「チューナーレステレビあります?」…安定財源の要だった受信料制度がNHKの首を絞めだす皮肉2024/03/23 07:03、 どこまでやるの?NHKのネット展開、線引き議論開始へ…仏英は「受信料」自体を疑問視2022/09/04 07:04読売新聞PDF魚拓





今国会では、24年度からの3か年経営計画がまずは審議されている。その中では財政規模縮小の中でもサービスの質を維持すべく、「未来を見つめ、人生を豊かにする教養・エンターテインメント」「幅広いジャンルと地域情報で多様性・多元性の実現」など六つのコンテンツ戦略の柱がうたわれている。だが、どれも具体性に乏しく、収入激減の時代に合わせた改革とは思えない。

 たとえ受信料制度が維持されるとしても、財政規模はこの先、ゆっくりと縮小し、制作すべき番組も取捨選択の必要に迫られるはずだ。それは改めて公共放送とは何か見つめ直すきっかけにもなる。別の幹部は「NHKのあり方について、今のうちに思い切った改革をしないと大変なことになる」と指摘する。番組のジャンルや伝え方も含め、リアルタイム視聴しかなかった時代に育まれた放送文化そのものを見直す機会かもしれない。

https://www.yomiuri.co.jp/culture/tv/20240321-OYT1T50096/
「チューナーレステレビあります?」…安定財源の要だった受信料制度がNHKの首を絞めだす皮肉

2024/03/23 07:03




「本来業務」とすべきか、自民党小委が提言



総務省

 ならば放送法上の大原則を修正すべきなのか? 最近になって動きが起きた。自民党の「放送法の改正に関する小委員会」は8月、NHKのネット活用業務に関して総務省で検討することなどを求める提言書を寺田総務相に提出。ネット活用業務を「本来業務とするべきかどうか」「本来業務とする場合には、その範囲をどう設定するか」などを検討課題としてあげた。これらを受け、同省の有識者会議「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会」の作業部会が9月に設置され、具体的に検証していくことになった。

 この作業部会での議論をNHKは大いに注目している。今後の中長期的なネット業務展開にかかわってくるからだ。

5か年計画に延長して収支見極めも



 事業運営の指針である経営計画(2021~23年度)では、23年度にBS1、BSプレミアムというハイビジョン画質(2K)の衛星放送を1波削減。衛星放送を2K、4K、8Kの3チャンネルとし、1波となった2Kは4Kと同じ番組を同時放送する方向で検討されている。その上で、衛星契約者を対象に受信料(口座振替・クレジットを利用した2か月払いの場合は月額2170円)の値下げを行う。その原資として、支出削減や剰余金を活用するなどして700億円程度を確保。単純計算すると月額300円程度の値下げとなりそうだが、実際はなかなか難しいようだ。
一般企業の内部留保に当たる繰越剰余金は、21年度末で2200億円超。こうした潤沢な資金を吐き出せば十分な値下げも容易なようだが、その後の物価高で電気料金などが上がり、今後の収支を慎重に見極めねばならなくなっている。そこで、3か年計画を5か年計画に延長し、23年度だけでなく、24、25年度の収支も見通した上で、最終的な値下げ額を決めることが検討されている。

肥大化に民放は強い懸念



 5か年計画に切り替えれば、新たなデジタル施策もより具体的に展望できるようになる。特に25年度は、ラジオがAMのラジオ第1と第2、FMという3チャンネルから、AMとFMの一つずつに整理されるタイミングでもあり、語学番組などAMから消える番組をネットに移行させる可能性も出てきそうだ。

 ネット活用業務を「本来業務」とするには、放送法の改正が必要で、それをも見越した新規事業まで修正計画に盛り込まれるとは思えない。しかし、NHKは作業部会の議論の進展を最大限踏まえた施策を、来年1月に最高意思決定機関である経営委員会の議決を得る修正計画に盛り込むとみられ、内容次第では支出も変わってくる。この点、ネットフリックスなどの有料動画配信事業者と組んだ番組制作の動きも加速する民放としては、潤沢な財源を元にNHKが野放図に番組配信を行うことには、民業圧迫として強い懸念がある。

受信料制度は妥当か、透明性の高い情報開示を



 一方、7月の同検討会では、公共放送の受信料制度を巡る海の向こうの動きへの言及があった。構成員の一人が、仏英の公共放送の受信料制度について、廃止や見直しの議論が起きていることを指摘。「こうしたことを含め、放送を取り巻く環境は、国内・海外を問わず大きな転換点に来ていることを改めて感じるので、30年以降を見据えた中長期的な観点を踏まえて今後も検討していただくことに期待したい」と述べた。

 ネット空間で自在に番組展開できるようになるのは、時代の要請だとNHKは考えているのだろう。だが、それと「テレビがあれば断れない」受信料制度が今後も妥当かどうかは話が違うし、値下げをすれば済む話でもない。

 同じように料金を利用者から徴収する民間の衛星放送も動画配信も、視聴者やユーザーに契約するかどうかの選択権があるし、各事業者ともどうやって顧客をつなぎとめるか知恵を絞っている。公共放送だからといって視聴者に選択権を与えないことに、どれだけの説得力があるのか。放送の 黎明(れいめい) 期からNHKが社会に果たした多大な功績は理解しつつも、作業部会がどんな議論をするのか、透明性の高い情報開示を求めたい。

https://www.yomiuri.co.jp/culture/tv/20220901-OYT1T50277/
どこまでやるの?NHKのネット展開、線引き議論開始へ…仏英は「受信料」自体を疑問視

2022/09/04 07:04