『報ステ』古舘伊知郎が最後の反撃! ドイツ取材で緊急事態条項の危険性、安倍首相とヒトラーの類似点を示唆リテラ2016年03月19日(土)20:00.9条改憲より恐ろしい「緊急事態宣言」条項!政治・社会2015年11月13日 19:32PDF魚拓



昨夜3月18日に放送された『報道ステーション』(テレビ朝日)が、いま大きな話題を集めている。というのも、昨夜の特集は安倍首相が改憲の入口として新設を目論んでいる「緊急事態条項」。

しかも、ヒトラーが独裁のために悪用した「国家緊急権」と重ね合わせるという、安倍首相が激怒すること間違いなしの内容で、古舘伊知郎キャスター自らがドイツへ渡りレポートする力の入れようだったからだ。

 まず、古舘キャスターはドイツからのレポートの最初に、こう話した。

「ヒトラーというのは、軍やクーデターで独裁を確立したわけじゃありません。合法的に(独裁を)実現しているんです。じつは、世界一民主的なワイマール憲法のひとつの条文が、独裁につながってしまった。そしてヒトラーは、ついには、ワイマール憲法自体を停止させました」
「ヒトラー独裁への経緯というのを振り返っていくと、まあ、日本がそんなふうになるとは到底思わない。ただ、いま日本は憲法改正の動きがある。立ち止まって考えなきゃいけないポイントがあるんです」

 独裁の道に走らせたワイマール憲法の条文、それこそが「国家緊急権」だ。「大統領は公共の安全と秩序回復のため必要な措置を取ることができる」という条文をヒトラーは悪用、集会やデモの開催を禁止し、出版物を取り締まり、共産主義者を逮捕し、野党の自由を奪い、あらゆる基本的人権を停止させた。ここまでは教科書にも書いてあることだが、本題はここから。この「国家緊急権」が「緊急事態条項」とそっくりではないか、と言及するのだ。

 国家緊急権と緊急事態条項がそっくりだというのは、本サイトでも昨年から繰り返し指摘してきた。安倍政権は大規模な自然災害時に迅速に対応するために緊急事態条項が必要なのだと強調するが、これは建前に過ぎない。事実、自民党による憲法改正草案の該当箇所には、こうある。

《(緊急事態の宣言)
第九十八条 内閣総理大臣は、我が国に対する外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱、地震等による大規模な自然災害その他の法律で定める緊急事態において、特に必要があると認めるときは、法律の定めるところにより、閣議にかけて、緊急事態の宣言を発することができる。》

「災害時のために」と言うわりに、自然災害が出てくるのは最後の3番目である。しかも草案では、緊急事態宣言は国会の承認が必要だが事後でもいいことになっており、これは事実上、事後承認でやりたい放題できる、ということだ。

 くわえて草案には、ダメ押しで、《この場合においても、第十四条、第十八条、第十九条、第二十一条その他の基本的人権に関する規定は、最大限尊重されなければならない。》とある。つまり、法の下の平等、身体の拘束と苦役からの自由、思想と良心の自由、表現の自由といった人類普遍の権利でさえ「最大限尊重」(厳守ではない)程度の扱いになるのである。

 夏の参院選で与党が3分の2以上の議席を獲得し、緊急事態条項の新設となれば、いよいよ本当に安倍首相はヒトラーのように独裁にひた走るのではないか──。実際、昨夜の『報ステ』では、ワイマール憲法の権威であるドイツ・イエナ大学のミハエル・ドライアー教授にこの緊急事態条項を見せたところ、ドライアー教授はこう述べていた。

「この内容はワイマール憲法48条(国家緊急権)を思い起こさせます。内閣の一人の人間に利用される危険性があり、とても問題です。
 一見、読むと無害に見えますし、他国と同じような緊急事態の規則にも見えますが、特に(議会や憲法裁判所などの)チェックが不十分に思えます。(中略)なぜ一人の人間、首相に権限を集中しなければならないのか。首相が(立法や首長への指示など)直接介入することができ、さらに首相自身が一定の財政支出まで出来る。民主主義の基本は「法の支配」で「人の支配」ではありません。人の支配は性善説が前提となっているが、良い人ばかりではない」

 良い人ばかりが首相になるわけではない。現状の安倍政権の強権的な態度を考えると、じつに含みのある話である。さらに番組ではスタジオゲストとして、昨年の安保法制の国会審議の際、与党の推薦で参考人として国会に招致され「安保法制は違憲」という見解を示した長谷部恭男・早稲田大学法学学術院教授が登場。長谷部教授は、「内閣総理大臣がそう(緊急事態だと)思えば(緊急事態宣言を行える)という、主観的な要件になっている。(発動要件が客観的ではなく)非常に甘い」「場合によっては怪しいと思われれば令状なしで逮捕される、そんなことになるということも理屈としてはあり得る」と緊急事態条項の危険性を述べ、また、"緊急事態条項が必要ならば憲法に入れるのではなく法律を設けたらいい話なのではないか"という見解も示した。

 このように、多角的に緊急事態条項を掘り下げた『報ステ』。しかし、古舘キャスターは番組中、「ヒトラーのような人間が日本に出てくるとは到底想定できないんですが」と何度も念を押し、さらには一度たりとも「安倍」という二文字を発しなかった。

 だが、この特集のテーマは緊急事態条項と国家緊急権の類似性のみに留まらず、緊急事態条項の新設を目論む安倍首相の危険性をも暗に伝えるものだった。

 たとえば、ドイツからのリポートVTRでは、ヒトラーが経済政策と民族の団結を全面に打ち出したこと、ヒトラーが「強いドイツを取り戻す」という言葉で民衆から支持を得ていったこと、そしてヒトラーは巧妙に言葉を言い換え、独裁を「決断できる政治」に、戦争の準備を「平和と安全の確保」と表現していたことを、古舘キャスター自らが紹介した。お察しの通り、これはすべて安倍首相に置き換えられるものだ。

 というよりも、ヒトラーの手法を安倍首相が多分に意識し、真似ているといったほうがいいだろう。現に自民党は、自民党東京都支部連合の事務局広報部長(当時)がヒトラーの選挙戦略を学ぼうという『HITLER ヒトラー選挙戦略』(小粥義雄/永田書房)なるナチス礼賛本を出版。高市早苗総務相が「著者の指摘通り勝利への道は『強い意志』だ。国家と故郷への愛と夢を胸に、青年よ、挑戦しようよ!」という推薦文を寄せていた(ちなみに同書は批判が殺到し、わずか2カ月で絶版回収されている)。

 まさに、日本がいま置かれた危機的状況のなかで警鐘を鳴らす、渾身の特集。既報の通り、政権からの圧力によって降板に追い込まれた古舘キャスターだが、この放送はそんな古舘氏と番組スタッフたちによる、じつに真っ当な方法による"政権への反撃"だったのだろう。

 古舘キャスターは特集の最後を、こんな言葉で締めくくった。

「とにかく立ち止まってじっくり議論をする、考えてみるということが、この条項に関しては必要ではないか、その思いで特集を組みました」

 こうした重要な情報を視聴者に伝えるのが、本来の報道の役割であるはず。だが、ヒトラーよろしく日本の独裁政権はこれを"偏向報道"と呼び、不都合な事実を伝えるキャスターたちをことごとく握り潰すことに成功した。まさしくいま恐ろしい国になりつつあるが、最後に気概を見せた『報ステ』は、古舘キャスター最終日の31日の放送まで見逃せないものとなりそうだ。大いに期待したい。(水井多賀子)

『報ステ』古舘伊知郎が最後の反撃! ドイツ取材で緊急事態条項の危険性、安倍首相とヒトラーの類似点を示唆
2016年03月19日(土)20:00

https://www.data-max.co.jp/article/7499


10月下旬に新聞に掲載された意見広告が警告した「緊急事態宣言を可能とする憲法改正の危険性」が来年夏の参院選挙後、現実のものになる危険が出てきた。
 安倍首相が11月10、11日の衆参予算員会の国会閉会中審査で、憲法改正の極めて重要な課題として、「緊急事態条項」の必要性を強調したからだ。自民党は、来年の参院選で与党が77議席以上当選し参院で3分の2以上を占めれば、憲法改正の発議を狙うことができる。
 自民党憲法改正草案の緊急事態宣言条項には、「内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定することができる」とある。緊急事態が宣言されると、「何人も、法律の定めるところにより」「国その他公の機関の指示に従わなければならない」という内容だ。

独裁国家をつくったナチス・ヒトラーの手口



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緊急事態宣言条項の危険を訴える意見広告

 冒頭に紹介した意見広告は、10月下旬に朝日新聞などに掲載されたもので、「ナチス憲法 あの手口に学んだらどうかね」という麻生太郎財務相の発言を取り上げながら、自民党憲法改正草案の「緊急事態宣言」条項の危険性を訴えていた。意見広告を出したのは、一人一票の実現に取り組んでいる升永英俊弁護士、伊藤真弁護士らだ。

 麻生財務相が「学んだらどうか」と言った手口と言えば、ナチス・ヒトラーが、1933年3月、行政府(内閣)に立法権などを与えた全権委任法によって、国民の知らないまま憲法を変えて、独裁国家をつくった歴史が思い浮かぶ。当時もっとも民主的と言われたワイマール憲法が停止させられ、ナチス・ヒトラーが権力を握った。
 だが、ナチスが圧倒的多数を占めたのは、全権委任法の結果だけではない。

ナチスに反対した7割が緊急事態宣言でほぼ全員賛成に!!

 升永弁護士は、ナチス・ヒトラーが選挙で圧倒的多数の議席を握った事情を、こう説明する。
 「1933年2月28日に、ドイツでは、『緊急事態宣言』が出た。1933年2月28日から数日中に、約5,000人が司法手続きなしで、逮捕・予防禁され、行方不明となった。32年11月6日の選挙では、66.9%の選挙人がナチス以外の政党に投票した。『緊急事態宣言』下、1年後の33年11月12日の総選挙(投票率95%)では、ナチス支持票が、92%であった。すなわち、32年11月6日の選挙ではナチスに反対する政党に投票した、全選挙人の66.9%のほぼ全員が、ナチスを支持した。すなわち、1932年のドイツ人(ただし、32年11月6日の選挙で、ナチスに反対する政党に投票した、全投票人の66.9%に人々)は、ほぼ全員、司法手続きなしの、逮捕・予防拘禁・その後の行方不明を知って、恐怖心と無力感と諦観から、ナチスを支持した」。
 つまり、「1933年のドイツ人は、緊急事態宣言下の司法手続きなしの逮捕・予防拘禁・行方不明を知って、心は、折れた」(升永弁護士)のだ。

緊急事態宣言で、国民主権が自然死する

 緊急事態宣言が可能となると、言論の自由も、表現の自由も、報道の自由も、デモも封殺される。
 9月に成立した安保法にしても、憲法調査会での憲法学者3氏の違憲発言や、SEALDsの国会前デモがなければ、もっと早く無風状態で成立したのは想像に難くない。
 安保法案反対の行動ができたのも、表現の自由が日本にあるからだ。しかし、緊急事態が宣言され、ナチス・ドイツのようになれば、弾圧される覚悟なしには、海外派兵反対もTPP反対も、プラカード1枚掲げられなくなるだろう。
 民主主義が機能するには、単に投票権があれば足りるわけではない。候補者選択を判断する十分な情報が言論の自由、報道の自由によって提供され、容易にアクセスでき、意見表明や、デモなど政治的行動の自由がなければ、民主主義は機能せず、国民主権は、形式上存在しても、自然死する。
 護憲派は、長く憲法改正の焦点として「9条を守れ」をスローガンにしてきたが、来年の参院選まで約9カ月の今、緊急事態宣言条項阻止に重点を移すときだ。

【山本 弘之】

9条改憲より恐ろしい「緊急事態宣言」条項!

政治・社会

2015年11月13日 19:32