米下院、TikTokのアメリカでの利用禁止できる法案を可決BBC.TikTok、英ジャーナリストのアカウントを特定・追跡 データ侵害の懸念2023年5月5日BBC.トランプ氏、TikTok・微信との取引を禁止 大統領令2020年8月7日PDF魚拓



米連邦下院は13日、動画投稿アプリ「TikTok」のアメリカ国内での利用を禁止できる法案を可決した。中国の親会社バイトダンスに対し、6カ月以内にTikTokの議決権株式を売却しなければ、アメリカでのアプリ販売を禁止するとしている。

正式名称「アメリカ国民を外国敵対勢力管理アプリケーションから保護する法律」は超党派で可決されたが、施行されるにはなお、上院での可決と大統領の署名が必要となる。

アメリカの政治家らは長らく、中国政府がTikTokにおよぼす影響を懸念している。

TikTokは2012年、中国のバイトダンスが運営を開始。北京に本社を置く同社はケイマン諸島に登記されており、欧州各地やアメリカにも事務所を構えている。

ジョー・バイデン米大統領は、この法案が上院で可決されればすぐに署名すると述べている。だが、中国との外交問題に発展する可能性もある。

バイトダンスが強制的な事業売却を完了させるには中国当局の承認が必要だが、中国政府はこれを拒否すると断言している。中国外務省の王文斌報道官は、こうした動きは「アメリカに跳ね返ってくる」と述べた。

中国とのデータ共有が焦点に

中国では企業に国家安全保障法が適用され、要請に応じて政府とデータを共有することが義務付けられている。

TikTokはこれまで、中国バイトダンス従業員がアメリカ国内の1億5000万人のユーザーのデータにアクセスできないと保証するための措置を講じたとして、規制当局を安心させようとしてきた。

TikTok最高経営責任者(CEO)の周受資氏は、同社はデータの安全性と「外部から操作できない」プラットフォームを維持すると約束すると述べた。

一方で、法案の可決はアメリカでのアプリ禁止を意味し、「他の一握りのソーシャルメディア企業に大きな力を与え」、何千人ものアメリカ人の雇用を危険にさらすと警告した。

しかし、今年1月に米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が行った調査によると、TikTokが導入したシステムはまだ「穴だらけ」で、アメリカのTikTokと中国のバイトダンスの間で非公式にデータが共有されていることが判明した。また、中国のバイトダンス従業員が情報源を突き止めるためにジャーナリストのデータにアクセスするなど、注目を集めた事件が懸念をあおった。

法案を共同立案した共和党のマイク・ギャラガー議員(ウィスコンシン州宇選出)は、 「アメリカで圧倒的な地位にあるニュース・プラットフォームを、中国共産党の影響下にある企業が支配もしくは所有するなど、そのようなリスクをアメリカとして取ることはできない」と述べた。

採決に先立ち、民主党のハキーム・ジェフリーズ院内総務はこの法案を歓迎。「TikTokのユーザーデータが悪用され、外国の敵対者によってプライバシーが損なわれる可能性」が減少すると述べた。

上院のチャック・シューマー院内総務(民主党)は、上院は間もなくこの法案を検討すると述べた。

しかし、今年の大統領選の共和党候補になる見通しのドナルド・トランプ前大統領が法案に反対しているため、上院での見通しは不透明だ。

トランプ前大統領は、在任中にこのアプリを禁止しようとしたが、バイトダンスの少数株式を所有しているとされる共和党の献金者ジェフ・ヤス氏と会った後、立場を変えた。

一部の民主党議員もTikTok禁止に反対している。民主党が若い有権者の支持を維持するのに苦労している中、アプリの若いユーザー層を遠ざけることを恐れている。

https://www.bbc.com/japanese/articles/c3gjdj1n85yo
米下院、TikTokのアメリカでの利用禁止できる法案を可決BBC



ロンドン在住のジャーナリスト、クリスティーナ・クリドルさんは昨年のクリスマスの2日前、動画アプリ「TikTok」から電話を受けた。同社の中国勤務の従業員2人とアメリカ勤務の従業員2人が、クリドルさんの知らないところで、同意を得ることなく、クリドルさんの個人アカウントのでデータを閲覧していたというものだった。

「本当に怖くてひどい出来事だし、個人的にも、ひどく侵害された」と、クリドルさんは話す。

「その時、私は家族の家で、10代の妹やいとこたちと一緒にいた。みんなずっとTikTokを使っている。みんな『えええ、気を付けた方がいいの?』という感じだった」

クリドルさんは英紙フィナンシャル・タイムズのテクノロジー担当記者で、私の有人であり、元同僚でもある。その彼女に起きたことは、TikTokとその親会社バイトダンスが一貫して否定してきたことだった。だからこそ、クリドルさんはBBCニュースにこの話をすると決めたのだ。

「本当に脅威」

TikTokは、クリドルさんの端末の位置を示すIPアドレスを、内部監査部の従業員が見ていたと認めた。それを従業員のIPデータと照らし合わせることで、誰が密かにメディアと会っているかを特定するためだったという。内部監査部の従業員らは「権限を悪用」し、許可なく行動していたとしている。

クリドルさんは、自分がどれくらいの期間、どれくらい頻繁に追跡されていたのかは知らないものの、追跡が昨年夏に行われたことは分かっている。

「もし私の居場所が常時モニタリングされていたのなら、監視の対象が私の仕事上の活動だけでなく、もちろんそれだけでも良くはないが、プライベートの生活にも及んでいたことになる。友人と外出したり、休暇を取ったり、そういったことが含まれる」

「本当に脅威で、本当にぞっとした。私は自分の仕事をしようとしていただけなので」

クリドルさんは個人の携帯端末にTikTokのアカウントを入れている。アカウント名は飼っている猫の名前、「バフィー」だ。プロフィールには、クリドルさんの名前や職業は書かれていない。

フォロワー数は170人ほどで、ここ3年の間にバフィーの動画を20件ほど投稿した。どれも平均で数百回再生されている。

https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-65490687
TikTok、英ジャーナリストのアカウントを特定・追跡 データ侵害の懸念

2023年5月5日

ゾーイ・クラインマン、テクノロジー記者



中国人気アプリは「脅威」

トランプ氏は大統領令で、「情報通信テクノロジーとサービスのサプライチェーンをめぐる国家の緊急事態に対処するため、さらなる対応が必要」となったと表明。

「中華人民共和国(中国)の企業が開発、所有するアプリがアメリカで広がり、アメリカの安全保障、外交、経済を脅かし続けている」とした。

また、TikTokと微信を「脅威」と呼び、関連中国企業とのいかなる「取引」も「禁止される」とした。

TikTokについては、アプリのデータ収集によって、中国側が米政府職員を追跡したり、産業スパイ活動に利用できる個人情報を集めたりできるようになると主張。

香港の民主化デモやウイグル族の処遇など、政治的に微妙とされる内容は検閲をしているとの報告書についても言及した。
政府職員はすでに禁止

トランプ氏はさらに、アメリカの国土安全保障省、運輸保安庁、軍ではすでに、職務で使う電話にTikTokを入れることを禁じているとした。

大統領令は、アメリカの国家緊急事態法と国際緊急経済権限法に基づくものだとしている。

TikTokの米国内のユーザーは約8000万人に上り、多くが20歳未満とされる。

ByteDanceとテンセントは、コメント取材に応じていない。



ウィーチャット禁止で米中間の連絡が危機に――BBCニュース中国語、ザオイン・フェン記者(ワシントン)

TikTokの禁止はまったく驚きではない。米当局はこれまで何カ月も調査を続けていたからだ。

しかし、微信も同様に禁止するのは衝撃だ。

トランプ氏の大統領令が発表された直後から、私の微信はメッセージであふれた。アメリカの友人たちと、彼らの中国にいる家族たちは、完全にパニックに陥っていた。

両者は遠く離れているが、同じ懸念をもっていた。微信がアメリカで禁止されたら、どうやって連絡を取り合えばいいのか? というものだ。

中国と何らかの関係をもつ人にとって、微信を避けて通ることは不可能だ。

10億人超が使うこのアプリは、ワッツアップとフェイスブック、インスタグラム、オンライン決済ペイパル、配車アプリのウーバー、それにマッチングアプリ「ティンダー」までが一緒になったようなものなのだ。

中国の技術力を象徴する微信を禁止することは、中国の文化と国民、国家に対する攻撃と受け止められるだろう。アメリカは中国最大の競争相手を不当に抑え込んでいるという見方が中国では広がっているが、それを強化することになるとみられる。

禁止が全面実施されれば、中国に家族や友人、仕事がある人にとって惨事となるだろう。

米中関係においては、報復合戦が新たな日常となっている。しかし今回のアメリカの動きは、世界で最も影響力のある2国間の人と人とのコミュニケーションを、実質的に断つものだ。

(英語記事 Trump: Firms must end links with TikTok and WeChat

https://www.bbc.com/japanese/53689396
トランプ氏、TikTok・微信との取引を禁止 大統領令

2020年8月7日