「中核派」に警戒せよ
杉並区に「中核派」区議が誕生
4月21日に投票が行われた東京の杉並区議会議員選挙で、中核派の洞口朋子(ほらぐちともこ)が当選した。当選者48人中、18番目の得票で、3,275票を獲得。かなりの高得票である。
「中核派」は近年、学生の間に勢力を拡大させている。参議院議員選挙にも、東京都選挙区に齋藤郁真(さいとういくま)前法政大学文化連盟委員長、前全日本学生自治会総連合(中核派全学連)委員長を擁立する。齋藤が当選することはあり得ないだろうが、中核派が勢いを増しているので要警戒である。
戦後、日本の共産主義運動は、ほとんど日本共産党によって担われてきた。
しかし1955年、日本共産党が「暴力革命」路線を放棄したことに対する不満などから、共産党から分裂して極左集団が誕生。多くの極左集団の中で、「革命的共産主義者同盟」は、鉄の党組織建設、理論学習などを特徴とした。
1963年、革命的共産主義者同盟は分裂し、「中核派」と「革マル派」が誕生。どちらも革命的共産主義者同盟であり、区別するため「中核派」と「革マル派」を名乗っている。ただし、中核派は通称であり、正式には「革命的共産主義者同盟全国委員会」である。
2007年、中核派は三分裂し、党中央派、関西派、九州グループに分かれた。しかし、関西派、九州グループは衰退。現在、「中核派」と言えば、党中央派のことを指し、特に「党中央派」と呼ばないが、洞口も齋藤もここの出身である。
中核派による蛮行
中核派は残虐な集団である。1971年、大坂正明らが中村恒雄巡査を焼殺。
また、日比谷では松本楼放火で警備員を殺害した。1970年代から始まった、他の極左集団との殺し合いでは、死傷者だけでも約100名に上るほか、無数の重傷者を出した。中核派は、誤認によって何人かの一般人も殺害。しかし、一切謝罪していない。
成田空港開港反対でも中核派は、残虐な行為を繰り返した。運輸省(現・国土交通省)幹部宅や新東京国際空港公団(現・成田国際空港株式会社)幹部職員宅などに対する爆破・放火・放火未遂ゲリラ事件、脅迫事件を数十回も引き起こした。
開港後、1988年9月21日には、千葉市内の路上で、一般人である当時千葉県収用委員会会長で弁護士の小川彰を襲撃。小川弁護士は全身を鉄パイプで殴られ、両足と左腕を骨折するという重傷を負った(小川弁護士は2003年7月、この時の後遺症を苦に自殺)。
成田空港開港阻止闘争でも中核派は、同じ目的をもって戦う他の極左グループとの内ゲバを行った。「第四インター派」のメンバー宅を襲撃し重軽傷者を出した。「熱田派」所属の空港反対派農家、あるいは「一坪共有者」らにも組織的な恫喝を行った。
1985年頃からは、圧力釜爆弾・時限発火装置の製造や、飛距離が数キロメートルに及ぶ迫撃弾・ロケット砲も使用するようになった。1986年の第12回先進国首脳会議では、新東京国際空港と迎賓館に向けて、迫撃弾とロケット弾を発射する事件、放火事件、皇居の爆破未遂事件を起こした。
中核派は、昭和天皇崩御と今上天皇の即位に関連して、暴力事件を連続させた。
大山祇神社や秋田県護国神社等の旧日本軍の戦史に繋がる神社や、皇室とゆかりの深い神社仏閣に対する器物損壊・放火事件「京都寺社等同時放火事件」を皮切りに、伊勢神宮に対する迫撃弾発射未遂事件・伊勢神宮爆破未遂事件、常陸宮さま襲撃未遂事件、企業恫喝事件、新幹線線路爆破未遂事件、造船所放火事件、成田空港襲撃未遂事件、新東京国際空港公団関係者脅迫事件、成田空港行き京成電鉄列車への放火事件など、実に124件ものテロ・ゲリラ事件を引き起こした。
また中核派は、一般人が巻き添えになる事件も多数起こしている。1975年9月4日、中核派活動家が横須賀緑荘アジトで爆弾を製造しているところ、誤って爆発させ、同アパート住人2名が死亡(中核派活動家も3名死亡)した(横須賀緑荘誤爆事件)。
1983年6月7日には、千葉県四街道市の成田空港関連の航空燃料用パイプライン輸送敷設工事現場の飯場に放火して、労働者2名を焼死させている(東鉄工業作業員宿舎放火殺人事件)。
1984年10月1日には、佐原市にある成田用水事業の請負業者社長宅を放火(成田用水工事事業者連続放火事件)。社長宅のほかに成田空港問題とは無関係の近接した住宅2棟も全焼させたが、中核派は一切謝罪していない。
「内乱を革命へと転化せよ」
中核派の主張は、マルクス・レーニン主義そのものである。
「資本主義は必ず破綻する。資本主義は、必ず、戦争に突き進む。そのために、安倍政権は誕生し、改憲する。しかし、労働者には改憲・戦争を阻止する力がある。日本中の労働者は、全員で、ストライキに突入せよ。ゼネ・ストだ。ゼネ・ストで内乱を起こし、内乱を革命へと転化させよう」。中核派の機関紙にはこのように書かれている。
中核派は、時代遅れで誤ったマルクス・レーニン主義に固執し、暴力事件・殺人事件を繰り返している。高校生や大学生ら若者の間に、極左集団が浸透するようなことがあってはならない。
中核派に要警戒である。
JAPAN Guardians 代表 安東幹