見出し画像

葛木英と作る舞台台本ワークショップ〜最強で最高の終活してきました!

 ワークショップの感想を思いつくまま書いてみました。
遅筆なうえに無駄だらけの文章でお恥ずかしい限りなのですが…
最強で最高の時間だったということが、少しでもお伝えできたら嬉しいです。

〈ワークショップ参加のきっかけ。音楽劇との出逢い〉  
  ワークショップのことを書く前に、そのきっかけとなった出来事に触れておきたい。 1年ほど前、わたしはひどい鬱状態で、まともに外出すら出来なかった。心配した友人や家族に大好きなオーディション番組を見たらどうだとすすめられ、ちょうどBSで一挙放送されていたアヴちゃんの教室を見た。それが00との出逢い。
でも、ごめんなさい。 わたしはまったくその時の記憶がない。
アヴちゃんのことしか思い出せない。アヴちゃんが真摯に生徒に向き合う姿には心動かされた。けれど誰が出ていたか、どんなオーディション内容だったかまったく覚えていないのだ。
(これは当時何にも反応出来なくなっていわたしの心の問題)
それから何かのきっかけで龍宮城のMV「RONDO」を観た。独特な世界観に魅せられて、あの子たちはこんなに素晴らしかったのか…と、気になってググってみた。そこで、彼らが音楽劇に出ることを知った。
なんとなく…本当になんとなくだけれどリハビリかねて見に行ってみようかなという気になった。
それが、舞台版「秘密をもった少年たち」との出会い。
ここから、わたしの運命が大きく動いたと言っても過言ではない。
 音楽劇を観に行く前に「0年0組アヴちゃんの教室完全版」を観た。その時点でハマっていく感覚はあったが、オーディション番組で推しが出来たり番組自体にのめり込むのは良くあること。番組が終わると同時に夢から覚めていくのだ。 それでも… 大好きな本も読めず、ドラマも観れず、買い物にも行けず、帰って来ない猫を待って黄昏泣きする生活からは一歩踏み出せた気がした。
 そして、運命の11月19日・日本青年館ホール。
私は泣いていた。気づけば恥ずかしげもなく嗚咽していた。周りも泣いていた。
その音楽劇は想像を遥かに超えて素晴らしかった。
何より際立っていたのは、そのストーリーと役柄。少年たちそれぞれの魅力が最大限に引き出され観客を物語へと引き込んでゆく。
完全に堕ちた。もうこの沼からは這い上がれないだろうなと確信する。
 その後、専用垢をつくってLIVEにも参戦。今や月2ペースでキンブレを振っている。
 音楽劇との出会いがなければ、きっと、すべてなかったことになっていたかもしれない。 それを想像するととても怖い。 だから、音楽劇との出会いは運命だったと思うことにしている。


〈ワークショップ参加を決意する〉  
 先月、わたしにとってのもうひとつの大きな出会いがあった。
葛木英さん…いや、ここでは葛木先生とお呼びしたい。あの舞台版「秘密を持った少年たち」の脚本を描かれた偉大なる先生だ。
 音楽劇を観てから半年が過ぎても、まだわたしの心は霞ケ丘高校の中にあって、灰と化してしまった少年たちの世界に囚われたままだ。 多くの遊泳区民がそうであるように、むしろ、円盤化されていないことや配信が終わってしまっていることで日に日に恋しさは募るばかり。
 絶望と哀しみの中に置き去りになっている登場人物たちの幸せだった日常を見たくて二次創作的に脚本を書いてみたりもした。あわよくば1周年までに漫画におこしてみてくれないかなどと友人に無茶ぶりしたりもした。
 どうにかして立ち止まったままの音楽劇が再び息を吹き返してくれないものかと毎日祈るような想いで、ゲネプロを見返しては薄れていきそうになる記憶を呼び覚ましている。
 今もPCの中では音楽劇のHPが開いたままだ。

突然目にした情報に釘付けになる。

 その音楽劇「秘密を持った少年たち」の脚本を描かれた葛木先生がワークショップを開かれる⁉️ 葛木先生のお話を直に聞ける機会があるならぜひ参加したい! そんな気持ちがすべての始まりだった。
 シナリオは20代の頃に勉強してそのままになっていたので受講出来るのであれば願ったり叶ったりの機会だ。 ただ、定員制の場合、若くてこれからの演劇界を担う方たちが多く受講されたが絶対いいに決まってる。わたしの場合、やり残したことの終活でしかなく(推し活要素もあり)自分的には有益であっても世間的には何も生み出さないオバさんの趣味でしかないのだから。
 それでもあきらめきれず、普段から創作活動の話をしている友人に相談したところ背中を押してくれた。
 そう、まだ人生終わったわけじゃない。これが最後のチャンスかもしれない。最後の最後に何か一つやり遂げてもいいのではないか… そんな前向きな気持ちになれたので、まずは申し込みだけでもしてみることにした。
このとき、自分の年齢からしてワークショップで学んだことを何かに活かしたいというよりは、これまでやってきたことに区切りをつけたい終活であることをお伝えする。
すると葛木先生から「いいじゃないですか!」という快いお返事をいただけた。おかげで単純なわたしは俄然やる気になって運命の導く方へと流れていくのである。


〈ワークショップについて〉
 ワークショップで学んだ内容については、次回があることを想定し差し障りのない範囲で少しだけ触れたい。 一期生のみなさんがワークショップの感想を書かれているので、是非そちらも参考にしていただければと思う。
(リツイートさせていただきました。文章力もすばらしい。さすがです!)  この感想を読んでくださるのはほぼ遊泳区の方々と思われるので、その方たちがワークショップに興味を持たれたとき、不安や迷いなく参加していただけたらいいなと思う。
 まずは、たった3回の受講で10分の舞台脚本を書き上げることが本当に可能なのだろうか…?
遊泳区のみなさん…00の感想、音楽劇の感想、LIVEの詳細レポに至るまで、魅力的な文章を書かれる方が多くいらして、そうした方たちはたぶん最後までやり遂げることができる力を持ってらっしゃると思う。是非、時間が許せば体験していただきたいと強く願ってしまう。
逆に文章を書くのが苦手で、どんなふうに組み立てていったら良いかわからないといった方にも、とても参考にになる内容なので怖がらずに飛び込んで欲しい。わからなくても悩んでいても葛木先生が手取り足取り優しく導いてくださるから大丈夫!
お仕事との両立で忙しく書き上げられないという方は、期間を目標に置くのではなく、書き上げることの出来るスキルを身につけることを目標にしても良いかもしれない。
どんな参加理由であれ絶対後悔させないことをわたしが保証します!

やや唐突ではあるが、ここでワークショップの参加費用について触れておきたい。
4回で22,000円(税込!)内容とは反比例する衝撃価格だ。
単純計算して1回5,500円。 1時間あたり1375円…て、街のカルチャースクールよりお安いってなにごと?という感じ。
実費というより足が出ているはず。 (おかげで東京までの足代浮きました)
しかも、このワークショップのすごいところはこれだけではない。 時間外のフィードバックがどれだけ多かったか!葛木先生がもし雇われ講師であったなら、かなりのブラック企業に就職してしまったことになる。このワークショップの期間どれだけ時間外労働に終われていたことか…ただただ頭が下がる思いなのである。
 葛木さんにとってのワークショップは端から自分が何かを得るためのものではなく、何かを与えるためのものでしかなかったのだろう。


〈ワークショップに参加して。個人的な感想と思い出〉
 
 シナリオライターを目指す方が多く参加されているだろうという予想に反し、さまざまな経歴をお持ちの方ばかりだった。 これは本当に刺激になった。 (有難いことに現在進行形で刺激になっている)
自分はといえば…主婦、最年長、終活、音楽劇に未練たらたらの遊泳区民。 音楽劇が参加のきっかけになったことは初回の自己紹介で熱く語るも「ありがとうございまーす」と、かる〜く流されて、遊泳区民というよりは終活最年長というポジションに落ち着くことになる。
 自分を含め龍宮城界隈のみなさんが気になるポイントである音楽劇や🐉について、葛木先生から直接語られることはなかったが、どうやってあの作品が誕生したかについては、先生の作品づくりを学ぶ過程で十二分に伝わってきた。
そこには念密な設定に裏打ちされた筋書きがある。場当たり的に書かれた脚本でないからこそ、観る側はこんなに感動させられるのだ。
 最後の授業でちょこっとだけご褒美のようなものを見せていただけた。 どんなものかは次回参加された方のお楽しみということで!
(次回も同じ資料とは限らないけれど、やはり音楽劇アピールは大切かも?笑)
 授業以外にも毎回持ち帰りの課題があり、 早く仕上げて提出すれば、葛木先生から愛あるフィードバックをいただけるわけで。
先生にとってはこの作業が最終日2日前まで続くというハードワーク。常に生徒全員の課題に目を通し、それぞれに的確なアドバイスをくださる。そのフィードバックがどれだけ脚本制作の励みになったことか。
松岡修造さんばりに「あなたなら出来る!」と背中を押され、絶対にやりますと打ち返し、ラリーが続いていく苦しくも楽しい日々。 最後の最後…脚本にオッケーが出た際には、嬉しさよりも寂しさで涙が止まらなかった。  

 振り返れば迷走も多かった。
舞台なのに、柱(場所や時間の指定を書いたもの)をたくさん設定してしまったり、SFモノでもないのに現在や過去を未来までも行き来したり、学校から山小屋まで飛んだり。が、それすら今は懐かしく感じる。
推しで当て書きもした。 そこからサクサクとイメージが湧いてきたのも事実で。ただ、このことは後の自分を苦しめる結果になった。ワークショップの中でいちばん悩み苦しんだ部分。

問題の人物表(当て書きバージョン)
推しの人生パクる気なんか?と言いたくなるほど浅い設定。  

 主人公に関しては悩んだ末にテーマ以外を白紙に戻した。
その決断をして良かったと心から思う。自分の中にまったく違う薺が生まれてくれた。結果、躊躇していたテーマも明確に表現できるようになった。
ただ、わたしに多大なるモチベと発想を与えてくれた推しには心から感謝なのである。
 
 なかでももっとも思い出深いのはオーバーキル事件。
その日、葛木先生のお隣で直にフィードバックいただく幸運に恵まれたのだが…シチュエーション的に何かやらかして教卓に呼ばれた生徒状態だった為、緊張感でお腹がぐうぐう鳴ってしまった。超絶恥ずかしかったが、チョコを恵んでいただけたことも今やよき思い出だ。
 このとき、シナリオの気になる箇所をチェックいただいたのだが、
 「ここオーバーキルすぎない?」
とある台詞を指摘された。
オーバーキル🗡️…私の経験上から解釈すると自己防衛本能の1つで、これ以上踏み込んでくれるなと暗に相手に圧をかける行為だ。
因みに、葛木先生の解釈は違っていて、これ以上期待させないための相手を思い遣る行為と受けとられているよう。何故なら参加者のみなさんオーバーキル気味ならしい。なんかちょっと嬉しくなってしまった(コラ!)。
 問題の台詞だが、主人公が高校時代のガールフレンドに対してこう言うのだ。
「佐藤柚巴さん(突然のフルネーム呼び!)、僕はきみに恋愛感情を抱くことはありません(突然の敬語!)。これまでもこれから先もずっと」
かなり気に入って温めていた台詞のはずだった。たぶん自分的には山場に用いるつもりで。
その場からは持ち帰ってみたものの、通しで読み直してみると確かに唐突すぎて笑えてしまう。少なくともわたしの描く薺くんはそんな自意識過剰な人間ではないはずだ。
 アドバイスに従い台詞はカット!
 その後、冒頭の想い出エモエモシーンも全カットしてはどうかと漢前すぎるアドバイスをいただき潔くカット! 柱がひとつになってメチャクチャスッキリした。 断捨離はこの世界でも大切なのだと知る。

オーバーキル問題を添削された原稿も永久保存版


〈紙に書いた世界が目の前に現る。生で見る喜び!〉  
 最終日…
この年齢でも前向きになれたら、こんなに素晴らしい経験が出来るのだということが起こった。 長生きはするものだ。
まさかのまさかで自分の脚本を俳優さんが演じてくださるだなんて! 普通に生活していたら起こるはずもないサプライズ。
(話を聞いた際には、座ったまま本読み稽古くらいに演じてくださると思っていた)
一番手ということでだいぶ緊張してしまい、せっかく時間をいただけたのに、自分の作品について演者さんに何の説明もできないまますべてお任せすることに。 台本が手渡されたのは前日なのか当日なのか…いやはや、役者さんは本当にすごいと感動するしかない。
脚本だけで人物は動かせない。人物は演者によって生み出される。役者さんが命を吹きこんでくれるのだと、そんなことを強く感じた。
最高の舞台だった。 

演じてくださった役者さん

主人公:時田薺…花戸祐介さん
 繊細でどこか頼りなげな感じが薺そのものだった。
シナリオを書いている時、頭の片隅に柚巴がいる感覚でいたので、花戸さんが現実に薺となって現れてくれた瞬間、胸がきゅううんと締め付けられた。
本当に大好きな薺!
抱擁シーンでまたきゅううんとなってしまう。
あのとき、30代のわたしがお芝居を見ていた気がする。「ドキドキするでしょ?」と葛木さんに突っ込まれ、実際、そんな顔してたのかもしれない。
 この薺に出逢うために頑張って書いたのだ。すごいご褒美だと思った。
余談…
このあと台本にサインをいただきに回ったときのこと。 あまりに薺でいてくれた花戸さんを前にドキドキしていた。声がうわずっていたかもしれない。 すると、第一声「終活なんですって?」 と聞かれた。
 「葛木さんから聞きました」と。
あきらさ〜ん‼️
これはオーバーキルではないんでしょうか?
性別でなく年齢でアウトな最年長なのでした笑。

相手役:佐藤柚巴…渡邊杏里さん
 とにかく明るい柚巴!
想定していた柚巴を軽く超えて、思い描いた以上の柚巴だった。
ラストシーンを書きながら柚巴の心の切り替えに迷いのあった脚本を、最後にストンとおとしてくれたのが杏里さん。柚巴は過去に囚われてなんかいなかった。
あとから声をかけてくださり、柚巴について語り合いハグさせていただいた。 拙い脚本を読んでくださり、たくさん考えて演じてくださったことに感謝しかなく涙が出るほど嬉しかった。

演じていただく機会のなかった俳優さん方も本当に素晴らしくて、すべての作品と演技に引き込まれた。
小林義典さん
サラリーマンから酔っ払いまで振り幅がすごくて、どんな役も自分のものにされていた。
金子侑加さん
可愛らしい見た目に反してなんとカッコいい役の似合う方であったか! 煙草を燻らせプルタブ開ける仕草にドキドキしっぱなしだった。
(タイにハマってらっしゃると知っていたら是非お話ししたかった!)

 今回、作品のテーマとしてセクシャルマイノリティについて書いた。
どこまできちんと伝えられるか不安だった。未熟すぎて綺麗ごとすぎたのも否めない。だからこそ、これを機に 間違った知識や知ったかぶりで大切な人たちを傷つけることのないようもっとたくさんのことを勉強していきたいと思う。
「遅すぎることなんてないし、無駄なことなんて何もないよ」
柚巴なら、そう言ってくれる気がする。

〈終わりに〉  
 最後までお付き合いいただきありがとうございました。
こんなにまとまりなくダラダラ書くつもりはなかったのですが、いろんなこと思い出したらどれもこれも捨てがたい思い出ばかりで。
それだけ楽しかった!最高だった!に尽きます。
読んでくださった方がちょこっとでも、自分も何かやってみようかなという気持ちになっていただけたらこんな嬉しいことはありません。

BuzzFestTheaterのみなさん
最終日、何から何までお世話になりました。
次回の公演を楽しみにしています。

濃密でかけがえのない時間を素敵な方々と共有できて本当に幸せな日々でした。 そのおかげで頓挫したまま忘れていたシナリオライターになる夢をこれ以上ない形で終えることが出来ました。
次回もまた…という欲も出てきていますが、まずはひとりでも多くの方にワークショップを体験をしていただきたい思いがあります。
二期生三期生とこの先もワークショップが続いていくことを願ってやみません。
(入場料払いますので、最終日の公演だけは絶対に入れて欲しいです)
一期生は温泉特別授業をお待ちしてまーす!

そして、いつか音楽劇・秘密少年が再演となった暁には、全員で鑑賞したいというのが最年長の次なる目標(野望)です。
それまで長生きします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?