鹿児島県警の元生活安全部長が、内部文書を第三者に漏らしたとして逮捕された事件で、文書を受け取った札幌在住のライターがHTBの取材に応じました。
札幌在住のライター・小笠原淳さん:「北方ジャーナル(月刊誌)の編集部の私宛てに届いた封筒があって。80円切手が貼ってあって、ちょっと分厚くて差出人不明だったので、すぐ開封して開けてみたら、北海道と関係ない九州の不祥事がいっぱい書いてあったのが最初」。
鹿児島県警の内部情報が書かれた書類を受け取ったのは、札幌在住のライター・小笠原淳さんです。書類は今年4月、突然、小笠原さんの元に届いたといいます。
小笠原淳さん:「当時、まだ発表されてなかったであろう、不祥事3件の概要と公文書が入っていて。1枚目の紙に『闇をあばいてください』と書いてあって、おそらくは内部告発のようなものだろうというふうに受け止めた」。
小笠原さんは、月刊誌「北方ジャーナル」などを中心に、警察の不祥事に関する記事を多数執筆し、本も出版しています。書類を送ってきたとされているのが、鹿児島県警で生活安全部長などを務めた本田尚志容疑者。ストーカー案件の被害者の実名などが書かれた警察の内部文書を、外部の第三者に漏らしたとして、先月31日、国家公務員法違反の疑いで逮捕されました。その後、本田容疑者が裁判所で述べた内容が、世間に衝撃を与えます。
本田容疑者:「県警職員が行った犯罪行為を、野川明輝本部長が隠ぺいしようとした」。
事件の隠ぺいに関与したと名指しされたのは、鹿児島県警の野川本部長。その後、会見を開き、隠ぺいの指示を否定しました。
鹿児島県警・野川明輝本部長:「私が隠ぺいの意図を持って指示を行ったということは、一切ございません」。
本田容疑者は、面識のない小笠原さんに、なぜ内部文書を送ったのでしょうか。本田容疑者は、弁護士を通じてこのようなコメントを出しています。
「小笠原記者に書類を送れば、積極的に取材をしてくれるのではないかと考えた」。
本田容疑者の逮捕後、小笠原さんのもとにも鹿児島県警から電話があったといいます。
小笠原淳さん:「『重要な証拠が送付されているのが分かったので返還してもらいたい』と言われ、じゃあ、あれのことかなと、99%ぐらい(文書が本物だと)確信を持てた」。
文書の返還には応じていないという小笠原さん。今回の本田容疑者の逮捕については、このように感じているといいます。
小笠原淳さん:「4月8日の強制捜査、5月31日の逮捕まで2カ月弱あったのに、一度もこちらに連絡がない。現物の紙として中身を見たことがあるのは、きょうの時点で差出人と私だけ。誰もその現物を確認していないのに、なぜ逮捕できたのか分からない。ほぼ間違いなく公益通報の目的で送ってきたわけだから、これを犯罪にしていたら、公益通報を考えていた人は萎縮しますよね」。
鹿児島県警の疑惑。11日、県議会で審議が行われる予定です。