要件を欠いているからです。
また,「銃砲」に当たるためには,発射できる状態まで完成している必要はなく,一部壊れていたり,未完成だったとしても,容易に手を加えて発射できる状態のものであれば,「銃砲」に当たります(たとえば,故障していたけん銃につき,最高裁24年6月28日判決)。

今回逮捕された事件において,3Dプリンターで製造した樹脂製けん銃は,数個の部品を組み合わせて製作するもののようですが,簡単に組み上げられる物でしょうから,仮に組みあげていない状態で所持していたとしても上記3要件を満たす限り「銃砲」と言え,銃刀法違反,武器等製造法違反として処罰されると考えます。

2 樹脂製の弾丸は,銃刀法上の「金属製弾丸」か。

銃刀法の条文は,前記のとおり,「金属製弾丸」と規定されているわけですが,金属でできた弾丸に限らず,金属と同様の硬度を持ち,人を殺傷するおそれのあるものであれば,非金属製のものでもこれに含まれるとする見解が有力です(司法研修所編「銃砲刀剣類所持等取締法違反の処理に関する実務上の諸問題」法曹会)。
刑事法の分野では,罪刑法定主義の見地から類推解釈は許されないとされていますが,一般人の予測の範疇にある合理的な拡張解釈は許されるとされています。
銃刀法の規制は,けん銃による殺傷能力にこそ意味がありますから,私もここでは上記見解に与したいと考えます(この点,セラミック製包丁を「刃物」に当たるとした東京地方裁判所平成10年1月19日判決が参考になります。)
もっとも,直接に,樹脂製弾丸を扱った裁判例は見あたりませんので,今後の司法判断が注目されます。
なお,「金属性弾丸」とは,金属製の弾丸に限るのだと解釈したとしても,「銃砲」に当たるためには,そのけん銃が,金属製弾丸を発射できる機能を有していれば足ります。たとえば,現実には発射できる弾丸が入手不可能な物だったとしても,上記1の3要件を具備した「銃砲」を所持すれば所持罪として処罰されています(福岡高等裁判所昭和26年3月27日判決)。

新聞報道では,今回の事件について,押収した5丁を科学捜査研究所で鑑定し,2丁について弾丸を発射でき,殺傷能力があると判断したものの,適合する弾丸は見つかっていない,と書かれていましたが,鑑定にどのような弾丸を用いたのか,また,殺傷能力ありと評価した2丁と他の3丁の違いなど,鑑定の方法と結果には興味があります。

3 Aさんに何罪が成立するか。
~単なる所持罪にとどまらず,武器等製造罪,火薬取締法違反,適合実包所持による加重所持罪,発射罪が成立する可能性

①報道された事件では今のところ,けん銃の所持(銃刀法31条の3,1項後段)で逮捕されているようですが,3Dプリンターを用いてけん銃を作ったのであれば,武器等製造罪(武器等製造法31条1項,4条)が成立します。
なお,製造したその場で所持していた場合には,所持罪は武器等製造罪に含まれて評価されますが,たとえば,自宅で製造後,公園で試射している時に逮捕された場合など,その後の所持が独立して評価し得る場合には,製造罪とは別に所持罪が成立します。
ちなみに,製造罪には未遂罪が存在します(武器等製造法31条3項)。
たとえば,3Dプリンターで全部で5個の部品のうち3個を作った時や,1個も作っていなくても,プリントアウトのスイッチを押して3Dプリンターで出力途中の状態にすれば,製造の実行の着手ありとして,未遂罪が成立し得ると考えます。もちろん,設計図どおりに完成すれば「銃砲」になることが前提です。
②さらに,前述したとおりの解釈からは,樹脂製の実包であっても「金属製弾丸」に匹敵するものを製造すれば,「銃砲弾」を作ったものとして武器等製造罪(同法31条の2,4条)が成立し,さらに,けん銃と適合する実包をけん銃と「共に」所持していれば,加重所持罪(銃刀法31条の3,2項)が成立し得ます。
③さらに,公園で試射をしたのであれば,「不特定若しくは多数の者の用に供される場所」でけん銃を発射したことになり,発射罪(銃刀法31条,3条の13)が成立することになります。また,無許可で火薬を爆発させて消費したことになりますから,火薬取締法違反(59条5号,25条1項)も成立し得ます。

報道された事件も,所持罪としてまず逮捕したというだけでしょうから,単にけん銃の所持にとどまらず,これから武器等製造罪をはじめとするその他犯罪についても,起訴の可否についてさらに捜査活動がなされるだろうと想像しています。

4 3Dプリンター出現後の我が国の銃規制のあり方
(1)3Dプリンターの特性
3Dプリンターの特性は,①誰もが(特別な材料や技術がなくても),②容易に,③大量に,様々な立体のコピーを製作できることです。
現行の銃刀法や武器等製造法が,3Dプリンターの出現を予定していたかというと,おそらくは予期していなかったのではないでしょうか。
とはいえ,けん銃を作る方法は,モデルガンを改造したり,工事現場で使うびょう打ち銃を改造したりいろいろで,3Dプリンターだけが悪者にされる理由はありません。
ただ,3Dプリンターによるけん銃の製造が特徴的なのは,PCに設計図をダウンロードし,3Dプリンターにつなぎ,プリントアウトのスイッチを押しさえすれば,誰もが(特別な材料や技術がなくても),容易に,大量に,けん銃を作れる可能性がある点です。
今回報道された事件で作られたけん銃は,見た感じ,比較的単純な構造で,命中精度もそれほど高そうではありませんでした。ただ,今後3Dプリンタ-の性能,材料の品質,3Dプリンターを用いてけん銃を製造する技術が向上していくことは必定です。その気になれば,誰もが,更に高性能なけん銃を,より速く,大量に製造することも可能になっていくかもしれません。加えて,樹脂製けん銃については,金属探知機にかからないという利点も指摘されるところです。

(2)現行法による規制の限界
現行の銃刀法や武器等製造法が,3Dプリンターの出現を予期していなかったであろうことは,前述のとおりですが,樹脂製のけん銃を「銃砲」からはずしているわけでもなく,3Dプリンターが出現したことをふまえて法改正をする必要かあるかは,別個に考える必要があります。
私は,現行の銃刀法,武器等製造法について改正すべき点があるかと聞かれたら,とりあえず次の2点を指摘したいと思います。
1つ目は,すでに述べてきた「金属製弾丸」という文言のことです。
解釈上「金属製」に限られず,とりわけ,3Dプリンターによって樹脂製の銃弾が製造できるようになるなら,規定上も単に「弾丸」とするか,「金属性弾丸」が例示であることを明記するか,解釈上の疑義が出ないようにしておくべきだと思います。
2つ目は,銃砲の製造について,予備段階の行為の処罰規定が存在しないことです。
たとえば,PCに設計図をダウンロードし,3Dプリンターを接続し,材料をセットしただけの状態では,製造の実行の着手があったとは言えず,製造罪の未遂罪としてはまだ処罰できないのではないでしょうか。
3Dプリンターのすごいところは,そこまで準備を整えさえすれば,あとはプリントアウトのスイッチを入れるだけで,比較的短時間に,大量のけん銃が製造できてしまう点です。
近い将来,3Dプリンターを用いて大量にけん銃を製造しようとする者が出現したとしても,けん銃が必要となる直前までスイッチを入れていなければ,その状態では検挙,処罰できないおそれがあります。
あらためて銃刀法を見ると,けん銃の輸入罪については予備行為も含めて処罰対象となっており(31条の12),これと比較しても,国民に及ぼす危険性という意味において,上記のような製造の予備段階の行為を処罰対象に含めることに違和感はありません。
もちろん,処罰対象が拡大しすぎないよう,規定の仕方や適用には注意が必要です。

(3)今後の規制のあり方
報道された事件をふまえても,要するに使う人間が悪いのであって,3Dプリンターが悪いわけではありません。
思い起こされるのは,カラーコピー機が世の中に出回り始めたころ,紙幣を印刷して悪用する犯罪が出現したことです。稚拙な物とはいえ,誰もが,比較的容易に紙幣の偽造ができるようになったわけですが,その後,多くのカラーコピー機に紙幣を認識した場合にはそのままコピーできないようプロテクトする機能が備わったり,それなりの防止措置がとられるようになりました。
これと同様のことができるかどうかわかりませんが,3Dプリンターを製造,販売する側にも,何らかの防止措置を義務づけるなど,法規制がなされて然るべきかと思います。
他方で,3Dプリンターを使うユーザー側に自覚を促すことが,非常に重要だと思います。
おもしろ半分で設計図をダウンロードして3Dプリントアウトのスイッチを押してしまえば,発射できる弾丸がなくても,発射するつもりはなく友人に自慢するために作ったものでも,けん銃を作るという認識がある以上は武器等製造罪が成立し,法定刑の下限が懲役3年以上という重い罪になります(武器等製造法31条1項,3項)。プリントアウトのスイッチを押すときには,刑務所に行く覚悟を決めてもらう必要があります。
ネットオークションに出品するなど,販売するつもりで作ろうものなら,営利目的ということで,無期又は5年以上の懲役になります(武器等製造法31条2項)。
殺人罪は,死刑又は無期若しくは5年以上の懲役ですから,どれほど重い罪であるかわかるでしょう。
自分で作ったものでなくても,友人が作ったものをもらったり,借りたりすれば,譲受け罪,借受け罪が成立し,これも処罰されます(銃刀法31条の4,31条の16)。
公園で試射でもしようものなら,発射罪が成立し,これもまた,法定刑が無期又は3年以上という極めて重い罪となります。引き金を引く時には,殺人に近い重大犯罪をするのだという意識をもってもらわなければなりません。
今回の事件で作られた物の写真を見ると,青だったり黄色だったり,あまりにカラフルで,従来のけん銃のイメージとはあまりにかけ離れた物でした。
ですが,「銃砲」の要件を満たす限り,材料や色にかかわらず,立派なけん銃であるということについて,まずは一般の方にきちんと認識を持ってもらう必要があります。

私も,今回報道された事件について検察庁がどのような起訴をし,裁判所がどのような判決をするのか,注目していきたいと思います。

※以上,弁護士としての私の意見ですが,個人的見解であり,個別事件における結論を保証するものではありません。

(最終更新:平成26年5月9日,弁護士伊東克宏)

2014年5月9日、カテゴリー:「日々あれこれ」(日記), 弁護士 伊東克宏ブログ

http://www.saiwaisougou.com/wp/archives/844.html
弁護士 伊東克宏
3Dプリンターによって製造したけん銃の所持事件について



ほんこん 玉川徹氏の〝コロナ大したことない〟を猛批判「お前よう言うな」2023/4/22東スポ

 お笑い芸人のほんこんが22日にユーチューブ「ほんこんちゃんねる」を更新。テレビ朝日・玉川徹氏の発言に猛反発した。 【写真】番組冒頭で謝罪した玉川徹氏  玉川氏は19日放送の同系「羽鳥慎一モーニングショー」で、新型コロナウイルス感染症について「もともと健康な人と若い人は、はじめからコロナはたいした病気ではない」と発言。これまで、コロナへの警戒を強く訴えていただけに、SNSでは「手のひら返し」「3年間散々コロナ煽ってたクセに」と批判の声が噴出した。  このニュースにほんこんは「お前よう言うな。お前が言うか?っていうところやろ」とバッサリ。「俺この人どうなん?て思うわ、ほんまに。『健康な人や若い人は――』って言ったことある? その時、それでロックダウンって言うてたやろ。自分らは毎日会社に来てな、毎日PCR検査やってたんかいちゅう話や。ほんまにひどい話やでこれ。無責任極まりないで。『あんた煽ってて』って、そりゃあネットで言われるよ」と呆れ顔を見せた。  さらに「こんなの、(発言や映像など)みんな残ってんねんで。『おいおい』って言いそうにならんかったんかな、羽鳥さん」「『最初から若い人と健康な人は大丈夫やと思ってましたよ』って、思ってる口ぶりちゃうやん。これはいかんのんちゃう? 薄っぺらいな」と猛ツッコミ。  一方で、玉川氏は世間を煽りたいのか?については「いや煽りたいんじゃない。多分な良心があると思うねん。自分は『これがええ』と思い込んでんねん。思い込んでんねんけども、そこで終わってまうやん。そうじゃなくて、どういかに動かしていかなあかんか?っていう、どうしたらいいというのがわかってない」と分析した。  最後は玉川氏について「まあ悠々自適ちゃう? ええんちゃう?エリートやから。まあこれから先も心配ないでしょう」と皮肉っていた。

ほんこん 玉川徹氏の〝コロナ大したことない〟を猛批判「お前よう言うな」2023/4/22東スポ


ほんこん 橋下徹氏と大舌戦「あんたおかしいで」「ルール変えんなや!」 2022年10月29日 22:15 62d77a027765611155780000 東スポWEB

お笑いタレントのほんこんが29日配信の「NewsBAR橋下」(ABEMA TV)にゲスト出演。MCの橋下徹氏と〝舌戦〟を繰り広げた。

 冒頭で「反橋下派の代表」と紹介されたほんこん。それを「意見の違いがあるだけ」と、笑顔で否定し、和やかにスタートした…かに思われた。

 しかし、始めのコーナーでいきなり〝いざこざ〟が。岸田文雄首相の経済対策について5段階評価するという企画で、ほんこんは「1」、橋下氏は「3」を出した。

 ほんこんの岸田首相批判の後、橋下氏は「3」をつけた理由について「政治の評価をやる時に、いきなり岸田さんが何でもかんでもできるわけじゃないから、前後で評価してくれというのはずっと言ってるんですよ。歴代の安倍(晋三)さん菅(義偉)さん、その前からできないことを岸田さんができなくても、しゃあないかなと思うんです」と指摘。

 経済低迷を打破するには消費税減税と解雇規制の緩和が必要とし「自民党政権として考えたら『1』ですよ。でも、これは安倍さんも菅さんもできなかったことだから」と首相に〝甘めのジャッジ〟を下した訳を語った。

 これにほんこんは「ここが橋下さんのずるいとこ」とばっさり。続けて「今ズラしてるやん。安倍、菅のこと聞いてんのちゃうねん。岸田のこと聞いてんねん。前ができなかったからじゃないやん。岸田でやってくれたらええがな。ちゃうのか! それの評価を聞かれたから俺は『1』を挙げたんや。そんなん、前の政権とかよその党関係ないやん。何をおっしゃってますのん?」と声を荒らげ、切り捨てた。

 橋下氏は苦笑いしつつ「政治の評価というのはどこに置くかですよ、基準を」と反論したが、ほんこんは「ここの番組で『今どうですか?』って来たから、それに対して答えなきゃいかんのに、他のを足したらあきませんよ」「あんたおかしいで。ルール決まって、プレーしてんねん。その途中でルール変えんなや! これおかしいよ。こういうとこが『橋下さん、(論旨を)すり替えてる』ってよう書かれんねん」と一歩も引かず。

 また、進行役の高橋茂雄から、岸田首相の評価する点はどこか?と聞かれた橋下氏は「日々の行政実務って山ほどやってるんです。僕も行政やってたから、山ほどやることがあるんや、と」と胸中を代弁。

 これにもほんこんは「今の言い方も…。『僕は行政、山ほどやって来た』って、俺らはしてないから『お前ら黙っとけ』みたいな」と食い下がり頭をひねっていた。

ほんこん 橋下徹氏と大舌戦「あんたおかしいで」「ルール変えんなや!」 2022年10月29日 22:15 62d77a027765611155780000 東スポWEB


https://www.tokyo-sports.co.jp/articles/-/231608?utm_source=news.yahoo.co.jp&utm_medium=referral&utm_campaign=related
須田慎一郎氏が門田隆将氏にブチギレ「何統一教会の擁護してんだよ!」「自分で話しろよ!」 2022年9月4日 19:04 62d77a027765611155780000 東スポWEB

ジャーナリストの門田隆将氏とジャーナリストの須田慎一郎氏が4日放送の読売テレビ「そこまで言って委員会NP」に出演。自民党と世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関係について怒鳴り合いの〝大激論〟となった。

 まず門田氏が安倍晋三元首相と旧統一教会の関係について「私、不思議に思うんだけど2018年には消費者契約法を改正して取り消せる契約として霊感商法をわざわざターゲットにしてますから。それをやった政権が…」と首をかしげた。

 すると須田氏が割って入り「やってるフリをしてるだけですよ。洗脳してお金を収奪してるから、統一教会ってのは。宗教団体として認可を取り消すべきなんだ。それをやらずにそれを放置してるから自民党の、あるいは政権の責任って極めて重いよ!」と断罪した。

 にらみ合う2人に対し、共演者から「旧統一教会といえば、安倍元総理がまた近づいた。韓国ナショナリズムに近づいた。そこはお2人どうとらえてらっしゃる?」と質問が。

 これに門田氏は「近づいたっていうファクトは何ですか? 2つの法律(消費者裁判手続き特例法、消費者契約法改正)を作って霊感商法を…」と食ってかかったが、これにも須田氏は黙っていない。

「全然被害は収まってないじゃない。加えて安倍総理はVTRを出したでしょ。スピーチ出してるじゃない」「何で統一教会を擁護するの! 何擁護してんだよ!」と怒気を強めた。

 門田氏も「潘基文がUPFの共同組織委員長になってるからで、元の国連事務総長から要請があって、トランプも安倍さんも出して、いろいろ出した。その中の一つというのをキチンを報道するならいい」とぶ然。

 しかし、須田氏は「国連総長はいいんだよ! 自分で話しろよ!」と納得いっていない様子だった。

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須田慎一郎氏が門田隆将氏にブチギレ「何統一教会の擁護してんだよ!」「自分で話しろよ!」 2022年9月4日 19:04 62d77a027765611155780000 東スポWEB

こっからは安倍晋三元首相銃殺事件スナイパーもいた説いくよー。
なるほど、週刊女性さんの屋内で手荷物検査ありにすると防げるのでは説。
屋内ならスナイパーから銃撃されずらい(窓をすべて防弾ガラスにするとか念には念を対策があるとよい。)から屋内会場の方がスナイパー対策に向いてるのは確か。

安倍元首相銃撃に「3つの矛盾」医師の齟齬、弾道、消えた銃弾、関係者が明かす“答え”2023/4/28週刊女性


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和歌山県の漁港を選挙応援のため訪れていた岸田文雄首相を狙い、爆発物が投げ込まれる事件が発生したのは、4月15日のこと。 【写真】安倍元首相の銃撃事件に巻き込まれ、車に轢かれそうになった女子高生  威力業務妨害の疑いで現行犯逮捕された男は、木村隆二容疑者(24)。 「木村容疑者は昨年行われた参議院選挙で立候補できず精神的苦痛を受けたとして、国を相手に損害賠償請求を求める裁判を起こしていました。立候補するには300万円の供託金が必要になるのですが、その金を用意できなかった。これが事件の動機と関連しているのではないかと見られています」(全国紙社会部記者)  幸いなことに死者や重傷者は出なかったが、事件を巡り、ある“疑惑”が持ち上がる。 「事件直後に各マスコミが行った岸田政権の支持率調査が発表されたのですが、多くの調査で先月よりも支持率が上昇していたのです。この結果が不自然だとして“岸田首相襲撃事件は自作自演”だとする陰謀論が、SNSを中心に語られているのです」(WEBメディア編集者)

関係者が指摘する“矛盾点”

 こうした“陰謀論”は、昨年7月に発生した安倍晋三元首相の暗殺事件直後も噴出していた。 「暗殺事件は“安倍元首相が総理大臣に返り咲くための自作自演だ”とするデマがSNSなどで拡散されました。ほかにも聴衆の中に犯行に加担している人がいたのではないかといった話や人種差別的な投稿も見受けられました」(同・WEBメディア編集者)  ありもしないデマが拡散されたが、この事件についてさまざまな“矛盾点”があると声をあげる人物がいる。 「自作自演なワケがない。誰が好んで殺されるのでしょう」  そう話すのは安倍元首相を師と仰ぐ自民党の高鳥修一衆議院議員だ。 「私が話すことは決して陰謀論ではありません。この事件には辻褄の合わないところがいくつもあるのです」(高鳥議員)  その“矛盾点”を説明する前に、まずは事件について振り返りたい。  事件は'22年7月8日の午前11時半ごろ、近鉄大和西大寺駅前の路上で安倍元首相の街頭演説中に発生した。背後から近づいた山上徹也被告が安倍元首相に向けて2度発砲。このとき撃った弾丸が安倍氏を直撃したのだ。 「銃撃から約50分後に奈良県立医科大学附属病院に運ばれ緊急手術が行われましたが、同日午後5時3分に死亡が確認されました。その後、大学病院は安倍氏の受けた傷について説明する会見を行いました。そこで救命医は“首には2か所の銃創があった。おそらく首の付け根の右前(=右前頸部)から体内に入った弾丸が心臓に穴をあけ致命傷となった。左上腕部には射出口が認められた”と説明をしたのです」(前出・社会部記者)  しかし、同大学病院で行われた司法解剖の結果は、まったく違う内容だった。 「解剖結果では、左上腕部から体内に入った弾丸が左右の鎖骨下動脈を傷つけ失血死に至る致命傷を与えた。首には2か所の銃創があり、1か所は銃弾による傷だが、もう1か所は原因を特定できなかったと発表されたのです」(同・社会部記者)
 だが、この銃創の詳細が明らかになる。'22年9月30日に奈良県議会で奈良県警本部長がこんな説明をしたのだ。 「首の銃創は右前頸部の1か所で、その近くに擦過傷、つまり“かすり傷”があったと明らかにしたのです。そして“右前頸部が射入口となり体内に入った弾丸は右上腕骨に至っていた。心臓には銃による傷はなかった”と説明がなされました」(同・記者)

なぜ説明に齟齬が生じたのか

 この経緯から浮かび上がるのは3つの“矛盾点”だ。  第1の矛盾は『救命医の所見と解剖結果の食い違い』。  救命医は右前頸部から銃弾が入り、弾が心臓に達したことで穴があき致命傷となった、と説明するが、警察は左上腕部から入った弾丸が左右の鎖骨下動脈を傷つけ致命傷となったと話し、心臓の穴もなかったとした。なぜ、このような齟齬が生まれるのか?  法医学の権威で、千葉大学大学院法医学教室の岩瀬博太郎教授は、 「救命医は傷の鑑定に不慣れですから、私たちが行った解剖結果とまったく違うということはよくあること。なにより救命医は命を救うことが仕事です。われわれが証拠保全のため解剖をする前に、弾丸がどこから入り、何が致命傷になったのかなど、会見を開かせ救命医に聞くことが間違いなのです。私は解剖結果が間違っているとは思いません」  心臓の傷の有無についても食い違うが、ここにはある情報が追加される。  自民党の青山繁晴参議院議員が安倍元首相の心臓の傷について警察庁幹部に問いただしたところ、 「挫滅(ざめつ)があった」  との回答を受けたことを自身のユーチューブチャンネルで明かしている。  挫滅とは外部からの強い圧力などによって、その組織が破壊されることをいう。つまり、安倍元首相の心臓に外部からの圧力が加わり傷ついていたということ。ただ、銃弾による傷ではないことも青山議員は明らかにしている。  銃弾による傷でないのであれば、何が原因だったのか。  銃創治療に詳しく、救命救急医療の第一人者である二宮宣文医師は、 「治療を行う中で開胸をして直接心臓マッサージをする際に医師が傷つけてしまうことは確かにある。ただ、今回の件では救命医がつけた傷だとは思いません。銃弾を受けるとその衝撃波が全身に広がり、心臓に穴をあけることがあるのです。私は、その衝撃波によって穴があいた可能性があると考えている」
 第2、第3の“矛盾点”は、安倍元首相の暗殺事件を巡り『週刊文春』でも検証がなされた『弾道』と『消えた銃弾』についてだ。  前出の高鳥議員が話す。 「私が訴えているのは、山上被告が放った銃弾の弾道と安倍元首相が受けた銃創の位置が一致しない可能性があるという物理的な問題です」  どういうことなのか。 「山上被告は安倍元首相のほぼ真後ろから銃を撃っているのですが、安倍元首相が自然に振り向いた状態では、喉仏の下にかすり傷を負わせることはできても、右前頸部を目視することはできない。つまり右前頸部に弾を当てることは不可能なのです。かすり傷よりも手前に射入したなら首の左側に当たらなければおかしいでしょう」(同・高鳥議員、以下同)

専門家の見解

 仮に安倍元首相が大きく振り返ったならば、確かに右前頸部に弾は当たるが、今度は擦過傷をつけた弾丸も体内に射入してしまう。 「さらに説明がつかないのは右前頸部から入った弾丸が右上腕骨で発見されている点です。演台に乗っている安倍元首相に向けて下から撃った弾が仮に右前頸部に当たったとしても下に向かって動くことはありえない」  高鳥議員は真相究明のため、さまざまな専門家に意見を求めてきた。 「銃創に詳しい医療関係者は“頸椎に当たって下に向かう弾道を描いたのではないか”と話しました。そうなると弾丸は射入口と頸椎を結んだ延長線上から飛んできたということになる。安倍元首相が大きく振り返った場合には起こりえるが、そうなると致命傷となった左上腕部に当たった弾丸が鎖骨下動脈の方向へと向かう弾道を描かない。つまり、すべての条件を満たす解はないのです」  海外で銃器の試射や対物実験を行う銃器研究家の高倉総一郎氏は、こんな見解を示す。 「北側を向き、足を組み替えず自然に振り返った状態だと、真後ろにいた山上被告に対して上半身は垂直に近い状態になっていたと考えられます。その状態で、右前頸部に弾丸が射入することはありえません。ただ、それは右前頸部の銃創が本当に射入口であれば、の話です」  そう話し、高倉氏はこんな仮説を立てたと続ける。 「頸部に擦過傷をつけた傷が射入口であり、右前頸部の銃創を射出口であると仮定したならば、すべてに矛盾しない説明が可能です。擦過傷の位置と右前頸部の銃創の高さが違っていますが、後ろに振り返った状態だとその高低差はなくなるのです」
しかし、弾丸が貫通したとなれば首に穴があくのではないだろうか。擦過傷ができている状況と矛盾する。 「浅い角度で弾丸が貫通すると、皮膚表面の剥離や欠損を伴う銃創ができることがあります。実際にそのような状況で、一見すると擦過傷にしか見えない傷が射入口である例も存在します」(同・高倉氏)

『消えた銃弾』の答え

 高倉氏の仮説どおり、擦過傷が射入口であり、右前頸部の銃創が射出口という1発の弾丸により負った傷というのであれば説明がつく。  致命傷となった左上腕部から入った『消えた銃弾』についても答えが出る。 「単純に左上腕部から入った銃弾が左右の鎖骨下動脈を損傷させ、右上腕骨に至ったと考えれば矛盾はありません」(同・高倉氏)  右前頸部の射出口から体外に出た弾丸は、現場付近で落ちたのだろう。現場検証が行われたのは、事件の5日後だから銃弾の行方がわからなくなっても違和感はない。これらはあくまで仮説だが、前出の高鳥議員もこう話す。 「私も仮説として左上腕部から入った弾丸が、右上腕骨に至った可能性について考えました。しかし、警察は右前頸部の銃創が射入口であり、その弾が右上腕骨にあったと話している。これではどうしても説明がつきません。医療関係者は“どこか前提が間違っているのではないか”と話していましたが……」  すでに安倍元首相の遺体は荼毘に付され、再検証することは叶わない。裁判ではこうした疑問点が解消されるのだろうか─。  2年続けて政府要人を狙った犯行が続くが、テロ対策に詳しい公共政策調査会の板橋功氏はこう警鐘を鳴らす。 「国民の安全を担う日本の行政庁の長が殺害されれば、行政が停滞したり安全保障や外交上の問題に発展したりする可能性がある。だからこそ今回の事態を重く受け止め、今後の首相および現職閣僚の選挙遊説は、屋内で手荷物検査ができる状況を確立するべきだ」  2度と同じ悲劇を繰り返してはいけない。

安倍元首相銃撃に「3つの矛盾」医師の齟齬、弾道、消えた銃弾、関係者が明かす“答え”2023/4/28週刊女性






https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/99678?display=1
本人が爆死する可能性ある」銃器評論家が警鐘鳴らす“銃の製造”...誰でも手に入る材料で数千円でも『銃破裂で大けが』の危険 安倍元総理銃撃・国葬国内TBS毎日放送2022年7月19日(火) 20:19


https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/99678?display=1
本人が爆死する可能性ある」銃器評論家が警鐘鳴らす“銃の製造”...誰でも手に入る材料で数千円でも『銃破裂で大けが』の危険 安倍元総理銃撃・国葬国内TBS毎日放送2022年7月19日(火) 20:19







https://www.afpbb.com/articles/-/3046448
官邸ドローンで男を逮捕、ブログに犯行の経緯つづる 2015年4月25日 15:44 発信地:東京 [ アジア・オセアニア 東京 ]


安倍晋三元首相銃殺事件スナイパーはいたと思う。安倍晋三元首相銃殺事件で沢口靖子さんのドラマの科捜研ばりに警察が行う本物の科捜研みたいに銃弾から科学捜査されている方のツイッターの記録あった気がするので紹介するね。









高田純 理学博士

@gatapi21

聴いてください 見てください


真実の音「シュッピ」安倍さんが私たちに知らせた組織テロの存在

https://drive.google.com/file/d/1Pso6nf9sp-87hngjpcHTSdd2lb-X3aIA/view?usp=share_link












mayumi.ish

        @IshMayumi

        返信先:

        @KqFsgI46dsFFvXN

        さん,

        @gatapi21

        さん

        スナイパーなら何メートル先からなのか…。雇った者もいる。

        私が気になるのは至近距離かも?

        ミニ銃とか。何としても諦めない😭

        安倍総理の為に正義の為に…

        例えば↓  ?
午後4:08 · 2022年12月2日
中田 健二

@KqFsgI46dsFFvXN

返信先:

@IshMayumi

さん,

@gatapi21

さん

狙撃手は88m先の立駐から撃ちました。

プロにとっては難しくはないと思います。

安倍首相は演説台から降りる段階で致命傷を受けているのでまずは演説台の上で起きたことに集中したいと思っています。

午後4:28 · 2022年12月2日


mayumi.ish@IshMayumi返信先: @KqFsgI46dsFFvXNさん, @gatapi21さん宜しくお願いします💦午後5:02 · 2022年12月2日

https://drive.google.com/file/d/1GqS_t1KqrQjA2dZTFUKH2Aj8fNDhaw7G/view?usp=share_link





元広島市立大学准教授 福井康人

1.はじめに
 2022年7月8日、安倍元総理は奈良市内で選挙応援演説中に不審者の手製銃で狙撃され、ご逝去された。この事件は安全な日本でもこのようなことが起きると、驚きをもって受け止められ、国の内外から多数の弔意が表明されるとともに、閣議決定により9月27日に日本武道館において国葬が行われることが決まった。この事件については、現在も警察庁が捜査を継続し、更に要人警護の在り方も全面的に再検討されている。本稿では、この事件に関連して我が国の銃器対策について、国際条約との関連を含め述べることとしたい。

2.今回の事件で使われた銃器
 この事件では模造銃が使用され、安倍元総理を銃撃した銃器は、金属製の筒2本を粘着テープで束ねた形状であり、弾丸は小さなカプセルに入れ筒から発射する、散弾銃に似た作りだったと報じられている。しかも、特殊なものを使用したものではなく、一般に購入できる材料により殺傷性のある銃が製造された。報道によれば、この銃は全長23センチで、金属製パイプと、3Dプリンターで製造したプラスチック製の引き金部分をコードでつないだ構造で、火薬と鉛弾を詰め、引き金を引くと通電し発砲する仕組みだった。犯人の自宅から3Dプリンター、銃の設計図、火薬が押収された由である。

3.日本における銃器の規制
 日本では中世の刀狩から始まり、銃器のみならず刀剣類も厳しく所持が規制されていたため、これまでも反社会勢力間の抗争や学生運動盛んなりし頃に過激派が爆発物を利用した殺傷事件が時々起きている。もっとも、銃器の発砲事件も時々起きるが、幸い事件数が限られ、銃撃事件が頻繁に起きる米国等とは根本的に異なった状況にある。(注1、注2)
 では、今日の日本国内での銃器の規制はどうなっているであろうか。先ず、重要なのは「銃砲刀剣類所持等取締法(略称「銃刀法」)である。この法律によれば、「銃砲」とは、拳銃、小銃、機関銃、砲、猟銃その他金属性弾丸を発射する機能を有する装薬銃砲及び空気銃(圧縮した気体を使用して弾丸を発射する機能を有する銃のうち、内閣府令で定めるところにより測定した弾丸の運動エネルギーの値が、人の生命に危険を及ぼし得るものとして内閣府令で定める値以上となるものをいう。以下同じ。)をいう(同法2条1項)とされており、一般には原則所持禁止となっている。(注3)
 更に、銃器等のうち弾薬をカバーするのが、「火薬類取締法(略称「火取法」)」である。同法第2条には火薬類として、この法律において「火薬類」とは左に掲げる火類、爆薬及び加工品を言う。」として、黒色火薬からダイナマイトまで様々なものが列挙されている。同法の中では、銃器に関わるものとして同条3項の加工品の中にはロ項の実包及び空包、ハ項の信管及び火管が含まれ、これらの条文が関係する。更に、より大型の武器については、武器等製造法(略称「武等法」)が対応しており、最初の銃刀法が警察庁主管、後二者の火取法と武等法が経済産業省の主管になる。(注4)
 このように日本国内で銃器等を規制する法律としては、少なくとも銃刀法と火取法の双方が重要とされてきた。事実、一般人が猟銃であっても所持しようとすると厳重な審査の後に、普段も頻繁な講習や検査等があり、簡単に許可を取り、所持出来ない。このため今回の事件の様に、銃器を不正に製造することに繋がりやすい。更に、後述の銃器議定書が合意されたころから技術革新もあり、最近では熱溶解積層法(FDM法)と称する熱可塑性樹脂を高温により溶解して積層させることで立体形状を構成する特許が切れたため、同タイプの3Dプリンターが安価で販売され始めた。そして、武器等の不法製造に使用されかねない状況が生じており、また現に不法製造事件も起きている。(注5)
 今回の事件で使用されていたのは手製銃であり、報道によると、バッテリーがリード線で火薬に接続され、バッテリーを稼働させて火薬に通電して爆発させる仕組である。即ち、通常の銃器で使用される無煙火薬は無許可で購入できないが、花火等にも使用される黒色火薬等であれば入手可能であり、現行の規制制度をすり抜けての入手であった。このため、今後は国内関連法令を精査して然るべき入手経路を規制し、銃器部品となり得るものを購入する者を登録制にする等、警察のインテリジェンス能力を強化する必要があると思われる。

4.銃器議定書の締結の必要性
 このような国内措置の強化と並行して、日本は国際組織犯罪防止条約の補足議定書である銃器議定書を早期に締結することが望ましい。平成18年4月の参議院内閣委員会での審議において、辻優政府参考人(当時)が、「(前略)特に刻印の在り方の問題、それから記録の保持等も含めまして関係省庁に鋭意御検討をお願いしているところでございまして、できるだけ早期にやるという姿勢だけで恐縮でございますけれども、引き続き努力をさせていただきたいと思います。」と答弁している(注6)。
 また、今回使用されたのは模造銃であったが、銃器議定書の銃器の定義はより広いので、新たな手製銃でもカバーされるようになる。即ち、同議定書第2条aは、「銃器」とは、持運び可能な銃身のある武器であって、爆発の作用により、弾丸、銃弾又は発射体を発射し、発射するよう設計されており又は発射するよう容易に転換することができるもの(以下略)と規定し、同条cは、「弾薬」とは、銃器に用いられる完全な実包又はその構成部分(薬きょう、雷管、発射火薬、銃弾又は発射体を含む。)をいう(以下略)と規定しており、わが国国内法より包括的な定義となっており、新たな改造銃であっても、規制の対象になる。
 更に、同議定書締結により関連情報の交換のみならず、国際組織犯罪の時には捜査共助が容易になる。そのためには、日本で所持される銃器を海外でも特定できるよう銃器に刻印を施すことや、10年間記録を保持すること等の義務に対応し、国内制度を国際的な銃規制の水準に合致させる必要がある。
 因みに、この議定書第8条の刻印方法につき、漢字等を使用する国が難色を示したので、同条a項を「銃器の製造時に、製造者名、製造国、若しくは製造地及び番号を記載する固有の刻印を押すこと又はこれに替えて全ての国による製造国の容易な特定を可能とするか簡易な幾何学的記号(数字又はいずれか一方による符号の組合せ)を有する固有な使い易い刻印を維持すること。」(下線は筆者)とされている。この点は、同議定書の交渉当時のアドホック委員会議長であった阿部信泰元ウィーン国際機関代表部大使が最終的に漸く取り纏めたもので、いわば「ジャパン・アイテム」でもある。
 そうした経緯からも、今回の銃撃事件を踏まえ、この機会に同議定書の締結に向けて検討が加速することを期待したい。

(注1)福井康人『銃器議定書の概要と我が国における批准に向けた課題』CISTECジャーナル、第183号、239-250頁。同項には銃機議定書を日本がクリアすべき論点のみならず、関連事項が纏めてある。

(注2)米国では、合衆国憲法修正第2条が「規律ある民兵団は、自由な国家の安全にとって必要であるから、国民が武器を保有し携行する権利は、 侵してはならない。」とされ、銃の所持規制は憲法上の問題として、困難である。

(注3)大塚 尚 (著), 辻 義之 (監修)、『注釈銃刀法』平成23年、立花書房、95頁。
これに関係するものとして、具体的には銃砲として拳銃、小銃、機関銃、砲、猟銃、その他の金属製弾丸を発射する創薬銃砲、空気銃の7種類が挙げられ、その物品の構造が上記7種類のいずれかに相当するとともに(類型型要件)、金属製弾丸を発射する機能を有し、人畜に危害を与える殺傷を加える程度の有するものであること(実質的要件)を満たす必要がある。

(注4)その他にも、軍縮条約の国内担保法として、対人地雷禁止条約法、クラスター弾禁止条約法等の特別法で国内法担保を行っている例もある。

(注5)横浜地裁平成26年10月20日判決。ポリ乳酸樹脂等を材料にしてパソコン、3Dプリンター、及びボール盤当を利用し、拳銃の一部である銃身兼薬室、引き金、撃鉄を作成した上でこれを組み立て、その重口を貫通させるなどして手製した銃も拳銃に当たると判示した。即ち、銃器の製造に際しては材料も製造方法も問わないということが確認された。

(注6)平成18年4月11日参議院 内閣委員会議事録 第6号。猪口邦子国務大臣に対する外務省辻優外務省大臣官房参事官答弁等。URL: 発言のURL: https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/51

(2022年8月9日記)

https://www.kasumigasekikai.or.jp/%E5%AE%89%E5%80%8D%E5%85%83%E7%B7%8F%E7%90%86%E9%8A%83%E6%92%83%E4%BA%8B%E4%BB%B6%E3%81%8B%E3%82%89%E6%80%9D%E3%81%86%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E9%8A%83%E5%99%A8%E5%AF%BE%E7%AD%96/
安倍元総理銃撃事件から思う日本の銃器対策公開日: 2022年9月6日





001・工藤堅太郎○委員長(工藤堅太郎君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りをいたします。
 銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣府政策統括官林幹雄君外四名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/1


002・工藤堅太郎○委員長(工藤堅太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/2


003・工藤堅太郎○委員長(工藤堅太郎君) 銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/3


004・山内俊夫○山内俊夫君 おはようございます。
 銃砲刀剣類等の所持取締法の一部改正ということで、日本の安全社会、最近は少しやばくなってきたかなと思っておりますけれども、でも、銃所持が自由にできるアメリカと違ってはるかに安全な社会にあることはもう皆さん御承知のとおりかと思います。
 大臣は就任以来、安全で安心な社会の実現に努力されていると私たちは承知しておりますが、昨年十二月に栃木県今市市における幼女殺害事件のように、大変痛ましい事件が後を絶たないというところでありますが、また、銃器・薬物犯罪などの治安の根幹を揺るがすような事案もかなり増えてきております。
 こういった中、安全な日本の基本的要因、安全な社会である日本の要因というものは、私はやはり先ほど申し上げましたように、銃砲刀剣類所持等の取締法が日本にはしっかりと存在していると、それが大変大きな私は安全な社会を築いているんではないかなと思っております。ただ、自由に持てる国と、日本の社会のようにしっかりとその辺りが確立されている国と、大変安全性に違いがあるということも現実であります。
 そういったことを踏まえまして、今日現在の治安情勢に関する大臣の認識を少しお聞かせいただければと思っております。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/4


005・沓掛哲男○国務大臣(沓掛哲男君) 平成十五年以降三年間は連続して刑法犯認知件数が減少し、検挙率も上がり、治安に回復の兆しが見えております。しかしながら、今委員言われましたようないろいろな問題が発生いたしております。その一つが、幼児を対象とした凶悪犯罪が続発し、また銃器・薬物犯罪も依然として厳しい状況にあります。
 これら犯罪のない社会の実現を目指して、その取締りを強化するとともに、国民の安全、安心を確保するため、地方警察官の増員、今年もう三千五百名認めてもらいましたが、さらに防犯情報の提供など、犯罪の抑止に向けた多面的な取組を推進することが必要と考えております。
 警察として、発生した犯罪の着実な検挙に加え、今後とも、防犯ボランティアを始めとした関係方面と連携しつつ、犯罪抑止対策を強力に推進するよう努めてまいりたいと考えております。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/5


006・山内俊夫○山内俊夫君 是非その辺りしっかりと、従来の日本社会の安全を確保していただきたいと思っております。
 ところで、今日、今回の法案の一部改正でありますけれども、エアガンが中心になっておると思います。まあ準銃砲というように言われておりますけれども、これ、ちょっとサンプルも是非ということで、もう委員の皆さん方にも持っていただいて、手で、ビジュアルに確認をいただけたらと思う。(資料提示)
 といいますのは、私たちは小さいとき、男社会というのはどうしても銃とか刀とかそういったもので遊ぶくせがありまして、まあ、くせというよりもそれが男社会の体質だろうと思うんですけれども、やはり子供時代からおもちゃの中でもこの銃砲類とか刀剣類に大変興味を持つ世代でもあったわけですが、ただ、おもちゃの間はいいんですけれども、最近どうも威力を増しているエアガンというものが随分出回っていると聞いております。こうした治安情勢の中で、単なるおもちゃの段階ならいいんだけれども、人を殺傷する若しくは多大なる被害を起こさすような銃砲等のやはり今回の一部改正というものは、私は大変大切なことじゃないかなと思っておりますけれども。
 ここで、生活安全局長に少しお聞きしたいんですけれども、こういった中で、国民に不安を与えているという事例が大変多くなってきておりますので、その発生状況、そしてその被害の状況も少しお知らせいただけたらと思います。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/6


007・竹花豊○政府参考人(竹花豊君) 昨年九月以降に、いわゆるエアガンに係る事件が多発をして国民の耳目を集めているところでございますけれども、平成十五年から十七年の三年間に、この種のいわゆるエアガンに係る事件を合計百六十五件検挙いたしているところでございます。
 この百六十五件の内訳といたしましては、傷害を負わせた事件三十七件、強盗事件に利用されたものが三件、暴行事件になったものとして処理されたものが七十五件、器物損壊事件として処理されたものが四十二件、脅迫事件に使用されたものが五件でございます。このように大きな被害をもたらしている状況にございます。そして、このうち傷害を負わせた三十七件につきましては、すべて今回規制の対象としようとしております威力の強いエアガンが使用されたものでございます。
 また、これに加えまして、こうした威力の強いエアガンが現行の銃刀法で既に規制の対象となっております改造空気銃に改造される事件が多発をしてきております。押収されたそうした改造空気銃は、平成十六年には四丁でございましたところ、昨年、平成十七年には七十三丁と急増いたしておりまして、このようにエアガンをめぐる問題は看過できない状況と認識いたしております。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/7


008・山内俊夫○山内俊夫君 このようなエアガン使用事件の発生状況からすれば、今回の銃刀法改正は遅きに失したのかなという感も否めないんですけれども、これまで警察は、こうした危険性の高いエアガンについてはどのような対策を取ってこられたのか、その辺りをお聞かせいただけますか。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/8


009・竹花豊○政府参考人(竹花豊君) 御指摘のとおり、エアガンに係る規制については、やはりそうしたものがおもちゃとして広範に出回っているという状況もございまして、これまで警察といたしましては、こうした威力の強いエアソフトガンにはやはりそれなりに注目をして心配をしておりましたけれども、そうしたことに対処するために、平成十二年ころから業界団体と連携をいたしまして、業界団体が定めた自主規制値、これはできるだけ威力の弱いものにしようというような自主規制値を業界団体が定めまして実施をしようとしていたわけでございますけれども、そうした自主規制値を守って威力の強いエアソフトガンを製造しないように、こうした製造業者に働き掛けをしてきたところでございます。
 そうした努力が中心でございましたが、このような警察の努力をしり目にいたしまして、業界団体の中でのこうした自主規制に従わない、いわゆるアウトサイダーの業者や輸入事業者が出現をいたしまして、こうした自主規制だけではどうも何とも状況は改善できないという、そういう状況に立ち至りましたことから、今回、法の改正をもって対処しようというふうに考えたところでございます。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/9


010・山内俊夫○山内俊夫君 今回、所持が規制されるということになった、その先ほどから話が出ている、準空気銃というんですね。これはどの程度の威力があるものかどうか。今日もサンプルを先ほどから回させていただいておりますけれども、これは現物を見てもらうということで、中には缶を、普通のおもちゃであるやつと、撃ち抜いてしまう威力を持っているもの、これもう両方持ってこさせていただいたんですけれども、その威力の程度を少し具体的に分かりやすく説明していただけますか。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/10


011・竹花豊○政府参考人(竹花豊君) 今回の改正法で所持を禁止いたします準空気銃は、このエアソフトガンのうち人を傷害し得るものというふうに考えております。具体的には、発射された弾丸が有することとなる運動エネルギーが内閣府令で定める値以上となるものが規制対象となりますけれども、弾丸に三・五ジュール・パー・平方センチメートル以上の運動エネルギーを与えるエアソフトガンを準空気銃として規制する方向で検討しております。
 先ほど委員の先生方で回覧をされておられましたエアソフトガンはこの三・五ジュール以上のものでございますけれども、これをもって一メートルの距離からビールの空き缶に向けて弾丸を発射いたしますと、突き抜けて貫通いたす威力を有しておりますが、これに至らない、三・五ジュール・パー・平方センチに至らないものでありますと、へこむだけで、缶がへこむだけだという威力として現れるところでございます。
 このような形で、かなり顕著に準空気銃とそうでないエアソフトガンについての威力の差がございます。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/11


012・山内俊夫○山内俊夫君 何かジュール何とかっていう難しい言葉が出ておりますけれども、要するに人に向けて発射されるとかなりの傷害を発生するというぐらいの威力だということを、漠然とですが理解をさせていただきますけれども。
 例えば、昨年、和歌山で車両に向けて撃たれたエアガン、基本的にはエアガンだということを聞いておりますけれども、ガラスが割れるほどの威力を持っておりますが、その和歌山で発生した事件、これは、事件の具体的な内容を少し御報告いただけませんか。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/12


013・竹花豊○政府参考人(竹花豊君) お尋ねの事件につきましては、昨年九月二十六日未明、和歌山県内の近畿自動車道において、車に乗った被疑者がけん銃様のものを走行中の他の車両に向けて発射し、車両の窓ガラスが割られるなどの被害が相次いで二件発生し、また大阪府下におきましても、走行中の車両等に対する発砲事件が連続して発生したものでございます。
 和歌山県警察及び大阪府警察が連携を図りながら所要の捜査を進めたところ、大阪府警察におきまして同年十月六日に覚せい剤取締法違反で逮捕した二十五歳の男性が本件犯行を敢行した旨を供述したため、十月二十六日に器物損壊罪及び銃刀法違反で再逮捕したものでございます。
 なお、このとき被疑者から押収いたしました銃は、準空気銃に該当する市販のエアソフトガンを改造いたしまして、いわゆる改造空気銃にいたしたものであることが判明いたしております。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/13


014・山内俊夫○山内俊夫君 市販のエアガンを改造するということですね。これができるにはそれなりの技術が要るんではないか、また、それなりの部品が要るんではないかなという気はいたすんですが、今回の改正案は、危険性の高いエアガンの流通を防止するという観点だけではなくて、その改造そのものに対する防止、そういった視点が私は必要なんじゃないかなと思っておりますし、それまでの、この法案の提出までのいろんな検討は、そういった部分についてはされたのかどうか、ちょっと御報告をいただけますか。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/14


015・竹花豊○政府参考人(竹花豊君) エアソフトガンが空気銃に改造をされましてその傷害事件等で使用されたこと、こうした事件を受けまして、警察では、エアソフトガンの改造防止対策について様々な検討を重ねてまいりましたが、押収いたしました改造空気銃について調査をいたしましたところ、その改造の大本、土台となりましたエアソフトガンはいずれも元々の発射威力が強いものだということが明らかになってまいりまして、ここが流通しないように規制することでエアソフトガンの改造についても防止をできるのではないかというふうに考えたところでございます。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/15


016・山内俊夫○山内俊夫君 その空気銃への不正改造ですね、これを防止するためには、その改造の土台となるエアガンだけではなくて、その改造に用いられる部品の売買、こういったものもかなり規制すべきではないかなと、このように思うわけですが、その辺どうなんでしょうか。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/16


017・竹花豊○政府参考人(竹花豊君) エアソフトガンの発射威力を高める改造の方法といたしましては、中にございますばねなどの部品を強度が強いものに交換するといったような方法があると承知をいたしております。これらの部品は一般の工業製品等にも用いられております汎用性の高いものでございまして、その規制の在り方については慎重な検討を要するというふうに認識をいたしております。
 しかし、エアソフトガンが改造に用いられることを知りながらこれらの部品を譲り渡す行為等については、空気銃の無許可製造の幇助に該当いたしますので、これは武器等製造法という、武器を製造、空気銃を製造する法律違反といたしまして検挙をするなど、積極的な取締りを行っていく所存でございます。
 また、インターネット等で行われるこうした改造用部品の取引に対する監視につきましても、一層強化をしてまいりたいと考えております。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/17


018・山内俊夫○山内俊夫君 今回、そうですね、所持を禁止するということになりますその準空気銃というのは、かなりの数が出回っているんじゃないかなと思っておりますけれども、全部が全部改造するわけじゃないんですけれども、改造してその能力が高まる、人を殺傷するだけの能力に高められるもの、そのベースになるやつですね、これは何丁ぐらい出回っておるんでしょうかね。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/18


019・竹花豊○政府参考人(竹花豊君) 現在出回っております準空気銃の数でございますが、これは実際、現行法上は規制の対象となっていないということもございますし、正確な数量については不明であると言わざるを得ませんが、業界の方々といろいろお話をいたしますと、業界団体の推計では、国内で製造販売されたものや輸入をされたもの等合わせまして、現在国内には準空気銃に該当するエアソフトガンは約八十万丁ではないかというふうに見ておるところでございます。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/19


020・山内俊夫○山内俊夫君 数を聞いてびっくりしたんですが、八十万丁ですかね。まあおもちゃ程度ですから、当然もう既に廃棄されたものもあるだろうと思いますけれども、かなりの数がある。そうなってくると、この改正された後、施行後でございますけれども、この準空気銃の密造とか密売に対する徹底した取締りを行ってもらうということは当然なんですけれども、それ以上に、この準空気銃を早急に回収する必要があると考えた方がいいんじゃないかなと思うんですが、その辺りどのような措置を講じられる予定か、それをお聞かせ願います。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/20


021・竹花豊○政府参考人(竹花豊君) 警察といたしましては、エアソフトガンの業界団体とも連携をいたしまして、準空気銃に該当するエアソフトガンの所持者に対して、今回の法改正によって準空気銃の所持が違法となることを周知をいたしまして、速やかに準空気銃に該当しないものに変えるよう積極的な広報活動を行うことといたしております。
 既に、この法案の検討段階でも、マスメディアを通じましてこの検討状況が相当広く知れ渡るところとなっておりますけれども、法律ができ上がりました際には、私どもといたしましては、更にマスメディアにも働き掛け、また業界団体にもしっかりとした広報宣伝をお願いするという形で準空気銃の所有者に対して、準空気銃でないものに変えるということについて強く働き掛けてまいりたいというふうにいたしております。
 また、この改正法案の附則第三項におきまして、エアソフトガンの製造事業者、販売業者等に対して、準空気銃の所持者が行う準空気銃に該当しないものへの変更に協力するよう求める努力義務を規定をいたしております。この規定を踏まえつつ、既にエアソフトガン製造事業者の業界団体では、各事業者が製造販売した準空気銃については無償で変更に応じる意向を示しているところでございます。このようなことも併せて、広く広報してまいりたいと思っております。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/21


022・山内俊夫○山内俊夫君 やはり広報活動をしっかりやっていただいて周知徹底をするということは私は大変大切なことだろうと思っておりますが。
 今回の改正により、店頭では確かに大っぴらには販売できなくなる、危険性の高いエアガンが販売されることはなくなるであろうと思われるんですが、車の違法改造もそうですけれども、かなりその改造車自身、またその改造部品をある程度販売することもかなり規制をされております。そうすることによって随分最近は、例えば暴走族の音響が下がったとかいろいろ聞いておりますけれども、この準空気銃にこういったやはり適用を私はしていく必要があると思っておりますけれども、このエアガンというのはガンマニアによって大変、まあこれオタク族も随分いるわけでございます。インターネットも利用されて取引がされるということも聞いておりますけれども、法施行後、準空気銃がインターネット上で違法に売買されるということになるということも考えておかなきゃいけないですが、警察はその辺りはどのような取組を考えられておりますか。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/22


023・竹花豊○政府参考人(竹花豊君) 御指摘のように、インターネット上で準空気銃の売買が行われ、あるいは準空気銃の空気銃への改造の仕方までインターネット上でその情報が流れるという状況が広がっておりまして、昨年、警視庁において検挙いたしました事件でも、そうしたインターネット上に現れた情報を察知をいたしまして、それを基に捜査を繰り広げて、こうした準空気銃の空気銃への改造事件を摘発した事例があるところでございます。いずれ、今回の法律ができまして、成立をいたしました場合でも、準空気銃に該当するエアソフトガンがインターネット上で売買されるということは予想し得るところでございまして、これを防ぐため、インターネット上でのこの種の情報をいち早く察知をして対処をするということが必要であると考えております。
 このため、警察におきましては、従来から行っておりますサイバーパトロールというものがございますけれども、こうした活動を更に強化をしていきたいと考えております。また、あわせまして、インターネットユーザーの多くの国民の方がおられますので、こうした国民の皆様方からの情報の提供も得られるように措置をいたしていきたいというふうに考えております。
 本年六月に設置をすることを予定しておりますホットラインという新たな仕組みがございます。これは、インターネット上の違法あるいは有害な情報の提供を一般国民の、広く国民から受ける団体が、これは民間団体に委託するわけでございますが、こうした民間団体が国民からこうした情報を受けて、それを警察やプロバイダーにもたらすという仕組みでございますけれども、こうした仕組みも、多くの国民から情報の提供を受けるという点で大きな効果があるというふうに期待をいたしているところでございます。
 いずれにいたしましても、委員御指摘のように、準空気銃についてはマニアという世界も確かにあるわけでございまして、そのこと自体を否定するわけではございませんけれども、やはりこうしたものを持ちたいという根強い要望もあり、様々な形で取引がなされる可能性もあるわけでございますので、警察としては、そうした状況の実態を十分に把握した上で適切に対処するよう努めてまいりたいと考えております。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/23


024・山内俊夫○山内俊夫君 警察当局、非常にいつも地味でありますから、少しこの辺りは、インターネットという社会はもっとある意味では活用するという、逆に活用して、しっかりと広報活動、インターネットも通じてやっていただきたい。そうすることによって、やっぱり日本社会がより安全で安心な社会になるということに大変私たちも期待をいたしております。この運用方法には十分配慮しながら、是非一生懸命取り組んでいただきたいと思っております。
 ところで、もう最後になりましたが、ちょっと予定よりも早くなりました。大臣にもう一度お聞きをしたいんですが、近年、安全で平穏な生活を求める国民の要望というのは大変大きくなってきておりますが、ところが、やっぱり犯罪というのは、もう常に多種多様化して変化もしてきております。ますますその犯罪も高まって、日本社会、今まで安全だったなと言いながらも、その安全神話がかなり崩れ掛かってきた、検挙率も少し落ちてきているという実態もあります。
 そういったことも勘案しながら、今後、警察が果たす役割というのは大変我々は期待もしておりますし、いろんな意味で警察官の増員ということも、我々も図って予算も増やしてきておるわけでございます。今回の法改正、その一部でありますけれども、国民生活の安全を確保して、そして国民の不安感を取り除くためにも大変大きな私は意味があると思っております。それにも増して必要なのは、今回の法改正を踏まえて、警察が一層銃器犯罪の根絶に向けて全力で取り組んでいただきたい。大臣のその辺りの所感並びに決意などをお聞かせいただいて、最後の質問にさせていただきます。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/24


025・沓掛哲男○国務大臣(沓掛哲男君) 今回の法改正は、国民の安全を守るためのものであり、警察といたしましては、法施行後、準空気銃にかかわる犯罪の取締りに全力で取り組むことはもちろんのこと、今後とも、銃器犯罪のない社会の実現を目指して、国内外の関係機関との連携強化を図りながら、密輸・密売組織の壊滅、暴力団武器庫の摘発、広報啓発活動の推進など、総合的な銃器対策を積極的に推進するように努めてまいりたいと考えておりますが、今日は大変委員から貴重な御意見もたくさんいただきましたので、そういうものも参考にしながら、世界一安全な国日本の復権のために全力を挙げていきたいというふうに考えております。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/25


026・山内俊夫○山内俊夫君 どうもありがとうございました。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/26


027・工藤堅太郎○委員長(工藤堅太郎君) よろしいですか。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/27


028・山内俊夫○山内俊夫君 はい。
    ─────────────
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/28


029・工藤堅太郎○委員長(工藤堅太郎君) 委員の異動について御報告いたします。
 本日、松井孝治君が委員を辞任され、その補欠として藤末健三君が選任されました。
    ─────────────
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/29


030・芝博一○芝博一君 民主党・新緑風会の芝博一でございます。
 今日は銃器対策の改正法につきまして質問させていただきたいと、こう思います。
 その前に、具体的なエアガン規制に入ります前に、全体的な銃器に対する取組について、特に昨今の銃器対策全般について最初にお尋ねをさせていただきたいと、こう思います。
 平成七年、政府におきましては、最近の厳しい銃器情勢にかんがみ、銃器対策について、関係行政機関相互間の緊密な連携を確保するとともに、銃器に対する強力な取締り、国民の理解と協力を求めるために広報啓発その他総合的かつ積極的な施策を推進するために、内閣に銃器対策本部を設置されました。以来、相当年数がたつわけでありますけれども、これは毎年毎年、銃器対策推進計画を立てて、具体的な取組を行いながら、銃器に対する取組を今日まで行ってきたと聞いております。
 そこで、銃器対策の副本部長を務める猪口大臣に、平成十七年度の銃器対策推進計画、これは現在どこまで進捗をして成果を上げているのでしょうか、その総括についてお聞きをさせていただきます。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/30


031・猪口邦子○国務大臣(猪口邦子君) 芝先生にお答え申し上げます。
 先生御指摘のとおり、この本部の下におきましてこの基本計画が毎年決定されまして、そして前年度の取組についてのフォローアップを行うという形でこの分野の施策が推進されてきているところでございます。
 現在は、いろいろな連携の中で、平成十七年においてまずどういう成果があったかの分析と、今後どういう課題があるかというところを検討しているところでございまして、例えば、銃器発砲事件の発生件数、死傷者数ともに過去最少を記録してございます。また、けん銃使用事件の認知件数も過去十年間では最少であったということから、銃器犯罪一般につきまして一定の歯止めが掛かったというような成果を認めているところでございます。
 他方で、もう既に御議論があったと承知しておりますけれども、エアソフトガンに係る事件が増加しております。また、暴力団情勢の悪化が懸念されるということなどもございますので、銃器、いわゆる情勢全体ですね、これにつきましては予断を許さない状況であると考えております。
 その中で、この推進計画に基づきまして積極的に施策を推進し、また今後の対策についても検討しているところでございます。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/31


032・芝博一○芝博一君 今大臣の方から平成十七年度の今日までの進捗状況と成果についても概略をお聞かせいただきました。改めてその成果はあるんだろうと認識をしております。特に、今言及されましたように、銃器等の発砲事件等々の減少であったり、銃器等を使用する事件の減少等々、減少傾向にはあるものの、まだまだ予断を許さない、こんな状況も続いていることも反対に現実であります。
 そこで、今大臣の方から、今は前年度、すなわち平成十七年度の、失礼、十六年度のできなかったことについて、要するに目標に達成できなかったこと、推進が十分いかなかったことについてフォローアップをどうしていくのかという検討をされているというようなこともお聞かせをいただきました。
 現実に十七年度は、取組を立てて目標設定をして、どの点がどのような形で十分な成果を上げられなかったのか、その点が分かりましたらお伝えください。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/32


033・猪口邦子○国務大臣(猪口邦子君) 先生御指摘のとおり、銃器をめぐります全般的な情勢につきまして非常に懸念される要素がたくさんございます。特に、海外との関係におきます銃器の、不法銃器の流入でございます等のことから、水際対策の強化が重要であるという認識の下に、水際対策の的確な推進、その他銃器犯罪に関する徹底的な捜査や調査、このようなことは順調にこの推進計画に基づいて推進していると評価できると思いますが、今後、今度十八年度のこの推進計画を考える際に、むしろ我々の方の取組の不足というよりも、我々を取り巻く諸状況の変化、特に国際環境をめぐる変容につきまして十分な分析をし、海外からの銃器の流入等を徹底阻止する必要があると、現在のところ認識しています。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/33


034・芝博一○芝博一君 今大臣から、昨年度から今年にかけて、まあ十七年度にかけてという部分でありますけれども、そこの部分のお話をいただいた部分、御説明いただきましたけれども、十八年度の部分にも言及をいただきました。改めて、平成七年から逐次現状に合わせながら上昇志向でそれぞれの対策を組んできていただいたと、こう思っておりますけれども、効果は、成果は上がっているものの、やっぱり状況の時代に追い付いていない部分も多々あるんだろうと、こう思っております。
 それは、今、水際対策等々のこともありましたけれども、特に昨今、私どもが印象に残りますのは暴力団の銃器等々を使った事件の発生であります。この部分については、大変一般の市民も巻き込まれるというような大きな事件にも発展することも事実であります。そこの部分がある意味ではまだまだ対策が遅れているのかなという思いをするわけでありますけれども、改めて、間もなく開かれるであろう平成十八年度の銃器対策推進計画の中において、大臣としてはどの点を、どんな部分を重点的に取組として考えているのか、その決意を聞かせていただきたいと思います。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/34


035・猪口邦子○国務大臣(猪口邦子君) ありがとうございます。
 私は、先生の御指摘は誠に真実であると思います。この銃器犯罪というものは正に平穏な市民の日常をある日突然、直接かつ重大な形で恐怖に陥れるものでありますので、社会としてはこの絶無を期すために全力を尽くさなければならないと、まずその基本認識をこの十八年度の銃器対策の推進計画を考えるに当たって深く抱いていきたいと思っております。
 その上で、先ほどお伝えしましたような国内での取締りの強化ということと併せて、我が国を取り巻く諸情勢の環境変化、情勢変化を着実に見据えて、特に我が国において押収される真正のけん銃、つまり改造されているとかそういうものではないけん銃の大部分が外国製のものであるということが調査から分かっていまして、このような実態を踏まえれば、国内の取組、そして取締りの機関が連携して特に水際対策の強化をすることが重要であり、また対外的にも協力を強化しながら、海外からの銃の流入をどう防ぐことができるかということを考える必要があると感じております。
 私は、以前にジュネーブや国連におきまして軍縮大使として、小型武器、これはここで論じているこの銃器を含む小型武器の取締りと軍縮につきましての国際的なプロセスに力尽くしたことがございます。現在は、国内からどういうふうに、そのような国際的な環境の悪化に伴って国際プロセスにおいて一層取締りを強化しなければならないようなこのような銃器の部分について、国内の側からどのように取組を強化しなければならないかということを考える立場の担当大臣でございますので、全力を尽くして十八年度の推進計画を取りまとめてまいりたいと考えております。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/35


036・芝博一○芝博一君 この銃器の対策につきましては尽きることのない永遠のある意味では課題だろうと、こう思っておりますから、気を緩めることなく、十八年度におきましても大いなる成果を上げていただきますように取り組んでいただきたいと、こう思っております。
 今も大臣の答弁の中から、銃器に対する部分はほとんどが海外からの流入であって、外国製が多く事件に使われている、また日本に入ってきていると、こういう話もございました。
 そこで、日本とその国際的な関係の部分について改めてお尋ねをしたいと、こう思うわけでありますが、国連におきまして、国際的な組織犯罪の複雑化や深刻化を背景として、国際組織犯罪防止条約、そして、それに併せて人身取引や密入国に関する議定書が二〇〇〇年の十一月の十五日に採択をされました。続いて、二〇〇一年の五月の三十一日に銃器に関する議定書が国連で採択をされました。
 ここの部分について、当然ながら、今申し上げましたように、一国だけで銃器対策が図れません。世界の中で大きな位置付けといいましょうか、銃器に対する位置付けの認識もございますけれども、現在、この国連で採択、採決をされました国際組織犯罪防止条約、そしてそれに附帯する人身取引、密入国、銃器に関する三つの議定書、現在我が国の署名状況はどうなっているのか、お教えください。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/36


037・辻優○政府参考人(辻優君) お答え申し上げます。
 今、委員から御質問のございました国際組織犯罪防止条約並びにそれを補足いたします三つの議定書の件でございますが、国際組織犯罪防止条約につきましては平成十二年十二月に署名を済ましてございます。その他三件の議定書、人身取引、密入国、銃器に関します議定書につきましては平成十四年十二月に署名を済ましてございます。
 以上でございます。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/37


038・芝博一○芝博一君 条約並びに三つの議定書については既に我が国としては署名をしていると、こういうことであります。
 で、これらの条約並びに議定書は、署名しただけでは、ある意味では形だけのものでありまして、効力を発揮いたしません。当然ながら、それを補完するといいましょうか、効力を発揮するために法的な整備をして、ある意味では国会の承認を得ないと実効が上がってこないのも事実であります。
 そこで、三議定書の国会の承認状況について御説明ください。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/38


039・辻優○政府参考人(辻優君) お答え申し上げます。
 今御質問のございました人身取引、密入国及び銃器に関します三つの議定書の国会で御承認いただいている状況でございますが、人身取引議定書及び密入国議定書につきましては平成十七年六月に国会の御承認を得ております。
 ただし、銃器議定書につきましては、現在まだ国会の御承認をいただく状況にございません。可能な限り早期の国会提出に向けて関係省庁とともに鋭意検討を行っている、こういう状況でございます。
 以上でございます。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/39


040・芝博一○芝博一君 人身取引と密入国の議定書については平成十七年に既に国会承認を終わっている。しかし、銃器についてはまだ国会承認が終わっていないという、こういう答弁でありました。
 なぜ銃器に対する議定書がいまだに国会の中で承認を得られていないのか、ここは大変大きな問題であります。この銃器に関する議定書の内容、概略を申し上げますと、銃器等の不正な製造及び取引を防止し、これと戦うための協力を推進するため、国際的な法的枠組みを構築することを目的とした議定書であります。しかし、まだ現在、我が国においては法的な整備が進まないという部分から、国会でその承認が得られていません。
 そこで、改めて、今御答弁もいただきました猪口担当大臣、先ほどからも国際的な立場、海外との連携等々も言われましたけれども、なぜ国会でまだ承認がこの議定書に対して得られていないんでしょう。その理由をお尋ねいたします。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/40


041・猪口邦子○国務大臣(猪口邦子君) 恐れ入ります。
 おっしゃいますとおり、国会におきます決定をもってこの条約を批准することができるか、また議定書の締結をすることができるかということでございますが、まず私といたしまして、銃器等の不正な製造、取引防止、これと戦うためには締約国間の協力を推進し、国際的な法的枠組みを構築することが必要であると。したがって、この銃器議定書の締結に向けて努力する必要があると考えております。
 現在のところ、例えば銃器の製造日、製造のときですね、それから輸入時の刻印など、こういう新しい制度の創設が求められております。銃器への刻印、記録保管、輸出入管理等、私は国際の部分をやりましたので、そういうところに関する制度が必要でありまして、そのような制度を確立すべく、国内関係法令を、国内担保法の整備と申しますが、そういう関係法令の整備を図る必要がございます。
 そして、先ほど先生御指摘のこの十七年度の銃器対策推進計画におきましてそれを記載してございます。国際協力の項目を見ていただけますれば、このように記載してございます。国連国際組織犯罪条約補足銃器議定書の締結に向けて、銃刀法等関係法令の整備を図る、そして国内法の検討作業に協力する、国内担保法の整備等につき引き続き検討を実施していく、その他国際協力の部分につきまして書き込んでございますので、そのように積極的に取り進めてまいりたいと考えております。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/41


042・芝博一○芝博一君 猪口大臣、取組の姿勢といいましょうか、考え方は分かりました。
 私は、まず聞きたいのは、人身取引や密入国はある意味ではスムーズな形で法整備がされて国会承認がされています。銃器がされていないという、なぜ、どんな理由があってされていないのかということが、少し、今のお話では法整備がされていないという説明しかありませんでした。法整備をされない理由、具体的にお教えください。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/42


043・猪口邦子○国務大臣(猪口邦子君) 人身取引等の他の分野でも具体的な取組の事務を詰めることは非常に難しい部分が多々あったと思いますが、それはなされたわけでございます。そして、銃器につきましても、実際には、国際的な観点からどの水準のものが求められているか、どのような対応が求められているかということにつきまして、国際的な部分の要求されるところも全般状況としては非常に高度化しているという私は印象を持っております。
 そして、この議定書が義務付けている内容は、先ほど申し上げましたような刻印、これマーキングと呼ばれるものです。これは不法に銃が転売され、その責任を、それを取り締まるためにはそのルートを追尾できなければならない、トレーシングと言いますが、そのようなことのためにもまず銃がマークされていなければならない。刻印、そしてすべての取引に関する完全な記録保管、そしてもちろん輸出入の管理等、事務的にその制度を、かつ日本の場合は非常に確度高い制度を条約議定書の締結において構築する努力を誠実にする国家でありますので、そういうところの詰めにつきまして鋭意政府として努力しているところでございます。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/43


044・芝博一○芝博一君 なぜ法整備が順調といいましょうか進んでいないのかという部分で、二、三、例えば銃器の刻印の問題とか記録の保持等々に言及をされました。これは内閣だけで調整ができてすべての法整備がそろうものではないと私は認識をしておりますけれども、この銃器議定書、すなわちこれ国会承認まで話を進めようと思いますと、関係する省庁はどことどことどこになってくるんでしょうか。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/44


045・猪口邦子○国務大臣(猪口邦子君) 主に警察庁、外務省、経産省、法務省でございます。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/45


046・芝博一○芝博一君 この各省庁間の調整が当然ながら要るということでありまして、外務省、警察庁、経産省、法務省が主なところであると、こう今も答弁いただきました。
 今、大臣の答弁でいろんな問題点がありましたけれども、同じ共有認識かどうか、まず警察庁と外務省、この銃器の議定書に対する問題把握についてお答えください。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/46


047・竹花豊○政府参考人(竹花豊君) 銃器議定書にかかわる法整備については、銃刀法の改正を要するものと認識をいたしておりまして、そのための準備を鋭意進めてきたところであり、今後もできるだけ早期に準備が整うように努力してまいりたいと考えております。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/47


048・辻優○政府参考人(辻優君) お答え申し上げます。
 先ほど、この銃器議定書の目的につきましては委員の方から御説明ございまして、私ども、この議定書を締結いたしますことは、銃器等の不正な製造、取引を防止する等の見地から極めて有意義と考えてございまして、外務省は条約を所管する省庁でございますので、関係省庁と御相談をさせていただきながら、先ほど猪口大臣からも御説明ございました、いろいろと国内法の整備の問題、これについて鋭意検討をするよう努力をしてございまして、可能な限り早期の締結を目指して努力して、続けてまいりたいと思います。
 以上でございます。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/48


049・芝博一○芝博一君 警察庁さん、外務省さん、取組と姿勢を聞いているんじゃないんです。
 今、時間が掛かって調整ができないと言われている問題点は大臣から二、三御報告をいただきました。刻印の問題であるとか記録登録の問題とか、いろいろなことがありました。
 それぞれの中で、それだけじゃない、だから調整ができないと私は理解しているんですが、改めて何の問題が、課題があって調整がまだか、どうかということを具体的にお答えください。答えになっていません。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/49


050・竹花豊○政府参考人(竹花豊君) 現在、法整備について詳細な検討を進めておるところでございまして、それは非常に実務的な問題として時間も掛かっているということでございまして、警察庁といたしましては特段何か具体的な支障があるという問題ではございません。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/50


051・辻優○政府参考人(辻優君) お答えいたします。
 国内法の整備ということでございますので、今警察庁の方からも御説明がございましたけれども、特に刻印の在り方の問題、それから記録の保持等も含めまして関係省庁に鋭意御検討をお願いしているところでございまして、できるだけ早期にやるという姿勢だけで恐縮でございますけれども、引き続き努力をさせていただきたいと思います。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/51


052・芝博一○芝博一君 そうすると、時間的な部分でまだそんなにまで至っていないという理屈だと思いますけれども、問題点、何が問題かということは同じ共通事項だろうと、こう思っております。
 そこで、銃器対策の推進本部として担当されている猪口大臣に、これらの関係省庁を早急に働き掛けをいただきまして、私は一刻も早く承認をして国際的な取組を進めていくべきと考えておりますけれども、改めて、できるだけ早くじゃなしに、いつごろまでに、今十八年度の推進計画の中でも取り上げているというお話がございましたけれども、それでは十八年度で承認ができるような形で取組をするのか、いやいや時期はまだ分かりませんよという状況なのか、その見通しについて具体的にお答えください。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/52


053・猪口邦子○国務大臣(猪口邦子君) 大変難しい質問をいただいたのですが、まず非常に重要であるという認識を、この内閣委員会の場を通じましても、また先生の御質問に答弁させていただく形をもっても改めて再確認できたところでございます。
 私といたしましては、まずこの推進本部の副本部長としての立場であり、本部長は官房長官でいらっしゃいます。その下で万全の努力をもって働きたいと考えております。また、銃器対策特命担当大臣でもありますので、そういう観点からは、行政各部の施策の統一を図り、必要であるならば、総合調整に関する事務をつかさどる立場にございますので、最善の努力をもって、関係省庁の足並みがそろい、連携が深まり、先生御指摘のこの必要なることにつきまして早期に取り組み、実施できますよう最善の努力を尽くす所存でございます。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/53


054・芝博一○芝博一君 大臣、人身取引や密入国についても、それなりのいろんな課題を抱えた中で、平成十七年六月に、いろんな調整をしながら現実に国会の中で承認をいただいて効力を発揮するところまで来ているんですよ。銃器に対しては、今足並みをそろえ調整をしながらという形であります。課題をいろいろ、二、三言われましたけれども、具体的に課題が分かっているならその調整をしながら、推進計画の中でも取り組むというだけじゃなしに、十八年度なら十八年度で承認に向けて取り組むというぐらいの具体的目標を掲げて私は早急に対処しなければ、ある意味では推進計画も空念仏に終わってしまうわけですよ。現状の追認にほかならない、こう思います。時代は国際的な関係で一刻も、深刻な状況になっているわけでありますから、再度その辺をこれから開かれる推進計画の中で、まず目標設定として大臣の強いリーダーシップを発揮されるお気持ちはございませんか。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/54


055・猪口邦子○国務大臣(猪口邦子君) 既に私として最大級の決意を述べたつもりでございます。
 私は、この分野につきまして、先ほどから答弁させていただいておりますとおり、その専門性にかんがみ、かつて国際的なプロセスにおいて専門家としてまた日本の大使として活動したことがございますので、その込み入った内容、そしてまた世界各国の取組もかなり変化してきているというようなことも理解しております。そのような私なりに理解していることも含めて、現在のこの特命担当としての任務に生かしつつ、全力を尽くして、この十八年度の推進計画をこれから策定するところにございますが、先生の本日の御質問の内容につきまして深く重く受け止めて対応してまいりたいと思っているところでございます。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/55


056・芝博一○芝博一君 考えようによれば、大臣、今日これから本来の目的でありますエアガン、すなわち準空気銃の規制の法施行よりも、今申し上げましたような議定書の締結の方が大きな意味では大事な意味があると思っているんですよ。そこのところをしっかりと認識をいただいて取り組んでいただきますことを、これ以上議論しても前へ進まないと思いますから、大臣の決意を十分述べていただいたと把握して、十分に対応、対策を、そして早急に国会に提出されることを御要望して、この件については終了させていただきます。
 続いて、本来の準空気銃関連についてお尋ねをさせていただきたいと思います。
 先ほどから同僚議員からの質問等々もございましたけれども、今回の規制対象となる強い威力を持ったエアガン、これは推計で八十万丁という御報告をいただきました。でも、これも恐らく先ほどの答弁で推測だろうと、こう思っているんですね。
 この根底になる全体のソフトエアガン、ここの普及状況、その方の推測についてもお答えください、警察庁。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/56


057・竹花豊○政府参考人(竹花豊君) 業界団体からの説明によりますと、エアソフトガンと称されるものを年間約百五十万丁市場に出荷をしているということでございます。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/57


058・芝博一○芝博一君 今の警察庁のソフトエアガン、それから先ほど規制対象となる準空気銃の八十万丁についてもほとんどが業界からの情報を基にされているんですね。ところが、業界以外で、各マスコミ、新聞社では百五十万丁の一般ソフトエアガンが出回っている、いや三百万丁、いやいやもっとあって四百五十万丁から五百万丁ですよ、こんな報道も、情報もあるわけですよ。私はその推測の根拠が非常にあいまいだと思っているんです。ソフトエアガン自体でそんな部分でありますから、その中で規制対象になる八十万丁も果たして正確かどうか、もっともっと出回っているんではないか、こう思っているんです。
 そこのところをしっかりと踏まえながら以下の質問をさせていただきたいし、この対応策も取っていただきたいと、こう考えているわけでありますけれども、先ほどからの御報告で、例えば平成十五年から十七年度まではこのソフトエアガン、大多数出回っているソフトエアガンによる犯罪が百六十五件検挙した、この御報告をいただきました。その中で、今回の準空気銃を使用した事件は五十五件と言いましたか、三十五件と言われましたか、ちょっと聞き逃したので。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/58


059・竹花豊○政府参考人(竹花豊君) 五十五件でございます。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/59


060・芝博一○芝博一君 五十五件が起こっているわけでありますけれども、本来、今回このエアソフトガンを準空気銃として規制しようとしたのは、先ほどの委員からも発言がありましたように、このソフトガンを使って多くの事件、事故が起こっている。ある意味では規制するには遅きに失したという感もございますけれども、ある意味では当然ながらの今回の規制であろうとも考えます。
 しかし、これだけ多く出回っているソフトエアガン、これを規制する規制値は、先ほど、一メートル離れたところから一平方センチ当たりで三・五ジュール以上の威力を発揮するものという、こんなことを考えていると御報告いただきました。現実にどんな銃で撃てば、あの先ほどの空き缶に空いた穴、威力等々も御明示をいただきましたけれども、よく実態といいますか実感がわかないんであります。
   〔委員長退席、理事柳澤光美君着席〕
 先ほどの空き缶でありますけれども、これは今、内閣府令で基準を考えていますけれども、三・五ジュールで撃った穴なのか、それとも最高値の二十ジュールまで行った穴なのか、ここにも大きな開きがあるわけであります。もっと分かりやすく説明いただけませんか。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/60


061・竹花豊○政府参考人(竹花豊君) 先ほど回されましたビールの空き缶に対して、穴が空いているものでございますが、また先ほど委員の間で回覧をされましたエアソフトガンの強度についてでございますけれども、一つは四・六ジュール・パー・平方センチ、一つは四・二ジュール・パー・平方センチでございますが、このいずれで撃ちましてもあのような形で貫通した穴が空くものでございます。
 いずれ、こうした三・五ジュール・パー・平方センチ以上の威力の強いエアソフトガンの強度は、人の生命に危険を与えるほどのものではございませんけれども、人の皮膚を挫滅する、そうした威力を有するものでございます。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/61


062・芝博一○芝博一君 先ほどの空き缶の例は四・二と四・六ジュールの威力で撃ったものと、こういうことでありますけれども、そうすると、二十ジュールに近い値になるとどれぐらいの威力があるのかというのはもう想像が私どもはできません。ここにいる先ほど空き缶を見て銃を見た人もしかりでありますけれども、国民はもっと分かりにくいわけであります。
 是非、この規制値が三・五ジュールで空気銃の手前の二十ジュール以下という、ここの部分が具体的に、例えば身体に傷害がある、こう言われますけれども、傷害にも低いジュールの威力と高いジュールの威力では大きな差があろうと思うんですね。もう少し分かりやすく説明いただけませんか。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/62


063・竹花豊○政府参考人(竹花豊君) 御指摘の空気銃の威力を有するものと考えております二十ジュール・パー・平方センチのものについてでございますけれども、やはり空気銃というのは一つの武器ということで、従来から銃刀法の規制の対象としてきたものでございます。
 一方、エアソフトガンと申しますのは、子供が玩具として使うものを含めた、広く言わばおもちゃとして使用されてきたというベースが一つあるわけでございます。
 そこから出発いたしまして検討いたしますと、三・五ジュール・パー・平方センチといいますのは、おもちゃとしては強過ぎる威力だとだれもが感じられるものであり、現実に人の皮膚を撃ちますとその皮膚を挫滅をするという、傷害を与え得る能力を持っているものと考えるものとして相当の、ジュールというのは基本的には運動エネルギーを表す単位でございますので、そうした三・五というのは一つの目安として相当のものではないかということを考えているところでございます。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/63


064・芝博一○芝博一君 この威力について、私も、今説明いただいても十分にのみ込めない、具体的に見てみないと分からない部分があろうと、こう思っております。そこのところについては後ほどまた質問をさせていただきますけれども。
   〔理事柳澤光美君退席、委員長着席〕
 先日来、電気製品の安全管理に関するPSE法で大変混乱が起こりました。これは、一に周知徹底が遅かった、十分でなかったと、こう言われております。そして経産省の運用が一転し二転したと。大変混乱をいたしました。今回のこの準空気銃の規制においても、そのことが非常に心配をされるわけであります。
 現実に、今ソフトエアガンを所持する人、製造や輸入をする人及び一般国民に対して私は広く広報啓発をし周知徹底をしなければならない、そうでないとまた同じように、PSE法と同じような混乱が起こると危惧をしております。
 具体的な方策をお考えでしたら、公安委員長から御説明をいただきたいと思います。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/64


065・沓掛哲男○国務大臣(沓掛哲男君) 委員御指摘のように、徹底した広報活動というのは必要だというふうに思っておりまして、改正法の施行に当たりましては、早々、趣旨について広報啓発を行うことが重要であることは委員御指摘のとおりでございます。
 警察に対しては、ホームページあるいはビラあるいはパンフレットなどを活用することによって、現にエアソフトガンを所持している者を含め広く国民に、今回の法改正によって準空気銃の所持が違法となることを周知させたいと考えております。
 また、業界団体に対しましても、エアソフトガンの購入者名簿等を活用するなどして、特に準空気銃に該当するものを所持している者に向けて、速やかに準空気銃に該当しないものに改めることを呼び掛けるよう求めていきたいというふうに思っております。
 何はともあれ、今委員のおっしゃられたようなこの広報活動は、今回のような改正において極めて重要と認識しておりますので、徹底してやっていきたいというふうに考えております。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/65


066・芝博一○芝博一君 是非早めの、これでいいではなしに、徹底した周知徹底をお願いをしたい、これがまさしく混乱を防ぐまず第一歩であろうし、改めて、所持をする人がきちっと対応するためには、所持をする人にきちっと対応してもらうためにもこの周知徹底を是非ともお願いをしたいと、こう思います。
 その観点で、ガンマニアの中には、準空気銃に当たることが分からない、当たるかどうか分からない、そのまま所持するケースも考えられます。といいますのは、今、三・五ジュールという大変難しいような専門用語で広報をしているわけでありますから、ガンマニアでも分からない、一般国民は分からないわけですよ、その威力について。
 そこで、今自分が持っている、所持している銃が今回の準空気銃の規制値に当てはまるかどうか、規制対象になるのかどうか、これを確認する方法、これをどうお考えか、お教えください。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/66


067・竹花豊○政府参考人(竹花豊君) お持ちになっておりますエアソフトガンが法の規制対象になるかどうか確認をしたいという方々がおられるということも念頭に置きまして、この法律が施行になりましたら直ちに、警察庁あるいは都道府県警察本部のホームページを活用するなどいたしまして、確認をしたい方々はこういう警察署あるいはこうした業界団体のこういうところに御連絡をくださいということも含めまして、広報活動に取り組みたいと考えております。
 また、もちろん、どうすればよろしいですかというお問い合わせがありましたときには、最寄りの適切な場所を御案内するように努めてまいりたいと考えております。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/67


068・芝博一○芝博一君 ホームページ等で案内をすると、署とか団体と、こう言われました、確認する場所を。
 署と団体というのは、警察署は各警察署ですね、それは分かると思うんですけれども、各種団体とか適切な場所というのは具体的にどういうところを指すんでしょう。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/68


069・竹花豊○政府参考人(竹花豊君) 私の発音がいけなかったかと存じますけれども、警察施設、警察署にもこうした測定をするところができるところを設けることになると思いますので、そのような警察署の名前。それから業界団体も、業界団体の施設がございますので、そうした確認ができる機能を持ったものを設置をしている場所でございます。それは今後、業界団体とも相談をしながら、どういうところを広報していくのかということについては詰めてまいりたいと考えております。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/69


070・芝博一○芝博一君 各署とか団体の設置する場所ということであります。
 そうすると、それは全国で相当数設置されなければ、ある意味では、地方の人が東京まで来て、名古屋まで行って、大阪まで行ってというような状況が起こりかねません。売った販売店等々でも気軽に手軽にその測定ができて、自分の持っている銃が規制対象になるかならないかと分かることがまず大事だと、こう思っているんですけれども、そこまでの体制を組んでいないような御答弁であります。
 私は、この測定する部分、相当数の整備をしないと五十万丁の確認も八十万丁の確認もできないと、こう思いますし、改めて、これはよく知識のある方なら個人でも測定できる数値なんですか。方法なんですか。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/70


071・竹花豊○政府参考人(竹花豊君) 簡易にこのエアソフトガンの威力を測ります機械、これはエアソフトガンの弾速測定器と一般に言われているものでございますけれども、これは市場において安価で販売をされております。したがいまして、非常に、マニアの方で多数のこうした銃をお持ちの方であればまあ手に入れてもおかしくない程度の安価なもの等もございますし、また業界団体や販売所、またもちろん警察においてもできる限りこうした機械を、まあこれは簡易のものでありますけれども、そうしたものを設置するように努めてまいりたいと考えております。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/71


072・芝博一○芝博一君 できるだけ手軽にその確認ができるという体制、場所を整備いただきたいと思います。
 そうすると、確認をした、私が例えば持っているエアソフトガンが規制対象にならない、なるは別にして、もう要らないよと、どうぞこれを、例えば警察署行って、若しくは業界団体のその施設で、販売店で処分をもうしてしまいたいと。こうしたときには、それはだれがどのように責任を持って処分をしてくれるのか、そしてその処分に対する費用負担等々は発生するんでしょうか。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/72


073・竹花豊○政府参考人(竹花豊君) 警察施設にお持ちになって処分を依頼されましたら、私どもは快くこれを受け入れまして、基本的にはこれを分解をいたしまして、エアソフトガンとしての機能を失わしめた上、ごみとして焼却をする。その処理の費用は、まあこれは他のごみと併せて焼却をする、処理をするということになろうかと存じます。
 業界団体におきましても、現在その点についても話合いを進めておりますけれども、処理をゆだねられれば同様な形で処理をいたすことというふうにこれから話をしていきますけれども、多分そのような形で警察と同じような処置をとられるものと承知をいたしております。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/73


074・芝博一○芝博一君 相当数、今回の規制によってもう処分したいよという人がいると、警察署へ行けば当然ながら今責任を持って分解をすると、こういうことでありますけれども。ある意味では販売業者に、店頭へ持っていって処分をしてくれと、また個人で処分をするような方も見えると思うんですけれども、いずれにいたしましても警察なり各都道府県、それから関係団体との連携、連帯をより綿密に組み立てていただきまして、そこの対応をきちっと図っていただきたい、こう思っております。
 そこで、マニアの中には、検査に行く、要するに自分の銃が規制対象になるかならないか、若しくはきちっと警察署へ行って処分してくださいと、これも面倒だと、手間が掛かる、だからもう要らないんだ、そうしたときにはもうほってしまおう、放棄しよう、廃棄しよう、こんな方がたくさん出てくるだろうと予測をしております。ところが、ごみ捨て場に捨てられたり、道端に捨てられたり、畑や田んぼに捨てられた部分、そこから知らない人の、大人でも子供でも拾ってきて二次的な事件や事故が発生する可能性が大いに考えられます。そこのところをどのような対策を取っていくおつもりか、お聞かせください。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/74


075・竹花豊○政府参考人(竹花豊君) 確かに、委員御指摘の懸念もあろうかと存じます。したがいまして、法施行相なりました際には、そうした処理の在り方についても、事前に広くこうしたエアソフトガンの所持者に対して広報啓発活動を進めていくということで対処してまいりたいと考えております。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/75


076・芝博一○芝博一君 この辺についても、私は、法施行前に限らず、施行後に限らず、大いに広報啓発をしないと、本当に無責任にほってしまう、放棄してしまう、廃棄してしまうという事例が出てくると思います。そこのところはしっかりと対策と啓発をしていただきたい。これはもう要望であります。
 ところで、法施行後六か月は経過措置があります、改修等々の、威力を落とすための。それはいいとして、六か月たって以降、自分は所持を忘れていて出てきたよ、若しくはそのときには所在が不明であった、それが例えば法施行後出てきた。それが発覚したときには、その所持者は処分を受けて罰則対象になるんでしょうか。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/76


077・竹花豊○政府参考人(竹花豊君) その準空気銃の所持について、あったことを忘れていたというのは、それはもう、所持をしていたという、まあ故意といいますか犯意がございませんので、まあもちろん具体的な事情によるわけでございますけれども、そこら辺のことについては、事実認定いかんによりまして犯罪が、この銃刀法違反にならない場合もあろうかと思います。そこら辺は、事実関係様々ございますので、事実関係よく確認をした上で、もちろんこれが銃刀法違反として措置すべきものであれば措置をいたしますけれども、今委員御指摘のような状況であれば銃刀法違反にならない場合もあろうかと存じます。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/77


078・芝博一○芝博一君 そこのところは、法律ですから、きちっとした基準を設けて、各都道府県警なりそれぞれの現場へ通達をしてもらわないと、各都道府県警で扱いが違うようでは困るわけでありますから、改めて、再度そこの運用基準というものをしっかりと定めていただきたい、こう思います。
 ところで、現在、全国の各地方自治体では青少年健全育成条例の中で既に早くから青少年のためのソフトエアガン規制を行っております。例えば、この東京都では、満十八歳未満の青少年に五十センチ離れたところから〇・一三五ジュール以上のソフトエアガンは売ってはならない、売った場合は業者を処分対象とする、すなわち違反、罰則対象とすると、こうなっております。
 ところが、今回のこの準空気銃の扱いの基準値、そして罰則の対象等々について大いなる不整合がある、整合性がない、こう思っているんですが、ここの部分の運用について、国家公安委員長はどのような形で整合性を持って、そしてどのような関係になるのか、お答えください。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/78


079・沓掛哲男○国務大臣(沓掛哲男君) お答えいたします。
 委員御指摘のとおり、現在でも多数の都道府県、今四十一都道府県かとは思いますが、青少年健全育成条例等によりエアソフトガンが有害玩具として規制の対象とされておりますが、これらの条例は青少年の健全育成を目的とし、青少年へのエアソフトガンの販売等を規制しているものであります。青少年への販売を規制するという立場からのものでございます。
 一方、今回の改正法は、準空気銃による危害の発生を防止するため、何人に対しても準空気銃の所持を禁止するものであります。改正法において規制対象とする準空気銃の威力の詳細については今いろいろ検討しておりますが、今、先ほど来もお話のありましたように、銃口から一メートルの位置で測定した弾丸の運動エネルギーが三・五ジュール・パー・平方センチ以上のものを準空気銃として規制することを今の時点では想定いたしております。
 他方、都道府県条例で規制されておりますエアソフトガンは準空気銃に該当しない威力の弱いものも含まれておりますが、改正法と条例は、規制の目的、それから規制態様などが異なるものであり、改正法は条例と抵触するものではないというふうに考えております。
 なお、改正法施行後、青少年に準空気銃を販売した者は、改正法による準空気銃の不法所持にかかわる罪と、それから都道府県の条例で決められております青少年育成条例違反の双方に該当することになるものと考えております。
 以上でございます。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/79


080・芝博一○芝博一君 今の公安委員長の御答弁の最後の部分でありますが、青少年条例は販売者に対する部分の規制、罰則があります。で、今回の準空気銃規制は所持者に対する罰則規定であります。
 これが、例えばですよ、十八歳未満の十七歳の少年、私が、準空気銃を取得したとしますと、当然本規定上で、売った側も取得した側も当然ながら罰せられます。しかし、全国の青少年条例によりますと、十七歳の子供だったら青少年条例の対象にならないわけですよ。売った業者だけが対象になるんです。そうすると、今大臣の答弁では、どちらかの形でも、業者は本法律でも県条例でも二重摘発をされるという、そんな解釈でよろしいですか。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/80


081・竹花豊○政府参考人(竹花豊君) 売った、もちろん業者が、準空気銃を売るための業者というのはもうごくごく、この法律で例外的に認められている場合でございますので、業者がそうしたものをふだん持てるような状況、準空気銃を売れるような状況で所持をしている状況はないわけでございまして、そうした、その準空気銃を所持していること自体についてまずこの銃刀法違反として罪になるわけでございます。これを少年に売り渡した場合には、その当該都道府県の青少年健全育成条例で売り渡した罪も併せて罪になるということでございます。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/81


082・芝博一○芝博一君 併せて罪になるということですね、その売り渡した業者としてはね。そうすると、本法律案で一年以下若しくは三十万円以下となりますか、それの部分で適用も受けて、改めて青少年条例の中での罰則も受けるという解釈でよろしいんですね。そこはそれでいいと思います。
 そこで、今お話に出てきましたところ、これは準空気銃については所持した場合の罰則規定しか挙がっておりません。一年以下、三十万円以下の罰金だと思っております。ところが、ほかのけん銃とか空気銃のように製造、すなわち改造のための部品製造、これも含んでいる。さらには、今言いましたように譲渡、受渡し等々も含めて、これはまあ当然、受け渡すためには持っている人は当然所持になるわけで、これはやっぱり対象になるわけでありますけれども。それとか、改造行為、持たなくてもAさんのけん銃を改造しましたよ、ここに対する罰則規定はまるっきり挙がっていないんです。なぜ挙がらないのか、その理由をお答えください。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/82


083・竹花豊○政府参考人(竹花豊君) 現在、改造を含めました製造が法で規制されておりますのはけん銃、猟銃、空気銃等の銃砲でございまして、譲渡が法で規制されておりますのはけん銃及びそれらの部品でございます。で、これらはいずれも人の生命に危険を及ぼし得る武器又はその密造に供されるものでございます。
 一方、今回規制いたします準空気銃は、人の身体に傷害を与える可能性があるものではございますが、人の生命に危険を及ぼすほど威力の強いものではないことから、武器よりも危険性は低く、その製造、譲渡については今回特段罰則を新設せず、準空気銃を正当な理由なく製造、譲渡した者については準空気銃の不法所持として取り締まることといたしたものでございます。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/83


084・芝博一○芝博一君 最後に。
 今回、準空気銃規制については、県の青少年条例で同じエアソフトガンでも対象が違ってくるとか、いろんな複雑な要素も絡んでおりますし、一般に対する、所持者、国民に対する周知徹底がポイントだろうと、こう思っております。
 そこのところを十分把握をされまして、適切かつ慎重な対応をしていただきますことを御要望申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/84


085・風間昶○風間昶君 公明党の風間ですけれども、確認になるかもしれませんけれども、先ほどの業者からの情報によると、エアソフトガンは八十万丁出回っているというふうにありましたけれども、どんな業者が作っているのか、おもちゃ業者なんでしょうかね、教えてくれますかね。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/85


086・竹花豊○政府参考人(竹花豊君) 我が国でエアソフトガンを製造している業者の多くは、威力が強くないエアガンの製造に努めているところでございますけれども、そうした業者の一部が、威力の強く準空気銃に該当するものを製造してきたことがございますし、また、一部の販売店等が顧客の要望にこたえて威力の強いエアソフトガンに改造するというふうなこともあったというふうに聞いておりまして、このようなものが合わさりまして約八十万丁出回っていると業界の中で推計をいたしていると聞いております。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/86


087・風間昶○風間昶君 ですから、推計でずっと今議論しているということなんでしょうけれども、そうすると、さっきもちょっと出ましたけれども、二十ジュール・パー・平方センチメーター以上空気銃で、三・五ジュール以上は準空気銃というふうに定めていますけれども、さっきの年間百五十万丁ほど出荷されているということでありますけど、全体総数は、本物の銃器も分からないけれども、この言わば空気銃も分からないということになるんですかね。教えてくれますか、そこは。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/87


088・竹花豊○政府参考人(竹花豊君) 年間百五十万丁ほどエアソフトガンが出荷されてきたということでありますけれども、この中には、いわゆる先ほど申し上げました威力の強いものも含まれた数値として承っております。
 したがいまして、一年間に百五十万丁でありますから、大体耐用三年といたしますと、それに三を掛けた数字といったものがエアソフトガンとして大方現在世の中に出回っているものというふうに考えてよかろうかというふうに存じます。
 一方、空気銃はその所持には許可が必要としておりまして、許可をいたしております空気銃の数は三万数千丁と承知をいたしております。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/88


089・風間昶○風間昶君 はい、分かりました。ちょっと私も勘違いしていました。空気銃が三万数千丁ね、分かりました。
 今回のこの改正された法案で所持が禁止になるわけでありますけれども、実効性を高めるためにはこの準空気銃が違法に国内に供給される道を断たなきゃならないと思っておりますけれども、製造については、国や地方公共団体に譲り渡す場合などに限って認められるのは分かりましたけど、輸入について厳しく規制する必要があるんじゃないかと思いますが、この部分についての水際作戦も含めてどのように対処されるのか、教えてください。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/89


090・竹花豊○政府参考人(竹花豊君) 今回の法改正によりまして、輸入自体を規制はいたしておりませんが、輸入されまして国内に持ち込まれた段階で不法所持ということになりますので、そこを適用いたしまして規制をいたしたいというふうに考えております。
 このような法が施行になりますれば、業者が大量に国内に頒布するものとして輸入をするというような事態は恐らく影を潜めるだろうというふうに期待をいたしておりますし、そういう効果もあろうかと思いますけれども、ただ、個人が個人として輸入をするというような事態につきましては、これにつきまして、そうした方法というのは、基本的にインターネット上の世界で情報交換がされるということも多いというふうに承知をいたしておりまして、そうしたところから情報を収集することで、個人による輸入といったものについても不法所持として摘発するということを、そうした取締りを十分行っていきたいと考えております。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/90


091・風間昶○風間昶君 そうすると、輸入の部分は分かりました。製造の部分も分かったけど、国内での今度、何ですかね、今のインターネットを含めて、製造する事業者がガンマニアなどに横流しする可能性、これあるんですよね、ネットだけじゃなくてね。それはないんですか。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/91


092・竹花豊○政府参考人(竹花豊君) そうした場合はやはり罪になりますので、それは業者としての生命を絶たれるということにもなりかねないという事態でございますし、私どもとしては、恐らくそうした横流し事犯というものは、もちろん届出を、私ども、各公安委員会がこうした業者についての届出を受けますので、そうした業者に対する日常的な働き掛けを行うことを通じましてそのようなことがないように、もちろん働き掛けを進めていくということもやっていきたいと存じておりますし、そういうことも考えますと、恐らく横流しという事態についてはさほど大きな心配はしなくてもいいのではないかというふうにも考えているところでございます。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/92


093・風間昶○風間昶君 分かりました。
 改造については製造同様の規制と考えていいでしょうか。特に、ガンマニアによるこの改造についてどのように対処するかということを伺いたいと思います。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/93


094・竹花豊○政府参考人(竹花豊君) 威力の弱いエアソフトガンを威力の強い準空気銃として改造するという事案については、準空気銃の不法所持として対処をするということでございます。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/94


095・風間昶○風間昶君 分かりました。
 それから、先ほども議論になっておりましたけれども、この今回の二十四条の二項に、準空気銃の一時保管、警察官による一時保管が準空気銃を保管する対象に追加する法律の中身になってますけれども、問題は、だからこの保管したやつは、先ほどの御答弁で、分解してエアガンとして役に立たないようにしてごみとして処理するという──いいですか。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/95


096・竹花豊○政府参考人(竹花豊君) 済みません。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/96


097・風間昶○風間昶君 いや、聞こえてました。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/97


098・竹花豊○政府参考人(竹花豊君) はい。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/98


099・風間昶○風間昶君 二十四条の二項に、準空気銃を警察官が一時保管するという項目になってますよね。これは通告してないんだけれども、なってますよね。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/99


100・竹花豊○政府参考人(竹花豊君) はい。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/100


101・風間昶○風間昶君 それで、問題は、だから先ほどの同僚議員の質問で、警察に来たやつはどうするんですかと言ったら、エアガンとして使えないように分解してからごみに出すというお話をされましたよね。
 それで、私が危惧しているのは、さっきの議論もそうですけれども、警察に持っていくのはいいとしても、持っていかないでいわゆる捨てる、放置するというか捨てる場合は、一般の人が鉄砲の姿を見たら必ず撃ってみたくなるのは当たり前なんで、いや大したことないなと、それはどうか分からぬけれども、とにかくやって、要らないといって投げる、投げるというか捨てるときに、燃えないごみとして出すわけですよ、普通はね。気が付かないようにして燃えないごみにして出すかどうかは別にして、出すんですよね。
 だから、いわゆる産廃ではなくて一般廃棄物としてごみに出ていくとなると、それぞれの地域の回収車が回収していくことになるけど、あれ、エアコンプレッサーでがあっと圧縮するんですよね、ごみ、たくさんこう中へ押し込むために。そうすると、圧縮されることによって、もしかしたら不測の事態が起こるかもしれない。そういうふうに、いや懸念しているんです、素人的に。
 そういうようなことを考えるならば、警察庁のマターではないけれども、捨てる際の一定のルールというのが必要ではないかなというふうに思うんですけれども、細かいかなあ。どうでしょうか。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/101


102・竹花豊○政府参考人(竹花豊君) 先ほど来申し上げておるところでございますが、本法成立いたしましたら、直ちにそうした廃棄のありようについても具体的に広報を進めていく必要があるというふうに考えております。その内容におきまして、今委員御指摘の点を踏まえて、どういう広報の中身が適当であるのかということについて今後検討させていただきたいと存じます。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/102


103・風間昶○風間昶君 分かりました。
 この資料にエアソフトガンに係る事件件数が、けん銃使用事件の五分の一ぐらいですけれども、いずれにしてもこの三年間で五十数件あるわけでありますけれども、このうち少年がエアガンを使用して犯罪を起こした例というのはどのぐらいあるんでしょうか。ほぼイコールですかね。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/103


104・竹花豊○政府参考人(竹花豊君) 十五年から十七年の三年間におけるエアソフトガンに係る事件全体の検挙、補導は百六十五件でございますが、このうち少年が関与しておりますものは七十六件でございます。また、委員御指摘の準空気銃を扱った事件が全体としてこの百六十五件のうち五十五件あるわけでございますが、このうち少年がかかわったものが十五件でございます。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/104


105・風間昶○風間昶君 なるほど。
 そうすると、結構、半数まで行かないけれども半数近くあるということですから、要するに人の体に傷付ける、皮膚が挫滅するあるいは挫傷するということの、このエアガンを世の中から排除するということはなかなか難しいわけですけれども、それにも増して、人を傷付けないというか思いやるという善悪の判断能力をやはりきちっと教育の現場で教えていくというとおかしいですけど、体験していく、させていくというのが大事なことでありますから、学校現場のところでそのことを含めて、人に危害を与えない、傷付けるとこうなるということも含めて、どのような取組しているのか、教えていただきたいと思います。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/105


106・馳浩○副大臣(馳浩君) 基本的に小学校から、道徳の時間そのほかの生活とか総合的な学習の時間などを通じて、規範的にこういうことをしてはいけない、人に危害を加えてはいけない、ルールを守りましょうということを教えておりますし、また今日ちょっと持ってきたんですけれども、この非行防止教室等プログラム事例集というのを、これは警察庁と一緒に協力をして学校の先生方に配っておりますが、これは今現在、小中高校で非行防止教室というのを行っておりまして、その事例集を取りまとめたものでありまして、ここは全体のまだ四六%程度でしかないので、できるだけもうほとんどすべての学校で非行防止教室を実際にやっていただく、より一層取り組もうと思ってるんですが、小学校でいえば、まさしく万引きしてはいけませんよとか、他人を傷付けてはいけませんよと、ルールを守りましょうと、子ども一一〇番はこういうところにありますよと、こういうことを伝えたりする。中学校になってくると、自主的に防犯活動に取り組みましょうと。高校段階になってくると、犯罪被害者から、被害に遭った人の気持ちを理解しましょうとか、また最近多い携帯電話を使った性犯罪、こういったこと、また、薬物あるいは銃器等への対応、こういったことを具体的に理解をして、こういったことに手を染めてはいけない。また、指導する立場である先生方には、非行等があった場合にどういう流れで、少年院とか弁護士さんとか、いわゆる警察との連携を取りながら、と同時に更生させていくかというプログラムも指導しながら取り組んでいるところであります。
 やはり今一番効果があるのは、警察官の方が直接学校に来ていただいて、やっぱり実践的に、教師としてはやはり観念的に道徳とか社会規範を教えられますが、警察官の方々が、実際に現場におられる方々に、やっぱりこういったことは良くないんだとしっかり教えていただく、そういったことから総合的に学んでいくという姿勢を伝えるというふうなことを、取り組んでいるということをお伝えさしていただきたいと思います。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/106


107・風間昶○風間昶君 そして、それが少年非行犯罪の防止になっていくことになればいいんですけれども、それをずっと続けていくおつもりだと思いますけれども、それが一番いいんですかね。今後ずっとそれを続けていかれるんですか。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/107


108・馳浩○副大臣(馳浩君) これは当然やっぱり警察庁と連携しながら、どういう指導、対応したら子供たちの心にしっかり届くのかと。実際に中学生が暴力団の勧誘に遭わないようにするにはどうしたらいいのかとか、具体的なことはなかなか学校の教職員だけでは分からないところがありますから、実際犯罪の現場、取締りの現場にいる警察の方々にも伺いながらやっていくべきと思いますし、恐らく各都道府県でも、教育委員会と警察の方と人事交流も進んで、日ごろから連携をして、学校教育の中だけでは対応し切れない部分も警察と連携しながら、また司法関係者とか福祉関係者とも連携しながら取り組んでいるところでありますので、ここのより一層取組を進めていくということが必要だと考えております。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/108


109・風間昶○風間昶君 そのような教育の取組を踏まえて、最近の少年非行に関する国家公安委員長としての認識を一言で伺いたいと思いますし、またそれに対してどのように取り組んでいかれるのかを伺って、質問を終わりたいと思いますけれども。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/109


110・沓掛哲男○国務大臣(沓掛哲男君) お答えいたします。
 最近の少年非行情勢につきましては、刑法犯検挙人員の約三割を少年が占めており、人口当たりの検挙人員で見ましても少年は成人の約六倍と依然として高水準にあると承知しております。また、個別の事例で見ましても、少年による社会の耳目を集める重大な事件は後を絶たず、少年の非行の現状に懸念を有しているところであります。
 このような状況に対しましては、少年が非行や犯罪に巻き込まれず健全に育っていくよう、学校等とも連携して街頭補導活動の補強、少年を取り巻く環境の浄化など、非行や犯罪被害の防止に取り組んでいるところであります。
 今後とも、地域の子供は地域で守り育てるという機運を高めるとともに、少年の非行防止や被害抑止のため総合的な取組が推進されるよう努めてまいりたいと思っておりますが、今、風間委員から言われましたいろいろなことについて、今文部副大臣の馳さんからいろいろなお答えがありましたが、私はこれに対して一番やっぱり期待しているのは二つありまして、一つは、いわゆるスクールサポーターというのを設置させていただいております。これは警察官のOBの方々が中心になっているものでございまして、学校の生徒さん方に、今、馳さんがおっしゃられたようないわゆる安全のために必要なことなどなどいろいろ具体的に教育して教えてくださる人たちでもあります。
 もう一つは、いわゆる非常にこれが最近活発に活動していただいている防犯ボランティアでございますが、この防犯ボランティアは全国で約今二万団体ほどできてきております。急速にできてまいりました。全国の学校区、小学校の学校区が約二万三千でございますから、大体学校区に一つぐらい防犯ボランティアが出ております。私も先日栃木へ参りましたら、栃木県では全学校区に一つずつボランティアができて、それがいろいろ活動してくださっているという、やはり地域住民の方々のそういう盛り上がるような、この防犯に関してあるいは青少年の非行に対するそういうものを抑止していこうという、そういうものをやはり生かしながらやっていかなければならないし、特に今委員いろいろ御心配されている、きっと持続性ですね。やっぱり一時的には確かにそういうことはできるけれども、こういう問題はやっぱり持続しながら続けていくことが非常に大切でございますので、今申し上げたようなこういう制度、そういうものを生かしつつ、持続的に青少年の非行に走る問題などなどへの適切な対応を今後とも皆さんの御指導もいただきながらやっていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/110


111・風間昶○風間昶君 終わります。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/111


112・工藤堅太郎○委員長(工藤堅太郎君) よろしいですか。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/112


113・近藤正道○近藤正道君 社民党・護憲連合の近藤正道でございます。
 質問時間がわずか十二分でありますんで、二つほど質問できればいいなと、こういうふうに思っております。
 一つ目でございますが、エアソフトガン、これは従来は規制の対象外だったわけでございますが、このエアソフトガンのうち人を傷害し得る威力を持つものについて所持を禁止するということでございます。
 六か月の経過措置の後に発効するわけでございますが、このエアソフトガンのうち人を傷害し得る威力を持つもの、これが外観で一目瞭然で分かる場合と分からない場合がございまして、分かる場合は検挙は容易だというふうに思いますが、分からない場合どういうふうに現場で捜査官が対応されるのか、お聞かせをいただきたいというふうに思います。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/113


114・竹花豊○政府参考人(竹花豊君) やはり、犯罪の構成要件がこうした準空気銃に当たるかどうかということについては、三・五ジュールを目安としたものを内閣府令で定めるわけでございますので、そうしたものであることが確実に明確にならないと検挙ができないところでございますので、できるだけ迅速に簡易な、そして威力の鑑定を含めまして、威力鑑定が進められるように措置をしてまいりたいというふうに考えております。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/114


115・近藤正道○近藤正道君 簡易な測定器を持っているということはいいんですが、通常はそういうものを持ち歩いているわけではなくて、街頭等でいろんな形でその可能性がある事態に遭遇したときに、現場の捜査員は、警察官はどういう対応をするんですか。例えば任意捜査とかあるいは職務質問とか、いろいろありますけれども、いずれにしても、そのエアガンを出してもらって、そしてそれを測定しなけりゃそれは分からぬわけでございますが、現場の言わばイメージが私にはよく分からない。典型的なケースでひとつ御説明をいただきたいと思います。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/115


116・竹花豊○政府参考人(竹花豊君) もちろん、エアソフトガンを所持しているかどうかについて、警察がその端緒を得るにはいろいろな方法があろうかと思います、ありようがあろうかと思います。
 もちろん、関係者から彼は持っているよというような情報の提供が事前にあって捜査をする場合、これについてはそうした簡易の測定器を準備するなど適切な方法を講じることが可能かと思いますが、突然、街頭を歩いている一般の方がどうも銃らしきものを持っているということが分かりました際には、これはやはり本人の承諾を得まして、それについて簡易な鑑定が迅速に行えるような方法に御協力をいただくということで対処をしていくことが必要であろうかと存じます。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/116


117・近藤正道○近藤正道君 そうすると、通常は、職務質問か何かやって、そして説得をして提出をしてもらって、測定器に掛けて、そしてレベルを超えたらこれは犯罪に該当するということで検挙すると、こういう形になると、こういうことでしょうか。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/117


118・竹花豊○政府参考人(竹花豊君) 状況にもよりますのですべてがそのとおりにいくかどうか分かりませんけれども、いずれ今先生が言われたようなことが基本的なありようになろうかというふうに存じます。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/118


119・近藤正道○近藤正道君 別に意地悪な質問しているわけじゃないんですけれども、そうすると、職務質問等をやって、そして任意提出に応じてもらえないようなときには、これは事実上対応できないと、こういう形になるんでしょうか。その場合は何かいい方法はあるんでしょうか。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/119


120・竹花豊○政府参考人(竹花豊君) これは、準空気銃に限らず、いずれ、例えば薬物らしきものを持っている場合にも、これを任意提出を求めてなかなか説得に応じていただけないこともしばしば実務上あるわけでございまして、そうした一般の例に倣って粘り強く本人を説得をするということになろうかと思います。
 ただ、薬物等とは異なりまして、これは準空気銃ということでもございますので、いわゆる武器ではございませんし、恐らくいろいろな事情をお話をする中で御協力がいただける場合がかなり多いのではないかというふうにも感じるところでございます。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/120


121・近藤正道○近藤正道君 私も大部分の場合はうまくいくんだろうというふうに思っておりますけれども、しかし、外観上明らかに違法のエアガンを持っている場合ならいいんですけれども、そうでない場合は測定しないと分からぬという、事柄の特質上そういう問題がありますので、是非、現場で混乱が起こらないような一つの対応をやっぱりしっかり取っていただきたい、そのことを要望しておきたいというふうに思います。
 もう一つでございますが、先ほど猪口大臣が十七年度の総括をされておりました。そして、銃器犯罪については一般的に減少傾向である、しかしそのエアガンが拡大をしているということと、もう一つ、暴力団情勢は予断を許さない情勢であるというお話がございました。ですから、水際対策をやっぱり強化しなければならないということでございました。
 いずれにいたしましても、この銃器犯罪のやっぱり圧倒的多数は暴力団関係、ここから発生しているわけでございまして、今日はエアガンの問題ではございますけれども、銃器犯罪を撲滅する、あるいは封じ込めるということであれば、暴力団に対する銃器封じ込めの対策というのがやっぱり決定的に重要だというふうに思っております。
 そこで、もう一つの質問は、公安委員長にお尋ねしたいというふうに思いますが、暴力団に対する銃器封じ込めの現状と、とりわけ今現在の課題、これは何なのか、お聞かせをいただきたいというふうに思います。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/121


122・沓掛哲男○国務大臣(沓掛哲男君) お答えいたします。
 平成十七年の暴力団によると見られる銃器発砲事件の発生回数は五十一回で、前年の八十五回に比べ減少し、うち対立抗争によると見られるものも十一回で、前年の十九回から減少しているところでありまして、今委員からもそういうお話が、説明がございました。
 そこで、銃器発砲事件や対立抗争事件が減少した背景としては、暴力団対策法に基づく事務所使用制限命令の活用や、あるいは指定暴力団の代表者等が対立抗争等に伴う不法行為につき無過失の損害賠償責任を負う旨の規定を設けた平成十六年の暴対法の改正、さらに対立抗争事件に伴う巻き添え被害等について、暴力団組長等の民事的責任を追及する動きが活発化していることなどがあるものと考えております。
 警察としては、今後とも、被疑者の早期検挙はもとより、事務所使用制限命令の積極的活用、あるいは暴力団組長に対する損害賠償請求訴訟の原告側の支援等の諸対策を強力に推進しております。
 他方、平成十七年の暴力団構成員及び準構成員からのけん銃押収丁数は二百四十三丁で、前年に比べ六十六丁減少するなど、その摘発強化が課題と認識いたしております。
 けん銃押収丁数が減少した理由には、先ほど申し上げたとおり、対立抗争事件が実質的に減少し暴力団が手近にけん銃を持つ機会が減少していること、銃器の隠匿方法が大変巧妙化していることの要因があり、警察としては、今後とも、暴力団が組織的に管理するけん銃に重点を置きつつ、広範囲にわたる徹底した捜査、逮捕した被疑者からの突き上げ捜査等を強力に推進することにより、暴力団にかかわるけん銃の摘発を強力に推進していきたいというふうに考えております。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/122


123・近藤正道○近藤正道君 終わります。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/123


124・木俣佳丈○木俣佳丈君 最後の質問になりますけれども、しばしの間、よろしくお願いします。
 今日、同僚議員からかなり重なる質問が出ておりますので、銃刀法関係では一つだけ。
 これは、先ほど銃、エアガンのモデルガンを回したわけでございますが、やはり本物の銃、アメリカで私も触ったことありますけれど、今の銃と非常に見分けが付きにくいという話は、先ほど来から話がずっとあるわけでございます。
 そこで、やはり何百万丁という本物に似たけん銃、モデルガンが出回っているということであれば、本気でこれを準危険なもので、準空気銃ということで取り締まるとすれば、例えば色をもう緑にしちゃうとか、それとも何か大きな何か、PSEで失敗しましたけれども、何か大きな検印というかマークを付けるとか、こういうことがなければこれを到底取り締まることはできないだろうと思うんですけれど、これ一つだけ聞きたいんですが、委員長、どうですか。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/124


125・沓掛哲男○国務大臣(沓掛哲男君) じゃ、答えさせていただきます。
 まず、最初の質問の見分け方でございます。準空気銃を外から見ても余り変わらないのでどう見分けるかというお話が一点でございますので、まずそれからお答えさせていただきます。
 準空気銃は、外見が空気銃や準空気銃以外のエアソフトガンに類似していることから、準空気銃であることを一見して判別することが困難な場合もあると考えます。しかしながら、警察では、改正法施行後の取締りを厳正に行うため、現在市販されている国内製のエアソフトガンについては、業界団体の協力も得て、どれが準空気銃に該当するかといった個別具体的なメーカー名、型式を把握する予定であり、これによって取り締まることが可能であるというふうにも考えております。
 それからもう一つ、今何かこう色を変えたらどうかというようなお話でございましたが、正にそういうことにつきましても、今後、銃、準空気銃に該当せず、改正法施行後も所持が許容されるエアソフトガンなどについては、業界団体等の協力を得るなどして、既に販売されているものも含め、規制対象外である旨を示すシールを張るなどの方法もこれから検討してまいりたいと考えております。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/125


126・木俣佳丈○木俣佳丈君 ありがとうございます。しっかり取り締まるために、そしてまた気軽に遊ぶ方も大事かと思いますので、両方が見分け付くように明確にしていただきたいというふうに思っております。
 委員長のお許しをいただきまして、若干でございますが、消費者関係の法案が後に出てまいりますけれども、その関連ということでちょっと二問だけ農水の副大臣に質問をしたいと思っておりまして、これは一つは、一つはというか、今、食料の残飯というのが全国で七百万トン、これは全世界の援助の全体の七割を占めているというふうに聞いておるわけでございます。これ大変な量を捨てられているわけで、実は日本の食料のエネルギーの関係の指標を見ますと、一人当たりのエネルギー量で見ると三分の一は捨てているというのが現在なようでございます。
 それと、ちょっとそのまま当てはまるかどうか分からないんですが、この食品には、特に捨てられているのは、スーパー等とコンビニとかこういったもの、又はレストランの残飯が多いと思うんですけれど、消費期限、賞味期限というラベルが打ってあるわけでございます。私自身もスーパーにたまに買物に行くわけでございますが、この消費期限、賞味期限というのが、非常に音が似ているということもあったりして非常に区別が付きにくいということと、最近非常に消費者がセンシティブになっていて、例えば、消費期限というのが足の短い方らしいんですね、賞味期限というのが足が長い方、数か月もつ方だということらしいんですが、消費期限一日前、例えばあしたがもうリミットでも結局捨ててしまうようなものもあって、結局食品リサイクル等々もうちょっと有効利用できないかと、こういう話があるらしいんですけれど。
 一点伺いたいのは、例えば、それがごちゃごちゃになっているんじゃないかということでありまして、例えば牛乳の場合にでも、高温殺菌のものは賞味期限、低温殺菌のものは消費期限、こういうふうに分かれていると。例えば、ヨーグルトは賞味期限、納豆は消費期限のものと賞味期限のものがこれ二つあるということで、こういったものを明確にもう少しすべきではないかというふうに思うんですが、どうでしょうか。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/126


127・高橋直人○政府参考人(高橋直人君) 御指摘の消費期限と賞味期限、この区別は平成十五年の三月に、厚生労働省とそれから私どもの共同開催しております食品の表示に関する共同会議、これは両省の審議会の下部機関を一緒にやっておるものでございますけれども、そこで消費期限と賞味期限の表示上のルールを取りまとめまして、昨年の八月から完全実施に現在移行しております。
 これは、物の考え方は、消費期限はその期限を過ぎますと腐敗、変敗その他の品質の劣化に伴って衛生上の危害が発生するおそれがある期限と。ですから、これを過ぎて食べるとちょっと問題がありますよと、健康上ちょっとどうかなと、こういうことでまあ五日以内、おおむね製造日から五日以内で品質が急速に劣化する食品、こういうものに付しております。
 また、賞味期限につきましては、この期限内はすべての品質の保持は十分に可能であると認められる期限でありまして、比較的劣化しにくい食品に付けられております。したがいまして、この賞味期限を過ぎて食べても、まあ味はメーカーが宣伝するほどのものでないにしても、じゃ健康に何か害があるのかと、そういうもの、期限ではないわけでございます。そこの区別というのは、このように、ですから一般的には傷みやすいものには消費期限、比較的傷みにくいものには賞味期限、こういう区分でやっておりまして、そこの期限はちょっと私ども、現在施行してまだ日が浅いわけでございますので、それほど大きい消費者の方からの混乱もないというふうに見ております。
 それから、あと、どちらかに統一してはどうかというような話があり得るのかどうかということもあり得るんですけれども、今やはり足の長いものについてはそれだけもちますんで、まあどこかで長い間には必ず賞味期限を過ぎても食べられるということから、まあその辺は過ぎても食べていらっしゃる方も間々いらっしゃいますし、そこに大きな消費者の間で混乱は出ているというふうには私ども受け止めておりません。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/127


128・木俣佳丈○木俣佳丈君 もう一問だけ。
 かつては、製造年月日の義務付け表示であったと思うんですよね。これは実は名古屋で有名な生菓子屋さんが、いや、これはやはり消費者からすると、賞味期限、消費期限というのがごちゃごちゃになっていると。さらには、足が短い、つまり五日以内のものを消費期限で、長いのを賞味期限と言うんですけれども、やっぱりこれがごちゃごちゃになって、例えばあしたもうリミットであるというようなことであると、今日例えば、何というんですか、食べようと思ってももうこれ古いんじゃないかということで捨ててしまうと。で、その実はお菓子屋さんというのは、これテレビのCMでも、それを揚げてでもまた食べてくださいというようなところなものが、そういう効果もなく無駄になってしまうと。
 まあ重ねてなんですけれども、日本の今の食料の関係を見てみると、三分の一が結局エネルギーの関係でいうと捨ててしまっているというのを何とかできないかという観点で、どういう対応を農水省としては取られているか、また取られようとしているかというところにつながっていくわけなんですが、そこだけちょっと副大臣、何かお答えいただければと思うんですけれども。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/128


129・三浦一水○副大臣(三浦一水君) 食品の日付の表示につきましては、消費者にとって分かりやすいものをということで検討をしてまいっております。先ほどお話ししたことに加えまして、製造年月日ではなく消費期限を表示するというルールを整えてきたところでございます。
 御指摘の食品の廃棄ロスと食品の期限表示との関係につきましては、一概に消費期限と製造年月日等を比較してどちらが食品ロスの防止に効果的であるかということについて判断することは難しいと考えております。食品衛生の観点からは、食品期限を表示する方が品質の劣化に衛生上の危害が発生するおそれがない期限が分かりやすいのではないかとも考えております。
 いずれにしましても、消費者に対しまして、適切な商品選択を行っていただきますために、あらゆる機会を通じて食品表示に関する普及啓発に努めてまいる所存でございます。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/129


130・木俣佳丈○木俣佳丈君 終わります。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/130


131・工藤堅太郎○委員長(工藤堅太郎君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/131


132・工藤堅太郎○委員長(工藤堅太郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、柳澤光美君から発言を求められておりますので、これを許します。柳澤君。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/132


133・柳澤光美○柳澤光美君 私は、ただいま可決されました銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、社会民主党・護憲連合及び各派に属しない議員木俣佳丈君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について万全を期すべきである。
 一、準空気銃の規制値等に関して明解な基準を早急に公表するとともに、本法の運用に当たっては、明確な運用基準を都道府県警察に示して、その適正な執行がなされるようにすること。
 二、本法の趣旨及び内容について、エアソフトガンを所持する者、製造・輸入・販売業者及び一般国民に対する積極的な広報啓発を行い、その周知徹底を図ること。
 三、新たに規制対象となる準空気銃については、警察を始め関係行政機関や関係団体が密接に連携し、改修等が円滑に行われるようにするとともに、準空気銃の廃棄による事故等の未然防止に努めること。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/133


134・工藤堅太郎○委員長(工藤堅太郎君) ただいま柳澤君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/134


135・工藤堅太郎○委員長(工藤堅太郎君) 全会一致と認めます。よって、柳澤君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、沓掛国家公安委員会委員長から発言を求められておりますので、この際、これを許します。沓掛国家公安委員会委員長。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/135


136・沓掛哲男○国務大臣(沓掛哲男君) ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、本法案の実施に努めてまいる所存であります。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/136


137・工藤堅太郎○委員長(工藤堅太郎君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/137


138・工藤堅太郎○委員長(工藤堅太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時九分散会
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414889X00620060411/138

https://kokkai.ndl.go.jp/simple/detail?minId=116414889X00620060411&spkNum=51#s51
第164回国会 参議院 内閣委員会 第6号 平成18年4月11日


3Dプリンタトレーサビリティに、拳銃設計図データ公開禁止.拳銃や火薬類入手をより難しくする本人確認dv虐待歴確認厳格化、日本版レッドフラグ法にライフル散弾銃所持禁止法.製造番号のないゴーストガン規制強化。
に加えて脱カルト&脱プラスチックで樹脂(プラスチック)製銃も作れないようにする。MYエコバック、MYボトルみたいに対処するとよいみたい。