見出し画像

モーツァルト! 感想

モーツァルト!
5月28日 12時30分
帝国劇場

ヴォルフ 山崎育三郎
コンスタンツ 木下晴香
伯爵夫人 涼風真世
アマデ 加藤 憲史郎

観てきました!モーツァルト!
5、6年ぶりくらいの帝劇な気がします。前に見たのはエリザベートだったな。

モーツァルト!は叔母から話を聞いてたのと友人が曲がいいよって言ってたので気になってました。運良くチケ取れたので、意気揚々と観てきました。

お話的には、アマデ(神童とか天才とか才能の象徴)に捉われ続けながら、自分自身とは、自由とはを追い求めたヴォルフのお話です。
モーツァルトは稀有な才能がありながら若くしてなくなるんですが、死因がわかってないんですよね。だからこそ自由への渇望の先にっていう形で死を表現するラストに至るまでが、神秘的に描かれたり、生々しかったりといろんな、ヴォルフ自身の人として描こうとしていたのが印象的です。

最初幕が上がると、我々のイメージの中にいる、白髪のカツラに赤いジャケットを着た幼いモーツァルトが出てくる。天才だ!天才だと持ち上げられ社交界へ身を置いていく。

そんな中で歌う僕こそ音楽ってすごい歌ですよね。
ある意味神に寵愛された、ヴォルフ(アマデ)という存在をまず観客に示す。わたし山崎さんはじめましてだったんですけど、聴いていて気持ちがいい声の方ですね。急に歌う探偵ドラマは見てました。ペンギンから出てくる染谷俊之さんが好きです。

神に寵愛された象徴として、ずっと青年になったヴォルフの近くに子供の姿のアマデがいる描き方。面白いなって思います。自分だけど自分じゃない。そんな存在を描く。
ウィーンのミュージカルの神秘性はそういった描き方と、主題が生と死に触れることが多いからかなって思いました。詳しくないのであまり言えませんが。

ヴォルフってある意味一番才能に惑わされた人間なんだなって思います。才能があるから、自分の周りに人が集まってくる。父は自分の中にある才能を見ているような気になるし、価値があるのは才能のある(アマデがいる)自分で、ただのヴォルフガングには価値がないと感じる。だから影から逃れての歌詞が切ない。
一個人として、純粋に愛して欲しかったヴォルフという存在を、姉、コンス、伯爵夫人という3人が別々の愛を持って際立たせる。そんなイメージを受けました。

お姉さん
まず最初に無償の愛を与えた人ですね。寄り添う優しさが愛となる。お姉さんの優しい感じがあたたかくて好きです。兄弟姉妹って親ではなく、友人でもない独特な関係性があると思うんですが、その関係性の描き方がなんとも切なく感じました。フィナーレの影から逃れてで才能の象徴であるオルゴールを置く姿が本当に印象的でした。

コンス
木下晴香ちゃんは可愛らしい爽やかなお嬢さんのイメージがあったので、わりかしびっくりしました。コンスはなんというか不器用で可哀想な人でしたね。彼女の存在がヴォルフにとっての救いなのか救いじゃないのか難しいなと思いました。木下ちゃんの振り幅、思いのほか大きいですね。そして歌声がまっすぐで個人的に好きなので、これからも楽しみです。

伯爵夫人
圧倒的でした。歌も涼風さんの力強い歌声で、魅了されました。彼女の愛は圧倒的でした。全てを包み込むような存在ですね。星降る金はほんとうに圧巻で、歌うたび、舞台に上がるたび目が持ってかれました。
全てを包み込むある意味で、かみさまみたいな存在の伯爵夫人はヴォルフに取って前に踏み出す強い味方でした。でも、残酷って優しいんですよ。誰もが彼女の愛に触れることができる。だからただのヴォルフとして、特別になりたい、誰かの1番愛する人になりたい希望にとってはあまりに、優しすぎる。優しさが残酷に刺さる存在として

モーツァルト!の中でやっぱり印象的なのは、やっぱりアマデなんですが、アマデ役の加藤憲史郎くん良かったです。
アマデの子の独特な存在感と、ちょこまか動き回るかわいい感じがいい意味でミスマッチで、凄いいいなって思ったんですよ。
だからこそ、ヴォルフの死ぬ直前、目をかって開いて才能が止められないくらいに作曲をするアマデとヴォルフの苦しみ叫んでいる姿が対照的で、才能の孤独さ、芸術が生まれる場所は孤独なんだということを感じました。

孤独のなかに芸術が生まれるっていうのはよく聞くと思います。わたしはモノを作るやつは大体根暗だ精神でいるので、確かになって思うんです。精神的に充実していたら、なにかを表現する必要がないんです。なにかを表現するときって、なにかしらに知らず知らずでも苦しんでいることが多いので、孤独のなかに芸術が生まれるっとのはしっくりきます。ヴォルフが作る音楽が、多くの人の共感を得るからこそ彼は天才として崇められたんだなと思います。

そんかモーツァルト!
欲を言えばもう一度見たいくらいです。
よいものをみました。嬉しい。

画像1

画像2