「共同親権」の導入を柱とした民法等の改正案における「子どもの権利」に関する声明 (日本社会福祉士会・日本精神保健福祉士協会・日本ソーシャルワーカー協会)ありしん@共同親権反対ですありしん@共同親権反対です2024年6月1日 09:20PDF魚拓


「共同親権」の導入を柱とした民法等の改正案における「子どもの権利」に関する声明



 「共同親権」の導入を柱とする民法等の改正案が、4月 19 日の参院本会議で審議入りしました。親権をめぐる家族法制の見直しは 77 年ぶりのことであり、今国会での成立後は、2026(令和8)年までに施行されることとなります。
 現在、我が国は家族に係わる問題が複雑化・多様化しています。様々な対策も行われておりますが、家族間暴力や子どもへの虐待の問題は年々増え続けており、喫緊の課題となっています。このような現状の中、民法等改正案の「共同親権」に関して、グローバル化の進展の中、当事者である子ども自身の権利擁護のための議論が充分尽くされていないのではないかと懸念されています。
 「令和4年度 離婚に関する統計」人口動態統計特殊報告によると、有配偶離婚率は 2003(平成 15)年をピークに減少傾向が続いているものの、未成年の子がいる割合は6割となっています。離婚の種類別割合は協議離婚が全体の約9割を占めていますが、他方で、近年は離婚調停の不成立により、家庭裁判所の職権による審判離婚が増えている傾向にあり、離婚にまつわる問題が複雑化・多様化しているとがうかがえます。
 また、警察庁の調べでは、2023(令和5)年の配偶者からの暴力等の相談件数は約9万件であり、配偶者暴力防止法施行後、最多の件数となっています。暴力事案等の被害者は7割以上が女性であり、加えて、児童虐待における心理的虐待のうち「面前 DV」によるものが5万件を超え、こちらも過去最多の件数となっている状況があります。
 「児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)」では、子どもはまもられるだけの対象ではなく、ひとりの人間として様々な権利を認めること、成長の過程にある子どもが権利をもつ主体であることについて明記しています。「子どもの最善の利益」とは、親のどちらかが子どもに望むことではなく、子どもの最善の利益をどのように保障するかについて決定することであり、あらゆる場面において優先して考慮されるべき原則です。
 要綱案には家庭裁判所が「子どもの利益」を考慮するとされていますが、親権の決定過程からその後の生活保障に至るまで、当事者である子どもの権利がどのように保証され得るのか、子どもの自己決定権や、子どもの意見がどのように表明・反映されるのかということについて、改正案自体に対する子どもたちの意見反映も含め、具体的な議論を充分に尽くす必要があります。
 わたしたちは、社会福祉士、精神保健福祉士などのソーシャルワーク専門職で組織された団体です。
ソーシャルワーカーは、すべての人が人間としての尊厳を有しており、価値ある存在であり、平等であることを深く認識し、社会福祉に関する専門的知識および技術をもって、福祉に関する相談や関係者との連携・調整、その他の援助を行っています。
 今回の民法等の「共同親権」に関する改正案につきまして、「子どもの最善の利益」がまもられるよう慎重な議論を求めます。

2024 年 5 月 10 日

公益社団法人日本社会福祉士会 会長 西島 善久
公益社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 田村 綾子
特定非営利活動法人日本ソーシャルワーカー協会 会長 保良 昌徳

「共同親権」の導入を柱とした民法等の改正案における「子どもの権利」に関する声明 (日本社会福祉士会・日本精神保健福祉士協会・日本ソーシャルワーカー協会)


ありしん@共同親権反対です

2024年6月1日 09:20