共同親権をめぐる報道まとめ(2024年5月上旬)ありしん@共同親権反対ですありしん@共同親権反対です2024年6月3日 00:26PDF魚拓









離婚後も父母双方が子の親権を持つ「共同親権」の導入を柱とする民法などの改正案が参院で審議入りした。今国会で成立し、2026年までに施行される見込みだ。新制度によって何が変わるのか。

共同親権法案、実質審議入り 小泉法相「子の養育多様化」―衆院委

 ―親権とは何か。

 未成年の子を育てるために親が持つ権利・義務のこと。子の身の回りの世話や教育、居所について決める「身上監護権」、子の財産や契約に関する「財産管理権」に大別される。現在、婚姻中は父母の共同親権、離婚後は一方の「単独親権」と定められている。

 ―改正の背景は。

 親が親権を失うと子育てに関わりにくく、養育費の不払いなどにつながるとの批判がある。先進国では共同親権が主流で、国際結婚の破綻後に日本人の親が同意なく子を連れて転居する「連れ去り」が問題になっている。

 ―何が変わるのか。

 離婚の際に父母が協議し、共同親権か単独親権かを選べるようになる。父母が折り合えなければ、家庭裁判所が「子の利益」を考慮して判断する。共同親権の下では、進学や引っ越し、手術など子に関する重要な決定をする際、父母双方の同意が必要だ。これらについて父母の意見が一致しない場合、家裁が決める。

 ―全ての事柄に同意が必要なのか。

 日常的な身の回りの世話は、子と同居する親が一人で判断できる。例えば、食事や習い事の選択、アルバイトの許可などだ。子の利益のため「急迫の事情」があるときも、単独での親権行使が認められる。緊急の手術や入試結果発表後の入学手続き、DV(家庭内暴力)・虐待からの避難などが該当する。

 ―共同親権導入の問題点は。

 家裁が親権の在り方を判断する際にDV・虐待の被害を見落とす懸念がある。家裁の裁判官や調査官の人手不足が指摘されており、共同親権の導入に対応できないとの見方もある。離婚する父母は感情的に対立しているケースが多く、父母の話し合いが進まず、子に関する決定が遅れる可能性も指摘されている。

共同親権、何が変わる? 離婚後も父母の同意必要―ニュースQ&A

時事通信 編集局2024年04月20日04時36分配信


https://drive.google.com/file/d/1axFXYv-L34oQCRN0yJoLgVsegXor-h7Y/view?usp=sharing

離婚後共同親権を導入する民法改正案が参院で審議される中、法案に反対するスタンディングが1日、横浜市内で行われました。市民、弁護士、国会議員ら、40人以上が集まりました。

 日本共産党の山添拓参院議員、はたの君枝衆院南関東比例予定候補、君嶋ちか子神奈川18区予定候補、赤石ひろ子神奈川9区予定候補、浅賀由香党県副委員長、横浜市議団が参加しました。

 山添氏は今度の法案の大きな問題点は「父母が合意していなくても裁判所が認めれば、共同親権が決められていくことだ」と述べ、「問われているのは親の子に対する責務。子の意見を尊重し、その心情に寄り添うことが法律上明記されるべきだ」「家庭裁判所の体制を拡充させていくことこそ必要だ」と指摘。「この法案をこのまま通してはならない。一緒に声を広げてほしい」と訴えました。

 はたの氏は「ジェンダー平等の遅れで、女性が自立したくてもできない状況がある」「子どもの権利という観点から急いで共同親権を決めてしまっていいのか」と語りました。

 共同親権導入による就学支援金や奨学金への影響についての国会審議を参加者が音読。弁護士、シングルマザー、虐待の被害者がリレートークで訴えました。

2024年5月3日(金)

子に寄り添う体制必要

共同親権反対行動 山添・はたの氏ら参加

横浜


離婚などで離れて暮らす親と子が会う「面会交流」。支援活動に取り組む「宇都宮ファミリー相談室」は“父親”の利用者が多い。離婚に伴い親権がなく、子どもの生活や成長に関われない悩みを抱える。

紛争の脅威、揺れる9条 平和主義 「最後の歯止め」訴えも

 同室では最近、「共同親権」が話題に上がることが増えている。

 共同親権の制度は、離婚後に父母どちらかの単独親権とする現行民法の規定を改め、話し合いで共同か単独の親権かを選べるようにする。離婚後も父母双方が子どもの養育に関われるようにする狙いがある。民法改正案を国会で審議中だ。

 「親権者になれば、もっと子どもに会える」。同室の利用者からはそんな声が聞かれる。既に離婚した父母も共同親権への変更を申し立てられるため、国会審議も話題に上がるという。

 「期待を持っている人が増加傾向にある」。同室の担当者はそう感じている。

 親権を巡っては、幸福追求権として憲法で保障され、離婚後も剥奪されるべきではないとの見方がある。一方、親権を義務とも捉え、子の利益になるかを考慮し、憲法上の人権とは性質が異なるとの見解もある。

 「共同親権、私は嫌です」。元夫からドメスティックバイオレンス(DV)を受けていた県内在住、30代女性はそう断言する。

 子どもを出産後、殴られたり蹴られたりするようになった。離婚の際、子どもが成人するまで協力していくことを約束した。しかし、元夫は女性の実家を訪れ暴力を振るったり、職場に押しかけたりした。

 「暴力などがなければ、一緒に親権を持つのはありだと思う。でも、子どもに何かあったら怖いから、私だけが親権を持っていたい」と吐露した。

 改正案では、DVや児童虐待などの恐れがある場合、家庭裁判所の判断で単独親権となる。宇都宮市内でDV被害者の女性らの支援に取り組む認定NPO法人「ウイメンズハウスとちぎ」には、共同親権について不安を訴える相談が寄せられている。丸山文子(まるやまあやこ)代表は「危険にさらされる被害者が出ないよう目配りが必要。問題を感じたらその都度、提起したい」と話す。

 元家裁調査官で県弁護士会の渡邊律(わたなべりつ)弁護士は「子どもの進学先などを父母の話し合いで決めるといった理念は良い」と指摘。一方、現場で判断に携わる家裁の体制などを視野に「議論は早急に思える」とも強調した。

 憲法は国民の幸福追求権を保障している。離婚した父と母、子ども-。それぞれの幸せやより良い形をどう支えていくか。法のあるべき姿が問われている。

元夫からDV 不安拭えず 共同親権 離婚後の幸せ議論半ば

憲法考 とちぎの現場から㊦

5/3 11:30



離婚後の父母による共同親権を導入する民法改正案が4月19日、参議院本会議で審議入りした。離婚する父母の意に反した共同親権は憲法24条に違反するとの見方に対し、小泉龍司法務大臣は「現行民法で、夫婦の合意がなくても裁判上の離婚や親権者の指定が認められている。これを踏まえれば憲法24条に違反しない」と述べた。

憲法24条が婚姻について「両性の合意のみに基づいて成立する」と定めた点に着目して質問した石川大我氏(立憲民主党)に答弁した。離婚後の共同親権と憲法24条の関係をめぐる政府見解が初めて明らかになった。

民法改正案は、離婚後の親権について父母の協議で共同か単独か決めるとし、合意できない場合は家裁が「子の利益」の観点で決めるというもの。

共同なら虐待防げるか

改正後は、父母が合意しない「非合意型共同親権」があり得るという意味だ。「非合意型」が必要な例として法務省は「同居親とこどもの関係が良好でない、あるいは同居親のこどもの養育に不安がある場合」を挙げている。

同居親がこどもを虐待する場合、もう一方の親も親権を持てばこどもの被害を軽減できるという見方だ。

しかし、小泉大臣は共同親権の導入が、同居親による虐待の防止につながった例が諸外国にあるかという点については「承知していない」と答弁した。

子育て支援策に影響

「非合意型」が必要とされる積極的な理由が不明瞭なだけでなく、共同親権となった場合の子育て支援策がどうなるかも不透明だ。

同日の本会議では、児童扶養手当や奨学金といった親の資力を要件とした各省庁の支援策が28件あることが参院調査室の調べで判明。その中には、親権を持つ父母双方の収入を合算して支給対象を判断するものもある。

生活実態としてはひとり親家庭で別居親から養育費が支払われない一方、親権者である父母の収入の「合算」によって支援策の対象外となる例が生じる可能性がある。

改正法案がこうした支援策に及ぼす影響を明示すべきだとする仁比聡平氏(共産)に対し、小泉法務大臣は「第一次的にはそれぞれの法令を所管する省庁で検討されるべき事柄だ」と答弁した。

共同親権、違憲でない 参院で小泉法務大臣

2024年05月04日



共同親権 13弁護士会が声明

子どもの意見表明権尊重を

 離婚後に共同親権を導入する民法改定案に対し、13の弁護士会の会長などが4日までに、「DV(配偶者、恋人などからの暴力)や虐待の加害者との関わりが継続してしまう」「子どもの意見を尊重すべきことが明記されなかった」と問題点を指摘し、慎重で十分な国会審議を尽くすことを求める声明を発表しました。

 岐阜県弁護士会(武藤玲央奈会長)の声明(4月12日)は、親子関係を巡る手続きでは、子どもの意見表明権を確保し、その意見を適切に尊重する必要があると強調しました。「同法案には、最も影響を受ける主体である子の意見を尊重すべきことが明記されなかった点には重大な問題がある」と批判しています。

 群馬弁護士会(関夕三郎会長)の声明(4月30日)は、虐待やDVは密室で行われることが多く立証することが困難なため、裁判所が虐待やDVの存在を認定できないまま共同親権を命ずる結果を生じかねないと指摘しました。また裁判所が関与しない協議離婚の場合、加害者が離婚に応ずる条件として、共同親権を要求した場合に被害者が早期離婚のために受け入れざるを得ない状況に追い込まれる恐れがあると指摘。「離婚後も、虐待やDV加害が継続し、被害者が危険にさらされる恐れは、非常に大きい」と懸念を表明しています。

 福井弁護士会(堺啓輔会長)の声明(4月10日)は、共同親権が導入されると、裁判所は「父母の双方を親権者とするか一方を親権者とするか」と「父母の一方を親権者とする場合に、父母のいずれかを親権者と定めるか」の2段階の審理をすることになり、離婚紛争が長期化する恐れがあることにも言及しています。加えて、どのような事例で単独親権とするか、共同親権とするかの判断基準について不明確であることも指摘しています。

共同親権 13弁護士会が声明

子どもの意見表明権尊重を




離婚後の子どもの親権を父母双方に認める「共同親権」の導入を進める民法改正案について衆議院は4月16日、本会議で可決した。可決を前に同院法務委員会では、立憲民主党など野党が、共同親権の導入によりパスポートの入手がスムーズに行かなくなったり、教育支援が受けられない状態になったりする恐れなどの、想定されるトラブルについての質疑を展開。DV(ドメスティック・バイオレンス)の被害当事者や弁護士の参考人招致も行なわれた。自民、公明、立憲、日本維新の会の4党が「父母双方の合意が真意であることを確認する措置を検討すること」などを付則で盛り込んで法案を修正し、合意した。

 同委員会では与野党の委員が活発に討論した。与党側では自民の谷川とむ委員が「子の連れ去り防止のために」として共同親権の導入を要求。「DVや児童虐待があり、残念ながら離婚というものを否定しないが、できるだけ離婚ができないような社会になっていく方がいいと思う」などと述べた。  一方、野党による質疑では法的に未整備な状況が露わになった。  共同親権下では子どもに関することを決める際、原則として父母の合意が必要だ。ただし、日常の行為と「急迫」の事情がある場合には単独での親権の行使が可能。これまで弁護士やDV被害を受けた離婚当事者などからは、親権者の同意や合意をめぐり、同居親が一人で決められる範囲と、同居親と別居親が共同で決めなければいけない範囲の線引きがはっきりしない場合にトラブルが生じる可能性が指摘されてきた。  立憲民主党の枝野幸男議員は、子どもが海外への留学や修学旅行でパスポートを取得する際に親権者の同意を必要としていることについて「(共同親権でも)教育の範囲ととらえ、監護権を持つ者が単独で可能にすべきだと考える」と訴え、国の見解を尋ねた。  法務省側は「共同親権の場合は父母共同で同意していただくことになる」と答弁。これに枝野議員は「パスポートを取るのは教育の範囲である」と指摘したが、国側は「旅券の申請は両親の合意によるもの」との答えにとどめた。  枝野議員は、共同親権導入後の医療機関において、急迫な時には監護権者のサインにより子どもが緊急の手術を受けられるとされる点についても問い質した。  現行の単独親権の下でも一方の親から「同意していない」として医療機関にクレームがついた裁判例がある。枝野議員はこれを紹介したうえで、親の同意についての確認範囲がはっきりしないために大混乱となる可能性が解消されていない点を指摘。「大前提の準備ができていない。(法案が)生煮えだ」と批判した。
教育支援に及ぶ影響も

 同委員会では教育支援に及ぼす影響についても指摘があった。  高校授業料が無償となる「高等学校等就学支援金」は保護者の収入を基に受給の認定を行なうが、その際の保護者の定義は「子の親権者」だ。これについて立憲民主党のおおつき紅葉委員が質問したのに対し、文部科学省側は「(共同親権になったら)2人分の収入で判定を行なう」と答弁。さらに「DVや児童虐待などにより就学に必要な経費の負担を求めることが難しい場合、親権者1人の収入で判定することになっている」と説明したが、DVや児童虐待の判定を誰が責任を持って行なうかについての説明はなかった。  委員による質疑に先駆け、4月3日に参考人招致されたDV被害当事者の女性は「改正後にDVを排除するとしているが、実際にはそうならないのではないか」との疑念を投げかけた。この女性は、夫からの暴力を受けながらも録音やメモをしていることがわかった場合、さらにひどい暴力を受けることが目に見えていたためにDVの証拠を残せる状況になかった、という自分の経験を説明した。  今後、改正案は5月にかけて参議院で審議される見通しで、国は2026年の施行を目指している。施行後、共同親権はすでに離婚している夫妻にも適用される。

吉永磨美・編集部

「共同親権」導入案、衆院で可決も法的に未整備な状況露わに

5/6(月) 9:10配信



離婚後の共同親権を可能にする民法改正案に関し、参院法務委員会は7日、参考人質疑を行った。推進派の学者らは、養育の多様化などに対応するため導入が必要だと強調。ドメスティック・バイオレンス(DV)被害者の支援団体が「被害者の生活が脅かされる」との懸念を示すなど、評価は分かれた。

 東大大学院の沖野真已教授は、離婚後の父母どちらかの単独親権を採用した現行民法が定められた1947年に比べ、養育の在り方は多様化したと指摘。離婚後に片方しか親権を持てない現状に対し「重要事項を双方の熟慮の上で決めることを法制度で支えていないのは問題だ」と述べた。

 改正案は、共同親権を選んだ場合も日常の行為などについては一方の親権者で決定できるとしている。沖野教授は「適時の意思決定ができなくなるとの懸念への対処といえる」と評価した。

 一方、DV被害者を支援するNPO法人「女のスペース・おん」(札幌市)の山崎菊乃代表理事は、制度導入で被害者と加害者が接点を持たざるを得なくなることを危惧した。

共同親権審議で参考人質疑 必要性に懸念、割れる評価

2024年5月7日 18時11分 (共同通信)






子どもが髪型も自由に決められない可能性も

「急迫の事情」「日常行為」「重大な影響」について改正案の条文では、具体的にどのように書かれているかというと…驚くべきことにほぼ何も書かれていない。

つまり、Aの範囲が広過ぎることに加えて、B~Dの定義(=境目)が曖昧過ぎることが大きな問題といえる。

・急迫か否か(AとBの境目)
・日常行為か否か(AとCの境目)
・重大な影響を与えるか否か(CとDの境目)


そのため、3月から始まった国会審議で共同親権に懸念を示す議員たちが
「○○の場合は急迫の事情なのか」
「○○は日常行為なのか」
「○○の場合に重大な影響を与える日常行為とは何か」
と、具体的な場面を一つずつ例示しながら質問することで、ようやく政府見解が少しずつ明らかになってきた。

今回は本題でないため詳しくは言及しないが、B(急迫の事情)やC(日常行為)に当てはまる場合であっても別の問題がある。改正後は双方の親が単独決定可能なため、意見が対立したままの場合は双方が真逆の意思決定を応酬し、同意を確認する側(医療機関、保育・教育機関等)は混乱に陥る可能性がある。いわゆる「無限ループ問題」である。(*詳細は過去記事参照)

この広くて曖昧な別居親の同意が必要な範囲をめぐって国会では、ブラックコメディのような政府答弁が続出している。

例えば4月23日(衆議院 法務委員会)には、本村伸子議員(共産)が髪を染めることや髪型(パーマ、ポニーテール、ツーブロック等)の選択がC(日常行為)に含まれるかを質問。これに対して法務省(竹内努民事局長)は、校則違反の可能性がある場合は進路に影響するから重大であるという理屈でD(重大な影響を与える行為)に含まれる(=別居親の同意が必要)と答弁。(*主な論点について筆者による図解を加えた質疑映像。外部配信サイト等で動画を再生できない場合は筆者のYouTubeチャンネル「犬飼淳 / Jun Inukai」で視聴可能)
進路や医療など人生に関わる問題も

実態を視覚的に浮き彫りにするため、項目(教育、医療、転居)ごとに政府答弁を図解する。

<教育>
進学先決定(願書提出)については、3月14日(衆議院 本会議)の米山隆一議員(立憲)に対する小泉龍司法務大臣(自民)の答弁で以下2点が明らかになっている。

・別居親の同意を得ることが大原則である
・その例外として、期限が翌日に迫る場合はB(急迫の事情)に含まれる(=別居親の同意は不要)


要は、単独では期限前日まで願書提出すらできない。学校側の提出期限の考え方が「当日消印有効」ではなく「必着」の場合、昨今の郵便配達の所要日数増加を踏まえると願書は余裕を持って提出したいが、それすら許されない。最悪の場合、前日に不測の事態が起きれば願書を出し損ねる。

この問題は、障がいやハンディキャップを持つ子の場合、さらに深刻になる。4月2日(衆議院 法務委員会)に本村伸子議員(共産)が特別支援学校への進学・進級であっても別居親の同意が必要になるのかを質問したところ、小泉龍司法務大臣(自民)は先ほどと同じ趣旨の内容を答弁。

具体的には、入学手続き等の期限が迫っている場合はB(急迫の事情)に当たるとしたのだ。しかし、この政府答弁は、子に合った特別支援学校を見極めるためには1年以上かけて検討するケースもあるという実態と大きく乖離している。最悪の場合は、別居親の同意が得られないために同居親と子が進学を希望する特別支援学校の手続きを進められないという深刻な事態が懸念される。
(*修学旅行については前回記事で紹介したため本文での説明は割愛)

<医療>
子に合う薬を試すために日常的に服用する薬を変更することについては、4月2日(衆議院 法務委員会)に本村伸子議員(共産)に対する小泉龍司法務大臣(自民)の答弁で以下2点が明らかになっている。

・子の心身に重大な影響を与えないのであればC(日常行為)に含まれる(=別居親の同意は不要)
・ただし、その例外として、子の心身に重大な影響を与える場合はDに含まれる(=別居親の同意は必要)


日常的に服用する薬を変更するのだから、子の心身にはほぼ100%の確率で何らかの影響を与えるだろう。それにもかかわらず、「重大な影響」がいったい何なのかは依然として曖昧なのだ。このままでは、別居親に同意を得るべきケースなのか否かを同居親や医療機関は判断できず、混乱に陥る可能性がある。
(*手術については前回記事で紹介したため本文での説明は割愛)
多くの議論の余地を残した法案

<転居>

3〜4月に判明した中で特に衝撃的だったのが、この転居をめぐる政府答弁だ。
同居親の急な国内転勤に伴う転居について、4月25日(参議院 法務委員会)に友納理緒議員(自民)の質問に対する法務省(竹内努民事局長)の答弁で以下2点が明らかになっている。

・転居は子に重大な影響を与えるため、たとえ近隣(同一学区内)であったとしてもDに含まれる(=別居親の同意が必要)
・ただし、その例外として、父母の協議や家裁の手続きを経ていては転勤までに居所を決定できない場合はB(急迫の事情)に含まれる(=別居親の同意は不要)

あまりにも実態とかけ離れていて指摘すべきことが多いが、まず大前提として家裁への申立から結果が出るまで早くても数か月以上かかることをふまえると、辞令交付から転勤までに居所変更が間に合わないことが十分に考えられる。結果、転居を進められず、同居親は転勤を断らざるを得なかったり、それによって職場で待遇悪化(最悪の場合は退職)などの不利益を被る恐れが出てくるだろう。

さらに、転居先が同一学区内という近隣であっても、転居は子に重大な影響を与えるという理屈で、頑なにDに含められている。同一学区内ということは必然的に転校を伴わないため、生活圏も学校も友人関係もほとんど変わらず、子にそこまで重大な影響を与えないと考えられるが、別居親の同意が必要なのだ。これでは離婚後の同居親は自由な転居は事実上不可能となる。
転居に関する国会質疑(4月25日 参議院 法務委員会 友納理緒議員)

ちなみに、この質問をしたのは自民党議員。この件に限らず、共同親権の国会審議では政党としては改正案に賛成のはずの与党議員も重要な答弁を複数引き出している。与党議員ですら危機感を持つほど、この改正案がまだまだ議論の余地を残していることを示唆しているともいえる。

また、全体的に定義・境目が曖昧であった他の項目(教育・手術)と異なり、転居については頑なに別居親の同意が必要な範囲を死守するかのような法務省の答弁が目立った。こうした姿勢からは、「離婚禁止制度」と呼ばれてしまうほどに共同親権の穴だらけの実態が垣間見えるようだ。(*今回紹介した国会質疑の更なる詳細は筆者のtheLetter「共同親権導入後に別居親の同意が必要な範囲の「広さ」と「曖昧さ」が招く大混乱」(2024年5月5日) 参照)

文/犬飼淳

「学区内での引越しもできない!」「子どもの髪型も自由に決められない!」国会答弁で次々と明らかになった「共同親権」導入案の摩訶不思議

参議院で審議入りした「共同親権」導入を含む民法改正案。5月7日からは参考人質疑が始まった。直近(2024年3〜4月)の国会質疑に基づいて別居親の同意が必要となる範囲について、導入後に何が起きるのかを場面(教育・医療・転居)ごとに整理する。






離婚後の共同親権導入を盛り込んだ民法改正案を巡り、7日の参院法務委員会で、父母の離婚に直面した子の意思や思いは、どこまで尊重されるべきかが議論になった。弁護士が子の意見を代弁する制度の活用を求める声が上がった一方、父母の対立時に子に意見を求めるのは酷という慎重意見も示された。

 改正案は、離婚後の家族法制を大幅に見直し、共同親権を離婚後も認める仕組みを創設した。併せて、父母には子の人格を尊重して子を養育する義務があることも明記した。

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 改正案の要綱をとりまとめた法制審議会では「子どもの意見表明権」の取り扱いも議論になった。日本が1994年に批准した「子どもの権利条約」は子が自らに関わる事柄に、自由に意見表明できる権利を保障している。こうした点を踏まえ、民法も準拠させるべきかが論点となったが、賛否が割れて見送られた経緯がある。

 7日の参院法務委に参考人として出席した、日本弁護士連合会子どもの権利委員会の浜田真樹弁護士(大阪弁護士会)は、親権の行使が子のためになされることを踏まえれば、子が自ら意見を述べる機会を保障する必要があると指摘した。その前提として、父母の離婚によって日々の生活や学校への通学にどのような変化が起きるのか、丁寧な説明が求められるとし、「子どもの手続代理人制度」の利用促進を提案した。

 同制度は調停や審判の手続きに子が関わる際に、弁護士が専門的にサポートする仕組みで、2013年に施行された家事事件手続法で導入された。ただ、20~22年の利用状況は年間30~60件台にとどまっており、浜田弁護士は、公費負担がない費用面の課題や、制度の周知不足を挙げ、使いやすい制度に改めるべきだと訴えた。

 一方、法制審の部会委員を務めた白鷗大学の水野紀子教授(家族法)は参考人質疑で、父母が離婚する場面で、子の意見表明権を導入することについて「子どもに両親を選ばせることになり、残酷。一番簡単な結論として裁判官が飛びつくことになり、危険だ」と慎重な考えを示した。

 改正案によって、子の意見はどのように扱われるのか。小泉龍司法相は国会審議で「改正案にある『子の人格の尊重』は、子の意見や意向が適切な形で考慮されるべきだという趣旨を含んでいる」と説明している。【三上健太郎】

親の離婚、子に意見求めるのは「残酷」? 共同親権導入で議論社会
速報


毎日新聞 2024/5/7 19:49(最終更新 5/8 07:47) 941文字



 離婚後も父母双方が親権を持つ「共同親権」の導入などを柱とする民法改正案の廃案を訴えるデモが8日夕、国会前であった。雨の中、全国から約400人(主催者発表)が集まり、「共同親権、強制するな」などと声を上げた。

 子どもを連れて別居・離婚したひとり親や弁護士らが参加する「離婚後共同親権」から子どもを守る実行委員会や#ちょっと待って共同親権プロジェクトなどが主催した。

 改正案は衆院を通過、現在は参院で審議が始まっている。北海道函館市から駆けつけた柳順也弁護士はマイクを手に「共同親権はDV(家庭内暴力)加害者とかかわることを強制され、疲弊していく(同居)親を子どもが身近に見ていかなくてはならない制度」と批判。「家庭裁判所の人もものも足りない現状では廃案にするべきだ」と訴えた。

 改正案をめぐっては、DV被害者や子どもを守れないのではないか、父母間の紛争がより深刻化するのではないかと懸念する声がある。また、子どもが意見を表明する権利が条文に明記されていないことを問題視する声もある。デモには、立憲民主や共産など野党の国会議員のほか、地方議会の議員らもかけつけてマイクを握り、共同親権制度の問題点を語った。

 主催者によると、共同親権に反対するオンライン署名も23万筆を突破し増え続けているという。(編集委員・大久保真紀

朝日新聞デジタル
記事


「共同親権、強制するな」 廃案求め、ひとり親らが国会前デモ

編集委員・大久保真紀2024年5月8日 20時00分



お笑いタレントの博多大吉(53)が9日、NHK朝の情報番組「あさイチ」にスタジオ生出演。「共同親権」の特集に対して行った忌憚(きたん)ないコメントがネット上で称賛をうけている。
番組では、参議院で審議が進む「共同親権」について番組に問い合わせが相次いだとして特集。現在は両親が離婚した場合、父親か母親の一方が親権をもつ「単独親権」だが、改正案は「共同親権」も選択の1つになる。

 両親が合意できない場合、家庭裁判所が「共同親権」と判断する可能性があり、これらに視聴者から不安の声が届いた。スタジオ出演した専門家は「審議中でハッキリ決まってるわけではない」と断った上で、個人の持論を主張するなどした。

 特集の終盤、大吉は「まだ(詳細が)決まってない段階のやつが、もう国会で審議されてるっていうのが…」と言葉を探りつつ、共同親権になった場合の対応例が具体的に詰められてない点を疑問視。「なんでまだあんまり決まってないのに…これからやることがもう決める方向で進んでいるのかってのが、すごく正直な疑問」と驚きながら話した。

 ネット上では大吉のこのコメントに対する称賛の声が目立った。「これが中立的な放送で一般的な反応」「最も真っ当なコメント」「よくぞ言った」「ほんとそのとおり」「大吉さんほんとそれですねー」「ナイス」と賛同する声が相次いだ。

『よくぞ言った』 博多大吉、共同親権めぐる率直なコメントに称賛 「これが一般的な反応」「ほんとそれ」

2024年5月9日 11時00分



離婚したあとの子どもの親権を父と母の双方に認める
「共同親権」導入に向けた審議が国会で続く中、
山口市の市民団体が反対活動を行いました。
「共同親権」をめぐっては導入を盛り込んだ民法の改正案が先月、
衆議院を通過しました。
参議院で審議が続いていますが、
DVや虐待から逃げられなくなるなどとして反対運動も起きています。
山口市でも8日ひとり親などの女性を支援する「.Style」が
廃案を求めるオンライン署名への協力を呼びかけました。
=小西凡子代表=
「話をしても『そんな法改正とかあるの?』とか『共同親権って何?』って
おっしゃる方が多いのですべての家庭に関わる問題になるので、
まずは皆さんに知っていただきいと思っています」
オンライン署名には23万人以上の賛同が集まっているということです。

UPDATE:2024-05-09

【山口】市民団体が共同親権の反対活動

2024-05-09





国際政治学者の三浦瑠麗氏(43)が8日に自身のX(旧ツイッター)を更新。4月26日に離婚を発表したが、その判断については中学1年生の長女に「選択をさせました」と明かした。

 三浦氏は「共同親権にしても、夫婦別姓にしても、大切な原則は政府がむやみに私的領域、たとえば家庭に立ち入らないこと。例外は、児童虐待や夫婦間での暴行など。ひどい配偶者がいる、あるいは親がいるという事実には別のスキームで対応し、法の原理原則をその事実によって決めてしまわないことが重要かと」と持論を投稿。

 また「たとえば元妻が継続的に暴力を振るわれたケースで、相手との共同養育を拒否するのは理解できる。ただ、それをすべての離婚事例に当てはめようとするからおかしなことになる。浮気した夫だから父としての権利がなくなるわけでもないし、自分で出ていった妻だから母としての権利がなくなるわけでもない」とつづった。

 さらに「また日本では『家』制度の残滓により、親権が拡大解釈されているきらいがあります。親権とは子が成人するまでの重要事項に関する決定権にすぎず、親と子の絆を意味するものではありません。婚外子に嫡出子と同等の相続権があり、親が離別しても相続が途切れない以上、苗字にも特段の意味はありません」とも。

 自身が離婚を発表したケースについては「血縁は重要な絆です。子は両方の親族から愛を享けたいものです。夫婦の離別の際は、とりわけ子どもの意思を尊重すべきです。わたしは子どもに自分で選択をさせました。わたしは選択的夫婦別姓の導入を是認する立場ですが、姓より何より重要なのは、それぞれの家族のあり方に介入しないという原則です」としていた。

三浦瑠麗氏、共同親権について持論 自身の離婚については「子どもに自分で選択させました」

[ 2024年5月8日 19:18 ]



【質問】 

 先日のニュースで共同親権が可能になる法律改正が閣議決定されたと聞きました。私は今年離婚し、2人の子どもの親権者となりました。共同親権の制度が始まったら、すでに離婚している私たちにも何か影響があるのでしょうか。



【回答】

相手方が希望すれば再度、家庭裁判所での調停などになる可能性があります。

 これまで日本では、離婚後は父母いずれかの単独親権のみでしたが、先日の閣議決定により国会で改正案のまま成立すれば、公布後2年以内に共同親権の制度が始まります。共同親権は選択制です。すべての離婚した夫婦が共同親権となる制度ではありません。ですが、相手方から共同親権を求められた場合、父母双方の同意がなくても、家庭裁判所での調停や審判により、共同親権となることがあります。



 今回の改正案は、すでに離婚した夫婦にも同じく適用され、未成年の子どもがいる限り、非親権者の親から親権者変更の調停や審判を申し立てることができます。したがって、制度が始まる前に子どもが18歳に達していなければ、元配偶者から共同親権に変更するよう調停などが申し立てられる可能性があります。



 今回の法改正で、家庭裁判所の負担が急激に増えることが予想され、制度開始までに家庭裁判所の人的・物的体制の強化およびそのための財源確保が急務とされています。



今回の回答にご協力いただいたのは

[山口耕司 弁護士]

事務所/斉藤道俊法律事務所

    帯広市東3条南14丁目8

Tel:0155・26・3133


Chai法律相談(185)「共同親権が閣議決定されて何か変わる?」
24/5/10