共同親権をめぐる報道まとめ(2024年4月中旬)ありしん@共同親権反対ですありしん@共同親権反対です2024年6月4日 06:20PDF魚拓



●国会質疑書き起こし:七緒さんnote https://note.com/nao302198765/
4/3の岡村晴美弁護士、4/2本村伸子議員、枝野幸男議員 など必読です!

●国会質疑文字起こし:ありしんさんnote https://note.com/arisin/
4/3の斉藤幸子さん(DV被害当事者) 3/29国会前デモスピーチ など必読です!

●4/3衆議院法務委員会質疑 全動画(衆議院インターネット中継)
 https://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=55091&media_type=

●4/2衆議院法務委員会質疑 全動画(衆議院インターネット中継)
 https://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=55083&media_type=

●共同親権法案に反対してくれている国会議員のリスト
(応援のメール・FAXを。SNSで激励を。)
https://twitter.com/katepanda2/status/1773914956477632793

●岡村晴美弁護士と、共同親権法案の問題点について国会審議入りの最新状況を踏まえて
トーク(3/20)
https://voicy.jp/channel/2878/753961

●voicyパーソナリティさおりさんから、障がい児子育てのリアルをうかがいながら
共同親権が障がい児を育てるひとり親のご家庭にどう影響するかを考えてみた
トーク(3/27)
https://voicy.jp/channel/2636/758837

●今何ができるのか?
アクションリスト(上越中央法律事務所)
https://j-c-law.com/wp-content/uploads/2015/06/3978caa135c98004e7b5609f4e662ad7.pdf
 このアクションリストは共同親権法案に特化したものではないのですが、
全てのテーマで「どんなことができるのか」を考える時に
すごく参考になります。

少なく表示

#ジェンダー #共同親権 #共同親権を廃案に



弁護士太田啓子のラジオ

太田啓子(弁護士

https://voicy.jp/channel/2878/771157


共同親権 別居後の加害助長も

本村議員 子どもの意思聴取せよ

衆院法務委






(写真)質問する本村伸子議員=10日、衆院法務委

 日本共産党の本村伸子議員は10日の衆院法務委員会で、家庭裁判所を介した別居する親と子どもの面会交流に当たっては専門家が子どもの意思・心情を必ず聴取すべきだとして、民法改定案は拙速に議論すべきではないと主張し、「共同親権」の単独行使に関する資料を要求しました。

 本村氏は、家庭裁判所に面会交流の申し立てがあった子どもへの専門家による意思の聴取の必要性や、面会交流が健康な発達を害する事例の増加などが医療現場で指摘されているとして、是正を求めました。

 最高裁の馬渡直史家庭局長は「家裁調査官が必要と判断した場合、最新の心理学、社会学、教育学などの専門的知見や技法を活用して子の意思・心情を把握する」と答弁しました。

 本村氏は、別居後も、誘拐罪での刑事告訴や被害者側の弁護士への懲戒請求などDV被害者側への加害行為がエスカレートする事例が増えていると指摘。「(父母相互の)協力義務違反として(民事裁判でも)訴えられる可能性があるのではないか」とただしたのに対し、法務省の竹内努民事局長は「法的根拠がないと知りながら訴えた場合は不法行為に該当する」と述べました。

 本村氏は、共同親権が導入された場合、「DV加害者によるポスト・セパレーション・アビューズ(離婚・別居後の虐待)のきっかけを無限につくってしまう」との懸念の声を示し、対策を迫りました。

 また、DV被害者を支援する弁護士への法的嫌がらせの被害実態と対策を要求。小泉龍司法相は「弁護士の実情を法務省としてうかがう機会は必要だ。声を聞き、検討したい」と答弁しました。

2024年4月11日(木)

共同親権 別居後の加害助長も

本村議員 子どもの意思聴取せよ

衆院法務委




自民党の谷川とむ議員が4月5日の、衆院法務委員会で審議中の離婚後共同親権を導入する民法改正案の質疑の中で 【写真あり】谷川とむ議員の元妻で詐欺容疑で逮捕の吉羽美華市議「ウラの顔」 「特段の事情、まあDVや虐待がない限り、離婚しづらい社会になる方が健全だ」 「離婚して誰も得しない。子どものことを考えれば、離婚しづらい世の中の方がいいと思う」 と話し、野党だけでなくネット上でも賛否両論が噴出し炎上状態になった。 谷川氏といえば’18年に『AbemaTV』に出演した際、同性婚に関して 「多様性を認めないわけではないが、それを法律にする必要はない。(同性愛は)趣味みたいなものだ」 と持論を展開し、物議を醸したこともある。 「谷川氏は憲法改正を目指す議員の一人。Xなどでは谷川氏が過去に旧統一教会の関連団体の会合に出席している画像や記事が蒸し返され、“やっぱりか”“壺議員だった”などと非難されています。統一教会と谷川議員の思想が似ていることから、“怪しい”と話題になったこともありましたね」(テレビ局記者) 一方で、“離婚しづらい世の中に”とは言いつつも谷川議員自身はXで’18年に一般女性と再婚し、子どもも二人いる。実は1度目の結婚相手はある意味“名を馳せた”人物だった。 ’14年11月4日のSNSには 《吉羽美華さんと結婚致しました。安倍総理のビデオレターからはじまり、下村博文文部科学大臣が大変お忙しい中、ご出席頂き、ご祝辞を賜りました。》 と書かれている。 吉羽美華といえば、’20~’21年、独立行政法人『福祉医療機構』(東京)の融資制度を悪用し、医療法人などから計約2億9140万円をだまし取ったとして起訴された元寝屋川市議だ。 過去には「美しすぎる市議」として写真集を出版したことでも知られている。谷川議員は’14年に吉羽被告と結婚し、翌’15年に長男が誕生。’16年に離婚している。 「吉羽被告は離婚する際、谷川氏から“言葉や経済のDVがあった”とブログで主張していた。しかし谷川議員は“DVなんてとんでもない。彼女に手をあげたことも不貞行為も一度もない”“クレジットカードまで渡していた”と反論しています。谷川議員は離婚したからこそ、新たな人生を歩み、幸せになっているのに“離婚しづらい世の中に”と主張するのは疑問が残りますね……」(女性誌記者) 吉羽被告はコロナ融資詐欺以外にも、’17年に自身のブログで「TOS」という仮想通貨を宣伝していた。サムスンとトヨタが関わっているとして情報解禁と謳っていたが、これが全くのデタラメということが判明し批判が殺到。即刻ブログを削除したという過去もある。 また吉羽被告は株式会社「Potential」という会社を立ち上げ、総合格闘技「RIZIN」のスポンサーをしていた疑いもある。“一地方市議”とは思えない羽振りの良さだったのだ。 逮捕されたが、いまだに同社のインスタグラムには吉羽被告の写真が掲載されている。 今はそれぞれ違った人生を歩んでいる谷川議員と吉羽被告の元夫婦。二人を知れば知るほど“離婚”について考えさせられるが……。

FRIDAYデジタル

「離婚しづらい世の中に」訴え“炎上”の谷川とむ議員 元妻はコロナ融資詐欺で逮捕の「あの美人議員」

4/11(木) 11:00配信



「共同親権」柱の民法など改正案 修正で自民・立民など合意

2024年4月11日 18時34分

離婚後も父と母双方が子どもの親権を持つ「共同親権」の導入を柱とした、民法などの改正案をめぐり、自民党と立憲民主党などは、離婚後に子どもと同居する親だけで決められる行為などを政府が周知することを付則に盛り込む修正を行うことで合意しました。

衆議院で審議が行われている民法などの改正案は、離婚後に父と母のどちらか一方が子どもの親権を持つ今の「単独親権」に加え、父と母双方に親権を認める「共同親権」を導入することが柱となっています。

改正案をめぐり、衆議院法務委員会の自民・公明両党と立憲民主党、日本維新の会の理事が11日午後、協議し、法案の付則に新たな規定を盛り込む修正を行うことで合意しました。

具体的には、離婚後に「共同親権」を選択した場合、子どもと同居する親だけで決められる行為などを政府が周知することや、法律の施行後5年をめどに見直しを検討するなどとしています。

一方、立憲民主党は、付則に新たな規定を盛り込む修正に合意したものの、改正案そのものの賛否は党内で検討を続けていて、与野党は12日の委員会で採決するかどうか改めて協議することになりました。

「共同親権」柱の民法など改正案 修正で自民・立民など合意

2024年4月11日 18時34分




離婚後の子どもの親権を父母の双方に認める「共同親権」の導入を柱とした民法の改正案が衆議院の法務委員会で可決されました。ただ、離婚した「当事者」からは不満の声もあがっています。



「起立多数、よって本案は修正議決すべきものと決しました」



きょう、与野党の賛成多数で可決した民法の改正案。これまで離婚後の子どもの親権者は父母のどちらか一方の「単独親権」のみでしたが、今回の改正案では、どちらにも親権を認める「共同親権」が選べるようになり、父母の協議で決まらない場合は家庭裁判所が判断します。



自民党 熊田裕通 衆院議員

「養育費の履行を確保することや、安全安心な親子交流を実現していくことが重要であります」



賛成した議員は“共同親権になれば実際に養育していない親が子どもと面会しやすくなり、養育費の不払い問題も改善される”などと強調しますが…



後藤さん(仮名)

「絶対に反対っていう気持ちでおります。紙の上で離婚したとしても、現実的に離婚ができないような状況が続く法案だと思ってます。反対です、私は。色々な話し合いにおいて合意ができないから、協力して何かを進めることができないから別れているわけであって」



数年前に離婚し、2人の子どもの親権を持つ後藤さん。前の夫から“精神的なDV”を受け離婚し、現在も子どもをめぐる係争が続いています。



今回の法案はすでに離婚が成立していても申し立てが認められれば「共同親権」が適用されることから、“前の夫が申し立てを行うのではないか”と不安を感じているといいます。



後藤さん(仮名)

「共に居なくていいということが一番の救い。法によって、また“共同しなさい”と言われているようなものだと思うんですね、共同親権って」



後藤さんのように精神的なDVによる離婚の場合、証拠が残りにくいことから、“訴えが家庭裁判所に正確に届くのか”という点も強く懸念しています。



立憲民主党など野党側はDVや虐待など円満に離婚できなかったケースで、適切に「共同親権」を行使できるのか、との懸念を示し、与野党はきのう、親権を選択する際に「父母の双方の真意」を確認する措置を検討することなど、新たな付則を盛り込むことで合意。しかし、この修正案についても“不十分だ”と指摘します。



後藤さん(仮名)

「いろいろな経験、思い、言語化しづらいです。真意というものが、どれほど伝えられるのかなっていうのがあります。修正案に関してもすごく懸念が残りますね」



改正案は来週、本会議で可決され、参議院に送られる見通しで、後藤さんは「共同親権」申し立ての不安に駆られる日々が続きます。



後藤さん(仮名)

「(共同親権が)運用されるとなると、法律を使って支配され続ける状況が続くことなので、心身ともに衰弱しますし、それが共にいる子供にとって良いわけがなくて、サポート・ケアの対策までお話し合いを進めていただきたいなという思い」



当事者の悲痛な声を国はどう受け止めるのでしょうか。

「共同親権」法案が衆院で可決 “離婚後も支配され続ける”と当事者から不安の声も



衆院法務委員会は12日、離婚後も父母双方が子の親権を持つ「共同親権」を導入する民法改正案を、与党などの賛成多数で可決した。来週に衆院を通過し、参院に送られる見通し。自民、公明、立憲民主、日本維新の会の4党の合意に基づき、親権の在り方を決める際に「父母双方の真意」を確認する措置を検討することを付則に盛り込むなどの修正をした。
   ◇   ◇


◆就学支援金の受給の可否に影響する可能性も



 離婚後の共同親権を導入する民法などの改正案は、根強い慎重論に配慮し、共同親権となるケースを事実上厳格化する修正が盛り込まれた。だが法案の核心部分は変わっておらず、一方の親だけでできる行為の範囲は曖昧なまま。父母間の紛争が増え、子に不利益が及ぶ懸念は残されている。

 「共同親権のケースで、どんな時に一方の親だけで親権を行使できるのか、明らかでない部分がある」

 12日の採決後、立憲民主党の道下大樹氏は、記者団に厳しい表情で語った。

 改正案は、共同親権の父母でも、日常の行為や「急迫の事情」があるときは、一方の親だけで親権を行使できると定める。具体例が明文化されていないせいで、対立や紛争に発展しやすいことが心配されてきた。

 法務省は審議で、日常の行為として「食事やワクチン接種、習い事の選択」を例示。「急迫」の解釈は、入試の合格発表直後の入学手続きや緊急手術など、協議や裁判をしている時間がないケースだと答弁した。

 ただ、一方の親だけで決められる医療行為の範囲は「緊急性による」と述べるにとどめ、明示しなかった。慢性疾患がある子への治療方針を決める際、協議が難航する可能性がある。

 さらに高校の授業料負担を軽減する就学支援金を巡って、文部科学省は、共同親権なら原則、父母の所得を合算して受給の可否を判定すると説明。十分な養育費を受け取れていない子が所得制限で支援から漏れるおそれが浮上した。共産党の山添拓政策委員長は12日の記者会見で「奨学金や生活保護など、社会保障に影響し得る」と問題視した。

 法務省による2022年度のパブリックコメント(意見公募)には8000件超が集まり、団体からの意見は導入に賛成が多かった一方、個人からの意見では反対が賛成の2倍に上った。社会の理解が追いついているとは言い難く、参議院の審議で不安を払拭できるかが問われる。(大野暢子)

【関連記事】「共同親権」導入へ議論3年、欠けていた「子の利益」の視点 離婚を経験した親たちの不安は消えず
【関連記事】「共同親権」本当に導入する? 推進の自民内部にも慎重論 公約の維新「強引に押し切らない」

離婚後の「共同親権」…子どもに不利益が及びかねない「懸念」とは 民法改正案が衆院委で可決

2024年4月13日 06時00分


離婚後も父母双方が親権を持つ「共同親権」の導入を盛り込んだ民法改正案が、12日にも衆院法務委員会で採決される。父母どちらかの単独親権のみと定めた現行規定を77年ぶりに改める。政府は「子の利益」を確保するためと位置付けるが、離婚後もドメスティックバイオレンス(DV)や虐待が継続しかねないという懸念が当事者たちから出ている。元夫のDVが原因で離婚した女性は、異例のスピードで進む国会審議を注視し、不安を募らせる。

 夫と子ども2人を乗せて車を運転している時だった。「時速100キロ出せ」「追い越せ」「おまえは何もできない」-。怒鳴り続ける夫の声が遠くなり、一瞬、気を失った。車はガードレールをこすりながら前進。後部座席の夫が慌ててブレーキをかけ、ようやく止まった。

 意識が戻り、助手席の子どもを見ると、恐怖のあまり目を見開いたまま固まっていた。けがはなかったが、車は大破。夫は「こんな事故を起こして、おまえのせいで人生が台無しだ」となじり続けた。

 DVが原因で離婚した京都府内に住む40代の女性は、当時を思い出すと今も涙が出てくる。

 婚姻中、夫は「ポン酢が切れていた」「子どもが雑誌を汚した」などのささいな理由で激高した。物を壊し、「リポート」の提出を要求した。クローゼットの扉はへこみ、ストーブや人形のベビーカー、スマートフォンは破壊された。子どもの予防接種や保育所の入所は、夫の反対でできなかった。渡される生活費は少なく、独身時代の貯金を取り崩した。「俺を怒らせるおまえが悪い」と責められ、夫の顔色をうかがう毎日だった。

 交通事故をきっかけに、妹に相談した。DVを指摘され、子連れで実家に戻った。自身と長子はDVによる適応障害と診断された。離婚調停を申し立てたがまとまらず、2年かかって家裁の判決で離婚が成立。DVの慰謝料も認められた。

 元夫は子どもとの面会交流を何度も申し立てた。自身と子を守るための別居を、調停委員に「子の『連れ去り』だ」と非難された。面会が母子の生活の安定を損なうという診断書はあったが、離婚から2年後に面会交流の実施が決定。

 当時幼児だった長子は「今は優しい顔をしていても、昔のことを覚えているから怖い」と言い、思春期に入ると面会を拒否した。小学生の次子は今も面会を続けている。

 法案ではDVや虐待の恐れがあれば単独親権と規定するが「追い詰められた状態では証拠を残すのは難しく、認められないかもしれない」。DVの立証が難しい中では、子連れ別居を諦めざるを得ない人がいっそう増えるのではないかと心配する。

 共同親権への変更は離婚後も申し立てられる。父母が折り合わなくても、家裁が決定すれば、進学や子の病気の長期的治療、子を伴う引っ越しなどで元夫の同意が必要になる。父母の意見が対立して期限に間に合わないなど「急迫の事情」がある場合や、「日常の行為」は単独で判断できるとされるが、「DVがあった関係性に引き戻される」と懸念する。「話し合いができないから離婚したのに、共同親権になれば、子どもは親が苦悩する姿をまた見なければいけなくなる。どういうリスクがあるのか、当事者の声をちゃんと聞いて、法案に反映させてほしい」と訴える。

© 株式会社京都新聞社

継続の恐れも 共同親権のリスク、当事者の声聞いて

2024/04/12




衆院法務委員会は12日、離婚後も父母双方が子の親権を持つ「共同親権」の導入を柱とする民法などの改正案について、自民、公明、立憲民主、日本維新の会各党が共同提出した修正案を賛成多数で可決した。法案は16日の衆院本会議で可決、参院に送付される見通しだ。

共同親権、与野党が修正合意 付則に「父母の真意」明記

 共同親権導入を巡っては、「離婚後もDV(家庭内暴力)が継続する」との反対意見が根強い。立民の修正要求を踏まえ、付則には共同親権の選択について「父母双方の真意」を確認する措置を検討することを盛り込んだ。

 改正案は、離婚後の「単独親権」のみを認める現行法を見直し、父母が協議して共同親権も選択可能とする。父母の意見が一致しない場合、家庭裁判所が「子の利益」を踏まえて判断。DVや虐待などの恐れがある場合、家裁は単独親権としなければならない。

 共同親権の場合、子に関する決定には父母双方の合意が必要。ただ、監護・教育に関する「日常の行為」や、DVからの避難など「急迫の事情」がある場合は単独で親権を行使できる。

 法務委は採決に当たり、付帯決議を採択。「日常の行為」「急迫の事情」の内容をガイドライン(指針)などで明らかにするよう求めた。家裁がDVや虐待を適切に判断するため、裁判官や調査官の増員なども要求した。

共同親権法案、法務委で可決 16日にも衆院通過、付則を修正

時事通信 編集局2024年04月12日16時39分配信


離婚後の子どもの親権を父母の双方に認める「共同親権」の導入を柱とした民法の改正案は、衆議院の法務委員会で与野党の賛成多数で可決されました。



改正案は、離婚後の子どもの親権者は父母のどちらかとする「単独親権」の規定を見直し、父母双方に親権を認める「共同親権」も導入することが柱となっています。



協議で決まらない場合は「単独」か「共同」かを家庭裁判所が判断するなどとしていますが、立憲民主党など野党側はDVや虐待など円満に離婚できなかったケースで、「単独」か「共同」かを適切に選択し行使できるのか、などと懸念を示していました。



与野党は修正協議のうえで、親権を選択する際に「父母の双方の真意」を確認する措置を検討することなどを新たな付則に盛り込むなどの一部修正で合意していました。



民法改正案は16日にも、衆議院・本会議で採決が行われ、与野党の賛成多数で可決され、参議院に送られる予定です。

「共同親権」導入を柱とした民法改正案 衆・法務委で可決


 離婚後に共同親権を可能とする民法改正案が4月12日、衆院法務委員会で賛成多数により可決された。4月16日にも衆院を通過する見通しだ。

 離婚後の親権は、現在は父母のどちらか一方にしか認められていないが、改正案では父母が離婚時の協議によって、単独親権か共同親権かを決めることができる。

 これに持ち上がっていたのが、共同親権によって子や元配偶者への虐待やDVが継続されることへの不安だった。これは4月3日の法務委員会でも指摘されたことだ。親によるDVや虐待のおそれがあると認められれば、父母どちらかの単独親権となるというが、つきまといの可能性は拭えない。

 岸田政権のこの政策に対し、世間の母親たちからは猛反発の声が多数上がっている。社会部デスクが言う。

「共同親権を導入しているフランスではDVや性的虐待が絶えず、父親に子供を会わせなかったことで逮捕された母親がいる、と主張する人もいます。とある弁護士は、離婚済みの案件で共同親権を求めて親権者変更の申し立てがあちこちでなされる、と予測している。あるいは女性からは、離婚後も元夫の許可なしでは引っ越しも子供の転校もできないのでは、と絶望感を露わにする向きも…」

 巷では不幸な人が激増するとして「共同親権絶対反対運動」が起きているが、政府はなぜか法案成立を急いでいる。これが成立すれば、さらなる反対世論の大波が発生し、わずか20%前後の岸田政権の支持率がさらに低下するのは間違いないだろう。

Posted on 2024年4月13日 05:59

世の母親が猛反発!不幸になる人が激増し逮捕者も出る「共同親権法案」恐怖の実態



#ちょっと待って共同親権

ネット署名15万超に

 離婚後に「共同親権」を導入する民法改定案に危機感を持つ父母らが参加する「#ちょっと待って共同親権プロジェクト」が呼びかけたオンライン署名が12日、15万人を超え、急速に広がっています。衆院法務委員会での改定案可決を前にした12日だけで、7万6000人以上が署名(午後6時半時点)しました。

 署名のタイトルは「#STOP共同親権~両親のハンコなしでは進学も治療も引越しもできない!実質的な離婚禁止制度~」。オンライン署名サイト「チェンジ・ドット・オーグ」で呼びかけています。

 (署名サイトはこちら)

 離婚後共同親権が導入されれば、離婚した相手との関係が強制的に継続するとのべ「子どもがいる人に対する実質的な『離婚・子連れ別居禁止法』」だと指摘。離婚後共同親権の導入に向けた法改定を取りやめること、法改定を審議する場合は共同親権が原則でないことを明文化することなどを求めています。

 署名には賛同するコメントが多数寄せられ、「今まさにモラハラ夫と離婚協議中ですが、これ以上子どもの将来を苦しめることはやめていただきたい」「DV(配偶者などからの暴力)後に離婚した家庭にとって相手に引っ越し先を知られることは恐怖でしかない」など、改定案への怒りがつづられています。

2024年4月13日(土)

#ちょっと待って共同親権

ネット署名15万超に


開始日

2024年1月30日

署名の宛先

岸田文雄 (内閣総理大臣)2人の別の宛先

この署名で変えたいこと



署名の発信者 ♯ちょっと待って共同親権 プロジェクト

English


「中学生の頃に両親が離婚しました。父親からモラハラ・セクハラを受けており、気に入らないことがあると、グーパンチの顔前寸止めもされました。母が私たちを連れて逃げてくれたのですが、すぐに居場所を突き止められ、玄関のドアをガチャガチャしたり待ち伏せしたりされ続けました。『お前たちを自殺に追い込むこともできる』とも言われたこともあります。もしあの時共同親権だったら私たちはもっと追い込まれていたと思います。」(山本さん・仮名)


「私は小学生の子どもと暮らしている母親です。夫から受けた暴力を家裁に訴えても、全くとりあってもらえず、5年間の離婚調停を経てもまだ離婚が成立しません。」(鈴木さん・仮名)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

今年の国会で「離婚後共同親権」制度の導入が決定するかもしれません。導入されれば、離婚した後に子どもを保育園に入れるにも、治療を受けさせるにも、引っ越しにも、子どもが希望する学校に進学させるにも「両親」のハンコが必要になり、離婚した相手との関係が強制的に継続しますーー子どもがいる人に対する実質的な「離婚禁止制度」です。


そしてこの制度の影響は約200万人(試算※)の子どもに及ぶと考えられています。


考えてみてください。もちろん離婚後も父母が協力して子育てできる関係であることは理想です。ですが、そもそも離婚に至るということは関係が立ち行かなくなっているということ。そんな関係の父母に共同親権を強制されたら、子どもは身動きが取れず、子どもの希望は塞がれてしまいます。


子どもたちに不利益をもたらし、立場の弱い方を追い詰める「離婚後共同親権」の導入を拙速に進めないでください。子どもたちのことを考え、立ち止まって考え直してください。


【離婚後共同親権ってなに?】

子どもの重要事項についての決定に別居親の許可が必要になる制度です。拒否されれば、進学・入院・入園・引っ越しなどができなくなります。合意できなければ、裁判所に決めてもらうまで何もできません。


【具体的に何が問題なの?】

① 父母のどちらかが拒否しても、裁判所によって「共同親権」が命じられる。

② 子連れ別居ができなくなる。

③ 裁判所は、精神的・性的虐待など立証できないDVを除外しきれない。

④ 家庭裁判所はすでにパンク状態で、対応する人員も施設も予算もない。

⑤ 「養育費不払い対策」は骨抜きで実効性がない。

⑥ 裁判などを悪用した嫌がらせ(リーガルハラスメント)の対策がない。


【共同親権って誰に関係あるの?】

ⅰ 子ども

ⅱ 子どもがいる人

 ・離婚を考えている人

 ・すでに離婚した人

 ・婚姻中・未婚・事実婚を含む子どもがいるすべての人

ⅲ 将来子どもをもつ可能性があるすべての人


上記のみならず、医療・教育・行政・習い事など子どもに関わる仕事をする人も、訴訟リスク等大きな影響があります。


【要望】

1 離婚後共同親権の導入に向けた法改正を取り止めてください。

  法制審議会で審議が尽くされていません。また、2/3が反対意見だったという約8,000件のパブコメが公開されないうちに要綱案が決定されており、審議の進め方にも問題があります。

2 やむをえず導入を審議する場合は、以下の対策を必須のものとして強く要望します。

  ①共同親権が原則でないことを明文化し、強制が起きないように対策を行うこと

  ②DV・虐待対策と被害者支援を大幅に拡充すること

  ③子ども及び一方の親に「不利益のおそれ」がある場合は速やかに共同親権を解除できる制度にすること

  ④家庭裁判所の機能拡充のため、研修・人員体制の強化、財源確保などを行うこと

  ⑤「公的立替払い」や「徴収制度」など、養育費が確実に支払われる仕組みを確立すること

  ⑥リーガルハラスメントの抑制や被害者側支援について、具体策な施策を講じること


共同親権が法制化したら、結婚した娘に『辛いことがあったら、いつでも実家に帰っておいで』が言えなくなります。娘の夫が別居を許可しなければ、裁判所が認めるまで、実家に子連れで帰ることもできなくなるからです。


離婚後共同親権は、子どもがいる人に対する実質的な「離婚・子連れ別居禁止法」です。


ぜひご賛同をお願いいたします。


#ちょっと待って共同親権


※人口動態調査を元に計算。


<共同親権について詳しく知りたい方はこちら

#STOP共同親権 〜両親のハンコなしでは進学も治療も引越しもできない!実質的な離婚禁止制度〜


離婚後共同親権の導入を柱とした民法改正案をめぐり、衆議院法務委員会は3日、参考人8人の意見を聴取した。法務大臣の諮問を受けて改正案要綱をまとめた法制審議会家族法制部会の大村敦志会長は「改正案は親子関係の多様性に対応できる見直しだ」と説明した。離婚後も父母双方が親権を持つことと、こどもの監護(養育)を父母が共同で行うことは別問題だが、両者を結びつけて改正案を肯定する意見と、改正案に慎重な意見が参考人から上がった。法律家の間でも親権の捉え方に隔たりがあった。8人のうち3人の意見の概要は次の通り。

慎重な運用を

 大村敦志・学習院大学教授(法務省法制審議会家族法制部会長)

改正案は個々の親子が置かれた状況の多様性に対応できる形で見直しを行うものだ。離婚後に親権を共同行使するとしても、すべての事柄につき共同行使とするわけではなく、その対象となる事項、場面の設定には幅がある。つまり二者択一ではなく程度の問題だ。現行法の下でも離婚後に父母の一方が親権、他方が監護権を有することは可能であり、完全な単独行使ばかりではない。改正案はこうした制度をより柔軟に対応できるようにするものだが、当事者、裁判所にとって適切に運用するのが難しいところもある。特に裁判所は制度スタート時からしばらく運用には慎重を期していただきたい。

共同監護計画が肝要

 北村晴男弁護士(民間法制審家族法制部会長)

わが国の離婚後単独親権制度は親子を不幸のどん底に突き落とす悪法だ。共同親権にするべきだが、今回の改正案は骨抜きだ。父母の一方が他の一方から暴力を受ける恐れがあるとき、裁判所は単独親権とせよという規定があるからだ。これは単独親権誘導条項とも言うべきものだ。離婚する夫婦がこどもの養育に関する取り決め(共同監護計画)を作成し、離婚届に添付することを義務付ける、これが真にこどもの利益を第一に置いた共同親権の肝だ。改正案にこの条項はない。痛恨の極みだ。私は当初、親権の問題と共同監護の問題は別だと考えていたが、親権があってこそ離婚後も親子が会える実態がある。

導入は危険だ

 原田直子弁護士(法務省法制審家族法制部会委員)

現時点で共同親権の導入は危険だ。改正案は共同親権を選択しても、一方が単独で親権行使できる例外規定として「急迫の事情があるとき」を設けているが、「急迫」では狭すぎる。DV被害者が安全に逃げられず、こどもも危険にさらされる。諸外国では共同親権だと言われているが、親権ではなく親責任とか配慮義務が主流だ。親の権限は義務を遂行するために必要な範囲のものであるべきだ。親権という言葉は使わず、例えば、居所指定権とか、権限ごとに明確にすればよいのではないか。共同監護計画は今でも作ることができるし、やってほしい。こどもが父母から愛される実感を持つことは大事だが、共同親権にしないとできないかというと、それは別問題だ。

共同親権「多様性に対応した」大村部会長ら衆院で陳述

2024年04月13日 福祉新聞編集部


2024年4月13日(土)

「共同親権」

虐待・DV懸念のなか可決

衆院法務委 自公立維が修正案賛成

共産党は反対

 離婚後も父母双方が子どもの親権者となる「共同親権」を導入する民法改定案が、自民、公明、立民、維新4党が共同提出した修正を加え、12日の衆院法務委員会で賛成多数で可決されました。日本共産党は原案、修正案ともに反対しました。(関連記事)








(写真)質問する本村伸子議員=12日、衆院法務委

 日本共産党の本村伸子議員は反対討論(要旨)で、離婚後「共同親権」の導入をめぐり、さまざまな意見があり、委員会審議では重大な懸念が浮き彫りになったと指摘。4党修正について、立民が「修正項目(案)」として提示していた「父母の双方の合意がない場合には共同親権を認めない」などが盛り込まれていないと批判し、採決に厳しく抗議しました。

 本村氏は、法案に反対する理由として、「親の子に対する権利」という認識が色濃く残る「親権」の用語のまま「共同親権」を導入することや、子どもの意見表明権が明記されていないことを指摘。裁判所によって当事者に不本意な「共同親権」が強制され、一方の親と子どもの利益が害される懸念があるなどの重大問題が解決されていないと批判しました。

 家庭裁判所の人的物的体制の増強や、養育費立替払い制度の創設など総合的な施策を本気で取り組むよう求めました。

 同改定案は、虐待やDV(配偶者などからの暴力)が継続するなどの懸念が相次いでおり、廃止を求めるオンライン署名は約15万人分(12日、午後7時時点)を超えるなど、世論が急速に広がっています。

2024年4月13日(土)

「共同親権」

虐待・DV懸念のなか可決

衆院法務委 自公立維が修正案賛成

共産党は反対


2024年4月13日(土)

高校無償化除外の懸念

本村氏 「共同親権」導入を批判

衆院法務委

 日本共産党の本村伸子議員は12日の衆院法務委員会で、離婚後も父母双方が子どもの親権者となる「共同親権」を導入する民法改定案について、一人親世帯から共同親権になれば、高等学校等就学支援金制度(返還不要の授業料支援)が利用できなくなるという不安の声が出されていることを示し、「父母の生計が別であることを証明しなければ両方の所得で判定されてしまうのではないか」と迫りました。

 阿部俊子文部科学副大臣は「受給資格の認定は、共同親権を選択した場合、親権者2名分の収入に基づいて判定を行う」と答弁しました。

 本村氏は「離婚後共同親権では、親権者2人分の所得で計算される場合があるということだ。現状より一人親世帯への経済的負担、労力が増える」と批判。共同親権のもとで一人親世帯の支援制度や税制等への影響が分かる資料を要求しました。小泉龍司法相は「努力したい」と答弁しました。

 本村氏はさらに、共同親権で例外的に単独で親権行使ができる「急迫の事情」「日常の行為」について、何がそれらに当たるかの一覧表さえ示されていないと批判しました。

2024年4月13日(土)

高校無償化除外の懸念

本村氏 「共同親権」導入を批判

衆院法務委


2024年4月13日(土)

「共同親権」民法改定案

本村議員の反対討論(要旨)

 日本共産党の本村伸子議員が12日の衆院法務委員会で行った、離婚後「共同親権」を導入する民法改定案に対する反対討論の要旨は次の通りです。



 離婚後「共同親権」導入に対し、本委員会審議では重大な懸念が浮き彫りになりました。それに対し、立憲民主党から「修正項目(案)」として「父母の双方の合意がない場合には共同親権を認めない」「離婚後の父母双方が親権者となる場合には、必ず父母の一方を監護者とする」などが提案され、日本共産党は積極的に評価をしていましたが、4党合意の修正案には盛り込まれませんでした。

 慎重かつ丁寧な議論により、新たな人権侵害を生じさせず、国民的合意をつくることが求められます。重大な懸念がある中で審議を尽くさないままの採決は認められません。厳しく抗議します。

 反対理由の第1は「親の子に対する権利」という認識が色濃く残る「親権」の用語をそのままに、離婚後「共同親権」を導入することです。参考人からも「包括的な、子に対する親の権利があるかのような誤解を生む可能性」が指摘されました。

 本法案に「子の人格の尊重」の親の責務が明記されたことは重要ですが、日本国憲法のもとで「親権」とは親の支配権ではなく、子どもが安心・安全に暮らすための親の責務であり、社会による子どもの権利と福祉の保障であるべきです。

 第2に、子どもの意見表明権が明記されていないことです。離婚に伴う環境変化は、子どもの人生にとって一大事であり、子どもが「意見を聴かれる権利」の保障は、子どもの最善の利益のために必須です。親権者決定時や監護、面会交流などあらゆる場面で「子どもの意思、心情が尊重されること」を明記すべきです。

 第3に、裁判所によって当事者に不本意な「共同親権」が強制され、一方の親、子どもの利益が害される懸念があることです。

 「共同親権」の場合、子どもに関わる重要な決定は元配偶者の同意が必要となります。法相も「裁判所で判断されるべきことが増えるかもしれない」と答弁したように、合意が得られなければ、そのたびに裁判所の判断を求めることになります。「急迫の事情」「日常の行為」の場合は単独行使できますが、解釈の違いが生じた場合は紛争となります。6年間に16件もの裁判を抱えるDV(配偶者などからの暴力)被害者のようにリーガル・アビューズ(法的な虐待)の深刻化も懸念されます。

 第4に、家庭裁判所の人的・物的体制と総合的な施策が極めて不十分なことです。裁判官・調査官の大幅増員や、子どもの意思・心情を尊重する徹底した研修、特にDV・虐待ケースでは専門家が意思の確認を行う仕組みが必要です。公費による子どもパートナー弁護士制度など総合的な施策を本気で取り組むべきです。

2024年4月13日(土)

「共同親権」民法改定案

本村議員の反対討論(要旨)


自民党の野田聖子元総務相は16日、民法改正案の衆院本会議の起立採決で党の賛成方針に従わず、造反した。採決時に着席したままだった。改正案は離婚後の共同親権を導入する内容。野田氏は本会議後、記者団に改正案を巡り「法案を作る側として調理していないものを出すような感じだ」と指摘。「これでは賛成しかねる」と語った。

野田氏は、共同親権の導入に慎重な立場を取る超党派勉強会の発起人を務めている。

自民・野田聖子氏が造反 共同親権導入の民法改正案「賛成できず」

2024/4/16 22:09



離婚後も父母双方が親権を持つ共同親権の導入を柱とした民法などの改正案がきょうにも衆院を通過し、参院に送られる見通しだ。

 共同親権を巡っては父母が協力し養育に関われると支持する声がある一方、家庭内暴力や虐待が続くことへの不安も根強い。

 立憲民主党は、父母双方の合意がなければ共同親権を認めないと条文に明記することなどを求めた。父母の力関係で共同親権が強いられるのを防ぐ狙いがあった。

 だが4与野党の修正合意は、共同親権の選択が双方の「真意」に基づくかを確認する措置の検討を付則に加えるにとどまった。子の意思を尊重する規定は見送った。

 これで子を含む当事者の安全安心が保障されたと言えるだろうか。参院では子の利益を第一にさらに議論を詰めてもらいたい。

 現行法は、離婚後は父母の一方だけが親権を持つ単独親権を定めている。このため親権のない親から、子の養育に関われないことへの批判が上がっていた。

 親権は子の世話や教育などを行う親の権限であり義務でもある。

 離婚後も父母の間に一定の信頼関係が保たれ、共に愛情を持って子の養育に携われば子どものためにもなるだろう。

 ただ、暴力や虐待の被害者らは、加害者側による理不尽な支配が続くことを強く懸念している。

 「真意」をどのような措置で確認するかは、政府が施行日までに検討するという。

 重要な論点であり、先送りしてはならない。政府は父母の気持ちを見極める具体策を示し、参院で議論を尽くす必要がある。

 改正案では父母が合意した場合に共同親権を選べる。合意できない場合は家庭裁判所が親権者を判断する。暴力や虐待などで「子の利益」が害されると認められる場合は単独親権とする。

 見過ごしてならないのは、家裁の役割が大きく増すにもかかわらず、その体制がどう強化されるのかが明確になっていない点だ。

 政府は、共同親権下では進学先の選択といった重要な決定は父母双方の合意が必要になるとしている。合意がなければ家裁に判断を求めることになる。持ち込まれる案件が増える可能性が高い。

 父母が対立を深めた場合の対応も検討課題になる。

 家裁は今も人員不足が指摘されている。さまざまな家庭の事情に応じた適切な判断をどう下していくのか。最高裁はその道筋を早急に示すべきだろう。

<社説>共同親権 子ども守る議論さらに

2024年4月16日 5:00(4月16日 7:28更新)


2024年4月16日

 衆院本会議で4月16日、共同親権を導入する民法改正案について道下大樹議員が討論を行いました。

◆法制審の議論と改正原案

 法務大臣の諮問機関である法制審議会家族法制部会は、離婚後の共同親権導入などを巡り3年近く議論し、意見対立した末、民法改正要綱案を賛成多数で了承しましたが、参加委員21人のうち3人が反対。また慎重派委員の訴えにより追加した附帯決議は、不十分な内容だとして2人が反対しました。

 家族法制部会長は「全会一致が望ましかったが、今回は異論が残り採決になったほか、附帯決議も付けた。異例だ」との所感を述べました。その所感や反対・棄権した委員の懸念は残念ながら的中し、部会での審議内容やパブリックコメント、附帯決議は十分には反映されず、さらに関係府省庁間の事前協議や検討が不十分なまま、生煮え、玉虫色の「民法等の一部を改正する法律案」が今国会に提出されたと言わざるを得ません。

 法定養育費制度の導入など一定評価できる部分もありますが、この改正原案の肝である離婚後共同親権の導入は、子の監護や財産管理などを離婚後も行いたい、親子交流を何とか実現したいと期待する賛成派と、参考人質疑で「この場に立つことはとても怖いが、DV被害者の仲間たちの応援を受けて、国会で想いを伝えることに決めた」と陳述された参考人のような反対派と、意見や価値観が大きく分かれる非常に重たい法案であり、慎重な議論を進めてきました。

◆委員会答弁で明確にしたこと

 この生煮え、玉虫色の原案に対して、わが会派は委員会質疑で問題点や懸念を浮き彫りにし、政府答弁で明確にすることによって、立法者の意思、国会、政府の意思を築き上げてきました。

 この原案の重要部分である離婚後の親権については、共同親権、単独親権どちらも原則ではないこと。日本も批准しているハーグ条約は、日本に共同親権の導入を求めるものではないこと。偽装DVであるとか不当な子の連れ去り・略取誘拐だと一方の親を罵り犯罪者扱いすることは人格尊重義務を損ねること。親権者を単独にするか共同にするかと親子交流とは別物であること。父母双方の合意がない場合、裁判所が共同親権と認め得る場合が極めて限定的であることなどが答弁で明確になりました。

 また急迫の事情の例として、入学手続きやDV避難、緊急の医療行為、モラルハラスメント、中絶手術などが挙げられることや、監護及び教育に関する日常の行為の例として、子の心身に重大な影響を与えないような治療やワクチンの接種、習い事の選択やアルバイトの許可などを挙げた答弁が出ました。

 海外では、共同親権を推進し、親子交流の実施などの法改正をしましたが、実はそれによって別居親が子を殺害するなど子と同居親の生命身体に深刻な事態を生じさせることが多発、葛藤的な共同養育(コペアレンティング)は子と同居親に悪影響を与えました。

 離婚が子どもや当事者に及ぼす長期的影響に関する権威であるアメリカの心理学者ウォーラースタイン博士が最も訴えたかったことは、裁判所の命令のもとで、厳密なスケジュールに従って均等的・強制的に行われる親子交流は、子の成長に有益どころか有害であること、子どもの心身に取り返しのつかないような事態を生じさせるということでした。

 近年、多くの国々は共同親権(ペアレンタル・オーソリティ)から共同監護(ペアレンタル・カスタディ)、共同養育、そして親責任(ペアレンタル・レスポンシビリティ)へと改正しています。日本だけ1周遅れで共同親権を導入しようとしていることを英語訳で説明し明確化しました。

◆残された問題・懸念

 それでもまだ問題や懸念は残っています。

 裁判所が親権の指定または変更について判断するに当たって、子の意見表明権の規定がありません。

 共同親権下でも親権の単独行使ができるとする「急迫の事情」とはどれくらい差し迫った時間的範囲を指すのか、「監護及び教育に関する日常の行為」とは何が当てはまるのかは依然として曖昧です。

 監護者の定めを義務付けないデメリットや、子への支援が減少する不利益となるおそれ。協議離婚により共同親権を選択する合意型共同親権であっても、DV・虐待・父母の葛藤が激しいケースが紛れ込む危険性。裁判離婚で裁判所がDV被害を認定せず、父母双方を親権者と定める非合意型強制共同親権が、子や父母一方を危険にさらすリスクが高まる可能性。また離婚前後と協議中の相談支援体制の整備が不十分なまま、法施行のみが先行してしまうことの危惧もあります。

 共同親権を巡る裁判や調停が新たに発生しますが、家庭裁判所の裁判官及び調査官などの人員・施設体制は今でさえ十分と言えません。

 現行の親子交流では、家庭裁判所による決定により、別居親と親子交流を嫌がる子どもを無理に親子交流させているケースもあります。養育費や同居親の親権のために、我慢して傷つく子どもが現れないよう、適切な親子交流の実施について検討が必要です。

 養育費の公的立替払い制度が実現できなかったことも課題です。

◆合意した修正案

 そこでわが会派は、さまざまな問題点や不安、懸念を払拭すべく、11項目に及ぶ修正項目案を与野党に提案し交渉を重ね、合意した修正案はわれわれの案を全て反映したものとは言えませんが、最低限盛り込まれたものであり、原案のまま運用されることによって生じる被害を少しでも軽減できると判断しました。

 修正案は、子の監護者の指定の重要性について父母が理解と関心を深めることができるよう必要な広報・啓発活動を行うこと。「急迫の事情」や「監護及び教育に関する日常の行為」の意義など趣旨内容について国民に周知を図ること。協議離婚における親権者の定めが父母の双方の真意に出たものであることを確認するための措置等を講ずることです。特に協議離婚における共同親権同意の真意の確認措置を明記できたことは大きな成果です。

◆賛成した附帯決議

 わが会派も提出者となった附帯決議は、政府及び最高裁判所に様々な事柄について格段の配慮を求めています。

 必要に応じて法改正を含むさらなる制度の見直しの検討。「急迫の事情」「日常の行為」「子の監護の分掌」等についてガイドライン等で明らかにすること。子の意見の適切な反映。子の監護の安全や安心への配慮。養育費の受給等適切な実施や公的立替払い制度の検討。家庭裁判所の人的・物的体制整備。DVや児童虐待の防止に向けた加害者プログラムの実施推進。居住地等がDV加害者に明らかになること等によるDV被害・虐待・誹謗中傷・濫訴等の被害発生回避措置の検討。子に不利益が生じないよう税制、社会保障、社会福祉制度等において関係府省庁が連携して対応することなどがその内容です。

 急迫の事情、日常の行為のガイドライン等を決める場合、関係府省庁のみの閉鎖的な環境で議論策定するのではなく、当事者を含めて外部の意見を取り入れ、公開された中で策定されることを強く望みます。

◆約束

 わが会派が修正合意したことで批判を受けていることは事実です。批判をされる方々はわれわれと法案の問題点を指摘しあった方々で、本当に辛いです。法案に反対の姿勢を貫いてほしいという気持ちもよく分かりますしそのほうが潔いでしょう。党内で賛否に悩む議員も多くいます。私もそうです。今もなお恐怖に怯えながら生活しておられる子とDV被害者の方々の気持ちを思うと胸が締め付けられます。

 ただ、この原案に反対を貫いたままだったら何が起こるのか、とても怖いものがあります。今の政府や一部の政党・議員に勝手なことをさせてはならない。わが会派が粘り強く関与し、家族法制度の運用に好影響を与え続けることが、不幸になる人を少しでも減らせると判断し、ギリギリの選択をしました。

 立憲民主党は、この法案が少しでも良くなるよう参議院審議でも尽力するとともに、政府・法務省ならびに最高裁判所が、委員会審議における質疑答弁、原案に対する修正案、附帯決議で示された方向性や意味合い、我々の真意をきちんと理解して今後の調停・審判に臨み、適切に法制度を運用・措置するよう、立法府としての監視機能を働かせていきます。

 そして改正法の問題・懸念を完全に払拭するために、今日告示された衆院3補選で勝利し、そののちに政権交代して法改正を実現することをお約束いたします。

 その思いを胸に、本法案に対する賛成討論を終わります。

【衆院本会議】道下議員、共同親権導入の民法改正案「少しでも良くなるよう参議院審議でも尽力」政府案を修正議決

TAGSニュース
衆院本会議
第213回通常国会
道下大樹


2024年4月16日




離婚後は父母どちらかの単独親権とする規定を見直し、共同親権を選べるようにする民法改正案が16日、衆院本会議で与党などの賛成多数により可決された。参院に送られる。衆院審議では、父母が親権の在り方を決める際に「真意を確認する措置を検討する」と付則に盛り込むなどの修正がされたが、虐待やドメスティックバイオレンス(DV)の被害継続防止になお懸念の声がある。参院の審議も注目される。

改正案は、家族関係の多様化に対応し、離婚後も父母双方が養育に関われるようにすることが狙い。父母が協議で親権の在り方を決め、折り合えなければ家裁が判断する。成立すれば令和8年までに施行。既に離婚した父母も、共同親権への変更を申し立てられる。家裁は虐待・DVの恐れがあれば父母どちらかの単独親権と定め、加害者との共同親権は認めないとする。

共同親権法案、衆院通過 離婚後養育、民法改正 虐待・DV防止になお懸念

2024/4/16 14:02


2024年4月17日(水)

「共同親権」強制 懸念残る

改定法案が衆院通過 共産党は反対






(写真)反対討論に立つ本村伸子議員=16日、衆院本会議

 自民、公明、立民、維新4党の修正で離婚後「共同親権」を導入する民法改定案が16日の衆院本会議で、4党などの賛成で可決されました。日本共産党、れいわは反対しました。

 日本共産党の本村伸子議員は討論で「離婚後『共同親権』の導入で、DV(配偶者などからの暴力)・虐待から逃げられなくなるなど重大な懸念が浮き彫りになった」にもかかわらず、4党の修正は「懸念に応えていない」と批判。4党修正には、立民が「修正項目(案)」として提示していた「父母の双方の合意がない場合には共同親権を認めない」などが盛り込まれていないと指摘しました。

 本村氏は法案に反対する理由として、「親権」の用語を変更しないこと、子どもの意見表明権が明記されていないことを指摘。親権や監護、面会交流などあらゆる場面で「子どもの意思・心情が尊重されること」を明記すべきだと主張しました。

 本村氏は、裁判所によって不本意な「共同親権」が強制され、一方の親と子どもの利益が害される懸念があり、リーガル・アビューズ(法的な虐待)の深刻化の問題も解決されていないと批判。家庭裁判所の人的・物的体制と総合的な施策が不十分だと指摘し、「高等学校等就学支援金制度や税金・控除・各種ひとり親支援制度が使えなくなることが絶対ないようにすべきだ」と主張しました。また、22万人を超える反対署名が急速に広がっており、この声に応えるべきだと迫りました。

2024年4月17日(水)

「共同親権」強制 懸念残る

改定法案が衆院通過 共産党は反対



この記事を書いた人



琉球新報社

 離婚後の共同親権を導入する民法改正案が16日、衆院で可決した。今後、参院に送られ、今国会で成立する公算が大きい。成立すれば公布後、2年以内に施行される。



 共同親権導入には、ひとり親家庭の当事者団体などから異論が出ている。元配偶者による家庭内暴力(DV)を断ち切れなくなるとの懸念を払拭できないからだ。参院はこうした不安に向き合い、丁寧な審議に徹してほしい。拙速な法改正は許されない。
 日本は1947年の民法改正で、婚姻中は共同親権、離婚後は父親か母親のいずれかが親権を持つ「単独親権」の制度を採用した。法改正から80年近くが経過し、現在は家族の形態も多様化している。
 共同親権の議論の発端は、離婚後の養育費の分担などを決めるよう定めた2011年の民法改正時にさかのぼる。改正に際し、国会の付帯決議に「離婚後の共同親権の可能性を含めた検討」が盛り込まれた。元配偶者との協議が円滑に進まず、自分の子どもに会えないという不満を持つ親は少なくない。離婚後も親権が確保され、子どもに面会しやすくなれば、こうした親に歓迎されるだろう。
 一方、DVや虐待の被害者にとっては不安がつきまとう。元配偶者との関わりを持つことは安全を脅かすことになるからだ。DVや虐待が原因で離婚に至った場合、共同親権を認めることで再び被害を受けるのではないかと不安に思うのは当然だ。
 海外では米国やドイツ、フランスなどは共同親権が認められている。ただ、多くの国で裁判所がDVなどがあると判断した場合、原則として共同親権は認められない。
 今回の改正案を巡っては、共同親権の選択について「父母双方の真意」を確認する措置を検討するとの付則を付けた。父母の意見が一致しなければ家庭裁判所が「子の利益」を踏まえて判断する。DVや虐待などの恐れがある場合は、家裁は単独親権としなければならない。今回の改正案が元配偶者によるDVや虐待を防ぎ、子の利益を担保することができるか精査が求められる。
 全国で最も離婚率の高い本県でも親権の在り方や支援などについて注意を払う必要がある。県調査では離婚後の親権を母親が持つ割合は約8割に上るが、ひとり親家庭の約4分の3は非親権者の経済的事情で養育費を得ていないという調査結果もある。
 共同親権にとどまらず、養育費の義務や公的支援についても改めて議論を深めるべきだ。子どもの健やかな成長を阻害する要因は大人が責任を持って取り除く必要がある。
 子どもが安心して生活できるよう、これからも共同親権の導入には慎重な審議が求められる。養育費の不払い対策や社会保障の拡充に向けても社会全体で取り組むことが大切だ。子どもの幸せを最優先とした議論に徹してほしい。

<社説>「共同親権」衆院可決 子の利益配慮した議論を

公開日時 2024年04月17日 05:00更新日時 2024年04月17日 16:51


現在、共同親権の導入を含む民法改正案が国会で審議されています。長年続いた「離婚後は単独親権のみ」という体制からの離脱で、比較的大きな改定になります。この記事では、共同親権を考える上で必要になる背景の知識をいくつか説明します。

記事は長くなりますが、「そもそもお手軽に短く理解したい」という欲求は、考えるとっかかりとしては仕方がないと思いますが、具体的な態度決定・意見表明をする際にはあまり役に立たない気もします。

とはいえ長いですので、要点を下記にまとめています。親権は親子関係の一部であり、単独親権の現在でも、離婚後の別居親とは法的に親子関係であるし、養育や面会交流、その取り決めがなされることがある。ただ、基本的には当事者間の協議にまかされており、そもそも取り決めがなされていないケースが非常に多いという問題がある。
共同親権の導入は、協議および調停の内容に追加の要素をもたらすため、親権あるいは監護の分担の取り決め・調整はかなり煩雑かつ困難な課題になる。にもかかわらず、改正案の現状ではやはり当事者間の協議が先で、不調の場合に家庭裁判所による調停がある、という位置づけになっている。
概して離婚後の養育については、「共同で行うのかどうか」は論点ではない(すでに日本でもある程度の養育の共同性は協議・調停次第で可能である)。肝心なのは、どう交渉し、どう実施し、(うまくいかない場合)どう見直すのか、ということである。当事者の心理的・身体的安全が前提であり、さらに調整に当たっては子どもの利益が中心、という方針が建前としてはとられているが、これをどう実質化するのかが議論のポイントになる。
心理的・身体的な安全が確保され、共同監護についての合意とその体制作りが無理なく実施できるのなら、反対する人はそれほどいないだろうが、この課題こそが非常に難しい。家庭裁判所の運営方針にバイアスがかからないという保証も難しいし、そもそも調停にあたる人員が足りていない。
国会では共同監護の詳細について最低限の議論がなされているが、全く成熟していない。法律とはそもそも細かなポイントについての指示を与えるものではないが、運用については議論を重ねておかないと無用な混乱を招く。


以下、いくつかのポイントについてもう少し詳しく書いていきます。

▼「親権は子どもの権利だ」という考え方になっているが…

いきなりややこしい話になりますが、親権という概念について、国際的に共有された意味内容はありません。日本語の親権にあたるズバリの英語も存在しません。ただ、親権あるいはそれに類する言葉が、法的に規定される親子関係とは別に、その一部をなすのだと考えられていることは共通していると思います。ですので、以下でも海外について触れるときは「親権に類する概念」を想定しています。

法的な親子関係は、(女性であれば)分娩、出産した女性の配偶者であること(婚姻あるいはそれに基づいた嫡出推定)、認知、養子縁組を通じて確立します。親子関係が確立すれば、相互の扶養義務と相続関係が発生します。この法的親子関係は、親の離婚によっては解消されません。親権を持たない没交渉の別居親を介護する法的義務さえ、子は持たされています*。法的親子関係を自分の選択として断ち切ることはほぼ不可能です。死別か、(他の親との)特別養子縁組が必要です。ましてや親の離婚では親子関係はなくなりません。他方で親権が停止するのは、子の成人や、虐待等による裁判所の措置(正確には喪失・停止・制限の3種類)などです。当然、親権が停止しても親子関係はなくなりません。

*具体的には、相互の相続権と扶養義務、そして未成年の婚姻ならびに養子縁組の同意権が残されます。

親子関係には様々な側面があります。法的なつながり以外にも、遺伝的なつながり、経済的支援、同居と養育、(親子らしい人格的な)情緒的つながりなどが主な親子関係の要素です*。これらは多くのケースでひとつの親子関係の中に混在していますが、別になることもあります。生殖補助医療や(孫養子などを除けば)養子縁組では親子間に遺伝的つながりがないことも多いですし、配偶者の連れ子との関係は(養子縁組しない限り)法的な親子関係ではありません。

*もう少し言えば、子どもの養育という要素において、親が果たす役割は中心的ではありますがすべてではありません。児童手当や保育、(施設や里親などの)代替養育などの公的制度も、養育の非人格的な要素です。

親権あるいはそれに類する外国の概念は、親子関係のなかの子の養育、特に監護(日常の世話と代理決定)に関わる部分を法的に捉えた概念です。この概念自体が国によって多様であることも重要なのですが(したがって単独/共同親権という概念が意味を持ちにくい国もある)、さしあたりは「親権を取った方が親であることを続け、取らなかった方が親であることをやめる」というわけではないことに留意しましょう。親権がなくても離婚後にも(相続関係など)法的な親子関係は残りますし、子の経済的支援をする義務が生じ、また相互の扶養義務も残ったままです。ですので、離婚後の共同親権の有無とは関係なく、継続する法的な親子関係に基づいて、扶養(養育費負担)や別居親との交流のアレンジをする、という課題がすでにあります(面会交流が民法で規定されたのは2011年です)。その上で今回の民法改正案は、これらの親子関係要素の分担に、親権の分担を加えよう、という趣旨です。

ただ、何が付け加わるのか(これまでとどう違うのか)は、まだよくわかっていないのが現状です。養育費の負担はこれまでも調整が(不調な場合が多いとはいえ)ありました。おそらく顕著な違いは、共同親権になった場合、「別居親との(単なる)面会交流や一時的な自宅滞在」ではなく、二人の親の間での「同居・監護の配分」の調整になる可能性がある、ということでしょう。例えば、夏休みの間だけ別居親のもとで過ごして監護を受ける、といった取り決めです(英語だとcustody exchange、transitioning、swapといった言い方になります)。監護権は(特殊なケースで分離されることを除いて)親権の重要な部分を占めます。これまでの面会交流の実務では監護親・非監護親・子という当事者が想定されていたのが、二人の監護親と子、という当事者構成になる可能性があるわけです。

この点が、監護の分担の難しいところです。生活を共にしていない二者が子についての個々の、場合によっては急迫した決定(居住地、進学、治療等)についてその都度連絡を取りあって合意するということは非現実的で、場合によっては子のためにならないからからです。たとえば日本の場合、親権の身上監護権には子の居住指定権があり、監護を分担する場合、別居親が同居親の居住地選択に介入するのか、という議論が生じます。この点についてもまだ国会での審議が熟していません*。

*共同親権下における単独決定が許される「急迫の事情」とは何か、という議論です。

また、離婚した親による分担監護は子どもの生活や心的状態にとって大きな意味を持つため、法制審議会の「家族法制の見直しに関する要綱案」(令和6年1月30日)では、「親権は子どもの養育に関する規定で、基本的には子どものための制度であるべき」という方針が改めて確認されています。単独親権下での面会交流でもこれは大きな課題ですので、民法(第766条)にも(面会交流の協議では)「子の利益を最も優先して考慮しなければならない」と明記されています。比較的長期の宿泊を伴う監護の分担では、この課題はさらに重要になります。

『要綱』の冒頭には、はっきりと「子ども優先」の方針が明記されています。民法の親権の定義(第818条「親権者」および第833条「子に代わる親権の行使」)についても、この方針に沿った改定を要求しています。たとえば下記の文章です。
親権の性質の明確化:民法第818条第1項の規律を次のように改めるものとする。親権は、成年に達しない子について、その子の利益のために行使しなければならない。
これまでも親権の有無にかかわらず親子関係は子どもの権利や福祉に資するものであるべきという基本方針がありましたが、さらに親権もその方針に服するものであるべき、と念を押しているわけです。同居・監護の分担が可能になる共同親権下において、子どもの生活については特に慎重に配慮すべきですから、ことさらに「親権は子どものための制度だ」ということを強調する意味があるのです。

親権を親の権利ではなく子の権利と理解するのは、先進国にある程度共通した潮流です。ドイツでは、1979年の法律で「親権(elterliche Gewalt)」ではなく「親の配慮(あるいは親の看護、elterliche Sorge)」という言葉を用いるようになりました。国際的な議論でも、かつての親のauthority(権威)という概念は用いられることが減り、監護(custody)や養育(parenting)、親の責任(parental responsibility)といった概念の使用が増えてきました*。いずれにしろ共同養育・親権は、親が共同で子どもを養育・代理する権利というよりは、子が両親から養育・代理を受ける権利だ、という理解が出発点になっているのです。

*参考までに、「共同」に対応する英語はsharedあるいはjointで、joint custody、shared parental responsibilityといった言葉が用いられます。(面会交流は、access、visitation、parenting timeといった表現です。)ただ、jointとsharedは、使用の際のニュアンスが異なるので注意が必要です。

もちろん、「どちらが親権をとるか」という言い方に典型的にあらわれるように、親権は「子と同居し育てる権利」という、親の権利としての側面があることは確かで、一般にはこちらの理解の方が浸透しています*。そして実際にも、共同親権(監護)の場合、双方が同居・監護と進路等についての決定権を分け合う場面が増えるのは間違いないでしょう**。

*「ハーグ条約」にしても、条約前文に「子どもの利益が最優先」と書かれてはいるものの、実際には「子どもを(事前の調停通りの場所に)戻す」ことが目的で、特定の時点での子どもの居場所と子どもの心的状態が、事前の調停と矛盾しないのかどうかは問題にされません。

**実際には海外でも子どもが親の間で過ごす期間が「半々」といったケースはまれで、たいていは拠点となる親元があります。それは当然で、子どもにとっては学校も友人関係もあるわけで、「半年はこちら、半年はこちら」といったスワップには無理があります。その意味では、監護が別居した親によって文字通り共同で実施されるといった実態はほぼないといえそうです。

こういった調整は非常に難しく、当事者に任せておいていいのかについては大いに議論の余地があります。それだけに、養育の分担体制を決める際の方針として、親の権利の分配より先に子どもの権利や生活の安心がある、という大前提を確認しておく必要があるわけです。この大前提は、子どもの生活の安心・安全を基準に親権者、養育費分担、交流のあり方を決めるという原則がある現状の(単独親権)制度と共通しており、ここに変更はありません。この原則をいかに実質化させるかという課題があることも、これまで通りです。ただ、調整(協議にしろ調停にしろ)の難易度が上がるわけです。

▼調停・協議の中身こそが論点、しかし困難な課題である

今回の改正案でも、当たり前ですが、DVや虐待等のケースなどで裁判所が共同親権が子どものためにならないと判断した場合には、(今でもそういったケースで交流が認められないのと同様に)共同親権が認められないことを明示してあります。

他方で、裁判所が介入するのはあくまで「協議が不調の場合」であるという方針になっています。これは離婚自体の判断と同じです。すぐにわかるように、ここに大きな問題が残されています。交渉・調整の難易度が上がるのに、基本的には当事者任せなのです。

欧米のキリスト教文化になじんだ人からすれば、日本における結婚と離婚の簡単さはおどろくほどです。そのせいもあり、日本では離婚の際の事前協議があまりなされません。ウェブ調査なので代表性は不明ですが(令和2年度法務省委託調査研究「協議離婚に関する実態調査結果の概要」)、協議離婚経験者のうち約半数が「離婚後の養育費」について「合意できなかった」あるいは「話し合っていない」と回答しています。子と別居親との面会については、6割以上が「非合意」「話し合っていない」という結果です。少し古いですが、厚労省「平成28年度全国ひとり親世帯等調査」だと、母子世帯の6割ほどが養育費の取り決めをしておらず、3/4ほどが面会交流の取り決めをしていませんでした。

日本において離婚の際に取り決めをあまりしない理由は、おそらく主に二つあります。ひとつは関係が壊れてしまった相手と没交渉になってしまうこと、あるいはそうしたいという思いです。「顔も見たくない」「一刻も早く関係を絶ちたい」「いっそのことなかったことにしたい」ということでしょう。先の調査では、別居相手と話し合いをしなかった理由で最も多かったのは「話をすることがいやだった」(37.9%)です。もうひとつの理由として考えられるDVや虐待のために話し合わなかったケースは、調査では4.1%と少数ですが、こちらも見逃せない状況です。

肝心なのは、交渉やその後の生活における安全と安心です。当事者の一部が交渉時に恐怖を感じてはならないし、かといって離婚後の生活のアレンジ(完全に関係を絶つ選択を含めて)は十分にしておくべきです。ここが難しいところです。脅威を感じる相手や、顔も見たくない相手と交渉しなくてはならないわけですから。

そこで、公的機関が「安全な交渉の場を設けて十分な調整をする、あるいはそれを支援する」という制度が拡充されれば、対応できるケースは多くなるはずです。「手続き中でも離婚後でも、安心・安全が脅かされないように配慮がある」ことを前提に、「面倒でも公的に手続きはしよう」というケースを増やすことです。

ここで注意すべきは、実質的な共同監護が広範に行われる場合、いくら公的機関が介入してもおそらく問題の根絶は不可能であること(諸外国でも現在進行形で問題の提起と対応が継続している)、さらに公的なアレンジメントは「一度やって終わり」にはならないということです。同居・監護の配分では、当初の取り決めに従って粛々と続けていくだけだと、かならずしも子どものためにならないというケースが海外で報告されています。養育・親権のアレンジメントについては、機に応じた対応が必要になります。

ともかく、共同親権の論点は「導入するかどうか」ではなく、離婚後の養育のアレンジメントをどう調整するのか、その仕組みをいかに構築するのか、にあることを確認しておきましょう。

▼議論のポイントは、これまでの課題の延長線上にある

離婚後の親子関係のアレンジメントという課題は、共同親権が導入されなくとも必要なものですし、課題山積ながらも、すでにある程度行われていることです。基本的には当事者間の協議で、協議が不調な場合には家庭裁判所が判断する、という手順です。共同親権の導入は、これらの調整にプラスの(しかも重大な)論点を付け加えるものだといえます。課題は「すでに必要とされている離婚後の親子関係の調整のさらなる実質化」にあるのであって、共同親権の導入はその課題を浮き彫りにしている、ということができるでしょう。

実際、民法766条などをもって、現行の民法でも共同親権的な運用(監護の分担)は可能である、という見方をする識者もいます*。実はこの論点は重要で、親権や監護といった概念の理解次第では、確かに「日本ではすでに共同監護が可能」という見方ができるのです(親権の分属、あるいは親権と監護権の分離)。たとえば同居ではないですが宿泊付きの面会交流は、現在でも非親権親とのあいだで行われることがあります。しかし子どもの進学、治療、転居といった決定にまで分担の内容を広げるとなると難しく、運用としてはこのような分割はほとんどみられません。なぜなら、実際に養育の諸要素を分離・分担することには困難があるからです。そしてこの困難は、共同親権の議論でも度々指摘されるものと同じです。

*この立場からすれば、「国連が共同親権導入を日本に要請した」のは、日本の実態についての誤解に基づくものだ、となります。

養育費分担も、従来の継続課題です。法制審議会の要綱案では、「養育費の請求権の実質的向上」も掲げられています。具体的には、養育費等の請求権に先取特権を付与するために民事執行法を改正するという案です。そしてこの課題は、共同親権の導入のいかんにかかわらず(現在でも)必要な措置です。さらに、附帯決議には次のように書かれています。
子の養育は、父母のみがその責務を負うものではなく、その子の養育をする父母及び子に対する社会的なサポートが必要かつ重要であり、また、ドメスティック・バイオレンス(DV)及び児童虐待を防ぎ、子の安全及び安心を確保するとともに、父母の別居や離婚に伴って子が不利益を受けることがないようにするためにも、法的支援を含め、行政や福祉等の各分野における各種支援についての充実した取組が行われる必要がある。家族法制の見直しに関する要綱案に沿って民法等の改正がされた際は、家庭裁判所がこれまで以上に大きな役割を果たすことが見込まれるところであり、父母の別居や離婚に伴う子の養育をめぐる事件の審理に当たっては、改正後の民法等の規定の趣旨を踏まえた上で、子の利益を確保する観点から適切な審理が行われることが期待される。
これらの課題も、共同親権の導入がなくても必要なものですが、書かれているとおり、制度の改定にあたっては「家庭裁判所がこれまで以上に大きな役割を果たすことが見込まれる」わけです。

▼見切り発車での改正はよくない

すでに述べたように、日本で議論されている共同親権の導入は、「離婚後の親子関係(特に養育費や交流)を、子どもの権利や福祉の観点からいかに調整するか」というこれまでも存在していた課題に追加の検討要素を加えるものになります。

ただ、具体的に何が調整の要素として付け加えられるのかは、まだよくわかっていませんし、議論も全く尽くされていません。繰り返しますが、養育費や面会交流は、すでに調整のあり方が課題になっている問題です。これらは親権とは関係なく一定程度は行われています。

法的には、親権には身上監護権(世話をする権利あるいは義務、具体的には居住指定、職業許可、代理権)と財産管理権があります。別居親がこの権利を分有するということが一体どういう事態なのか、どういったアレンジメントが必要になるのかはまだちゃんと理解されていません。すでに述べたように海外のケースをみるとやはり同居・監護のアレンジ(例:普段は母親の元で過ごし、夏休みだけ父親のところで過ごす)が大きな課題になると思われます。養育関係は別居時においても継続しますが、日常生活の細かな養育方針まで別居相手と話し合う、といったことは非現実的です。ではどういった場合に別居親が親権を行使しうるのか、おそらく有識者でも明確なイメージが描き切れていないはずです。

さらに懸念されているのは、親権の分有が当事者間の安全を脅かすのではないか、ということです。これは当然の懸念で、公の場(ショッピングモールなど)での面会交流と違い、同居(宿泊)を伴う監護では当局の監視に限界があるし、また交流調整のための接触機会も増えるからです。

国会では、日常行為やDVからの避難のための単独親権行使の際のガイドライン明確化を求める付帯決議がされています。この明確化にはかなり時間がかかるはずで、見切り発車で改正の施行をすることは許されません。

▼最後に:当事者の身体的心理的安全が大前提だが…

すごくシンプルに言ってしまえば、出発点として子どもの権利・生活保障・心理的安定があり、加えて当事者(特にDAがある場合)の安全が確保されるべき、という条件があります。これらに資するのであれば、養育環境はどんなパターンになってもよいわけです。共同親権(同居・監護の分担)がこの目的に沿って運用されればそれに越したことはありません。法と制度の理念もそのように決められるはずです。

難しいのは、何が子どもの生活にとってよい状態なのかはたいていの場合曖昧で、当事者間で対立しやすいということです。同居期間が短い監護親は、他方の親に対して「子どもに悪口を吹き込んでいる」と感じることもあるでしょう。面会交流についての調査では、当然と言えば当然ですが、同居親はマイナスの影響を、非同居親はプラスの影響を報告しています(「親子の面会交流を実現するための制度等に関する調査研究報告書」の「当事者アンケート」)。当事者すべてが納得する解決は難しいですが、当事者の身体的・心理的安全は前提として、「上手く行っていないのならば養育体制を再調整する」という体制を作る必要があります。

そしてそのためには、家庭裁判所をはじめとするエージェントの大幅な機能強化が必要になります。司法は完全な法的機関なので無料ですが、人手不足です。実際の面会・監護の監視(立ち会い)は弁護士や面会交流を支援する非営利団体が行うことになりますが、かなりの金銭的負担になります。弁護士だと顧問料(10万円程度)のほかに面会の立ち会いが1回数万円です。非営利団体だと金銭負担は小さいですが、交流の場所が指摘されるなどの制約があります。別居親の養育費に頼らざるを得ないようなケースは、DA(domestic abuse)被害者側での申し立ての萎縮につながる可能性もあります。「子どもの利益」という名目で別居親の養育費があてにされてしまうことが問題含みであることに留意すべきです。

他方で、司法・行政が管理すれば相手方の親元に子どもが滞在中に殺害される(あるいは心中してしまう)といった悲劇的なケースがなくなる、とは限りません。当局の調整方針にバイアスがかかっていることもあるでしょうし(とにかく面会交流を促進する、といった方針で運営されることもあります)、なにしろ離婚しているわけですから当事者間には感情的なもつれがあります。離婚相手を傷つけるために子どもを利用することを防がなければなりません。完全な安全を実現することが前提なら、司法や警察力の家庭への強度介入(常時監視)を制度化するか、さもなければ同居・監護の分配はそもそも無理だ、となります。

ただ、離婚していない場合も、我々はある程度の家族からの脅威にさらされています。日本では、殺人の約半数は親族によるもの、とされています。配偶者間の感情のもつれのほか、孤立した介護問題が背景にあります。これらを完全になくそうと思えば、そもそも私たちは家族を作るべきではありません。

結局私たちの社会での問題は、さまざまなデータ、ケース分析、そして論点を並べた熟議を重ねた上で、妥結点を探るしかありません。共同親権もそのなかのひとつだといえるでしょう。

とはいえ少なくとも、当事者の協議のみで分担監護が決められてしまうような体制、その余地があるような法改定は、非常にリスクが高いことは間違いありません。全体的に家族に対する支援(司法でも行政でも金銭でも)が不足している現状で、離婚していなくとも問題含みの家庭が、自主的に交渉のための十分なエフォートをひねり出せるはずはありません。ほかのことでもそうですが、「子どもの安全と安心が第一」といった理念は立派にあってそれに対応した法制度があっても、支援が必要な人のところには支援が届かないのが現状です。

以上から、現在の国会で審議されている案には、私は慎重な立場です。


筒井淳也



立命館大学産業社会学部教授

家族社会学、計量社会学、女性労働研究。1970年福岡県生まれ。一橋大学社会学部、同大学院社会学研究科、博士(社会学)。著書に『仕事と家族』(中公新書、2015年)、『結婚と家族のこれから』(光文社新書、2016年)、『数字のセンスを磨く』(光文社新書、2023)など。共著・編著に『社会学入門』(前田泰樹と共著、有斐閣、2017年)、『社会学はどこから来てどこへいくのか』(岸政彦、北田暁大、稲葉振一郎と共著、有斐閣、2018年)、『Stataで計量経済学入門』(ミネルヴァ書房、2011年)など。

「共同親権」を巡る論点:当事者が安心できるアレンジが必要



筒井淳也



立命館大学産業社会学部教授

4/17(水) 8:00



今月16日、離婚後の「共同親権」を新たに認める民法などの改正案が、一部修正されたうえで衆議院の本会議で与党などの賛成多数で可決された。改正案は、離婚後、父母が協議して「共同親権」も選択できるようにするもの。虐待・DV被害などへ懸念の声があがる中、当事者たちはこの動きをどう見ているのか。2023年12月に『ABEMA Prime』が取材した、共同親権に期待と不安を覚える女性の声を紹介する。

【映像】夫からDV被害を受けた女性 内出血で腫れ上がった顔

■いまなお"命の危機"感じたまま…DVで離婚 共同親権へ「恐怖でしかない」

 度重なる夫の暴力から逃れるため、当時1歳だった子どもを連れ、家を出た30代の女性。裁判で離婚が成立し、今は親権を持っているが、子どもと元夫を会わせることに神経をすり減らしている。

「住所の秘匿をしているが、子どもが5歳で、通っている幼稚園や近所のバス停の名前などをしゃべってしまう。"お父さんに言っちゃ駄目だよ"という負担は子どもにはかけられない。面会交流のことを考えるだけで胃が痛くなるし、書面が届くだけで夜も眠れないくらいフラッシュバックする」

 DVの恐怖と関係がこじれてしまったこの状況で、共同親権は難しいと考えている。「私たちは高裁まで争っていた紛争性の高い元夫婦。お互いへの信頼はなく、こちらは命の危険を感じている。同意の上で共同親権を持ちたいと言っている状況なら分かるが、法律で一緒くたに強制させられてしまうのは怖い」と話した。

■元夫が子を連れ別居し係争中「私が親権者じゃないということで児相も取り合ってくれない」

 一方で共同親権導入の必要性を感じているのが、30代のあかりさん。「DVがない家庭であれば共同親権がいいと思う」と話す。その理由とはー。



拡大する

 結婚当初から元夫の暴力被害に遭っていたあかりさん。"元夫を親権者"とする離婚届に無理やりサインさせられ離婚。だがその後も軟禁状態での暴力は続き、これが原因で、元夫は傷害罪で警察に逮捕される。

 これを機に元夫と別居することになるも…ある日、面会に来た元夫が子どもをそのまま連れて行ってしまったのだ。「今でも子どもに会えておらず、どういう状況なのか、どこにいるのかさえも分からない。子どもに会って話をしたい。抱きしめたい」

 あかりさんは単独親権であるゆえの苦悩をこう語る。「単独親権だから奪い合いが起こり、一方的に連れ去られ、子どもが辛い思いをしている。私は親権者じゃないということで、児童相談所に電話をしても断られてしまう。子どもは私がDVを受けていたことを知っていて『怖くて言えなかった、誰にも相談できず1人で泣いていた』と言っていた。子どもの心のケアをしたいのに、相談さえさせてもらえなかった」

 共同親権の導入は親子にとって最善の形なのかー。法案はいまの国会で成立する見通しで、2026年までに施行される。(『ABEMA Prime』より)

共同親権法案が衆院可決「議論が進むことに恐怖」「単独親権だと子を奪い合う」子どもにとっての幸せとは?親たちが明かした“期待”と“不安"

ABEMA Prime

2024/04/18 12:18

https://www.theheadline.jp/articles/1057

https://news.tv-asahi.co.jp/news_politics/articles/000345898.html

https://radichubu.jp/plus/contents/id=52566

https://new-kokumin.jp/news/diet/20240419_1


川合孝典幹事長代行(参議院議員/全国比例)は19日、参議院本会議で民法等改正案に対する質疑を行った。質問の全文は以下の通り。

令和6年4月19日

民法等の一部を改正する法律案

国民民主党・新緑風会 川合 孝典

 国民民主党・新緑風会の川合孝典です。会派を代表し、民法等の一部を改正する法律案について法務大臣に質問します。

 男女雇用機会均等法の成立から39年、時を同じくして男女共同参画の取組みも始まり、これまで様々な法整備が行われてきました。かつて社会問題となっていた結婚を機に退職することによる女性労働力の急激な減少、いわゆるM字カーブも欧米諸国が注目するほどに解消が進んでいます。
 国際結婚も現在では毎年およそ20組に1組となっており、日本人の家族観や結婚観も大きく変化しています。今後、さらなる外国人との共生社会の進展が見通される中、本法案は提出されました。
 本法案を巡っては、反対派・賛成派で鋭く意見が対立しています。それぞれが深刻なDV被害や子どもの連れ去り、といった深刻な事情を抱えており、法改正に合わせて双方の事情に寄り添った具体的な対策を速やかに講じる必要があることは言うまでもありません。
 その上で敢えて申し上げますが、私は親の権利を示す「親権」の在り方を通じて「子の権利」を論じることに違和感を持っています。なぜなら、いかなる事情による離婚であっても両親の事情による離婚であることに変わりはなく、子どもには一切の責任がないからです。
 従って私は、子どもの権利、という点に主眼を置いて質問致します。

 まず「子の利益」の定義について質問します。
 私は、「子の利益」を真に最優先させるのであれば、離婚時の親権の所在を云々する前に子の監護の方法や養育費の負担割合など、子の権利保護についての議論が優先されて然るべきと考えます。離婚後の父母による子育ての在り方を法制化した諸外国の事例を見ると、アメリカでは、ほぼ全ての州で「共同監護」を規定しており、離婚する父母は、養育計画書を裁判所に提出した上で、その取り決めを守る義務を負うこととされています。
 またドイツでは、離婚後は「共同親権」が原則とする一方、DV・虐待をする親の親権のはく奪や養育費の不払いへの刑事罰の適用など厳格な制度が採用されています。
 こうした諸外国の制度が、日本社会になじむかどうかは慎重に検証する必要はあるものの、いずれの国でも明確に「子の権利」に主眼を置いた仕組みを採用しています。

 今回の民法改正法案でも、条文案の各所に「子の権利」という文言が見られます。
 現行民法第766条でも親子の交流に関して「子の利益を最優先して考慮」することが規定されていますが、現実には司法は親子の断絶や交流制限を容認しています。その一方で、父母以外の親族と子との交流を制度化する民法第766条の2については、第三者に申立権を付与することへの懸念の声も寄せられています。こうした意見を踏まえると法改正後は、「子の利益」に対する司法の恣意的解釈が介在しない運用が不可欠となります。そこで質問ですが、今次法改正以降、「子の利益」とは何を指すのか、その定義を含めて明確な説明を求めます。
 また「子の利益」に対する司法の恣意的解釈を防ぐためには、「子の権利」の要件を明文化すべきと考えますが、この点についても認識をお答え下さい。

 次に離婚時に共同養育計画書を作成することの必要性についての認識を伺います。
 現在の日本の養育費受領率は30%弱であることから、これまで離婚後の養育費の未払い問題が指摘されています。しかし、そもそも離婚時の養育費と面会交流の取り決め率自体が、それぞれ46.7%、30.3%と、低水準に留まっています。
 一方、離婚時に養育費や面会交流に関する取り決めをしっかり行っている世帯での養育費受領率は、取り決めを行っていない世帯を大幅に上回っています。
 これらの事実からは、離婚時に養育費負担や面会交流を含む共同養育計画作成を義務化することが、「子の利益」を保護する上で有効だと考えられますが、この点についての認識を伺います。

 D V被害者を守るための体制を充実させることの必要性についての認識を問います。
 共同親権の導入に反対しておられる方々の大きな懸念のひとつが、DVからの避難者の安全を確保するための具体的な対応策が見えないことにあります。
 フランス民法典では、①暴力の被害者の保護 ②女性に対する暴力の予防 ③暴力の抑止、という3つの観点から家族事件裁判官が保護命令を発することが規定されており、この保護命令に従わなければ、拘禁刑や罰金刑を科すことで保護命令の実効性を担保する法整備を行っています。
 日本においても警察や配偶者暴力相談支援センター等が、DV被害者の救済などに関する業務を行っている他、DV被害者が一時的に身を隠せる施設として民間団体がDVシェルターを設置していますが、裁判所の体制面や民間に依存した避難体制など、DV被害者の支援体制が極めて脆弱です。
 今後、国費を投じてDVシェルターを整備することを始めとした、DV被害者の保護 ・支援体制を速やかに整備・充実させる必要があるものと考えますが、この点について認識を問います。

 次に単独親権者の決定にあたっての具体的な判断基準について説明を求めます。
 単独親権者となる判断基準には、「父母の一方が他の一方から身体に対する暴力、その他の心身に有害な影響を及ぼす言動を受けるおそれの有無・・・」とあります。
 しかし、夫婦関係が破綻している場合、そもそも顔を合わせること自体が心身へのストレスと考えられることから 「おそれ」という曖昧な判断基準のままでは、一方当事者の主張のみが採用される可能性が否定出来ないものと考えます。そこで単独親権者決定にあたっての具体的な判断基準とは何か、の説明を求めます。

 次に、共同親権が認定された後に別途監護者を選定できることとする理由について伺います。今回の法案では、共同親権となっても別途監護者を選定できる運用となっていますが、この場合、監護者は身上監護権を単独で行使することになります。面会交流すら十分に実施されていないケースでは、むしろ紛争が深刻化する恐れがあることを指摘する声もあります。一般的な共同親権導入国では、親権と監護権を分ける運用にはなっていないものと認識していますが、本法案で親権と監護権を切り分けた理由をご説明下さい。併せて 「子を監護すべき者(監護者)の指定」の選定にあたっての具体的な選定要件は何かをご説明下さい。

 また 「子を監護すべき者 (監護者)の指定」にあたっての選定要件については、当事者が納得できる裁定を裁判所が行う上で明文化するべきと考えますが、選定要件の明文化の必要性についての認識を伺います。

 次に「子の監護の分掌(養育時間の分担)」割合に関するガイドラインを作成する必要性についての認識を伺います。
 一般的に共同親権が採用されている国では、児童心理研究などのエビデンスに基づいて養育スケジュールを作成し、これに基づき共同監護のスケジュールを決定しています。日本でも「監護の分掌」を導入するにあたり、公平性を担保しつつ 「監護の分掌(養育時間の分担)」が決められるよう、児童心理研究などのエビデンスに基づくガイドラインを作成すべきと考えますが、この点についての見解を求めます。

 最後に、養育費の請求に関する裁判や調停によって生じる費用負担の在り方について質問します。日本では弁護士に依頼して養育費請求の裁判や調停を行った場合、その成功報酬は取り決め金額の10~20%程度とされていますが、離婚などの家事事件での成功報酬は、公序良俗に反するという理由で制限または禁止している国が少なくありません。
 日本でも今年から子ども家庭庁が養育費に関する弁護士報酬の一部を補助することとしましたが、それでも養育費という「子どもの権利」の一部を成功報酬の名の下に第三者が取ることに国がお墨付きを与えている事実に変わりはありません。
 養育費請求に関する成功報酬については、禁止も視野に見直す必要があるものと考えますが、見解を伺い、私の質問を終わります。

ご清聴ありがとうございました。

以上

【参本会議】川合たかのり議員が民法等改正案に対する質疑

2024.04.19 [国会] 参議院川合孝典本会議質疑

https://new-kokumin.jp/wp-content/uploads/2024/04/51e11e9804e29579568c70c81cdd9252.pdf




離婚後も父母双方が子の親権を持つ「共同親権」導入を柱とする民法などの改正案は、19日の参院本会議で趣旨説明と質疑が行われ、審議入りした。父母の協議で共同親権か単独親権かを選択。合意できなければ家庭裁判所が判断する。DV(家庭内暴力)や虐待などの恐れがある場合は、家裁が単独親権に決める。

共同親権、自民・野田聖子氏が反対

 小泉龍司法相は、父母相互の「人格尊重義務」を新たに定めたことについて「別居の親権者に、同居親への不当な拒否権や介入権、支配権を与えるものではない」と説明した。立憲民主党の石川大我氏への答弁。

 改正案は自民、公明、立民、日本維新の会、国民民主各党などの賛成多数で衆院を通過。今国会で成立すれば、2026年までに新制度が始まる見通しだ。施行前に離婚した人も、家裁に申し立てることで共同親権に変更できる。

共同親権法案が参院審議入り DV・虐待なら単独親権

時事通信 編集局2024年04月19日11時31分配信


離婚後も両親の双方が子の親権を持つ「共同親権」の選択を可能とする民法などの改正案は、19日から参院での審議が始まります。改正法が成立すると、離婚後は父母の一方のみが親権を有する現行制度からの大きな転換となります。離婚後の共同親権を導入することで、子育ての環境はどう変わるのでしょうか。(大野暢子)





◆合意に至らなければ家裁が決定

 Q そもそも親権とは。

 A 子の世話や教育、どこで暮らすかの決定、財産の管理などを行う親の権利・義務のことです。予防接種や手術の同意、アルバイトの許可も含みます。現行法は婚姻中の父母にはともに親権があり、離婚後の親権は一方にあると定めています。親権を持つひとり親は現在、単独で子育ての判断ができますが、共同親権では元配偶者との協議が必要な場面が生じます。

 Q それはどのようなケースですか。

 A 例えば、緊急性の低い医療行為や引っ越し、パスポートの取得などは原則、片方の親だけでは決められなくなります。話し合っても合意に至らなければ家裁が決定します。

 Q 常に育児の相談をする必要まではないということですか。

 A 食事や子の習い事の選択、ワクチン接種、アルバイトの許可などの日常的な行為に加え、「急迫の事情」がある場合は不要です。

 Q 「急迫」とは。

 A 協議や家裁の手続きを経ていては、子の利益を害する恐れがあるときです。緊急手術や入試の結果発表直後の入学手続き、暴力からの避難などです。

◆協議離婚では父母が話し合いで選択

 Q 離婚後は一律に共同親権になるのですか。



 A 協議離婚なら父母が共同か単独かを話し合いで選びます。裁判で離婚する際は、家裁が親子や父母の関係を踏まえ、子の利益になる方に決めます。

 Q 既に離婚した人は法改正と無関係ですか。

 A 共同親権に変えるための申し立てはできます。ドメスティックバイオレンス(DV)や虐待の恐れ、正当な理由のない養育費不払いは、変更が認められない理由になり得ます。

◆判断の遅れなど懸念材料も

 Q 改正の理由は。

 A 離婚で子と疎遠になった親らに、単独親権しか認めていない現行法への不満が強いためです。離婚後も子育てで助け合う父母が増えれば、子の利益になるとの期待もあります。

 Q 課題は。

 A 離婚する父母は感情的な対立が深いことも多く、子が紛争に巻き込まれ続けたり、子を巡る重要な判断が遅れたりすることを懸念する声もあります。

【関連記事】共同親権法案、衆院採決で自民・野田聖子氏が「造反」 審議の性急さを指摘 与党などの賛成多数で可決
【関連記事】離婚後の「共同親権」…子どもに不利益が及びかねない「懸念」とは 民法改正案が衆院委で可決
【関連記事】「共同親権」本当に導入する? 推進の自民内部にも慎重論 公約の維新「強引に押し切らない」

<Q&A>離婚後の「共同親権」導入で子育てはこう変わる ワクチン接種やパスポート取得、引っ越しは

2024年4月19日 06時00分



離婚後の共同親権を導入する民法改正案が19日、参院本会議で審議入りした。衆院では、父母が親権の在り方を決める際、力関係に差があって合意を強いられることを防ぐため、付則が修正された。参院では、修正の実効性などが論点になるとみられる。

 改正案は、離婚後は父母どちらかの単独親権とする規定を見直し、共同親権を選べるようにする。父母が折り合えなければ家裁が親権の在り方を判断。一方が単独親権を望んでも、子どもの利益の観点から共同親権とされることもあり得る。

 DVや虐待の被害者らは「加害者から合意を強制される恐れがある」と懸念。(共同通信)

共同親権法案、参院審議入り 合意「強制」防止が論点に

2024年4月19日 10:19


離婚後の共同親権を導入する民法改正案が19日、参院本会議で審議入りした。衆院では、父母が親権の在り方を決める際、力関係に差があって合意を強いられることを防ぐため、付則が修正された。参院では、修正の実効性などが論点になるとみられる。

 改正案は、離婚後は父母どちらかの単独親権とする規定を見直し、共同親権を選べるようにする。父母が折り合えなければ家裁が親権の在り方を判断。一方が単独親権を望んでも、子どもの利益の観点から共同親権とされることもあり得る。

 DVや虐待の被害者らは「加害者から合意を強制される恐れがある」と懸念。

共同親権法案、参院審議入り

合意「強制」防止が論点に

2024/04/19 10:19

(共同通信)


●ちょっと待って共同親権
チェンジオルグ署名ぜひお願いいたします🙏
https://x.com/chottomatte_ks/status/1752244830435262933


●ちょっと待って共同親権
詳しい解説です!

https://chottomatte.jp/

●国会質疑書き起こし:七緒さんnote https://note.com/nao302198765/
4/3岡村晴美弁護士参考人質疑など必読です!

●国会質疑文字起こし:ありしんさんnote https://note.com/arisin/
4/3の斉藤幸子さん(DV被害当事者) 3/29国会前デモスピーチ など必読です!


●共同親権法案に反対してくれている国会議員のリスト
(応援のメール・FAXを。SNSで激励を。)
https://twitter.com/katepanda2/status/1773914956477632793

●岡村晴美弁護士と、共同親権法案の問題点について国会審議入りの最新状況を踏まえて
トーク(3/20)
https://voicy.jp/channel/2878/753961

●voicyパーソナリティさおりさんから、障がい児子育てのリアルをうかがいながら
共同親権が障がい児を育てるひとり親のご家庭にどう影響するかを考えてみた
トーク(3/27)
https://voicy.jp/channel/2636/758837

https://r.voicy.jp/GZV08QMpVW7 (4/17)

少なく表示

#共同親権 #共同親権を廃案に #共同親権は廃案に #共同親権推進派の正体



弁護士太田啓子のラジオ

太田啓子(弁護士)

https://voicy.jp/channel/2878/777545


共同親権 子にリスク

参院審議入り 仁比氏、改定案ただす






(写真)質問する仁比聡平議員=19日、参院本会議

 離婚後「共同親権」を導入する民法改定案が19日の参院本会議で審議入りしました。日本共産党の仁比聡平議員は改定案について「夫婦関係が破綻し、真摯(しんし)な合意ができない父母間にも裁判所が共同親権を定めうるものだ」と指摘し、「関係が破綻した父母の葛藤にさらされることこそ、子の利益を害する」と批判しました。

 仁比氏は、改定案は国民的合意のないまま参院に送付され、一人親家族から怒りの声が噴き上がり、約23万筆もの反対署名が集まっていると指摘。父母間に真摯な合意がないのに裁判所が親権の共同行使を求めれば、「別居親による干渉や支配を復活、継続させる仕掛けとして使われ、子の権利や福祉が損なわれる危険は否定できない」とただしました。

 小泉龍司法相は、「同居親と子の関係が良好でない場合など、別居親の関与があった方が子の利益にかなうケースがあり得る」と強弁する一方、「父母の感情的問題などにより、親権の共同行使が困難である状態は子の利益を害する」と答えました。

 仁比氏は、日本乳幼児精神保健学会が声明で、「子どもの成長にとって最も重要なのは、安全・安心を与えてくれる養育者との安定した関係と環境が守られること」だとして、離婚後「共同親権」のリスクを厳しく指摘していることへの認識をただしました。小泉法相は「子の安全・安心を確保することは重要だ」と答弁しました。

 また仁比氏は、親の収入などが要件となっている各省庁の主な支援策は28件(18日時点)あるとして、「関係省庁と協議し、施策の基準と運用、課題と検討の見通しを速やかに示すべきだ」と迫りました。小泉法相は「関係府省庁と連携していきたい」と述べるにとどまりました。

2024年4月20日(土)

共同親権 子にリスク

参院審議入り 仁比氏、改定案ただす


離婚後の父母がともに子の親権を持つ共同親権を可能にする民法などの改正案が19日、参院本会議で審議入りした。衆院では、父母が親権を決める際、力関係に差があって合意を強いられることを防ぐため、付則が修正されており、参院の審議では修正内容に沿った運用が担保されるかなどが焦点となる。(大野暢子)





◆「DVや虐待の再被害生む」

 本会議では野党から共同親権導入への懸念が相次いだ。立憲民主党の石川大我氏は「法案は当事者である父母の合意がなくても、裁判で共同親権となる制度だ」と問題視。日本維新の会の清水貴之氏は「ドメスティックバイオレンス(DV)や虐待の再被害が生じるという不安の声がある」と指摘した。

 小泉龍司法相は、家裁が共同親権か単独親権かを判断する際に父母の合意より、子の利益を重視して決めると強調。DVや虐待の恐れには「親権の共同行使が困難な場合、裁判所は必ず単独親権と定めなければならない」と述べた。

 改正案は共同親権となるケースを事実上、厳格化する修正を行った上で、自民、公明、立民、維新、国民民主各党などの賛成多数で衆院を通過。共産党とれいわ新選組は反対した。 

 ◇  ◇

◆世論の理解、道半ば

 参院で19日に審議入りした離婚後の共同親権を導入する民法などの改正案は、どんな時に一方の親だけで決められる日常行為に含まれるかなど分かりにくい点が多く、制度への世論の理解は道半ばだ。父母の一方が拒んでも共同親権になり得る仕組みが妥当かや、子の安全・安心を守れるか、人手不足の家裁に適切な対応が取れるかなど、参院で議論を深めなければならない課題は多い。 

 父母が話し合いで共同親権を決めた場合だけでなく、意見対立で親権の在り方を合意できなくても家裁の判断次第で共同親権になり得ることに対しては、衆院で賛成に回った野党からも懸念が消えない。



◆立民の主張、衆院では修正に反映されず

 立憲民主党は衆院での改正案の修正協議で「父母の合意がない場合は共同親権を認めるべきでない」と主張したが、修正には反映されなかった。共産党はこの件を重くみて衆院で改正案に反対した。

 同じく反対したれいわ新選組は声明で「子の重要事項を決める度に別居する親の顔色をうかがわなくてはいけなくなり、同居親と子の心身の負担が増大する」と訴え、子どもへの心理的な悪影響を危ぶむ。

◆新規の家事事件は10年で3割増し、迅速に対応できるか

 紛争を解決する場となる家裁の役割が高まるが、人手が足りているとは言い難い。虐待やドメスティックバイオレンス(DV)に迅速に対応して子の安心・安全を守れるかも焦点だ。

 国民民主党の川合孝典氏は19日の参院本会議で「裁判所の体制や民間に依存した避難など、支援が極めて脆弱(ぜいじゃく)だ」と指摘した。同様の不安は与野党に残っているが、政府から実のある答弁は聞かれなかった。

 最高裁によると、家裁が扱う新規の家事事件は2012年の約85万件から、22年に約114万件に増加。調停の平均審理期間は、18年の6カ月から22年には7.2カ月に伸びた。改正案が成立すれば26年までに施行され、共同親権への変更申し立てや、共同親権の父母が子の養育で対立した際の調停なども家裁が担う。

 首都圏の家裁で調停委員を務める女性弁護士は取材に「既に事件が多すぎて家裁は手いっぱい。子の人生を左右する判断が遅れたり、虐待の危険が見過ごされたりしないか」と案じた。

【関連記事】<Q&A>離婚後の「共同親権」導入で子育てはこう変わる ワクチン接種やパスポート取得、引っ越しは
【関連記事】離婚後の「共同親権」…子どもに不利益が及びかねない「懸念」とは 民法改正案が衆院委で可決

共同親権「離婚した父母の合意がなくても適用」に懸念相次ぐ 家裁は人手不足、参院審議入りも課題山積

2024年4月20日 06時00分


離婚後も父母双方が子の親権を持つ「共同親権」の導入を柱とする民法などの改正案が参院で審議入りした。今国会で成立し、2026年までに施行される見込みだ。新制度によって何が変わるのか。

共同親権法案、実質審議入り 小泉法相「子の養育多様化」―衆院委

 ―親権とは何か。

 未成年の子を育てるために親が持つ権利・義務のこと。子の身の回りの世話や教育、居所について決める「身上監護権」、子の財産や契約に関する「財産管理権」に大別される。現在、婚姻中は父母の共同親権、離婚後は一方の「単独親権」と定められている。

 ―改正の背景は。

 親が親権を失うと子育てに関わりにくく、養育費の不払いなどにつながるとの批判がある。先進国では共同親権が主流で、国際結婚の破綻後に日本人の親が同意なく子を連れて転居する「連れ去り」が問題になっている。

 ―何が変わるのか。

 離婚の際に父母が協議し、共同親権か単独親権かを選べるようになる。父母が折り合えなければ、家庭裁判所が「子の利益」を考慮して判断する。共同親権の下では、進学や引っ越し、手術など子に関する重要な決定をする際、父母双方の同意が必要だ。これらについて父母の意見が一致しない場合、家裁が決める。

 ―全ての事柄に同意が必要なのか。

 日常的な身の回りの世話は、子と同居する親が一人で判断できる。例えば、食事や習い事の選択、アルバイトの許可などだ。子の利益のため「急迫の事情」があるときも、単独での親権行使が認められる。緊急の手術や入試結果発表後の入学手続き、DV(家庭内暴力)・虐待からの避難などが該当する。

 ―共同親権導入の問題点は。

 家裁が親権の在り方を判断する際にDV・虐待の被害を見落とす懸念がある。家裁の裁判官や調査官の人手不足が指摘されており、共同親権の導入に対応できないとの見方もある。離婚する父母は感情的に対立しているケースが多く、父母の話し合いが進まず、子に関する決定が遅れる可能性も指摘されている。

共同親権、何が変わる? 離婚後も父母の同意必要―ニュースQ&A

時事通信 編集局2024年04月20日04時36分配信