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中国POP MARTが日本一号店オープン、アートトイを日本に広める

中国フィギュアメーカーのPOP MART(泡泡玛特)が近日、日本一号店「POP MART 原宿本店」をオープン。日本市場に本格的に上陸した。

開店当日には、日本先行販売の限定モデルであるLABUBU DIVERを購入するため大勢の人が集まり、店の前に長蛇の列ができた。

▲日本一号店の外観と限定品LABUBU DIVER(公式ツイッターより)

POP MARTは、日本での知名度まだ高くないが、中国国内ではZ世代の囲い込みに成功した人気フィギュアメーカーである。現在、中国をはじめ、韓国、シンガポールなど世界で350店舗を展開し、2021 年の売上は 860億円にのぼる。

そんなPOP MARTがフィギュア市場の競争が激しい日本において、どのようにそのポップカルチャーを伝えていくのか。筆者はPOP MARTアジア地域事業部長である金勋さんにインタービューし、日本市場戦略や展望を探った。

▲アジア地域事業部長金勋さん(写真一番左)(チャイトピより撮影)


一号店を通してアートトイを日本の消費者に広めていく

日本の二次元文化は今や国を代表する文化となっており、フィギュアというと、アニメやゲームのキャラクターが思い浮かぶかもしれない。しかし、POP MARTが販売している人気フィギュアは、アニメやゲームのキャラクターではなく、デザイナー独自のコンセプトに基づいて作り出されたもので、「アートトイ」と呼ばれる

子供向けのおもちゃとは異なり、ポップカルチャーを融合させた20~35歳の消費者がターゲット。遊ぶことはもちろん、コレクション用としての保管や、ファン同士での交換が主な用途となっている。

「日本進出を一つのイノベーションとして捉えています。アートトイ(潮流玩具)は日本の二次元グッズやフィギュアとは若干異なり、少しマイナーです。POP MARTの使命はより多くの人にアートトイを知ってもらうことだと考えています。」と金さんは語った。

その言葉通り、同社の人気キャラクターMolly、PUCKY、Dimoo、LABUBUはどれもアーティストと契約して打ち出したオリジナルIPで、注目を集めている。

また、日本進出を決めた経緯について、金さんはこう説明している。
「2018年から海外市場進出を始め、まずB2B形式で各市場のPOP MART商品に対する反応テスト。各市場のうち、日本市場での反応が良かったため、日本で自販機による販売や、ポップアップストアなどを展開した後、消費者に直接アプローチができるよう一号店のオープンに至りました。」

▲人気キャラクターのSkullpanda(チャイトピより撮影)

さらに、日本一号店と中国国内店舗の違いについて、金さんはこう語っている。「日本一号店と中国国内店舗のキャラクターやラインマップはほぼ同じです。ただ、日本では特にSKULLPANDA やDimooなどのキャラクターが人気なため、関連商品を増やすなど、日本消費者の反応に合わせて商品を調整しています。」


「ブラインドボックス」はただの仕様に過ぎない、IP運営こそがコア

「ブラインドボックス」は同社の中国における人気の火付け役であった。しかし、日本のガチャガチャ市場はすでに成熟しており、開けないと中身がわからない仕様は日本の消費者にとって新鮮感が劣る。

これについて、金さんは「ブラインドボックスは一つの仕様に過ぎないと考えています。フィギュアもIP(知的財産)運営の土台作りに過ぎない。我々のコア事業は、IP運営を通して、より多くの人にアートトイを知ってもらうことです。」と語った。

▲中身がわからないブラインドボックスによる販売が特徴(チャイトピより撮影)

金さんによると、同社は現在100名のアーティスト、有名な外部IP30個と契約。今後もライセンスやブランドとのコラボレーション等の事業を展開していく計画だ。

さらに、自社でアーティスト育成も展開し、活躍できる場を提供することで、日本の消費者とのコミュニケーションを深めていくという。

また、マーベルとコラボレーションして男性顧客を、Peppa Pign、My Little Ponyなど子供に人気なIPとコラボレーションして低年齢層顧客を獲得する計画。最終的に老若男女に愛されるブランドを目指す。

POP MARTとそのアートトイが日本のポップカルチャーにどんな変化をもたらすか、今後の展開に注目していきたい。

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