松島奈々子さん演じる家政婦のミタの三田灯さんとハヤテのごとくハヤテちゃんは家事労働者。労基法「例外」削除とILO 189号条約批准が必要です。


松島奈々子さん演じる家政婦のミタの三田灯さんとハヤテのごとくハヤテちゃんは家事労働者。労基法「例外」削除とILO 189号条約批准が必要です。
選挙の記事でたかまつななさん見て思わず、お嬢様ーってなりました。

https://www.youtube.com/watch?v=GLbc9in9zeY


たかまつななさんのフェリス女学院ネタ面白いですよね。

ドラマ家政婦のミタ良い作品だけどテーマが重いので元気があるときでないと視聴に向いてないですね。

ゆるーい作品として見れる三千院家の執事のお仕事されてるハヤテのごとく見てみたよ。エプロン姿のハヤテちゃん可愛い。ハヤテのごとくの時々ヒロインのハヤテちゃん、三千院ナギちゃんら女の子がピンチの時助けるSPとしてかっこいいし、凄ーく広い豪邸をおうちピカピカにしてしまうなんて清掃業のプロ、紅茶やスイーツ手作り出来てしまうなんてパティシエさんとしても凄い。

https://www.animate-onlineshop.jp/products/detail.php?product_id=1074181


ドラマ家政婦のミタのミタさんもアニメハヤテのごとくで三千院家の執事をされてるハヤテちゃんも家事労働者だけど家事労働者が過労死しても日本の加藤労働相は労働基準の除外基準すら廃止しないんだって酷いよね。
日本国憲法の奴隷的苦役の禁止に違反するんじゃないかと思えてきますよね。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsr/71/3/71_511/_pdf/-char/ja

https://drive.google.com/file/d/1hkHLQVCU4fnlCDVOcSAGPhg3VKXwq82z/view?usp=share_link

https://www.moj.go.jp/isa/content/001390134.pdf




https://jss-sociology.org/research/92/file/410.pdf



1. 問題の所在 特区の家事労働者は「外国人」の「女性」なのか 2017 年 4 月から、国家戦略特区(以下特区)において、フィリピン人家事労働者が請負の家事代行 業務を担っている。外国人家事労働者の受入れを表明した特区は、2016 年神奈川県と大阪府から家事 代行の認定を始め、ついで東京都(2017 年 2 月)、兵庫(2018 年 3 月)、名古屋(2018 年 10 月)、東京圏と して千葉市と 5 都府県に広がっている。認定企業は 6 社で、従来から家事代行を主な事業としていた のは 2 社であり、他の 4 社は掃除、保育、介護、人材派遣と異なる主要業種となっており、受入れ人 数は東京都において著しく増加しており、2021 年までに総計約 2,500 人受入れるともいわれている。 有償の家事労働者は、住み込みの女中、通いの家政婦/夫と歴史的にも現在も就労しており、在日の 外国人で家事労働者として働く人々もいる。なぜ、特区において家事労働者を外国人の女性にしたの か、その背景、そしてどのような条件で就労しているのか、その雇用・就労条件を検討することによ って、家事労働を購入可能な層、期限付きの請負労働を行う家事労働者からみる商品化された家事労 働と階層分化の諸相を検討したい。 2. 有償家事労働における移住女性と特区の家事労働者 家事労働は「家庭の中で行われる、生きている人間の属性としての労働力の再生産のための諸労働」 (竹中 2011:20)、ILO の「家事労働者の適切な仕事に関する条約」(2011 年 6 月 16 日採択。2013 年 9 月 5 日発効)では「家庭において又は家庭のために行われる労働」と定義され、介護・保育労働を含 んでいる。日本における有償家事労働者は 1950-60 年代に住み込み女中、中高年の派出婦・付添婦、 1960 年代後半から通いの家政婦、派出婦・付添婦と変遷し、外国人の家事労働者としては 1952 年が 外国人の外交官等を雇用主とした家事使用人がいる。そして、労働基準法において個人が雇用する場 合は適用を除外され(第 116 条第 2 項)、ILO の家事労働者条約を日本は批准していない状況にあり、 雇用契約によって労働基準法の適用が異なる。 こうした家事労働者における家事労働の範囲と法的地位の差異を含んだまま特区において外国人家 事労働者が雇用され、就労している。特区の「外国人家事支援事業」は第二次安倍政権「日本再興戦 略 2014 改訂」において「日本の『稼ぐ力』を取り戻す」ために、①生産労働への女性の就労促進、② 介護分野も含めた生活支援、③成長戦略を推進するための「外国人高度人材」誘引を目的として提案 された。受入れ人数から、介護分野大手のニチイ学館が多く今後②の介護分野での生活支援が増加す ることが予見される。また、東京都、神奈川県の特区関連の情報からは、③のグローバル企業とその 従業員および外国人企業家などのグローバル高度人材の誘致が最も重要な動機でないかと考えられ、 女性の就業率をあげるためといいながら、利用できるのは高所得の世帯に限られた制度だとうかがえ る。本山が指摘するように、本当に家事や育児、介護の支援が必要な女性には利用できない制度とな っている(本山 2015)。 業務は炊事、洗濯、掃除、買物、およびこれらの業務と併せて実施される児童の日常生活上の世話 及び必要な保護、家庭で日常生活を営むのに必要な行為(裁縫、荷造り、郵便・宅配等荷物受取、寝 具整備、庭の手入れ、掃除と一体的に提供される修繕)である。身体介護は含まれないが、介護保険 を使わない介護者への家事支援サービスは可能となっている。賃金は日本人と同等とされ、収入は 15 万円前後であるが、そこから社会保障費と住宅費が引かれ、手取りは月 7-8 万円程度という。週一日、 それが難しい場合四週に 4 日休日が保障されている。家事代行業者は第三者管理協議会に対して、月 1回の業務関連の報告義務、3 カ月に 1 回の労働実態等の報告義務、採用者・失踪者・帰国者に関す 2 る報告義務があるが、書面を通じてのみであり、協議会が実地監査することはない。家事労働者に対 するサポートとして雇用した企業の相談体制も準備しなければならないが、労働者が随時第三者管理 協議会に相談することも可能となっており、協議会には企業や労働の相談もきているという(定松 2018b)。 3. 利用世帯と家事労働者の分断 利用世帯からみると、当初の政策目的として掲げられた女性の就労によって家事サービスを利用す るとはかぎらないとわかる。2012 年以降の総務省「家計調査」の区分に従ってみるならば、夫のみの 所得の世帯、共働世帯で妻の収入が月額 8 万円未満と 8 万円以上の世帯で、女性が働くことによって 増加するであろうと予測されていた、家事の代替としての調理済み食品、外食は確かに増加傾向にあ る。しかし、共働き世帯の家事サービス利用額は顕著に増加しているわけではなく、増加した世帯は 妻が就労していない世帯、自営業主と思われる複数の有業者がいる世帯、年収が 1250 万円以上の世帯 となっている(定松 2018a)。特区の外国人家事支援事業は、女性の安定的雇用と賃金上昇を前提と していたため、実際には高所得世帯に限定され、家事サービスを購買できる階層の生活、本当に家事 支援が必要な世帯の生活を大きく隔てることになっている。 また、縁故によって外国人家事使用人はフィリピン人女性が多い傾向になっているが、特区の家事 労働者はあらかじめフィリピン人と女性に限定している「移動を囲い込み、制御するような監視体制」 での移住家事労働者である。彼女たちは送金を目的としているため「簡単に辞めることができない」 労働者であり、しかも期間限定で、利用者から「取り替え」「使い捨て」可能な商品となっている。そ こには家事労働は「女」がやるもの、安い労働力は「アジア」からという、ジェンダー、エスニシテ ィ、職業階層の三重のスティグマがみられる。日本居住の家族が生活を維持するために、外国人の女 性には自分の家族と離れて暮らすことを強いながら、その差別構造を認識させない仕組みになってお り、個別の就労場所ということだけなく、雇用契約による労働者の地位の違い等が「同じ」家事労働 者としてお互いに認識されにくい状況を作り出しているではないだろうか。 参考文献 ILO, 2011「家事労働者の適切な仕事に関する条約(第百八十九号)」(2016 年 2 月 5 日取得) [http://www.ilo.org/wcmsp5/groups/public/---asia/---ro-bangkok/---ilo-tokyo/documents/normativeinstrument/wcms_240004 .pdf] 本山 央子, 2015, 「外国人家事労働者受け入れと『女性の活躍』 : ILO189 号条約を手がかりに」『女性労働研究』59: 120-125. 伊藤るり 2015「どこが問題なのか(2)―外国人家事労働者特区法」真っ当な移民政策を求める院内集会、2015 年 6 月 4 日(木)14:00-16:00、参議院議員会館 101 会議室. 定松文 2018a 「国家戦略特区と『外国人家事支援人材』」日本フェミニスト経済学会:59-74. ------、2018b 「家事労働とジェンダー――再生産労働の外部化と“沈黙”の外国人家事労働労働者」『産業構造の変化 と外国人労働者 労働現場の実態と歴史的視点』駒井洋監修、津崎克彦編著、明石書店、2018 年 6 月: 142-163. 菅沼櫻子 2008「日本ではたらくフィリピン人女性家事労働者」『女性労働研究』52 号:70-80. 竹中恵美子 2011『家事労働論(アンペイド・ワーク)』明石書店. 補記 本報告は、科学研究費補助金・基盤研究 A(海外学術研究)、「移住家事労働者と ILO189 号条約――組織化・権 利保障・トランスナショナルな連帯――」研究課題番号:15H02602、(2015-17 年度、研究代表者:伊藤るり)、および 挑戦的研究(萌芽)平成 29-31 年度「グローバル社会福祉体制における新国際再生産分業の社会学的分析」(課題番号 17K18593 研究代表者:定松文)によって行われた家事代行業者 A 社、B 社の 2 社と人材養成機関㋐社、㋑社の 2 社 への半構造化対面聞き取り調査によるものである。

https://jss-sociology.org/research/92/file/410.pdf
家事の外部化と分断される家事労働者 ――特区の「外国人」「女性」家事労働者雇用から考える―― 恵泉女学園大学 定松文


先ほども言及しましたが、外国人技能実習制度が1990年代の初頭から続 いています。外国人技能実習制度の下で人権侵害が起きています。今回と似ている点として、雇用主が何か不都合だと思っても、就労先の変更を簡単にできない。変更の自由があるとは言い難い。会社がつぶれたときに救済措置として、同業者に雇用されるチャンスが与えられるということにはなっていますが。
もっと深刻なのは、技能実習制度では罰金や保証金の徴収を通じた管理
が行われるケースが発覚しています。日本政府はそんなことは認めていませんが、送り出し側で行われることがある。罰金や保証金を徴収していることをどのように調査するのか。
それから強制帰国。たとえば、技能実習生が権利を主張したときに、い
きなり雇用者に次の日に空港に強制的・暴力的に連れて行かれて、そのまま送り帰されてしまうということが実際にあるのです。そのような強制帰国という制裁を心配して会社への権利主張がかなり萎縮しているのではないかと思います。これは家事労働者にも通じる懸念ですね。
また、賃金は「日本人と同等以上」としているけども、日本人の家事労
働者の場合ほとんどがパートタイムです。それが、今回の家事労働者はフルタイムで雇われるということになっているのですが、フルタイムで家事労働者をやっている日本人の女性はほとんどいないようで、どうやって均等な待遇を保障するのか疑問です。
ちなみに、日本人と同等以上の賃金ということですけども、こんなのわ
ざわざ言わなくても日本の労働基準法第3条で均等待遇を定めています。「国籍、信条、社会的身分を理由に賃金、労働条件を差別してはいけない」。
外国人だからといって賃金を日本人より悪くしたらいけないと。
家事労働者をはじめ移住労働者の送出しを管轄している海外雇用庁とい う機関がフィリピン政府にあります。労働雇用省の傘下にあり、移住労働行政をつかさどっている。その海外雇用庁が出している資料のなかで、神奈川に送られる家事労働者の賃金の目安を示した表が出されています。計算してみると、賃金の計算ベースが神奈川県の最低賃金なのです。最低賃金を基に、たとえば1ヵ月22日働いたときに総額の額面はこれぐらいにな
り、税金などを控除をしていくと、このぐらいの手取りになりますよという資料です。日本人と同等以上ということですが、実は最低賃金なのか、という疑問です。
それから、多言語対応の相談窓口。これは神奈川にしても大阪にして
も、既存の外国人相談窓口をそのまま適応するようです。おそらく、家事労働者の受け入れシステムにおける問題が起きてくると思うのですけど、それに専門的に対応できるようにいまは備えていないもようです。
もう一つ大事なことだと思うのですが、家事サービス業者への人権啓発。
「家事労働者は奴隷ではありません」というような本当に基本的なところ
から、やっていく必要があるのではないかと思います。
<市場規模と採算性>
これも関心のあるところですが、経済産業省は、2012年度の家事代行サービスの市場規模は980億円としています。将来、この将来というのがいつかというのが何年頃か明確には示されていないのですが、6,000億円にまで伸びると推計しています。
逆に言うと、経済産業省にとってこれから伸ばしていきたい産業でもあ
るのでしょう。ただ、現行のいろんな家事代行サービスについてしばしばホームページで調べているのですが、利用料金は1時間あたり安くても3,000円くらい。3,000円というと、やはりそれなりの収入がないと、定期的に頼むというわけにはいかないなと思います。
利用料金が高いということは、この家事代行サービス会社ももちろん認
識しています。だから、市場規模を伸ばすためには利用料金を下げないと、なかなか伸ばすのは難しい。
そこで、受け入れを予定しているいくつかの会社では、「国には最低賃
金を下回る賃金も認めてほしい」と言っている。
高収入を得ている人には、便利のいいサービスかもしれないけど、そうじゃない人は「恩恵」に浴せない。
もう一つ、最低賃金を下回らないにしても、いろんな経費控除をしよう
と思えばいくらでもできるのです。たとえば、住宅費の控除。「家事支援
人材」として受け入れるのは利用者宅への住み込みは駄目ということになっているのですが、逆に受け入れる会社が住宅を提供しないといけない決まりになっているのです。要するに、住宅費は通常の本当に掛かる住宅費よりも高く取れば、経費回収をできる。
実際、技能実習制度では散見されるようです。すし詰め状態で住まわせ
て、一人当たりたとえば家賃4万円を徴収するというやり方です。そうしたことが起きないように、今回は家賃控除に対するガイドラインを国が早々に出しています。
家賃で経費を回収するな、と釘を刺しています。でも、いろんな方法で
サービス料を低く抑えようとするサービス事業者は、家事労働者に最終的にしわ寄せをするのではないかと心配しています。
<外国人家事労働者の「解禁」の意図は?>
国際的な潮流として家事労働者をめぐる状況は世界的な課題になってい ます。今年(2016年)3月に国連で、女性差別撤廃条約の日本の実施状況について女性差別撤廃委員会の審査があったのですが、この審査を経て、いくつも日本に対して勧告が出ています。その勧告の一つとして、女性家事労働者の状況について次回定期報告のときに日本は情報を提供することとしました。また、二つのILO の条約、雇用及び職業についての差別待遇を禁止する「ILO 111号条約」と、家事労働者の権利保護を規定した「ILO
189号条約」の批准を検討することという勧告を出しています。
日本政府は、とりわけ「ILO 189号条約」の批准について前向きではあ りません。条約の内容は、日本の労基法に相当するような、たとえば休みを24時間以上提供するようにとか、週に1回は休ませるように、賃金は最低月に1回は渡すようにというものです。そんなにハードルが高い内容ではないのですけども、日本政府は当面批准する予定がないようです。
なぜかと言うと、先ほど言いました労基法116条2項の適用除外になっ
ている家事使用人を労働基準法の適用除外していることとの整合性を理由にしているのです。
ここからはちょっと、広がりのある話なのですけども、「家事支援人材」
の受け入れというのは、この受け入れだけに終始する話ではなくて、介護労働者の話とも関係しています。安倍政権は「介護離職ゼロ」の目標を立てている一方、公的介護保険を改悪する方向に進んでいます。介護保険の支出を減らすために、介護は自己責任として地域や家庭に任せる、あるいは押し戻すという流れです。介護の必要度の比較的軽い、要介護1、要介護2の人へのサービスを縮小している。それから調理や掃除など生活援助は介護保険から除外して、市場化や自己負担をもっと増やそうとしています。
つまり、この家事労働者の受け入れというのは、介護保険がカバーする
領域の代替措置の一つとして機能させたいという隠された意図があるのではないか。タイミング的にそう思うわけです。単にアメリカから言われたというだけではなくて、実は日本政府のなかで入念に練られてきたのではないでしょうか。
介護労働者の新たな受け入れ
介護分野は、深刻な労働者不足に直面しています。「2025年問題」とも いわれています。これから10年後に38万人くらい介護労働者が不足するだろうと。そうしたなか、『「日本再興戦略」改訂2014』において、技能実習制度に「介護」を追加するということがあがってきた。先日までの国会で制定された、技能実習適正化法、つまり技能実習制度が非常に問題だから改善しようというための法律なのですけど、この法律が1年以内に施行されると同時に技能実習制度に「介護」を追加するということになりました。介護と家事ということは、法律の整備をめぐってもつながっているということです。
そもそも技能実習制度は日本の進んだ技術を発展途上国に移転するとい
う大きな建前があります。政府は、日本のように高齢化が進む他のアジア諸国にO D A (政府開発援助)を活用しながら、官民で協力して日本の介護技術を移転しようとしていることを説明しています。
技能実習制度のもとでは、商工会や中小企業団体、協同組合などが監理
団体をつくって、実習生を受け入れ、加盟企業に送り出しています。多くの場合、技術移転というのは名目だけで、実際は労働者不足にあえぐ中小企業が受け皿になっている。74種類もの職種に年間20万人超の受け入れが行われています。
本来の目的や建前と、現実とが大きく異なった制度になっています。か
たや技術移転、しかし実際は労働者不足の中小企業が受け入れているということで、大きなギャップがまかり通って二十数年続いてきたわけです。
さきほどから話しているように、保証金・違約金・罰金の徴収、自由の
束縛、パスポート取り上げ、強制貯金、賃金不払、最低賃金以下、強制帰国など、労務管理上のことに加えて、セクハラや性暴力といったさまざまな人権侵害が起きています。
そういう現実がまかり通ってきた技能実習制度について、国際社会は、
国連をはじめアメリカの国務省報告では、技能実習制度は人身取引にあたるものだとまで批判しているのです。日本の関係省庁が関係しているところで搾取が行われていると言うと、まるで国が支援している人身取引のようになってしまうわけです。そのぐらい批判されていても、まだ性懲りもなく続けていて、介護分野を追加しようとするなど拡大に向かっているのです。
いまこの技能実習制度の下で「介護」を追加するということに特に興味
を持っている国はベトナムです。実際、技能実習生も、かつては中国が圧倒的に多かったけれど、いまはベトナムがものすごく増えて、今年いまの段階ではベトナムからの実習生の人数が中国を追い抜いたのではという話があります。
在留資格「介護」の新設
在留資格に「介護」を新設することも『「日本再興戦略」改訂2014』に 盛り込まれました。介護福祉士の養成学校とか大学に留学する学生が介護福祉士の国家資格を取得した場合、これまでは日本で働き続けることができなかったけれど、これからは認めていくことにしました。介護人材をど
うしても増やしたいことから、介護福祉士の資格を得た留学生は、そのまま日本で就労を続けることができるということです。この計画がわかった時点から徐々に留学生の数が増えていて、例年わずか20人ぐらいしかいなかったのが、2015年は94人、2016年は257人になっています。全入学者の3 %くらいを留学生が占めるようになりました。
一方、日本人の学生にとって、介護福祉士という国家資格を取ったとし
ても、あまり人気がない。やはりしんどい、労働条件が厳しいということで、入学者が減少し、学校自体が定員割れしているのです。在留資格「介護」の新設は、定員割れの専門学校や大学の救済策ではないかとささやかれてもいます。
正面からの移民政策へ
最後になりますが、家事労働者、あるいは介護で技能実習生として受け 入れる、それから介護福祉士の資格をとった留学生の就労を認めるといった一連の政策は、パッチワークのようにコマ切れに受け入れているだけではないか。つまり、使い勝手のいい「外国人材」を受け入れようとしているにすぎないのではないでしょうか。
「外国人材」ではなくて、「労働者」として受け入れる基本姿勢が必要
だと思います。そのために、基礎となる国際的な人権の基準というのをしっかり見据えて、法整備をする必要がある。これは基本中の基本だと思うのです。
もう一つは、私たち市民の側が外国人の受け入れということにわりと慎
重姿勢をとっている。労働組合も慎重姿勢です。そうではなく、外国人労働者を働く仲間として、連帯して権利保障を一緒にやっていくという姿勢が必要ではないかと私は強く思います。

第2回講演(1) 日本への家事労働者受け入れをめぐる課題



家事労働者の過労死問題 加藤厚労相、労働基準法の「除外規定」廃止に否定的 2022年10月7日 18時44分


https://www.tokyo-np.co.jp/article/205481
守られぬ家事労働者 東京地裁が過労死認めず 立ちはだかる労働基準法の例外規定 2022年9月30日 06時00分東京新聞


 長時間の家事労働の末に亡くなった高齢女性について、東京地裁は労災認定をしなかった国の決定を容認し、女性は過労死と認められなかった。全ての労働者を保護するはずの労働基準法の例外規定が、厚い壁となって立ちはだかる。国は問題の放置を続け、現場の働き手から改善を求めて切実な声が高まっている。(池尾伸一)

【関連記事】家事代行女性の労災認めず 女性急死 労働時間に算入せず 東京地裁が請求棄却

 「拘束時間0時間、残業0時間」。女性の急死前1週間の状況を調査した労働基準監督署の内部報告書。連日「0時間」が並び、「労働者として特段の負荷要因はない」と結論付けていた。



亡くなった女性の遺影。60歳を過ぎて高齢者のためにと介護福祉士の免許(左)を取得した努力家だった(支援団体提供)

 同僚らの証言などによると、訪問介護・家事代行サービスから派遣された女性=当時68=は24時間拘束で午前5時前に起床。2時間おきのおむつ替えや家事をこなす生活を1週間続けていた。それでも労基署が過労死を否定したのは、労基法の「家事使用人の除外規定」があるためだ。

 地裁判決も、女性が待機時間を含めて1日19時間の業務をしていたと認定しながら、家事は労働時間から除く「無理な判断」(原告側)を行い、労基署の決定を大筋で容認した。

 国は長年、同じ労働者なのに家事労働者は労基法から除くという不条理な規定を放置してきた。1993年には労働相(現・厚生労働相)の諮問機関「労働基準法研究会」が撤廃を提言したが、改正は見送られた。加藤勝信厚労相は今月の記者会見で、現行法を堅持する姿勢を示し、今回の判決でも規定に問題があるかの判断をしなかった。

◆過労死認定求めるオンライン署名に2万人超

 高齢化の進展や働く女性の増加で家事や介護を支援するサービスへの需要は急増中。最近では、ネットの仲介サービスなどで家庭と直接契約する働き手も増えている。

 個人で家事代行に従事する土屋華奈子さんは「昼休みもとらせてもらえなかったりトイレが使わせてもらえなかったり、過酷な環境でも私たちは守られない」と訴える。労働問題にくわしい和光大学の竹信三恵子名誉教授は「過重労働やハラスメントにさらされても保護や補償を受けられない状況が放置される」と批判する。

 原告を支援するNPO法人「POSSE」は、女性の過労死認定を求めるオンライン署名活動を始め、既に2万2800人が署名した。

 「家事労働の軽視が残るこの社会はおかしい」「家事労働を甘く見ないで」。家事の担い手や、恩恵を受ける依頼者らが家事労働に冷たい国に、切実に事態改善を求めている。署名は、近く厚労省に提出される。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/205481
守られぬ家事労働者 東京地裁が過労死認めず 立ちはだかる労働基準法の例外規定

2022年9月30日 06時00分




NPO法人POSSE労災ユニオン(総合サポートユニオン労災支部)が支援している過労死遺族が、国に対して労災認定を求める裁判を起こしています。

 2015年春に、家事労働者として1週間・24時間拘束労働で働いていた高齢女性が亡くなりました。しかし、国は家事労働者には労働基準法や労災保険は適用されないとして、彼女の死を過労死と認めていません。現行の労働基準法や労災保険は、家事労働者を適用除外としているからです。

 現在、共働き世帯の増加や少子高齢化の影響で、家事代行サービスは拡大を続けています。市場規模は、約698億円(2017年)と推計され、 将来の市場規模は、少なくても2,000億円程度、最大で8,000億円程度にまで拡大する可能性があると言われています(2018年に出された野村総合研究所「家事支援サービス業の推計市場規模」)。

 しかし、働く現場では、今回亡くなったAさんのように、基本的な労働者としての権利が認められず「無権利状態」で働かされている家事労働者が多くいるのです。

 国の労災不支給の判断に納得できない遺族は、2020年3月に国に対して裁判を提訴し闘ってきました。そして、2022年9月29日に東京地裁で判決が言い渡されます。

 裁判については、2022年9月6日に大きく報道もされました(「家事代行者の「労災認めて」 妻急死の夫が国に労基法の「例外」撤回求め7年 近く地裁判決」)。

 この裁判は、女性や高齢者の労働環境改善に大きな影響を与えるものです。ぜひ、多くの方にこの事件について知っていただくとともに、今後社会的に過労死を無くしていくため、署名へご協力をお願い致します。署名は、裁判所はもちろん、厚労省など国へも提出を予定しています。


◆事件概要

 2015年5月27日夜、家事代行及び訪問介護ヘルパーとして働いていた女性のAさん(当時68歳)は、私的に訪れた入浴施設で倒れているところを救急搬送され、翌日、急性心筋梗塞で亡くなりました。

 Aさんは株式会社Y社の紹介で、認知症を患う寝たきりの高齢者(要介護度は一番重い「5」)の個人宅にて住み込みで働いていました。常時対応が必要なため、2015年20日~26日までの1週間、ほぼ24時間休みなしで、清掃や洗濯、食事の用意、介護など家事業務と介護業務が渾然一体となった状態で働いていました。

 多種多様で専門性も高く責任重大な「ケア労働」を、たった1人で担っていたのです。

 「求人票兼労働条件通知書」には休憩時間が深夜0時~5時と記載されており、そもそも24時間中5時間しか休むことが想定されていない契約書となっていました。さらに、Aさんの同僚は「派遣された家政婦は、ろくに睡眠時間も取れない上に、2時間おきのおむつ替え、定期的な失禁にも対応しなければならなかった。事実上24時間労働であり、労働から解放されることがない」旨の証言をしています。そこからも、Aさんがほぼ24時間の過酷な労働を強いられていたことがわかります。

 Aさんの死は仕事が原因だと思った遺族は、2017年5月に渋谷労働基準監督署に労災申請をしましたが、2018年1月に不支給決定となりました。その後の異議申し立ての手続きである審査請求、再審査請求も国から退けられました。

 その理由は、Aさんが労働基準法116条2項の「家事使用人」に該当し、同法及び労働者災害補償保険法の適用除外となるため、というものでした。遺族は、過重労働が原因で死亡したのに、家事労働者に労災が認められないのは不当だとして、2020年3月に国を相手に東京地裁へ提訴しました。遺族は会見で「家事労働者が労働者として守られないのは重大な人権侵害で納得できない」と訴えました。


【経過】

2013年8月 Aさんは要介護高齢者向けの居宅介護支援サービスや家事代行サービスを展開する都内の株式会社Y社に入社。

2015年5月20~26日 6日間、24時間ほぼ休みなく個人宅で住み込み勤務

2015年5月27日 入浴施設で倒れ、救急搬送。

2015年5月28日 急性心筋梗塞のため亡くなる。

2017年5月 遺族が渋谷労働基準監督署に労災を申請。

2018年1月 労災の不支給決定が下る。その後の審求請求、再審査請求も退けられた。

2020年3月 遺族が国を相手に労災認定を求めて東京地裁に提訴

2022年9月29日 東京地裁判決


◆労働基準法上の「家事使用人」の定義

労基法116条第2項(1947年成立)では、「この法律は、同居の親族のみを使用する事業を及び家事使用人については、適用しない。」と定めています。個人家庭と直接契約を交わし、指揮命令を受け対価を得ている場合は「家事使用人」となり、労働基準法や労災保険が適用されません。

・一方で、厚労省通達の基礎第150号には「個人家庭における家事を事業として請け負う者に雇われて、その指揮命令の下に当該家事を行う者は家事使用人に該当しない。」とあり、全ての家事労働者が「家事使用人」になる訳ではなく、仲介会社と契約を交わし、指揮命令を受け対価を得ている場合は「家事使用人」とはならず、労働基準法や労災保険の適用対象の労働者となります。

→AさんはY社から詳細な「業務指示書」を渡され指揮命令を受け、報酬もY社からAさんへ直接支払われ、毎月手数料も徴収されており、実態としてはY社に雇用されている状況でした。私たちは、このような実態から判断し、Aさんは「家事使用人」には該当せず、「労働者」として労基法や労災保険が適用されるべきだと主張しています。


◆実態と解離した現行の労働基準法と問題の拡大

 さらに、私たちは、そもそも労基法第116条2項によって「家事使用人」へ労基法や労災保険が適用されない現状自体がおかしいと考えています。かつては労基法が想定しているような長期で個人宅へ住み込みで働く「家事使用人」もいましたが、現在は、紹介所等を通じ「労働者」として各家庭に働きにいっているのが実態です。 

 現在のように「家事使用人」について労基法や労災保険の適用を除外してしまった場合、「賃金、就業時間、休息その他の労働条件に関する基準」が何も定まっていない状態で働き、労災などが起こっても救済されないことになります。

 Aさんは利用者に対する24時間対応を余儀なくされ、それが原因で亡くなっていますが、この法律をこのまま放置してしまえば、Aさんと同じように24時間業務を強いられて過労死し、救済もされない家事労働者が今後も発生していく可能性があります。


◆家事労働者として働く多くの女性労働者の環境改善へ

 Aさんもそうであるように、家事労働者の多くは女性です。国はこれまで、家事労働者の実態把握等を十分にしておらず、調査等もほとんどありませんが、2015年の国勢調査では、日本国内に約1万1千人の家事労働者(統計上は「家政婦(夫)」)がいるとされ、97%が女性となっています(個人契約の全てを把握できないため、この数字も氷山の一角と予想されます)。家事労働者として働く多くの女性が無権利状態で働いているのです。

 一方で、日本とは異なり、国際的には家事労働者の権利は拡大を続けています。2000年代中頃から女性団体や労働組合、NGOなどが連携し家事労働者の国際的な待遇改善を進め、2011年6月、ILO第100回総会で「

」が採択されています。この条約では、家事労働者は他の労働者と同じ基本的な労働者の権利を有するべきとして、「安全で健康的な労働環境の権利」、「一般の労働者と等しい労働時間」などが規定されています。

 しかし、日本は同条約を未だ批准しておらず、国連女子差別撤廃委員会から勧告も受けていますが、改善の動きは未だありません。


◆増え続ける高齢者の労災問題

 今回の裁判のもう一つの論点は、高齢者の労災問題です。亡くなったAさんは68歳という年齢でほぼ24時間休みなしという過酷な労働環境で働かされていました。2021年、労働災害で亡くなった60歳以上の高齢者が360人に達し、労災死亡者全体の43.3%を占めました(令和3年 高年齢労働者の労働災害発生状況)。社会保障が削減され、医療費や生活費のために働かざるを得ない高齢者が増え続け、その中で命を落とす高齢者も増加傾向にあります。この裁判を契機として、年齢に関わらず誰もが安心して働ける社会に変えていく必要があります。


◆原告コメント

 私は、懸命に家事労働をしていた妻が、労働基準法や労災保険が適用されるべき「労働者」であったことを認めて欲しいだけです。家事労働者として働いているのは大部分が女性であり、法律の保護の枠外に置かれた状態で、社会的に必要不可欠な「ケア労働」を担っています。妻同様に、現在も制度的に差別されている女性の労働環境の改善に寄与したい、妻に起きたようなことが今後起こって欲しくない、その一心で私は裁判を続けてきました。

 良い判決を期待することはもちろん、そもそも家事労働者へ労基法や労災保険が適用されないという現状の法制度上の不備についても、変えていきたいと考えています。

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◆過労死関連の相談や支援ボランティアへの参加は以下の連絡先まで

日本では国が認めるだけでも毎年200人近い方が、過労死や過労自死、ハラスメント自死など、職場の労働環境が原因で命を落としています。しかし、その背後には、過労死だと思ってもどうすればいいかわからずにアクションを取れないご遺族や、労災申請したくても会社から申請を妨害されたり、証拠を集められずに困っている労災被害当事者の方が何千人、何万人もいると言われています。

過労死や職場での怪我や精神疾患をはじめとする病気になった場合、ご遺族やご本人が国に対して労働災害を申請してはじめて国が調査を行い、病気などが労災に当たるのかを判断します。

そのためには証拠集めなどが必要になりますが、お一人やご家族だけで行うのは時間的にも精神的にも負担が大きいかと思います。裁判や労災申請と聞いてもあまりイメージができなかったり、そこまでやりたくないとお考えかもしれませんが、「過労死かもしれない」、「これは労災なのでは?」と思った際には、どういった解決策がありうるのかを確かめるだけでも結構ですので、POSSEの無料相談窓口にご連絡ください。相談料はかかりません。秘密厳守でご相談に対応いたします。

 また、今回の過労死裁判支援をはじめとした過労死問題への取り組みは、POSSEの学生や若手社会人が中心を担っています。毎回の裁判期日での傍聴支援、問題の情報発信、記者会見の準備、オンライン署名の作成等を、皆で企画・検討し進めています。

 「過労死を無くしたい、仕事が原因で命が失われる社会を変えたい」という学生や若手社会人の方は、ぜひボランティアを募集していますので、私たちまでご連絡ください。一緒に今の社会を変えていきましょう。

NPO法人POSSE

過労死相談ページ:https://www.npoposse.jp/karoshi-workplaceinjuries

ボランティア募集ページ:https://www.npoposse.jp/volunteer

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相談メール:info@npoposse.jp

ボランティア希望メール:volunteer@npoposse.jp

住所:〒155-0031 東京都世田谷区北沢4-17-15 ローゼンハイム下北沢201



◆あなたの経験を聞かせてください!

#家事労働者へ労基法・労災保険の適用を」のハッシュタグを付けて、この問題についてのコメントや、自分自身が仕事や家庭で家事労働をしていて大変な思いをしたエピソードなどがあれば、ぜひTwitterなどのSNSでシェアして下さい!

社会的に軽視されている「家事労働」の過酷な実態を可視化させていきましょう。ご協力お願いいたします!

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家事労働者に労基法・労災保険の適用を! 1週間・24時間拘束労働で亡くなった高齢女性の過労死を認定してください!




http://www.joshrc.org/files/19880314-001.pdf



https://www.mhlw.go.jp/content/11302000/000943973.pdf




家事代行者の「労災認めて」 妻急死の夫が国に労基法の「例外」撤回求め7年 近く地裁判決 2022年9月6日 06時00分東京新聞


家事代行者の「労災認めて」 妻急死の夫が国に労基法の「例外」撤回求め7年 近く地裁判決 2022年9月6日 06時00分東京新聞

長時間の家事や介護労働の末に亡くなった女性の夫(75)が、過労死の認定を求めて7年にわたり国と闘っている。家事労働者は働く人を守る労働基準法の「例外」として、国が女性の労災を認めない。夫は処分の撤回を求めて提訴し、今月29日に東京地裁で判決が出る。家事支援サービスの利用が増える中、担い手保護のあり方が問われている。(池尾伸一)

◆高齢者宅に1週間泊まり込み



 当時68歳だった女性は2015年5月の夜、東京・府中の低温サウナ施設で気を失っているのを従業員に発見され、直後に亡くなった。女性は訪問介護・家事代行サービス会社から寝たきり高齢者のいる家庭に派遣され、その日朝まで1週間泊まり込んでいた。

 訴状や同僚の証言などによると女性は24時間の拘束で、午前5時前に起床。2時間おきのおむつ替えや家事をこなし、夜も高齢者のベッド脇に布団を敷き休む生活だったとみられる。家族から介護や調理方法を逐一指示されたという。

 過労死と考えた夫は労働基準監督署に労災保険の支給を申請をしたが、結果は「不支給」。労基法は「家事使用人」には適用しないというのが理由だった。

◆「労働者じゃなければ奴隷なのか」 裁判で憲法違反と主張



女性が亡くなった後に国に提出し、不支給となった労災の請求書=夫提供、一部画像処理

 「労働者じゃないとしたら奴隷だったのか。人間として扱ってほしい」。納得できない夫は、労基署の上部機関に審査や再審査を申し立てたが、全て却下され、20年に不支給決定の撤回を求め国を訴えた。

 なぜ家事を担う人に労基法を適用しないのか。厚生労働省は「労基法の制定時は家庭内に国の規制を及ぼすのが困難と判断したのでは」(担当課)と推測するにとどまる。

 裁判で原告は、家事労働者が保護されないのは「憲法の『法の下の平等』に反する」として労基法の規定が憲法違反と主張。夫の代理人の指宿昭一弁護士は「かつては長期間自宅内に住み込み、家族同様の扱いだったが今は労働者として家庭に働きに行く。法律で保護しないのは、合理性を持たない」と指摘した。

 家事労働者への適用を除外する規定は、1993年に労働相(現厚労相)の諮問機関の審議会が「撤廃すべきだ」と答申したが、政府は放置したままだ。



女性の遺影。遺骨は故郷の海に散骨された=夫提供

 国勢調査によると、いわゆる「家政婦(家政夫)」は約1万1000人で97%を女性が占める。さらに高齢化の加速や働く女性の増加で家事支援のニーズが高まる中、「ネットの仲介サイトを通じ家庭と直接契約する働き手も増えている」(NPO法人POSSEの佐藤学氏)という。働き手の女性が、利用者から深刻なセクハラに遭った例もある。

 労働問題に詳しい竹信三恵子・和光大名誉教授は「家事労働は外部の監視が届きにくい。労基法で守られない状態を放置すれば被害に遭う人がさらに出てくる」と係争の行方を注視する。

 労働基準法と家事労働者 労基法は労働時間の上限や残業の際の割増賃金の支払い、けが・死亡時の補償など雇い主が最低限守るべき条件を定めた法律。法律用語で「家事使用人」と呼ばれる家政婦(夫)ら家事労働者については「適用しない」と明記している。1947年の施行以来、規定は変わっていない。
家事労働者を保護する条約 日本は批准せず

 家事を担う労働者には労働基準法が適用されず、たとえ急死しても過労死を認定されないのはなぜなのでしょうか。問題の背景を探りました。



 Q 労基法とは?

  雇用主が人を雇う際に守るべき最低限のルールを定めたものです。1日原則8時間の労働時間上限や残業代の支給、けがや死亡時は補償しなければならないことなどが明記されています。労働者を一定時間拘束し、命令をする以上、保護する義務も雇用主にあるというわけです。

 Q なぜ家事をやる人たちは対象外なの。

  労基法に「家事使用人には適用しない」と明記されているからです。法律は戦後間もない時期に作られ、家事労働者が過酷な状況に陥りかねないとして当時から反対論があったようです。

 同じく労基法対象外の個人事業主やフリーランスは成果さえ出せば、基本的に依頼主の指示や働く時間・場所の拘束はありません。家事労働者は、各家庭など雇用主から指示や拘束があるのに労基法で守られない点が特殊といえます。

 Q それでは安心して働けないのでは。

  労働問題の専門家らはそう主張しています。近年は女性がフルタイムで働くのが一般化し、家事を外部サービスに頼る人が増加。担い手の中心は高齢者や女性で、外国人も増えています。労働者を守るルールに不備があれば、長時間労働の助長など弊害が出ます。国際労働機関(ILO)も家事労働者を保護する条約を採択しましたが、日本は批准していません。

 Q 家事代行会社に雇われている人も、労基法で守られないのですか。

  紹介所やネットの仲介サイトを通じて各家庭と直接契約するのが一般的ですが、家事支援・代行サービス会社に社員や契約社員などとして雇われ、各家庭に派遣される働き手も増えています。厚労省は「業者に雇われ、その指示の下で働く場合は労基法の対象になる」との通達を出しており、こうした働き手には労基法が適用されます。

 亡くなった女性についても夫ら原告側は、家事代行サービス会社から介護・家事について詳細な指示書を渡され、賃金も会社から直接受け取っていたとして、会社に実質的に雇われていたとも主張しています。裁判所が、労基法の規定が憲法違反にあたるかという根本的な判断に踏み込まず、原告側のこの主張に沿って「労災不認定」処分を取り消す可能性はあります。

家事代行者の「労災認めて」 妻急死の夫が国に労基法の「例外」撤回求め7年 近く地裁判決 2022年9月6日 06時00分東京新聞






https://www.ilo.org/wcmsp5/groups/public/---asia/---ro-bangkok/---ilo-tokyo/documents/normativeinstrument/wcms_240274.pdf
上記は、「家事労働者の適切な仕事に関する勧告(第201号)」の一部だが、こうした手引きの背景には、外国人労働者が何か困ったことがあり、援助を求めたかったとしても、言葉の問題からすぐに外部に相談できないケースも少なくないことがある。さらにどこに相談すればいいのか分からないことも多く、母語により相談できる直通電話サービスは外国労働者の受け入れに当たり必要になるのだ。

さらに外国人労働者という異なる社会からやってきた人が、なにか困難に直面してもそこから避難することが難しいという背景があることが伺える。外国人労働者が就労先で課題を抱え、避難する必要に迫られたとしても、その土地にネットワークを持たないために避難は容易ではない。だからこそ、直通電話サービスや避難ネットワークを提供することが必須となるし、(家事労働者の)母語により権利や関係する法令、利用できる苦情に関する制度や法的救済について家事労働者に知らせ、さらに家事労働者が必要とするそのほかの関連情報提供するための公的な広報サービスが必要になるのだ。

◆期待される労働運動との連帯

また日本人の家事労働者と同様に、外国出身の家事労働についても結社の自由や団体交渉権を保障することを「家事労働者の適切な仕事に関する勧告(第201号)」では促している。家事労働者というぜい弱性の高い労働者が問題に直面した際に、1人で対応するのは難しい。労働組合をはじめとする日本の労働運動が、外国出身の家事労働者と連帯していくことも期待されている。

家事労働者を海外から受け入れることは、外国人労働者に新たな就労の機会を提供するとともに、日本の家事サービスの需要にこたえるものになるだろう。しかし、ぜい弱性の高い外国人労働者を受け入れるに当たっては、労働者の権利保護の枠組みを整備していくとともに、日本の労働運動につなげていくなど、外国人家事労働者が日本社会で権利を保障されつつ就労できる状況を制度的にも、市民社会の面からも促すことが必要になるだろう。

◆「家事支援人材」の受け入れは本当に「女性の活躍」につながるのか



もう一つ、論点を変えて、考えたい。

「家事支援人材」の受け入れに関して、内閣府地方創生推進事務局のホームページには、「家事支援外国人受入事業は、女性の活躍促進や家事支援ニーズへの対応、中長期的な経済成長の観点から、国家戦略特別区域内において、第三者管理協議会による管理体制の下、家事支援活動を行う外国人を特定機関が雇用契約に基づいて受け入れる事業」との説明が記述されている。

ここで注目されるのが、「家事支援人材」の受け入れ事業において、「女性の活躍促進」を目指すという意図があることだ。

たしかに、有償家事サービスを利用することは、家庭において家事労働の負担を多くになっている女性を家事労働から一部解放すると、みることもできなくはない。

しかし、「家事支援人材」による有償家事サービスをどの程度の世帯が利用できるのだろうか。有償家事サービスを利用するには当然ながらお金が必要だ。それを負担してまで、有償家事サービスを利用できるのは、一部の高所得層や中間層に限られないだろうか。そうなれば、世帯間の有償家事サービス利用状況に差異が生じる。高所得層の世帯では有償家事サービスを利用できることで、家庭内で家事労働をになっていた人が外に出て「活躍」の機会を得られるかもしれない。その一方で、所得が低く、有償家事サービスを利用できない世帯では、炊事、洗濯、掃除、育児などの家事労働と稼ぎを得るための労働とを両方負担していかなくてはならない。



育児や介護などの対人ケアを含む家庭内での様々な家事労働を自らが主体となってやってきた人は想像しやすいかもしれないが、家事労働の負担と、家庭の外に出て仕事をしたり、社会的に認められたりすることとを両立するのは簡単ではない。

有償家事サービスを利用できるか、できないか。つまりお金があるか、ないかで、「活躍」できるか、できないかが変わってくる可能性があるかもしれない。

そのため、「外国人家事支援人材」の受け入れと「外国人家事支援人材」による有償家事サービス市場の拡大を、短絡的に「女性の活躍推進」にはつなげられない。場合によっては、有償家事サービス市場の広がりから、お金の有無によって、社会で「活躍」できる人とできない人との「有償家事サービス利用格差」が生じることさえある、と考えるのは考えすぎだろうか。

◆「活躍」とは何か、介護・育児・家事の負担から家庭の外に出られない人も

もう一つ、気になるのが「活躍」という言葉だ。有償家事サービスを利用することによる女性の「活躍」には、「家庭の外」に出るということや現金収入を得るための就労に携わることを「活躍」としてとらえる向きがないだろうか。しかし、人間は、時に疲れたり、病気になったりもする存在であるほか、家族の育児や介護などを理由として外に簡単に出ることができないケースもある。同時に、非正規雇用やワーキングプアの問題があるように、働いていたとしても思ったような現金収入を得られている人ばかりではない。

このような社会における切実な現実がある中で、「家事支援人材」の利用の広がり、すなわち有償家事サービス市場の拡大が、「女性の活躍推進」になぜ、簡単に結び付けられるのだろうか。そして、海外からの「家事支援人材」の受け入れとは、本当に「女性の活躍推進」のためのものなのだろうか。

「家事支援人材」の受け入れというと、有償家事サービスの利用により「女性の活躍推進」が広がるとのイメージを持つ人もいるかもしれないが、ことはそう単純ではない。海外からの「家事支援人材」の受け入れとそれに伴う有償家事サービス市場の拡大とが、なぜ「女性の活躍推進」に結び付けられるのか、その理由を考える必要がある。

そして、ILO 189号条約の批准をはじめ家事労働者の権利保護の枠組みを拡充することに加え、「家事支援人材」と呼ばれる外国出身の家事労働者を私たちと変わらない、家族や友人を持つ労働者であり、1人の人間としてとらえることが、求められている。(了)

https://news.yahoo.co.jp/byline/sunainaoko/20170626-00072446
知っていますか?国際家事労働者デー:使う側の視点から脱却し共に生きる1人の人間として家事労働者をみる



巣内尚子研究者、ジャーナリスト

2017/6/26(月) 13:46


https://www.ilo.org/wcmsp5/groups/public/---asia/---ro-bangkok/---ilo-tokyo/documents/normativeinstrument/wcms_240004.pdf


https://www.ilo.org/wcmsp5/groups/public/---asia/---ro-bangkok/---ilo-tokyo/documents/normativeinstrument/wcms_240274.pdf









https://www.gender.go.jp/kaigi/kento/covid-19/siryo/pdf/post_honbun.pdf