【最新版】「防災意識や親切心につけ込む」高齢者が狙われる“4つの詐欺”の巧妙手口週刊女性PRIME / 2024年3月17日 13時0分. 消費者庁、安全性報告を要請 「機能性表示食品」届け出2024/03/252024年3月26日 20時15分共働き世帯で「家計が苦しい人」の世帯収入711.9万円、「家計が苦しくない」人の世帯収入878.2万 マイナビ調査J-CAST会社ウォッチ 等PDF魚拓



「近年、コロナや自然災害に乗じた詐欺的なトラブルの相談が増えています。シニア層がターゲットにされやすく、手口は巧妙化しています」

 こう語るのは国民生活センター相談情報部の藤田樹さん。なぜシニアが狙われやすいのか? 

シニア層は『お金』『健康』『孤独』といった不安を抱えています。これら不安を逆手にとり、心の隙間をついてくる悪質な業者が少なくありません。また年齢的に自宅にいることが多いため、電話勧誘販売や家庭訪販による被害に遭いやすいのも特徴です」(藤田さん)

 直近では能登半島地震の被災地支援を騙(かた)る事例がすでに寄せられているという。シニアが警戒すべき詐欺手口の最新情報と、トラブル回避策を専門家に聞いた。

困っている人を助けるつもりが

 一昨年より急増している「老人ホーム入居権」を巡る詐欺電話のトラブルから。2023年度の相談件数(全国の消費生活センター等に寄せられる統計、以下同)は12月31日時点で2021年度の約5倍にのぼる。

「突然の電話で、『老人ホームや介護施設に入居する権利(=入居権)が当選した。不要なら他の人に譲ってほしい』と持ちかけられるのが典型的なパターンです。

 良心から承諾するとその後、業者や弁護士を騙る別の人物から電話が来て、『あなたの名義なので、権利を譲るために一度あなたがお金を振り込む必要がある』と言ったり、『名義貸しは実は違法。承諾したあなたの罪になるのでお金で解決を』などと脅して、言葉巧みにお金を支払わせようとします。

 実際、数千万円を振り込んでしまったという相談もありました」(同センター、皆川祐哉さん)

 そもそも“入居権”という権利は一般的には存在しないため、そのワードが出たら詐欺の疑いは濃厚に。大前提として、留守番電話機能や発信者番号通知を活用し、心あたりのない電話には出ないようにすることだ。

『待っている人がいるなら権利を譲ろう』という気持ちになるもの。親切心につけ込むのが手口なわけです。世話好きな人や、困っている人を放っておけないタイプほど騙されやすいといえるので、注意しましょう」(皆川さん)

時代に合わせ変移する手口

 同じく電話をきっかけとするのが「還付金詐欺」。だいぶ周知され減ってきていると思いきや、コロナ禍以降、増加傾向に。2022年度は過去5年間で最高の相談件数を記録している。

「コロナ禍のあいだ、行政の対策として国民に給付金が支給されました。その前例から、役所などを騙った還付金の知らせを容易に信じてしまうことが考えられます」(藤田さん)

 税金や保険料などの還付を誘い文句に、銀行のATMに誘導してお金を振り込ませる。この従来の手口のほか、新たなやり口も見られる。

「インターネットバンキングを使うパターンです。本人に振り込ませるだけでなく、『インターネットバンキングで手続きする』と騙り、口座番号や暗証番号などの個人情報を電話口から聞き出すのです」(藤田さん)

 また、消費者被害に強い伊藤建弁護士は手口の多様化に警鐘を鳴らす。

「最近の犯人グループは、人目につきにくいATMを把握しています。未然防止されにくいATMに誘導し、お金を騙し取ろうとするのです」 

 そもそも市役所などの公的な機関が、税金などの還付を電話で伝えることはない。「お金が返ってくる」との電話は即、詐欺と判断できる。

「個人情報は絶対に伝えないこと。長々と相手の話を聞いてしまうと、巧妙に信じ込まされてしまうので、すぐに電話を切るようにしてください」(藤田さん)

隣に被害が……と不安をあおる

 ここからは訪問型。相談件数が5年で約3倍と増えているのが「屋根工事の点検商法」に関するトラブルだ。

「点検商法とは、『近所で行う工事の挨拶に来た』などと言って業者が突然訪問。『お宅の屋根瓦がずれているので点検してあげる』と話し、無料点検した後、『このままだと瓦が落下し近所に迷惑がかかる』などと不安をあおって高額な工事の契約をさせる手口です」(藤田さん)

 背景には、自然災害の深刻化による防災意識の高まりがあると考えられる。特に台風や大雨などが多発する時期を狙って訪問。点検を“無料”とすることで警戒心を解き、心理的なハードルを下げる。

「屋根の写真を見せ、『浮いているところがあった。工事の見積もりだけでもどうか』と言われて依頼し、30万円程度の契約をしてしまった被害がありました。

 また、屋根だけでなく、壁などそれ以外の箇所の工事も勧誘され950万円の契約をしてしまった人も。屋根の上は住人自身では確認しづらいですし、傷んでいるかどうかは専門家でなければわからないという弱みをついています。

 契約後、別のハウスメーカーに検査を依頼したら、後から釘を抜いたような新しい傷があった、などの声もあり、工事の必要性が疑われるケースも少なくないでしょう」(伊藤弁護士)

 突然訪問した業者には安易に点検させないことが第一。屋根工事の勧誘に対してはすぐに契約はせず、複数社から見積もりをとるなど十分に検討しなければならない。

「契約した後でも打つ手は残されています。契約書の交付日を含め8日以内ならクーリング・オフなどができる場合があります」(藤田さん)

断捨離ブームで押し買いが増加

 一方、断捨離ブームでCMや専門店も増えている不用品の買い取り。その中で訪問買い取りトラブルに関する相談件数が右肩上がりで増加中。

「入り口は勧誘電話で、不用なお皿を買い取りたいなどと持ちかけます。承諾すると後日業者が自宅を訪問し、お皿は二の次で貴金属の買い取りを迫ってくるのが典型的なパターン。

 直近では能登半島地震を受け、『不用品を買い取り被災地支援にあてる』などと慈善事業を装うトークが加わっているので警戒を」(同センター、加藤良太さん) 

 最初から貴金属の押し買いを狙い、買いたたく手口だ。

「貴金属7点で買い取り価格はたったの5000円、また、高価なはずなのに1万円程度で強引に買い取られてしまったという声も寄せられています」(加藤さん)

 伊藤弁護士によると、押し買いの被害者は女性が8割。

「訪問業者には一人で相対しないこと。一人の場合は貴金属の買い取りをきっぱり断るか、断れなければ一度考えると伝えて、すぐ契約を結んではいけません」(伊藤弁護士)

 詐欺手口は時代や社会の事象に応じて変化し、心の弱みをつく話術も巧妙化している。私は大丈夫と思わず、防衛意識と対策を心がけよう。

 不安を感じたら、消費生活センターや警察などへ相談を。

相談数が多い詐欺的手口4

老人ホーム入居権トラブル

(1)「あなたは入居権を持っている」「名義を貸して」などと電話で持ちかける 

(2)「権利を譲るためにお金を振り込む必要がある」などお金の支払いを迫る

(3)「名義貸しは罪になる」「警察に相談すると大変なことになる」などと脅される

還付金詐欺

(1)役所などを名乗り「お金が返ってくる」という電話がかかってくる

(2)銀行などのATMに誘導され、お金の振り込みを指示される。またはインターネットバンキングで手続きすると言われ、口座番号と暗証番号を聞き出される

屋根工事の点検商法

(1)突然訪問し「屋根が浮いている。無料で点検してあげる」などと親切心を強調

(2)点検後、「このままだと瓦が飛んで近所に迷惑がかかる」などと不安をあおる

(3)「この場で契約するなら特別に安くする」などお得を謳った後、別の箇所も工事が必要と言い出し高額な契約を迫る

貴金属の訪問押し買い

(1)「なんでもいいから不用品を売ってほしい」と来訪の約束をさせる

(2)訪問し、玄関先から家に上がろうとする

(3)不用品以外の貴金属などを強引に安い金額で買い取られる

教えてくれたのは……伊藤 建弁護士●法律事務所Z、代表弁護士。消費者被害、公共政策、事業支援を得意分野とする。慶應義塾大学法学部政治学科卒業、同大学法科大学院修了。日本海ガス株式会社に在籍後、2022年に現事務所を創立。富山県弁護士会所属。

国民生活センター相談情報部●国民生活センターは消費者庁が運営する独立行政法人で消費者問題の中核機関。消費生活に関する情報を全国の消費生活センターから収集し、消費者被害の未然防止・拡大防止を担う。今回は相談情報部の3人に話を聞いた。

取材・文/百瀬康司

【最新版】「防災意識や親切心につけ込む」高齢者が狙われる“4つの詐欺”の巧妙手口

週刊女性PRIME / 2024年3月17日 13時0分







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 ※厚生労働省や企業などへの取材による

自主回収を明らかにした企業 小林製薬の紅こうじ問題

共同通信 / 2024年3月26日 20時15分



 小林製薬が販売していた「紅こうじ」成分を含む商品を巡り、機能性表示食品制度を担当する消費者庁が同社に対し、紅こうじ成分に関する機能性表示食品8件の安全性を再検証して報告するよう求めていたことが、25日分かった。期限は4月5日。

 消費者庁などによると、小林製薬が3月22日、機能性表示食品の届け出に関するガイドラインに従い、健康被害拡大の恐れがある旨を同庁に報告。消費者庁はそれを踏まえて安全性の科学的根拠について再検証し、報告するよう求めたという。

 また消費者庁は、同様の成分を配合し、機能性表示食品を販売していた福岡市の「ZERO PLUS(ゼロプラス)」にも報告を求めている。

© 一般社団法人共同通信社

経済

消費者庁、安全性報告を要請 「機能性表示食品」届け出

2024/03/25



マイナビは2024年3月19日に、20~59歳の正社員を対象に実施した「【共働き世帯の正社員に聞いた】仕事・私生活の意識調査2024年(2023年実績)」の結果を発表した。

「家計が苦しい」人、理想の世帯年収は1034.4万円

調査でははじめに、「家計が苦しいと感じる割合」について調べた。正社員全体では「家計が苦しいと感じる」人は51.6%となった。一方で、「家計が苦しいと感じない」人は46.8%だった。

属性を見ると、「家計が苦しい」と回答した割合は「共働きでない」人で57.5%、「共働きである」人では46.1%となった。未婚者は53.4%だった。

また、共働きで、「家計が苦しい」と回答した人の平均個人年収は501.8万円、「苦しくない」と回答した人の平均個人年収は582.2万円となり、80.4万円の差があった。

つぎに、世帯年収については、「家計が苦しい」人は平均711.9万円、「家計が苦しくない」人の平均は878.2万円で、166.3万円の差があった。また、「家計が苦しい」人に対して理想の世帯年収を質問すると、平均1034.4万円という結果になった。

続いて、年収と私生活および仕事の満足度の相関を見ると、男性は「900万円台」、女性は「400万円台」の年収を得ている人の満足度が最も高くなった。また、男性「400万円台」と女性「300万円台」では、「私生活の満足度」の数値が男性「1000万円以上」と近くなる結果が分かった。

なお、この調査は2023年11月17日から20日まで実施し、インターネット調査で20歳から59歳の正社員の男女から3000件の有効回答を集めた。

共働き世帯で「家計が苦しい人」の世帯収入711.9万円、「家計が苦しくない」人の世帯収入878.2万 マイナビ調査

J-CAST会社ウォッチ / 2024年3月26日 21時15分



車の運転記録を提出しなかったことを理由に三重県鈴鹿市が生活保護の支給を停止したのは違法だとして、身体障害のある女性(81)と難病を患う次男(56)が、市に停止処分の取り消しと損害賠償を求めた訴訟の判決で、津地裁は21日、処分を取り消し、計20万円の支払いを命じた。

 竹内浩史裁判長は判決理由で、運転記録は距離や経路などの正確な記載を求めており「過剰との疑いがある」と指摘。買い物などに車を利用するのは「自立した生活に資する」とした。

 さらに支給停止は医療費などの支出を困難にし、生命の危険も生じ得る「多大な不利益を与えるもので違法だ」と判断した。

 判決によると、女性は2019年から生活保護を受給。市は次男の通院目的に限って車の利用と保有を認め、運転記録の提出を求めた。女性は提出に応じず、市は22年9月に支給を停止した。

 判決後、女性は記者会見し「裁判で認められたことはすごくうれしい。早く息子に伝えてやりたい」と話した。

© 一般社団法人共同通信社

社会

生活保護停止処分取り消し 車記録巡り、津地裁

2024/03/21

Published

2024/03/21



2024年の春闘では、労働組合の賃上げ要求に満額回答する企業が少なくない。物価上昇が深刻化している昨今、賃上げは日本経済全体の喫緊の課題といえる中、春闘で満額回答が相次いでいる状況はいい傾向だ。とはいえ、社会保険料として少なくない額を給料から引かれる現状を鑑みると、今こそ社会保険料を見直すべきタイミングなのではないだろうか。社会保険料の適切な在り方について税理士の神田知宜氏に話を聞いた。

【画像】従業員数39人のサービス業の財務状況

月収30万円なら約4.5万円引かれる

まず、社会保険料は個人から毎年数十万円近いお金を奪っていると神田氏は指摘する。

「社会保険料は従業員1人あたり約30%を負担する必要があり、労使折半で企業と従業員で15%ずつわけることが一般的です。例えば、月収30万円の人であれば毎月約4.5万円引かれることになります。ただ、2003年以降は賞与からも社会保険料がかなり多めに引かれるようになりました。給料と合わせると毎年かなりの額が社会保険料の名目で手取りから奪われています。



私としては社会保険料を現在の4分の1まで引き下げるべきと考えています。春闘が盛り上がっていますが、満額回答を表明している企業の多くは大企業です。日本企業の約9割は中小企業ですので、日本で働く多くの従業員が賃上げされるわけではありません。

ですから確実に日本のほとんどの従業員の手取り額を増やそうと思ったら、社会保険料を引き下げるのが一番簡単です。先の例でいえば、給料から天引きされる4.5万円が4分の1の1.1万円になれば手取り額が確実に増え、従業員本人も手取り額が増えたという実感も湧いてきますよね。」

岸田内閣は企業に賃上げを促しているが、それよりも社会保険料の引き下げという手っ取り早く効果的な施策を今すぐ講じべき、と語気を強めた。



社会保険料を払えずに倒産する企業

また、社会保険料を支払えずに倒産する“社保倒産”は決して珍しくなく、社会保険料は個人だけでなく企業にとっても大きな負担になっている。そういった状況を鑑みて、神田氏は社会保険料はもちろん、消費税の引き下げも不可欠だという。

「社会保険料や消費税など税金を支払えずに倒産する“公租公課倒産”も少なくありません。昨年からは新型コロナウイルスの影響で売上高が減少した中小企業や零細企業を対象に、金融機関が特例的な条件で資金を貸し出した制度『ゼロゼロ融資』の返済に追われている企業も少なくありません。赤字でも支払いを強制される社会保険料の引き下げに加えて、消費税廃止、ゼロゼロ融資の債務免除、もしくは据置期間の延長も合わせてしていかないと中小企業の資金繰りは改善していかないと思います」

下請けにいる企業こそ助けるべき

しかし、「社会保険料の引き下げ」などを主張したとき、「ゾンビ企業を延命させるのか?」「稼げない企業が悪い」といった批判を浴びやすい。その点について、神田氏は公租公課倒産の危機にさらされている中小零細企業の価値を力説する。

「事業者ピラミッドの下のほうにいる企業を、ゾンビ企業や稼げない企業と揶揄されています。しかし、そういった企業こそ現場で小回りの利く仕事を請け負っており、彼らが倒産するとピラミッドの上層部にいる企業は現場で仕事をしてくれる発注先や仕入先がなくなるので、事業が成り立たたずにドミノ倒しのように潰れる可能性が高くなります。社会保険料の引き下げなどを実施すれば、ピラミッドの下にいる事業者が活性化します。ピラミッド崩壊による社会不安が払拭され、安心して過ごせる社会になるでしょう」

従業員、企業ともにメリット十分

神田氏は社会保険料の引き下げ、消費税廃止、ゼロゼロ融資の債務免除などが実施された際は、企業が息を吹き返すだけではなく、労働者の手取り額を大きくアップさせることができると話す。神田氏は自身のクライアントである、従業員数39人のサービス業を展開する中小企業の財務状況を例に出しながら説明する。

しかし、社会保険料の引き下げなどが施行された場合、無理なく賃上げができます。

社会保険料の使われ方

とはいえ、少子高齢化が進行している現状を鑑みると、容易く社会保険料を引き下げてもいいのだろうか。そもそも、神田氏は社会保険料の使われ方に懐疑的な姿勢を示す。

「『消費税は社会保障に100%充てる』と主張して自民党は消費税増税を推進しましたが、2019年1月に行われた施政方針演説の際、当時の安倍晋三首相は『「8%引き上げ時の反省の上に、経済運営に万全を期してまいります。増税分の5分の4を借金返しに充てていた』と話していました。つまりは消費税の増税分のほとんどは社会保障に使っていなかったのです。

消費税同様に社会保険料の使われ方にも不明な点は少なくなく、社会保険料も政府の借金返済に利用されていた可能性が想定されます。実際のところ、『社会保険料を社会保障のためにどれだけ使用しているのか』という詳細を政府が公表したという事実を私は知りません」

仮に政府の借金返済に使われたのであれば、せっかく稼いだ国民のお金が還元・再分配されることなく、市場からなくなったことを意味する。そうなると働くことがバカバカしくなるような使われ方といってもいい。

社会保険料は我慢して払うものなのか?

社会保険料の多角的な問題点が見えてきた。しかし、社会保険料の引き下げを求める声はあまり聞かれない。神田氏はその理由をこう分析する。

「これまで社会保険料の支払いに頭を抱えるクライアントさんを何人も見てきましたが、政府への不満を口にすることはあまりありません。むしろ『社会保険料は我慢して黙って払うもの』と認識している印象です。経営層だけではなく、一般人も同様の考えを持っているように思います」

そして、社会保険料を一度見直すためには私たち国民が疑問を持ち、声を上げることが必要であると訴える。

「昨年、インボイス制度が話題になった結果、消費税という税制に疑問を持ち、消費税廃止・減税を訴える人が格段に増えました。疑問を持ち、声を上げれば世論は変わります。『社会保険料って本当に必要なのか?』という疑問を持ちつつ声を上げ続ければ、社会保険料の理不尽な高さを見直す機運が高まるでしょう」

私たちの手取りを大きく減らしている社会保険料の在り方について考え直す空気感を作っていきたい。

取材・文/望月悠木

「ゾンビ企業の延命にあらず!」岸田内閣は企業の賃上げよりも社会保険料見直しに取り組むべき…保険料引き下げが生む従業員と企業へのメリットとは

集英社オンライン / 2024年3月27日 8時30分