今国会では、24年度からの3か年経営計画がまずは審議されている。その中では財政規模縮小の中でもサービスの質を維持すべく、「未来を見つめ、人生を豊かにする教養・エンターテインメント」「幅広いジャンルと地域情報で多様性・多元性の実現」など六つのコンテンツ戦略の柱がうたわれている。だが、どれも具体性に乏しく、収入激減の時代に合わせた改革とは思えない。
たとえ受信料制度が維持されるとしても、財政規模はこの先、ゆっくりと縮小し、制作すべき番組も取捨選択の必要に迫られるはずだ。それは改めて公共放送とは何か見つめ直すきっかけにもなる。別の幹部は「NHKのあり方について、今のうちに思い切った改革をしないと大変なことになる」と指摘する。番組のジャンルや伝え方も含め、リアルタイム視聴しかなかった時代に育まれた放送文化そのものを見直す機会かもしれない。