「欲しいものがあるけど今はお金がない」。そんな時でも商品を買うことができる「後払い決済」というサービスがあります。メールアドレスや携帯電話の番号などの簡単な情報だけで利用できることから、クレジットカードを持たない若い人を中心に利用する人が増えているといいます。一方で、未成年の間で支払い能力以上の利用が問題となっています。その実態を取材しました。 ■未成年に広がる“後払い決済” ゲーム課金などに10万円 X(旧Twitter)より 「まぁ、後払い決済にした笑笑、まだ高校1年キッズなんで」 「後払い決済3つくらい滞納してて詰み」(詰み=手の打ちようがない状況)
SNSにあふれる「後払い決済」に関する投稿。多くが若者のものとみられますが、「後払い決済」について街で聞いてみると…
高校1年生
「高校生だとクレジットカード持てないし、後払いを選択してしまう。マンガを買ったりとか服を買ったり。学校の8割以上は使っているんじゃないか」
高校3年生 「1か月分の(アルバイトの)給料を使い切ることがある。お金がないので後払いのほうがいいかなって 」
後払い決済とは、買い物をする際に手元に必要な金がなくてもスマホひとつで主に少額の決済ができ、商品を購入することができるサービス。支払いは後日となります。
収入などの審査があるクレジットカードとは違い、メールアドレスや携帯電話の番号などの簡単な情報だけで利用できることから、クレジットカードを持たない若い人を中心に利用する人が増えているといいます。しかし…
後払い決済利用 息子の母親 「簡単に借金に手を出しているような気がして怖いなと」
こう話すのは高校1年生の息子を持つ母親です。2023年3月、息子にスマートフォンを買い与えましたが…
後払い決済利用 息子の母親 「勝手にこれだけのことをやっているというのはすごくびっくりした。10万円以上使っている」
息子は母親が知らないうちに後払い決済を利用してオンラインゲームで課金したり、ネットショッピングを利用したりして10万円以上を使っていたのです
後払い決済利用 息子の母親 「子供は未熟なところもあるので親としては怖い。未成年はもうちょっと守られてほしい、法的整備をしてほしい」
関西大学の本西教授の研究グループが後払い決済を利用したことがある10代の570人を対象に調査したところ、26%の人が「払えない金額の買い物をしたことがある」と回答したといいます。一方、ある決済事業者は取材に対し、こう実情を明かします。
決済事業者 「トラブルがあるのも事実。ただそれ以上に利便性が高く、我々事業者としては購買意欲が高い時に気軽に商品を購入してもらえるメリットは大きい」
海外でも後払い決済によって支払いができなくなる未成年が増えたことが社会問題となっていて、イギリスやオーストラリアなどでは規制強化へと動き出しています。一方、日本では後払い決済をまとめて規制する法律はありません。そのため…
東京都消費生活総合センター 高村淳子相談課長 「17歳の女性ではあるんですけれども、ネット通販で商品を買って、大体8万円くらいの後払いが発生してしまった」
東京都消費生活総合センターには、未成年者が「後払い決済を利用したが払えない」などとする相談が数多く寄せられています。
親からの相談内容 「聞いたことのない会社から16歳の高校生の息子宛に突然19879円の督促状が届いた」
相談者は13歳から17歳の中学・高校生が多いといいますが、中には親が知らないうちに6歳の児童が使っていたという相談も。小学校低学年の児童が年齢を偽って利用していたケースもあるといい、こうした現状に危機感が高まっています。
東京都消費生活総合センター 高村淳子相談課長 「いわゆる稼ぐ手段のない信用のない子に、たとえ1万円でも2万円でも信用を置くということが本当に正しいのかというのは、厳しいと思っている。完全な借金の感覚になるので、これをやっていくのはそんなに健全なことではない」
支払い滞り、親が代位弁済 専門家「新しいビジネスとして成り立っている」
山本恵里伽キャスター: こうした現状について、東京情報大学で金融論を研究している堂下浩教授によると「後払い決済は本人確認が必須でない業者もあるが、それは審査するコストを省くため」としていて、「小額の場合が多く、支払いが滞っても親が代位弁済するケースがある」ということです。
また、「手数料は年利換算すると法定利息をはるかに上回るもので、これが新しいビジネスとして成り立ってしまっている」という指摘もしています