不同意性交罪出来た意義は大きいよね。未成年者に対する性犯罪が問題になった宗教法人にも宗教法人解散が必要だと私は思います。

不同意性交罪出来た意義は大きいよね。未成年者に対する性犯罪が問題になった宗教法人にも宗教法人解散が必要だと私は思います。




https://drive.google.com/file/d/1rv-Yg-rLqRnO_WPnPCm8BMcAoXnBFcjM/view?usp=sharing





解散命令の要件は

宗教法人法第81条は解散命令について(撮影:森健)

宗教法人法81条1項は解散命令について記している。一つでも該当する要件があると認められたときは、所轄庁や検察官などによる請求、もしくは職権で解散を命じることができる。その要件で重要なのが1号だ。 <法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたこと> この要件が最初に適用されたのが、地下鉄サリン事件などを起こしたオウム真理教だ。1996年1月に最高裁で解散命令が確定。同年3月に東京地裁が教団に破産を宣告した。 ただ、このオウム事件と同時期、信者を騙して高額なお金を集めていた団体が複数あった。その一つが法の華であり、もう一つが明覚寺(みょうかくじ)だ。明覚寺には2002年1月、オウムに続いて解散命令が出された。

「水子の霊」で女性狙った明覚寺

明覚寺の以前に詐欺商法が繰り返された茨城県の本覚寺(撮影:金井茂)

明覚寺の霊視商法被害者弁護団で事務局長だった瀬戸和宏弁護士が言う。 「宗教は本来、人を幸せにするべきものだと思います。しかし、明覚寺がやっていたことは、ひたすら人を脅かし、お金を巻き上げ、人を不幸にさせることでした。民事だけでなく、詐欺の刑事事件でも立件され、幹部らは実刑判決となりました」 明覚寺事件には前段がある。本覚寺という名での事件だ。 教団トップの男は1982年にコンドームの訪問販売の会社を起こしたのち、1986年に真言宗醍醐派で僧籍を取得。翌年、茨城県に本覚寺を設立すると、同派から独立。首都圏各地のビルで霊視商法を展開しはじめた。1991年頃から首都圏の消費者センターに多数の苦情が寄せられるようになり、1992年に弁護団が結成。不法行為を理由に損害賠償請求訴訟が提起されていった。 1995年までの第5次訴訟で、被害額の96%の賠償を受ける和解が成立した。にもかかわらず、問題は一向に減らなかった。なぜなら別の名称の寺院が1992年以降につくられ、そちらで全国展開されていたからだ。そんな寺の一つが、和歌山県の明覚寺だった。 これはいまの旧統一教会の名称変更問題とも関連すると瀬戸氏は指摘する。 「1992年頃、週刊誌や新聞が追及キャンペーンを張り、本覚寺の名称は知られるようになりました。そこで、教団は新しい名の寺を複数つくり、そちらで活動していった。本覚寺から命源寺、そして明覚寺、あるいは満願寺。折り込みチラシも運命鑑定など表記を変えた。名称変更があると、それまでの問題とは別物だと誤解してしまうのです」
活動の内容は、法の華と非常に似ている。 <あらゆる悩みを解決します><霊障による苦しみや悩みを霊視によって原因を究明します>などと記した新聞の折り込み広告などで宣伝。問い合わせてきた人を「寺」と称するビルの一室などに勧誘し、やってくると「教師」という名の霊能者とされる人物が“霊視”を行い、「水子の祟り」「先祖霊の祟り」などと脅かす。その上で、供養しなければ「子どもが自殺する」「夫が交通事故に遭う」「結婚できない」など不幸を並べたて、供養に多額のお金を支払わせた。その額は少ない人で60万円、多い人では数千万円に及んでいた。 明覚寺は女性を多くターゲットにしていた。それは水子や先祖という話でつけこみやすかったからだと瀬戸氏は言う。 「先祖を何代も遡れば、誰だって水子もいるし、悪い病気や死もある。当たり前の話です。けれど、暗い部屋で逃げられないような状況で『お金と子どもとどちらが大切か』といった迫り方をされ、多くの人が支払いに追い込まれていた。これには組織的なマニュアルがありました」 事態は警察の摘発で動いた。1995年10月、愛知県警が詐欺の疑いで名古屋の満願寺の住職を逮捕。さらに、翌年には教団トップらも詐欺の疑いで逮捕され、実刑判決を受けた。民事でも1999年4月、和解金11億円を支払うことで、明覚寺側は被害者と和解した。

明覚寺に地裁が解散命令

瀬戸氏は、宗教であろうがなかろうが、社会通念から見て許容する範囲を逸脱した行為があれば違法だと言う。 「裁判では、お金を収奪するのにマニュアルがあるなど組織的な活動があったことやその金額の多寡にも焦点が当てられていました。宗教への寄付の要請はあると思いますが、その要請がいくら高くてもいいとはならないでしょう。社会通念から逸脱していた活動だったので、明覚寺は違法性が認定されたのです」 こうした経緯を経て、文化庁によって明覚寺に対する和歌山地裁への解散命令請求が出されたのは1999年12月。実際に地裁が解散命令を出したのは約2年後のことだった。
法の華と統一教会の共通点

(photoAC)

法の華と争った前出の釜井弁護士は、過去に霊感商法などで多くの被害が認定されてきた旧統一教会が解散命令を請求されなかったのは違和感を拭えないと言う。法の華も旧統一教会も執拗な勧誘と高価な宗教グッズの販売などで、多数の「信者」に多額の経済的被害とそれに伴う精神的損害を与えたという点では同様だった。また、法の華の当時の東京の本部拠点は、渋谷の旧統一教会のすぐ近くに設置していたほどだった。 「その法の華では幹部が実刑になり、解散にまで至った。なのに、旧統一教会は長く立件されず、生き残ってきた。これは、政治の力が働いたから以外には考えにくいです」 旧統一教会には2009年に警視庁の捜査が入り、印鑑販売をしていた関連会社などで幹部数人が実刑判決となった。裁判では<相当高度な組織性が認められる継続的犯行>と認定されたが、同会への解散命令請求にまでは至らなかった。 いま再び、旧統一教会に対して解散命令を求める声が上がっており、消費者庁では河野太郎消費者担当大臣のもと、霊感商法への新たな対策が講じられようとしている。今度はどこまで迫るのか。議論の行く末を国民が見守っている。

------ 森健(もり・けん) ジャーナリスト。 1968年東京都生まれ。早稲田大学卒業後、総合誌の専属記者などを経て独立。『「つなみ」の子どもたち』で2012年に第43回大宅壮一ノンフィクション賞受賞。『小倉昌男 祈りと経営』で2015年に第22回小学館ノンフィクション大賞、2017年に第48回大宅壮一ノンフィクション賞、ビジネス書大賞2017審査員特別賞受賞

かつて解散になった宗教法人「法の華」「明覚寺」 ――その背景と統一教会との共通点

2022/9/16(金) 17:13配信Yahooニュースオリジナル特集


https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/meeting_materials/assets/consumer_policy_cms104_221014_04.pdf





◆2010年ごろには「請求すべきだった」

 宗教法人法によると、法令違反や著しく公共の福祉を害する行為などに及んだ宗教法人には、所轄の官庁が解散命令を裁判所に請求し、裁判所は命令できる。文化庁や与党は慎重だが、本当に請求できないのか。



旧統一教会問題について語る前川喜平氏(7月撮影)

 1997〜98年に文化庁宗務課長だった前川喜平氏は当時、旧統一教会に対する解散命令請求を検討したが断念したという。当時は法令違反などを理由とする解散命令の前例が95年のオウム真理教しかなく、「旧統一教会は霊感商法の問題や民事訴訟なども起こっていたが、係争中のものも少なくなかった。判例の動向を見定める必要があった」と振り返る。

 ただ、その後、霊感商法を巡る民事訴訟で教団の責任を認める判決が出るなど、判例も増えた。2009年には霊感商法をした教団関連会社の社長らが逮捕、有罪判決を受けた「新世事件」も起きた。

 前川氏は「09年以降は教団が『コンプライアンス宣言』して集金の仕組みが変わったものの、それまでの違法行為がなくなるわけではない。10年ごろには解散命令請求できる材料が集まっており、請求すべきだった」と語る。

◆現行法は機能しているのか

 宗教法人法以上に、解散請求命令のハードルになっているのは憲法20条の「信教の自由」だ。



霊視商法の詐欺事件で「明覚寺」の家宅捜索に入る愛知県警の捜査員=1996年2月、和歌山県高野町で 

 同志社大の小原克博教授(宗教学)は「宗教法人への解散命令が乱発される事態はあってはならず、ケース・バイ・ケースで判断するしかない。外から見ておかしな教義であっても、個人の信教の自由を保障することも必要だ」と指摘。

 ただ、こうしたハードルは認めつつも、旧統一教会に対する行政の「不作為」を問題視する。「高額献金のケースや多くの2世信者の告発があるにもかかわらず、行政が何らメスを入れないのは問題だ。宗教法人法が機能していない」

 法令違反を理由にした宗教法人への解散命令は、オウム真理教と、霊視商法の詐欺事件で幹部らが摘発された「明覚寺」に対し02年に出た計2例のみ。宗教法人法は、法令違反などの疑いがあれば宗教法人幹部や関係者に質問できるとも定めているが、実施例はないとされる。

◆言い訳にされる「政教分離」

 北海道大大学院の桜井義秀教授(宗教社会学)は「文化庁宗務課は人員が限られ、全国組織の宗教法人をチェックするのは難しい面もある」と指摘。一方、これまでの判例や被害相談の多さから旧統一教会を巡る問題は明らかだとし「宗教法人は公益に資することを前提に税制の優遇を受けているので、国は公共の福祉に反する活動実態がある宗教法人には解散請求し、裁判で公平な裁定を仰ぐべきだろう」と話す。

 消費者庁に設けられた霊感商法などの対策検討会委員で弁護士の菅野志桜里氏は「旧統一教会の解散命令を巡る問題は、現行の宗教法人法の枠組みでも十分に対応可能なはず。機能していないのは、行政が政教分離を言い訳に権限行使してこなかったからだ」と苦言を呈する。

 まず現行法での調査を尽くした上で、今後は法改正を検討する必要があるという。「法人格を隠れみのに税優遇を受けつつ霊感商法を続けるような宗教法人に対しては、消費者担当相が所管の文科省に調査権の発動を勧告できるなど、他の大臣を関与させる仕組みも一案だ」

 現行法であれ法改正であれ、対応は待ったなしだ。

 「役所は解散命令が確実に出ると見通せなければ請求に踏み切らない傾向がある。公共の福祉の観点から見ても、政治が決断すべきではないか」と前川氏。桜井氏も「政府や自民党が何もしないなら、国民に『宗教なら何でもあり』といった誤ったイメージを広め、かえって宗教に対する信頼をおとしめることになりかねない」と警鐘を鳴らす。

◆デスクメモ

 岸田首相は、法の下の平等に反するなど憲法上の疑義が多数指摘されながらも、強引に安倍元首相の国葬を閣議決定し、実施した。ではなぜ、旧統一教会の解散命令請求には、憲法上の「信教の自由」を持ち出して、「慎重に判断」などというのか。憲法を便宜的に使うべきではない。(歩)

【関連記事】旧統一教会問題で政治に求められることとは…紀藤正樹弁護士と後房雄愛知大教授に聞いた

旧統一教会は本当に「解散」させられないのか? 「信教の自由」と現行法の課題から考える

2022年10月13日 06時00分東京新聞





 開会中の臨時国会では、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と政治の関係について論戦が繰り広げられている。両者の関係について国民の不信が増す中、政治にはどのような対応が求められるのか。識者2人に聞いた。(佐藤裕介)





紀藤正樹氏

◆紀藤正樹氏「国会に調査委設置を期待」

 旧統一教会を巡る被害者の救済に携わってきた。

 「1980年代以降、高額のつぼなどを信者に売って莫大(ばくだい)な収益を得る霊感商法や、合同結婚式による婚姻の自由の侵害などが社会の関心を集めた。現在でも信者から高額な献金を収奪するほか、『祝福2世』と呼ばれる信者の子どもが、生まれながらにさまざまな私生活の自由を奪われている問題が深刻だ」

 教団と自民党とのつながりの強さが指摘される。

 「教団の関連会合にビデオメッセージを送った安倍晋三元首相をはじめ、選挙で支援を受けて関係を持ち、関連団体の会合で講演するなど、教団の『広告塔』となった自民の国会議員が複数いる。自民は教団の反社会性への認識を党内に浸透させ、きっぱりと決別してほしい」

 実現できると思うか。

 「岸田文雄首相(自民党総裁)の危機感は十分にうかがえるが、報道などの指摘を受ける形で、教団との接点を明らかにする議員が相次いでいる。一部の自民党議員の問題意識は、まだ低いのではないか。地方を含む党所属議員にコンプライアンス(法令順守)研修などを重ねる必要がある」

 臨時国会では教団に関する論戦が行われている。

 「集中討議を通じて、与野党とも教団の反社会性を公的に認めてほしい。安倍氏の銃撃事件後、各政党で個別に議論してきたが、党派を超えて、問題の本質が何なのかを検証すべきだ。そのための調査委員会の設置にも期待している」

 きとう・まさき 1960年生まれ。旧統一教会による被害の根絶を目指す「全国霊感商法対策弁護士連絡会」事務局担当。



後房雄氏

◆後房雄氏「反社会的行為には対処法を」

 旧統一教会を巡る問題の核心は。

 「反社会的な組織が、特に自民党と抜き差しならない関係をつくっていたということに尽きる。教団は、自らの正体を隠して入信するように勧誘したり、信者の生活が破綻するほど高額な献金をさせたりしてきた特殊事情を抱えている。政治と宗教を巡る問題に一般化すると論点がぼやけるため、それは避けるべきだ」

 教団との距離はどうあるべきか。

 「自民の議員の一部は、教団から選挙支援を受けたり、関連団体などが主催する会合であいさつしたりしているが、一切の関係を認めるべきではない。与党とのあらゆる接点が、信者らにとって教団への信頼につながる。布教や組織の維持を図る上でメリットを与えてしまう」

 自民以外の政党にも接点があった議員はいる。

 「政党でみれば自民が桁違いに多く、元首相や衆院議長、閣僚経験者もいる。他党と質的に違う。そもそも教団が今、社会的な問題となったのは、安倍晋三元首相が銃撃され、教団との関係が明らかになったことを忘れるべきではない」

 政治が襟を正す必要がある。

 「自民は、まず安倍氏と教団との関係について調査すべきだ。それをせずに『関係を断つ』と訴えても信ぴょう性はない。地方議員との接点も調べる必要がある。臨時国会では、宗教組織が、反社会的な行為に及んだ場合に対処する法整備も検討すべきだ」

 うしろ・ふさお 1954年生まれ。専門は政治学、行政学。名古屋大教授などを経て現職。日本公共政策学会会長も務めた。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/207392
旧統一教会問題で政治に求められることとは…紀藤正樹弁護士と後房雄愛知大教授に聞いた

2022年10月10日 06時00分東京新聞






政府の「解散命令請求」を受け、“統一教会”が10月16日に会見を行い、岡村信男法務局長と福本修也弁護士の二人が登壇しました。政府の決定を「痛恨の極み」と表現した教団、一体何を訴えたのでしょうか。ジャーナリスト・鈴木エイト氏、救済活動に尽力してきた阿部克臣弁護士の解説です。 【動画】異議あり!解散命令請求後初の“統一教会”会見を鈴木エイト氏が最速分析!

教団側の弁護士・福本修也氏

 冒頭、“統一教会”の岡村法務局長は政府が「解散命令請求」をしたことに対して「とても残念で遺憾。政府や社会に対し、私たちの真実の姿をお伝えすることができなかった点において反省している」と述べ、「政府が宗教団体をつぶすことができる前例になる」と話しました。  そして、教団側の弁護士・福本修也氏は、「宗教法人法81条1項1号において、『法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたこと』ということが、解散事由になる。文部科学省の『過料事件通知書』では、『“法令に違反”には、民事法上の規律や秩序に違反する行為も含まれる』とだけしか言っておらず、何法の何条に違反したということが一切特定されていない。従って、解散命令請求はもちろん、質問権行使もできない」と述べました。さらに、「解散命令請求は宗教法人への死刑求刑だ」とし、「解散させるなら宗教法人が何法の何条に違反したのか明示するのが当たり前のこと。全く話にならない」と強い口調で語りました。

ジャーナリスト・鈴木エイト氏

Q.会見を聞きながら相当首をひねっていましたが、どういう印象ですか? (ジャーナリスト・鈴木エイト氏) 「聞いていて、かなり苦痛でした。前回の会見と内容もあまり変わらず、あまり得るものはなかったと思います」

長年被害者の救済に当たってきた弁護士・阿部克臣氏

Q.『法令違反は特定されていない』という話が出てきましたが、どうなのでしょうか? (弁護士・阿部克臣氏) 「福本弁護士は、過料裁判をご存知ないのかなと思いました。というのは、そもそも過料裁判の通知書は法律上、提出することすら要件ではなく、裁判所が職権で行うものです。法律上、文化庁が請求・申し立てをすること自体が、そもそも必要のないことで、裁判所に情報提供したに過ぎません。何条違反などは裁判所が認定すればいい話であって、通知書に記載がないからといって、それで主張の根底が欠けるなどと、到底言えません」 Q.文科省や文化庁は証拠を固める意味で、あえてやったと解釈したらいいですか? (阿部氏) 「はい。過料裁判では、そこまで通知書に書く必要がないです。今回の解散命令請求をするに当たって、13日の資料の中には、『民法の不法行為』とはっきりと書いてあります。民法の不法行為というのは、通常は民法709条から724条のことをいいますが、解散命令請求のほうにはきちんと書いてあります」また、宗教法人法81条1項2号について、解散事由の要件として、①宗教の教義をひろめること、②儀式行事を行うこと、③信者を教化育成することという、3つの目的を著しく逸脱する行為をしたことがあります。 Q.教団は、『これらを著しく逸脱していない』と言っているわけですよね? (阿部氏) 「はい。教団の主張は、『家庭連合の支出項目中の二大使途は、『海外宣教援助費』と『教化費』であり、信者から得た献金は宗教団体の目的①と③のために使われているため目的逸脱じゃない』、ということだと思いますが、文化庁は13日の段階で、きちんと具体的な行為を挙げて、法人の目的は『金銭獲得目的だった』と詳しく書いています。ですから、文化庁は漠然とした抽象的なことを言って逸脱を認定しているわけでは全くないです」

「世界主導者会議」には田中会長の姿も

Q.今回この2人が会見に出席したことについて、どう思われますか? (鈴木氏) 「僕が事前に入手した情報では、先週ラスベガスで世界主導者会議というものが開かれて、日米韓の幹部が集まりました。その場で韓鶴子総裁が、日本の今の状況に激怒したと。9月ぐらいまでは日本の大陸会長が『解散命令請求は出ないだろう』と楽観的な報告をしていたといわれる中、『解散命令請求』が出たため韓鶴子総裁が激怒して、一説では、日本の幹部を引責辞任させ、記者会見を開いて、そこで謝罪をさせて幕引きを図ろうとしたのではないかということでした」

“統一教会”岡村信男法務局長

Q.会見では、実際に被害に遭われた方の救済や補償などの話は一切出てこず、対決姿勢一点張りでしたよね? (阿部氏) 「岡村法務局長は、『被害者といわれる方たち』という言い方をして、決して『被害者』とは言いませんでした。さらに、元信者の人たちと交流したいとおっしゃっていて、決して謝罪や賠償をしたいとは言いませんでした。福本弁護士や岡村法務局長の会見での発言一つ一つから、加害者としての自覚が全くないということが今日の会見で裏付けられたかなと思います」 Q.エイトさんは、どう見ましたか? (鈴木氏) 「今回の会見は、会見者の発表が直前でした。本来、こういう会見であれば田中富広会長なり責任ある立場の方が登壇するのが当然だと思うのですが、それをあえてギリギリまで発表しませんでした。その辺をあえて言わなかったのは、福本弁護士の一方的な主張を聞かせるのが目的だったのかなと思ってしまいます」Q.一部報道では、大量の日本人信者を韓国に行かせたり、日本から資金を韓国や関連団体に移すのでは?との指摘も出ていました。 (鈴木氏) 「教団は最後まで否定していましたが、そういう動きがあるのではないかと思います。実際、現役信者が証言もされています。宗教法人法第1条で保全のことは述べられていて、『宗教法人として不動産や財産がなくなってしまうと宗教法人である理由がなくなり、解散命令になりますよ』というのが文化庁の解釈なのですが、あえて不動産を処分したり財産を海外へ送ったりすると自分で自分の首を絞めることになってしまうので、教団としてはそれができないはずなのですが…ただ、海外へお金を送る理由が、『海外宣教援助費』とされてしまうと、宗教活動だと当然教団側は言うので、こういう形で海外へお金を送られてしまう可能性はあるなというのは思いました」 Q.財産の保全は、今後どうなるのでしょうか? (阿部氏) 「新しい法律が必要だと思います。国の今の考えでは、まず被害者が主体的にやるべきというようなことを文科大臣もおっしゃっていたと思うのですが、もはやそのぐらいの規模の話ではありません。文科省の解散命令請求の理由自体が、かなりの被害があると認めていますので、個別に被害者が一つひとつ裁判所の手続きを取って財産を抑えていくというレベルの話ではありませんので、国が音頭を取って、与野党がしっかり議論して早急に法律を一つ作って、速やかに抑えていただくことが必要になっていると思います」 (「情報ライブ ミヤネ屋」2023年10月16日放送)Q.一部報道では、大量の日本人信者を韓国に行かせたり、日本から資金を韓国や関連団体に移すのでは?との指摘も出ていました。 (鈴木氏) 「教団は最後まで否定していましたが、そういう動きがあるのではないかと思います。実際、現役信者が証言もされています。宗教法人法第1条で保全のことは述べられていて、『宗教法人として不動産や財産がなくなってしまうと宗教法人である理由がなくなり、解散命令になりますよ』というのが文化庁の解釈なのですが、あえて不動産を処分したり財産を海外へ送ったりすると自分で自分の首を絞めることになってしまうので、教団としてはそれができないはずなのですが…ただ、海外へお金を送る理由が、『海外宣教援助費』とされてしまうと、宗教活動だと当然教団側は言うので、こういう形で海外へお金を送られてしまう可能性はあるなというのは思いました」 Q.財産の保全は、今後どうなるのでしょうか? (阿部氏) 「新しい法律が必要だと思います。国の今の考えでは、まず被害者が主体的にやるべきというようなことを文科大臣もおっしゃっていたと思うのですが、もはやそのぐらいの規模の話ではありません。文科省の解散命令請求の理由自体が、かなりの被害があると認めていますので、個別に被害者が一つひとつ裁判所の手続きを取って財産を抑えていくというレベルの話ではありませんので、国が音頭を取って、与野党がしっかり議論して早急に法律を一つ作って、速やかに抑えていただくことが必要になっていると思います」 (「情報ライブ ミヤネ屋」2023年10月16日放送)

【独自解説】鈴木エイト氏「聞いていてかなり苦痛」解散命令請求受け“統一教会”が会見「全く話にならない」政府と徹底抗戦の構え 教団側の宗教法人法の“独自解釈”に専門家は苦言

10/17(火) 10:10配信









カトリック神父の性的虐待:純潔優越の思想、無理ある ギリシャ正教会から批判の声

 アイルランド、ドイツなどで次々と暴露されるカトリック神父による性的虐待事件。カトリックから11世紀に分裂した東方正教のギリシャ正教会はどう見ているのか。アテネの神父たちは「問題の根に神父の独身制がある」「純潔を優越とみなす思想に無理がある」と非難した。【アテネで藤原章生】

 性的虐待についてローマ法王ベネディクト16世は今月中旬、マルタで幼少期に虐待を受けた被害者に面会し涙を流した。また、21日には、バチカンのサンピエトロ広場で、信者らに向け「(虐待に対して)行動を起こす」ことを約束。この問題について初めて公式にコメントし、前向きな姿勢を見せてはいる。

 ギリシャ正教はアテネ大主教イエロニモス2世を最高指導者に内外に約1000万人の信者を抱える。主教ら重職にある者は生涯教会に尽くすという便宜的な理由で独身を貫くが、一般の司祭や神父の妻帯は許される。

 大主教の側近、ディミトゥリオス神父(69)は「カトリックは法王から修道士まで全員に独身を強い、生き方を硬直させている」との見方を示した。キリスト教は十二使徒の一人、ペテロの妻帯をはじめ、初期は修道僧を除き、結婚が許されていた。だが、血縁主義による腐敗が広がり、11世紀の宗教改革で独身制が敷かれた。「16世紀ごろまでは、どうにか保ってきたが、宣教師が布教のためアジア、中南米など異文化世界と出合うようになり、聖職者の性の問題が広がり始めた」と神父はみる。

 現在問題になっている性的虐待は未成年者への性愛に焦点が絞られ、バチカンも「特殊な病を抱えた聖職者の問題」(ローマの神学者)と独身制とは切り離す風潮がある。だが、ディミトゥリオス神父は「未成年者に向かうのは口封じしやすいためだ」と語る。

 別の修道僧(45)は「公的立場にない」との理由で匿名で「家族や性の相談を受ける教区の神父こそ家族を持つべきだというのが私たちの考えだ。妻帯の神父も離婚または妻を失えば主教になれる。つまり、聖職者に大事なのは魂の純粋さであり、肉体の純潔(童貞)に意味はない」と断言する。そして「カトリックは肉体にとらわれ、童貞こそ神に近いという根拠のない優越意識を信徒に押しつけている。その結果、普通に性生活を送れば高潔になれた人がねじ曲がり、体罰や地位を利用した性に走りやすい」と指摘している。EU:動揺するユーロの信認 ギリシャ売りさらに激化も
株価:日米欧で急落 S&Pがギリシャ国債「投機的」
ギリシャ:ドイツが支援に慎重 財政再建策提示が「条件」
ギリシャ支援:財政危機、他の欧州諸国にも 国債売られる
社説:財政危機 ギリシャの連鎖防げ


毎日新聞 2010年4月29日 東京朝刊

https://web.archive.org/web/20100517013906/http://mainichi.jp/select/world/archive/news/2010/04/29/20100429ddm007030085000c.html
カトリック神父の性的虐待:純潔優越の思想、無理ある ギリシャ正教会から批判の声



カトリック教会の聖職者による性被害を訴える国内の信徒らが21日、長崎市内で集会を開き、被害者の会の設立を宣言した。今後、被害者の自助グループとしての役割を担い、教会側に対策を求めていく見通し。

 会の仮称は「カトリック神父による性虐待を許さない会」。幼少期、児童養護施設で神父から性的虐待を受けた東京都の竹中勝美さん(63)ら4人が発起人となった。

 約35人が出席した集会で竹中さんは「私たちの沈黙は、性虐待を受ける子どもを増やし続けることにつながる」「人知れず苦しんでいる多くの兄弟・姉妹に、一緒に歩んでほしい」などとする宣言文を読み上げ、賛同を呼び掛けた。

https://nordot.app/647623492256367713

カトリック聖職者の性的虐待 被害者の会設立を宣言 長崎

2020/06/22





仏教系性犯罪者はアウトドア派!?

 冒頭で触れたように、カトリックでの性虐待問題を扱った2本の映画で描かれていたのは宗教の内部で聖職者が信者を被害者として行った性犯罪であり、宗教組織が隠蔽に関わった「宗教的性犯罪」だ。  この手の要素があるものを宗教内での事件という意味で、筆者による勝手な造語だが「インドア事件」、宗教と無関係の信仰活動外での性犯罪を「アウトドア事件」として分類した。



インドア・アウトドアの内訳(藤倉調べ)

 仏教者が容疑者となった性犯罪では、インドア事件の割合は12.5%。神道では22.2%、キリスト教では85.7%、占い・祈祷では87.1%。日本においてインドア犯罪(つまる宗教的性犯罪)の割合が高いのはキリスト教と占い・祈祷である。  仏教系性犯罪者はアウトドア派が大半で、『グレース・オブ・ゴッド』などで問題視されたような宗教的性犯罪の傾向が極めて弱い。6件だけなので、全て列挙しよう。★がついている3件は、未成年者が被害者である事件。▲は不起訴の続報があった事件だ。 ・産経新聞2004.04.08〈住職が下着ドロ 八尾署逮捕 とんだお勤め檀家から帰りに1枚〉 ・産経新聞2011.10.03〈僧侶、袈裟まくり下半身ご開帳 大阪府警、容疑で逮捕〉 ★中日新聞2015.08.28〈準強制わいせつ容疑の住職逮捕 信長ゆかり円徳寺〉 ★佐賀新聞2018.09.11〈60代住職、寺で盗撮か 習い事の女児が発見県中部〉 ▲読売新聞2018.11.10〈東大寺僧侶 わいせつ容疑 書類送検 境内でバイト女性触る〉 ★中日新聞2020.04.30〈住職が少女にわいせつ行為をした疑い〉  このうち2004年の檀家の家から下着を盗んだ事件は、法事のついでだったというだけ。2011年の袈裟御開帳事件は路上で通行人を相手にした犯行で、袈裟を使ったプレイだというだけだ。いずれも実質的な宗教性は見いだせない犯行だ。被害者の通報によりすんなり逮捕されており、宗教組織による隠蔽の形跡も報道されていない。  宗教的性犯罪として扱うには抵抗を感じるが、法事や袈裟を性犯罪に利用されてしまっては宗教と無関係と切って捨てるわけにも行かない。筆者としては笑いながら「インドア事件」扱いにせざるを得なかった。  2015年の円徳寺の事件は、住職が寺でアルバイトをしていた知的障害のある未成年女性にわいせつな行為をしたというもの。同年10月に岐阜地裁が「被害者に知的障害があり、抵抗できないことを認識しており、身勝手な犯行で誠に卑劣」(中日新聞10月23日記事より)としつつも、示談が成立しているとして懲役3年、執行猶予4年の判決を言い渡している。  2018年の東大寺の事件も同様で、東大寺の上院院主だった僧侶が東大寺内でアルバイトをしていた女子大生の胸を触るなどした疑いだ。書類送検後、僧侶は全ての役職を辞任し僧籍を返上。被害者と示談が成立し被害届が取り下げられ、不起訴となった。  2つの事件で被害にあった女性が信者(檀家)かどうかは不明だが、信仰の場というより「アルバイト先」としての宗教団体が性犯罪被害として報道されている。  神道関係でのインドア犯罪は2件だけだが、うち1件〈みこの着替え姿、ビデオで盗撮 長田神社の元神職、容疑で書類送検 /兵庫県〉(朝日新聞2006.03.15)では、職員の巫女だけではなく学生アルバイトも使用する更衣室で盗撮が行われていた。円徳寺の事件同様、被害者にとって「勤務先」としての宗教団体が犯罪の現場となったケースだ。  2018年のトイレ盗撮事件は、習い事の会場として提供されていた寺が犯行現場だったため、インドア犯罪としてカウントした。  『グレース・オブ・ゴッド』では、ボーイスカウトのキャンプが神父による性虐待の場の1つとして挙がっている。『スポットライト』では、神父が監督を務めていた高校のホッケー部員が被害にあったことも描かれている。  宗教者・宗教団体は宗教活動しかしないわけではない。様々な地域活動に関わることもあれば、地域活動のために施設を提供することもある。直接的には宗教性がない場面でも、宗教者として社会と接する場が性犯罪の現場になることもある。その点では、仏教者による従業員へのわいせつ行為やトイレ盗撮事件の構図は、『グレース・オブ・ゴッド』や『スポットライト』で描かれた神父の性犯罪に共通すると言えなくもない。  しかし、日本において最大多数派の仏教者が容疑者となったこの種の事件は、上記の通り1件(トイレ盗撮)、多く数えても3件(従業員へのわいせつ行為2件を加えた)しかない。幼児への性虐待や宗教組織による隠蔽など、『グレース・オブ・ゴッド』や『スポットライト』に描かれたカトリックの問題と完全に一致するような事件は、少なくとも刑事事件の報道としては皆無だった。

仏教者のロリコン犯罪率はダントツ

 それはそれとして、仏教者が容疑者となった事件では被害者が未成年者である割合が異常に高い。インドア事件6件の半数にあたる3件で未成年者が被害者であり、アウトドア事件も含めてカウントすると、愕然とするような結果が出た。



被害者年齢内訳(藤倉調べ)

 パーセンテージを算出するまでもない。件数が多いので全て列挙する気になれないが、いくつか具体例を挙げる。 ・共同通信2004.09.27〈少女買春で住職を逮捕 15歳高校生と愛人契約〉 ・東京新聞2006.03.10〈住職兼保育園長 児童買春の疑い 警視庁が逮捕〉 ・四国新聞2010.04.15〈中尊寺の僧侶を逮捕 女子高生にわいせつ容疑〉 ・産経新聞2011.01.14〈女子中学生買春容疑で非常勤講師を逮捕〉 ・中日新聞2017.01.11〈埼玉・高源寺住職 少年を買春の疑い 長野県警逮捕〉 ・朝日新聞2019.02.28〈「自画撮り」送らせた疑いで住職を逮捕 /岡山県〉  容疑者と被害者との関係・接点がどのようなものかを分類すると、こうなる。



被害者との接点

 信者・相談者が被害者となった事件の割合が高いのはキリスト教と祈祷・占い(これは後述する)。仏教者が容疑者となった事件では、これが8.3%しかない。逆に「ネット(SNSや出会い系サイト)」で知り合った相手が被害者である事件が25.0%、「通行人等」は41.7%で、合わせて7割近くを占める。件数で言えば計32件で、うち18件で未成年者が被害者になっている。  容疑別の統計でも、仏教者の「児童買春・児童ポルノ禁止法違反」容疑の多さは一目瞭然だ。「条例違反」容疑の中にも、青少年保護関連の条例違反が含まれる。



宗教者が容疑者となった性犯罪事件報道(容疑別)(藤倉調べ)

 僧侶たちが街やネットに繰り出して、寺とも宗教とも関係ない文脈で少女たちを相手に買春をしたり児童ポルノを撮影したり盗撮をしたりする。これが、仏教者が容疑者となった性犯罪の典型的なパターンだ。一般的なロリコン犯罪との違いはなく、容疑者の職業がたまたま僧侶だったというだけ。  性犯罪というテーマにおいても、日本の仏教の空洞化、形骸化が見て取れる。悪い意味で「開放的」であり、全体としてはカトリックのような宗教組織の陰湿さはない。しかし、これはこれで絶望的な気分にさせられる。  ちなみに仏教ではなく「その他」に分類しているが、教祖・大川隆法総裁が仏陀の生まれ変わりを自称している幸福の科学でも、教団職員が性犯罪で逮捕されたことがある。 ・読売新聞2000.08.21〈「幸福の科学」職員逮捕 女性下着“追いはぎ”容疑/警視庁・大崎署〉  幸福の科学職員がマンションのエレベーター内で女性を押し倒して下着を奪いケガをさせたとされる、強盗致傷と強制わいせつの容疑だ。当時、都内で同様の被害が相次ぎ45件もの被害届が出され、容疑者宅からは女性用下着が約100枚見つかったと報じられた。この容疑者は大川総裁の運転手だったとする報道もあった。  幸福の科学における職員は「出家者」との位置づけだが、これは路上での連続強盗・わいせつ事件。仏教者が容疑者となった事件の大多数と同様の「アウトドア事件」だ。  金光教(神道に分類)でも2017年に1件、街中で女性にわいせつな行為をしたとされる「アウトドア事件」で鹿児島の教会長が逮捕されている。
日本の宗教的性犯罪の温床は「祈祷・占い」

 性犯罪は多いものの宗教的文脈がほとんどない仏教者に対して、「祈祷・占い」では、宗教行為そのものが性犯罪につながっている。31件中27件(87.1%)がインドア事件で、この割合は僅差とは言えキリスト教より高い。  個人面談を基本とする祈祷や占いでは、宗教者が相談者と密室で2人きりになることが多い。性犯罪者にとって好都合な場だ。  古い話だが昭和5年にも、「高島易者」を名乗る占い師が女性相談者をレイプした事件をきっかけに、法外な見料を取る占い師も含めた「不良易業者」の一斉検挙が都内で行われたことがある。この年だけで165件もの検挙や指導が行われたという(『易学研究』1956年1月号)。  祈祷や占いを本格的に生業にしているわけでもない人物が、女性を連れ込む口実として祈祷や占いを称するケースすらありそうだ。新聞報道では「除霊と称して」「祈祷を装って」という類の表現がしばしば見られる。  こんな特殊な事例もあった。〈池袋「JKコミュ」摘発 容疑の31歳元店長逮捕 「裏オプション」横行〉(産経新聞2015.10.01)など、いわゆる「JK(女子高生)ビジネス」の業者摘発に関する報道だ。  表向きは、女子高生とおしゃべりをする等のサービスを標榜する店舗で、「裏メニュー」として女子高生による性的サービスがあったというものだ。取り締まりを避けるために「JK占い」と称する店舗を構える例も現れており(朝日新聞2014.09.27より)、摘発された業者も「占い」を売りにしていたという。  未成年者が「占い」に釣られて性犯罪の被害にあうのとは違い、実質的には宗教性があるとは言いにくい。宗教者による性犯罪でもなさそうだ。しかし「占い」を性犯罪の隠れ蓑にできると考える人間が実際に存在していることを示す事例だろう。

宗教者の社会的ペナルティ事情

 祈祷や占いは個人事業として行われているケースも多い。事件化しても組織による処分や非難はない。もともと芸名で活動しているケースも珍しくはなく、本名を報道されても有罪判決を受けても活動再開は難しくない。今回調べた新聞報道では、性犯罪で複数回逮捕されている占い師もいた。  仏教者や神職が容疑者となった事件では、東大寺の事件のように有名寺社の聖職者・役職者が辞任したケースはある。しかし同時に、性犯罪で逮捕された副住職が後年、別の性犯罪で再び逮捕された際にも「副住職」のままだったケースもある。その他にも、報道された容疑者名でネットを検索してみると、いまだに住職を務めていると思われるケースが複数あった。  寺の住職は基本的に世襲であり、人事権は宗派より寺(先代の住職)にあることが多い。東大寺のように寺単体が組織化されている大規模寺院はともかく、小規模寺院は事実上、住職の個人経営状態にある。  こうした状況にある寺や、そもそも宗派等による拘束がない個人経営の祈祷・占いでは、教会組織が性犯罪神父を他の教区に異動させることでうやむやにするというカトリック的な隠蔽手法はとりにくい。ところが、隠蔽できず職を失うとは限らず、むしろ「発覚したとしても失職しない」ことすらあるのが、日本の宗教の実情だ。  神職(神道)では9件全てについて、容疑者の進退にかかわる情報は得られなかった。  次回は、映画『グレース・オブ・ゴッド』は対岸の火事ではない現実として、日本でも起きているキリスト者の性犯罪について取り上げる。 <取材・文/藤倉善郎>  

藤倉善郎

ふじくらよしろう●やや日刊カルト新聞総裁兼刑事被告人 Twitter ID:@daily_cult4。1974年、東京生まれ。北海道大学文学部中退。在学中から「北海道大学新聞会」で自己啓発セミナーを取材し、中退後、東京でフリーライターとしてカルト問題のほか、チベット問題やチェルノブイリ・福島第一両原発事故の現場を取材。ライター活動と並行して2009年からニュースサイト「やや日刊カルト新聞」(記者9名)を開設し、主筆として活動。著書に『「カルト宗教」取材したらこうだった』(宝島社新書)

https://hbol.jp/224813/2/
映画『グレース・オブ・ゴッド』は対岸の火事ではない。性虐待は日本の仏教者や占い師にも



藤倉善郎










宗教者の性犯罪を象徴する2つの大事件

 キリスト者が容疑者となった事件のうち、大きく繰り返し報道されたのが、2005年に主管牧師・金保が逮捕された聖神中央教会(京都府)の事件だ。長年にわたり未成年者も含めた多数の信徒をレイプしてきた金牧師は、うち7人(うち5人が未成年者)に対する強姦罪で懲役20年が確定した。犯行も隠蔽も組織的に行われていた。  聖神中央教会はプロテスタント系だが、未成年者に対するインドア事件である点で、『グレース・オブ・ゴッド』『スポットライト』で取り上げられた事件と全く同じ。被害の深刻さや被害者の多さも同様だ。  摂理(キリスト教福音宣教会)は日本では刑事事件化していない(今回の統計ではカウントしていない)ものの、教祖・鄭明析(チョン・ミョンソク)は信者へのレイプについて韓国で有罪判決を受け服役した(すでに出所)。日本人信者も被害にあっていたことや、摂理が日本の大学で正体を隠して学生を勧誘していた(いまもしている)ことなどから、日本でも新聞、テレビで大きく報道された。これが2006年のことだ。被害者の中には未成年者もいたと言われている。  キリスト教系以外も含めた性犯罪の報道件数(多くは逮捕や送検時の報道)を年別に見ると、聖神中央教会事件や摂理問題がメディアで大きく取り上げる直前の2004年から、報道件数が増えている。



宗教者が容疑者となった性犯罪の報道件数(藤倉調べ)

 以前に比べて宗教者による性犯罪を警察が発表するようになったか、新聞が報道するようになったのか、原因はわからない。報道の増加が2004年からなので、2つのキリスト教系(新)宗教をめぐる2005年と2006年の事件が原因ではないだろう。しかしこうした歴史の流れ上、2つのキリスト教系の事件は日本における宗教者の宗教的性犯罪を象徴する大事件という印象を受ける。
い 第2回>

日本でも起こっているキリスト者の性犯罪<映画『グレース・オブ・ゴッド』は対岸の火事ではない 第2回>

藤倉善郎

バックナンバー

2020.08.01

キリスト教特有のインドア事件

 日本における宗教者のインドア犯罪では、祈祷や占いのための個人面談において行われる傾向が強いことは、すでに述べた通り。しかしキリスト者による性犯罪は、こうした日本的な宗教的性犯罪とは少々構図が異なる。  キリスト教においても聖職者と信者が1対1で対話する宗教的な場面はないわけではないが、「祈祷・占い」に比べれば個人面談が主軸の宗教というほどではない。多数の信者が集まる礼拝、その他の催し、その準備、社会活動等々、聖職者と信者が接する様態は様々だ。こうした関わりの中で宗教儀式としてではない性行為が行われており、『グレース・オブ・ゴッド』や『スポットライト』で描かれた被害もそういう種類のものだ。  この点は日本でも同様で、新聞記事でも宗教上の個人面談の場での犯行に限定されていない。〈強制わいせつ容疑で牧師逮捕 /岐阜県〉(朝日新聞2016.09.04)の事件は、〈教会に出入りしていた女性に背後から近づき、抱きついたり、尻を触ったりするなどのわいせつな行為をした〉(同記事より)疑いだ。〈牧師が女性信者乱暴 つくば中央署容疑で逮捕 教団施設を家宅捜索〉(茨城新聞2010.01.29)では、共同生活をしていたスタッフが被害にあったと主張している。  教会や聖職者が信者コミュニティの日常生活に深く関わるキリスト教は、密室性が高いだけではなく、その「密室」の範囲が広く多様だ。  日本の仏教でも、地方の地域密着型寺院であれば地元住民との接点も多いだろうし、住職が宗教活動以外で地元団体の役職者だったり、大地主だったり、観光寺を運営する商売人だったり、兼業で教員等をしていたり、様々な形で社会と接点を持つ。しかし少なくとも性犯罪報道という切り口で見ると、これらは性犯罪の現場としての宗教的密室になっていない。

韓国系教会と牧師が登場する背景

 キリスト教系の性犯罪報道では、容疑者の氏名として韓国系とおぼしき名前が複数登場する(他国の牧師による事件も1件あった)。今回カウントしていない前述の摂理も韓国の宗教であり教祖は韓国人だ。  本稿が差別やヘイトスピーチに利用されることを避けるため解説しておくと、これは国籍や民族が性犯罪につながることを示すデータにはならない。韓国のキリスト教事情と、その影響が日本社会にも及んでいることが反映されているだけだろう。  韓国では独自に教会を設立した牧師による、プロテスタント系というよりは「インディーズ系キリスト教」とか「キリスト教系新興宗教」と呼んだ方が良さそうに思えるキリスト教勢力がある(もちろん他国でもあるかもしれない)。牧師が強権的(つまり教祖的)だったり教義に独自色が強かったりする場合は、韓国のプロテスタント系から異端視されたりもする。  日本には、一般的なキリスト教はもちろん、こうした類も含めて、韓国系の牧師が活動したり韓国系教会が設立されたりしている。後述する卞在昌牧師の「小牧者訓練会」「国際福音キリスト教会」もその類いだ。  今回の一連の新聞記事には登場しないものとして、前述の摂理のほか、韓国で新型コロナウイルスの集団感染を引き起こした「新天地イエス教会」も、日本でも活動している。正体を隠して大学生等を勧誘することで有名な「ヨハン早稲田教会」も、発祥は日本のようだが韓国人牧師が設立し信者には韓国人が多い。日本では霊感商法や偽装勧誘で知られる右翼的新興宗教のイメージが強い統一教会(現・世界平和統一家庭連合)も、以前の名称は「世界基督教統一神霊教会」であり、欧米ではむしろキリスト教の一派のように見られているとも聞く。  例示するものがキワモノばかりなのは、筆者がカルト取材ばかりしているせいだ。おそらく、もっと一般的な韓国のキリスト教・キリスト者も日本で活動しているケースはあるはずだ。  ここで言う「プロテスタント系」は、これらも含めた玉石混交な分野だ。その中で、日本と韓国との間に宗教を介した接点が多い以上、性犯罪の容疑者とされたキリスト者の中に韓国系の人物も登場したとしても、何ら特別なことではない。国籍や民族と性犯罪を結びつけるデータにはならない。 <取材・文/藤倉善郎>  

藤倉善郎

ふじくらよしろう●やや日刊カルト新聞総裁兼刑事被告人 Twitter ID:@daily_cult4。1974年、東京生まれ。北海道大学文学部中退。在学中から「北海道大学新聞会」で自己啓発セミナーを取材し、中退後、東京でフリーライターとしてカルト問題のほか、チベット問題やチェルノブイリ・福島第一両原発事故の現場を取材。ライター活動と並行して2009年からニュースサイト「やや日刊カルト新聞」(記者9名)を開設し、主筆として活動。著書に『「カルト宗教」取材したらこうだった』(宝島社新書)

https://hbol.jp/225008/2/
日本でも起こっているキリスト者の性犯罪<映画『グレース・オブ・ゴッド』は対岸の火事ではない 第2回>



藤倉善郎







今回の法改正のポイントとして、柳谷さんは以下の2点に注目しています。

・「経済的・社会的地位の利用」を明文化
・時効の見直し


ポイントの1つ目、「経済的・社会的地位の利用」が明文化された点です。家族や夫婦、会社や学校といった場所で関係性が深いほど、性被害の声を上げにくい実情があります。だから明文化に意義があるということです。

【心理カウンセラー 柳谷和美さん】
「例えば夫婦であっても、『夫婦だからいいじゃないか』みたいになっていた部分がありますけれど、多くの場合、妻側がちょっと我慢というか被害を受ける側になることが多いんですけど、体調がしんどいこともあったり、子育てで疲れている時もあって、そういった時に夫が何気なく絡んできて、それを断ると翌日無視したり子供に『お前らのお母さんは意地悪やで』って言うという話を実際に聞きます。
学校では部活で『君をレギュラーにしてあげるから』と言って、体に触れたりして、ずっと我慢させられてそのままレギュラーにならされるとかあります。男子も被害にあうことがあり、部活で先輩たちが羽交い絞めにして下着を脱がしてからかうということもあります。そういった断れない状況に追い込まれて、被害に遭うことが多いので、明文化されたのは、被害当事者側からしてすごく大きなことです」
柳谷さんが注目するもう1つのポイントが「時効の見直し」です。これまで10年だった時効が、15年に延長されました。
そして被害者が18歳になるまで、事実上時効は適用されません。
柳谷さんよりますと、『子供の性被害は認識しているが言い出せない』ということです。
柳谷さん自身も幼少期に受けた性暴力被害を言い出せなかった実体験があるということです。

【心理カウンセラー 柳谷和美さん】
「私は5歳の時に隣に住んでいたお友達の父親から性被害を受けました。しかもその時、私自身は性教育を受けていませんし、プライベートゾーンと言われる大事なところを人に見せたり、触らせたりしてはいけないよっていうことを知らされてなかったので、言い方は悪いですけど“まんまと”被害に遭いました。
思春期の時に思い出して、ずっと黒いものが体の内側にある感じで引きずったまま、やっと話せると思えたのが、今の夫と出会ってなので、40歳になる前でした。性的な話は本当にしにくいです。時効期間が延びたことは評価できますが、性被害に関しては時効撤廃でいいのかなと私は個人的に思っています」


時効を撤廃することは難しいのでしょうか?

【菊地幸夫弁護士】
「実情として、性被害は言い出しにくいところがあると思います。ただ法律の世界で、他の重罪は時効が何年で、それより時効が短くなるとか、全体のバランスを立法者は考えます。だから例えば『言い出せない期間』を、時効が停止するといった考えはあるかも。罪を問おうと思っても問えない期間というようなものを当てはめて、精神的に告白しようと思ってもできない期間は時効をストップするなど、別の解決方法もあろうかと思います」
法改正によって“同意をしているのかどうか”が大きなポイントになります。
柳谷さんに監修してもらった「性的同意チェックリスト」、これに当てはまれば性的同意を取れていないので要注意だということです。

・デートは性行為を前提としている
・家に泊まるのは、性行為OKのサイン
・相手がイヤだと言わなければ性行為OKのサイン
・同じ相手に毎回、性行為の同意を取る必要はない


こうしたサインを勘違いしている人はいるかもしれません。

【関西テレビ 神崎報道デスク】
「今回の法改正を受けて、性行為におよぶそのたびに相手の同意を取るのが大原則だと肝に銘じるべきだと思います」


夫婦間でも同意は必要なんですね。

【心理カウンセラー 柳谷和美さん】
「『今日の晩御飯カレーにする』とか聞くのと同じぐらいのことです。そもそものコミュニケーションが健全であれば、 『今日は性交していい』って、そんなに深刻にならなくてもいいことだと私は思います」


番組コメンテータの犬山紙子さんは「私たち世代はやっぱり“同意”を性教育で習っていないんです。“同意”を今の子供たちには包括的性教育でしっかり教えていく、それが子供の尊厳を守ることになるし、相手の尊厳を守ることにもつながると思うので、本当に教育だと思います」と話しました。

■「性犯罪は100%加害者が悪い」
性犯罪に対して、改めて大切なことは「性犯罪は100%加害者が悪い」ということです。

・被害を受けた人には…セカンドレイプを生まない支援・サポートが必要
・加害者をなくすために…コミュニケーション能力を育む性教育が必要


と柳谷さんは指摘されています。

【心理カウンセラー 柳谷和美さん】
「例え酔っぱらって服を着ていない状態で寝転がっていても、毛布をかけて立ち去るっていう選択肢があるわけです。人権の感覚を持つべきで、子供の頃から誰もが安全に自由に生きる権利がある。 だから安心安全を奪ったのであれば人権侵害だよと、子供の時から守られる体験が必要になります。とにかく相手に“お伺い”して、『イヤだ』を尊重できる人間関係を築けないといけません。あと性教育は非常に大事です」




■視聴者から質問「同意していると勘違する人がいる」→「イエス以外は『ノー』です」



ここで関西テレビ「newsランナー」視聴者からの質問です。

「Q.有罪となったら、刑罰の他に更生プログラムもあるの?」

【心理カウンセラー 柳谷和美さん】
「私が知っている例として、大阪大学名誉教授の藤岡純子先生が代表されている『もふもふネット』では、加害者の治療、教育、治療共同体というものをやられています。これは自分から行かないとプログラムに参加できないのが難しいところではあります。でも私が知っている限り、その治療教育を受けられた方が性加害をやめている実績もあります。そういったところにつながっていただければと思います」




「Q.同意していないのに勝手に同意していると勘違いしている人がいました。その場合はどうなる?」

【心理カウンセラー 柳谷和美さん】
「とにかくイエス以外は『ノー』です。明確に『いいよ』がなければだめで、黙っていたら『ノー』です」


とにかく同意を取ることが大事です。
考え方、教育を変えていくことも重要になります。



(関西テレビ「newsランナー」2023年7月13日放送)

https://www.ktv.jp/news/feature/230713-hudouiseikou/
とにかく同意が必要 “イエス以外はすべてNO!”という認識を 性犯罪をめぐる法律が改正「不同意性交罪」が施行 "同意ない"具体例8つが提示 「経済的・社会的地位の利用」の明文化がポイント 2023年07月13日



現在の「強制性交罪」と「準強制性交罪」を統合して罪名を「不同意性交罪」とする。同意がない性行為は今後、処罰対象になり得ることが明確に示された。

現行法では、性犯罪は「同意のない性行為」というだけでは処罰されない。加害者による暴行・脅迫と被害者の心神喪失や身体的、心理的に抵抗するのが著しく困難な状態になる「抗拒不能」を犯罪の構成要件としている。

改正法では、不同意性交罪の要件を、「同意しない意思を形成、表明、もしくは全うすることが難しい状態」とし、「暴行・脅迫」に加え「社会的・経済的な地位の利用」「予想外の事態での恐怖・驚き」「アルコール・薬物の摂取」など8つの行為を具体的に示した。

8つの行為を原因とした性的行為には、これまでも有罪とする裁判例が積み重ねられてきたが、条文に明示されていないことから、同様の行為でも無罪となるケースがあった。

愛知県で父親が19歳の娘に対する性的暴行の罪に問われた裁判で1審判決は、拒絶するのが著しく困難な状態ではなかったとして無罪を言い渡した。1審では、経済力など「立場が上の加害者」に被害者が逆らえず、長年の虐待で抵抗する意思すら奪われていた実態が考慮されなかった。

今回の法改正には、こうした本来処罰されるべき行為が無罪となるケースをなくす狙いがある。

裁判員裁判では、性犯罪に対して、裁判官だけの裁判より重い量刑が選択される傾向が顕著だった。国民が性犯罪に厳しい処罰意識を持っていることの表れであり、今回の改正は多くの国民の人権感覚に沿うものといえる。

公訴時効も現在より5年延長され、15年となる。

法律と犯罪実態の乖(かい)離(り)を訴え、改正を求める運動を展開してきた被害者団体は、改正を「前進」と評価する。一方で、公訴時効については、被害を訴え出にくい性犯罪の特性から、さらなる延長が必要だとしている。

国には、「魂の殺人」といわれる性犯罪を許容しないための不断の見直しも求められている。

https://www.sankei.com/article/20230620-J2FBDHEIERKEHCMWWQKMXQ3DOA/
不同意性交罪 国民の意識に沿う改正だ

2023/6/20 05:00




8種類を明記





 強制性交罪の成立には「被害者の抵抗を著しく困難にする程度の暴行や脅迫を用いること」が必要とされてきた。だが、暴行や脅迫がなくても、恐怖などで体が動かない「フリーズ」状態に陥り、抵抗できずに被害に遭うことがある。

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 このため、改正法では「暴行・脅迫」だけでなく、「恐怖や驚がく」「虐待」「経済的・社会的地位に基づく影響力」など計8種類の行為や状況を明記。それらによって、被害者が「同意しない意思」を表明するのが困難な状態なのに、性交するなどした場合は処罰するとした。

 罪名については、「強制わいせつ罪」も「不同意わいせつ罪」に変える。現在の準強制性交罪と準強制わいせつ罪はそれぞれ、不同意性交罪と不同意わいせつ罪に統合された。

 処罰要件や罪名の変更は被害者側が求めていた。変更により、「同意のない性行為は許されない」というメッセージを社会に送るとともに、「教師と生徒」「上司と部下」など、関係性を悪用した性犯罪が処罰しやすくなるとみられる。

 また、精神的ショックなどで被害を申告しにくい実態を踏まえ、時効を各罪で5年延長。幼少期の被害は、被害を認識するまで時間がかかるケースもあるため、被害時に18歳未満だった場合、18歳になるまでの期間を時効に加算する。

「撮影罪」新法も



 性行為への同意を自ら判断できるとみなす「性交同意年齢」は、条件付きで13歳から16歳に引き上げた。13歳未満との性行為は同意の有無にかかわらず処罰対象だったが、中学生に相当する13歳から15歳も保護対象とした。その年代と5歳以上離れている者が性行為をした場合、同意があっても処罰される。

 16歳未満の子どもを手なずける、いわゆる「性的グルーミング」を罰する罪も新設。わいせつ目的で、うそをついて面会を要求すると処罰される。胸や尻といった性的部位や下着姿などの盗撮を禁じる「撮影罪」を盛り込んだ新法も成立した。現在は盗撮を直接禁じる法律はなく、都道府県ごとの条例を適用しているが、法律で統一的に取り締まる。

https://www.yomiuri.co.jp/national/20230617-OYT1T50068/
不同意性交罪への名称変更、計8種類の行為や状況を明記…処罰しやすくなる「関係性の悪用」

2023/06/17 07:00



 性犯罪の規定を見直す刑法改正案に関し、政府は従来の方針を転換し、「強制性交罪」「強制わいせつ罪」としてきた罪名を「不同意性交罪」「不同意わいせつ罪」にそれぞれ変更する。同意のない性交やわいせつ行為は処罰の対象になるという性犯罪の本質を、より明確にする変更といえる。

 性犯罪の規定を巡り、法相の諮問機関である法制審議会が見直しの議論を進め、先月十七日に改正案の要綱を法相に答申した。

 強制性交罪に準強制性交罪を統合し、「暴行・脅迫」「恐怖・驚愕(きょうがく)」「地位の利用」などにより、被害者が「同意しない意思」を表すことなどを困難にして性交した場合に処罰対象とする内容だ。

 罪名について、被害者団体などは「同意のない性行為は処罰されるべきだというメッセージが社会全体で共有されるような罪名」である不同意性交罪への変更を求めていたが、法務省は内心だけが罪の成立要件になりかねないとして当初、変更を見送っていた。

 現行刑法の強制性交罪は、二〇一七年の法改正で強姦(ごうかん)罪を改称したものだが、同意のない性交というだけでは犯罪にならない、要件の厳しさが問題とされてきた。

 被害者が抵抗できないほどの暴行や脅迫、抗拒不能(抵抗や拒絶が著しく困難)な状態、心神喪失などがあることが罪の成立要件として求められるためだ。

 一七年の刑法改正後も、娘に対する性暴力事件で実父が無罪となった一九年春の名古屋地裁岡崎支部判決など性犯罪を巡る事件で無罪判決が相次ぎ、性暴力被害者らが沈黙を破る契機となった。花を手に性暴力根絶を訴える「フラワーデモ」が全国に広がり、今回の刑法改正につながっている。

 不同意性交罪の導入は、被害当事者らには悲願でもあった。

 法制審が答申した要綱にも、曲折を経て「同意しない意思」との文言は盛り込まれていた。罪名も変更されれば、同意のない性交は処罰の対象になることを国民に広く伝える効果がある。

 性被害当事者らでつくる一般社団法人も「性暴力をなくす上で大きな分岐点になる」と罪名変更を評価している。

 政府は刑法改正案などを三月中旬にも提出し、今国会成立を目指す。国会では性犯罪を根絶するために、被害者に寄り添い、審議を尽くすよう求めたい。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/234887
<社説>不同意性交罪 性犯罪の本質が明確に

2023年3月6日 08時07分