見出し画像

MA-1?

我が家に18年以上あるものはMA-1です。

90年代中頃、当時のBoonやPopeyeなどのファッション雑誌ブームに乗りアメカジに浮かされた田舎者の我々はこぞって上野の中田商店に行き、兎にも角にもアルファー社のMA-1を手にいれ満足をしたものでした。

あえてアルファー社のMA-1と書きましたが、我々にとってアルファー社のMA-1は特別で、他のメーカーが作ったMA-1は偽物という扱いでした。
アルファー社のタグにはロゴの「a」が刺繍されており、他のメーカーのタグには「狼」や「サソリ」の様な強そうな生き物が刺繍されていました。
その狼やサソリのタグのMA-1を買った人は「わからないで調子乗って買っちゃったダサいやつ」という評価でした。
私はタグなんて気にしてなかったし、そんな事はどうでもよかったのですが、田舎特有のヤンキー文化だったのだと思います、みんなが意識していました。

そんなヤンキー文化が残る関東の田舎で毎日を過ごしていた在りし日の私は、その栄光のMA-1を「彼女」に買ってもらいました。

当時の田舎ではヤンキーがモテるという風潮がまだありありと残っていた頃でした。
しかし私はヤンキーでもないにモテました。
魅力的で容姿もカッコが良いので当然のことだったと思います。
当然だとは思いますが、モテる代表のくせに彼女がいないヤンキーどもは、自分にはいない彼女に憧れのMA-1を買ってもらえる私の事が理解できずにやっかみひがみ、私や彼女の悪口を言って嫌がらせをしてきました。

しかし、私と同じように彼女もとにかく魅力的でカッコが良いので「そんな輩は相手にするな、私たちがただ楽しく過ごせればいいんだ」と言ってくれました。
そのおかげで私は堂々とMA-1を着て楽しく青春時代を過ごす事が出来たのだと思います。

その後、彼女との別れを経験しましたが20年以上前の思い出と共に未だにMA-1はクローゼットにぶら下がっています。

後日談ですが、私と彼女がお別れした後早々に、彼女はヤンキー代表みたいな人と結婚したと風の噂に聞きました。
何となく腹が立ちMA-1を捨てようと取り出してみたらタグがまさかのクジラ柄でした。

いまだに魅力的でカッコの良い私ですが、クローゼットのMA-1と共に心にぶら下がってる思い出です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?