メンヘラへの処方箋

あいつ、メンヘラだよな。

そう、誰かが発する言葉を聞くと。

心の奥底がきゅうと痛くなる。

メンヘラ。

この言葉が一般的になったのはいつからだろうか。

元々はメンタルヘルスから来ていることなどはここで特筆することでもないだろう。

が、昨今、あまりにもメンヘラという言葉を皆が多用しすぎな気がするのだ。


ここでは、本格的に通院の必要な人は除かせていただきます。それはメンヘラではなくてちゃんとした病名があると思います。


メンヘラと言われるものを因数分解すると、それはワガママ、寂しがりや、甘え、嫉妬が多い、機嫌を損ねやすい、場の空気を読めない発言をしてしまう、など。

人間関係において、こちらが想定していた理解の範疇を越えた言動をする人がいると、時として発せられるようなことが多々あるように思う。


「まあしょうがないよ、あの子メンヘラっぽいし。」

そう誰かが言うと「そうだね」「いやーメンヘラめんどいわ」「困る困る」などという声があがり、議論はお開きとなる。

その意味では、コミュニティの「ちょっと困ったちゃん」を形容するのにはとても便利な言葉かもしれない。


だが、しかし。

胸に手を置いて考えてみて欲しい。自分は過去に1度も、ちょっと困ったちゃんの言動をしたことがないのかを。


そりゃあまあ、生きてたら色々ありますし。絶好調に楽しい時もあれば、絶不調でどん底で、ああまあダメだ、自分ってなんでこんなに無能なんだろう、死にたい、と思うこともたくさんあります。少しのことでイライラしたり、思い通りにいかないことに腹が立って、トゲのある言葉を発したり、もういいよといじけたり。それを後から反省して大いに落ち込んだり。 


ありますよね?


わかりやすい原因があってドカンと落ち込む時は、自分弱ってんな、今はダメな時期だなと自覚しやすい。

そう、それはインフルエンザのように。しばらくは高熱が続くので薬を飲み、きちんと労わる。

しかしこれが、風邪ならどうだろう。

あーちょっと喉痛い、くしゃみでる、という症状がでても、軽視しがちだ。微熱が出ても、咳止めや風邪薬を飲んで無理をする人も多い。昨今では「熱でも休めない人へ」の薬もあるくらいだから。


メンヘラは心の風邪だ。

だから、誰もがみんなメンヘラになる。それは性格ではない。ただの症状だ。


そして風邪は、ひきやすいひととひきづらい人がいる。

真冬に半袖で走り回っていても、全く風邪をひかない人もいれば、お風呂あがりに髪の毛を乾かさないままテレビを見ていただけで風邪をひく人もいる。

風邪をひきにくい人が、なんでそんなことで風邪を何度もひくんだと不思議がっても、それはもうどうしようもないこと。

風邪をひきにくい人は、免疫力が高いと言われる。もちろん、生まれつきもあるかもしれないけれど。解決策はある、と私は思う。


私の話を例えに出そう。


大学生の頃まで、ややメンヘラでした。すぐいじける。すぐわざと意地悪なことを考える。かまってちゃんで、すぐ拗ねて、まあもう、面倒。学校では表面上取り繕っていたけれど、裏の自分はメンをヘラヘラしててもう困った、困った。ヘラヘラのヘラりんちょ。

それはもう、すぐ心が風邪っぴきになってしまうようなやわやわな免疫力の持ち主でした。

でも社会人になって辛いことに何度もぶち当たった時に、これはもういちいち心の風邪を引いては居られなくて、鍛えるようになったのだった。それは、マラソンをするように。腹筋をするように。バランスの良い食事をするように。 

私は徹底的に自分の心情を分解して、対策をした。こういうことが起こった時に、こういう気分になって、こういう行動をしてしまった。じゃあ、今度はこう考えたらいいのでは?と。

トライアンドエラーではなく、エラーからのトライ。でもトライしても、またエラー。ずっとエラーエラーエラー。でもいいのだ。


少しずつ、心の免疫力は高められる。


そして同時に、予防もできるようになってきた。少しおかしいなと思ったら身体を温めるように。ビタミンをとって、早く寝るように。


まあでも、今でも「うわあ死にたい〜〜」ってなりますし、Twitterでぐちぐち言ったり、なんやかんやしますけどね。


もちろん、それにも個人差はあるだろう。同じ練習をしていてもスポーツでは上手さの差はでる。でも、下手でも続けていれば、練習を全くしていない人よりは、はるかにできるようになるのだ。


そう、だから。

心の風邪をひいている人を見かけた時には。

あいつ、メンヘラだからな、と決めつけて見捨てるのではなく、

葛根湯をそっと差し出して、無理しないで、早く寝なさいよと声をかけるような。


そんな心遣いができるような人に、私はなりたい。



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