セックスワーカーになった女性の当事者と女性団体両方の事考えた特集「セックスワークとフェミニズム」にあたって菊地 夏野Natsuno Kikuchiの論文が良かった件と「慰安婦は売春」発言に無罪等の産経新聞記事.ラムザイヤー論文に関する記事PDF魚拓


【ソウル=桜井紀雄】韓国・延世(ヨンセ)大の講義中に慰安婦は「売春の一種」などと発言し、元慰安婦らに対する名誉毀損(きそん)罪に問われた同大元教授、柳錫春(リュ・ソクチュン)被告(68)の判決公判が24日、ソウル西部地裁で開かれた。裁判官は、憲法が保障した学問の自由を強調し、この発言を含む起訴内容の大部分について無罪を言い渡した。

一方で、元慰安婦支援団体「韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協、日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯=正義連の前身)」が、日本軍に強制動員されたと証言するよう元慰安婦を「教育した」という柳被告の発言については「虚偽事実」を示して同団体の名誉を傷つけたと判断し、罰金200万ウォン(約22万円)を言い渡した。

柳被告は判決後、記者団に「最も重要なのは売春発言に無罪が出たことだ」と述べながらも、完全な無罪を目指し控訴する方針を明らかにした。正義連は「被害者を無視した反人権的な判決だ」と批判した。

柳被告は2019年9月、講義中に慰安婦問題を巡って「直接的な加害者は日本(政府)ではない」とし、「(慰安婦は)売春の一種だ」などと述べた。正義連などの告訴を受けて検察が在宅起訴し、昨年12月の論告求刑公判で懲役1年6月を求刑した。

裁判官は「憲法が大学での学問や教授(授業)の自由を保護している」とし、「制限は必要最小限にとどめるべきだ」との判断を示した。売春発言は、個々人に向けたものとはいえず、「慰安婦全体に対する抽象的表現だ」とも指摘した。

慰安婦問題を巡っては、学術書「帝国の慰安婦」の著者で大学教授だった朴裕河(パク・ユウハ)氏も元慰安婦らの告訴で名誉毀損罪で在宅起訴されたが、最高裁は昨年10月に無罪判断を示した。

韓国の大学教授が告発され捜査 慰安婦の評価めぐり

慰安婦問題、明るみに出る北朝鮮の暗躍

「慰安婦は売春」発言に無罪、韓国元教授名誉毀損裁判 別の発言で一部有罪

2024/1/24 12:02


 【ソウル=名村隆寛】韓国の大学での講義で慰安婦について「(売春婦と)似たようなものだ」と語った教授が、「元慰安婦の名誉を毀損(きそん)した」などと激しい非難を受け、市民団体から告発された上、捜査を受ける事態となっている。

 非難にさらされているのは延世(ヨンセ)大学の柳錫春(リュ・ソクチュン)教授。柳氏は19日の講義で「日本が強制連行したとの記録はなかった」とし、売春の理由は貧しさのせいで「昔もそうだった」と述べた。

 これに対し学生が「慰安婦の被害者が自発的に行ったということか」と質問したところ、柳氏は「知りたいなら、一度してみますか」と答えたという。発言は何者かによって録音され、韓国メディアでも報じられている。

 柳氏の発言に、同大学の学生自治会や同窓会などは猛反発。「人類史上、最も醜悪な国家暴力の被害者(元慰安婦)を『自発的売春』などと罵倒し、あざ笑った」と大学に柳氏の罷免を要求した。また、柳氏の発言は女子学生へのセクハラとも受け取られた。

 批判にさらされた柳氏は延世大学の学内メディアに対し「売春が貧しさゆえの、やむを得ぬ事情での選択だったと説明したが、一部の学生が受け入れなかった」と反論。学生に「売春を勧めた発言だ」と指摘されたことには、「調査」を勧める意味だったとし「非がないのに謝罪はできない」と主張した。「日本は慰安婦の直接的加害者ではない」とも述べたという。

 しかし、市民団体は柳氏を名誉毀損や虚偽事実流布、セクハラの疑いで告発。聯合ニュースによると検察は27日、警察を通しての捜査に着手した。柳氏の授業はすでに中止となり、学生らの要求を受けた大学側も調査を進めている。

 韓国では慰安婦の存在は絶対的であり、柳氏のような発言は市民団体を中心とした社会的制裁を受ける。これまでに、慰安婦問題での著書をめぐり被告人にされたり、学生からつるし上げられた末、大学を追われたりした学者もいる。元慰安婦の支援団体、正義記憶連帯(旧挺対協)は柳氏に「教授の資格がない」と非難している。

韓国の大学教授が告発され捜査 慰安婦の評価めぐり 

2019/9/27 18:04

https://www.jstage.jst.go.jp/article/arws/39/0/39_3/_pdf/-char/ja


はじめに
この特集を思い立ったのは、セックスワークについて近年新しい動きがありながらも、そこにフェミニ
ズムのポジティブな存在感があまりに見られないと感じられたからだ。当事者の運動は継続しているし、
2000 年代以降の「貧困」の社会問題化につれて、風俗産業が女性の貧困の受け皿になっている状況が語ら
れるようになった。
わたしにとって、フェミニズムとは女性への差別や抑圧に抵抗し、女性を支援(エンパワー)するもの
である。それは、セックスワーカーの女性に対しても同じである。にもかかわらず、セックスワーカーあ
るいは売春女性に対してはそうでないフェミニズムの歴史があることを知り、セックスワークの問題は「フ
ェミニズムのアキレス腱」ではないかと考えるようになった。
1. フェミニズムのアキレス腱としてのセックスワーク
フェミニズムや女性運動においてよく語られるセックスワークへの反対論として、「売春(買春)は女性
差別、女性抑圧」だというものがある。しかし、女性差別は性産業のなかだけにあるわけではない。女性
差別は性産業以外の一般の企業にも厳然としてあるし、学校制度の中にも医療業界の中にも政治の中にも
ありとあらゆるところにある。この論理は、セックスワークの個別の実践が女性差別的だと指摘している
のかもしれない。その立場は、サービスを購入する男性の性意識は購入しない男性に比べて女性差別的だ
という想定をしているのかもしれない。しかしそれは差別的意識をもつその男性個々人の問題であって、
だからセックスワークを否定していいということにはならないだろう。
また、「不特定の者と金銭を引き換えに性交をするのは不道徳」だという主張がある。これは性的に保守
的な立場の論にも共通するが、フェミニズムの中でもないとはいえないだろう。しかしセクシュアリティ
は個人の自由を基本として考えられなければならないし、フェミニズムの立場に立つのであればそれはな
おさらである。そこに暴力がない限り、本人の意思が尊重されるべきである。性行為に関して金銭の媒介
を問題化するなら他の金銭を伴う社会関係にも同様の基準が適用されなければならない。性労働のみ特別
視するのはなぜなのだろうか。
往々にして使われるのは、「性は特別なものだ」という思考である。確かに性行為は人間にとって私秘的
な行為であり、被傷性の高いものだ。喜びや快楽を得ることもできる一方で、深い暴力を受けることもあ
り得るという揺れ幅の大きい行為だ。しかし、だからと言っていついかなる場合にも、金銭を媒介するの
日本女性学研究会 女性学年報 第 39 号 2018 年 12 月
4
は良くない、処罰の対象とすべきだといえるだろうか。むしろ必要なのは、性行為に際して弱い立場に置
かれる者の権利を守ることではないだろうか。
「性は大事なものだから売買春は良くない」という論は、多くの場合、一定の形のもとでの性行為は良
いと見なすことになる。そしてその推奨される性関係は、たいていの場合結婚関係かそれに準じる関係性
である。つまり、売買春の否定論は結婚制度の特権化とつながることが多い。
2. セックスワークと結婚制度
実はわたしが重視しているのはこの点である。歴史的に女性運動が、売買春の禁止を男女平等のメルク
マールとみなし、禁止運動を展開した。それに対して当事者の女性たちが業者とともに抵抗運動を行った
という歴史が繰り返されている。売買春が禁止されると、そこで働いている女性たちは収入を失い、悪い
場合には犯罪者とされる。そもそも社会的経済的地位の高い女性は相対的にはセックスワーカーになるこ
とは少ない。貧困層であったり少数民族や外国籍、低学歴、障害者等の女性が就くことが多い。セックス
ワーカーは二重三重の意味でマイノリティ化されている。そのようなマイノリティ女性と女性運動が対立
するとき一体誰が得をするのだろうか。
さらに、売買春の禁止が、結婚制度の特権化と結びついているとすれば、女性運動が結婚制度を特別視
していることになるが、結婚制度は女性にとって良きものなのだろうか?フェミニズム的に考えれば、結
婚制度は女性のアンペイドワークを搾取し、女性同士の関係性を男性中心の親族システムと経済システム
に分断する装置であるはずだ。
セックスワークは、結婚制度と同様に、近代社会のジェンダー/セクシュアリティの主要な秩序に関わ
っている。片方を特別視し片方を否定する認識枠組みから脱する必要がある。結婚制度は国家によって保
障され推奨されるのに対して、セックスワークは犯罪化される。だが両者は根本的には女性の性の管理を
意味している。結婚制度は性と生殖の管理のために維持され、セックスワークの犯罪化は女性を結婚制度
に追い込むためにある。この非対称性を乗り越える必要があるのだ。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/arws/39/0/39_3/_pdf/-char/ja
特集「セックスワークとフェミニズム」にあたって
菊地 夏野
Natsuno Kikuchi


月刊「正論」11月号から)

<※七月二十五日、東京都港区新橋の令和アカデミー倶楽部で行われたJAPAN Forward時事講座の講演詳報。講演はすべて日本語で行われた。>

皆さんはじめまして、ラムザイヤーと申します。ご存じの通り、僕は日本育ちです。プロテスタントの宣教師の息子で、十八歳のときまで宮崎県に住んでいました。宮崎県といっても宮崎市、延岡、日向、高千穂…と、宣教師という仕事柄、いろいろなところを回されました。そういうわけで十八歳まで宮崎にいました。幼稚園、小学校は普通の宮崎の学校で、それから東京の東久留米でしたが寮に入って、宣教師の子供のためのアメリカン・スクールに通っていました。

僕たちが日本に来たのは昭和二十九年のことでしたけれど、宮崎は貧しいところでした。今でも貧しいかもしれませんが、当時はさらに貧しいところで、外資系の投資銀行があるわけでもないし、東証一部上場企業の支店も少なかったところでした。でも美しいところで、美しい人間が住んでいる美しい土地だと思います。僕も一応、宮崎の産出物ですから、そのことを誇りに思っています。

昭和三十年代にはトラックも三輪のものが走っており、当時は大きなトラックだなあと思っていましたが、今になってみると、当時は僕の背が小さかったので大きく見えたのだろうと思います。

そのころ、相撲といえば大鵬でしたね。つまらなかったですよ、大鵬の優勝が何度も何度も続きましたから。プロレスといえば力道山。一九六三年に暴力団関係の事件で殺されてしまいましたが。冒険といえば月光仮面でした。ウルトラマンが出てくるのはその十年近く後のことでしたね。それが僕の子供時代でした。

当時、昭和三十年代の終わりごろには宮崎は新婚旅行先として人気で、南国らしい樹木が植えられたりしていい感じに盛り上がっていました。何年かすると、日本の若いカップルもリッチになりすぎて、ハワイや東南アジアに新婚旅行に行くようになり、宮崎は取り残されてしまった感じですかね。

僕も日本の小学校を出て、後にアメリカで大学、大学院を出て一応、教員のポストに就くことになったのですけれど、二年前からの猛烈な批判に直面すると「僕は何でこんなことをやっているのか」とも思いたくなります。なぜ僕はこんなことをやっているのか、そもそも僕は何者なのか、そんな疑問も浮かんできて夜中、眠れないこともありました。自分の根源がどこにあるかといえば、米ハーバード大学の教員ではないんです。

僕が実際にどんな人間かと思うと、小学校三年生の(日本人から見たら)外人。そのころは変な外人でしたけれども、でも楽しかったですよ。変な外人ではありましたけれど親しい友達もいましたし、特に優秀な学生でもなかったし、勉強もしていませんでした。

どんなことをしていたかというと友達と一緒にドブでザリガニを獲るとか、田んぼのカエルを捕まえるとか、そんなものでした。小学校四年生のときに、先生から「あなたにはどんな夢があるの」と聞かれて「できれば大学に行きたいな」と答えました。先生に「いい夢だ。勉強すれば、たぶん受かるでしょう」と言われ、ありがたいことでした。

僕はハーバード大学で、会社法と日本関係について教えていました。研究は主に日本関係のことをやっていますけれど、経済学的なアプローチを用いていて、法律の現象、契約とか訴訟とかという現象の説明をやっているんですけれど、どういう契約がつくられていたのかに興味がある。そこで、学者として面白い契約として例えば公娼制度で娼妓と置屋との労働契約について研究したことがあったのです。それだけではなく一応、(専門は)法律ですから、下層社会での犯罪者や暴力団、失業者などの日米比較をしようとしていたんですね。そういうことをしている途中、慰安婦の関係の資料が目に入ってきたのです。

ありふれた形の契約

皆さんご存じだろうと思いますけれど、(慰安婦の)研究をしようと思えば別に難しくはないんですよ、学者としては。例えば『政府調査「従軍慰安婦」関係資料集成』全五巻(女性のためのアジア平和国民基金編、龍渓書舎)といった資料もありますし、日本の政府が巨額の予算を使って慰安婦関係の資料を全部、集めているのです。ですから勉強しようと思えば、初めから終わりまで(これらの資料を)読めば済むわけです。面倒くさいことは面倒くさいし、時間はかかりますけれど、学者の行う研究としてはそれほど難しくもないのです。慰安婦の契約がどんな契約だったのかは割合とはっきりしていて、そんなに難しいことでもないわけです。秦郁彦先生や吉見義明先生の古典的な研究もいろいろありますから、研究しようと思えばそれほど難しいことはないわけです。

さて、慰安婦の契約は基本的にどのような契約かといいますと、年季奉公の前借金契約です。これもアメリカの学者が慰安婦について書いたものを読んでみると「性的奴隷」とかいわれていますが、これは簡単な労働契約で、他の分野でもしばしばではありませんが時折、みられるものです。例えば十八世紀のアメリカの新聞では、ヨーク川に英国ロンドンから船が到着した記事があります。何を積んでいたかといえば、ヨーロッパの貧乏な男性たち。彼らはアメリカに行きたい。でも貧乏だから財産がなく、船に乗ろうと思っても運賃が払えない。ということで、契約を結んだのが、「私がアメリカに着いてから例えば三年間、あるいは五年間働く」と。割合と重要な仕事ができる男性であれば短い期間の労働(の約束)で船に乗ることができ、単純労働しかできない男性だともっと長い期間、働かなければならなかった、というわけです。こういう前借金付きの年季奉公は他のところでもみられるものです。

そして日本では公娼制度においてこのような契約が結ばれていました。例えば昭和初年の例ですが奉公期間は六年間でした。六年働くということで、前もって千円なり千二百円なり払ってもらう。単に六年働くだけでは一生懸命働く動機がありませんので、どれくらいの収入を得たかによって、もしもよく働いて収入が高ければ予定よりも早く辞めることができる、ということになっていました。ですからたいていの場合は、六年のところを多くの女性は三年くらいで借金を返してしまって辞めることができたのです。昭和初期の公娼の収入はどのくらいだったかといえば、女工のおおよそ二倍くらいでした。ものすごく高給というわけではありませんが、公娼は工場で働く普通の女工よりは高い収入を得ていたのです。これが国内(内地)での状況で、前借金として千円ないし千二百円程度を払ってもらい、最大六年働く。実際にはだいたい三年、働いて辞めることができました。

一方で日本統治下の朝鮮の公娼制度を見ますと、内地と似たような契約が結ばれていましたが、年限は最大三年という例が多かったのです。慰安婦の場合は契約期間は二年で、収入は東京の娼妓よりも少し高かったような感じです。これはなぜかというと簡単なことで、農家出身の女性が東京に来ると、誰しも娼妓になるのは避けたいと思う。でも収入が高ければそういう仕事をしてもいいかな、という女性がいる場合、あっせん業者に「あなたなら儲かるよ」と言われても信用できないわけです。誰に対してもそういうことを言うわけで、ではどうしたら信頼できるかといえば前もって千円払う。それで最大六年間、働けば辞めることができる。千円を六で割れば最低年収が計算できるわけです。

これに対して慰安婦の契約を見ると、女性は単に東京へ行くのではなく、交戦地帯へ行くわけですよね。ですから非常に危険で、仮に逃げようと思ってもうまく逃げられるかどうかわからない。行ってしまえば、約束されたお金が払われるかどうかもわからない。危ないし、あっせん業者が信頼できる人かどうかもわからない。ではどうするかというと、最大二年で給料も高くする。そういうものなのです。

簡単にいえば、慰安婦制度というのは国内(内地)の公娼制度の延長線上にあるものです。同じような契約が結ばれている。ただし慰安婦の場合は危険地帯に行くわけで危ないから東京の娼妓よりも契約期間が短い、ということが言えると思います。

(続きは、「正論」11月号をお読みください)

マーク・ラムザイヤー

米ハーバード大学ロースクール教授。一九五四年生まれ。幼少期に日本在住。ハーバード大ロースクール修了後、UCLA、シカゴ大教授などを経て現職。平成三十年、旭日中綬章受章。日本語著作に『法と経済学―日本法の経済分析』(弘文堂)など。

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月刊正論について

日本の自由な社会と健全な民主主義を守るという信条に基づき、昭和48(1973)年10月に創刊した雑誌「正論」は、創刊50年を迎えました。「多数意見に迎合せず、また少数意見におもねず(ママ)、真に国民のための世論提起が本誌の願い」との創刊時の信念を受け継いできました。政治、経済、社会、国際問題から文化までの幅広い分野で、執筆陣が多角的な視点から主張を展開します。

慰安婦制度をめぐる学問の不自由の現状 マーク・ラムザイヤー

2023/10/1 10:30月刊正論オンライン
記事



ラムザイヤー教授は戦前日本の娼婦の契約形態に関心を持ち、売春宿と娼婦(と親)の「信用の供与」や「契約の合理性」のメカニズムを発表したのが1991年。その論文『戦前日本の年季奉公契約による売春制度――性産業における「信用できるコミットメント」』は日本人の研究者にもあまり知られることなく時が過ぎた。



ところが、2020年に『太平洋戦争における性サービスの契約』を発表した途端、“反響”があった。韓国や米国の日本研究者たちが一斉に教授を攻撃し始めたのである。「論文を撤回せよ」「教授を辞めろ」など罵詈雑言。論文発表誌への圧力、教授への脅迫メールにまでと、強烈なものだった。



教授は身の危険を避けながらも理不尽な要求に屈せず、救いだったのは仲間や友達だったと本書でも述懐しており、日本では本書の翻訳陣の藤岡信勝氏らが緊急シンポジウムを開催して応援した。
戦時の日本軍は、戦前の日本で芸妓や娼婦と置屋が交わした契約スタイルを援用して性サービス業者に許可を与えていたことを教授は解き明かした。つまり、悪徳業者を排除するために管理していたといえる。貧困に悩む地域の役所が慰安婦を募集するにあたっての契約書式のサンプルは具体的で、就業を厳しく制限するものでもあった。



朝鮮においては日本の統治下でもあり、日本と同様の契約形態が採用されて、契約には親の押印が必要で、戦時の前線に近い危険な場所での仕事であり、契約の金額は跳ね上がり、契約期間は娼婦が6年からだったのが、慰安婦は2年以下という短いものだったと具体的に示した。ここに「ゲーム理論」という双方の駆け引きが現れている。

また、強制的に連れ去られたという証拠は見つかっていないことも改めて示した(朝鮮人の悪徳業者がいたことは否定していない)。



2022年に教授が反論の論文『太平洋戦争における性サービスの契約――批判者への回答』を発表。論には論でディベートするものだと、学問の自由を守り抜く不屈の学者魂ともいうべき立派な態度だったが、なぜ最初の論文は騒がれなかったのか、日本国内の話だからというだけだったからなのか。また逆に、今回はなぜこんなに騒がれたのか。
日本人作家が済州島で朝鮮人女性狩りをしたとする本を刊行したのが、1983年。それを元に1992年に日本の大手新聞が「挺身隊」の名で勧誘、強制連行された「従軍慰安婦」と世界に配信した。韓国の一部団体と元慰安婦が日本軍に強制的に性奴隷にされたと騒いだのは、1990年代に入ってからであり、結果、日本政府は謝罪(1993年)と見舞金の基金を設立(1995年)することになったのは周知のとおりである。そして新聞社が、慰安婦狩りは真実ではなかったと記事を取り消したのは、作家が嘘だったと白状した1996年からずっと後の2014年のこと。



そもそも1991年以前に、韓国の新聞が「日本軍の朝鮮人慰安婦」を取り上げることは殆どなかった。韓国に駐留している「米軍の朝鮮人慰安婦」の記事が少し出てくる程度。それが1991年以降に日本軍慰安婦の記事が爆発的に増えている資料も掲載。慰安婦たちが「契約もなく強制的」に性奴隷にされたとの思いがあったのなら、戦後すぐの時期にこういった話が出てこないはずがないのである。



ラムザイヤー教授が論文の度に断り書きしているように、「売春の倫理的問題」を論じているのではなく、「売春の契約形態」を経済学の「ゲーム理論」を活用して論じている。30年にわたる4本の論文と、反論は必読である。

SNSで拡散され、瞬く間に広がったラムザイヤー教授の話題の書が早くも4刷

2024年12月に発売された『慰安婦性奴隷説をラムザイヤー教授が完全論破』。高橋洋一氏、福井義高氏推薦

株式会社ハート出版

2024年4月18日 05時20分

https://www.fujisan.co.jp/product/1482/b/2444314/

http://chwe.net/ramseyer/ramseyer.pdf


https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0144818820301848


http://harc.tokyo/wp/wp-content/uploads/2021/02/94d38d6a90f3d5f6c8874d75893a480a.pdf

http://harc.tokyo/wp/wp-content/uploads/2021/02/Letter-in-Support-of-John-Mark-Ramseyer-Nishioka-February-20211.pdf

http://harc.tokyo/wp/wp-content/uploads/2021/02/Open-Letter-In-Support-of-Professor-Mark-Ramseyer-February-2021.pdf





米ハーバード大学ロースクールのジョン・マーク・ラムザイヤー教授が、慰安婦問題について性奴隷説を否定する論文を発表した。それに関して、韓国や米国で大騒ぎになっていることは、産経新聞の久保田るり子編集委員が2月21日の紙面で詳しく報じていた。夕刊フジも、リレー連載「『慰安婦』問題の現在」(3月29日~4月3日)で伝えていた。



この論文について、朝日新聞がいつ取り上げるかと期待して待っていた。何しろ朝日新聞は、慰安婦問題において、紛れもない「当事者」であるからである。

3月11日になってやっと報じているのだが、それは日本の歴史研究者などの学術3団体と1つの市民団体が「先行研究を無視している」などとして、撤回を求める緊急声明を出したというものだった。

それも第三社会面の横組みの記事で、まるで目立たない。この問題に深く関わってきて、大誤報を認めた朝日新聞なのだから、もっと大きく取り上げるべきなのである。記事の内容に自信がないのだろうか。

そもそも、ラムザイヤー教授は、そんないい加減な研究をする人物なのであろうか。
実は30年以上前に、朝日新聞は同教授のことを紹介しているので、その人となりを知ることができるのは、まことに貴重である。それは、1990年12月21日の経済面の「顔」欄で、法律経済学の手法を使って日本特殊論を否定した『法と経済学』(弘文堂)という著書で、サントリー学芸賞を受賞した際に、インタビューしたものである。

朝日新聞は、同教授について、「宣教師の父と共に十八歳まで日本で暮らし、日本語も達者。外国から黙ってたたかれている日本への擁護論と思われがちだが、『そうとられてもかまわないが、私にとって日本も米国もない』。むしろ、米国のジャパノロジストの間でも、『日本人の行動は特殊なもの』という考えが強く残っているのを知ったのが、執筆の直接の動機という」と書いている。

そして、ラムザイヤー教授は記事で、「人を特殊だと決めつけるのは簡単だが、同じ人間に変わりはないというアプローチの方がずっと健全です」と語っているから、いかに公正にものを見ることができる人物であることが分かるだろう。
この記事の末尾には、「次の論文の題材は『戦前日本の公娼(こうしょう)制度における前借金制度について』」であると、はっきり書かれている。つまり同教授の慰安婦論文は、その当時からの長年の研究の成果なのである。

ラムザイヤー教授のような研究態度は、朝日新聞や日本の一部の学者とは正反対だと思う。同胞である日本人を特殊な悪い人間と決めつけ、自身の良心ぶりを誇示するのを、基本的なスタンスとしている。冤罪(えんざい)をでっちあげてまで、自国を貶める面々こそ、世界的に見ても極めて特殊な、真の悪人であると言わなければならない。

■酒井信彦(さかい・のぶひこ) 元東京大学教授。1943年、神奈川県生まれ。70年3月、東大大学院人文科学研究科修士課程修了。同年4月、東大史料編纂所に勤務し、「大日本史料」(11編・10編)の編纂(へんさん)に従事する一方、アジアの民族問題などを中心に研究する。2006年3月、定年退職。現在、新聞や月刊誌で記事やコラムを執筆する。著書に『虐日偽善に狂う朝日新聞』(日新報道)など。

もっと大きく取り上げるべきでは 慰安婦問題“当事者”のラムザイヤー論文報道の小ささと31年前の紹介記事

2021.4/13 06:30



酒井信彦


皆様

 アメリカハーバード大学ロースクールのジョン・マーク・ラムザイヤー教授が、慰安婦は当時政府規制下で認められていた国内売春婦の延長線上の存在であることを理論的に示しました。ラムザイヤー教授の学術論文は3月刊行予定の「インターナショナル・レビュー・オブ・ロー・アンド・エコノミクス」誌65巻に掲載されます(雑誌ホームページですでに閲覧可能=こちらをクリック)。

 この論文を掲載する予定の国際学術誌の編集者らに対して、韓国の団体や現地の韓国人学生らが撤回を求める抗議運動を繰り広げています。学術的に反論するのではなく、署名や声明によって論文を撤回させるという歴史真実探求の道から外れた行動は言論の自由を損ねる行為です。

 2月9日に韓国の李栄薫教授らがラムザイヤー教授を支援する声明(「ハーバード大教授の慰安婦論文、慰安婦問題に対する本格的討論の契機にすべきだ」)を発表しました。日本語に翻訳した文書を以下に掲載いたしますので、是非ご覧下さい。
ハーバード大教授の慰安婦論文に対する韓国知識人声明



 また、歴史認識問題研究会関係者6名の英文レター、西岡会長の英文レターも掲載いたします。こちらは英文となっております。
Open Letter In Support of Professor Mark Ramseyer February 2021(当研究会関係者6名)
Letter in Support of John Mark Ramseyer Nishioka February 2021(西岡会長)



 言論の自由を守り抜かなくてはなりません。歴史認識問題研究会は韓国の有志の方々と共闘してまいります。

http://harc.tokyo/?p=1870



日本研究賞を受賞したハーバード大のジョン・マーク・ラムザイヤー教授=8日、東京都千代田区大手町(酒巻俊介撮影)

民間シンクタンク「国家基本問題研究所」(国基研)の第11回「国基研 日本研究賞」の授賞式と記念講演会が11日、行われた。

日本研究賞は米ハーバード大教授のジョン・マーク・ラムザイヤー氏、特別賞は東京都立大名誉教授の鄭大均(てい・たいきん)氏が受賞した。あいさつに立った国基研の櫻井よしこ理事長は「日本を理解し、発信してもらうことで、アジア、世界の役に立てる」と賞の意義を語った。

「日本は故郷だから」…米ハーバード大教授 ジョン・マーク・ラムザイヤーさん(70)

いまも欧米に広がる「慰安婦=性奴隷」説を学術的に否定した論文集『慰安婦性奴隷説をラムザイヤー教授が完全論破』(ハート出版)が高く評価された。欧米の研究者らに激しく攻撃されながらも、決して自説を曲げなかった硬骨の学者は「だって何も間違っていないから」と語る。

戦前の朝鮮半島出身者の慰安婦は、一部マスコミが言っていたように軍関与で強制連行されたのではなく、「売春宿への身売り」であったという事実認識は近年、定着しつつあるが、海外ではまだまだ知られていないのが実情。同書に掲載された論文が、欧米アカデミズムに向けられ発表された意義は大きかった。

「欧米で慰安婦問題についてウソが書いてあるのには驚きます。欧米の日本研究者は、本当に日本語の文献を読んでいるか疑問だ」と語る。

幼い頃、父親の仕事の関係で来日。若き日を日本で過ごした。「法と経済学」を専門とする学者となっても、日本を研究対象にしてきた。古い日本語の史料も読みこなす。同書も戦前日本の史料などに基づくものだ。

しかし、バッシングはひどかった。2020年末に学会誌のインターネット版で論文(英語)が発表され、日本で産経新聞に要約が掲載されると、韓国で反発が起き、やがて左派が多い米国の研究者や学生たちから猛攻撃を受けた。

「友人と思っていた人からも批判され、心が痛みました」

なぜ日本の名誉のために、そこまでしてくれるのか。「日本は故郷だから」。受賞には「大した研究ではないのに、びっくりしました」と謙虚に語った。(菅原慎太郎)



ラムザイヤー教授の著書『慰安婦性奴隷説をラムザイヤー教授が完全論破』

■ジョン・マーク・ラムザイヤー 1954年、米シカゴ生まれ。幼少期に来日し、18歳までの大半を日本で過ごす。米ハーバード大で法学博士号を取得。現在、同大教授。米国在住だが、たびたび日本を訪れ、『法と経済学―日本法の経済分析』(弘文堂)などの著書も発表。旭日中綬章受章。

国基研 日本研究賞 日本に帰化した1世を含む外国人を対象に、政治、経済、安全保障、社会、歴史、文化の各分野で日本への理解を増進する優れた研究成果に対し、国家基本問題研究所が顕彰する。最高賞の「日本研究賞」と「特別賞」「奨励賞」がある。

「慰安婦=性奴隷」学術的に否定、バッシングにも負けず…ラムザイヤー氏、日本研究賞受賞

2024/7/11 16:00



菅原 慎太郎ライフ
教育