『パディントン2』(2018/3/3於イオンシネマ松本)

前作『パディントン』は、インフルエンザで引きこもっていた2月半ばに、huluで見た。素朴で淡いタッチの絵のイメージで見始めたところ、毛並みはリアルだし、動き回るし喋りまくるし、このキレのあるポップなクマは・・・パディントン・・・なのか?と正直違和感があった。でも、そのドジっプリに笑っているうちに、その誠実な人柄(クマ柄?)とつぶらな瞳が愛おしくなってきて・・・。
そして公開も終盤、親子3人で『パディントン2』を見に行ってきました。

骨董品屋でみつけた仕掛け絵本を育ての親にプレゼントしたいと思い、バイトを始めるパディントン。しかし、その絵本には宝のありかを示す仕掛けも隠されていて、悪党に奪われてしまう。パディントンは濡れ衣を着せられ収監されてしまい、居候先のブラウン一家が犯人探しを始める・・・というストーリー。

前作同様、パディントンの人を疑わない善良さが沁みるし、家族やご近所さんとの相互的な慈愛の深さが涙を誘う。
そして、相変わらず笑えるところがきっちり笑える、しかもシュールな笑いではなくって、げらげら笑える可笑しさ!
誤認逮捕されたり、走る電車で悪党を追い詰めたり間一髪助かったりする、ミッションインポッシブル的なアクションはよくある展開だけど、作りこみが丁寧でちゃんとハラハラする。このアクションやってるのクマだよ、クマだけど、だけどちゃーんと面白いんだから!序盤の日常の奇妙な描出が、終盤でぽんぽんと回収されてくる感じも小気味良かった。悪役のヒュー・グラントは、枯れつつ燃やす野心と七変化のコミカルさがばっちりはまって好演、最後の最後で悪人として追いやられない筋書きも良かった。
良かった!

ワタシ的にとっっても気に入っているのが、映像の色調コントロールの絶妙さ。
先ずもって、パディントンのあの帽子の赤とコートの青のえもいわれぬ深みでしょう?
赤い服を着た奥さんが、赤花柄に囲まれた部屋で考え込んで空想するシーンの可愛らしさったらないし、ブラウン氏は紺のローブで紺地のバスルームを背景にして、奥さんの話を現実的に聴いている。ブキャナン氏の部屋は緑。こんなふうに色の対比をうまく使って、さりげなくキャラクターを際立たせているところが見事。監獄もピンクの囚人服のおかげで殺伐さは皆無、前科者たちみんなチャーミング。
どれも、鮮やかだけどうるさくない、品があってどこかほっと癒される色使い。だれ?この作品の色の魔術師はいったいだれ?と色使いの美しさに惚けていた。

吹き替え陣については、奥さん役の斉藤由貴さんが今作諸般の事情により降板されていたのは残念だった。奥さんのマイペースさとぴったり合っていたのだけどなぁ。それから斉藤工さん、さすがに初老のヒュー・グラントを吹き替えるには、声がつややかで若すぎた。でも滑らかで堂々とした間の取り方が男前!ぜひまた声優のお仕事していただきたい。

息子(3歳5ヶ月)を誘うと、始めは「おやすみのひは、おねぼうしたい、いかない」とけんもほろろ(最寄の映画館は午前の早い時間の1回しかやっていなかったの、結局その日早起きでき、気を取り直して行くことになった)。見終わったあとは「こわいところがあってたのしくなかった」と言っていた。でも、大好きなポップコーンの手が止まるくらいには見入っていたし、1時間45分を自席で完走できたので、楽しんだとみたわよ、御の字の成長だよ。TDR然り、刺激の取り入れには慎重で、手放しで喜ぶタイプではなさそうなので、これからどんな風に”くまちゃんのえいが”を消化してくるか楽しみだよ、お母さんは。

家族そろって楽しめる!見たらみんなが幸せ!ファミリー映画の王道!
シリーズが続くことを祈っています。