【news解説】UDテープを用いたATLとAFPのギャップを埋める技術の紹介
Narrow UD tapes to bridge the ATL-AFP gap
Automated tape laying and automated fiber placement are similar, but not the same. Can narrow tapes provide a middle ground with advantages of both processes for next-gen aircraft?
- Composites World 2020/06/29
現在、プリプレグの自動積層技術としては、プリプレグテープを用いるATLとプリプレグトウを用いるAFPがあり、最近では、これらの技術を応用した3Dプリンティング技術も出始めている。
一般的にATLの利点は、プリプレグテープの幅が比較的広いため、積層速度が広く、プリプレグテープの隣接数が少なく、ギャップやラップの発生が少ないことである。
対するAFPは、敷設するプリプレグがトウのため、積層時の操向性は高いものの、隣接するトウが増えるため、ギャップやラップが増えてしまうという特徴がある。
本記事に登場するLund氏は、このATLとAFPの中間(いいとこどり)の自動積層機を実現できないか検討し、1.5インチ幅のナローテープを用いることによって、これを実現した。
本記事にて紹介されているFives Lund SLALOMは、1.5インチ幅のプリプレグテープを用いる自動積層機である。
単にATLとAFPのいいとこどりというだけでなく、従来のAFPでは、一度に積層される数十本のトウを一つのローラーで加圧していたのに対し、24本のナローテープ1本ごと別々の加圧ローラーを適用し、それぞれの加圧力などを調整することや、ギャップやラップの幅の制御も可能な装置となっている。
また、それらの最適な値を機械学習で最適化する機能もあるようである。
また、三菱重工がB787翼スキン製造に使用しているスロラーム機に比べ、7倍以上の積層速度を実現している。
Fives Lund SLALOMは、ボーイング社協力のもと実現した機械であり、これは航空機製造の高速化に寄与するものであると考えられるが、1.5インチテープの適応の実績がこれまでにないことや、そもそも自動積層機の高速化にほかの工程の速度が追い付かない問題があるようである。
Lund氏によると、エアバスではドライ繊維への樹脂注入(インフュ-ジョン)成形(いわゆるリキッドモールディング)による工程の高速化が計画されているが、1.5インチテープでの自動積層により対抗できると考えている。