見出し画像

笑顔になーれ!笑顔になーれ!


世の中は知らないことだらけ。
わたしはプロ野球の今の事情を何も知らない。


先ほど終えたバイト先では
顔見知り程度のいつも冷静沈着なH本さんが
仕事の合間に離れた場所の壁についてる無音なテレビを
必死に眺めていらっしゃった。


H本さんは野球が大好きで
ご家族総出で阪神ファンと前に仰っていた。

「あのテレビは阪神戦ですか?」

『そうですよ!今日はうちの家内とせがれも行ってて…』

ご家族が甲子園に出向いてるから
必死にテレビを見てるのかと思ってたが違った。

野球に疎いわたしは知らなかった、、、
H本さん一家が応援してるチームは
今期まだ1勝しかしていないのだと教わった。


本日の勝敗次第でご自宅が天国と地獄ほど変わるし
テレビの前と現地では勝敗に対しての責任感が異なるらしい。


奥様とお子様が素敵なご縁で甲子園に行かれてるので
いつも以上に画面観る目に力が入るとのこと。


『このペースだと今年8勝しか出来ないんですよ』
『家内とせがれは朝から凄い気合でしたよ』


たくさん試合してるのに勝率がヤバいらしい。
今の勝率で年間の統計をとっていらしてて
連敗の要因の分析もあらゆる面からなさってるご様子。


何年かに一度の世界大会とかではなく
毎年の恒例行事なので全チームの選手を把握なさっておられて
指導陣のことも網羅なさってる。


ふと画面を観ると相手方だけ点数入っていて…


1対0、、、、



「応援の仕方よく分かりませんが…」と前置きしてから
「H本さんちが今宵笑顔になるようにわたしも応援しますね!」


意気揚々とお伝えするとH本さんは戸惑い全開の表情。


「まずは2点欲しいですね!逆転しましょう!」

『それが出来れば今こんなことには、、、』
『あ!あ!あーー!!!』


いつも冷静沈着なH本さんが小声で興奮‼︎‼︎
なんとほんまに2点が入った模様。


しばらくするとH本さんからお声がかかる。
1点差のリードでは気が休まらないと仰せ。


『あの、、追加で2点くらい欲しいんですけど』


"ん???あ、野球のことか?…"
"わたしに頼まれるとは…血迷っていらっしゃるのか?"


いや、それほどまでに必死でいらっしゃるんやから…


「笑顔になーれ!笑顔になーれ!あと2点くれ!」

『それはなんのおまじないですか?』


わたしは野球チームの勝敗には興味がないけれど
いつもご家族のために誠実丁寧に励んでいらっしゃる
H本さんのご家族が笑顔でいっぱいになったら嬉しいから
そのために応援してることをお伝えした!ら…


『あ!あ!あーーーー!!!』


ホームランで追加2点が入ったらしい(←見てても分からない)


バイトの時間が終わる前に執務室の数ヶ所で
声を出さないでガッツポーズしてる人たちがいっぱい居た。


ようやく今期2勝目らしい!!!


奥様とお子様は元気いっぱいで
阪神電車に乗って大阪に戻ってきはるんやろーなあ!
お家で出迎えるH本さんとご家族皆さんで
今日の試合のハイライトシーンで盛り上がって
楽しい夜を過ごされるんやろーなあ!


そんなことを考えながら進む自宅への道のりは
なんだか嬉しくてH本さんの帰り際の笑顔が浮かぶ!


よく分からないまま便乗応援させていただいたのに
無音のテレビ画面の中のファンの興奮は凄まじかった。

この土地柄もあってH本さんが大好きなチームを
必死に応援してる人らしいがパッと見えただけで
10数人は目視確認出来た!!!←ガッツポーズの人数


どちらかが勝てばどちらかが負けるから…
やっぱり勝負事は全体的に苦手。
勝負の世界にどちらも笑顔いっぱいは存在しない。


明日からはまた野球に無関心な人に戻りますが、、、
それでも知人家族の笑顔を願うという応援は出来ました!


藁にもすがる思いの藁に挑んだお話し。






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?