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『個人の価値』が正義のヒーローとなる


今回は以前のnoteの延長で知人の実話をもとに、OPTを取得できたにも関わらず、災難にみまわれた「OPT制度を使い就労中に突然解雇された」ことについてアメリカの法律を交えながら紹介したいと思います。

OPT制度については下記事に詳しく書いてありますので、よろしければこちらの記事からお読みください。

さて本題に入ります。

「OPT制度を使い就労中に突然解雇された」


知人は大学卒業見込みの際に、OPTを申請し、企業から採用通知を受け、大学卒業後、就労していました。

しかし、ある日人手が足りているということを理由に突然解雇されてしまったのです。

薄々、人手が足りていることや、他の社員に比べてビザステータスがF1(学生ビザ)であるために、企業側のサポートも大変なことは本人曰く気づいてはいたようですが、なんせ突然の通告に困惑したようです。

アメリカでは“At-will employment”という法律があり、雇用主はどんな理由であっても通告なしにいつでも従業員を解雇できる、逆に従業員側も、同じく、いつでもどんな理由でも会社を辞めることができるという法律です。
これは、アメリカにおける雇用には、いつ、いかなるときも、理由の有無にかかわらず雇用主も従業員も雇用を解消できるという「At-Will(任意の雇用)」の原則であり、一方で、訴訟も非常に多いのが現状です。特に、自主退職ではない会社都合による雇用終了は「不当解雇(契約不履行、報復的解雇、不誠実・不公正な解雇)」とみなされるケースがあります。


また、解雇された場合、60日以内に次の就労先を探さなければならず、これに間に合わなかった場合はビザの効力が失効するために、帰国を余儀なくされることになります。


今回の知人の場合、事前の通告なしに突然解雇される、ましてやOPT制度期間中なので他の職場を探すのに一苦労したそうです。また、知人が就労中に市民権を持っている学生が同じポジションで採用されていることを知人は認識していました。

企業側にとっては、H1(就労ビザ)が取得しづらくなっている背景で、OPTの学生を雇いビザサポートをする労力を払うよりも、グリンカードまたは市民権のある人を雇いたいのは十分に理解ができるのですが、アメリカは訴訟大国といわれており、不当解雇と見なされうる解雇を理由に従業員が会社を訴えることが多々あり、訴訟には至らくも、会社が示談金などを支払うケースも少なくないそうです。

しかし今回の場合、**知人は学生ビザであり、弁護士を雇うお金も時間もありません。さらに、次の職場を決めることが出来なければ、帰国が余儀なくされます。そのため、次の就職先を探すことに時間と労力を使うしかありませんでした。
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幸いなことに、知人は失業期間が切れるぎりぎりのところで雇ってくれる企業が見つかりホッとしていました。


このことから、わたしは日本特有の【終身雇用】と何かしら関係があるのではないかと考えました。

**【海外と日本との雇用形態について】

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日本は【終身雇用】が強く根付いており、「1つの会社で勤め上げるのが誠実であり、安定」といった既存の価値観が残っていたり、見知らぬ新しい環境へ踏み入るのは勇気が必要なこともあって、いざ自分が職業人として危機や不利な状況に立たされても、転職に躊躇するのが現状です。
従来の日本的雇用の特徴は、就職後どのような部署や職能へ配属されてもいいとする、いわゆるジェネラリスト志向の「非限定雇用」なのに対し海外の雇用はあくまでも「どういうスキルがあるか」「何ができるか」「どんな仕事をしてきたか」で、業務をあらかじめ決めて採用するプロフェッショナル志向の「限定雇用」です。
つまり、欧米では就職とはその名の通り”職業”に”就く”意味であるのに対し、日本では会社や肩書きに就く、”就社”や”就ポスト”といった意味合いが強かったので、就職市場での自分の価値を客観視し、自分のスキルを向上させる努力や、”より働きやすい”人間関係・職場環境の追求への関心が薄かったとも言えるでしょう。

欧米では、いつなんどき解雇されても良いように、いつでも転職できるように情報や人脈を張り巡らせながら働いているの人も少なくないようです。


そこで重要となるのは誰を知っているかという点であり、人脈があなたの信用を裏付ける。

特に欧米では、『稼ぐために、もしくはより良い転職するためには何を知っているかよりも、誰を知っているかによって左右する』と言われています。ビジネスパーソン同士のコネクションで、取引先を紹介したり、口利きをする。つまり人脈が、あなたの信用を裏付けるのです。

日本ではこういった雇用観を持つ人はまだ少ないかもしれませんが、海外のビジネスに慣れ親しんでいる人は、所属企業に依存せず自分の市場価値を上げ続けるために、こういった考え方を実践しています。
日本でも特に、SNSネイティブと言われ企業への所属意識よりも個人の価値を重んじる20代は、転職への抵抗も少ないようです。20代の転職検討率はなんと半数以上。また、20代の転職はこの数年以内に集中しているという特徴もあり、自分のやり甲斐を追求する、主体的な転職が広まっているのが感じられますね。


これらを今回の知人と関連づけると、もし知人が以前から自分で情報を発信していたり、自分の市場価値を持ち、なおかつ最悪のケースを考えて就職市場での自分の価値を客観視できて策を練っていたならば、助け舟がどこかしらか来て、ここまで苦労せずにいたのではないかと考えます。


このことから、日頃から個人の価値とそれを売る市場を持っていることが、困難にあたったときの味方となり、武器となるでしょう。



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