性別欄に関しての日本の状況 2022年9月21日 日本の動き 性別欄 PDF魚拓


当会は男女別統計は、女性のおかれている現状を把握するためになくてはならないものである、と考えていました。そのため、性別欄がなくなるかもしれないという事態について、かねてから懸念を抱いており、前回の選挙でも政党に尋ねる項目に入れていました(2022年衆議院選挙 各政党への公開質問アンケート)。


性別欄およびジェンダー統計に関して、内閣府男女共同参画局の計画実行・監視専門調査会は、「ジェンダー統計の観点からの性別欄検討ワーキング・グループ」を開催し、「ジェンダー統計の観点から、各種統計調査等における多様な性への配慮についての現状を把握し、課題を検討」をおこなっていました。ワーキンググループの会議は2022 年5月9 日から8 月29 日までの7 回にわたって開催されました。2022 年9 月に公表された詳細はこちらです。https://www.gender.go.jp/kaigi/senmon/wg-seibetsuran/pdf/
honbun.pdf


ワーキンググループの合意事項のうち、特に重要と思われる部分を以下に抜粋します。
本ワーキング・グループでは、我が国の男女間格差が依然として大きい現状を踏まえれば、その解消に向けて、我が国が推進している EBPM(Evidence BasedPolicy Making、証拠に基づく政策立案)を実施する観点からも、男女別のデータを確実に取得することが重要であるという点について合意を得た。したがって、性別欄の有無に関する拙速な対応は慎むべきと考える。

 一方、これまで通り、性別欄の選択肢として男性か女性の二択だけで十分であるかについては、議論すべき余地があると考える。
現時点では、男女欄はなくさない方向になったものの、両論併記的な状態にとどまっていると言えます。

統計の基準が変われば、過去との比較ができなくなり、現状の把握があいまいになりかねません。当会は今後もこの問題に注目してまいります。

性別欄に関しての日本の状況2022年9月21日
日本の動き
性別欄


貴党の日ごろの活動に敬意を表します。私たちは、2021年9月に結成された「No! セルフID 女性の人権と安全を求める会」と申すものです。今回、日本の今後を左右する第26回参議院選挙が行なわれることを鑑みて、人口の半分を占める女性の人権と安全にかかわる質問をさせていただきます。7月3日までにご回答をe-mailでno.self.id.jp@gmail.com に寄せていたきたく存じます。

 なお、質問と回答については、私たちのサイト(https://no-self-id.com/)で公表させていただく所存です。

1.性同一性障害特例法の要件緩和問題

現在、「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」(以下、GID特例法と略記)の性別変更要件をめぐって野党やLGBT団体などから改正の要求ないし提言が繰り返し出されています。その趣旨は、手術要件をはじめとする性別変更の要件を撤廃ないし緩和するよう求めるものです。もしこの改正要求が通った場合、外性器が男性のままで、戸籍上の性別を「女性」に変更するケースが多数発生する可能性があり、大きな社会的混乱を生むことが予想されます。その際にとくに被害に遭う可能性が高いのは、女性と少女です。そこで以下の質問をします。

1-① 仮に手術要件が撤廃された場合、男性器を具えたままの人が「女性」に戸籍変更できるようになりますが、貴党は、男性器を具えていてもその人は女性であるという立場を取りますか? 女性であるという立場を取る場合は〇を、女性であるという立場を取らない場合は✖️を、その他の場合は具体的に回答をお書きください。

1-② 1-①の問いに〇と答えた党に質問します。男性器を具えていても「女性」である場合、当然、女性専用トイレ、女性用の公衆浴場、女性用更衣室を利用したり、女子スポーツや女子刑務所などに入る権利が生じる可能性がありますが、貴党はそれらの権利を認める立場ですか? 認める場合は〇を、認めない場合は✖️を、その他の場合は具体的に回答をお書きください。

1-③ 1-②の問いに〇と答えた党に質問します。男性器を具えた「女性」が女性専用トイレや公衆浴場などを利用した場合、女性たちはそのことに脅威と屈辱感を受けることが予想されますが、この問題にどう対処するつもりなのか、具体的にお答えください。

1-④ 1-②の問いに✖️ないし「その他」と答えた党に質問します。トランス当事者やLGBT活動家から、「トランス女性は女性なのに女性用のトイレや公衆浴場を使えないのはトランス差別である」という趣旨の批判を受けた場合、それに対してどのように反論するか具体的にお答えください。


2.性別欄廃止問題

現在、多くの地方自治体で性的少数者への配慮を理由に公的書類(印鑑証明など)の性別欄を廃止する動きが急速に進んでいます。このような動きはきわめて安直で、危険なものです。性的少数者への配慮は当然ですが、その解決策はけっして性別欄を廃止することではありません。直接、男女共同参画の事業に関わらないものであっても、性別を明記し、その記録を取ることは重要です。なぜなら、この社会が基本的に男性と女性とによって構成され、社会の隅々まで女性差別が存在しているかぎり、一見、男女格差に関わらないように見える事柄であっても、実はそこに男女格差が伏在し、女性が不利に置かれている実態が、ずっと後になって明らかになるかもしれないからです。そこで以下の質問をします。

2-① 地方自治体で公的書類から性別欄の廃止が進んでいる事態を貴党は支持しますか。支持する場合は〇を、支持しない場合は✖️を、その他の場合は具体的に回答をお書きください。

2-② 公的書類の性別欄の廃止が進むことで、男女別の統計を取ることが難しくなる、あるいは不可能になるおそれがあると思われますが、その点についてどうお考えですか。可能性があると考える場合には〇を、可能性がないと考える場合は✖️を、その他の場合は具体的に回答をお書きください。

3.「性自認」を根拠に女性専用施設に男性身体者が入ってきている問題

GID特例法が現状のままのもとでも、各種報道から明らかなように、自分は女性だと称する男性身体者が女子トイレに入って逮捕されるなどの問題が起こっています。これは、女性の人権と安全を脅かす極めて深刻な事態だと私たちは考えます。そこで、以下の質問をします。

3-① 戸籍が男性のままで「女性」を自認する男性身体者が女性用トイレや更衣室や女性用の浴場に入ってきた場合、犯罪者として扱われるべきであるとお考えですか。犯罪者として扱われるべきだと考える場合は〇を、考えない場合は✖️を、その他の場合は具体的に回答をお書きください。なお、ここで問題にしているのは、いわゆる「なりすまし」ではありません。

3-② 3-①の質問で✖️あるいは「その他」と答えた党に質問します。その場合、女性の人権と安全をどのように守るべきだとお考えなのか具体的にお答えください。

2022年6月24日

No! セルフID 女性の人権と安全を求める会

代表 石上卯乃、桜田悠希

2022年参議院選挙 各政党への公開アンケート2022年7月1日
日本の動き
公開質問状, 国会


各党に、7月3日までにご回答をお寄せくださるようお願いしていました。ご返答いただいた順に公開させていただきます。

◎6月24日に各政党に送った質問

1.性同一性障害特例法の要件緩和問題

1-① 仮に手術要件が撤廃された場合、男性器を具えたままの人が「女性」に戸籍変更できるようになりますが、貴党は、男性器を具えていてもその人は女性であるという立場を取りますか? 女性であるという立場を取る場合は〇を、女性であるという立場を取らない場合は✖️を、その他の場合は具体的に回答をお書きください。

1-② 1-①の問いに〇と答えた党に質問します。男性器を具えていても「女性」である場合、当然、女性専用トイレ、女性用の公衆浴場、女性用更衣室を利用したり、女子スポーツや女子刑務所などに入る権利が生じる可能性がありますが、貴党はそれらの権利を認める立場ですか? 認める場合は〇を、認めない場合は✖️を、その他の場合は具体的に回答をお書きください。

1-③ 1-②の問いに〇と答えた党に質問します。男性器を具えた「女性」が女性専用トイレや公衆浴場などを利用した場合、女性たちはそのことに脅威と屈辱感を受けることが予想されますが、この問題にどう対処するつもりなのか、具体的にお答えください。

1-④ 1-②の問いに✖️ないし「その他」と答えた党に質問します。トランス当事者やLGBT活動家から、「トランス女性は女性なのに女性用のトイレや公衆浴場を使えないのはトランス差別である」という趣旨の批判を受けた場合、それに対してどのように反論するか具体的にお答えください。

2.性別欄廃止問題

2-① 地方自治体で公的書類から性別欄の廃止が進んでいる事態を貴党は支持しますか。支持する場合は〇を、支持しない場合は✖️を、その他の場合は具体的に回答をお書きください。

2-② 公的書類の性別欄の廃止が進むことで、男女別の統計を取ることが難しくなる、あるいは不可能になるおそれがあると思われますが、その点についてどうお考えですか。可能性があると考える場合には〇を、可能性がないと考える場合は✖️を、その他の場合は具体的に回答をお書きください。

3.「性自認」を根拠に女性専用施設に男性身体者が入ってきている問題

3-① 戸籍が男性のままで「女性」を自認する男性身体者が女性用トイレや更衣室や女性用の浴場に入ってきた場合、犯罪者として扱われるべきであるとお考えですか。犯罪者として扱われるべきだと考える場合は〇を、考えない場合は✖️を、その他の場合は具体的に回答をお書きください。なお、ここで問題にしているのは、いわゆる「なりすまし」ではありません。

3-② 3-①の質問で✖️あるいは「その他」と答えた党に質問します。その場合、女性の人権と安全をどのように守るべきだとお考えなのか具体的にお答えください。



◎ここから、各政党の回答👇(読みやすさのため、質問内容を水色の太字で追加または表示させて頂きました。)

6月29日回答 公明党

1.性同一性障害特例法の要件緩和問題

1-① 

仮に手術要件が撤廃された場合、男性器を具えたままの人が「女性」に戸籍変更できるようになりますが、貴党は、男性器を具えていてもその人は女性であるという立場を取りますか? 女性であるという立場を取る場合は〇を、女性であるという立場を取らない場合は×を、その他の場合は具体的に回答をお書きください。

(回答) ×

1-④ 

1-②の問いに×ないし「その他」と答えた党に質問します。トランス当事者やLGBT活動家から、「トランス女性は女性なのに女性用のトイレや公衆浴場を使えないのはトランス差別である」という趣旨の批判を受けた場合、それに対してどのように反論するか具体的にお答えください。

(回答)

公明党は、女性の人権を守り、安全・安心に生活できる社会をめざしています。

その上で、女性用のトイレや公衆浴場の使用問題は、女性の安全・安心のスペース確保という観点や、周囲の方々に与える様々な影響などから考えて、現状では理解し難いのではないかと考えます。

一方で、トランス当事者の方々の人権を守るための取り組みについては、社会における理解増進を含め、丁寧に議論を進めていくべきと考えます。

2.性別欄廃止問題

2-①

地方自治体で公的書類から性別欄の廃止が進んでいる事態を貴党は支持しますか。支持する場合は〇を、支持しない場合は×を、その他の場合は具体的に回答をお書きください。

(回答) その他

第5次男女共同参画計画に基づき、ジェンダー統計における多様な性への配慮について、現状を把握し、課題を検討するため、「ジェンダー統計の観点から性別欄検討ワーキング・グループ」が設置されたものと承知しております。

公明党としても、男女の置かれている状況や課題を適切に把握し、政策立案などに生かしていくことは重要と考えており、ジェンダー統計の観点から、性別欄は、ただちに廃止すべきではないと考えます。

一方で、トランスジェンダー等への配慮については引き続き検討してまいります。

2-②

公的書類の性別欄の廃止が進むことで、男女別の統計を取ることが難しくなる、あるいは不可能になるおそれがあると思われますが、その点についてどうお考えですか。可能性があると考える場合には〇を、可能性がないと考える場合は×を、その他の場合は具体的に回答をお書きください。

(回答) その他

2-①と同じ

3.「性自認」を根拠に女性専用施設に男性身体者が入ってきている問題

3-①

戸籍が男性のままで「女性」を自認する男性身体者が女性用トイレや更衣室や女性用の浴場に入ってきた場合、犯罪者として扱われるべきであるとお考えですか。犯罪者として扱われるべきだと考える場合は〇を、考えない場合は×を、その他の場合は具体的に回答をお書きください。なお、ここで問題にしているのは、いわゆる「なりすまし」ではありません。

(回答) その他

  犯罪者として扱われる前に、トラブルを未然に防ぎ、女性の安全を守っていくことが重要と考えます。

  現状においては、戸籍が男性のままで「女性」を自認する男性身体者が、女性用トイレや更衣室や女性の浴場に入ることについて、国民の幅広い理解が得られているとは考えておらず、女性の安全・安心を第一とした社会におけるルール整備などを検討していくべきと考えます。

3-②

3-①の質問で×あるいは「その他」と答えた党に質問します。その場合、女性の人権と安全をどのように守るべきだとお考えなのか具体的にお答えください。

(回答) 

 女性の人権と安全を守るという観点から、こうした問題について、議論を喚起し、社会におけるルール整備などについて、検討を進めていくべきです。

 性同一性障害の方のトイレ制限などの訴訟も起きており、こうした裁判判決などを含め、議論を深めていくべきと考えます。

以上  

6月30日回答 日本共産党

1、性同一性障害特例法の要件緩和問題

1-① 仮に手術要件が撤廃された場合、男性器を具えたままの人が「女性」に戸籍変更できるようになりますが、貴党は、男性器を具えていてもその人は女性であるという立場をとりますか?女性であるという立場をとる場合は〇を、女性であるという立場を取らない場合は×を、その他の場合は具体的に回答をお書きください。

(回答) 〇

1-② 〇と答えた党に質問します。男性器を具えていても「女性」である場合、当然、女性専用トイレ、女性用の公衆浴場、女性用更衣室を利用したり、女子スポーツや女子刑務所などに入る権利が生じる可能性がありますが、貴党はそれらの権利を認める立場ですか?認める場合は〇を、認めない場合は×を、その他の場合は具体的にお書きください。

(回答) その他

 ジェンダー・アイデンティティー(性の自己同一性に関わる性自認)は、個人の尊厳に属するものとして尊重されるべきです。しかし、日常生活の場でどのようなルールに基づいて暮らしていくのかについては、法的な性別要件変更がされるかされないかに関わりなく、それぞれの社会生活の場面において、合理的でふさわしいルールが定められ、適用されることが求められます。すでにスポーツ界では多様な性のあり方をふまえたガイドラインが策定され、様々な議論を経つつ、運用されています。公衆浴場組合は、トランスジェンダーでも男性器がある人は女性湯には入れない扱いにしています。それぞれの管理者による合理的なルールが策定され、それにもとづいて運営されるべきと考えます。

1-③ 男性器を具えた「女性」が女性専用トイレや公衆浴場などを利用した場合、女性たちはそのことに脅威と屈辱感を受けることが予想されますが、この問題にどう対処するつもりなのか、具体的にお答えください。

(回答)

法律上の性別変更の要件の問題と女性専用スペースの利用のルールとは別の話です。前項でも書いたように、公衆浴場組合は、トランスジェンダーでも男性器がある人は女性湯には入れない扱いにしています。「男性器のある人が女性風呂に入ってこられるようになる」などの間違った認識、想定は、誤解をまねくものであり、本来は個人の尊厳を認めあえる社会を目指す者たちの間に、対立と不安を煽ることにつながります。

 同時に、女性たちが、女性専用スペースが安全・安心な空間であってほしいと願うことは当然のことで、そのために知恵を尽くすことは大事なことです。そのことと、トランスジェンダーの人も排除されないで安全・安心に暮らせる場を確保することは矛盾するものではなく、統一的に追求されることだと考えます。前述したように、それぞれの施設、団体などで合理的でふさわしいルールを策定し、運営されるべきだと思います。

1-④ 1-②の問いに×ないし「その他」と答えた党に質問します。トランス当事者やLGBT活動家から、「トランス女性は女性なのに女性用のトイレや公衆浴場を使えないのはトランス差別である」という趣旨の批判を受けた場合、それに対してどのように反論するか具体的にお答えください。

(回答)

 すでにお答えしたとおり、ジェンダー・アイデンティティー(性の自己同一性に関わる性自認)は個人の尊厳として尊重されるべきであり、差別は許されませんが、日常生活の場でのルールについては、それぞれの施設、場面において、各管理者による合理的なルールが定められ、それにもとづく運営が行われることは必要なことだと考えます。 

2、性別欄廃止問題

2-① 地方自治体で公的書類から性別欄の廃止が進んでいる事態を貴党は支持しますか。支持する場合は〇を、支持しない場合は×を、その他の場合は具体的に回答をお書きください。

(回答) 〇

2-② 公的書類の性別欄の廃止が進むことで、男女別の統計を取ることが難しくなる。あるいは不可能になるおそれがあると思われますが、その点についてどうお考えですか。可能性があると考える場合は〇を、可能性がないと考える場合は×を、その他の場合は具体的に回答をお書きください。

(回答) その他

すでに運転免許証では性別欄が撤廃されているように、公的書類における不必要な性別欄は撤廃すべきと考えます。同時に、ジェンダー格差を改善していくうえでも、ジェンダー統計は重要です。必要な場合、性別欄を残すとともに、男性、女性に当てはまらない場合もあることに配慮した記入欄が必要だと思います。

3、「性自認」を根拠に女性専用施設に男性身体者が入ってきている問題

3-① 戸籍が男性のままで「女性」を自任する男性身体者が女性用トイレや更衣室や女性用の浴場に入ってきた場合、犯罪者として扱われるべきであるとお考えですか。犯罪者として扱われるべきだと考える場合は〇を、考えない場合は×を、その他の場合は具体的に回答をお書きください。なお、ここで問題にしているのは、いわゆる「なりすまし」ではありません。

(回答) その他

 繰り返しになりますが、それぞれの施設等の管理者によるルールにもとづいて運営されるべきだと考えます。それに違反した場合も、それぞれのルールによって対処されるべきです。

3-② 3-①の質問で×あるいは「その他」と答えた党に質問します。その場合、女性の人権と安全をどのように守るべきだとお考えなのか具体的にお書きください。

 前述のように、女性たちが、女性専用スペースが安全・安心な空間であってほしいと願うことは当然のことで、そのためにそれぞれの施設の管理者が合理的でふさわしいルールで運営すべきと考えます。

そしてそのことと、トランスジェンダーの人も排除されないで安全・安心に暮らせる場を確保することは矛盾するものではなく、統一的に追求されることだと考えます。

設問の対象ではありませんが、やはり女性たちが不安に思っているのは、主に「なりすまし」であり、犯罪目的のため、性自認も身体も男性である者が入ってくる問題です。当然、犯罪には取り締まりを強化すべきであり、行政や事業所は、その予防措置を担保すべきです。

これらの問題を考えるうえで、ジェンダー・アイデンティティー=自己の性同一性についての性自認とは個人の尊厳にかかわる問題であること、それがお互いに尊重されるべきであり、そういう社会はどうあるべきなのか、国民的な議論をしっかり行うとともに、誰もが安心して利用できる公共スペースの改善、社会的条件整備、ルールづくり、相互理解の促進、教育の充実などにより、誰もが個人の尊厳を尊重されるジェンダー平等の社会をつくっていくことが大事だと考えます。

2022年参議院選挙 政党アンケート「回答」① 公明党、日本共産党2022年7月1日
日本の動き
公明党, 公開質問状, 国会, 日本共産党



各党に、7月3日までにご回答をお寄せくださるようお願いしていました。ご返答いただいた順に公開させていただきます。


6月24日に各政党に送った質問

1.性同一性障害特例法の要件緩和問題

現在、「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」(以下、GID特例法と略記)の性別変更要件をめぐって野党やLGBT団体などから改正の要求ないし提言が繰り返し出されています。その趣旨は、手術要件をはじめとする性別変更の要件を撤廃ないし緩和するよう求めるものです。もしこの改正要求が通った場合、外性器が男性のままで、戸籍上の性別を「女性」に変更するケースが多数発生する可能性があり、大きな社会的混乱を生むことが予想されます。その際にとくに被害に遭う可能性が高いのは、女性と少女です。そこで以下の質問をします。

1-① 仮に手術要件が撤廃された場合、男性器を具えたままの人が「女性」に戸籍変更できるようになりますが、貴党は、男性器を具えていてもその人は女性であるという立場を取りますか? 女性であるという立場を取る場合は〇を、女性であるという立場を取らない場合は×を、その他の場合は具体的に回答をお書きください。

1-② 1-①の問いに〇と答えた党に質問します。男性器を具えていても「女性」である場合、当然、女性専用トイレ、女性用の公衆浴場、女性用更衣室を利用したり、女子スポーツや女子刑務所などに入る権利が生じる可能性がありますが、貴党はそれらの権利を認める立場ですか? 認める場合は〇を、認めない場合は×を、その他の場合は具体的に回答をお書きください。

1-③ 1-②の問いに〇と答えた党に質問します。男性器を具えた「女性」が女性専用トイレや公衆浴場などを利用した場合、女性たちはそのことに脅威と屈辱感を受けることが予想されますが、この問題にどう対処するつもりなのか、具体的にお答えください。

1-④ 1-②の問いに×ないし「その他」と答えた党に質問します。トランス当事者やLGBT活動家から、「トランス女性は女性なのに女性用のトイレや公衆浴場を使えないのはトランス差別である」という趣旨の批判を受けた場合、それに対してどのように反論するか具体的にお答えください。


2.性別欄廃止問題

現在、多くの地方自治体で性的少数者への配慮を理由に公的書類(印鑑証明など)の性別欄を廃止する動きが急速に進んでいます。このような動きはきわめて安直で、危険なものです。性的少数者への配慮は当然ですが、その解決策はけっして性別欄を廃止することではありません。直接、男女共同参画の事業に関わらないものであっても、性別を明記し、その記録を取ることは重要です。なぜなら、この社会が基本的に男性と女性とによって構成され、社会の隅々まで女性差別が存在しているかぎり、一見、男女格差に関わらないように見える事柄であっても、実はそこに男女格差が伏在し、女性が不利に置かれている実態が、ずっと後になって明らかになるかもしれないからです。そこで以下の質問をします。

2-① 地方自治体で公的書類から性別欄の廃止が進んでいる事態を貴党は支持しますか。支持する場合は〇を、支持しない場合は×を、その他の場合は具体的に回答をお書きください。

2-② 公的書類の性別欄の廃止が進むことで、男女別の統計を取ることが難しくなる、あるいは不可能になるおそれがあると思われますが、その点についてどうお考えですか。可能性があると考える場合には〇を、可能性がないと考える場合は×を、その他の場合は具体的に回答をお書きください。





3.「性自認」を根拠に女性専用施設に男性身体者が入ってきている問題

GID特例法が現状のままのもとでも、各種報道から明らかなように、自分は女性だと称する男性身体者が女子トイレに入って逮捕されるなどの問題が起こっています。これは、女性の人権と安全を脅かす極めて深刻な事態だと私たちは考えます。そこで、以下の質問をします。

3-① 戸籍が男性のままで「女性」を自認する男性身体者が女性用トイレや更衣室や女性用の浴場に入ってきた場合、犯罪者として扱われるべきであるとお考えですか。犯罪者として扱われるべきだと考える場合は〇を、考えない場合は×を、その他の場合は具体的に回答をお書きください。なお、ここで問題にしているのは、いわゆる「なりすまし」ではありません。

3-② 3-①の質問で×あるいは「その他」と答えた党に質問します。その場合、女性の人権と安全をどのように守るべきだとお考えなのか具体的にお答えください。



◎ここからが自由民主党の回答です👇
当会からの質問文の部分は水色文字で、ご回答に直接かかわる質問の部分は水色の太字で示しました。

7月1日回答 自由民主党



1.性同一性障害特例法の要件緩和問題

現在、「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」(以下、GID特例法と略記)の性別変更要件をめぐって野党やLGBT団体などから改正の要求ないし提言が繰り返し出されています。その趣旨は、手術要件をはじめとする性別変更の要件を撤廃ないし緩和するよう求めるものです。もしこの改正要求が通った場合、外性器が男性のままで、戸籍上の性別を「女性」に変更するケースが多数発生する可能性があり、大きな社会的混乱を生むことが予想されます。その際にとくに被害に遭う可能性が高いのは、女性と少女です。そこで以下の質問をします。

1-① 仮に手術要件が撤廃された場合、男性器を具えたままの人が「女性」に戸籍変更できるようになりますが、貴党は、男性器を具えていてもその人は女性であるという立場を取りますか? 女性であるという立場を取る場合は〇を、女性であるという立場を取らない場合は×を、その他の場合は具体的に回答をお書きください。

その他:現行法が立法の趣旨に則り適切に運用されるよう生命の尊厳を守る観点から 時勢に応じた見直し等を行うためには、充分な議論が必要であると考えます。

1-② 1-①の問いに〇と答えた党に質問します。男性器を具えていても「女性」である場合、当然、女性専用トイレ、女性用の公衆浴場、女性用更衣室を利用したり、女子スポーツや女子刑務所などに入る権利が生じる可能性がありますが、貴党はそれらの権利を認める立場ですか? 認める場合は〇を、認めない場合は×を、その他の場合は具体的に回答をお書きください。

1-③ 1-②の問いに〇と答えた党に質問します。男性器を具えた「女性」が女性専用トイレや公衆浴場などを利用した場合、女性たちはそのことに脅威と屈辱感を受けることが予想されますが、この問題にどう対処するつもりなのか、具体的にお答えください。

1-④ 1-②の問いに×ないし「その他」と答えた党に質問します。トランス当事者やLGBT活動家から、「トランス女性は女性なのに女性用のトイレや公衆浴場を使えないのはトランス差別である」という趣旨の批判を受けた場合、それに対してどのように反論するか具体的にお答えください。


2.性別欄廃止問題

現在、多くの地方自治体で性的少数者への配慮を理由に公的書類(印鑑証明など)の性別欄を廃止する動きが急速に進んでいます。このような動きはきわめて安直で、危険なものです。性的少数者への配慮は当然ですが、その解決策はけっして性別欄を廃止することではありません。直接、男女共同参画の事業に関わらないものであっても、性別を明記し、その記録を取ることは重要です。なぜなら、この社会が基本的に男性と女性とによって構成され、社会の隅々まで女性差別が存在しているかぎり、一見、男女格差に関わらないように見える事柄であっても、実はそこに男女格差が伏在し、女性が不利に置かれている実態が、ずっと後になって明らかになるかもしれないからです。そこで以下の質問をします。

2-① 地方自治体で公的書類から性別欄の廃止が進んでいる事態を貴党は支持しますか。支持する場合は〇を、支持しない場合は×を、その他の場合は具体的に回答をお書きください。

その他:性的マイノリティの社会生活上の困難を軽減するため、配慮は必要と考えますが、まずは、地域・学校・職場等社会の様々な場面における理解増進を図ることが重要と考えます。



2-② 公的書類の性別欄の廃止が進むことで、男女別の統計を取ることが難しくなる、あるいは不可能になるおそれがあると思われますが、その点についてどうお考えですか。可能性があると考える場合には〇を、可能性がないと考える場合は×を、その他の場合は具体的に回答をお書きください。

その他:性的マイノリティの社会生活上の困難を軽減するため、配慮は必要と考えますが、まずは、地域・学校・職場等社会の様々な場面における理解増進を図ることが重要と考えます。





3.「性自認」を根拠に女性専用施設に男性身体者が入ってきている問題

GID特例法が現状のままのもとでも、各種報道から明らかなように、自分は女性だと称する男性身体者が女子トイレに入って逮捕されるなどの問題が起こっています。これは、女性の人権と安全を脅かす極めて深刻な事態だと私たちは考えます。そこで、以下の質問をします。

3-① 戸籍が男性のままで「女性」を自認する男性身体者が女性用トイレや更衣室や女性用の浴場に入ってきた場合、犯罪者として扱われるべきであるとお考えですか。犯罪者として扱われるべきだと考える場合は〇を、考えない場合は×を、その他の場合は具体的に回答をお書きください。なお、ここで問題にしているのは、いわゆる「なりすまし」ではありません。

その他:用途の定めがある共用施設等における利用上のマナー遵守及び迷惑行為の防止は必要ですが、「性自認」の定義や用語の適用方法等についてはなお社会的な 合意形成が必要な課題であると考えます。

3-② 3-①の質問で×あるいは「その他」と答えた党に質問します。その場合、女性の人権と安全をどのように守るべきだとお考えなのか具体的にお答えください。

公共の福祉に反し、女性の安心・安全な生活を脅かすような犯罪行為は決して許されません。皆様がご指摘の「女性スペース」に関する懸念に真摯に向き合いしっかりと議論をしてまいります。





回答①(6月30日までに受け取り)は、こちらです。

2022年参議院選挙 政党アンケート「回答」②自由民主党2022年7月2日
日本の動き
公開アンケート, 参議院選, 自民党


https://www.gender.go.jp/kaigi/senmon/wg-seibetsuran/pdf/honbun.pdf